特許第6229699号(P6229699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229699
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】シールド導電路
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/40 20060101AFI20171106BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20171106BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20171106BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20171106BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01B7/40
   H01R4/64 C
   H02G3/30
   H05K9/00 L
   H01B7/18 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-171067(P2015-171067)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-50101(P2017-50101A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−090825(JP,A)
【文献】 特開2014−180072(JP,A)
【文献】 特許第5528007(JP,B2)
【文献】 特開2012−253008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/40
H01B 7/18
H01R 4/64
H02G 3/30
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線を筒状のシールド部材で包囲した形態の導電路本体と、
前記被覆電線を貫通させた合成樹脂製のインナホルダと、
前記インナホルダを収容可能であり、前記シールド部材が固着される金属製のシールドシェルと、
前記シールドシェルの周面に形成されたロック孔と、
前記インナホルダに形成され、前記ロック孔に係止可能なロック突起を有し、前記インナホルダと前記シールドシェルを組付け状態にロックするロックアームとを備え、
前記ロックアームが、前記シールドシェルに外側から係止するものであり、前記インナホルダの外面に立ち上がる脚部と、前記脚部から延出するアーム部と、を有し、前記ロック突起が、前記アーム部の先端部に内向きに突設されていることを特徴とするシールド導電路。
【請求項2】
被覆電線を筒状のシールド部材で包囲した形態の導電路本体と、
前記被覆電線を貫通させた合成樹脂製のインナホルダと、
前記インナホルダを収容可能であり、前記シールド部材が固着される金属製のシールドシェルと、
前記シールドシェルの周面に形成されたロック孔と、
前記インナホルダに形成され、前記ロック孔に係止可能なロック突起を有し、前記インナホルダと前記シールドシェルを組付け状態にロックするロックアームとを備え、
前記被覆電線と前記インナホルダを前記被覆電線の軸線方向に位置決めした状態で固定可能な固定部材を備えていることを特徴とするシールド導電路。
【請求項3】
前記固定部材が、前記インナホルダの外周面と前記被覆電線の外周面とに密着し、前記インナホルダと前記被覆電線を包囲して締め付ける結束バンドであることを特徴とする請求項2記載のシールド導電路。
【請求項4】
前記インナホルダには、前記結束バンドを周方向に位置決めするストッパが形成されていることを特徴とする請求項3記載のシールド導電路。
【請求項5】
前記インナホルダが、前記被覆電線を径方向に挟むように合体可能な一対の半割部材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシールド導電路。
【請求項6】
前記一対の半割部材には、互いに係止可能であり、前記一対の半割部材を合体状態に保持する係止部が形成され、
前記係止部が、前記シールドシェル内に収容されていることを特徴とする請求項5記載のシールド導電路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被覆電線を筒状の編組線で包囲した形態の導電路本体と、被覆電線を貫通させた合成樹脂製のインナホルダと、インナホルダを収容する金属製のシールドシェルとを備え、編組線の端末部をシールドシェルに接続したシールド導電路が開示されている。このシールド導電路は、インナホルダに形成したランスを、シールドシェルに形成したランス係止部に係止することにより、インナホルダとシールドシェルが組付け状態にロックされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5528007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシールド導電路は、インナホルダに対する被覆電線の挿通方向と、シールドシェルに対するインナホルダの組付け方向が逆方向であり、被覆電線とインナホルダとの組付けをシールドシェルの外部で行うようになっている。そのため、組付けの過程では、インナホルダが収容されていないシールドシェルに被覆電線を挿通させる必要がある。ところが、シールドシェルに形成されているランス係止部は、シールドシェルの内周側へ突出した形態となっているため、このランス係止部が被覆電線の絶縁被覆を傷付ける虞がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールドシェルによる被覆電線の傷付きを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシールド導電路は、
被覆電線を筒状のシールド部材で包囲した形態の導電路本体と、
前記被覆電線を貫通させた合成樹脂製のインナホルダと、
前記インナホルダを収容可能であり、前記シールド部材が固着される金属製のシールドシェルと、
前記シールドシェルの周面に形成されたロック孔と、
前記インナホルダに形成され、前記ロック孔に係止可能なロック突起を有し、前記インナホルダと前記シールドシェルを組付け状態にロックするロックアームとを備え、
前記ロックアームが、前記シールドシェルに外側から係止するものであり、前記インナホルダの外面に立ち上がる脚部と、前記脚部から延出するアーム部と、を有し、前記ロック突起が、前記アーム部の先端部に内向きに突設されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
インナホルダとシールドシェルを組付け状態にロックするための手段として、シールドシェルの周面にロック孔を形成している。ロック孔はシールドシェルの内周から突出してはいないので、被覆電線は、シールドシェルの内周面に摺接しても、シールドシェルによって傷付けられる虞はない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例1のシールド導電路の分解状態をあらわす斜視図
図2】シールド導電路の平面図
図3】シールド導電路の側面図
図4】シールド導電路の底面図
図5図2のA−A線断面図
図6】シールドシェルの背面図
図7図6のB−B線断面図
図8】インナホルダの側面図
図9図8のC−C線断面図
図10】インナホルダの背面図
図11図10のD−D線断面図
図12】下部半割部材と上部半割部材を合体する前の展開状態をあらわす底面図
図13】下部半割部材と上部半割部材を合体する前の展開状態をあらわす背面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシールド導電路は、前記被覆電線と前記インナホルダを前記被覆電線の軸線方向に位置決めした状態で固定可能な固定部材を備えていてもよい。この構成によれば、被覆電線をシールドシェルとインナホルダとに挿通した状態で、シールドシェルを車両ボディ等に固定する際に、インナホルダが被覆電線に沿って移動してシールドシェルと干渉する虞がないので、シールドシェルを固定する際の作業性が良い。
【0010】
本発明のシールド導電路は、前記固定部材が、前記インナホルダの外周面と前記被覆電線の外周面とに密着し、前記インナホルダと前記被覆電線を包囲して締め付ける結束バンドであってもよい。この構成によれば、インナホルダと被覆電線を容易且つ確実に位置決めして固定することができる。
【0011】
本発明のシールド導電路は、前記インナホルダには、前記結束バンドを周方向に位置決めするストッパが形成されていてもよい。この構成によれば、結束バンドを締め付ける際の作業性が向上する。
【0012】
本発明のシールド導電路は、前記インナホルダが、前記被覆電線を径方向に挟むように合体可能な一対の半割部材で構成されていてもよい。この構成によれば、インナホルダと被覆電線を組み付ける際の作業性が良い。
【0013】
本発明のシールド導電路は、前記一対の半割部材には、互いに係止可能であり、前記一対の半割部材を合体状態に保持する係止部が形成され、前記係止部が、前記シールドシェル内に収容されていてもよい。この構成によれば、係止部が異物の干渉によって解離する虞がないので、半割部材を合体状態に確実に保持することができる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図13を参照して説明する。本実施例1において、前後の方向については、図1〜5における右方を前方と定義する。上下の方向については、図3,5,6,8〜11にあらわれる向きをそのまま、上方、下方と定義する。
【0015】
本実施例のシールド導電路は、1本の導電路本体10と、インナホルダ20と、シールドシェル40と、結束バンド50(請求項に記載の固定部材)とを備えて構成されている。導電路本体10は、2本の被覆電線11と、1つの筒状をなす編組線14(請求項に記載のシールド部材)と、カシメリング56とを備えて構成されている。被覆電線11は、1本の導体12を絶縁被覆13で包囲した周知の電線である。編組線14は、複数本の金属線材を網目状に編み込んだ可撓性を有する筒状の部品であり、被覆電線11を包囲することにより、シールド機能を発揮する。
【0016】
インナホルダ20は、合成樹脂製であり、図12,13に示すように、構造的には、下部半割部材21(請求項に記載の半割部材)と上部半割部材22(請求項に記載の半割部材)のとをヒンジ部23で連結した単一部品である。インナホルダ20は、ヒンジ部23を変形させて下部半割部材21の上に上部半割部材22を重ねるように合体することで、全体として前後方向に貫通した形態に構成されている。
【0017】
インナホルダ20は、機能的には、図1,8,10,11に示すように、ホルダ本体部24と、電線保持部30と、ロックアーム34とを備えている。ホルダ本体部24は、前後両面と上面の一部とが開放された箱状部25と、前後両面が開放された筒状部26と、箱状部25の後端と筒状部26の前端とを段差状に繋ぐ当接部27とを備えて構成されている。筒状部26は箱状部25よりも一回り小さく、当接部27の後面はインナホルダ20の外部に露出している。ヒンジ部23は、筒状部26の左側縁に配されている。
【0018】
箱状部25の後端部の外側面のうちヒンジ部23とは反対側である右外側面には、係止突起28(請求項に記載の係止部)と係止アーム29(請求項に記載の係止部)とが形成されている。係止突起28は、上部半割部材22の外周面に形成されている。係止アーム29は、下部半割部材21の外周面から上方へ突出するように形成されている。係止アーム29が係止突起28に係止することにより、両半割部材21,22が合体状態に保持されている。
【0019】
電線保持部30は、箱状部25の前端から前方へ片持ち状に延出した形態である。上下方向における電線保持部30の形成範囲は、上側領域のみである。つまり、電線保持部30は、上部半割部材22に連なっているが、下部半割部材21には連なっていない。電線保持部30の外周面には、周方向に延びる溝部31が形成されている。また、溝部31の周方向における一方の端部(左端部)には、ストッパ32が形成されている。ストッパ32には、上下方向に貫通した形態の挿通孔33が形成されている。
【0020】
ロックアーム34は、箱状部25の上面における前端縁部から上方へ立ち上がる脚部35と、脚部35の上端から後方へ片持ち状に延出するアーム部36とを備えて構成されている。つまり、ロックアーム34の側面視形状は、上下向きの略L字形をなす。アーム部36の先端部には、下方へ突出するロック突起37が形成されている。ロックアーム34は、脚部35の下端を支点とし、脚部35が前方へ変位するとともにアーム部36が上方へ変位するような形態で弾性撓みし得るようになっている。このロックアーム34の弾性撓みに伴い、ロック突起37が上方へ変位する。
【0021】
また、ロックアーム34の外面には、脚部35の前面に沿って上下方向の延びるとともに、アーム部36の上面に沿って前後方向に延びる3本の補強リブ38が形成されている。3本の補強リブ38は、ロックアーム34の左右両側縁と幅方向中央位置とに配されている。この補強リブ38により、ロックアーム34の剛性が高められる。
【0022】
シールドシェル40は、金属製の単一部品である。図1,6,7に示すように、シールドシェル40は、シェル本体部41と、取付部47とを備えている。シェル本体部41は、略方形をなす前側筒部42と、略円形をなす後側筒部43と、前側筒部42の後端と後側筒部43の前端とを段差状に繋ぐ受け部44とを備えて構成されている。前側筒部42は、後側筒部43よりも一回り大きいため、受け部44の前面は、前側筒部42の内部空間に臨んでいる。前側筒部42を構成する上板部45には、平面視形状が略方形をなすロック孔46が形成されている。ロック孔46は、上板部45の外面(上面)から内面(下面)まで貫通している。
【0023】
取付部47は、前側筒部42を構成する左側板部の前端縁に連なっている。取付部47は、左側板部と略平行をなし、左側板部の前端縁から前方へ平板状に延出した態である。取付部47の上端部には、円形の取付孔48が形成されている。取付孔48に貫通したボルト(図示省略)を車両ボディ等のアース部材に固着したナット(図示省略)にねじ込んで締め付けると、シールドシェル40をアース部材に対し導通可能に取り付けることができる。
【0024】
結束バンド50は、可撓性を有する合成樹脂からなる周知の部品である。即ち、図9に示すように、結束バンド50は、外面に複数の鋸歯状をなす係止歯52が形成された細長いバンド部51と、バンド部51の一方の端部に形成されたヘッド部53とからなる。ヘッド部53には、バンド部51を挿通させる係止孔54が形成され、係止孔54の内面には、係止歯52を係止させるための抜止め突起55が形成されている。
【0025】
次に、本実施例のシールド導電路を組み付ける手順を説明する。まず、被覆電線11を編組線14とシールドシェル40に挿通するとともに、編組線14の前端部を、シールドシェル40の後側筒部43に外嵌してカシメリング56により導通可能に固着する。被覆電線11を編組線14とシールドシェル40に挿通する工程と、編組線14をシールドシェル40に固着する工程は、どちらを先に行ってもよい。この後、被覆電線11の前端部をシールドシェル40の前方へ導出させる。
【0026】
次に、導出した被覆電線11の前端部を下部半割部材21の上面の凹部に載せ、その上から上部半割部材22を被せて下部半割部材21と合体させる。これにより、インナホルダ20が構成されるとともに、被覆電線11がインナホルダ20に挿通された状態となる。両半割部材21,22を合体した後、結束バンド50のバンド部51を、ストッパ32の挿通孔33に挿通し、電線接続部の外周と被覆電線11の外周に亘って巻き付ける。このとき、バンド部51を電線接続部の溝部31に嵌合することにより、結束バンド50部がインナホルダ20に対し前後方向に位置決めされる。
【0027】
そして、バンド部51をヘッド部53の係止孔54に挿通し、インナホルダ20と被覆電線11を前後方向(被覆電線11の軸線方向)において位置決め合わせした状態で、バンド部51を引き絞る。すると、バンド部51が被覆電線11の外周に(絶縁被覆13)に食い込むので、被覆電線11とインナホルダ20が、結束バンド50を介すことにより、前後方向への相対変位を規制された状態に固定される。
【0028】
この後、シールドシェル40内にインナホルダ20を収容する。このとき、インナホルダ20は、シールドシェル40に対し前方から挿入される。インナホルダ20をシールドシェル40内に収容した状態では、インナホルダ20の筒状部26がシールドシェル40の前側筒部42を貫通して後側筒部43内に内嵌されるともとに、インナホルダ20の箱状部25が前側筒部42内に内嵌される。また、インナホルダ20をシールドシェル40に組み付ける過程では、ロックアーム34が、シールドシェル40の上板部45と干渉して上方へ弾性撓みする。
【0029】
そして、インナホルダ20とシールドシェル40が正規の組付け状態になると、インナホルダ20の当接部27がシールドシェル40の受け部44に対し前方から当接することにより、インナホルダ20がシールドシェル40に対し後方へ相対変位をことを規制される。同時に、ロックアーム34が下方へ弾性復帰してロック突起37がロック孔46に係止することにより、インナホルダ20がシールドシェル40に対し前方へ相対変位することを規制される。これにより、インナホルダ20とシールドシェル40が前後方向への相対変位を規制され、且つ上下及び左右への相対変位を規制された組付け状態にロックされる。また、シールドシェル40にインナホルダ20を組み付ける工程と前後して、シールドシェル40の取付部47を車両ボディ等のアース部材に固定する。
【0030】
上述のように本実施例のシールド導電路は、被覆電線11を筒状の編組線14で包囲した形態の導電路本体10と、被覆電線11を貫通させた合成樹脂製のインナホルダ20と、インナホルダ20を収容可能であり、編組線14が固着される金属製のシールドシェル40とを備えている。シールドシェル40の周面にはロック孔46が形成され、インナホルダ20には、ロック孔46に係止可能なロック突起37を有し、インナホルダ20とシールドシェル40を組付け状態にロックするロックアーム34が形成されている。
【0031】
本実施例では、インナホルダ20とシールドシェル40を組付け状態にロックするための手段として、シールドシェル40の周面にロック孔46を形成している。ロック孔46はシールドシェル40の内周から突出してはいない。しかも、ロック孔46が形成されている上板部45の後方近傍には、上板部45よりも低い位置に配された後側筒部43の上端部が存在している。そのため、シールドシェル40に挿通された被覆電線11は、ロック孔46の形成されていない後側筒部43に摺接することはあっても、シールドシェル40の内周面におけるロック孔46の開口縁に接触することはない。したがって、被覆電線11の外周の絶縁被覆13が、シールドシェル40(ロック孔46の開口縁)によって傷付けられる虞はない。
【0032】
また、被覆電線11とインナホルダ20を被覆電線11の軸線方向に位置決めした状態で固定可能な結束バンド50を備えている。この構成によれば、被覆電線11をシールドシェル40とインナホルダ20とに挿通した状態で、シールドシェル40を車両ボディ等に固定する際には、インナホルダ20が被覆電線11に沿って移動してシールドシェル40と干渉する虞がないので、シールドシェル40を固定する際の作業性が良い。
【0033】
また、結束バンド50は、インナホルダ20(電線保持部30)の外周面と被覆電線11の外周面とに密着して、インナホルダ20(電線保持部30)と被覆電線11を包囲して締め付けるものである。したがって、インナホルダ20と被覆電線11を容易且つ確実に位置決めして固定することができる。さらに、インナホルダ20には、ヘッド部53を下から当接させることにより、結束バンド50を周方向に位置決めするストッパ32が形成されているので、結束バンド50を締め付ける際の作業性に優れている。
【0034】
また、インナホルダ20は、被覆電線11を径方向に挟むように合体可能な一対の半割部材21,22によって構成されているので、インナホルダ20と被覆電線11を組み付ける際の作業性が良い。しかも、一対の半割部材21,22には、互いに係止することで一対の半割部材21,22を合体状態に係止するための係止アーム29と係止突起28とが形成されている。この係止アーム29と係止突起28は、インナホルダ20とシールドシェル40を組み付けた状態で、シールドシェル40(前側筒部42)内に収容される。この構成によれば、係止アーム29と係止突起28が異物の干渉によって解離する虞がないので、半割部材21,22を合体状態に確実に保持することができる。
【0035】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、結束バンドを周方向に位置決めするためのストッパを設けたが、このようなストッパを設けない形態としてもよい。
(2)上記実施例では、被覆電線とインナホルダを軸線方向に位置決めして固定する固定部材として結束バンドを用いたが、固定部材は、結束バンドに限らず、粘着テープ等であってもよい。
(3)上記実施例では、被覆電線とインナホルダを固定部材(結束バンド)によって軸線方向に位置決めして固定したが、このような固定部材を設けない形態としてもよい。
(4)上記実施例では、被覆電線を径方向に挟む一対の半割部材を合体させることによってインナホルダを構成したが、インナホルダは、形状の変化しない筒状部材であってもよい。
(5)上記実施例では、一対の半割部材をヒンジ部によって連結したが、一対の半割部材は、互いに別体の部品であってもよい。
(6)上記実施例では、半割部材を合体状態に保持する係止部が、シールドシェルの内部に収容されるようにしたが、インナホルダとシールドシェルを組み付けた状態で、係止部がシールドシェルの外部に露出してもよい。
(7)上記実施例では、シールド部材として編組線を用いたが、シールド部材としては、可撓性を有する金属箔を筒状にしたものや、可撓性を有する筒状の非導電部材に導電性の膜や層を重ねたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10…導電路本体
11…被覆電線
14…編組線(シールド部材)
20…インナホルダ
21…下部半割部材(半割部材)
22…上部半割部材(半割部材)
28…係止突起(係止部)
29…係止アーム(係止部)
32…ストッパ
34…ロックアーム
40…シールドシェル
46…ロック孔
50…結束バンド(固定部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13