【実施例1】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図、(c)は背面図である。
図2は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を示し、(a)は一部拡大側面図、(b)は一部拡大背面図である。
実施例1の靴履かせ・靴脱がし具1は、人が持つことができる柄2と、この柄2の下部に設けられた靴べら部3と、この靴べら部3に連続して形成された曲折部4とを有する補助具である。靴履かせ・靴脱がし具1は、靴sを履く際及び靴sを脱ぐ際の両方に使用することができる。この曲折部4が靴脱がし部として機能する。
【0018】
<柄の構成>
柄2は、靴履かせ・靴脱がし具1を使用する際に、人が持つ部分である。図示例では、人の掌の中に納まる程度の幅、厚みを有するものが好ましい。なお、本発明の靴履かせ・靴脱がし具1は靴sを履く際は手を添える程度で良いが、靴sを脱ぐ際には上方へ軽く荷重がかかるので、所定の剛性を有するものが好ましい。この柄2の長さは一例であって、これより長くすること、逆に短くすることができる。柄2の上部には、フックに掛け止める際に用いる紐通しの穴5を開けている。
なお、柄2の上部には人が持つグリップを取り付けることも可能である。
【0019】
<靴べら部の構成>
柄2の下部に靴べら部3が設けられている。この靴べら部3は舌片状板材から成り、足の踵に当たりやすいように緩やかに湾曲した形状になる。通常の「靴べら」として機能する部分である。すなわち、人の使用に際して、この柄2を持って靴べら部3を靴sの履き口eに差し込み、ここに足fの踵hに当てがいながら靴sを履くものである。
【0020】
<曲折部(靴脱がし部)の構成>
柄2の下部と靴べら部3の上部との間に連続して曲折部4が形成されている。この曲折部4は、板材を階段状に2カ所曲折し、その段になった部位の裏面側が靴sの履き口eに掛け止められる構成になる。曲折部4は靴脱がし部として機能する部位である。
曲折部4は前方に下にやや傾斜する形状が好ましい。靴sを履く際に円滑に履けるようにするためである。但し、急な傾斜にすると、靴sの履き口eに掛け止められず靴脱がし部として機能しなくなるからである。
【0021】
実施例1の曲折部4は、
図2に示すように、舌片状板材の靴べら部3に連続して形成されている。使用に際して、靴履かせ・靴脱がし具1の靴べら部3を、靴sの履き口eから差し込むと同時に、曲折部4の裏面(下側面)が靴sの履き口eの周縁に当たるようになっている。
【0022】
靴べら部3の上部において、曲折部4を形成する位置は、
図2(a)に示すように、靴べら部3の先端部が靴sの内底に接しない長さが望ましい。即ち、靴べら部3の先端部が靴sの内底に接する前に、曲折部4が靴sの履き口eに接する状態になる位置が良い。靴sを脱ぐときに靴sの履き口e周縁に曲折部4が当たり、靴sを脱がし易くするためである。また、通常は薄く形成されている靴べら部3の先端部の損傷を防止するためである。
【0023】
このとき靴脱がし部として機能する曲折部4は、所定の長さを有する柄2の下部に形成されているので、立った状態、又は腰を曲げないで靴を脱ぐことができる。即ち、屈むこともなく容易に靴を脱ぐことができる。
【0024】
<「靴履かせ具」として使用する方法の説明>
図3は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴履かせ具」(靴べら)として使用する状態を示す側面であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は足に靴を履かせる状態である。
本発明の靴履かせ・靴脱がし具1を「靴履かせ具」として使用するときは、
図3(a)に示すように、靴履かせ・靴脱がし具1の柄2を手で持ち、靴べら部3を靴sの履き口eに差し込む。次に、靴べら部3を足fの踵hに当てがいながら爪先を靴sの先端に差し込む。
図3(b)に示すように、そのまま足fの踵hを靴sの履き口eに落とし込み、靴sを履くことができる。通常の「靴べら」と同じような使い方で、違和感がなく靴sを履くことができる。
【0025】
特に、本発明の曲折部4は、靴sを履く際に曲折部4の表面側に踵hを一旦保持させることができる。踵hの位置決めとして機能するので、安定した状態で靴を履くことができる。
【0026】
<「靴脱がし具」として使用する方法の説明>
図4は実施例1の靴履かせ・靴脱がし具を「靴脱がし具」として使用する状態を示す側面であり、(a)は靴に靴履かせ・靴脱がし具を差し込んだ状態、(b)は靴から足を抜く状態である。
本発明の靴履かせ・靴脱がし具1を「靴脱がし具」として使用するときは、
図4(a)に示すように、靴履かせ・靴脱がし具1の柄2を手で持ち、靴べら部3を靴sの履き口eと踵hとの間に差し込む。同時に、この曲折部4が靴の履き口eに掛け止められる。
【0027】
次に、
図4(b)に示すように、そのまま足を上げながら靴sの履き口eから足を引き出す。このとき曲折部4が靴の履き口eに掛け止められているので、靴sの履き口eから足fを引き出すことができる。本発明の靴履かせ・靴脱がし具1は、従来の「靴べら」と同様な使用方法で靴sを履くことができ、その逆の動作をするだけで靴sを脱ぐことができる。従来のように靴sを脱ぐとき、手指を靴sの履き口eに当てる必要がなく靴sを脱ぐことができる。
【0028】
<曲折部の変形例1>
図5は曲折部の変形例1を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
曲折部4の変形例1は、靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4の段になった部位の表面側に、踵hを一旦載せる傾斜部4aを、その裏面側に靴の履き口eに掛け止められる掛け止め面部4bをそれぞれ形成したものである。柄2から靴べら部3まで合成樹脂の一体成型の場合は、この曲折部4が一部肉厚な状態になる。
【0029】
この曲折部4の変形例1では、靴sを履く際に曲折部4の表面側の傾斜部4aに踵hを一旦保持させる。踵hの位置決めとして機能させる。その後、足fを靴sの中に落とし込み、安定した状態で靴を履くことができる。
靴sを脱ぐ際は、曲折部4の裏面側の掛け止め面部4bは、靴の履き口eに掛け止められ。そのまま足fを踵fから引き上げる際に、靴履かせ・靴脱がし具1は靴sから簡単に外れない。安定した状態で靴sを脱がすことができる。この掛け止め面部4bには、滑り止め加工を施す。例えば、梨地状に加工したり、皮革を貼り付けることが可能である。
【0030】
<曲折部の変形例2>
図6は曲折部の変形例2を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
曲折部4の変形例2は、靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4の裏面側に溝4cを形成したものである。溝4cは靴sの履き口eに掛け止め、そのまま足fを踵hから引き上げる際に簡単に外れないようになる。溝4cは、柄2から靴べら部3まで合成樹脂の一体成型の場合は、この曲折部4に縁を立ち上げて溝形状に形成する。
【0031】
<曲折部の変形例3>
図7は曲折部の変形例3を示し、(a)は拡大側断面図、(b)は拡大背面図である。
実施例2の靴履かせ・靴脱がし具1の曲折部4に突起4dを形成したものである。突起4dは靴sの履き口eに掛け止め、そのまま足fを踵hから引き上げる際に簡単に外れない。そこで、図示するように変形例3のよう2個の突起4dを形成した。なお、1個の突起4dであっても靴べら部3を靴sの履き口eに掛け止めているので安定した状態で靴sを脱がすことができる。
【0032】
なお、本発明は、靴べらに脱ぐときの機能を付加することで、それぞれの機能を用いて容易に靴sを履くことができ、容易に靴sを脱ぐこともできる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。