(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センターラグ溝のそれぞれは、前記第1の側においてタイヤ周方向の第3の側に突出するように屈曲又は湾曲する第4溝曲がり部と、前記第2の側においてタイヤ周方向の前記第3の側の反対側である第4の側に突出するように屈曲又は湾曲する第5溝曲がり部と、を備え、
前記センターラグ溝が前記周方向主溝と接続する前記第1の側の第1接続端部及び前記第2の側の第2接続端部は、前記第2溝曲がり部のタイヤ幅方向の内側の先端と接続し、前記センターラグ溝の前記第2接続端部は、前記第1接続端部よりもタイヤ周方向の第3の側にあり、
前記センターラグ溝の溝幅方向の中心位置に関し、前記第1接続端部と前記第4溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第3の側に突出する突出端とを結ぶ第1直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度、および、前記第2接続端部と前記第5溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第4の側に突出する突出端とを結ぶ第2直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、前記センターラグ溝の前記第1接続端部と前記第2接続端部を結ぶ第3直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度よりも大きい、請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記センターラグ溝の溝幅方向の中心位置に関し、前記第4溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第3の側に突出する突出端と前記第1接続端部との間の前記センターラグ溝の部分は、前記第1直線上、あるいは前記第1直線に対して前記第3の側にあり、前記第5溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第4の側に突出する突出端と前記第2接続端部との間の前記センターラグ溝の部分は、前記第2直線上、あるいは前記第2直線に対して前記第4の側にある、請求項2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
波形状の前記周方向主溝のうちタイヤ幅方向外側に凸状をなして曲がる前記第1溝曲がり部に対応して形成される前記センターブロックの頂部は、いずれも鈍角の角部である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のタイヤでは、耐熱性は十分でない。
一方、耐熱性を向上させるために、例えばセンターブロックの領域にタイヤ周方向に延びる溝を設けた場合には、センターブロックの発熱を抑え、耐熱性が向上することを期待できるが、特にオフロード走行時に溝が石を噛みやすくなると考えられる。
本発明は、耐石噛み性および耐熱性を両立することができる重荷重用空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、トレッドパターン付き重荷重用空気入りタイヤであって、
タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ赤道線を横切るようにタイヤ赤道線を基準としたタイヤ幅方向の第1の側および第2の側の半トレッド領域に延びて両端を有するセンターラグ溝と、
前記半トレッド領域のそれぞれにおいて、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ幅方向外側に延びて、タイヤ幅方向外側の端がタイヤ幅方向の両側にある接地端に開口するショルダーラグ溝であって、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端のタイヤ幅方向の位置が、前記センターラグ溝の端のタイヤ幅方向の位置よりも外側にあり、かつ、タイヤ周方向において、前記センターラグ溝のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝の間に1つずつ設けられたショルダーラグ溝と、
前記半トレッド領域のそれぞれに設けられ、前記センターラグ溝の端と、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向の内側の端を交互に接続するように、タイヤ幅方向の外側に湾曲あるいは屈曲した第1溝曲がり部とタイヤ幅方向の内側に湾曲あるいは屈曲した第2溝曲がり部とが配置され、タイヤ周方向にわたって波形状に形成され、前記ショルダーラグ溝より溝幅が狭い一対の周方向主溝と、
前記センターラグ溝と前記一対の周方向主溝によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されたセンターブロックと、
前記センターブロックの領域をタイヤ周方向に延びて、前記センターブロックに接する前記センターラグ溝に開口する周方向副溝と、
を前記トレッドパターンに含むトレッド部を備え、
前記周方向副溝は、タイヤ幅方向に変位しながらタイヤ周方向に延びて、溝の延びる向きがタイヤ幅方向に変わる屈曲形状あるいは湾曲形状をなして曲がる第3溝曲がり部を有し、
前記周方向副溝の溝幅P
4および前記周方向主溝の溝幅P
1に関して、比P
4/P
1は、0.70〜1.10であることを特徴とする。
【0007】
前記センターラグ溝のそれぞれは、前記第1の側においてタイヤ周方向の第3の側に突出するように屈曲又は湾曲する第4溝曲がり部と、前記第2の側においてタイヤ周方向の前記第3の側の反対側である第4の側に突出するように屈曲又は湾曲する第5溝曲がり部と、を備え、
前記センターラグ溝が前記周方向主溝と接続する前記第1の側の第1接続端部及び前記第2の側の第2接続端部は、前記第2溝曲がり部のタイヤ幅方向の内側の先端と接続し、前記センターラグ溝の前記第2接続端部は、前記第1接続端部よりもタイヤ周方向の第3の側にあり、
前記センターラグ溝の溝幅方向の中心位置に関し、前記第1接続端部と前記第4溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第3の側に突出する突出端とを結ぶ第1直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度、および、前記第2接続端部と前記第5溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第
4の側に突出する突出端とを結ぶ第2直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、前記センターラグ溝の前記第1接続端
部と前記第2接続端
部を結ぶ第3直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角度よりも大きいことが好ましい。
【0008】
前記センターラグ溝の溝幅方向の中心位置に関し、前記第4溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第3の側に突出する突出端と前記第1接続端部との間の前記センターラグ溝の部分は、前記第1直線上、あるいは前記第1直線に対して前記第3の側にあり、前記第5溝曲がり部がタイヤ周方向の前記第4の側に突出する突出端と前記第2接続端部との間の前記センターラグ溝の部分は、前記第2直線上、あるいは前記第2直線に対して前記第4の側にあることが好ましい。
【0009】
前記一対の周方向主溝それぞれにおいて、溝が部分的に浅くなった底上げ部を備えることが好ましい。
【0010】
前記底上げ部において最も浅い溝深さD
2及び前記トレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅Tに関して、比D
2/Tは0.05未満であることが好ましい。
【0011】
前記センターラグ溝の最も深い溝深さD
3および前記周方向副溝の最も深い深さD
4に関して、比D
4/D
3は0.4〜1.0であることが好ましい。
【0012】
前記周方向副溝のタイヤ幅方向への最大変位量である最大幅Aおよび前記センターブロックの最大幅W
Bに関して、比A/W
Bは、0.05〜0.35であることが好ましい。
【0013】
前記センターラグ溝は、溝の延びる向きが変化する屈曲形状あるいは湾曲形状をなして曲がる第4溝曲がり部を有していることが好ましい。
【0014】
前記センターラグ溝は、前記第4溝曲がり部を含む複数の位置で曲がりながら延び、さらに、前記第4溝曲がり部と異なる第5溝曲がり部を有し、
前記
周方向副溝は前記センターブロックに接する一方のセンターラグ溝の前記溝曲がり部のうちの第4溝曲がり部と、他方のセンターラグ溝の前記溝曲がり部のうちの第5溝曲がり部とを結ぶよう延びていることが好ましい。
【0015】
波形状の前記周方向主溝のうちタイヤ幅方向外側に凸状をなして曲がる前記第1溝曲がり部に対応して形成される前記センターブロックの頂部は、いずれも鈍角の角部であることが好ましい。
【0016】
前記周方向主溝および前記センターラグ溝の溝幅はそれぞれ7〜20mmであることが好ましい。
【0017】
前記重荷重用空気入りタイヤは、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のタイヤによれば、耐石噛み性および耐熱性を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の重荷重用空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1は、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ(以降、タイヤともいう)1のタイヤ回転軸を含み、後述する
図2中のX−X’線を通る平断面でタイヤ1を切断したときのタイヤ1のプロファイルを示す。
本明細書でいう重荷重用空気入りタイヤとは、JATMA(日本自動車タイヤ協会規格) YEAR BOOK 2014のC章に記載されるタイヤの他に、D章に記載される1種(ダンプトラック、
スクレーパ)用タイヤ、2種(グレーダ)用タイヤ、3種(ショベルローダ等)用タイヤ、4種(タイヤローラ)用タイヤ、モビールクレーン(トラッククレーン、ホイールクレーン)用タイヤ、あるいはTRA 2013 YEAR BOOKのSECTION 4 あるいは、section 6に記載される車両用タイヤをいう。
タイヤ1は、骨格材として、カーカスプライ3と、ベルト部4と、一対のビードコア5とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッド部6、サイド部7、ビードフィラー8、インナーライナ9等の各ゴム層を有する。
【0021】
トレッド部6は、
図2に示されるトレッドパターンを備えている。
図2は、タイヤ1のトレッドパターンを平面展開した図である。なお、
図2において、上下方向はタイヤ周方向であり、左右方向はタイヤ幅方向である。ここで、タイヤ周方向は、タイヤ回転中心軸を中心にタイヤ1を回転させたときにできるトレッド表面の回転面の回転方向である。タイヤ幅方向は、タイヤ1の回転中心軸方向である。トレッドパターンのタイヤの回転方向および車両装着時のタイヤ幅方向の向きは、特に指定されない。
【0022】
トレッドパターンは、ショルダーラグ溝11,13と、一対の周方向主溝15,17と、センターラグ溝14と、センターブロック21と、を含んでいる。
ショルダーラグ溝11,13は、タイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側(第1の側および第2の側)の半トレッド領域のそれぞれに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。ショルダーラグ溝
11,13は、半トレッド領域のそれぞれにおいて、タイヤ幅方向外側に延びてタイヤ幅方向の両側の接地端10a,10bのうち近接する方の接地端に開口する。
ここで、接地端10a,10bは以下のように定められる。接地端10a,10bは、タイヤ1を正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重の88%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向端部である。なお、ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「測定リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
【0023】
タイヤ幅方向の両側に位置するショルダーラグ溝11,13において、一方の半トレッド領域における1つのショルダーラグ溝11またはショルダーラグ溝13のタイヤ周方向の位置は、他方の半トレッド領域にある隣接する2つのショルダーラグ溝13またはショルダーラグ溝11のタイヤ周方向の位置の間にある。
さらに、ショルダーラグ溝11,13は、半トレッド領域のそれぞれにおいて、ショルダーラグ溝11,13が有するタイヤ幅方向内側の端のタイヤ幅方向の位置が、後述するセンターラグ溝14の端のタイヤ幅方向の位置よりもタイヤ幅方向外側にあり、かつ、ショルダーラグ溝11,13は、タイヤ周方向において、センターラグ溝14のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝の間のショルダー領域に1つずつ設けられている。これにより、後述する周方向主溝15,17は、半トレッド部のそれぞれにおいて、センターラグ溝14の端とショルダーラグ溝11,13のタイヤ幅方向の内側の端を交互に接続して波形状を成す。
なお、ショルダーラグ溝11,13は、
図2において、溝が延びる方向に溝幅が変化しているが、変化していなくてもよい。
【0024】
一対の周方向主溝15,17は、タイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側の半トレッド領域に設けられている。周方向主溝15,17のそれぞれは、半トレッド領域において、後述するセンターラグ溝14の端と、ショルダーラグ溝11,13のタイヤ幅方向内側の端を交互に接続するように、タイヤ幅方向の外側に湾曲あるいは屈曲した第1溝曲がり部15a,17aとタイヤ幅方向の内側に湾曲あるいは屈曲した第2溝曲がり部15b,17bとが配置され、タイヤ周方向の全周にわたって波形状に形成されている。周方向主溝15,17の溝幅は、ショルダーラグ溝11,13の溝幅より狭い。溝が波形状であるとは、溝が蛇行する形状をいう。具体的には、周方向主溝15,17は、タイヤ幅方向の外側に凸状をなして曲がる第1溝曲がり部15a,17aおよびタイヤ幅方向の内側に凸状をなして曲がる第2溝曲がり部15b,17bをタイヤ周上に複数有し、波形状をなすよう蛇行しながらタイヤ周方向に延びる。周方向主溝15,17が波形状であることで溝壁の表面積が増しており、放熱性が向上する。このため、耐熱性が向上している。
【0025】
溝曲がり部は、屈曲形状であってもよく、丸まった湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものであってもよい。湾曲形状には、屈曲形状の頂部を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、溝曲がり部の頂部の一方の側が直線状に延びるとともに、頂部から他方の側が湾曲して延びたものをいう。周方向主溝15,17、周方向副溝23、センターラグ溝14のそれぞれに含まれる溝曲がり部には、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせの各種類のうち、互いに同じまたは異なる種類の形状が用いられてもよい。
また、周方向主溝15,17、周方向副溝23、センターラグ溝14のうち溝曲がり部以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。溝曲がり部と溝曲がり部以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
【0026】
周方向主溝15,17は、タイヤ幅方向外側に突出した第1溝曲がり部15a,17aでショルダーラグ溝11,13と接続する。また、周方向主溝15,17は、タイヤ幅方向内側に突出した第2溝曲がり部15b,17bでセンターラグ溝14と接続する。第2溝曲がり部15bのタイヤ周方向の位置は、反対側の半トレッド領域の第2溝曲がり部17bに対して位置ずれしている。周方向主溝15,17は、
図2において、互いに同じ周期でかつ位相がずれて波形状に延びている。なお、周方向主溝15,17の形態は、特に制限されず、例えば、互いに異なる周期で波形状に延びていてもよく、互いに位相が一致して波形状に延びていてもよい。
また、周方向主溝15,17は、ショルダーラグ溝11,13よりも溝幅が狭い細溝である。このため、走行時のセンターブロック21の接地圧が緩和され、タイヤ1の摩耗寿命が延びる。
【0027】
センターラグ溝14は、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。センターラグ溝14は、タイヤ赤道線CLを横切るように、タイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側の半トレッド領域に延びて両端を有する。センターラグ溝14は、その両端である、周方向主溝15の第2溝曲がり部15bと周方向主溝17の第2溝曲がり部17bとを接続した溝である。センターラグ溝14は、周方向主溝15,17の位相が異なって波形状に延びていることから、タイヤ幅方向に対し傾斜して延びている。
【0028】
センターブロック21は、センターラグ溝14と周方向主溝15,17によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成され、
タイヤ赤道線CLが通過する。
トレッドパターンは、さらに、ショルダーブロック25、27を含んでいる。ショルダーブロック25、27は、ショルダーラグ溝11,13と周方向主溝15,17によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されている。
【0029】
本実施形態のトレッドパターンは、以上の基本的な形態に加え、周方向副溝23を備え、周方向副溝23が、
図2に示されるように、タイヤ幅方向に変位しながらタイヤ周方向に延びて、屈曲形状あるいは湾曲形状をなして曲がる第3溝曲がり部23a、23b、23c,23dを有しているとともに、周方向副溝23の溝幅P
4および周方向主溝15,17の溝幅P
1に関して、比P
4/P
1が0.70〜1.10であることを特徴とする。
周方向副溝23は、センターブロック21の領域を延びて、センターブロック21に接するセンターラグ溝14に開口している。言い換えると、周方向副溝23は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝14同士を結ぶよう、センターブロック21の領域を延びている。このような周方向副溝23がセンターブロック21の領域に形成されていることにより、タイヤ幅方向のセンター領域において溝の表面積を十分に確保でき、これにより、放熱性が向上し、耐熱性が向上する。周方向副溝23は、例えば、センターラグ溝14の後述する溝曲がり部14a,14bの先端の位置(具体的には、センターラグ溝14の両端を結んだ第3直線14gからタイヤ周方向に最も突出した位置(突出端))で、センターラグ溝14に接続されていることが好ましい。
【0030】
第3溝曲がり部23a〜23dは、トレッド表面において溝の向きが変わることで曲がった部分である。第3溝曲がり部は、センターラグ溝の溝曲がり部と同様の形態であってもよい。具体的に、第3溝曲がり部は、屈曲形状であってもよく、丸まった湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものであってもよい。湾曲形状には、屈曲形状の頂部を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、溝曲がり部の頂部の一方の側が直線状に延びるとともに、頂部から他方の側が湾曲して延びたものをいう。周方向副溝23に含まれる第3溝曲がり部には、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせの各種類のうち、互いに同じまたは異なる種類の形状が用いられてもよい。
また、周方向副溝23のうち第3溝曲がり部以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。溝曲がり部と溝曲がり部以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
【0031】
図2に示される第3溝曲がり部23a〜23dには、タイヤ周方向の上方から下方に進むにつれて、右側の半トレッド領域において曲がる第3溝曲がり部23a、23cと、左側の半トレッド領域において曲がる第3溝曲がり部23b、23dと、が含まれる。また、第3溝曲がり部23aと第3溝曲がり部23cのタイヤ周方向の距離は、第3溝曲がり部23bと第3溝曲がり部23dのタイヤ周方向の距離と等しい。このような形態によって、周方向副溝23内に、波形状に延びる部分が形成されている。周方向副溝23に第3溝曲がり部23a〜23dが形成されていることで、溝壁の面積が大きくなっており、放熱性が向上している。このため、耐熱性が向上する。第3溝曲がり部は、
図2において4つ形成されているが、1つのセンターブロック21の領域内に少なくとも1つあればよく、例えば1個、2個、3個、5個以上あってもよい。また、
図2に示すように、溝曲がり部23aと溝曲がり部23b、溝曲がり部23bと溝曲がり部23c、溝曲がり部23cと溝曲がり部23dの各間を結ぶ部分において、タイヤ赤道線CLが通過することが好ましい。
【0032】
周方向副溝23の溝幅P
4および周方向主溝15,17の溝幅P
1の比P
4/P
1は、上記範囲にあることで、周方向副溝23において周方向主溝15,17と同等の放熱性を確保できるとともに、周方向副溝23の溝幅が狭くなっていることで、耐石噛み性の低下を抑制することができる。本明細書において、耐石噛み性という場合、対象となる石または異物のサイズは制限されないが、例えば2〜20mmの大きさの石等を対象とする。なお、溝幅P
4および溝幅P
1はいずれも、各溝が延びる方向と直交する方向のトレッド表面での長さをいう。比P
4/P
1はより好ましくは、0.75〜0.85であり、例えば0.80である。
【0033】
本実施形態のタイヤ1は、
図3に示されるように、周方向主溝15,17それぞれにおいて、溝が部分的に浅くなった底上げ部15c,17cを備えることが好ましい。
図3は、底上げ部15c,17cを、溝が延びる方向に沿って切断して示す断面図である。
図3において、周方向主溝15に関する部位の符号を括弧の外に示し、周方向主溝17に関する部位の符号を括弧の中に示す。底上げ部15c,17cは、周方向主溝15,17の波形形状をなす直線状部分のそれぞれに形成されている。
底上げ部15c,17cは、周方向主溝15,17が延びる方向の中央領域において底上げされている。これにより、センターブロック21とショルダーブロック25が支えあうことでブロックの倒れこみが抑制され、ブロックの変形量が低減される。このため、耐熱性が向上する。しかも、周方向主溝15,17がショルダーラグ溝11,13と接続する部分(第2溝曲がり部)15a,15b,17a,17bでは、溝深さが深いため、放熱性が良好で、この点でも耐熱性に優れる。底上げ部15c,17cは、図示されるように一定の溝深さを有していてもよく、異なる溝深さを有していてもよい。異なる溝深さを有する場合としては、例えば、段差を介して2以上の異なる溝深さを有している場合、溝深さが徐々に変化している場合が挙げられる。底上げ部15c,17cは、特に制限されないが、第1溝曲がり部15a,17aと第2溝曲がり部15b,17bの間の長さの、例えば30〜70%の長さの領域に形成される。また、底上げ部は、
図3に示される形態とは異なって、溝が延びる方向の中央領域には形成されずに、片側または両側の端部領域に形成されてもよい。
【0034】
さらに、底上げ部15c,17cにおける最も浅い溝深さD
2及びトレッド部6のタイヤ幅方向のトレッド幅Tに関して、比D
2/Tは0.05未満であることが好ましい。溝深さD
2は、
図3においてトレッド表面から底上げ部15c,17cまでの長さである。トレッド幅Tは、接地端10a,10b間のタイヤ幅方向の長さである。比D
2/Tが0.05未満であることにより、センターブロック21とショルダーブロック25が支えあうことでセンターブロック21の剛性を確保でき、これによって、ブロックの変形による発熱を抑え、耐熱性が向上する。比D
2/Tは、より好ましくは0.40以下であり、例えば0.03である。比D
2/Tの下限値は、特に制限されないが、放熱のための通気性を確保する観点からは、例えば0.01、0.02である。
【0035】
本実施形態のタイヤ1では、センターラグ溝14の最も深い溝深さD
3および周方向副溝23の最も深い深さD
4に関して、比D
4/D
3は0.4〜1.0であることが好ましい。D
3およびD
4を
図1に示す。なお、
図1にセンターラグ溝14は表れていないが、センターラグ溝14の溝底の最大深さ位置を水平方向の破線によって示す。比D
4/D
3がこの範囲を満たしていることで、耐石噛み性および耐熱性を両立することができる。比D
4/D
3が0.4以上であると、センターブロック21の領域において溝の断面積を十分に確保でき、放熱性が向上することにより、耐熱性が向上する。比D
4/D
3が1.0以下であると、タイヤ転動時の周方向副溝23の溝開閉の動きが抑制されるため、耐石噛み性が向上する。なお、溝深さD
4および溝深さD
3は、溝が延びる方向に一定である場合はその溝深さをいい、溝が延びる方向に異なっている場合は最大の溝深さをいう。比D
4/D
3はより好ましくは0.6〜0.8であり、例えば0.7である。
【0036】
本実施形態のタイヤ1では、周方向副溝23のタイヤ幅方向への最大変位量である最大幅Aおよびセンターブロック21の最大幅W
Bに関して、比A/W
Bは0.05〜0.35であることが好ましい。最大幅Aは、
図4に示されるように、周方向副溝23のタイヤ幅方向長さでもある。
図4は、
図2を用いて、最大幅Aおよび最大幅W
Bを説明する図である。
センターブロック21の最大幅WBは、タイヤ幅方向と平行な方向の最大長さであり、第1溝曲がり部15a
と第1溝曲がり部17aの間の距離をタイヤ幅方向に投影した長さに等しい。比A/W
Bが
上記範囲にあることで、耐石噛み性および耐熱性を両立することができる。比A/W
Bが0.05以上であると、周方向副溝23の表面積が増え、耐熱性が向上する。比A/W
Bが0.35以下であると、センターブロック21の領域でのタイヤ転動時の周方向副溝23の溝開閉の動きが抑制されるため、耐石噛み性が向上する。比A/W
Bはより好ましくは0.15〜0.25であり、例えば0.2である。
【0037】
センターラグ溝14は、
図2に示されるように、溝の延びる向きが変化する少なくとも1つの溝曲がり部、例えば第4溝曲がり部14aおよび第5溝曲がり部14bの少なくとも一方を有していることが好ましい。第4溝曲がり部14aおよび第5溝曲がり部14bは、トレッド表面において溝の向きが変わることで曲がった部分であり、互いにタイヤ幅方向の反対側に突出している。センターラグ溝14に、溝曲がり部があることで、溝壁の表面積が増え、放熱性が向上することによって耐熱性が向上する。センターラグ溝14は、溝曲がり部14a,14bを有することで、タイヤ周方向に波状に変位している。センターラグ溝14の溝曲がり部の数は、1以上あればよく、例えば1つ、3つ、4つ等あってもよいが、放熱性を向上させることによって耐熱性を向上させる観点からは、複数あることが好ましい。
具体的には、第4溝曲がり部14aおよび第5溝曲がり部14bの両方を有していることが好ましい。この場合において、
周方向副溝23は、タイヤ周方向に隣り合う2つのセンターラグ溝14のうち、センターブロック21に接する一方のセンターラグ溝14の第4溝曲がり部14aと、他方のセンターラグ溝14の前記溝曲がり部のうちの第5溝曲がり部
14bとを結ぶよう延びていることが好ましい。このような形態によれば、周方向副溝23は、センターラグ溝14の溝曲がり部14a,14bに開口することで、放熱性が良好になり、耐熱性がさらに向上する。なお、周方向副溝23のタイヤ周方向の両端は、タイヤ幅方向に同じ位置にあってもよい。例えば、
図2において、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝14の第4溝曲がり部14a同士または第5溝曲がり部14b同士を結ぶよう、周方向副溝23は延びていてもよい。また、周方向副溝23は、センターラグ溝14に対し、第4溝曲がり部14aおよび第5溝曲がり部14b以外の部分で開口していてもよい。例えば、周方向副溝23は、センターラグ溝14の直線状に延びる部分に開口していてもよい。この場合、第4溝曲がり部14aおよび第5溝曲がり部15bの間の部分で開口していることが好ましい。
【0038】
溝曲がり部14a,14bは、
図2において屈曲形状であるが、湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状の組み合わせであってもよい。湾曲形状には、屈曲形状の頂部を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、溝曲がり部の頂部の一方の側が直線状に延びるとともに、頂部から他方の側が湾曲して延びたものをいう。センターラグ溝14に含まれる溝曲がり部には、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせの各種類のうち、互いに同じまたは異なる種類の形状が用いられてもよい。
また、センターラグ溝14のうち溝曲がり部以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。溝曲がり部と溝曲がり部以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
【0039】
溝曲がり部14a,14bは、タイヤセンターラインCLのタイヤ幅方向両側に、タイヤセンターラインCLから同じ距離離間した位置に設けられることが好ましい。センターラグ溝14のうち、溝曲がり部14aと溝曲がり部14bとの間の部分にタイヤセンターラインCLが通過するように設けられ、また、この部分において、タイヤ幅方向に対するセンターラグ溝14の傾斜の向きが変化している。
【0040】
センターラグ溝14は、より具体的に、下記説明する形態を有していることが好ましい。
図5は、
図2に示すセンターラグ溝14の形状を具体的に説明する図である。なお、
図5では、説明の便宜のため、周方向副溝23の図示を省略する。
図5に示すように、センターラグ溝14の第4溝曲がり部14aは、タイヤ赤道線CLを基準として第1の側(
図5中の
左側)においてタイヤ周方向の第3の側(
図5中の上方向の側)に突出するように屈曲又は湾曲していることが好ましい。
センターラグ溝14の第5溝曲がり部14bは、タイヤ赤道線CLを基準として第2の側(
図5中の
右側)においてタイヤ周方向の第3の側の反対側である第4の側(
図5中の下方向の側)に突出するように屈曲又は湾曲していることが好ましい。ここで、センターラグ溝14が周方向主溝17と接続する第1の側の第1接続端部14c、及び、センターラグ溝14が周方向主溝
15と接続する第2の側の第2接続端部14dは、周方向主溝15、17のタイヤ幅方向の内側の先端、すなわち第2溝曲がり部15b、17bである。そして、センターラグ溝14の第2接続端部14dは、第1接続端部14cよりもタイヤ周方向の第3の側(
図5中の上方向の側)にある。
このとき、センターラグ溝14の溝幅方向の中心位置に関し、第4溝曲がり部14aがタイヤ周方向の第3の側(
図5中の上方向の側)に突出する突出端と第1接続端部14cとを結ぶ第1直線14eのタイヤ幅方向に対する傾斜角度(0度より大きく90度より小さい傾斜角度)、および、第5溝曲がり部14bがタイヤ周方向の第4の側に突出する突出端と第2接続端部14dとを結ぶ第2直線14fのタイヤ幅方向に対する傾斜角度(0度より大きく90度より小さい傾斜角度)は、センターラグ溝14の第1接続端部14cと第2接続端部14dを結ぶ第3直線14gのタイヤ幅方向に対する傾斜角度(0度より大きく90度より小さい傾斜角度)よりも大きくなっていることが好ましい。
本実施形態の好ましい形態では、
図2,
図5に示すように、センターラグ溝14の溝幅方向の中心位置に関し、第4溝曲がり部14aがタイヤ周方向の第3の側に突出する突出端と第1接続端部14cとの間のセンターラグ溝14の部分は、第1直線14e上、あるいは第1直線14eに対して第3の側にあり、第5溝曲がり部14bがタイヤ周方向の第4の側に突出する突出端と第2接続端部14dとの間のセンターラグ溝14の部分は、第2直線14f上、あるいは第2直線14fに対して第4の側にある。
【0041】
このようなセンターブロック21が形成されることにより、センターブロック21のトレッド剛性を高くすることができる。すなわち、センターブロック21は、タイヤ幅方向に対して一方向に傾斜したセンターラグ溝14によって形状が規定された異方性形状であるので、タイヤ接地面からセンターブロック21が路面から離れて蹴りだされるとき、センターブロック21は、異方性形状によって時計回転あるいは反時計回転にねじれて変形する。このとき、周方向主溝15,17の溝幅が狭いので、センターブロック21は、周方向主溝15,17を挟んでタイヤ幅方向に隣り合うショルダーブロックと第1、第2溝曲がり部15a、17a、15b、17bにおいて噛み合って一体として機能するので、センターブロック21のトレッド剛性を高くすることができる。センターブロック21のトレッド剛性を高くすることにより、センターブロック21のねじれを抑制でき、センターラグ溝14のタイヤ周方向の両側におけるセンターブロック21の局部的な領域の摩耗を抑えることができる。
さらに、第3、第4溝曲がり部14a、14bが設けられることにより、センターブロック21のトレッド剛性をより高くすることができる。すなわち、センターブロック21が路面から離れて蹴りだされるとき、センターブロック21に路面から受けるタイヤ周方向のせん断力によってセンターブロック21が変形し倒れ込もうとするとき、周方向に隣接するセンターブロック21同士がセンターラグ溝14の第3、第4溝曲がり部14a、14bにおいて互いに噛み合って一体として機能して反力を発生するので、センターブロック21のトレッド剛性を高くすることができる。センターブロック21のトレッド剛性を高くすることにより、センターブロック21の倒れこみを抑制でき、センターラグ溝14のタイヤ周方向の両側におけるセンターブロック21の局部的な領域の摩耗を抑えることができる。
【0042】
また、上記したようにセンターブロック21のねじれを抑制できることで、センターブロック21の変形が抑制され、センターブロック21の発熱が抑えられ、耐熱性が向上する。さらに、センターラグ溝14は、第3、第4溝曲がり部14a、14bを有していることに加え、第3直線14gがタイヤ幅方向に対し傾斜して溝長さが長くなっていることにより、溝壁の表面積が増しており、放熱性が向上する。この点でも、耐熱性が向上する。
さらに、上記したようにセンターブロック21とショルダーブロックとが噛み合い、また、センターブロック21同士が噛み合うことによって、センターブロック21の領域でのタイヤ転動時のセンターラグ溝14の溝開閉の動きが抑制されるため、耐石噛み性が向上する。
【0043】
周方向副溝23は、耐石噛み性の観点から、周方向主溝15,17よりも溝深さが浅い浅溝であることが好ましいが、耐熱性の観点からは、周方向主溝15,17の溝深さと同一または深くてもよい。ここでいう周方向主溝15,17の溝深さは、周方向主溝15,17の溝深さが一定でない場合は、最大深さを意味する。また、周方向副溝23は、耐石噛み性の観点から、周方向主溝15,17の溝幅の70〜90%であることが好ましいが、耐熱性の観点からは、周方向主溝15,17の溝幅の90〜110%であってもよい。
周方向副溝23は、
図2において、タイヤセンターラインCLを交差しながらタイヤ周方向に延びているが、タイヤセンターラインCLと交差している必要はなく、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の片側に形成されていてもよい。なお、周方向副溝23は、複数のセンターブロック21のそれぞれに形成さており、タイヤ周方向に隣接する2つの周方向副溝23は、センターラグ溝14を介して連通している。
【0044】
本実施形態のタイヤ1において、周方向主溝15,17の第2溝曲がり部15b,17bは、
図2に示されるように、トレッド表面において鈍角をなして屈曲していることが好ましい。これにより、転動時のセンターブロック21およびショルダーブロック25,27の動きを抑制でき、これにより耐熱性が向上する。第2溝曲がり部15b,17bの屈曲する角は、例えば100°〜140°である。
【0045】
本実施形態のタイヤ1において、周方向主溝15,17およびセンターラグ溝14の溝幅はそれぞれ7〜20mmであることが好ましい。これにより、耐石噛み性および耐熱性を両立することができる。周方向主溝15,17およびセンターラグ溝14の溝幅の大きさは、例えば15mmである。なお、周方向主溝15,17およびセンターラグ溝14の溝幅が上記範囲にあることは、タイヤ1がオフロードタイヤとして用いられる場合に好適である。
【0046】
前記重荷重用空気入りタイヤは、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。建設用車両または産業用車両は、例えば、JATMAに記載されるダンプトラック、スクレーバ、グレーダ、ショベルローダ、タイヤローラ、ホイールクレーン、トラッククレーン、または、TRAに規定される「COMPACTOR」、「
EARTHMOVER」、「
GRADER」、「LOADER AND DOZER」等の車両を含む。
【0047】
本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1によれば、周方向副溝23がセンターブロック21の領域に形成されていることにより、タイヤ幅方向のセンター領域において溝の表面積を十分に確保でき、これにより、放熱性が向上し、耐熱性が向上する。また、周方向副溝23が、タイヤ幅方向に変位しながらタイヤ周方向に延びて、溝の延びる向きがタイヤ幅方向に変わる第3溝曲がり部23a〜23dを有していることにより、溝壁の面積が大きくなっており、放熱性が向上している。このため、耐熱性が向上する。さらに、周方向副溝23の溝幅P
4および周方向主溝15,17の溝幅P
1に関して、比P
4/P
1が0.70〜1.10であることによって、周方向副溝23において周方向主溝15,17と同等の放熱性を確保できるとともに、周方向副溝23の溝幅が狭くなっていることで、耐石噛み性の低下を抑制することができる。
【0048】
本実施形態のトレッドパターンとして、
図2、
図5に示すように、センターラグ溝14が、第4溝曲がり部14a及び第5溝曲がり部14bを備え、第3直線14gがタイヤ幅方向に対して傾斜している好ましい形態を用いて説明したが、このセンターラグ溝14の代わりに、第
4溝曲がり部14a及び第
5溝曲がり部14bを備えないセンターラグ溝14、あるいは、第3直線14gがタイヤ幅方向に直線状に延びるセンターラグ溝14を用いることもできる。
【0049】
(実施例)
本実施形態のタイヤの効果を調べるために、表1〜6に示されるようにトレッドパターンの異なるタイヤを種々試作し(実施例1〜18、従来例、比較例1〜4)、トレッドセンター領域の耐石噛み性と、耐熱性とを調べた。なお、表1〜6に示した仕様以外のタイヤの仕様は、従来例を除いて
図2のトレッドパターンの仕様を用いた。
なお、実施例16は、センターラグ溝14の第3直線14gをタイヤ幅方向に対し傾斜しないラグ溝とした点以外、実施例1と同じ仕様とした。
実施例17は、センターラグ溝14に2つの溝曲がり部(第4溝曲がり部および第5溝曲がり部)を設けた点以外、実施例14と同じ仕様とした。
実施例18は、センターラグ溝14の第3直線14gをタイヤ幅方向に対し傾斜しないラグ溝とした点以外、実施例17と同じ仕様とした。
従来例のトレッドパターンは、
図6に示したトレッドパターンを用いた。
図6は、従来例のトレッドパターンを示す図である。
図6に示すトレッドパターンは、ショルダーラグ溝110と、一対の周方向主溝112と、センターラグ溝114と、センターブロック116と、を備える。ショルダーラグ溝110と、一対の周方向主溝112と、センターラグ溝114と、センターブロック116は、それぞれ、ショルダーラグ溝11,13と、一対の周方向主溝15,17と、センターラグ溝14と、センターブロック21と同様な構成を有するが、ショルダーラグ溝110の溝幅と周方向主溝112の溝幅は、ショルダーラグ溝11,13の溝幅と同じである。
試作したタイヤはいずれも、46/90R57である。リムサイズ29.00−6.0(TRA規定リム)に装着し、700kPa(TRA規定空気圧)を試験条件として、400トン用ダンプトラックを用いて、同じオフロード路面の走行を行ない耐石噛み性試験及び耐熱性試験を行なった。
【0050】
(耐石噛み性)
試作したタイヤを実車に装着して、負荷荷重617.82kN(TRA規格荷重)の試験条件で、2〜20mmのサイズの石を敷いた採石場内の30mの区間を5往復走行後、センターブロックに接する溝(周方向主溝、センターラグ溝)およびセンターブロックの領域内の溝(周方向副溝)が噛んだ石の数を目視で数え、従来例を100とする指数で表した。指数の値が大きいほど耐石噛み性に優れる。
【0051】
(耐熱性)
試作したタイヤを室内ドラム試験機に取り付け、TRAに準拠する規格最大荷重(617.82kN)の110%の負荷荷重の条件で、速度5km/時にて走行し、12時間ごとに速度を1km/時ずつ増加させ、タイヤが破壊するまでの走行時間を測定した。その結果を、従来例を100とする指数で表した。指数の値が大きいほど耐熱性に優れている。
以上の結果、耐石噛み性の指数が95以上、かつ、耐熱性の指数値が105以上である場合を、石噛み性を低減しつつ耐熱性が向上した、すなわち、耐石噛み性および耐熱性を両立することができたと評価した。このように、耐石噛み性および耐熱性を両立することには、耐石噛み性および耐熱性の両方が向上することだけでなく、耐石噛み性および耐熱性のうちいずれか一方を従来と同等に維持しつつ他方が向上することも含まれる。従来と同等に維持するとは、従来よりも大きく低下しないこと(例えば、耐石噛み性、耐熱性を表す指数が従来例より5を超えて下回らないこと)をいう。
【0054】
表1および表2から分かるように、周方向副溝に第3溝曲がり部がない場合において、比P
4/P
1が1.10を超える場合は(比較例1)、耐石噛み性が向上せず、比P
4/P
1が0.7〜1.10の範囲内にある場合は(比較例2)、耐熱性が向上しなかった。
また、周方向副溝に第3溝曲がり部がある場合において、比P
4/P
1が0.7未満である場合は(比較例3)、耐熱性が向上せず、比P
4/P
1が1.10を超える場合は(比較例4)、耐熱性は向上したが、耐石噛み性が悪化した。
これに対し、周方向副溝に第3溝曲がり部があり、かつ、比P
4/P
1が0.7〜1.10の範囲内である場合は(実施例1〜3)、耐石噛み性および耐熱性を両立することができた。
【0056】
表3から分かるように、さらに、比D
2/Tが0.05未満である場合は(実施例6)、比D
2/Tが0.05以上である場合(実施例4,5)と比べ、耐石噛み性および耐熱性をより高いレベルで両立することができた。なお、耐石噛み性の指数が95以上かつ耐熱性の指数が105以上かつ両指数の合計値が206以上である場合を、耐石噛み性および耐熱性をより高いレベルで両立することができたと評価した。
【0058】
表4から分かるように、さらに、D
4/D
3が0.4〜1.0の範囲内にある場合は(実施例8,9)、比D
4/D
3が0.4〜1.0の範囲外にある場合(実施例7,10)と比べ、耐石噛み性および耐熱性をより高いレベルで両立することができた。
【0060】
表5から分かるように、さらに、A/W
Bが0.05〜0.35の範囲内にある場合は(実施例12〜14)、比A/W
Bが0.05〜0.35の範囲外である場合(実施例11,15)と比べ、耐石噛み性および耐熱性をさらに高いレベルで両立することができた。
【0062】
表6からわかるように、トレッドパターンにおけるセンターラグ溝14は、第3直線14gがタイヤ幅方向に対し傾斜していなくても(実施例16、18)、本実施形態の効果は生じるが、実施例16の評価結果と表2の実施例1の評価結果との比較、および、実施例18の評価結果と実施例17の評価結果との比較より、トレッドパターンにおけるセンターラグ溝14は、タイヤ幅方向に対し傾斜していることが、少なくとも耐石噛み性の向上の点で好ましいことがわかる。
また、センターラグ溝14が溝曲がり部を備える場合は(実施例17、18)、耐熱性向上の点で好ましいことがわかる。
【0063】
以上、本発明の重荷重用空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。