特許第6229811号(P6229811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6229811
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】靴履かせ・靴脱がし具
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/82 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   A47G25/82
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-121514(P2017-121514)
(22)【出願日】2017年6月21日
(62)【分割の表示】特願2017-23065(P2017-23065)の分割
【原出願日】2017年2月10日
【審査請求日】2017年6月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517346369
【氏名又は名称】清水 正美
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 徹
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−015481(JP,U)
【文献】 特開平03−000016(JP,A)
【文献】 実開昭62−073776(JP,U)
【文献】 実開昭48−037042(JP,U)
【文献】 実開平06−007580(JP,U)
【文献】 実開昭59−139250(JP,U)
【文献】 実開昭60−048776(JP,U)
【文献】 実開昭55−130642(JP,U)
【文献】 特開平10−057222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴(s)を履く際及び靴(s)を脱ぐ際の両方に使用することができる靴履かせ・靴脱がし具(1)であって、
前記靴履かせ・靴脱がし具(1)を使用する際に人が持つ柄(2)と、
前記柄(2)の下部側に設けられた、靴(s)の履き口(e)に差し込み、ここに足(f)の踵(h)に当てがいながら靴(s)を履かせるための舌片状板材から成る靴べら部(3)と、
前記柄(2)の下部と前記靴べら部(3)の上部との間に連続して形成された、板材を階段状に2カ所曲折し、その段になった部位の裏面側が靴の履き口に(e)掛け止められる曲折部(4)と、を有し、
前記曲折部(4)の段になった部位の表面側に踵(h)をいったん載せる傾斜部(4a)が、その裏面側に、靴の履き口(e)に掛け止められる掛け止め面部(4b)がそれぞれ形成され、
靴を履く際に、前記靴べら部(3)を靴(s)の履き口(e)に差し込み、前記曲折部(4)は靴(s)の履き口(e)に掛け止め、この状態で該曲折部(4)の表面側に踵(h)を一旦保持させ、この踵(h)の位置決めとして機能させ、そのまま踵(h)を靴(s)の中に押し込み、
靴(s)を脱ぐ際には、該曲折部(4)の裏面側を靴(s)の履き口(e)に掛け止め、足(f)を上げると靴(s)の履き口(e)から足(f)を引き出せるように構成された、ことを特徴とする靴履かせ・靴脱がし具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴を履くときと靴を脱ぐときの両方に使用できる靴履かせ・靴脱がし具に係り、特に足腰の動きや体の曲げが不自由な者が靴を安全かつ容易に履くことができ、また脱ぐことができる靴履かせ・靴脱がし具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、靴を履くときに靴べらが使用されている。この靴べらは文字通りへら状のもので、材質はプラスチック製、木製、竹製、金属等のものがある。靴べらの表面は滑らかに仕上げられ、靴と足の踵との隙間に差し込められる程度の厚さを有し、また踵の横幅よりも幅が狭く形成されている。靴を履くに際して、靴の履き口に靴べらを差し込み、この靴べらに踵を当てながら踵を落として足を入れていく。この靴べらは靴の伸縮性が乏しい革靴によく使用されている。玄関等では柄の長い靴べらがよく使用されている。
【0003】
一方、靴を脱ぐ際には靴の履き口部分(足の踵部分)を手で持って脱ぐ方法が一般的である。乗馬靴、ブーツのような脱ぎづらい靴を容易に脱ぐことができる靴脱ぎ具が提案されている。図8の平面図(a)、正面図(b)に示すように、この靴脱ぎ具51は、1枚の長板52の一端にU字形状の靴掛け止め部53を、長板52の他端に踏み板部54をそれぞれ有し、長板52の中間の下面に支持台55を備えた道具である。
【0004】
この靴脱ぎ具51の使用に際して、図9の使用状態の斜視図に示すように、靴掛け止め部53に長靴・ブーツ等の一方の靴(右脚)Sの踵を掛け止め、反対の足(左脚)で踏み板部54を踏んだ状態で、靴掛け止め部53に掛け止めた靴Sから足を抜き取る。このとき浮き上がろうとする靴脱ぎ具51は踏み板部54を踏むことで阻止できる。
【0005】
この1枚の長板52から成る靴脱ぎ具51では、足腰の動きや体の曲げが不自由な者が、立ったまま、腰かけたままで靴を脱ぐことは困難であった。そこで、座って靴を脱ぐことができるようにした靴脱ぎ具に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開2011−19542号公報「長靴脱ぎ器」のように、長靴・ブーツ等の履物の踵をひっかけて脱がす補助板を先端に備えた板部に、脚とその上部に座面を備えた椅子部を乗せることによって固定し、座った状態で快適に脱げる事を特徴とする長靴脱ぎ器が提案されている。この板部は、先端に長靴・ブーツ等の足首部をはさめる形状の切り欠きをもたせた補助板を設けたものである。また、前記板部は、その本体中央に足を乗せられるステップを有する。
【0006】
上述した特許文献1の「長靴脱ぎ器」によれば、椅子部に座って、補助板に設けられた切り欠きに踵をはさみ、足を手前に引き寄せることで、長靴・ブーツ等の履物のみ補助板に捕らえられ脱ぐことができるので、動作の途中に手の補助を必要としない。そのため中腰や屈む、片足を上げるなどの動作も不要になり、身体的負担が軽減される。また履物を脱いだ足は板に置くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−19542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
年齢の積み重ねにより、身体機能が衰え、筋肉の衰退、関節の劣化等に因り、膝の屈伸に痛みを伴い、腰が曲がりにくくなってくる。このような人にとって、中腰の体勢をとりながら靴を脱ぐ作業は困難な作業であった。特許文献1の「長靴脱ぎ器」でも、補助板に設けられた切り欠きに踵をはさみ、足を手前に引き寄せる際に、この補助板を備えた板部が浮き上がるおそれがある。両方の足を自由に動かせる人は、この板部の本体中央のステップに足を乗せることで浮き上がりを阻止できる。しかし、足が不自由な人は、この板部のステップに足を乗せることができず、容易に脱ぐことができないという問題を有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、靴べらに脱ぐときの機能を付加することで、それぞれの機能を用いて容易に靴を履くことができ、容易に靴を脱ぐこともできる靴履かせ・靴脱がし具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、靴(s)を履く際及び靴(s)を脱ぐ際の両方に使用することができる靴履かせ・靴脱がし具(1)であって、
前記靴履かせ・靴脱がし具(1)を使用する際に人が持つ柄(2)と、
前記柄(2)の下部側に設けられた、靴(s)の履き口(e)に差し込み、ここに足(f)の踵(h)に当てがいながら靴(s)を履かせるための舌片状板材から成る靴べら部(3)と、
前記柄(2)の下部と前記靴べら部(3)の上部との間に連続して形成された、板材を階段状に2カ所曲折し、その段になった部位の裏面側が靴の履き口に(e)掛け止められる曲折部(4)と、を有し、
前記曲折部(4)の段になった部位の表面側に踵(h)をいったん載せる傾斜部(4a)が、その裏面側に、靴の履き口(e)に掛け止められる掛け止め面部(4b)がそれぞれ形成され、
靴を履く際に、前記靴べら部(3)を靴(s)の履き口(e)に差し込み、前記曲折部(4)は靴(s)の履き口(e)に掛け止め、この状態で該曲折部(4)の表面側に踵(h)を一旦保持させ、この踵(h)の位置決めとして機能させ、そのまま踵(h)を靴(s)の中に押し込み、
靴(s)を脱ぐ際には、該曲折部(4)の裏面側を靴(s)の履き口(e)に掛け止め、足(f)を上げると靴(s)の履き口(e)から足(f)を引き出せるように構成された、ことを特徴とする。
【0011】
前記曲折部(4)の段になった部位の裏面側に、靴の履き口(e)に掛け止められる溝部(4c)が形成されたものでもよい。
前記曲折部(4)の段になった部位の裏面側に、靴の履き口(e)に掛け止められる突起(4d)が複数設けられたものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、足腰が弱く立った状態での動作に不安がある人が、靴(s)を履くときと靴(s)を脱ぐときの両方に使用でき、安心して靴(s)を履いたり、脱いだりすることができる。靴(s)を履くときは、通常の靴べらと同様な方法で、靴べら部(3)の舌片状板材を靴(s)の履き口(e)に差し込み、ここに足(f)の踵(h)に当てがいながら踵(h)を履き口(e)に落下させるだけで、容易に靴(s)を履くことができる。
【0013】
一方、靴(s)を脱ぐときは、靴べら部(3)の舌片状板材を靴(s)の履き口(e)に差し込むと同時に、靴脱がし部として機能する曲折部(4)が靴(s)の履き口(e)に掛け止められる。そのまま足(f)を上げれば靴(s)の履き口(e)から足(f)を引き出すことができる。従来の「靴べら」と同様な使用方法で靴(s)を履くことができ、その逆の動作をするだけで靴(s)を脱ぐことができる。従来のように靴(s)を脱ぐとき、手指を靴(s)の履き口(e)に当てる必要がない。即ち、紐を解く必要がないときは立ったままで靴(s)を容易に履くことができ、更に靴(s)を脱ぐことができる。
【0014】
特に、本発明の曲折部(4)は、靴(s)を履く際に曲折部(4)の表面側の傾斜部(4a)に踵(h)を一旦保持させることができる。踵(h)の位置決めとして機能するので、安定した状態で靴を履くことができる。
この曲折部(4)は、靴(s)を脱ぐ際には、曲折部(4)の裏面側の掛け止め面部(4b)、溝部(4c)、突起(4d)が靴(s)の履き口(e)に掛け止められるので、足(f)を上げると靴(s)の履き口(e)から足(f)を引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図、(c)は背面図である。
図2】実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は一部拡大側断面図、(b)は一部拡大背面図である。
図3】実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴履かせ具」(靴べら)として使用する状態を示す側面であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は足に靴を履かせる状態である。
図4】実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴脱がし具」として使用する状態を示す側面図であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は靴から足を抜く状態である。
図5】曲折部の変形例1を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
図6】曲折部の変形例2を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
図7】曲折部の変形例3を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
図8】従来の靴脱ぎ具を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図9】従来の靴脱ぎ具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、柄の一端に設けられた、靴の履き口に差し込み、ここに足の踵を当てがいながら靴を履かせるための舌片状板材から成る靴べら部と、靴べら部の上部に形成された靴脱がし部として機能する曲折部と、を有し、靴を履く際及び靴を脱ぐ際の両方に使用することができる靴履かせ・靴脱がし具である。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図、(c)は背面図である。図2は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は一部拡大側面図、(b)は一部拡大背面図である。
実施例1の靴履かせ・靴脱がし具1は、人が持つことができる柄2と、この柄2の下部に設けられた靴べら部3と、この靴べら部3に連続して形成された曲折部4とを有する補助具である。靴履かせ・靴脱がし具1は、靴sを履く際及び靴sを脱ぐ際の両方に使用することができる。この曲折部4が靴脱がし部として機能する。
【0018】
<柄の構成>
柄2は、靴履かせ・靴脱がし具1を使用する際に、人が持つ部分である。図示例では、人の掌の中に納まる程度の幅、厚みを有するものが好ましい。なお、本発明の靴履かせ・靴脱がし具1は靴sを履く際は手を添える程度で良いが、靴sを脱ぐ際には上方へ軽く荷重がかかるので、所定の剛性を有するものが好ましい。この柄2の長さは一例であって、これより長くすること、逆に短くすることができる。柄2の上部には、フックに掛け止める際に用いる紐通しの穴5を開けている。
なお、柄2の上部には人が持つグリップを取り付けることも可能である。
【0019】
<靴べら部の構成>
柄2の下部に靴べら部3が設けられている。この靴べら部3は舌片状板材から成り、足の踵に当たりやすいように緩やかに湾曲した形状になる。通常の「靴べら」として機能する部分である。すなわち、人の使用に際して、この柄2を持って靴べら部3を靴sの履き口eに差し込み、ここに足fの踵hに当てがいながら靴sを履くものである。
【0020】
<曲折部(靴脱がし部)の構成>
柄2の下部と靴べら部3の上部との間に連続して曲折部4が形成されている。この曲折部4は、板材を階段状に2カ所曲折し、その段になった部位の裏面側が靴sの履き口eに掛け止められる構成になる。曲折部4は靴脱がし部として機能する部位である。
曲折部4は前方に下にやや傾斜する形状が好ましい。靴sを履く際に円滑に履けるようにするためである。但し、急な傾斜にすると、靴sの履き口eに掛け止められず靴脱がし部として機能しなくなるからである。
【0021】
実施例1の曲折部4は、図2に示すように、舌片状板材の靴べら部3に連続して形成されている。使用に際して、靴履かせ・靴脱がし具1の靴べら部3を、靴sの履き口eから差し込むと同時に、曲折部4の裏面(下側面)が靴sの履き口eの周縁に当たるようになっている。
【0022】
靴べら部3の上部において、曲折部4を形成する位置は、図2(a)に示すように、靴べら部3の先端部が靴sの内底に接しない長さが望ましい。即ち、靴べら部3の先端部が靴sの内底に接する前に、曲折部4が靴sの履き口eに接する状態になる位置が良い。靴sを脱ぐときに靴sの履き口e周縁に曲折部4が当たり、靴sを脱がし易くするためである。また、通常は薄く形成されている靴べら部3の先端部の損傷を防止するためである。
【0023】
このとき靴脱がし部として機能する曲折部4は、所定の長さを有する柄2の下部に形成されているので、立った状態、又は腰を曲げないで靴を脱ぐことができる。即ち、屈むこともなく容易に靴を脱ぐことができる。
【0024】
<「靴履かせ具」として使用する方法の説明>
図3は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴履かせ具」(靴べら)として使用する状態を示す側面であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は足に靴を履かせる状態である。
本発明の靴履かせ・靴脱がし具1を「靴履かせ具」として使用するときは、図3(a)に示すように、靴履かせ・靴脱がし具1の柄2を手で持ち、靴べら部3を靴sの履き口eに差し込む。次に、靴べら部3を足fの踵hに当てがいながら爪先を靴sの先端に差し込む。図3(b)に示すように、そのまま足fの踵hを靴sの履き口eに落とし込み、靴sを履くことができる。通常の「靴べら」と同じような使い方で、違和感がなく靴sを履くことができる。
【0025】
特に、本発明の曲折部4は、靴sを履く際に曲折部4の表面側に踵hを一旦保持させることができる。踵hの位置決めとして機能するので、安定した状態で靴を履くことができる。
【0026】
<「靴脱がし具」として使用する方法の説明>
図4は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴脱がし具」として使用する状態を示す側面であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は靴から足を抜く状態である。
本発明の靴履かせ・靴脱がし具1を「靴脱がし具」として使用するときは、図4(a)に示すように、靴履かせ・靴脱がし具1の柄2を手で持ち、靴べら部3を靴sの履き口eと踵hとの間に差し込む。同時に、この曲折部4が靴の履き口eに掛け止められる。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、そのまま足を上げながら靴sの履き口eから足を引き出す。このとき曲折部4が靴の履き口eに掛け止められているので、靴sの履き口eから足fを引き出すことができる。本発明の靴履かせ・靴脱がし具1は、従来の「靴べら」と同様な使用方法で靴sを履くことができ、その逆の動作をするだけで靴sを脱ぐことができる。従来のように靴sを脱ぐとき、手指を靴sの履き口eに当てる必要がなく靴sを脱ぐことができる。
【0028】
<曲折部の変形例1>
図5は曲折部の変形例1を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
曲折部4の変形例1は、靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4の段になった部位の表面側に、踵hを一旦載せる傾斜部4aを、その裏面側に靴の履き口eに掛け止められる掛け止め面部4bをそれぞれ形成したものである。柄2から靴べら部3まで合成樹脂の一体成型の場合は、この曲折部4が一部肉厚な状態になる。
【0029】
この曲折部4の変形例1では、靴sを履く際に曲折部4の表面側の傾斜部4aに踵hを一旦保持させる。踵hの位置決めとして機能させる。その後、足fを靴sの中に落とし込み、安定した状態で靴を履くことができる。
靴sを脱ぐ際は、曲折部4の裏面側の掛け止め面部4bは、靴の履き口eに掛け止められ。そのまま足fを踵fから引き上げる際に、靴履かせ・靴脱がし具1は靴sから簡単に外れない。安定した状態で靴sを脱がすことができる。この掛け止め面部4bには、滑り止め加工を施す。例えば、梨地状に加工したり、皮革を貼り付けることが可能である。
【0030】
<曲折部の変形例2>
図6は曲折部の変形例2を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
曲折部4の変形例2は、靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4の裏面側に溝4cを形成したものである。溝4cは靴sの履き口eに掛け止め、そのまま足fを踵hから引き上げる際に簡単に外れないようになる。溝4cは、柄2から靴べら部3まで合成樹脂の一体成型の場合は、この曲折部4に縁を立ち上げて溝形状に形成する。
【0031】
<曲折部の変形例3>
図7は曲折部の変形例3を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
実施例2の靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4に突起4dを形成したものである。突起4dは靴sの履き口eに掛け止め、そのまま足fを踵hから引き上げる際に簡単に外れない。そこで、図示するように変形例3のよう2個の突起4dを形成した。なお、1個の突起4dであっても靴べら部3を靴sの履き口eに掛け止めているので安定した状態で靴sを脱がすことができる。
【0032】
なお、本発明は、靴べらに脱ぐときの機能を付加することで、それぞれの機能を用いて容易に靴sを履くことができ、容易に靴sを脱ぐこともできる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の靴履かせ・靴脱がし具は、高齢者の居住地に限定されず、特養施設、病院等の足腰の弱った人が居る場所、施設であれば利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 靴履かせ・靴脱がし具
2 柄
3 靴べら部
4 曲折部(靴脱がし部)
4a 傾斜部
4b 掛け止め面部
4c 溝部
4d 突起
s 靴
e 履き口
f 足
h 踵
【要約】
【課題】靴べらに脱ぐときの機能を付加することで、それぞれの機能を用いて容易に靴を履くことができ、容易に靴を脱ぐこともできる。
【解決手段】柄2の下部側に設けられた、靴sの履き口eに差し込み、ここに足fの踵hに当てがいながら靴sを履かせるための舌片状板材から成る靴べら部3と、柄2の下部と前記靴べら部3の上部との間に連続して形成された、板材を階段状に2カ所曲折し、その段になった部位の裏面側が靴の履き口にe掛け止められる曲折部4と、を有する。靴sを履く際及び靴sを脱ぐ際の両方に使用することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9