(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記電圧切替え手段は、電気抵抗素子を備えており、前記巻線に印加する前記電圧を、前記電気抵抗素子を経由して印加するか、前記電気抵抗素子を経由しないで印加するかを切替える請求項1または請求項2に記載のステッピングモータの制御装置。
  前記電圧切替え手段は、前記巻線に印加する前記電圧を、前記電気抵抗素子を経由して印加するか、前記電気抵抗素子を経由しないで印加するかを切替えるトランジスタを備える請求項3に記載のステッピングモータの制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
(ステッピングモータの制御回路構成と制御)
  
図1は、本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置の要部回路図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置で制御されたステッピングモータの、一実施例の正回転のときのタイミングチャートである。
図3は、本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置で制御されたステッピングモータの、一実施例の逆回転のときのタイミングチャートである。本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置について、
図1から
図3に従って説明する。
 
【0017】
  図1に示すステッピングモータ(駆動モータ)82は、2相励磁方式のユニポーラ型のステッピングモータであり、ロータ82aと励磁巻線82b、82c、82d、82eで構成される。ステッピングモータ(駆動モータ)82は、電気的なパルス信号を励磁巻線82b、82c、82d、82eに与えることにより回転する。言い替えると、ステッピングモータ(駆動モータ)82は、通電することにより回転する。
 
【0018】
  101は励磁巻線82bへの電気的なパルス信号を制御するトランジスタである。102は励磁巻線82dへの電気的なパルス信号を制御するトランジスタである。103は励磁巻線82cへの電気的なパルス信号を制御するトランジスタである。104は励磁巻線82eへの電気的なパルス信号を制御するトランジスタである。101から104はnpn型のバイポーラトランジスタ(以下トランジスタと記述する)である。
 
【0019】
  トランジスタ101のベースには、ステッピングモータ(駆動モータ)82を駆動するために与えられるパルス信号Xの信号線が接続されている。同様に、トランジスタ102のベースには、ステッピングモータ82を駆動するために与えられるパルス信号X’の信号線が接続されている。トランジスタ103のベースには、ステッピングモータ(駆動モータ)82を駆動するために与えられるパルス信号Yの信号線が接続されている。トランジスタ104のベースには、ステッピングモータ82を駆動するために与えられるパルス信号Y’の信号線が接続されている。X、X’、Y、Y’の各パルス信号は、図示しないマイコンから出力される。
 
【0020】
  111はステッピングモータ(駆動モータ)82を駆動する電源である。電源111は、励磁巻線82b、82c、82d、82eそれぞれに印加されるDC12Vの基準電圧(第2の電圧)を出力する。105は電気抵抗素子である。電気抵抗素子105は、電源111の電圧を降下させて、基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)にするために用いられる。
 
【0021】
  106はpnp型のバイポーラトランジスタ(以下トランジスタと記述する)であり、電気抵抗素子105と電圧切替え手段108を構成している。電圧切替え手段108は、励磁巻線82b、82c、82d、82eそれぞれに印加される電圧を、基準電圧(第2の電圧)あるいは基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)の何れかに切替えるために用いられる。
 
【0022】
  トランジスタ106がオフ状態のときはエミッタとコレクタ間は通電されない。このため、励磁巻線82b、82c、82d、82eそれぞれに印加される電圧は電気抵抗素子105を経由する。これにより、基準電圧(第2の電圧)が電圧降下する。励磁巻線82b、82c、82d、82eそれぞれに印加される電圧は、基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。
 
【0023】
  トランジスタ106がオン状態のときはエミッタとコレクタ間は通電される。このため、電流が流れにくい電気抵抗素子105を迂回してエミッタとコレクタ間に電流が流れる。これにより、基準電圧(第2の電圧)がほぼ電圧降下しない。基準電圧(第2の電圧)が励磁巻線82b、82c、82d、82eそれぞれに印加される。このようにトランジスタ106のオン、オフにより基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)と基準電圧(第2の電圧)の切替えが行われる。
 
【0024】
  107はトランジスタ106のオン、オフを行うnpn型のバイポーラトランジスタ(以下トランジスタと記述する)である。トランジスタ107のベースには、トランジスタ107のオン、オフを行うパルス信号Zの信号線が接続されている。パルス信号Zも図示しないマイコンから出力される。
 
【0025】
  以上のように構成されるステッピングモータの制御装置でステッピングモータ(駆動モータ)82を正回転させるときは、
図2のタイミングチャートのように各パルス信号が出力される。前述のようにパルス信号Xはトランジスタ101に出力される。パルス信号X’はトランジスタ102に出力される。パルス信号Yはトランジスタ103に出力される。パルス信号Y’はトランジスタ104に出力される。
 
【0026】
  X、X’、Y、Y’の各パルス信号がHレベルのときは、それに対応した各トランジスタがオン、Lレベルのときは各トランジスタがオフの状態である。つまり、パルス信号が入力されることでトランジスタがオン状態となり励磁巻線に電圧が印加される。
 
【0027】
  詳しく説明すると、t11のときにパルス信号Xとパルス信号Y’を出力しトランジスタ101と104をオンにする。t12のときにパルス信号Xとパルス信号Yを出力しトランジスタ101と103をオンにする。t13のときにパルス信号Yとパルス信号X’を出力しトランジスタ103と102をオンにする。t14のときにパルス信号X’とパルス信号Y’を出力しトランジスタ102と104をオンにする。t15のときにパルス信号Xとパルス信号Y’を出力しトランジスタ101と104をオンにする。このように順次パルス信号を出力しトランジスタをオンして、それぞれ励磁巻線に電圧を印加することによりステッピングモータ(駆動モータ)82が正回転する。
 
【0028】
  X、X’、Y、Y’の各パルス信号の初期では、パルス信号Zは出力されていない状態、つまりトランジスタ106がオフ状態である。そのため、各励磁巻線82b、82c、82d、82eに印加される電圧は電気抵抗素子105を経由する。各励磁巻線82b、82c、82d、82eに印加される電圧は電気抵抗素子105により電圧が降下し基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。
 
【0029】
  パルス信号出力を詳しく説明すると、t11とt12がパルス信号Xの1つのパルス幅、t12とt13がパルス信号Yの1つのパルス幅である。t13とt14がパルス信号X’の1つのパルス幅である。t14とt15がパルス信号Y’の1つのパルス幅である。パルス信号Xとパルス信号Y、パルス信号Yとパルス信号X’、パルス信号X’とパルス信号Y’、パルス信号Y’とパルス信号Xがそれぞれ1/2パルスずつずれながら出力される。
 
【0030】
  電圧切替え手段108のトランジスタ106をオンするパルス信号Zは、X、X’、Y、Y’の各パルス信号と同じタイミングでは出力されない。例えば、パルス信号Zはパルス信号Xとパルス信号Y’が出力される初期、言い替えるとt11の初期のときには出力されない。パルス信号Zは、一定の時間t111経過後に出力される。
 
【0031】
  そのため、一定の時間t111の間は、トランジスタ106がオンしていない。このため、励磁巻線82bと82eに印加される電圧は電気抵抗素子105を経由することになる。よって、印加される電圧は電気抵抗素子105により電圧が降下し基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。
 
【0032】
  低い電圧(第1の電圧)が印加されることで、ステッピングモータ82は回転方向のトルクが低トルクとなる。一定の時間t111経過後にパルス信号Zが出力されると、トランジスタ106がオン状態となる。
 
【0033】
  トランジスタ106がオン状態となると、前述のようにトランジスタ106のエミッタとコレクタ間は通電される。電気抵抗素子105を迂回してエミッタとコレクタ間に電流が流れるので基準電圧(第2の電圧)が励磁巻線82bと82eに印加される。
 
【0034】
  パルス信号Zは一定の時間t111経過後、t11の残りの時間t112の間出力される。つまり、パルス信号Zは一定の時間t111経過後から1/2パルスになるまで出力される。この間基準電圧(第2の電圧)が印加されるので、ステッピングモータ(駆動モータ)82は回転方向のトルクが高トルクとなる。
 
【0035】
  同様に、パルス信号Zはパルス信号Xとパルス信号Yが出力される初期、言い替えるとt12の初期のときには出力されない。パルス信号Zは、一定の時間t121経過後に出力される。そのため、一定の時間t121の間は、トランジスタ106がオンしていない。このため、励磁巻線82bと82cに印加される電圧は電気抵抗素子105を経由することになる。よって、印加される電圧は電気抵抗素子105により電圧が降下し基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。
 
【0036】
  低い電圧(第1の電圧)が印加されることで、ステッピングモータ(駆動モータ)82は回転方向のトルクが低トルクとなる。一定の時間t121経過後にパルス信号Zが出力されると、トランジスタ106がオン状態となる。
 
【0037】
  トランジスタ106がオン状態となると、前述のようにトランジスタ106のエミッタとコレクタ間は通電される。電気抵抗素子105を迂回してエミッタとコレクタ間に電流が流れるので基準電圧(第2の電圧)が励磁巻線82bと82cに印加される。
 
【0038】
  パルス信号Zは一定の時間t121経過後、t12の残りの時間t122の間出力される。つまり、パルス信号Zは一定の時間t121経過後から1/2パルスになるまで出力される。この間基準電圧(第2の電圧)が印加されるので、ステッピングモータ(駆動モータ)82は回転方向のトルクが高トルクとなる。
 
【0039】
  ステッピングモータ82の逆回転のときは、
図3に示すようにX、X’、Y、Y’の各パルス信号の出力パターンが正回転のときと逆になる。電圧切替え手段108のトランジスタ106をオンするパルス信号Zは正回転のときと同様、X、X’、Y、Y’の各パルス信号と同じタイミングでは出力されない。パルス信号Zはパルス信号Xとパルス信号Y’が出力される初期、言い替えるとt21の初期のときには出力されない。パルス信号Zは、一定の時間t211経過後に出力される。
 
【0040】
  そのため、一定の時間t211の間は、トランジスタ106がオンしていない。このため、励磁巻線82bと82eに印加される電圧は電気抵抗素子105を経由することになる。よって、印加される電圧は電気抵抗素子105により電圧が降下し基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。
 
【0041】
  低い電圧(第1の電圧)が印加されることで、ステッピングモータ(駆動モータ)82は回転方向のトルクが低トルクとなる。一定の時間t211経過後にパルス信号Zが出力されると、トランジスタ106がオン状態となる。
 
【0042】
  トランジスタ106がオン状態となると、前述のようにトランジスタ106のエミッタとコレクタ間は通電される。電気抵抗素子105を迂回してエミッタとコレクタ間に電流が流れるので基準電圧(第2の電圧)が励磁巻線82bと82eに印加される。
 
【0043】
  パルス信号Zは一定の時間t211経過後、t21の残りの時間t212の間出力される。つまり、パルス信号Zは一定の時間t211経過後から1/2パルスになるまで出力される。この間基準電圧(第2の電圧)が印加されるので、ステッピングモータ(駆動モータ)82は回転方向のトルクが高トルクとなる。
 
【0044】
  なお、
図2のt12のt121のタイミングでは、励磁巻線82bに印加される電圧は、既に印加されている途中で、基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)となる。これは励磁巻線間に発生する磁気エネルギーのバランスを取ることに有効である。
図3のt25のt251も同様である。
 
【0045】
  以上のように、電圧切替え手段108でパルス出力の初期は基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)を印加し、その後一定の時間経過後、基準電圧(第2の電圧)を印加するようにステッピングモータ(駆動モータ)82を制御する。これにより、ステッピングモータ(駆動モータ)82のロータ82aに加わる回転方向のトルクが低トルクから高トルクへと変化する。このため、パルス出力の初期の回転方向のトルク変動を小さくすることができ、トルク変動時に発生するステッピングモータ(駆動モータ)82の回転音を低減することができる。
 
【0046】
  また、低トルクで回転させて一定の時間経過後には、基準電圧(第2の電圧)を印加して高トルクで回転させる。これにより、全体的なステッピングモータ82のトルク低下を抑制することができる。
 
【0047】
実施の形態2.
(空気清浄機の本体構造)
  
図4は、本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機の概略構成を示す斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機を、
図4に示す断面A−Aで切断した断面図である。
図6は、本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機の分解斜視図である。
 
【0048】
  本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機について、
図4から
図6に従って説明する。なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略することがある。
 
【0049】
  空気清浄機100は、本体1と支持台2で構成されている。本体1は、
図4に示すように縦方向に長い直方体状をしている。その直方体状の本体1の下方に支持台2が設けられている。支持台2は、本体1が向きを変えられるよう回動可能に支持している。本体1と支持台2の回動構造については後段で、
図7から
図9により詳しく説明する。
 
【0050】
  図6に示すように、本体1は直方体状の長手の4面をカバー部材で覆う構成となっている。詳しくは前面を前面パネル3、側面を側面カバー4、側面カバー5、後面を後面カバー6という、それぞれ樹脂成形で一体形成されたカバー部材で覆われている。
 
【0051】
  4面を前面パネル3、側面カバー4、側面カバー5、後面カバー6で覆われた内部には、本体1の主要構造物として、前部本体ケース7と後部本体ケース8を備えている。前部本体ケース7と後部本体ケース8は、それぞれ樹脂成形で一体形成されている。
 
【0052】
  後部本体ケース8には、ファン21、ファン用モータ22、モータ保持部材23からなる上方ファンユニット9、ファン24、ファン用モータ25、モータ保持部材26からなる下方ファンユニット10がそれぞれ取り付けられる。
 
【0053】
  上方ファンユニット9のファン用モータ22は、上ファンケーシング8aの上ファンケーシング後面板8bに設けられた上ファンケーシング後面板凹部8cに一部が入り込むようにして固定される。ファン用モータ22は、モータ保持部材23の図示しない穴からファン用モータ回転軸22aを通過させ、モータ保持部材23で固定される。その後、モータ保持部材23は、図示しないネジ(締結部品)で上ファンケーシング後面板8bに取り付けられる。
 
【0054】
  そして、ファン用モータ回転軸22aにファン21のふらつきを防止するためのワッシャー27a、ファン21、ファン21のふらつきを防止するためのワッシャー27bが通される。
図5に示すナット28でファン用モータ回転軸22aにファン21が固定されることで上方ファンユニット9が取り付けられる。
 
【0055】
  同様に、下方ファンユニット10のファン用モータ25は、下ファンケーシング8dの下ファンケーシング後面板8eに設けられた下ファンケーシング後面板凹部8fに一部が入り込むようにして固定される。ファン用モータ25は、モータ保持部材26の図示しない穴からファン用モータ回転軸25aを通過させ、モータ保持部材26で固定される。その後、モータ保持部材26は、ネジのような図示しない締結部品で下ファンケーシング後面板8eに取り付けられる。
 
【0056】
  そして、ファン用モータ回転軸25aにファン24のふらつきを防止するためのワッシャー27a、ファン24、ファン24のふらつきを防止するためのワッシャー27bが通される。
図5に示すナット28でファン用モータ回転軸25aにファン24が固定されることで下方ファンユニット10が取り付けられる。
 
【0057】
  上方ファンユニット9及び下方ファンユニット10が取り付けられた後部本体ケース8の前方に、前部本体ケース7は図示しないネジ(締結部品)で取り付けられる。前部本体ケース7は、上ファンケーシング8aを覆う上ファンケーシングカバー7aと、下ファンケーシング8dを覆う下ファンケーシングカバー7cを備える。
 
【0058】
  上ファンケーシングカバー7aには、上方ファンユニット9に空気を供給するための上ファンケーシングカバー開口7bが設けられている。下ファンケーシングカバー7cには、下方ファンユニット10に空気を供給するための下ファンケーシングカバー開口7dが設けられている。
 
【0059】
  上方ファンユニット9のファン21は、回転軸の鉛直方向から吸気して遠心方向に送出する多翼遠心ファンであるシロッコファンである。上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aによって、上方ファンユニット9が送風するためのスクロール空間が形成されている。
 
【0060】
  同様に、下方ファンユニット10のファン24もシロッコファンである。下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cによって、下方ファンユニット10が送風するためのスクロール空間が形成されている。
 
【0061】
  図5に示すように、上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間の上方には、前側送出口64が設けられている。前側送出口64は、上方ファンユニット9が回転軸の鉛直方向にある上ファンケーシングカバー開口7bから吸込んだ空気を遠心方向に送出するためのものである。
 
【0062】
  下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間の上方には、通風路66が設けられている。通風路66は、後部本体ケース8に図示しないネジ(締結部品)で取り付けられた後面カバー6と上ファンケーシング後面板8bとで形成される。
 
【0063】
  通風路66は、下方ファンユニット10が吸込んだ空気を、上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間の背面を通過させて、後側送出口65まで導く風路である。後側送出口65は、前側送出口64と同じ高さの位置に設けられる。
 
【0064】
  下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間は、上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間に対し、通風路66に寄った位置である後方側にずらして配置されている。
 
【0065】
  この配置により、下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間から通風路66に至る経路が急激に曲がることなく空気の風路抵抗を抑制できるようになっている。
 
【0066】
  前側送出口64と後側送出口65の上方にはガードネット31が取り付けられている。ガードネット31は、上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間及び通風路66を経由して下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間に異物が入り込まないようにするためのものである。
 
【0067】
  ガードネット31の上方には、上部ユニット40が設けられている。上部ユニット40は、前側ルーバー62と後側ルーバー63及び、それらを駆動する前側ルーバー駆動モータ54aと後側ルーバー駆動モータ54bを備えている。
 
【0068】
  前側ルーバー62は、前側送出口64から送出された上方ファンユニット9の送出空気を前方斜め上方から上方の範囲、例えば前方斜め上方45度から90度の範囲に送風するためのものである。同様に後側ルーバー63は、後側送出口65から送出された下方ファンユニット10の送出空気を前方斜め上方から上方の範囲、例えば前方斜め上方45度から90度の範囲に送風するためのものである。前側ルーバー62及び後側ルーバー63は、空気清浄機100が稼働していないときは閉じている。前側ルーバー62及び後側ルーバー63は、空気清浄機100が稼働するときに
図4のように開くようになっている。
 
【0069】
  さらに、上部ユニット40は人検出センサー45を備えている。人検出センサー45は、空気清浄機100が吸込んで送出する空気の送出方向を決定するために、空気清浄機100が置かれている居室にいる人間の位置を検出する。これにより人間が検出された位置に向かって送出する空気の送出方向を変更している。詳しくは、人間がいる位置の方向に本体1の前面パネル3が向くように、本体1を回動させて空気の送出方向を変更している。なお、本体1を回動させて空気の送出方向を変更することについては後段で説明する。
 
【0070】
  上部ユニット40の上面前方には操作表示部41が設けられている。操作表示部41は操作基板ユニット42と複数の操作スイッチ43及び意匠シート44で構成されている。空気清浄機100を稼働させるための各種選定等の入力は、操作スイッチ43によって行われる。操作基板ユニット42からの操作信号が制御基板49に送られる。また、入力情報や稼働状況を、図示しない表示手段に表示する。
 
【0071】
  図6に示すように制御基板49は、基板ケース48と50に組み込まれカバー47と51に覆われていて、制御基板ユニット46を構成している。制御基板49には、後述するマイコン49a、出力回路49b等で制御回路等が構成されている。出力回路49bは、基板に実装される電子部品で構成されている。
 
【0072】
  基板ケース48と50は難燃性の樹脂で形成されている。カバー47と51は金属で形成されている。制御基板ユニット46は、
図6に示す上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間と下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間との間の、風路の引き回しに影響を及ぼさない空間53に収容される。
 
【0073】
  制御基板49は操作基板ユニット42と、リード線カバー52で覆われた図示しない接続線で接続されている。
 
【0074】
  次に、前部本体ケース7と後部本体ケース8の側面方向、前面側からみて左側に側面カバー4が、右側に側面カバー5が取り付けられる。側面カバー4と5はそれぞれ、図示しない複数の挿入片を有しており、その挿入片が後面カバー6に設けられた係合部に挿入されて取り付けられる。側面カバー4と5は、前面側から図示しないネジ(締結部品)で前部本体ケース7に取り付けられる。側面カバー4と5が取り付けられると、後面カバー6を取り付けたネジ(締結部品)は側面カバー4と5で隠され、外観上見えなくなるので、意匠性が向上する。
 
【0075】
  側面カバー4には本体1の内部側に凹んだ凹状の手掛け部4aが設けられる。同様に側面カバー5には凹状の手掛け部5aが設けられる。使用者は、空気清浄機100を移動するときに、手掛け部4a及び手掛け部5aに手を掛けて持ち運べる。また、側面カバー4の上部には意匠シート4bが設けられている。側面カバー5の上部には意匠シート5bが設けられている。なお、意匠シート4bと5bは外観を向上させるためのものであるが必ずしも必要ではなく、側面カバー4と5の上部をそのまま外観意匠としてもよい。
 
【0076】
  次に、
図6に示すように、上ファンケーシングカバー開口7bの前方には上方ファンガード32が設けられている。下ファンケーシングカバー開口7dの前方には下方ファンガード33が設けられている。上方ファンガード32及び下方ファンガード33はスクロール空間に異物が入り込まないようにするためのものである。
 
【0077】
  さらにその前方には、脱臭フィルター34、HEPAフィルター35、プレフィルター36a、36bが設けられている。プレフィルター36a、36bで吸込んだ空気に含まれる大きめの塵埃を捕集し、脱臭フィルター34で吸込んだ空気の臭気を吸着して臭いを低減、さらにHEPAフィルター35でさらに細かい塵埃を捕集し空気を浄化して排出する。
 
【0078】
  これらフィルター類を覆うように、その前方に前面パネル3が着脱自在に取り付けられる。フィルター類の交換や清掃は、前面パネル3を取り外して簡単に行える。また、前面パネル3を取り付けると、前面側から側面カバー4と5を取り付けたネジ(締結部品)は前面パネル3に隠れ、外観上見えなくなるので意匠性が向上する。
 
【0079】
  前面パネル3の上方には凹状の落とし込みが設けられる。凹状の落とし込みは、その中央に開口を有している。前面パネル3が取り付けられた状態で、その開口から人検出センサー45が突出している。
 
【0080】
  図6に示すように、側面カバー4の前方には凹部4cが設けられている。同様に側面カバー5の前方には凹部5cが設けられている。
図4に示すように前面パネル3と側面カバー4の前方の凹部4cで、吸気口61が構成される。吸気口61は、上ファンケーシング8aと上ファンケーシングカバー7aで形成されたスクロール空間及び下ファンケーシング8dと下ファンケーシングカバー7cで形成されたスクロール空間に吸込まれる空気を吸気する。図示しないが、同様に前面パネル3と側面カバー5の前方の凹部5cでも吸気口が構成される。
 
【0081】
(本体の支持台構造)
  次に、
図7から
図9を用いて、本体1の下部と本体1を支持する支持台2について説明する。なお、前述の図を用いて説明する場合もある。
 
【0082】
  図7は本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機の、制御装置に制御されるステッピングモータが取り付けられた空気清浄機本体支持台の斜視図である。
図8は
図7に示す空気清浄機本体支持台の分解斜視図である。
図9の(a)は
図7に示す空気清浄機本体支持台の上方から見た平面図である。
図9の(b)は
図9の平面図(a)に示す断面B−Bで切断した断面図である。
 
【0083】
  支持台2は、本体1を回動可能に支持している。本体1は後述するステッピングモータ(駆動モータ)82によって回動するようになっている。
 
【0084】
  図7から
図9において、29は樹脂成形で形成された下部本体ケースである。下部本体ケース29は、
図6に示す前部本体ケース7の下部と後部本体ケース8の下部で前後から挟まれるように固定される。下部本体ケース29は、
図4及び
図5のように本体1に取り付けられる。下部本体ケース29には金属で形成された環状の摺動板74が、ネジ(締結部品)で取り付けられる。
 
【0085】
  下部本体ケース29には駆動ユニット支持部29aが設けられる。駆動ユニット支持部29aは、下方から上方へ向かって突出している(下側から見れば凹んでいる)。駆動ユニット支持部29aに本体回動駆動ユニット81が下方からネジ(締結部品)で取り付けられる。本体回動駆動ユニット81は、ステッピングモータ(駆動モータ)82、連結軸83、ピニオンギア84、軸受け85、から構成されている。
 
【0086】
  連結軸83はピニオンギア84に、ステッピングモータ(駆動モータ)82の駆動トルクを伝達するものである。連結軸83はピニオンギア84に取り付けられる。連結軸83は一端がステッピングモータ(駆動モータ)82と連結する。連結軸83の他端は軸受け85に回動自在に支持される。軸受け85は、保持部材86に取り付けられる。
 
【0087】
  支持台2は、左右方向が長手、前後方向が短手の平たい直方体のベース台71を備えている。ベース台71には、円形状の凹部が設けられている。この円形状の凹部の中心には回動中心軸ガイド73が設けられている。この回動中心軸ガイド73に回動中心軸76がネジのような締結部品で取り付けられる。
 
【0088】
  下部本体ケース29には中心部に回動中心軸受け29fが設けられている。下部本体ケース29をベース台71に取り付けるときに回動中心軸受け29fは回動中心軸76に回動自在に挿入される。下部本体ケース29は回動中心軸受け29fに挿入される。ストッパー79は、回動中心軸76に設けられた溝状凹部76aを挟み込むように取り付けられる。ストッパー79は、ベース台71から下部本体ケース29が抜けることを防止している。
 
【0089】
  また、下部本体ケース29には、複数の本体側車輪77と同数の本体側車輪保持部29eが設けられている。複数の本体側車輪保持部29eは、複数の本体側車輪77を回転自在に保持する。本体側車輪77は下部本体ケース29に保持される。本体側車輪77は、
図9(b)に示すように支持台2の底部に接触して本体1の回転を補助している。
 
【0090】
  ベース台71には複数の支持台側車輪78と同数の支持台側車輪保持部71fが設けられている。複数の支持台側車輪保持部71fは、複数の支持台側車輪78を回転自在に保持する。支持台側車輪78は支持台側車輪保持部71fに保持される。支持台側車輪78は、
図9(b)に示すように摺動板74の下面側に接触して本体1の回転を補助している。
 
【0091】
  ベース台71には、摺動板押さえ保持部71aが設けられる。摺動板74は、摺動板押さえ保持部71aに摺動板押さえ75がネジのような締結部品で取り付けられることで、下部本体ケース29がベース台71から抜けないよう縁部が押さえられている。但し、摺動板74は固定されている訳ではなく、回動自在に押さえられている。
 
【0092】
  ベース台71の凹部の縁部の内周壁に沿ってラックギア72が設けられている。下部本体ケース29の回動中心軸受け29fが回動中心軸76に挿入され、摺動板74が摺動板押さえ75で回動自在に押さえられ、下部本体ケース29が抜けないようにストッパー79が取り付けられた状態で、ラックギア72と本体回動駆動ユニット81のピニオンギア84が噛み合うようになっている。
 
【0093】
  次に、下部本体ケース29には、例えばフォトインタラプタからなる位置検出手段80a、80b、80cがそれぞれ位置検出手段保持部29b、29c、29dに保持されている。
 
【0094】
  フォトインタラプタは発光部と受光部を有している。フォトインタラプタは発光部が発した光を受光部が受光できる状態か、受光できない状態かによって検知をするセンサーである。位置検出手段80a、80b、80cは、回動中心軸76の中心から同心円上に等間隔で設けられている。
 
【0095】
  ベース台71には位置検出手段80a、80b、80cの発光部と受光部を遮るためのリブ状の遮断壁71bが底面から上方に突出して設けられている。遮断壁71bには、位置検出手段80a、80b、80cの発光部が発した光を通過可能な位置検出用スリット71c、71d、71eが等間隔に設けられている。位置検出用スリット71c、71d、71eは、回動中心軸76の中心から同心円上に設けられている。
 
【0096】
  図4に示すように前面パネル3と、支持台2のベース台71の左右長手方向の1辺が平行になっている状態が、本体1が基準状態の位置にあるとする。その基準状態で位置検出手段80aは位置検出用スリット71cと対応して配置されている。基準状態で位置検出手段80bは位置検出用スリット71dと対応して配置されている。基準状態で位置検出手段80cは位置検出用スリット71eと対応して配置されている。
 
【0097】
  この基準状態のとき、位置検出手段80a、80b、80cは全て発光部が発した光を受光部が受光できる状態である。よって、位置検出手段80a、80b、80c全てが受光できる状態にあるときに、本体1が基準状態の位置にあると判断ができる。
 
【0098】
  つまり、位置検出手段80a、80b、80cは全て発光部が発した光を受光部が受光できる状態になければ本体1が基準状態の位置にないと判断できる。これにより本体1を位置検出手段80a、80b、80cの全て受光できる位置まで戻るように回動させることで本体1を基準状態の位置に戻すことができる。
 
【0099】
(空気清浄機の動作)
  次に
図10を用いて空気清浄機100の動作を説明する。
図10は本発明の実施の形態2に係るステッピングモータの制御装置を備えた空気清浄機の概略ブロック図である。
 
【0100】
  制御基板49にはマイコン49aが実装され、基板上に設けられた図示しない配線パターンと実装された電子部品で出力回路49b等の制御回路が構成されている。本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置もステッピングモータ(駆動モータ)82を除き制御基板49の制御回路に含まれるように構成されている。
 
【0101】
  出力回路49bは上方ファンユニット9、下方ファンユニット10、前側ルーバー駆動モータ54a、後側ルーバー駆動モータ54b、ステッピングモータ(駆動モータ)82に接続されている。
 
【0102】
  空気清浄機100を稼働させるとき、まず、電源コード55の図示しないプラグをコンセントに挿入すると、位置検出手段80a、80b、80cが、本体1が正面を向いた状態であるかを検出する。
 
【0103】
  本体1が正面を向いた状態でなければ、マイコン49aがステッピングモータ(駆動モータ)82を駆動させ本体1が正面を向くように本体1を回動させて、本体1が正面を向くと待機状態となる。本体1が正面を向いた状態であった場合は、そのまま待機状態となる。
 
【0104】
  待機状態から使用者が操作スイッチ43を操作すると、操作基板ユニット42を介して入力信号が制御基板49のマイコン49aに送られる。前側ルーバー駆動モータ54aと後側ルーバー駆動モータ54bが駆動し、前側ルーバー62と後側ルーバー63が、送出される空気を前方斜め上方の方向に送風するように開く。
 
【0105】
  その後、上方ファンユニット9及び下方ファンユニット10が駆動し、空気の吸込みを開始する。外部の空気は、前面パネル3と側面カバー4の前方の凹部4cで構成された吸気口61と、前面パネル3と側面カバー5の前方の凹部5cで構成された図示しない吸気口から吸込まれる。吸込まれた空気は、プレフィルター36a、36bと脱臭フィルター34とHEPAフィルター35を経由し浄化される。
 
【0106】
  浄化された空気はさらにその後、上方ファンガード32と上ファンケーシングカバー開口7bを通過して上方ファンユニット9へ、下方ファンガード33と下ファンケーシングカバー開口7dを通過して下方ファンユニット10へ吸込まれる。
 
【0107】
  上方ファンユニット9に吸込まれた浄化された空気は、ガードネット31を通過し前側送出口64から送出され、前側ルーバー62により前方斜め上方の方向に送風される。同様に下方ファンユニット10に吸込まれた浄化された空気は、ガードネット31を通過し後側送出口65から送出され、後側ルーバー63により前方斜め上方の方向に送風される。
 
【0108】
  さらに、その後、人検出センサー45がセンシングを開始する。人検出センサー45は空気清浄機100が置かれている居室内に人が居るか否かを検出する。人が居ることが検出できなかった場合、マイコン49aは本体1を回動させず、送出した空気をより遠くまで到達させるべく、前側ルーバー62及び後側ルーバー63が前方斜め上方約45度を向くように前側ルーバー駆動モータ54aと後側ルーバー駆動モータ54bを駆動させる。
 
【0109】
  人検出センサー45は、人が居ることを検出したら、その人がいる位置の情報に関する信号を、操作基板ユニット42を介して制御基板49のマイコン49aに送る。マイコン49aはその位置情報に基づき、人がいる方向へ送風が向くように本体1を回動させるため、ステッピングモータ(駆動モータ)82を駆動させる。
 
【0110】
  ステッピングモータ(駆動モータ)82が駆動すると、ステッピングモータ(駆動モータ)82と連結した連結軸83に取り付けられたピニオンギア84が回転する。そのピニオンギア84がラックギア72との噛み合いにより回転しながら移動する。
 
【0111】
  ピニオンギア84の移動に伴い、下部本体ケース29は、回動中心軸76を中心として回動する。本体1は下部本体ケース29に締結されているので、下部本体ケース29の回動に追従して支持台2に対して回動する。そうして、本体1は人がいる位置の方向に前面パネルが向き、人がいる方向へ送風が向くようになる。
 
【0112】
  そして、送出した空気が人に直接当たらないよう、前側ルーバー62及び後側ルーバー63が上方約90度を向くように前側ルーバー駆動モータ54aと後側ルーバー駆動モータ54bを駆動させる。
 
【0113】
  以上のように本発明の実施の形態2に係る空気清浄機100は、本発明の実施の形態1に係るステッピングモータの制御装置を備えている。制御装置は、本体1が支持台2に対して回動するときのステッピングモータ(駆動モータ)82の駆動を制御するときに、電圧切替え手段108でパルス出力の初期は基準電圧(第2の電圧)よりも低い電圧(第1の電圧)を印加し、その後一定の時間経過後、基準電圧(第2の電圧)を印加するようにステッピングモータ82を制御する。これにより、ステッピングモータ82のロータ82aに加わる回転方向のトルクが低トルクから高トルクへと変化する。パルス出力の初期の回転方向のトルク変動を小さくすることができ、トルク変動時に発生するステッピングモータ82の回転音を低減することができる。このため、居室で空気清浄機100の本体1が回動しても、そのときに生じるステッピングモータ82の回転音が気にならない。