特許第6229717号(P6229717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6229717ガンマセクレターゼモジュレーターとしての縮合トリアゾール誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229717
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ガンマセクレターゼモジュレーターとしての縮合トリアゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20171106BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20171106BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C07D471/04 101
   C07D471/04CSP
   C07D487/04 139
   C07D498/04 112Q
   A61K31/4192
   A61K31/437
   A61K31/4439
   A61K31/444
   A61K31/5383
   A61P25/04
   A61P25/28
   A61P29/00
   A61P37/02
【請求項の数】13
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2015-521985(P2015-521985)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-522592(P2015-522592A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2013001774
(87)【国際公開番号】WO2014012614
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】12176726.3
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/672,436
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504238862
【氏名又は名称】アレス トレイディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ウィタッカー ベン
(72)【発明者】
【氏名】スティール クリス
(72)【発明者】
【氏名】ハーディック デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル デイル
(72)【発明者】
【氏名】ポメル ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】クアトロパーニ アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ベヘール ディルク
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/029991(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/092272(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/007756(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/102580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 (I)
【化1】
(I)
の化合物、又はこれらの医薬上許される塩もしくは水和物(全ての比のこれらの混合物を含む)。
[式中、
Aは、上記式 (I)に示す位置で1個の炭素原子が窒素原子により置換され、かつ、1個の-CH2- 基が酸素原子により置換されていてもよい5〜7員飽和炭素環式環を表し、
R1、R1'は互いに独立にハロゲン、CF3 、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、CN、C1-C6-アルキルスルホニル及びアミンから選ばれ、
Qは-NR4- 、-(CH2)NR4CO- 、-NR4CO-及び-CONR4-から選ばれ、
ZはCH又はNであり、
R2は、O、N又はSから独立に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含み、かつ、C1-C6-アルキル、C1-C6 アルコキシから独立に選ばれた1〜3個の基で置換されていてもよい、5〜6員不飽和又は芳香族複素環であり、
R3はH、C1-C6-アルコキシ、CN又はハロゲンであり、
R4はH又はC1-C6-アルキルを表す]
【請求項2】

【化2】
が下記の基:
【化3】
から選ばれる、請求項1記載の式 (I)の化合物。
【請求項3】
R2がメチルピリジン、メチルイミダゾール及びメチルピラゾールから選ばれる、請求項1又は2記載の式 (I)の化合物。
【請求項4】
化合物が下記の群:
【化4】










から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
請求項1記載の式 (I)の化合物、又はその医薬上許される溶媒和物、互変異性体、塩、水和物もしくは立体異性体(全ての比のこれらの混合物を含む)を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項記載の式 (I)の化合物の少なくとも一種を含む医薬組成物。
【請求項7】
神経変性疾患及び関連疾患の治療又は予防における使用のための請求項5又は6記載の医薬組成物。
【請求項8】
神経変性疾患がアルツハイマー病、痴呆、疼痛から選ばれる、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
(a) 有効量の請求項1から4のいずれか1項記載の式 (I)の化合物及び/又はその医薬上使用できる溶媒和物、塩、水和物及び立体異性体(全ての比のこれらの混合物を含む)、及び
(b) 有効量の更なる薬物活性成分
の別々のパックからなるキット。
【請求項10】
炎症性疾患又は免疫障害の治療に使用される少なくとも一種の更なる薬物を更に含む、請求項5からのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも一種の更なる免疫調節薬を更に含む、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
式 (IV)の化合物
【化5】
(式中、A、R1及びR1’は請求項1の式 (I)の化合物について定義されたとおりである)を式 (XVIII)の化合物
【化6】
(式中、R2、R3及びZは請求項1の式 (I)の化合物について定義されたとおりであり、Dはアミノ基である)と反応させることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の式 (I)の化合物の製造方法。
【請求項13】
式 (III)の化合物
【化7】
(式中、A、R1及びR1’は請求項1の式 (I)の化合物について定義されたとおりである)を式 (XVIII)の化合物
【化8】
(式中、R2、R3及びZは請求項1の式 (I)の化合物について定義されたとおりであり、Dはハライド、スルホネートエステル又はカルボン酸である)と反応させることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の式 (I)の化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガンマセクレターゼモジュレーター (GSM)として有益な縮合二環式トリアゾール誘導体を提供する。更に、本発明はこのような化合物の調製方法、前記化合物を含む医薬組成物並びにアミロイドシス及び神経変性疾患(アルツハイマー病及びダウン症候群を含むが、これらに限定されない)の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は記憶、認知、及び挙動安定性の喪失により示される進行性神経変性障害である。ADは65才にわたって人口の6-10%また85才にわたって50%までを冒す。それは痴呆の主たる原因であり、また心血管疾患及び癌の後の死亡の3番目の主たる原因である。現在では、ADについての有効な治療はなく、治療が対症治療薬、例えば、コリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル(アリセプト(登録商標)、ファイザー)の使用に制限される。米国におけるADに関連する合計の正味のコストは年間で1億ドルを超える。
ADは脳の辺縁領域及び皮質領域中の特別な病巣の存在により病理学的に特徴づけられる。これらは高リン酸化tau タンパク質からなる細胞内の神経繊維の絡み合い及びアミロイドプラーク(老人性プラーク)の形態のアミロイド−ベータペプチドの繊維凝集物の細胞外の付着を含む。アミロイドプラークの主成分は種々の長さ(39-42 アミノ酸)のアミロイド−ベータ(A-ベータ、Aベータ又はAβ)ペプチドである。その変異体(これはAβ1-42(Aベータ1-42、Aベータ42)ペプチドである)は、AD脳中の主要病的種であると考えられ、アミロイドプラーク生成のための種として作用し得る。別の変異体はAβ1-40(Aベータ1-40、Aβ40)ペプチドである。
【0003】
Aβ生成を増大し、ADの早期発症家族性形態をもたらすベータ−アミロイド前駆体タンパク質 (β-APP、β-APP又はAPP)、プレセニリン-1 (PS-1) 及びプレセニリン-2 (PS-2) 遺伝子中の突然変異の同定がADの“アミロイドカスケード仮説”及びAβ生成を標的とする治療アプローチの強い支持を与えていた (Hardy 著, 2006 Curr Alzheimer Res.3(1):71-73; Tanzi 及びBertram 著, 2005 Cell 120, 545) 。ダウン症候群(DS)、軽度の認知障害 (MCI)、脳アミロイド血管障害 (CAA)、封入体筋炎 (IBM)及び年齢関連黄斑変性を含むが、これらに限定されないその他の疾患におけるAβペプチドの役割についてのデータが出現している。それ故、Aβ低下薬はAβペプチドがかかわる多様な病気の治療に有益であり得る。
AβペプチドはAPP のタンパク質分解プロセシング後に生成される。Aβペプチドの生成はβ部位APP 開裂酵素1 (BACE-1)及びγ−セクレターゼと称される少なくとも2種のタンパク質分解活性物質により調節される。APP は初期にAβドメインのN末端 (Met- Asp結合) でBACE-1により開裂されて可溶性APPβ (sAPPβ) の分泌及び12 kDa 膜結合カルボキシ末端フラグメント (CTF β) の保持をもたらす。後者が続いてγ−セクレターゼにより開裂されて種々の長さ及びAPP 細胞内ドメイン(AICD)のAβペプチドを生成する。
γ−セクレターゼ活性は単一タンパク質に起因し得ないが、実際に異なるタンパク質の集合と関連していることが今明らかになった。γ−セクレターゼ活性は少なくとも四つの成分:プレセニリン(PS)ヘテロダイマー、ニカストリン、前咽頭欠損1 (Aph-1) 及びプレセニリンエンハンサー2 (Pen-2) を含む多タンパク質複合体内にある。PSヘテロダイマーはPSの細胞内タンパク質分解により生成されるアミノ末端フラグメント及びカルボキシ末端フラグメントからなり、触媒部位における二つのアスパルテートがこのヘテロダイマーの界面にある。ニカストリンはγ−セクレターゼ−基質受容体として利用できることが最近示唆されていた。γ−セクレターゼのその他の員の機能は未知であるが、それらは活性に全て必要とされる (De Strooper 著, 2003 Neuron 38: 9-12; Steiner 著, 2004.Curr.Alzheimer Research 1(3): 175-181) 。APP 開裂に加えて、γ−セクレターゼはノッチを含む幾つかのその他のタンパク質の膜内タンパク質分解に関係している (Haapasalo & Kovacs著, 2011 J.Alz.Dis.25: 3-28)。
【0004】
Aβペプチドの生成におけるその重要な役割のために、γ−セクレターゼはADの治療に主たる標的である。種々の戦略が触媒部位を直接標的とすること(γ−セクレターゼ阻害薬)、基質特異性阻害薬(選択的γ−セクレターゼ阻害薬)を開発することからγ−セクレターゼ活性のモジュレーター(GSMs)を開発することに至る範囲のγ−セクレターゼを標的とすることにつき提案されていた (Beher 著, 2008 Curr Top Med Chem.8: 34-37, Marjauxら著, 2004.Drug Discovery Today: Therapeutic Strategies, 1巻, 1-6)。従って、セクレターゼを標的とする種々の化合物が記載されていた (Larner著, 2004.Secretases as therapeutics targets in AD: patents 2000 - 2004.Expert Opin.Ther.Patents 14, 1403-1420) 。しかしながら、γ−セクレターゼがその他のタンパク質の膜内タンパク質分解で果たす基本的な役割のために、γ−セクレターゼ阻害薬の開発はノッチシグナリングの抑制と関連するメカニズムに基づく毒性により妨げられた (Wongら著, 2004 J.Biol.Chem.279: 12876-12882; Schor著, 2011 Ann Neurol.69: 237-239)。
ノッチプロセシングに影響せず、それ故、γ−セクレターゼ阻害薬よりも安全であり、かつ良く寛容されるべきであるGSMsの開発が好ましい。事実、この知見はγ−セクレターゼについての或る非ステロイド坑炎症薬 (NSAIDs) の効果が示された生化学研究により支持された (US 2002/0128319; Eriksen著 (2003) J.Clin.Invest.1 12, 440)。詳しくは、これらの薬物はAPP のγ−セクレターゼ開裂をアミロイド生成Aβ部位からAβ37部位及びAβ38部位における開裂にシフトし、その結果、Aβ42の減少が一層短い、それほどアミロイド生成ではないAβペプチドの増加により伴なわれることが示された。ノッチプロセシングについての効果が観察されなかった。ADを予防又は治療するためのNSAIDsの使用についての潜在的な制限として、シクロオキシゲナーゼ (COX)酵素のそれらの抑制(これは望ましくない副作用をもたらし得る)、及びそれらの低いCNS 浸透が挙げられる (Peretto ら著, 2005, J.Med.Chem.48, 5705-5720) 。COX 抑制活性を欠いているが、Aβ42低下活性を保持するNSAID 誘導体、例えば、R-フルビプロフェン (FlurizanTM) がその後に同定され、臨床試験へと進められた (Wilcock ら著, 2008 Lancet Neurol.7: 483-493)。しかしながら、R-フルビプロフェン (FlurizanTM) はその弱い効力及び不十分な脳浸透のためにフェーズ3臨床試験で効力を示すことができなかった (Green ら著, 2009 JAMA 302: 2557-2564) 。GSMsについてのその他の特許文献として、WO-2009/032277(これはγ−セクレターゼモジュレーターとして有益な複素環化合物に関する)及びWO-2010/083141、WO-2011/086098(これらはベータ−アミロイド生成の減少のための二環式化合物に関する)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
γ−セクレターゼ活性を変調し、それによりADの治療のための新しい手段を利用できるようにする新規化合物についての強い要望がある。本発明の目的は従来技術の欠点の少なくとも一つを解消もしくは軽減し、又は有益な代替物を提供することである。従って、本発明の目的はこのような新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は式 (I)の化合物並びにこれらの医薬上許される誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩、水和物及び立体異性体(全ての比のこれらの混合物を含む)を提供する。
【化1】
(I)
【0007】
式中、
Aは、1個の-CH2- 基が酸素原子により置換されていてもよい5〜7員飽和炭素環式環を表し、
R1、R1’は互いに独立にハロゲン、CF3 、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、CN、C1-C6-アルキルスルホニル及びアミンから選ばれ、
Qは二重結合、-NR4- 、-(CH2)NR4CO- 、-NR4CO-又は-CONR4-、及び-CONR4-から選ばれ、
ZはCH又はNであり、
R2は、O、N又はSから独立に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含み、かつ、C1-C6-アルキル、C1-C6 アルコキシから独立に選ばれた1〜3個の基で置換されていてもよい、5〜6員不飽和又は芳香族複素環であり、
R3はH、C1-C6-アルコキシ、CN、及びハロゲンから選ばれ、
R4はH又はC1-C6-アルキルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
式 (I)中で、基
【化2】
は下記の基の一つを表すことが好ましい。
【0009】
【化3】
【0010】
基R1及びR1’ がハロゲン及びCF3 から選ばれることが好ましい。
式 (I)中で、R2が下記の基:メチルピリジン、メチルイミダゾール及びメチルピラゾールの一つを表すことが好ましい。
Qが-NH-、-(CH2)NHCO- 、-NHCO-又は-CONH-、及び-CONH-から選ばれた基を表すことが好ましい。
特に、本発明はまた式 (I’)の化合物を含む。
【化4】
(I’)
【0011】
式中、R1、R1’、R2、R3及びQは先に定義されたとおりであり、かつnは1又は2である。
式 (I)及び(I’)中で、R1がハロゲン又はCF3 を表し、かつR1’ がH又はハロゲンであることが更に好ましい。
式 (I)及び(I’) 中で、QがNH、-CONH-、CON(CH3)-又は-NHCO-を表すことが最も好ましい。
好ましい化合物が下記の群から選ばれる。
【0012】
【化5】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
下記の略語は下記の定義を夫々表す:
aq (水性) 、h(時間) 、g(グラム) 、L(リットル) 、mg (ミリグラム) 、MHz(メガヘルツ) 、μM(マイクロモル) 、min(分) 、mmol (ミリモル) 、mM (ミリモル) 、eq (当量) 、mL(ミリリットル) 、μL (マイクロリットル) 、ACN(アセトニトリル) 、BOC (tert-ブトキシ−カルボニル) 、CDCl3 (重水素化クロロホルム) 、CD3OD(重水素化メタノール) 、CH3CN (アセトニトリル) 、DCM (ジクロロメタン) 、dba(ジベンジリデンアセトン) 、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン) 、DMF(ジメチルホルムアミド) 、DMSO (ジメチルスルホキシド) 、DMSO-d6(重水素化ジメチルスルホキシド) 、DPPA (ジフェニルホスホリルアジド) 、ESI(電子噴霧イオン化) 、EtOAc(酢酸エチル) 、Et2O (ジエチルエーテル) 、EtOH (エタノール) 、HATU (ジメチルアミノ-([1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシ)-メチレン)-ジメチル-アンモニウムヘキサフルオロホスフェート) 、HPLC (高性能液体クロマトグラフィー) 、i-PrOH (2-プロパノール) 、K2CO3 (炭酸カリウム) 、LC(液体クロマトグラフィー) 、MeOH (メタノール) 、MgSO4 (硫酸マグネシウム) 、MS (質量分析法) 、MTBE (メチル tert-ブチルエーテル) 、MW (マイクロウェーブ) 、NaHCO3 (重炭酸ナトリウム) 、NaBH4 (ホウ水素化ナトリウム) 、NMM (N-メチルモルホリン) 、NMR(核磁気共鳴) 、Py (ピリジン) 、Rt (保持時間) 、TEA(トリエチルアミン) 、TFA(トリフルオロ酢酸) 、THF(テトラヒドロフラン) 、TLC(薄層クロマトグラフィー) 、UV (紫外線) 。
【0024】
一般に、本発明の式 (I)及び関連式の縮合トリアゾール化合物は直ぐに入手し得る出発物質から調製し得る。このような出発物質が市販されていない場合、それらは通常の合成技術により調製し得る。一般に、式 (I)及び関連式のあらゆる個々の化合物についての合成経路は夫々の分子の特別な置換基に依存し、このような因子は当業者により認められるであろう。下記の一般方法及び以下に実施例に記載される操作が式 (I)及び関連式の化合物を調製するのに使用し得る。下記のスキームに示される反応条件、例えば、温度、溶媒、又は補助試薬は、例のみとして示され、限定的ではない。典型的又は好ましい実験条件(即ち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒等)が示される場合、特にことわらない限り、その他の実験条件がまた使用し得ることが認められるであろう。最適の反応条件は使用される特別な反応体又は溶媒により変化してもよいが、このような条件はルーチンの最適化操作を使用して、当業者により決められる。全ての保護方法及び脱保護方法について、Philip J.Kocienski著,“保護基”, Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1994 並びにTheodora W.Greene 及びPeter G.M.Wuts著“有機合成における保護基”, Wiley Interscience, 第3編 1999 を参照のこと。
R1、R1’、R2、R3、A、Q及びZの性質に応じて、異なる合成戦略が式 (I)の化合物の合成について選ばれてもよい。下記のスキームに示される方法において、R1、R1’、R2、R3、A、Q及びZは、特にことわらない限り、その記載に先に定義されたとおりである。 式 (I)の化合物が鏡像体の混合物として得られる場合、それらは通常の方法、例えば、キラルHPLCカラム、例えば、以下に実施例に記載される方法(これらに限定されない)により分離し得る。
【0025】
R1、R1’、R2、R3、A、Q及びZが先に定義されたとおりである、式 (I)の化合物は、R1及びAが先に定義されたとおりであり、かつRが小さいアルキル基、例えば、Me、Et、tBu (これらに限定されない)である式(II)のエステルから調製し得る(スキーム1)。そのトリアゾールエステル(II)から相当するアミン (III)(式中、R1及びAは先に定義されたとおりである)への操作は、そのエステルから相当するカルボキサミドへの変換次いで25℃〜80℃の温度における水酸化ナトリウム水溶液中の臭素によるこのアミドの処理により達成し得る。また、還流tert- ブタノール中のDPPAによるエステル(II)から得られるカルボン酸(IV)の処理がカルバメートエステル(これはジオキサン又はDCM の如き溶媒中でHCl 又はTFA の如き好適な酸で脱保護し得る)を与えるであろう。エステル(II)及びアミン (III)は本明細書で報告される式 (I)のアミド及びアミノ結合最終化合物を調製するのに使用し得る。典型的には、エステル(II)がカルボン酸(IV)に変換でき、これがDMF 又はDCM の如き溶媒中で25℃でHATUの如き典型的なウロニウムカップリング剤を使用して、或る範囲のアミン (XVIII)(式中、R2、R3及びZは先に定義されたとおりであり、かつDはアミノ基である)と反応し得る。また、アミン (III)はジオキサンの如き溶媒中で50℃〜100 ℃の温度でPd触媒作用を用いて、適当な芳香族ハライド (XVIII)(式中、R2、R3及びZは先に定義されたとおりであり、かつDはハライド又はスルホネートエステルである)と反応し得る。アミン (III)はまた本明細書に記載された典型的なウロニウムカップリング条件を使用して、或る範囲のカルボン酸 (XVIII)(式中、R2、R3及びZは先に定義されたとおりであり、かつDはカルボン酸である)で誘導体化し得る。
スキーム1
【0026】
【化6】
【0027】
以下に選ばれる式 (III)のアミン誘導体を調製するための方法が実施例に更に特別に記載される:
7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
7-(4-クロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
7-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]- 4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
7-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]- 4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
7-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン
6-(4-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-アミン
6-(2-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-アミン
6-(3,4-ジクロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-アミン
6-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-アミン。
【0028】
以下に選ばれる式(IV)のカルボン酸誘導体を調製するための方法が実施例に更に特別に記載される:
7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸
7-(4-クロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3- カルボン酸
7-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3- カルボン酸
7-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3- カルボン酸
7-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸
7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸
7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸
7-(4-クロロフェニル)-6,7-ジヒドロ-4H [1,2,3]トリアゾロ[5,1-c][1,4]オキサジン-3-カルボン酸
6-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボン酸
6-(4-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボン酸
6-(2-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボン酸
6-(3,4-ジクロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボン酸。
【0029】
中間体 (XVIII)(式中、R2、R3及びZは先に定義されたとおりであり、かつDはCOOR、COOH、NH2 又はハロゲンであってもよい)は、市販されており、又は報告された文献 (例えば、Pettersson, M.ら著Bioorg.Med.Chem.Lett.2012, 22, 2906-2911, Lubbers, T. ら著Bioorg.Med.Chem.Lett.2011, 21, 6554-6558) に従って調製し得る。
式(II)のエステル(式中、R1及びAは先に定義されたとおりであり、かつRは小さいアルキル基、例えば、Me、Et、tBu (これらに限定されない)である)は、スキーム2に従って調製し得る。出発物質は好適に置換されたアルキンアルコール (V)(これは適当なエーテル保護基PG、例えば、tert-ブチルジメチルシリル、テトラヒドロピラニル又はアルキルで保護され、かつn = 1 - 3)であってもよい。そのアルキンのアシル化はTHF 又はジエチルエーテルの如き溶媒中で-78 ℃〜0℃の温度で塩基、例えば、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドを用いて達成し得る。好適なアシル化剤として、中でも、エチルクロロホルメート又はジ (tertブチルオキシカルボニル) が挙げられ、それによりR置換基を記載する。通常の条件による保護基PGの除去次いでDCM 中で0℃〜25℃で、例えば、デス−マーチンペヨージナン、又はピリジニウムクロロホルメートによる得られるアルコールの酸化がアルデヒド(VI)の単離を生じる。好適に置換されたフェニルリチウム、又はフェニルグリニヤール試薬とのそのアルデヒドの反応は、THF 又はジエチルエーテル中で-78 ℃から0℃までの温度で達成し得る。フェニル基の置換として、ハロゲン、アルコキシ、フルオロアルキル、フルオロアルコキシが挙げられるが、これらに限定されない。得られるアルコール (VII)の臭素化はジエチルエーテル又はDCM 中の三臭化リンの如き試薬、又は同様の溶媒中の四臭化炭素/トリフルオロホスフィンを用いて0℃〜25℃の温度で達成し得る。トリアゾール (IIa)への環化はDMF 又はDMSOの如き溶媒中で40℃〜100 ℃の温度でアジ化ナトリウムによる (VII)の処理により達成し得る。
スキーム2
【0030】
【化7】
【0031】
必要により、環Aは別の位置で置換基又はヘテロ原子で置換でき、これは保護されたアルキンアルコール (V)中で反映されるであろう。例示のように、Aが酸素原子により置換された一つの-CH2- 基を有する6員飽和炭素環式環を表す、式 (IIa)のエステルが、スキーム3に従って調製し得る。エポキシド (IX)が求核試薬、例えば、アジ化ナトリウム(これに限定されない)で開環し得る。得られるアルコール (X)がプロパルギル基でアルキル化されて、中間体(XI)を生じ得る。この中間体が最初に上記と同様の条件下で、好適なアシル化剤、例えば、エチルクロロホルメート又はジ (tertブチルオキシカルボニル) (これらに限定されない)を使用してアシル化され、それによりR置換基を記載する。次いでトリアゾールエステル (IIa)への環化が室温で観察される。
スキーム3
【0032】
【化8】
【0033】
式(II)のエステルの合成の更なる変化がスキーム4に記載されるように達成し得る。従来技術により記載された方法により調製され、又は商業上得られる、適当に置換されたラクタム (XII)が、DCM 又はジエチルエーテルの如き溶媒中で0℃〜25℃でトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートで(XIII)に変換し得る。R1は先に記載され、nの値は1〜3であってもよい。メトキシ基の置換は好適なニトロアルキルアセテートで達成でき、それによりR基の性質を特定する。トリアゾール (IIb)への (XIV)のその後の変換は2段階−最初に酸性溶媒、例えば、酢酸又は塩酸中の好適な金属、例えば、亜鉛によるニトロ基の還元、続いて酸性溶媒、例えば、TFA 中の亜硝酸tert-ブチルによる処理で達成し得る。次いでトリアゾールエステル (IIb)が本明細書に記載された方法と同じ方法で操作し得る。
スキーム3
【0034】
【化9】
【0035】
また、Aが6員環であり、かつR1が先に定義されたとおりである、式 (IIc)のエステルは、スキーム4に記載されるように調製し得る。2-ブロモ-6-メチルピリジンが、THF 又はジエチルエーテルの如き溶媒中で-78 ℃〜0℃の温度で適当な塩基、例えば、リチウムジイソプロピルアミドを使用して、続いて好適なアシル化剤を添加して、エステル(XV)に変換し得る。それは、中でも、エチルクロロホルメート又はジ (tertブチルオキシカルボニル) から選ばれ、それによりR置換基を記載する。トリアゾール (XVI)への(XV)のその後の変換は塩基、例えば、DBU (これに限定されない)の存在下でp-アセトアミドベンゼンスルホニルアジドで達成し得る (Chuprakov, S.; Hwang, F.W.; Gevorgyan, V. 著Angew.Chem.Int.Ed.2007, 46, 4757-59)。次いで得られるイミダゾピリジン (XVI)がアリールとカップリングされる(式中、R1は先に定義されたとおりである)。式 (IIc)のエステルが中間体 (XVII) (Abarca, B. ら著Tetrahedron 1999, 55, 12881)の還元後に得られる。 スキーム4
【0036】
【化10】
【0037】
以下に選ばれる式 (II)のエステル誘導体を調製するための方法が実施例に更に特別に記載される:
tert-ブチル 7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-(4-クロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-(2-クロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル 7-(4-クロロフェニル)-6,7-ジヒドロ-4H-[1,2,3]トリアゾロ[5,1-c][1,4]オキサジン-3-カルボキシレート
エチル 6-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボキシレート
エチル 6-(4-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボキシレート
エチル 6-(2-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボキシレート
エチル 6-(3,4-ジクロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボキシレート。
【0038】
式(II)のエステル誘導体は鏡像体の混合物として得られ、キラルHPLCカラム、例えば、以下に実施例に記載される方法(これらに限定されない)により分離し得る。
本発明の化合物は適当な溶媒の蒸発からの結晶化により溶媒分子と会合して単離し得る。式 (I)、及び関連式の化合物(これらは塩基性中心を含む)の医薬上許される酸付加塩は通常の様式で調製し得る。例えば、遊離塩基の溶液がニート又は好適な溶液中の、好適な酸で処理され、得られる塩が濾過又は反応溶媒の真空下の蒸発により単離されてもよい。医薬上許される塩基付加塩は同様の様式で式 (I)、及び関連式の化合物(これらは酸中心を含む)の溶液を、好適な塩基で処理することにより得られてもよい。塩の両方の型がイオン交換樹脂技術を使用して生成又は相互変換されてもよい。
一般合成方法の上記の組が式 (I)の化合物及び/又は式 (I)の化合物の合成に必要な中間体を得るのに適用できない場合、当業者により知られている好適な調製方法が使用されるべきである。一般に、式 (I)のあらゆる個々の化合物についての合成経路は夫々の分子の特別な置換基及び必要な中間体の直ぐの入手可能性に依存し、再度このような因子は当業者により認められる。全ての保護方法及び脱保護方法につき、Philip J.Kocienski著,“保護基”, Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1994 並びにTheodora W.Greene 及びPeter G.M.Wuts著“有機合成における保護基”, Wiley Interscience, 第3編1999を参照のこと。
【実施例】
【0039】
一般方法
全てのNMR をブルカー装置で400 MHz で得た。
MSデータをLC/MS ウォーターズZMD (ESI) 又はマイクロマスZQ、単一四極子LC-MS(ESCI) で得た。
IUPAC 名を、ケンブリッジソフト・Chemistry Cartridge ソフトウェアを使用して作成した。
空気又は水分感受性試薬を伴なう全ての反応を窒素雰囲気下で乾燥溶媒及びガラス器具を使用して行なった。
HPLC方法 (保持時間は下記の方法により精製された化合物に関する)
方法 A: カラム: - ウォーターズXterra MS 5μm C18 , 100 x 4.6 mm, ACN / 10 mM重炭酸アンモニウム (4分後に95% ACN)及び2 mL/分の流量で溶離
方法 B: カラム: - フェノメネクス・ルナ5μm C18 (2), 100 x 4.6 mm, ACN/水/0.1%ギ酸 (3.5 分後に100% ACN) 及び2 mL/分の流量で溶離
方法 C: カラム: - フェノメネクス・ジェミニNX, 3μm C18, 150 x 4.6 mm, ACN/10 mM 重炭酸アンモニウム(9分後に100% ACN) 及び1 mL/分の流量で溶離
方法 D: カラム: - スペルコ、アセンチス(登録商標)・エクスプレスC18 又はハイクロム・ハロC18, 2.7μm C18, 150 x 4.6 mm, ACN/水/0.1% ギ酸 (9分後に100% ACN) で1 mL/分の流量で溶離
方法 E: カラム: - ハイクロムACE 3 C18-AR混合様式カラム, 2.7μm C18, 100 x 4.6 mm,ACN/水/0.1% ギ酸 (12分後に100% ACN) で1 mL/分の流量で溶離
方法 F: カラム:- キラルパックIC, 250 x 4.6mm x 5 μm, 50/50 EtOH (0.1% ギ酸) / ヘプタンで1 mL/分の流量で溶離
方法 G: カラム:- キラルパックIB, 250 x 4.6mm x 5μm, 50/50 IPA/MeOH (50/50/0.1% ギ酸) / ヘプタンで4 mL/分の流量で溶離
方法 H: カラム:- X-ブリッジ C8, 50 x 4.6mm x 3.5μm; H2O 中0.1%TFA 、そしてACN 中0.1%TFAで2.0 mL/分の流量で溶離
方法 I: キラルパックIC(ダイセル), 250 x 20 mm; 20/80の比のヘプタン (0.1% ジエチルアミンを含むエタノール) で10 ml/分の流量で溶離、254 nmでUV検出
【0040】
分析方法 (a-i)は以下の書類に概説されるデータの表に言及される。
質量誘導分取HPLC精製をウォーターズ・フラクションリンクス分取HPLCシステム (2525ポンプ, 2996/2998 UV/VIS検出器, 2767液体ハンドラー) で行なった。ウォーターズ2767液体ハンドラーは自動サンプラー及び画分コレクターの両方として作用した。
化合物の分取精製に使用したカラムは10 um 19 × 150 mm のウォーターズ・サンファイアーOBD フェノメネクス・ルナ・フェニル・ヘキシル又はウォーターズ・Xブリッジ・フェニルであった。
適当な集中勾配を酸性又は塩基性条件下でアセトニトリル及びメタノール溶媒系に基づいて選んだ。使用した標準勾配は1分間にわたって5% ACN〜20% 、1分間保持、5分間にわたって80% ACN へ、そして4分間保持であった。続いて1分間の100% ACNそして初期条件で1.5 分間の再平衡。20 mL/分の流量を使用した。
中間体 - 1の合成
【0041】
【化11】
【0042】
工程 1: tert-ブチル 7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)ヘプト-2-イノエート(イノエート) B
2-(ヘキサ-5-インイルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン A (16 g, 87.9 ミリモル, EP1144368 に記載された) をTHF (120 mL) に溶解し、窒素雰囲気下で-78 ℃に冷却した。n-ブチルリチウム (ヘキサン中1.6 M, 60 mL, 96 ミリモル) を45分間にわたって滴下して添加し、内部温度を-65 ℃より下に維持した。次いでその混合物を1.5 時間にわたって-78 ℃で撹拌した。THF (40 mL) 中のジ-tert-ブチルジカーボネート (21 g, 96 ミリモル)の溶液を-78 ℃で徐々に添加した。添加が一旦完結すると、その混合物を2時間にわたって25℃に徐々に温めた。次いでその混合物を0℃に冷却し、飽和NH4Cl 水溶液で反応停止し、Et2Oで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発させてtert-ブチル 7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)ヘプト-2-イノエート B (23.7 g, 87 ミリモル, 99%)を黄色の油として得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 4.57 (1 H, d, J = 4.25 Hz), 3.90-3.82 (1 H, m), 3.80-3.71 (1 H, m), 3.53-3.46 (1 H, m), 3.44-3.37 (1 H, m), 2.35 (2 H, t, J = 6.56 Hz), 2.06-1.28 (19 H, m).
工程 2: tert-ブチル 7-ヒドロキシヘプト-2-イノエート C
tert-ブチル 7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)ヘプト-2-イノエート B (23.7 g, 87 ミリモル) をMeOH (175 mL) に溶解し、水 (17.5 mL) 続いてp-トルエンスルホン酸 (2 g, 10.5 ミリモル) を添加した。その混合物を25℃で22時間撹拌した。反応進行をTLCにより追跡した。その反応が一旦完結したと考えられると、その混合物をNaHCO3水溶液 (水20 mL 中4 g のNaHCO3) で処理し、10分間撹拌し、その後に真空で濃縮してMeOHの大半を除去した。得られるスラリーをEt2O (× 2) で抽出し、合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発させて粗油17 gを得た。粗生成物をイソ-ヘキサン中0-50% EtOAcの勾配溶離を使用してカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋なtert-ブチル 7-ヒドロキシヘプト-2-イノエート C (10 g, 53.4 ミリモル, 62%)を無色の液体として得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 3.67 (2 H, t, J = 5.40 Hz), 2.38-2.33 (2 H, m), 1.70-1.65 (4 H, m), 1.49 (9 H, s), 1.35 (1 H, t, J = 5.33 Hz).
工程 3: tert-ブチル 7-オキソヘプト-2-イノエート D
DCM (225 mL)中の塩化オキサリル(12.8 g, 100 ミリモル, 8.66 mL) の溶液を窒素雰囲気下で3口丸底フラスコ中で-78 ℃に冷却した。DCM (5 mL)中のDMSO (9.45 g, 120 ミリモル, 8.6 mL) の溶液を滴下ロートにより滴下して添加し、その混合物を15分間撹拌した。DCM (20 mL) 中のtert-ブチル 7-ヒドロキシヘプト-2-イノエート C (10 g, 50 ミリモル) の溶液を滴下して添加し、-78 ℃の温度を維持して、白色の懸濁液を得、これを更に15分間撹拌した。次いでトリエチルアミンを徐々に添加し、その混合物を-78 ℃で15分間撹拌し、その後に25℃に徐々に温め、次いで更に30分間撹拌した。その反応混合物を水に注ぎ、有機相を分離した。次いで有機相を1N HCl水溶液、次いで食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgSO4)、真空で蒸発させてtert-ブチル 7-オキソヘプト-2-イノエート D (10 g, 50 ミリモル, 定量的) を淡黄色の油として得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 9.80 (1 H, s), 2.66-2.59 (2 H, m), 2.39 (2 H, t, J = 6.92 Hz), 1.90 (2 H, p, J = 7.05 Hz), 1.49 (9 H, s).
【0043】
工程 4: 中間体 E
tert-ブチル 7-オキソヘプト-2-イノエート D (6 g, 30 ミリモル) をTHF (40 mL)に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下で-78 ℃に冷却した。適当に置換されたフェニルグリニヤール試薬 (36 ミリモル) の溶液を滴下して添加し、-65 ℃より下の内部温度を維持した。次いでその混合物を-78 ℃で2時間撹拌し、次いで25℃に徐々に温め、更に1時間撹拌した。その反応を飽和NH4Cl 水溶液で停止し、EtOAc (× 2)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発させて粗生成物を得、これをイソ-ヘキサン中0-40% EtOAc の勾配溶離を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋なアルコール Eを得た。例えば、tert-ブチル 7-(3,4-ジクロロフェニル)-7-ヒドロキシヘプト-2-イノエート (3.35 g, 32%) を黄色の油として単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.48-7.39 (2 H, m), 7.21-7.15 (1 H, m), 4.77-4.60 (1 H, m), 2.35 (2 H, t, J = 6.98 Hz), 1.99 (1 H, d, J = 3.59 Hz), 1.86-1.79 (2 H, m), 1.75-1.50 (2 H, m), 1.49 (9 H, s).
工程 5: 中間体 F
アルコール E (9.7 ミリモル) を乾燥Et2O (150 mL) に溶解し、四臭化炭素 (6.46 g, 19 ミリモル) を添加した。その混合物を塩−氷浴中で冷却し、次いで固体のトリフェニルホスフィン (5.11 g, 19 ミリモル) を少しづつ添加した。白色の沈澱が生成し、その反応液を2時間撹拌した。固体の沈澱を濾過により除去し、母液を真空で蒸発、乾燥させてた(最小の加熱を使用した)。粗残渣をイソ-ヘキサン中0-15% EtOAcの勾配溶離を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋なブロミド Fを得た。例えば、tert-ブチル 7-ブロモ-7-(3,4-ジクロロフェニル)ヘプト-2-イノエート (0.73 g, 19%) を無色の油として単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.49 (1 H, d, J = 2.19 Hz), 7.43 (1 H, d, J = 8.31 Hz), 7.26-7.21 (1 H, m), 4.86 (1 H, dd, J = 8.47, 6.50 Hz), 2.40-2.14 (4 H, m), 1.87-1.73 (1 H, m), 1.66-1.52 (1 H, m), 1.49 (9 H, s).LC/MS 407 (MH+).
【0044】
工程 6: 中間体 G
ブロミド F (1.7 ミリモル) をDMF (10 mL) に溶解し、アジ化ナトリウム (0.116 g, 1.7ミリモル)を添加した。その混合物を40℃で一夜加熱した。その反応混合物を真空で濃縮した (注意: 残留アジ化物が依然として存在する場合には、混合物を完全乾燥まで蒸発させてはならない) 。残渣を水に溶解し、9:1 のEtOAc:イソ-ヘキサン (× 2)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発、乾燥させて粗生成物を得、これをイソ-ヘキサン中0-50% EtOAcの勾配溶離を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋なテトラヒドロ-トリアゾロピリジン G を得た。例えば、tert-ブチル 7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレートを無色の油 (0.555 g, 66%)として単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.40 (1 H, d, J = 8.34 Hz), 7.03 (1 H, d, J = 2.22 Hz), 6.75 (1 H, dd, J = 8.35, 2.24 Hz), 5.74 (1 H, t, J = 5.34 Hz), 3.23 (1 H, dt, J = 18.37, 5.71 Hz), 3.11 (1 H, dt, J = 18.42, 7.27 Hz), 2.43-2.33 (1 H, m), 2.21-2.09 (1 H, m), 1.92-1.77 (2 H, m), 1.64 (8 H, s).LC/MS 369 (MH+).
【0045】
工程 7: 中間体 H
テトラヒドロ-トリアゾロピリジン G (1.7 ミリモル) をDCM (20 mL) に溶解し、トリフルオロ酢酸 (1.30 mL, 17 ミリモル) を滴下して添加した。その混合物を25℃で一夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、粗残渣をEt2Oですり砕いてトリアゾロカルボン酸 Hを固体として得、これを真空濾過により集めた。例えば、7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸 (0.45 g, 83%)をオフホワイトの固体として単離した。1H NMR δ (ppm)(DMSO-d6): 7.67-7.60 (1 H, m), 7.49 (1 H, d, J = 2.12 Hz), 7.10 (1 H, dd, J = 8.37, 2.15 Hz), 5.82 (1 H, t, J = 6.20 Hz), 3.10 (2 H, t, J = 6.34 Hz), 2.39-2.29 (1 H, m), 2.12-2.01 (1 H, m), 1.80 (2 H, d, J = 7.16 Hz).LC/MS 313 (MH+).
工程 8: 中間体 I
乾燥tert-ブタノール (15 mL) 中のトリアゾロカルボン酸 H (1.44 ミリモル) 及びトリエチルアミン (0.24 mL, 1.72 ミリモル) の溶液にアジ化ジフェニルホスホリル (0.38 mL, 1.72 ミリモル) を添加した。その反応混合物を85℃で一夜加熱した。その反応混合物を減圧で蒸発させ、残渣をシリカに直接装填し、イソ-ヘキサン中0-50% EtOAcの勾配溶離を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋なトリアゾロ tert-ブチルカルバメート Iを得た。例えば、tert-ブチル 7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルカルバメート (0.117 g, 21%) を無色のフォームとして単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.44-7.37 (1 H, m), 7.12 (1 H, s), 6.82 (1 H, dd, J = 8.33, 2.21 Hz), 6.62 (1 H, s), 5.58 (1 H, t, J = 5.86 Hz), 3.04-2.87 (2 H, m), 2.43-2.33 (1 H, m), 2.14-2.03 (1 H, m), 1.92-1.78 (2 H, m), 1.51 (9 H, s).LC/MS 384 (MH+).
【0046】
工程 9: 中間体 J
トリアゾロ tert-ブチルカルバメート I (0.26 ミリモル) をジオキサン (4 mL) 中の4M HClに溶解し、その混合物を25℃で一夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、粗残渣をEt2Oですり砕いて固体を得、これを真空濾過により集めた。固体をDCM に溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機相を集め、乾燥させ (MgSO4) 、濾過し、真空で蒸発、乾燥させてトリアゾロアミン Jを得た。例えば、7-(4-クロロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-アミン (0.135 g, 37%) をオフホワイトの固体として単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.31-7.26 (2 H, m), 6.92-6.85 (2 H, m), 5.60 (1 H, t, J = 5.56 Hz), 3.48 (2 H, br s), 2.81-2.64 (2 H, m), 2.38-2.28 (1 H, m), 2.13-2.03 (1 H, m), 1.90-1.79 (2 H, m).LC/MS 249 (MH+).
中間体 - 2の合成
【0047】
【化12】
【0048】
工程 1: 中間体 L
DCM (180 mL) 中の好適に置換されたフェニル-4-オキソブタン酸 K (84.71 ミリモル) にトリエチルアミン (10.3 g, 0.102モル) を添加し、0℃に冷却した。エチルクロロホルメート (12.9 g, 0.118モル) を15分間にわたって撹拌しながら滴下して添加し、続いてDMAP (2.1 g, 16.9 ミリモル) を添加し、25℃で18時間後にその反応混合物を水 (3 × 50mL)で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgSO4)、減圧で濃縮してフェニル4-オキソブタノエートエステル Lを得た。例えば、エチル 4-(4-クロロフェニル)-4-オキソブタノエートを89% の収率で単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.92 (2 H, d), 7.45 (2H, d), 4.18 (2H, q), 3.28 (2H, d), 2.76 (2H, d), 1.28 (3H, t).LC/MS (M+H)+ 241
工程 2: 中間体 M
MeOH (450 mL) 中のフェニル4-オキソブタノエートエステル L (81.9 ミリモル) に酢酸アンモニウム (63.1 g, 0.819 モル) を添加した。その反応混合物を25℃で1時間撹拌した。シアノホウ水素化ナトリウム (5.14 g, 81.9 ミリモル) をその反応液に添加し、還流して撹拌した。18時間後にその反応液を冷却し、次いで減圧で濃縮した。残渣を酢酸エチル (100 mL) に溶解し、水 (3 × 50mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ (MgSO4)、減圧で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー (シリカ, EtOAc/MeOH) により精製して純粋なピロリジン-2-オン M を得た。例えば、5-(4-クロロフェニル)ピロリジン-2-オンを60%の収率で単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.34 (2 H, d), 7.25 (2H, d), 6.15 (1H, bs), 4.74 (2H, t), 2.62-2.50 (1H, m), 2.50-2.35 (2H, m), 1.98-1.89 (1H, m).LC/MS (M+H)+ 196
【0049】
工程 3: 中間体 N
ジクロロメタン (450 mL) 中のピロリジン-2-オン M (51.3 ミリモル) 及び炭酸カリウム (205 ミリモル) の撹拌懸濁液にトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート (102 ミリモル) を添加した。その反応混合物を25℃で18時間撹拌した。その反応を飽和NaHCO3水溶液で停止し、酢酸エチル (3 × 100 mL)で抽出し、有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgSO4)、減圧で濃縮して3,4-ジヒドロ-2H-ピロール Nを得た。例えば、2-(4-クロロフェニル)-5-メトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピロールを93% の収率で得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.29 (2 H, d), 7.22 (2H, d), 4.94 (1H, t), 3.90 (3H, s), 2.60-2.55 (3H, m), 1.84-1.79 (1H, M)
工程 4: 中間体 O
3,4-ジヒドロ-2H-ピロール N (23.9 ミリモル) をニトロ酢酸エチル (94 ミリモル) 中で懸濁させ、65℃で加熱した。7時間後、その反応液を冷却し、次いで減圧で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー (シリカ, イソ-ヘキサン / EtOAc) により精製して純粋なニトロエステル Oを得た。例えば、エチル 2-(5-(4-クロロフェニル)ピロリジン-2-イリデン)-2-ニトロアセテートを46% の収率で得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 9.82 (0.4H, bs), 9.53 (0.6H, bs), 7.37 (2H, d), 7.21 (2H, d), 5.09-5.02 (1H, m), 4.36-4.27 (2H, m), 3.46-3.16 (2H, m), 2.64-2,58 (1H, m), 2.04-1.31 (1H, m), 1.35 (3H, m) - 生成物はE異性体とZ異性体の1:1 混合物である。
【0050】
工程 5: 中間体 P
5℃の酢酸 (50 mL)中のニトロエステル O (16 ミリモル) に亜鉛ダスト (98 ミリモル) を添加し、25℃で1時間撹拌し、その反応液を濾過し、合わせた濾液を撹拌し、5℃に冷却し、TFA (57 ミリモル) 続いて亜硝酸t-ブチル(53 ミリモル) で処理し、25℃に温め、2時間撹拌した。その混合物を水 (50 ml)で処理し、減圧で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー (シリカ, EtOAc/MeOH) により精製して純粋なジヒドロ-4H-ピロロ-トリアゾール Pを得た。例えば、エチル 6-(4-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボキシレートを55% の収率で得た。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.32 (2H, d), 7.08 (2H, d), 5.68 (1H, q), 4.39 (2H, q), 3.38-3.12 (3H, m), 2.78-2.70 (1H, m), 1.41 (3H, t).
工程 6: 中間体 Q
ジオキサン (15 mL) 及びMeOH (5 ml) 中のジヒドロ-4H-ピロロ-トリアゾール P (3.6 ミリモル) に水(5 mL)中の水酸化リチウム (4.6 ミリモル) を添加し、25℃で18時間撹拌し、その反応液を減圧で濃縮した。残渣を水 (20 mL) に溶解し、HCl 水溶液でpH 7に調節し、濾過してトリアゾロカルボン酸 Qを得た。例えば、6-(2-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-カルボン酸を73% の収率でオフホワイトの固体として単離した。1H NMR δ (ppm)(DMSOd6): 13.20 (1H, bs), 7.58 (1H, d), 7.45-7.01(2H, m), 6.98-6.91 (1H, m), 6.20-6.11 (1H, m), 3.40-3.30 (1H, m), 3.20-3.09 (2H, m), 2.70-2.58 (1H, m).
工程 7: 中間体 R
トリアゾロカルボン酸 Qをトリアゾロアミン Jへのトリアゾロカルボン酸 Hの変換について既に記載されたプロトコルを使用してトリアゾロアミン Rに変換した。例えば、6-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-アミンを50%の収率で無色の油として単離した。1H NMR δ (ppm)(CHCl3-d): 7.15-6.98 (4H, m), 5.51-5.47 (1H, q), 3,97 (2H, bs), 3.19-3.10 (1H, m), 2.90-2.77 (2H, m), 2.61-2.50 (1H, m).
中間体 - 3の合成
【0051】
【化13】
【0052】
工程 1: 中間体 T
蒸留水 (120 mL) 中の適当に置換されたフェニルオキシラン S (22.64 ミリモル) にアジ化ナトリウム (4.41g, 68.1 ミリモル) を添加した。その反応混合物を5時間にわたって70℃で加熱し、25℃への冷却後に水 (20mL) 及びDCM (150 mL)で希釈した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発、乾燥させて粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120 メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中20 % のEtOAc)により精製して、中間体 Tを得た。例えば、4-クロロフェニルオキシランを使用して、2-アジド -2-(4-クロロフェニル) エタノールを白色の粉末 (4.2 g, 94 %) として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.40 (d, J = 7 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 7 Hz, 2H), 4.71 (dd, J = 7, 3 Hz, 1H), 3.78-3.73 (m, 2H), 1.90 (t, J = 7.5 Hz, 1H).HPLC (方法 H) Rt 3.48 分 (純度: 99.9%).
工程 2: 中間体 U
無水THF (10 mL) 中の水素化ナトリウム (57-63% の油分散液, 447 mg, 11.2 ミリモル) の氷冷却懸濁液に適当に置換されたアジドアルコール T (8.6 ミリモル) のTHF 溶液 (10 mL)を滴下して添加した。その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、その後に18-クラウン-6 エーテル (2.95 g, 11.2 ミリモル) 及び3-ブロモ-プロピン (2.05 g, 17.2 ミリモル) のTHF 溶液 (5 mL) を導入した。その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、18時間にわたって25℃に徐々に温めた。その反応混合物を水で反応停止し、EtOAc で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発、乾燥して粗物質を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中5 % のEtOAc)により精製して、中間体 Uを得た。例えば、1-(1-アジド-2-(プロプ-2-インイルオキシ)エチル)-4-クロロベンゼンを白色の油 (2.1 g, 98 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.40-7.37 (m, 2H), 7.35-7.30 (m, 2H), 4.76-4.72 (m, 1H), 4.26-4.24 (m, 2H), 3.76-3.71 (m, 2H), 2.49 (t, J = 7 Hz, 1H).HPLC (方法 H) Rt 4.76 分 (純度: 96.2%).
【0053】
工程 3: 中間体 V
窒素雰囲気下の-70 ℃の乾燥THF (150 mL) 中の溶液に好適に置換されたアジドアルキン U (9.34 ミリモル) 続いてn-ブチルリチウム (2.5 M, 4.1 mL, 10.3 ミリモル) を添加した。その反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、その後にBOC 酸無水物 (3.05 g, 14ミリモル) のTHF 溶液 (15 mL)を滴下して添加した。その反応混合物を一夜にわたって25℃に温め、次いで氷−水溶液 (100 mL) で反応停止し、続いて得られる混合物をEt2O (2x 50mL)で抽出した。その抽出液を合わせ、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去後に、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120 メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中50 %のEtOAc)により精製して、中間体 Vを得た。例えば、tert-ブチル 7-(4-クロロフェニル)-6,7-ジヒドロ-4H-[1,2,3]トリアゾロ[5,1-c][1,4]オキサジン-3-カルボキシレートを白色の油 (0.37 g, 12 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.34 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 5.64 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 12 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.26 (dd, J=7, 2 Hz, 1H), 4.10 (dd, J = 7, 2 Hz, 1H), 1.63 (s, 9H).LC/MS 336.2 (M+H)+.HPLC (方法 H) Rt 4.44 分 (純度: 95.9%).
【0054】
工程 4: 中間体 W
HCl/ジオキサン (4 M, 10 mL) を適当に置換されたtert-ブチルエステル (1.10 ミリモル) に添加し、その反応液を室温で12時間撹拌した。反応の完結後に、有機溶媒を真空で除去し、残渣をDCM (20 mL) と飽和炭酸水素ナトリウム溶液 (10 mL)の混合物に溶解した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発、乾燥させて中間体 Wを粗生成物として得た。例えば、7-(4-クロロフェニル)-6,7-ジヒドロ-4H [1,2,3]トリアゾロ[5,1-c][1,4]オキサジン-3-カルボン酸を褐色の油 (220 mg, 71%) として得、これは更に精製しないで使用するのに充分に純粋であった。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.34 (d, J = 7 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 7 Hz, 2H), 5.50 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.30-5.20 (m, 2H), 4.20-4.10 (m, 2H).LC/MS 280.1 (M+H)+.HPLC (方法 H) Rt (2.97分 (純度: 94.2%).
中間体 - 4の合成
【0055】
【化14】
【0056】
工程1: (6-ブロモ-ピリジン-2-イル)-酢酸 tert-ブチルエステル (X)
ジイソプロピルアミン (19.6 mL, 0.14モル) をTHF (200 mL) に溶解し、-70 ℃に冷却し、そこでn-ブチルリチウムの市販溶液を滴下して添加した (79 mL,ヘキサン中1.6 M, 0.13 モル) 。20分後に、その混合物を-10 ℃に徐々に温め、次いで-70 ℃に再度冷却した。この溶液に、THF (100 mL)中の2-ブロモ-6-メチルピリジン(20 g, 0.11モル) を添加し、得られる混合物をこの温度で30分間撹拌した。THF (50 mL) 中のBoc 酸無水物 (27.7 g, 0.13モル) を添加し、その反応を-70 ℃で2時間放置し、次いで4時間の期間にわたって室温に徐々に温めた。その反応混合物を水で反応停止し、EtOAc (3 x 200 mL)で抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を減圧で除去し、粗物質をシリカゲルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(60-120 メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中10 %のEtOAc)により精製して標題化合物 (15 g, 48 %) を淡黄色の液体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 7.73-7.69 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.54-7.52 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.38-7.36 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.73 (s, 2H ), 1.44 (s, 9H).
【0057】
工程 2: 7-ブロモ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステル (Y)
MeCN (10 mL)中の(6-ブロモ-ピリジン-2-イル)-酢酸 tert-ブチルエステル (40 g, 0.15モル) の溶液に0℃で窒素雰囲気下でDBU (78.5 g, 0.52モル) を添加した。この冷溶液に、4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジド (52.9 g, 0.22モル) を少しづつ添加した。その反応混合物を0℃で2時間撹拌し、2時間の期間にわたって室温に徐々に温めた。その反応混合物を水 (10 mL)で反応停止し、EtOAc (3 x 300 mL)で抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を減圧で除去し、粗物質をシリカゲルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中10 %のEtOAc)により精製して標題化合物 (15 g, 34 %) を白色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 8.17-8.15 (d , J = 8.6 Hz, 1H), 7.76-7.74 ( d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.67-7.63 (m, 1H), 1.60 (s, 9H). LC/MS (方法 A): 298.2 (M+H)+.HPLC (方法 A) Rt 4.06分 (純度: 98.1%).
工程 3: 中間体 Z
7-ブロモ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステル (4.5 g, 0.015 モル) 及び好適に置換されたフェニルボロン酸 (0.017 モル) をジオキサンと水の混合物(80 mL:20 mL)に溶解した。炭酸ナトリウム (1.6 g, 0.020 モル) 及びビス (トリフェニルホスフィン)パラジウム (II) クロリド (0.53 g, 0.7 ミリモル) を窒素雰囲気下で添加し、その反応混合物を5時間にわたって80℃で加熱した。反応の完結後に、その反応混合物を室温に冷却し、セライトパッドにより濾過した。濾液を減圧で濃縮し、得られる残渣をEtOAc (200 mL)で希釈し、水 (2 x 100 mL) 、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を減圧で除去し、粗物質をシリカゲルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中20 %のEtOAc)により精製して中間体 Zを得た。例えば、tert-ブチル 7-(4-フルオロフェニル)[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレートを白色の固体 (3 g, 61 %)として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 8.17-8.15 (d , J = 8.6 Hz, 1H), 7.76-7.74 ( d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.67-7.63 (m, 1H), 1.60 (s, 9H).LC/MS (方法 A): 298.2 (M+H)+.HPLC (方法 A) Rt 4.06分 (純度: 98.1%).
また、tert-ブチル 7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル][1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレートを白色の固体(66%)として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 8.38 (s, 1H), 8.30-8.28 (d , J = 7.8 Hz, 1H), 8.22-8.20 ( dd, J= 1.0 Hz, 8.8 Hz, 1H), 7.98-7.96 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.88-7.82 (m, 1H), 7.62-7.60 (m, 1H), 1.62 (s, 9H).
【0058】
工程 4: 中間体 AA
EtOAc (70 mL) 中の中間体 Z (9.2 ミリモル) の溶液に酢酸 (19.4 g, 0.139 モル) 及びPd/C (3 g, 10 % w/w)を添加した。この混合物を30 Kg/cm2 の圧力で48時間にわたって水素化した。その溶液をセライトパッドに通し、濾液を減圧で濃縮した。粗物質をシリカゲルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー (60-120メッシュのシリカゲル; 溶離剤: 石油エーテル中20 %のEtOAc)により精製して中間体AAを得た。例えば、tert-ブチル 7-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレートを白色の固体 (1.5 g, 51 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.04-7.0 (m, 2H), 6.90-6.86 (m , 2H), 5.81-5.78 (t, 1H), 3.26-3.20 (m, 1H), 3.14-3.05 (m, 1H), 2.40-2.33 (m, 1H), 2.18-2.13 (m, 1H), 1.89-1.86 (m, 2H), 1.56 (s, 9H).
また、tert-ブチル 7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレートを白色の固体(82%)として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 7.71-7.61 (d, J= 7.8 HZ, 1H), 7.61-7.57 (m , 2H), 7.36-7.34 ( d, J= 7.8 Hz, 1H), 5.90-5.87 (m, 1H), 3.11-3.08 (m, 2H), 2.34-2.32 (m, 1H), 2.10-2.06 (m, 1H), 1.85-1.77 (m, 2H), 1.54 (s, 9H).
【0059】
工程 5: 中間体 AB
中間体AA (0.005 モル) をジオキサン (20 mL)に溶解した。ジオキサン中のHCl の市販溶液 (4 M, 20 mL) を徐々に添加し、その反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応の完結 (TLC: CHCl3: MeOH (9:1), Rf- 0.7)後に、有機溶媒を減圧で蒸発させた。粗物質をジエチルエーテルでスラリー化し、濾過して中間体ABを得た。例えば、7-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸をオフホワイトの固体 (1.0 g, 82 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 12.9 (s, 1H), 7.21-7.11 (m, 4H), 5.82-5.79 (t , J = 11.9 Hz, 1H), 3.10-3.07 (m, 2H), 2.30-2.23 (m, 1H), 2.05-2.0 (m, 1H), 1.80-1.75 (m, 2H).LC/MS (方法 A): 263.2 (M+H)+.HPLC (方法 A) Rt 3.20分 (純度: 99.4%).
また、7-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸を白色の固体 (62%)として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 7.71-7.69 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 7.62-7.58 (m , 2H), 7.37-7.35 ( d, J = 7.9 Hz, 1H), 5.92-5.88 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 3.12-3.09 (m, 2H), 2.38-2.33 (m, 1H), 2.11-2.06 (m, 1H), 1.82-1.78 (m, 2H).LC/MS (方法 A): 313.1 (M+H)+.HPLC (方法 A) Rt 3.90分 (純度: 99.3%).
一般方法
一般方法 A:
カルーセル(carousel)管に好適に置換されたアリールハライド (0.247 ミリモル) 、好適に置換されたトリアゾロアミン J (0.247 ミリモル) 、Pd2dba3 (11 mg, 0.012 ミリモル) 、キサントフォス (21 mg, 0.037 ミリモル) 及びCs2CO3 (80 mg, 0.247 ミリモル) を仕込んだ。ジオキサン (3 mL)を添加し、窒素を5分間にわたってその混合物に吹き込んだ。カルーセル管をシールし、反応液を110 ℃で一夜撹拌した。その反応混合物を25℃に冷却し、次いでDCM (30 mL) と水 (25 mL) の間に分配した。有機相を集め、水相をDCM (2 × 30 mL) で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発、乾燥させた。粗残渣をDMSOに溶解し、分取HPLCにより精製した。
下記の化合物を中間体 Jから調製した。
【0060】
【化15】
【0061】
【0062】
【0063】
一般方法 B:
カルーセル管に好適に置換されたアリールハライド (0.247 ミリモル) 、好適に置換されたトリアゾロアミン J (0.247 ミリモル) 、Pd2dba3 (11 mg, 0.012 ミリモル) 、キサントフォス (21 mg, 0.037 ミリモル) 及びCs2CO3 (80 mg, 0.247 ミリモル) を仕込んだ。ジオキサン(3 mL)を添加し、窒素を5分間にわたってその混合物に吹き込んだ。カルーセル管をシールし、反応液を70℃で一夜撹拌した。その反応混合物を25℃に冷却し、次いでDCM (30 mL) と水 (25 mL)の間に分配した。有機相を集め、水相をDCM (2 × 30 mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発、乾燥させた。粗残渣をDMSOに溶解し、分取HPLCにより精製した。
下記の化合物を中間体 Rから調製した。
【0064】
【化16】
【0065】
一般方法 C:
DMF (1 mL)中の好適に置換されたトリアゾロカルボン酸 H (0.224 ミリモル) に好適に置換されたアニリン (0.224 ミリモル) 、HATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート) (0.246 ミリモル) 続いてジイソプロピルエチルアミン (0.673 ミリモル) を添加し、25℃で18時間撹拌した。その反応混合物を分取HPLCにより直接精製して純粋なアミドを得た。
下記の化合物を中間体 Hから調製した。
【0066】
【化17】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
下記の化合物を中間体 Qから調製した。
【化18】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
下記の化合物を中間体 Wから調製した。
【化19】
【0076】
一般方法 D:
DMF (1 mL)中の好適に置換されたトリアゾロアミン (0.247 ミリモル) に好適に置換されたカルボン酸 (0.247 ミリモル) 、HATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート) (0.272 ミリモル) 続いてジイソプロピルエチルアミン (0.742 ミリモル) を添加し、25℃で18時間撹拌した。その反応混合物を分取HPLCにより直接精製して純粋なアミドを得た。
下記の化合物を中間体 Jから調製した。
【0077】
【化20】
【0078】
【0079】
【0080】
下記の化合物を中間体 Rから調製した。
【化21】

【0081】
一般方法 E:
THF (4 ml)中の好適に置換されたアミド (0.422 ミリモル) にNaH (0.422 ミリモル,油中60%)を添加し、その反応液を25℃で1時間撹拌した。次いでこれをシールした管中で25℃で24時間にわたって撹拌しながらヨウ化メチル (0.422 モル) で処理した。その反応液をDCM と水の間に分配した。合わせた有機抽出液を乾燥させ (MgSO4)、濾過し、真空で蒸発、乾燥させた。粗残渣をDMSOに溶解し、分取HPLCにより精製した。
例えば、7-(4-クロロフェニル)-N-(3-メトキシ-4-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)フェニル)-N-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミドを19% の収率で単離した。1H NMR δ (ppm) (CHCl3-d): 7.71 (1H, s), 7.28 (2H, m), 7.21 (1H, d), 6.97 (1H, s), 6.87 (4H, m), 5.63 (1H, t), 3.81 (3H, s), 3.67 (3H, bs), 3.22-3.12 (2H, m), 2.4-2.33 (1H m), 2.30 (3H, s), 2.16-2.08 (1H, m), 1.91-1.83 (2H, m).LC/MS (M+H)+ 477
【0082】
【化22】
【0083】
本発明の化合物は適当な溶媒からの結晶化又は適当な溶媒の蒸発により溶媒分子と会合して単離し得る。
塩基性中心を含む、式 (I)の化合物の医薬上許される陰イオン塩は、通常の様式で調製し得る。例えば、遊離塩基の溶液が、ニート又は好適な溶液中で、好適な酸で処理されてもよく、得られる塩が濾過又は反応溶媒の真空下での蒸発により単離されてもよい。
酸性中心を含む、式 (I)の化合物の医薬上許される陽イオン塩は、通常の様式で調製し得る。例えば、遊離酸の溶液が、ニート又は好適な溶液中で、好適な塩基で処理されてもよく、得られる塩が濾過又は反応溶媒の真空下での蒸発により単離されてもよい。或る場合には、塩は、式 (I)の化合物の所望のアルカリ塩又はアルカリ土類塩が沈澱し、又はそれ以外に濃縮及び非溶剤の添加により単離し得る溶媒を使用して、酸の溶液をアルカリ塩又はアルカリ土類塩(例えば、エチルヘキサン酸ナトリウム、オレイン酸マグネシウム)と混合することにより調製し得る。
塩の両方の型がイオン交換樹脂技術を使用して精製又は相互変換し得る。
使用される条件に応じて、反応時間が一般に数分〜14日である。反応温度は約-30 ℃〜約140 ℃、通常-10 ℃〜90℃、特に約0℃〜70℃である。
更に、式 (I)及び関連式の化合物は式 (I)の化合物を加溶媒分解剤又は水素化分解剤による処理によりそれらの官能性誘導体の一つから遊離することにより得られる。
加溶媒分解又は水素化分解に好ましい出発物質は式I及び関連式に合致するが、一つ以上の遊離アミノ基及び/又はヒドロキシル基に代えて相当する保護されたアミノ基及び/又はヒドロキシル基を含むもの、好ましくはN原子に結合されたH原子に代えてアミノ保護基を有するもの、特にHN基に代えてR*-N基(式中、R*はアミノ保護基を表す)を有するもの、及び/又はヒドロキシル基のH原子に代えてヒドロキシル保護基を有するもの、例えば、式Iに合致するが、-COOH 基に代えて-COOR** 基(式中、R** はヒドロキシル保護基を表す)を有するものである。
また、複数の同じ又は異なる保護されたアミノ基及び/又はヒドロキシル基が出発物質の分子中に存在することが可能である。存在する保護基が互いに異なる場合、それらは多くの場合に選択的に開裂し得る。
【0084】
“アミノ保護基”という用語は一般用語で知られており、アミノ基を化学反応に対して保護(ブロック)するのに適しているが、所望の化学反応が分子中のいずれかで行なわれた後に除去するのに容易である基に関する。このような基の典型例は、特に、未置換又は置換アシル基、アリール基、アラルコキシメチル基又はアラルキル基である。アミノ保護基は所望の反応(又は反応順序)後に除去されるので、それらの型及びサイズは更に重要ではないが、1-20個、特に1-8 個の炭素原子を有するものが好ましい。“アシル基”という用語は本方法に関して最も広い意味で理解されるべきである。それは脂肪族、芳香族脂肪族、芳香族又は複素環のカルボン酸又はスルホン酸から誘導されたアシル基、特に、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、特にアラルコキシカルボニル基を含む。このようなアシル基の例はアルカノイル、例えば、アセチル、プロピオニル及びブチリル;アラルカノイル、例えば、フェニルアセチル;アロイル、例えば、ベンゾイル及びトリル;アリールオキシアルカノイル、例えば、POA ;アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、BOC (tert-ブトキシカルボニル) 及び2-ヨードエトキシカルボニル;アラルコキシカルボニル、例えば、CBZ (“カルボベンゾキシ”) 、4-メトキシベンジルオキシカルボニル及びFMOC;並びにアリールスルホニル、例えば、Mtr である。好ましいアミノ保護基はBOC 及びMtr 、更にCBZ 、Fmoc、ベンジル及びアセチルである。
“ヒドロキシル保護基”という用語は同様に一般用語で知られており、ヒドロキシル基を化学反応に対して保護するのに適しているが、所望の化学反応が分子中のいずれかで行なわれた後に除去するのに容易である基に関する。このような基の典型例は上記された未置換又は置換アリール基、アラルキル基又はアシル基、更にまたアルキル基である。ヒドロキシル保護基の性質及びサイズは重要ではない。何とならば、それらが所望の反応又は反応順序後に除去されるからである。1-20個、特に1-10個の炭素原子を有する基が好ましい。ヒドロキシル基の例は、とりわけ、ベンジル、4-メトキシベンジル、p-ニトロベンゾイル、p-トルエンスルホニル、tert-ブチル及びアセチルであり、ベンジル及びtert-ブチルが特に好ましい。
【0085】
式I及び関連式の化合物は、使用される保護基に応じて、例えば、強無機酸、例えば、塩酸、過塩素酸又は硫酸、強有機カルボン酸、例えば、トリクロロ酢酸、TFA 又はスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸によりそれらの官能性誘導体から遊離される。付加的な不活性溶媒の存在が可能であるが、常に必要であるとは限らない。好適な不活性溶媒は有機酸、例えば、カルボン酸、例えば、酢酸、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はジオキサン、アミド、例えば、DMF 、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、更にまたアルコール、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノール、及び水であることが好ましい。上記溶媒の混合物が更に好適である。TFA が更なる溶媒を添加しないで過剰に使用されることが好ましく、また過塩素酸が9:1 の比の酢酸と70%の過塩素酸の混合物の形態で使用されることが好ましい。開裂のための反応温度は有利には約0℃〜約50℃、好ましくは15℃〜30℃(室温)である。
BOC 基、OtBut 基及びMtr 基は、例えば、好ましくは15-30 ℃でジクロロメタン中のTFA を使用して、又はジオキサン中の約3-5 N HCl を使用して開裂でき、またFMOC基は15-30 ℃でDMF 中のジメチルアミン、ジエチルアミン又はピペリジンの約5 〜50% の溶液を使用して開裂し得る。
水素化分解により除去し得る保護基(例えば、CBZ 、ベンジル又はそのオキサジアゾールからのアミジノ基の遊離)は、例えば、触媒(例えば、有利にはカーボンの如き担体上の貴金属触媒、例えば、パラジウム)の存在下で水素による処理により開裂し得る。ここで好適な溶媒は先に示されたもの、特に、例えば、アルコール、例えば、メタノールもしくはエタノール、又はアミド、例えば、DMF である。その水素化分解は一般に約0℃〜100 ℃の温度及び約1バール〜200 バールの圧力、好ましくは20-30 ℃及び1-10バールで行なわれる。CBZ 基の水素化分解は、例えば、メタノール中で5 〜10% のPd/Cで、又は20-30 ℃でメタノール/DMF中でPd/Cでギ酸アンモニウム (水素に代えて) を使用してうまくいく。
【0086】
好適な不活性溶媒の例は炭化水素、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン又はキシレン; 塩素化炭化水素、例えば、トリクロロエチレン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロメタン、トリフルオロメチルベンゼン、クロロホルム又はジクロロメタン; アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール又はtert-ブタノール; エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン (THF) 又はジオキサン; グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル又はエチレングリコールジメチルエーテル (ジグライム);ケトン、例えば、アセトン又はブタノン; アミド、例えば、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン (NMP)又はジメチルホルムアミド (DMF); ニトリル、例えば、アセトニトリル; スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド (DMSO);二硫化炭素; カルボン酸、例えば、ギ酸又は酢酸; ニトロ化合物、例えば、ニトロメタン又はニトロベンゼン; エステル、例えば、酢酸エチル、或いは前記溶媒の混合物である。
エステルは、例えば、0℃〜100 ℃の温度で、水、水/THF、水/THF/エタノール又は水/ジオキサン中でHCl 、H2SO4 を使用して、又はLiOH、NaOHもしくはKOH を使用して加水分解し得る。
更に、遊離アミノ基は通常の様式で塩化アシルもしくは酸無水物を使用してアシル化でき、又は有利には不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン又はTHF 中で、かつ/又は塩基、例えば、トリエチルアミン又はピリジンの存在下で、-60 ℃〜+30 ℃の温度で未置換又は置換アルキルハライドを使用してアルキル化し得る。
【0087】
式 (I)及び関連式はまたこれらの化合物の光学活性形態(立体異性体)、鏡像体、ラセミ体、ジアステレオマー及び水和物並びに溶媒和物を含む。“化合物の溶媒和物”という用語はそれらの相互の吸引力により生成する化合物への不活性溶媒分子の付加を意味すると解される。溶媒和物は、例えば、一水和物もしくは二水和物又はアルコラートである。
“医薬上使用できる誘導体”という用語は、例えば、式Iの化合物の塩及び所謂プロドラッグ化合物を意味すると解される。
“プロドラッグ誘導体”という用語は、例えば、アルキル基もしくはアシル基、糖又はオリゴペプチドで変性され、生物中で迅速に開裂されて活性化合物を生成する式Iの化合物を意味すると解される。好ましくは、式Iの化合物の“プロドラッグ”は、例えば、血液中の加水分解により生体内で迅速に変換されて式Iの親化合物を生じる誘導体化合物を表す。T.Higuchi 及びV.Stellaは“新規送出系としてのプロドラッグ” A.C.S. シンポジウムシリーズの14巻, American Chemical Society (1975)にプロドラッグ概念の充分な説明を提示している。カルボキシル基を含む化合物についてのプロドラッグとして有益なエステルの例が“ドラッグデザインにおける生物可逆性キャリヤー:理論及び適用”, E.B.Roche 編集, Pergamon Press: New York (1987) の14-21 ページに見られる。これらの文献、並びにこの明細書中に引用されたあらゆるその他の文献が、本明細書に参考として含まれることが意図されている。
これらとして、例えば、Int.J.Pharm.115, 61-67 (1995) に記載されたような、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体がまた挙げられる。
式 (I)及び関連式はまた式Iの化合物の混合物、例えば、比1:1 、1:2 、1:3 、1:4 、1:5 、1:10、1:100 又は1:1000の2種のジアステレオマーの混合物を含む。
これらは特に立体異性体化合物の混合物であることが特に好ましい。
【0088】
医薬製剤は投薬単位の形態で投与でき、これらは投薬単位当り前もって決められた量の活性成分を含む。このような単位は、治療される症状、投与の方法並びに患者の年齢、体重及び状態に応じて、例えば、0.5 mg〜1 g 、好ましくは1 mg〜700 mg、特に好ましくは5 mg〜100 mgの本発明の化合物を含むことができ、又は医薬製剤は投薬単位当り前もって決められた量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与し得る。好ましい投薬単位製剤は先に示されたような毎日の用量もしくは部分用量、又はその相当する分率の活性成分を含むものである。更に、この型の医薬製剤は医薬業界で一般に知られている、方法を使用して調製し得る。
医薬製剤はあらゆる所望の好適な方法、例えば、経口(頬又は舌下を含む)方法、直腸方法、鼻内方法、局所(頬、舌下又は経皮を含む)方法、膣又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内又は皮内を含む)方法による投与に適し得る。このような製剤は医薬業界で知られている全ての方法を使用して、例えば、活性成分を一種以上の賦形剤又は一種以上のアジュバントと合わせることにより調製し得る。
経口投与に適した医薬製剤は別々の単位、例えば、カプセル又は錠剤;粉末又は顆粒;水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液;食用フォーム又はフォームフード;或いは水中油液体エマルション又は油中水液体エマルションとして投与し得る。
こうして、例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与の場合には、活性成分が経口の無毒性かつ医薬上許される不活性賦形剤、例えば、エタノール、グリセロール、水等と合わせられる。粉末は化合物を好適な微細サイズに微粉砕し、それを同様の様式で微粉砕された医薬賦形剤、例えば、食用炭水化物、例えば、澱粉又はマンニトールと混合することにより調製される。風味料、防腐剤、分散剤及び色素が同様に存在してもよい。
【0089】
カプセルは上記粉末混合物を調製し、成形されたゼラチンシェルにそれを充填することにより製造される。滑剤及び潤滑剤、例えば、高度に分散されたケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体形態のポリエチレングリコールが、その充填操作の前に粉末混合物に添加し得る。崩壊剤又は可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムが、カプセルが服用された後の薬物の利用能を改良するために同様に添加されてもよい。
加えて、所望又は必要の場合、好適なバインダー、潤滑剤及び崩壊剤だけでなく、色素が混合物に同様に混入し得る。好適なバインダーとして、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えば、グルコース又はベータ−ラクトース、トウモロコシからつくられた甘味料、天然及び合成のゴム、例えば、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの剤形中に使用される潤滑剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤として、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を造粒又は乾式プレスし、潤滑剤及び崩壊剤を添加し、全混合物をプレスして錠剤を得ることにより製剤化される。粉末混合物は好適な様式で微粉砕された化合物を上記希釈剤又はベース、必要によりバインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン又はポリビニル−ピロリドン、溶解遅延剤、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、四級塩、及び/又は吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムと混合することにより調製される。粉末混合物はそれをバインダー、例えば、シロップ、澱粉ペースト、アラビアゴム粘液又はセルロースもしくはポリマー材料の溶液で湿らせ、それを篩中でプレスすることにより造粒し得る。造粒の別法として、粉末混合物が錠剤形成機中を走らされて、非一様の形状の塊を得、これらが分解されて顆粒を形成する。顆粒は錠剤キャスティング金型への粘着を防止するためにステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油の添加により潤滑し得る。次いで潤滑された混合物がプレスされて錠剤を得る。活性成分はまた易流動性の不活性賦形剤と合わされ、次いで直接プレスされて造粒又は乾式プレス工程を行なわずに錠剤を得ることができる。セラックシール層、糖又はポリマー材料の層及びワックスの光沢層からなる透明又は不透明の保護層が存在してもよい。色素が異なる投薬単位を区別することができるためにこれらの被覆物に添加し得る。
【0090】
経口液、例えば、溶液、シロップ及びエリキシル剤は、所定の量が前もって特定された量の化合物を含むように投薬単位の形態で調製し得る。シロップは化合物を好適な風味料とともに水溶液に溶解することにより調製でき、一方、エリキシル剤は無毒性アルコールビヒクルを使用して調製される。懸濁液は無毒性ビヒクル中の化合物の分散により製剤化し得る。可溶化剤及び乳化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル、防腐剤、風味添加剤、例えば、ペパーミントオイル又は天然甘味料もしくはサッカリン、又はその他の人工甘味料等が、同様に添加し得る。
経口投与のための投薬単位製剤は、所望される場合、マイクロカプセル中に封入し得る。製剤はまた放出が延長又は遅延されるような方法で、例えば、ポリマー、ワックス等中の粒状材料の被覆又は埋封により調製し得る。
式 (I)、及び関連式の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び生理学的に機能性の誘導体並びにその他の活性成分はまたリポソーム送出系、例えば、小さい単層小胞、大きい単層小胞及び多層小胞の形態で投与し得る。リポソームは種々のリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンから形成し得る。
式 (I)、及び関連式の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び生理学的に機能性の誘導体並びにその他の活性成分はまた化合物分子がカップリングされる個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送出し得る。化合物はまた標的薬物担体としての可溶性ポリマーにカップリングし得る。このようなポリマーはポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド−フェノール又はポリエチレンオキサイドポリリシン(パルミトイル基により置換された)を含んでもよい。化合物は更に薬物の制御された放出を得るのに適している生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ−オルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーにカップリングし得る。
【0091】
経皮投与に適した医薬製剤はレシピエントの表皮との延長された、密接な接触のための独立のプラスターとして投与し得る。こうして、例えば、活性成分はPharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986) に一般に記載されたような、イオン導入法によりプラスターから送出し得る。
局所投与に適した医薬化合物は軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル又はオイルとして製剤化し得る。
眼又はその他の外部組織、例えば、口及び皮膚の治療のために、製剤が局所軟膏又はクリームとして適用されることが好ましい。軟膏を得るための製剤化の場合、活性成分がパラフィン性又は水混和性のクリームベースとともに使用し得る。また、活性成分が水中油クリームベース又は油中水ベースを含むクリームを得るために製剤化し得る。
眼への局所適用に適した医薬製剤として、点眼液が挙げられ、その中に活性成分が好適な担体、特に水性溶媒に溶解又は懸濁される。
口中の局所適用に適した医薬製剤はロゼンジ、香錠及び口洗浄液を含む。
直腸投与に適した医薬製剤は座薬又は浣腸の形態で投与し得る。
鼻投与に適した医薬製剤(その中で、担体物質が固体である)は、例えば、20-500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末を含み、これは嗅剤が服用される様式で、即ち、鼻の近くに保持された粉末を含む容器からの鼻通過による迅速な吸入により投与される。担体物質としての液体を含む鼻スプレー又は点鼻薬としての投与に適した製剤は水又は油中に活性成分溶液を含む。
【0092】
吸入による投与に適した医薬製剤は微粒状ダスト又はミストを含み、これらはエアロゾル、ネブライザー又は吹送装置を備えた種々の型の加圧ディスペンサーにより生成し得る。
膣投与に適した医薬製剤はペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤として投与し得る。
非経口投与に適した医薬製剤として、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬及び溶質を含む水性及び非水性の無菌注射液(これらにより製剤が治療されるレシピエントの血液と等張性にされる);並びに水性及び非水性の無菌懸濁液(これらは懸濁媒体及び増粘剤を含んでもよい)が挙げられる。製剤は単一投薬又は多投薬容器、例えば、シールされたアンプル及びバイアル中で投与でき、凍結乾燥状態で貯蔵でき、その結果、使用直前の無菌担体液体、例えば、注射目的のための水の添加のみが必要である。
そのレシピに従って調製される注射溶液及び懸濁液は無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製し得る。
特別に上記された成分に加えて、製剤がまた製剤の特別な型に関して当業界で通常のその他の薬剤を含んでもよいことは言うまでもなく、こうして、例えば、経口投与に適している製剤は風味料を含んでもよい。
式 (I)、及び関連式の化合物並びにその他の活性成分の治療有効量は、例えば、動物の年齢及び体重、治療を必要とする正確な症状、及びその重度、製剤の性質並びに投与の方法を含む幾つかの因子に依存し、最終的に治療医師又は獣医により決められる。しかしながら、化合物の有効量は一般に1日当りレシピエント(哺乳類)の体重1kg当り0.1 〜100 mgの範囲、特に典型的には1日当り体重1kg当り1〜10mgである。こうして、体重70kgの成体哺乳類について1日当りの実際の量は通常70〜700 mgであり、この場合、この量が1日当りの個々の用量として、又は通常1日当りの一連の部分用量(例えば、2回、3回、4回、5回又は6回)で投与でき、その結果、合計の毎日の用量が同じである。これらの塩もしくは溶媒和物又は生理学的に機能性の誘導体の有効量は化合物それ自体の有効量の分数として決められる。
【0093】
実施例49: In vitroアッセイ
IC50 値を測定するためのアミロイドβペプチド放出 (Aβ42 & Aβ合計) アッセイ
アミロイドβペプチド放出 (Aβ42 & Aβ合計) アッセイを、試験化合物に暴露されたAPPswe-HEK細胞から生じる上澄みを使用して、20μl の最終容積で384 ウェル・ミクロタイタプレート (パーキン・エルマーアルファプレート# 6008350)中で行なう。化合物を100% DMSO に溶解し、希釈し、24時間にわたって37℃で5% CO2中でAPPswe-HEK細胞とともにインキュベートする。APPswe-HEK細胞からの上澄みを抗体:Aβ 42検出のために: AlphaLisa緩衝液 (供給業者の指示のため) 中で希釈されたAlphaLisa アミロイドAβ 1-42 キット (パーキン・エルマーAL203L) 坑アミロイドβ1-42-特異性抗体アクセプタービーズ、ビオチニル化坑アミロイド“β1-42”抗体及びストレプトアビジン(SA)ドナービーズと混合する。Aβ 合計検出のために: AlphaLisa緩衝液 (供給業者の指示のため) 中で希釈された注文坑アミロイドβ合計アクセプタービーズ (6E10アクセプタービーズ) 、ビオチニル化坑アミロイド“β1-42”抗体(パーキン・エルマーAL203L)及びストレプトアビジン(SA)ドナービーズ。抗体混合物への上澄みの添加後に、そのアッセイを4時間30分インキュベートする。アミロイドβペプチド放出 (Aβ42 & Aβ 合計) をアルファスクリーンモジュールを使用するフェラスターFS (BMG) マルチモードリーダーで測定する。
IC50 値を測定するための細胞生存アッセイ
細胞生存アッセイを24時間にわたって試験化合物に暴露されたAPPswe-HEK細胞を含むプレートを使用して、384 ウェル・ミクロタイタプレート (コーニング# 3712) 中で30μlの最終容積で行なう。細胞への等容積のCellTiter-Glo (プロメガ)の添加後に、そのアッセイを10分間インキュベートする。細胞生存をルミネセンス・プラスモジュールを使用するフェラスターFS (BMG) マルチモードリーダーで測定する。
【0094】
免疫沈澱及びMALDI-TOF 質量分析法
APP Swedish 変異体K595N/M596L を過剰発現するヒト胚性腎臓細胞 (HEK-APPsw)を16時間にわたって0.5%のジメチルスルホキシド (DMSO) 又は化合物の存在下で増殖させた。Aβペプチドを室温で3時間にわたってならし培地からモノクローナルマウス抗体6E10及び4G8(両方ともコバンス、プリンストン、NJ、USA)で免疫沈澱させた。全てのサンプルを免疫沈澱の前に60 ng の同位元素標識13C 15N ベータ−アミロイド (1-40) (Anaspec, Fremont, CA, USA) 内部較正物質でスパイクした。免疫複合体を一夜にわたって4℃でヤギ坑マウスIgG 磁性ダイナビーズ (インビトロゲン、パイスレイ、UK) で捕捉し、続いて (Beher, 2002, J.Neurochem.82: 563-575) に従ってビーズを繰り返し洗浄した。ペプチドをビーズから0.1%のトリフルオロ酢酸で溶離した。サンプルをMALDI TOF プレートにスポットし、0.1%のトリフルオロ酢酸、50% のアセトニトリル中のα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸基質の均等の1:1 容積をまたプレートにスポットした。続いてAβペプチドの基質補助レーザー脱着/イオン化飛行時間 (MALDI-TOF)質量分析を夫々のサンプルについて平均5回100 ショットの線形陽イオンモードでVoyager-DETM PRO 質量分析装置 (アプライド・バイオシステムズ、フォスター・シティ、CA、USA)で行なった。データ分析のために、個々のピーク強さを、ペプチド対較正物質ピーク強さの比を計算することにより内部較正物質に対して標準化した。化合物処理後の変化をDMSO対照について得られた個々の比に対して表した。
【0095】
【化23】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【表1】
【0108】
実施例49: In vivo アッセイ:
脳中のAβペプチドの測定
ラット脳を50 mM NaCl, pH 10 (10% v/w) 中の0.2%のジエチルアミン (サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック社、ワルタム、MA、USA)中で均一にし、35分間にわたって355, 000 x gで遠心分離した。上澄みを除去し、0.5 M Tris HCl pH 6.8 (10% v/v) で中和した。DEA 脳抽出液を、ビオチニル化中間領域Aβ抗体、4G8(コバンス、プリンストンNJ、USA)及びルテニル化C末端Aβ40抗体G2-10(ミリポア、ビレリカ、MA、USA)を使用する感受性イムノアッセイを使用してAβについてアッセイした。プレートをSECTOR(登録商標)イメージャー6000 (メソ・スケール・ディスカバリイ、ガイザースブルグ、MD、USA)で分析した。脳抽出液をヒト/ラットベータアミロイド (42) ELISA キット (ワコウ・ケミカルズ、GmbH、ノイス、ドイツ) を使用してAβ42についてアッセイした。