(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多糖類、変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して50wt ppm以上3000wt ppm以下含有する
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
多糖類、変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して100wt ppm以上500wt ppm以下含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用フラックス。
多糖類、変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーは、セルロース、リグノセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、マレイン酸変性セルロース、キチン、キトサンの何れか、または2つ以上の組み合わせからなるナノファイバーである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のはんだ付け用フラックス。
【背景技術】
【0002】
一般的に、はんだ付けに用いられるフラックスは、はんだ及びはんだ付けの対象となる接合対象物の金属表面に存在する金属酸化物を化学的に除去し、両者の境界で金属元素の移動を可能にする効能を持つ。このため、フラックスを使用してはんだ付けを行うことで、はんだと接合対象物の金属表面との間に金属間化合物が形成できるようになり、強固な接合が得られる。
【0003】
このようなはんだ付け用フラックスと、金属粉を含むソルダペーストでは、フラックスに含まれるチキソ剤によってソルダペーストにチキソ性が付与される。また、加熱により溶融する際のソルダペーストのダレが抑制される。
【0004】
チキソ剤としては、ヒドロキシステアリン酸ビスアミド等の脂肪族アミド、カスターワックス等のワックス(脂肪族エステル)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等の合成高分子化合物が使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、チキソ剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の半合成高分子化合物が使用される(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラックスの成分には、はんだ付けの加熱によって分解、蒸発しない成分が含まれており、はんだ付け後にフラックス残渣としてはんだ付け部位の周辺に残留する。チキソ剤として含まれる成分も、フラックス残渣となる。
【0008】
従来のフラックスでは、加熱ダレの抑制効果を得るために必要な量のチキソ剤を含むと、フラックス残渣の量が多くなり、無洗浄で使用する用途に適用するとはんだ付け部位の周辺にチキソ剤由来の多量のフラックス残渣が残ってしまい化学的・電気的信頼性に影響を及ぼすことがあった。また、フラックス残渣を洗浄して使用する用途では、洗浄性が悪い。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、フラックス残渣への影響を抑制して加熱ダレの抑制効果が得られるはんだ付け用フラックス、及び、このはんだ付け用フラックスと金属粉を含むソルダペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
天然高分子である多糖類、多糖類が変性した変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類からなるナノファイバーを、フラックス中にごく微量含むことで、このフラックスを使用してはんだ付けを行うと、加熱ダレが抑制できることを見出した。
【0011】
そこで、本発明は、多糖類、変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して50wt ppm以上3000wt ppm以下含有するはんだ付け用フラックスである。
【0012】
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーは、フラックス全量に対して100wt ppm以上500wt ppm以下含有することが好ましい。
【0013】
また、多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーは、セルロース、リグノセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、マレイン酸変性セルロース、キチン、キトサンの何れか、または2つ以上の組み合わせからなるナノファイバーである。
【0014】
更に、本発明は、上述したはんだ付け用フラックスと、金属粉を含むソルダペーストである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、はんだ付け時の加熱による加熱ダレを抑制することができる。また、チキソ剤のみで加熱ダレの抑制効果を実現する場合と比較して、多糖類、変性多糖類または多未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーの含有量、チキソ剤を含有する場合は、チキソ剤を合わせた含有量を減らすことができる。
【0016】
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーの含有量を、従来のチキソ剤と比較して減らすことができることで、フラックス残渣を減らすことが可能となる
【0017】
これにより、本発明は、フラックス残渣の洗浄を要しない用途、及び、フラックス残渣の洗浄を要する用途の何れであっても適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本実施の形態のはんだ付け用フラックスの一例>
本実施の形態のはんだ付け用フラックスは、多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して50wt ppm以上3000wt ppm以下含む。多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーの含有量は、好ましくは100wt ppm以上500wt ppm以下である。多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーは、1種以上の多糖類、1種以上の変性多糖類または1種以上の未完全変性多糖類のいずれかでも良い。また、1種以上の多糖類と1種以上の変性多糖類の組み合わせ、1種以上の多糖類と1種以上の未完全変性多糖類の組み合わせ、1種以上の変性多糖類と1種以上の未完全変性多糖類の組み合わせでも良い。更に、1種以上の多糖類と1種以上の変性多糖類と1種以上の未完全変性多糖類の組み合わせでも良い。
【0020】
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類は、セルロース、リグノセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、マレイン酸変性セルロース、キチン、キトサンの何れか、または2つ以上の組み合わせである。ナノファイバーは、これらが数nm程度の繊維幅、数百nm程度の繊維長に微細化されたものである。
【0021】
はんだ付け用フラックスは、フラックス組成物を含む。フラックス組成物は、有機酸、アミン、アミンハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、チキソ剤、ロジン、溶剤、界面活性剤、ベース剤、高分子化合物、シランカップリング剤、着色剤の何れか、または2つ以上の組み合わせである。
【0022】
有機酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、プロピオン酸、2,2−ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、ジグリコール酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0023】
アミンとしては、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、2−メチルベンゾイミダゾール、2−オクチルベンゾイミダゾール、2−ペンチルベンゾイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2−ノニルベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6′−tert−ブチル−4′−メチル−2,2′−メチレンビスフェノール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−(1′,2′−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[(2−エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6−ビス[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]−4−メチルフェノール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
【0024】
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素を反応させた化合物であり、アミンとしては、エチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
【0025】
有機ハロゲン化合物としては、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
【0026】
チキソ剤としては、ワックス系チキソ剤、アマイド系チキソ剤が挙げられる。ワックス系チキソ剤としては例えばヒマシ硬化油等が挙げられる。アマイド系チキソ剤としてはラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイド、p−トルエンメタンアマイド、芳香族アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、芳香族ビスアマイド、飽和脂肪酸ポリアマイド、不飽和脂肪酸ポリアマイド、芳香族ポリアマイド、置換アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、メチロールアマイド、脂肪酸エステルアマイド等が挙げられる。
【0027】
ベース剤としてはポリエチレングリコール、ロジン等が挙げられる。ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、二種以上を使用することができる。また、ロジン 系樹脂に加えて、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、及び変性キシレン樹脂から選択される少なくとも一種以上の樹脂をさらに含むことができる。変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等を使用することができる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等を使用することができる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等を使用することができる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。
【0028】
溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。アルコール系溶剤としてはイソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2′−オキシビス(メチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
【0030】
<本実施の形態のソルダペーストの一例>
本実施の形態のソルダペーストは、上述したはんだ付け用フラックスと、金属粉を含む。金属粉は、Pbを含まないはんだであることが好ましく、Sn単体、または、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、Sn-In系等、あるいは、これらの合金にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだの粉体で構成される。
【0031】
<本実施の形態のフラックス及びソルダペーストの作用効果例>
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して50wt ppm以上3000wt ppm以下含むはんだ付け用フラックスと、金属粉を含むソルダペーストでは、はんだ付け時の加熱によるソルダペーストの加熱ダレを抑制することができる。
【0032】
従来、はんだ付け用フラックスと金属粉を含むソルダペーストでは、フラックスに含まれるチキソ剤によってソルダペーストにチキソ性が付与される。また、加熱により溶融する際のソルダペーストのダレが抑制される。
【0033】
しかし、チキソ剤の含有量が、フラックス全量に対して3000wt ppm程度では、加熱ダレの抑制効果は得られない。
【0034】
これにより、チキソ剤のみで加熱ダレの抑制効果を実現する場合と比較して、多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーの含有量、チキソ剤を含有する場合は、チキソ剤を合わせた含有量を減らすことができる。
【0035】
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーは、フラックス残渣となるが、従来のチキソ剤と比較して含有量を減らすことができることで、フラックス残渣を減らすことが可能となる。
【0036】
これにより、本実施の形態のはんだ付け用フラックスは、フラックス残渣の洗浄を要しない用途で使用される低残渣フラックスに適用でき、このような低残渣フラックス、及び、低残渣フラックスと金属粉を含むソルダペーストでは、ソルダペーストで接合される接合対象物の間を樹脂で封止して接合対象物を固着する際に、フラックス残渣と樹脂の相溶性を向上させることができる。また樹脂封止しない場合においても、化学的・電気的信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態のはんだ付け用フラックスは、フラックス残渣を洗浄する用途で使用される水溶性または樹脂系フラックスに適用でき、このような水溶性または樹脂系フラックス、及び、水溶性または樹脂系フラックスと金属粉を含むソルダペーストでは、フラックス残渣の洗浄性を向上させることができる。
【実施例】
【0038】
以下の表1に示す組成で実施例と比較例のはんだ付け用フラックスを調合し、このはんだ付け用フラックスを使用してソルダペーストを調合して、加熱ダレについて検証した。なお。表1における組成率はwt(重量)%である。
【0039】
多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーとして、実施例ではセルロースナノファイバーを使用した。多糖類であるセルロースは、木材、綿等の植物由来が一般的な物質である。セルロースは、天然高分子鎖がまとまってナノファイバーを形成し、更にこれが集合して繊維を形成している。セルロースナノファイバーは植物繊維由来であることから、生産・廃棄に関する環境負荷が小さい。
【0040】
セルロースナノファイバーは、取り扱いの容易性から、一般工業用のセルロースナノファイバーとして市販されているものを使用する。セルロースナノファイバーの市販品の具体例として、第一工業製薬株式会社製レオクリスタ1−2SPが挙げられる。
【0041】
セルロースナノファイバーの市販品は、セルロースナノファイバーを溶剤中に分散させてゲル化した形態で提供される。このように、多糖類、変性多糖類または未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを溶剤中に分散させてゲル化したものを、ナノファイバー組成物とも称す。表1においては、セルロースナノファイバーの含有量と、セルロースナノファイバーをゲル化した状態とする溶剤及び水についても含有量を開示している。
【0042】
なお、実施例で使用されるセルロースナノファイバーは、ナノファイバー組成物がセルロースナノファイバー、溶剤及び水からなり、ナノファイバー組成物の全量を100重量部とした場合、セルロースナノファイバーを2wt%、溶剤を1wt%、水を97wt%含む。
【0043】
また、フラックス組成物は、実施例では、フラックス組成物の全量を100重量部とした場合、有機酸を6wt%、アミンを1wt%、アマイド系チキソ剤を23wt%、溶剤を70wt%含む。
【0044】
はんだ付け用フラックスにおけるセルロースナノファイバーの含有量は、ナノファイバー組成物とフラックス組成物を合わせた全量を100重量部とした場合の割合である。
【0045】
また、ソルダペースト中の金属粉は、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnであるSn−Ag−Cu系のはんだ合金であり、粒径はφ20〜38μmである。更に、ソルダペーストは、はんだ付け用フラックスが11.5wt%、金属粉が88.5wt%である。
【0046】
<加熱ダレの評価>
(1)検証方法
加熱ダレ試験はJIS Z 3284−3
図6に記載の所定のパターンでソルダペースト印刷部が形成されたステンレス製メタルマスクを使用して銅板にソルダペーストを印刷し、メタルマスクを取り除いた後、150℃/10minの加熱処理を行いソルダペーストの加熱ダレ性を数値化する。メタルマスクの厚みは0.2mm、ソルダペースト印刷部は四角形の開口で、大きさは3.0×1.5mmとなっている。ソルダペースト印刷部は、同じ大きさの複数の開口が間隔を異ならせて並び、開口の間隔Lは0.2−0.3−0.4−0.5−0.6−0.7−0.8−0.9−1.0−1.1−1.2mmとなっている。
【0047】
(2)判定基準
図1は、加熱ダレの試験結果を示す説明図である。上述した所定の間隔で印刷されたソルダペーストが、加熱後に一体とならない最小間隔L1で加熱ダレを判定した。なお、
図1(a)は、セルロースナノファイバーの含有量が100wt ppm、
図1(b)は、セルロースナノファイバーの含有量が2000wt ppm、
図1(c)は、セルロースナノファイバーの含有量が0wt ppmの場合である。
○〇:加熱ダレの試験結果が0.6mm以下
〇:加熱ダレの試験結果が1.0mm以下
×:加熱ダレの試験結果が1.0mmを超える
【0048】
【表1】
【0049】
本発明では、実施例1〜実施例6に示すように、フラックス全量を100重量部としたときに、セルロースナノファイバーを最大で0.3wt%(=3000wt ppm)含むことで、加熱ダレに対して十分な効果が得られ、最小では、0.005wt%(=50wt ppm)で効果を発現することが判った。例えば、
図1(a)に示すように、セルロースナノファイバーの含有量が100wt ppmである場合、加熱後に一体とならない最小間隔L1は0.6mmであった。また、
図1(b)に示すように、セルロースナノファイバーの含有量が2000wt ppmである場合、加熱後に一体とならない最小間隔L1は1.0mmであった。
【0050】
これに対し、セルロースナノファイバーを含まず、フラックス組成物中のチキソ剤として変性セルロースを含む比較例1では、加熱ダレを抑制することができず、加熱ダレの抑制効果を得るためには、数wt%以上、少なくとも1wt%(=10000wt ppm)チキソ剤を含むことが必要であった。例えば、
図1(c)に示すように、セルロースナノファイバーの含有量が0wt ppmである場合、加熱後に一体とならない最小間隔L1は1.2mmであった。
【0051】
また、セルロースナノファイバーを0.5wt%(=5000wt ppm)含む比較例2では、加熱ダレを抑制することができなかった。
【0052】
これにより、セルロースナノファイバーが添加されたフラックスと、金属粉を含むソルダペーストでは、フラックス中にごく微量のセルロースナノファイバーを含むことで、ソルダペーストの加熱ダレを抑制できることが判った。
【0053】
セルロースナノファイバーは、フラックス残渣となるが、従来のチキソ剤と比較して添加量を減らすことができることで、フラックス残渣を減らすことが可能となり、低残渣フラックス、及び、低残渣フラックスと金属粉を含むソルダペーストに適用した場合、樹脂封止の際の樹脂とフラックス残渣の相溶性を向上させることができる。また、樹脂封止しない場合においても、化学的・電気的信頼性を向上させることができる。加えて、洗浄を要する水溶性または樹脂系のフラックス、及び、水溶性または樹脂系のフラックスと金属粉を含むソルダペーストに適用した場合、洗浄性が向上する。
【課題】フラックス中に加熱ダレの抑制効果を得るために必要な量のチキソ剤を含むと、フラックス残渣の量が多くなり、無洗浄で使用する用途に適用するとはんだ付け部位の周辺にチキソ剤由来の多量のフラックス残渣が残ってしまい化学的・電気的信頼性に影響を及ぼす。また、フラックス残渣を洗浄して使用する用途では、洗浄性が悪い。
【解決手段】はんだ付け用フラックスは、多糖類、変性多糖類または多糖類から変性多糖類へ変性途中の未完全変性多糖類のうちの1種以上からなるナノファイバーを、フラックス全量に対して50wt ppm以上3000wt ppm以下含有する。