特許第6229841号(P6229841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229841
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】相互係合コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20171106BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R24/60
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-22863(P2014-22863)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-149251(P2015-149251A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 悠馬
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−539187(JP,A)
【文献】 特開2004−288494(JP,A)
【文献】 特開平10−284174(JP,A)
【文献】 特開2010−160976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 24/60
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に配される第1のハウジング,該第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、上記第1のハウジングに取り付けられて上記回路基板に固定される固定部材を備えた第1のコネクタと、
上記第1のハウジングとの嵌合状態をとる第2のハウジング,該第2のハウジングに配列配置され、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの嵌合状態をとるとき上記複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト、及び、上記第2のハウジングを部分的に覆う状態をもって該第2のハウジングに固定されるシェル部材を備えた第2のコネクタと、
を含んで構成され、
上記固定部材が、上記第2のハウジングの上記第1のハウジングに対する嵌合移動方向とは逆の方向に突出する柱状を成して段部が形成された係合係止部を有するとともに、上記シェル部材が、上記第2のハウジングにおける上記複数の第2のコンタクトが配列配置された部分を覆う本体部と、該本体部から上記係合係止部に対応することになる部位へと伸びて該係合係止部の突出方向に直交することになる方向において相互対向する一対の弾性係合腕状部とを有し、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの嵌合状態をとるとき、上記一対の弾性係合腕状部が上記係合係止部に該係合係止部を挟んで係合して上記段部に当接することにより位置規制されるものとされて、上記第2のハウジングを上記第1のハウジングに対して係止することを特徴とする相互係合コネクタ装置。
【請求項2】
上記第2のハウジングが、上記一対の弾性係合腕状部を収容する収容空間を形成する収容空間形成部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項3】
上記シェル部材が、上記本体部から伸びて上記一対の弾性係合腕状部を覆う蓋状部を有していることを特徴とする請求項2記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項4】
上記蓋状部が、該蓋状部の先端部分に上記収容空間形成部に固定される係合固定部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項5】
上記一対の弾性係合腕状部が、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されて上記係合係止部を挟むことになる一対の当接係合部が設けられたものとされ、上記一対の弾性係合腕状部が上記係合係止部に係合するとき、上記一対の当接係合部が上記係合係止部に弾性当接することを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項6】
上記一対の当接係合部が夫々有する一対の自由端部が相互対向するものとして配され、該一対の自由端部が相互離隔する方向に変位せしめられるとき、上記一対の当接係合部間の間隔が広げられることを特徴とする請求項5記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項7】
上記シェル部材が、上記本体部から伸びて上記一対の弾性係合腕状部を部分的に覆う蓋状部を有していることを特徴とする請求項6記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項8】
上記本体部と上記蓋状部との間に、上記一対の当接係合部が夫々有する一対の自由端部を上記シェル部材の外部から覗くことができる開口部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項9】
上記一対の当接係合部が夫々有する一対の自由端部に係合する解除ジグが、上記開口部を通じて上記シェル部材の外部から内部へと挿入される状態がとられることを特徴とする請求項8記載の相互係合コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、回路基板(配線基板を含む)に装着される第1のコネクタとケーブルや配線基板(フレキシブル印刷配線基板(FPC)を含む。)が連結される第2のコネクタとを含み、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられることにより、第2のコネクタに連結されたケーブルや配線基板を第1のコネクタが装着された回路基板に電気的に接続する相互係合コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の比較的細いケーブルや比較的小型なフレキシブル印刷配線基板を、各種の電気部品が取り付けられる回路基板に接続するにあたっては、複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板が連結されるプラグコネクタと、回路基板にそれとの電気的接続がなされて固定され、プラグコネクタが差込接続されるリセプタクルコネクタと、が用いられることが多い。プラグコネクタには、複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板との電気的接続がなされて配列配置される複数のプラグ側導電コンタクトが配される嵌合凸部が設けられる。また、リセプタクルコネクタには、プラグコネクタに設けられた嵌合凸部が挿入される嵌合凹部が設けられ、その嵌合凹部内において、各々の一端部が端子部とされて回路基板に接続されるもとで配列配置される複数のリセプタクル側導電コンタクトに、嵌合凹部に挿入されたプラグコネクタの嵌合凸部における複数のプラグ側導電コンタクトが、夫々押圧接触するものとされる。
【0003】
プラグコネクタにおける嵌合凸部は、絶縁材料によって構成されて複数のプラグ側導電コンタクトを支持するプラグ側ハウジングの一部として形成され、また、リセプタクルコネクタにおける嵌合凹部は、絶縁材料によって構成されて複数のリセプタクル側導電コンタクトを支持するリセプタクル側ハウジングの一部として形成される。そして、複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板が連結されたプラグコネクタにおける嵌合凸部が、回路基板に固定されたリセプタクルコネクタにおける嵌合凹部に挿入される際には、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングとの嵌合状態をとってプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが相互係合せしめられ、複数のプラグ側導電コンタクトと複数のプラグ側導電コンタクトとが相互接触接続状態におかれる。その結果、プラグコネクタに連結された複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板が、リセプタクルコネクタが固定された回路基板に電気的に接続される。
【0004】
このようにして、プラグコネクタに連結された複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板をリセプタクルコネクタが固定された回路基板に電気的に接続すべく、複数のケーブルあるいはフレキシブル印刷配線基板が連結されたプラグコネクタのプラグ側ハウジングが回路基板に固定されたリセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングに嵌合せしめられて、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが相互係合状態におかれるにあたっては、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングとの嵌合状態を安定に維持するものとされることが必要とされる。そのため、従来にあっては、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとを含んで構成され、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが相互係合せしめられたとき、プラグコネクタのプラグ側ハウジングをリセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止する係止手段を備えた相互係合コネクタ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1に示される相互係合コネクタ装置は、プラグ側ハウジング(インシュレータ(11)) とプラグ側ハウジングに回動可能に取り付けられた可動操作部材(プルバー(10))とを備えたプラグコネクタ(プラグ側コネクタ(100))、及び、リセプタクル側ハウジング(インシュレータ(21))を備えて基板に配されたリセプタクルコネクタ(基板側コネクタ(102))を含んで構成されている。プラグコネクタに備えられた可動操作部材は、金属棒状部材をもって形成されていて、両端の夫々に腕部(10b) と腕部(10b) の先端を成す回転軸(10a) とを有しており、回転軸はプラグ側ハウジングにおける外壁状部を外側から内側へと貫通していて、リセプタクルコネクタに対する係止部(ロック機構の一部)を成している。また、プラグコネクタのプラグ側ハウジングにおける外壁状部の外面には、リブ(7) が外方に突出するものとして設けられており、さらに、リセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングにおける内壁状部の外面には、突起部(1) が外方に突出するものとして設けられている。
【0006】
そして、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが相互係合状態におかれるときには、プラグコネクタのプラグ側ハウジングがその外壁状部がリセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングの内壁状部の外側に配されるようにしてリセプタクル側ハウジングに嵌合せしめられる。その際、プラグコネクタに備えられた可動操作部材における回転軸が、リセプタクル側ハウジングにおける内壁状部の外面に設けられた突起部に対する係合係止状態をとり、プラグ側ハウジングをリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止し、それによって、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングとの嵌合状態を維持するものとされる。
【0007】
その後、プラグコネクタに備えられた可動操作部材が回動せしめられると、可動操作部材の腕部がプラグ側ハウジングにおける外壁状部の外面に設けられたリブに乗り上げ、それにより、可動操作部材が弾性変形を生じて、可動操作部材の回転軸が、リセプタクル側ハウジングにおける内壁状部の外方に移動せしめられ、リセプタクル側ハウジングにおける内壁状部の外面に設けられた突起部に対する係合係止状態を解除する。その結果、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングに対する機械的な係止から解放されて、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングとの嵌合状態を解除し得る状態におかれる。可動操作部材の回転軸がリセプタクル側ハウジングに設けられたと突起部に対する係合係止状態を解除した後には、可動操作部材の更なる回動に伴って、弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−267977号公報(段落0058〜0069,図1〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような、従来提案されている、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとを含んで構成され、プラグコネクタのプラグ側ハウジングをリセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止する係止手段を備えた相互係合コネクタ装置にあっては、次のような不都合が見られる。
【0010】
先ず、特許文献1に示される相互係合コネクタ装置にあっては、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが相互係合状態におかれたもとで、プラグコネクタが備える金属棒状部材で成る可動操作部材における係止部を成す回転軸が、可動操作部材が弾性変形を生じていない状態のもとで、リセプタクルコネクタのリセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとって、プラグコネクタのプラグ側ハウジングをリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止し、また、可動操作部材が弾性変形を生じた状態のもとで、リセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態を解除し、プラグ側ハウジングをリセプタクル側ハウジングに対する機械的な係止から解放する。従って、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止される状態と、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングに対する機械的な係止から解放される状態とが繰り返される場合には、プラグ側ハウジングがリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止されるとき、一旦弾性変形を生じた後、弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における係止部を成す回転軸が、リセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとることになる。
【0011】
それゆえ、一旦弾性変形を生じた後弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における係止部を成す回転軸が、リセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとるとき、一旦弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻るにあたり、可動操作部材が、弾性変形に伴う塑性変形を生じて、元の状態には戻らない事態がまねかれる虞がある。斯かる事態がまねかれた際には、可動操作部材の塑性変形によりその回転軸の位置が変位してしまい、回転軸によるリセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止が適正に行われなくなって、プラグ側ハウジングについてのリセプタクル側ハウジングに対する機械的な係止が不確実なものとなってしまう。
【0012】
さらに、特許文献1に示される相互係合コネクタ装置にあっては、可動操作部材における係止部を成す回転軸が、プラグ側ハウジングにおける外壁状部を外側から内側へと貫通してプラグ側ハウジングによって支持されたもとで、リセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとるものとされている。即ち、可動操作部材における係止部を成す回転軸は、大なる剛性を有した金属部材に係合することなく、剛性において劣る絶縁材料により形成されたプラグ側ハウジング及びリセプタクル側ハウジングに係合することによって、プラグ側ハウジングをリセプタクル側ハウジングに対して機械的に係止するものとされている。それゆえ、取り分け、プラグコネクタ及びリセプタクルコネクタの夫々の小型・軽量化が図られて、プラグ側ハウジング及びリセプタクル側ハウジングの夫々の肉厚等が低減せしめられるもとにあっては、可動操作部材における回転軸のプラグ側ハウジングによる支持が堅固になされず、可動操作部材における回転軸によるリセプタクル側ハウジングに設けられた突起部に対する係合係止を十分な信頼性をもって確実に行うことができなくなってしまう虞がある。
【0013】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、回路基板に装着される、例えば、リセプタクルコネクタとされる第1のコネクタとケーブルや配線基板が連結される、例えば、プラグコネクタとされる第2のコネクタとを含み、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられることにより、第2のコネクタに連結されたケーブルや配線基板を第1のコネクタが装着された回路基板に電気的に接続された状態におくことができる機構を成すものであって、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合状態をとるもとで、第2のコネクタに設けられた一対の弾性係合腕状部が第1のコネクタに設けられた係合係止部にそれを挟んで係合することにより、第2のコネクタのハウジングについての第1のコネクタのハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって確実かつ安定に、さらには、堅固に行うことができる相互係合コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項9までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る相互係合コネクタ装置は、回路基板に配される第1のハウジング,第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、第1のハウジングに取り付けられて回路基板に固定される固定部材を備えた第1のコネクタと、第1のハウジングとの嵌合状態をとる第2のハウジング,第2のハウジングに配列配置され、第2のハウジングが第1のハウジングとの嵌合状態をとるとき複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト、及び、第2のハウジングを部分的に覆う状態をもって第2のハウジングに固定されるシェル部材を備えた第2のコネクタとを含んで構成される。そして、斯かる本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、第1のコネクタにおける固定部材が、第2のハウジングの第1のハウジングに対する嵌合移動方向とは逆の方向に突出する柱状を成して段部が形成された係合係止部を有するとともに、第2のコネクタにおけるシェル部材が、第2のハウジングにおける複数の第2のコンタクトが配列配置された部分を覆う本体部と、本体部から係合係止部に対応することになる部位へと伸びて係合係止部の突出方向に直交することになる方向において相互対向する一対の弾性係合腕状部とを有し、第2のハウジングが第1のハウジングとの嵌合状態をとるとき、一対の弾性係合腕状部が係合係止部にそれを挟んで係合して段部に当接することにより位置規制されるものとされて、第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止する。
【0015】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置においては、一対の弾性係合腕状部が、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されて係合係止部を挟むことになる一対の当接係合部が設けられたものとされ、一対の弾性係合腕状部が係合係止部に係合するとき、一対の当接係合部が係合係止部に弾性当接する。
【0016】
上述のような本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、第2のコネクタの第2のハウジングが第1のコネクタの第1のハウジングとの嵌合状態をとるとき、第2のコネクタにおける複数の第2のコンタクトが第1のコネクタにおける複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される。また、第2のコネクタにおけるシェル部材が有する一対の弾性係合腕状部が、第1のコネクタにおける固定部材が有する係合係止部にそれを挟んで係合して、係合係止部に形成された段部に当接することにより位置規制されるものとされる。その結果、一対の弾性係合腕状部が、第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止する役割を果たす。
【0017】
斯かるもとで、係合係止部は、第1のコネクタが備える固定部材において第2のハウジングの第1のハウジングに対する嵌合移動方向とは逆の方向に突出する柱状を成すものとされており、また、一対の弾性係合腕状部は、第2のコネクタにおけるシェル部材の本体部から係合係止部に対応することになる部位へと伸びて係合係止部の突出方向に直交することになる方向において相互対向するものとされている。それにより、一対の弾性係合腕状部が係合係止部を挟む方向は、係合係止部の突出方向に直交する方向となり、第2のハウジングに、第1のハウジングから離隔させようとする、第1のハウジングに対する第2のハウジングの嵌合移動方向とは逆の方向の力が作用するときには、係合係止部を挟んだ一対の弾性係合腕状部が係合係止部に形成された段部に当接して位置規制され、第2のハウジングの第1のハウジングからの離隔を阻止する。
【0018】
第2のコネクタにおけるシェル部材が有する一対の弾性係合腕状部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置の場合のように、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されて係合係止部を挟むことになる一対の当接係合部が設けられたものとされ、一対の弾性係合腕状部が係合係止部にそれを挟んで係合するときには、一対の当接係合部が係合係止部に弾性当接する。
【発明の効果】
【0019】
本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、第2のコネクタにおけるシェル部材が有する一対の弾性係合腕状部が、第1のコネクタにおける固定部材が有する係合係止部にそれを挟んで係合して係合係止部に形成された段部に当接することにより位置規制されるものとされて、第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止するときには、一対の弾性係合腕状部が係合係止部をその突出方向に直交する方向において挟むものとされ、それにより、第2のハウジングの第1のハウジングに対する嵌合移動方向とは逆の方向の力が第2のハウジングに作用するときには、係合係止部を挟んだ一対の弾性係合腕状部が係合係止部に形成された段部に当接して位置規制される。その結果、第2のハウジングの第1のハウジングから離隔しようとする方向の移動が阻止される。
【0020】
このように、本願発明に係る相互係合コネクタ装置によれば、第2のハウジングが第1のハウジングに対して機械的に係止されるにあたっては、一対の弾性係合腕状部が係合係止部をその突出方向に直交する方向において挟んで当該係合係止部に係合するものとされ、第2のハウジングの第1のハウジングに対する嵌合移動方向とは逆の方向の力が第2のハウジングに作用するときには、係合係止部を挟んだ一対の弾性係合腕状部が係合係止部に形成された段部に当接して位置規制されるので、一対の弾性係合腕状部と係合係止部とにより、第2のコネクタの第2のハウジングについての第1のコネクタの第1のハウジングに対する係止を、十分な信頼性をもって確実かつ安定に行うことができる。
【0021】
また、本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、一対の弾性係合腕状部及び係合係止部の夫々を大なる剛性を有した金属部材とすることができ、その際には、一対の弾性係合腕状部の係合係止部に対する係合は、金属部材の金属部材に対する係合となり、それゆえ強固に行われることになる。その結果、一対の弾性係合腕状部と係合係止部とによる第2のハウジングの第1のハウジングに対する係止を、十分な信頼性をもって堅固に行うことができる。
【0022】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置によれば、第2のコネクタにおけるシェル部材が有する一対の弾性係合腕状部が、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されて係合係止部を挟むことになる一対の当接係合部が設けられたものとされ、一対の弾性係合腕状部が係合係止部にそれを挟んで係合するときには、一対の当接係合部が係合係止部に弾性当接するので、一対の弾性係合腕状部と係合係止部とによる第2のコネクタの第2のハウジングについての第1のコネクタの第1のハウジングに対する係止を、より一層確実かつ安定に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例を構成するリセプタクルコネクタ及びプラグコネクタを、リセプタクルコネクタが回路基板に装着されるとともにプラグコネクタに複数のケーブルが連結されたもとで、個々に分離された状態をもって示す斜視図である。
図2図1における二点鎖線円A内を拡大して示す部分斜視図である。
図3図1に示されるリセプタクルコネクタが備える固定部材を示す斜視図である。
図4図1に示されるプラグコネクタを、複数のケーブルが連結されたもとでシェル部材が分離された状態をもって示す斜視図である。
図5図4における二点鎖線円B内を拡大して示す部分斜視図である。
図6図4における二点鎖線枠C内を一部分が切除されたもとで拡大して示す部分斜視図である。
図7図1に示される回路基板に装着されたリセプタクルコネクタと複数のケーブルが連結されたプラグコネクタとが相互嵌合せしめられた状態を示す斜視図である。
図8図1に示される回路基板に装着されたリセプタクルコネクタと複数のケーブルが連結されたプラグコネクタとが相互嵌合した状態を示す正面図である。
図9図8におけるIX−IX線断面を示す断面図である。
図10図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合途中にある状態を部分的に示す部分断面図である。
図11図8におけるXI−XI線断面を示す断面図である。
図12図1に示される回路基板に装着されたリセプタクルコネクタと複数のケーブルが連結されたプラグコネクタとが相互嵌合せしめられ、それ等に対して解除ジグが配された状態を示す斜視図である。
図13図1に示される回路基板に装着されたリセプタクルコネクタと複数のケーブルが連結されたプラグコネクタとが相互嵌合せしめられ、それ等に対して解除ジグが配された状態を示す斜視図である。
図14図1に示される回路基板に装着されたリセプタクルコネクタと複数のケーブルが連結されたプラグコネクタとが相互嵌合せしめられ、それ等に対して解除ジグが配された状態を示す正面図である。
図15図14におけるXV−XV線断面を示す断面図である。
図16図14における XVI−XVI 線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0025】
図1は、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例を構成する第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11及び第2のコネクタを成すプラグコネクタ12を相互に分離された状態をもって示す。リセプタクルコネクタ11は、回路基板13に装着されており、また、プラグコネクタ12には複数のケーブル14が連結されている。そして、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とは、相互係合状態をとるものとされている。
【0026】
図1に示される第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング15(第1のハウジング)を備えており、ハウジング15は回路基板13における図1において上方に向いた面(以下、上面という。)に配されている。
【0027】
ハウジング15には、後述される図9に示されるプラグコネクタ12のハウジング23(第2のハウジング)に設けられた嵌合凸部26が挿入される嵌合凹部16が、ハウジング15の長手方向に沿って伸びる溝部を成すものとして設けられており、プラグコネクタ12のハウジング23に設けられた嵌合凸部26がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に設けられた嵌合凹部16に挿入されたとき、ハウジング23がハウジンング15との嵌合状態におかれる。また、ハウジング15には、各々が弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成す複数のリセプタクル側コンタクト17(第1のコンタクト)が、ハウジング15の長手方向に沿って配列配置されている。図1における二点鎖線円A内を拡大して図示する図2及び後述される図9に示されるように、複数のリセプタクル側コンタクト17の夫々には、回路基板13の上面に設けられた配線端子部(図示が省略されている。)に接続される基板接続部17aと、後述されるプラグコネクタ12に備えられるプラグ側コンタクト25(第2のコンタクト)におけるプラグコネクタ12のハウジング23に設けられた嵌合凸部26に配された当接部25bが当接する接触接続部17bとが、夫々帯状部材の両端部分を成すものとして設けられている。接触接続部17bは、嵌合凹部16内に臨むものとされている。
【0028】
さらに、ハウジング15には、その長手方向における一対の端部18の夫々に金属部材とされた固定部材19が取り付けられている。図3に示されるように、固定部材19は、回路基板13の上面に設けられた接続金属部(図示が省略されている。)に半田付けされる三方に突出する突出板状部20aを形成する半田付け部20と、半田付け部20からハウジング15に対するプラグコネクタ12のハウジング23の嵌合移動方向とは逆の方向に突出する柱状、例えば、円柱状を成すものとされた係合係止部21とを有している。ここで言う嵌合移動方向とは、ハウジング23がハウジング15との嵌合状態におかれる際にハウジング23がハウジング15に向かって移動する方向である。そして、係合係止部21には、その先端部分21aに連なる大径部分を成す段部21bが形成されている。
【0029】
固定部材19は、半田付け部20における突出板状部20aが回路基板13の上面に設けられた接続金属部に半田付けされることにより、回路基板13に固定される。そして、ハウジング15の長手方向における一対の端部18に夫々取り付けられた一対の固定部材19が回路基板13に固定されることにより、ハウジング15が回路基板13の上面に固定されることになる。
【0030】
図1に示される第2のコネクタを成すプラグコネクタ12は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング23(第2のハウジング)とハウジング23を部分的に覆う状態をもってハウジング23に固定されたシェル部材24とを備えている。シェル部材24は、例えば、金属板部材に打ち抜き・屈曲加工が施されて形成されたものとされている。また、プラグコネクタ12には、各々が同軸ケーブルとされた複数のケーブル14が、ハウジング23及びシェル部材24の夫々の長手方向に沿って配列配置されて連結されている。
【0031】
シェル部材24がハウジング23から取り外されたプラグコネクタ12をそれに連結された複数のケーブル14と共に図示する図4に示されるように、ハウジング23には、各々が弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成す複数のプラグ側コンタクト25(第2のコンタクト)が、ハウジング23の長手方向に沿って配列配置されている。図4における二点鎖線円B内を拡大して図示する図5及び後述される図9(後述される図8におけるIX−IX線断面を示す断面図。)に示されるように、複数のプラグ側コンタクト25の夫々には、ケーブル14の中心導体14aが接続されるケーブル接続部25aと、ハウジング23に設けられた嵌合凸部26に配されて、リセプタクル側コンタクト17における接触接続部17bに当接する当接部25bとが設けられている。ハウジング23に設けられた嵌合凸部26は、それに配された複数のリセプタクル側コンタクト25における当接部25bを伴って、リセプタクルコネクタ11のハウジング15に設けられた嵌合凹部16に挿入されるものとされている。
【0032】
また、ハウジング23には、配列配置された複数のケーブル14の夫々の外側導体14bに接続された接地接続板部材27が、ハウジング23の長手方向に沿って伸びるものとして配されている。図9に示されるように、接地接続板部材27は複数のケーブル14の夫々の外側導体14bを挟む一対の導電性板材によって構成されている。
【0033】
シェル部材24は、ハウジング23における複数のプラグ側コンタクト25が配列配置された部分及び接地接続板部材27を覆う本体部28と、シェル部材24の長手方向における両端部の夫々において本体部28からシェル部材24の長手方向に沿って伸びる一対の弾性係合腕状部29と、シェル部材24の長手方向における両端部の夫々において本体部28からシェル部材24の長手方向に沿って伸びて弾性係合腕状部29を部分的に覆う蓋状部30を有している。シェル部材24の両端部の夫々に設けられた一対の弾性係合腕状部29は、本体部28から、ハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15との嵌合状態におかれるときリセプタクルコネクタ11に設けられた係合係止部21に対応することになる部位へと伸びて、リセプタクルコネクタ11における係合係止部21の突出方向に直交することになる方向において相互対向するものとされている。また、シェル部材24の両端部の夫々に設けられた蓋状部30は、帯状連結部31によって本体部28の端部に連結されている。そして、蓋状部30における帯状連結部31に近接した部分には、リセプタクルコネクタ11における係合係止部21の先端部分21aが挿入される透孔30aが形成されており、また、蓋状部30における先端部分には、ハウジング23に係合する係合固定部30bが形成されている。
【0034】
図4における二点鎖線枠C内を蓋状部30が切除されたもとで拡大して図示する図6に示されるように、相互対向する一対の弾性係合腕状部29は、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されてリセプタクルコネクタ11に設けられた係合係止部21を挟むことになる一対の当接係合部29aが設けられたものとされ、一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21に係合するとき、一対の当接係合部29aが係合係止部21に弾性当接する。また、一対の当接係合部29aが夫々有する一対の自由端部29bは、帯状連結部31を挟むことになる位置において相互対向するものとされる。
【0035】
上述のような一対の弾性係合腕状部29,蓋状部30及び帯状連結部31が両端部の夫々に設けられたシェル部材24にあっては、両端部の夫々において、本体部28と蓋状部30との間に帯状連結部31を挟む一対の開口部32が設けられていることになる。従って、シェル部材24にあっては、その両端部に二つの一対の開口部32の組が夫々設けられていることになり、これらの一対の開口部32を通じて、一対の弾性係合腕状部29に夫々設けられた一対の当接係合部29aが夫々有する一対の自由端部29bをシェル部材24の外部から覗くことができる。
【0036】
また、ハウジング23の長手方向における両端部の夫々には、シェル部材24の長手方向における両端部の夫々に設けられた一対の弾性係合腕状部29,蓋状部30及び帯状連結部31を収容する収容空間33を形成する収容空間形成部34が設けられている。そして、図1に示されるように、一対の弾性係合腕状部29,蓋状部30及び帯状連結部31が収容空間形成部34により形成された収容空間33に収容されたとき、蓋状部30における先端部分に形成された係合固定部30bが収容空間形成部34に固定される。
【0037】
このようなもとで、第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11のハウジング15に設けられた嵌合凹部16に第2のコネクタを成すプラグコネクタ12のハウジング23に設けられた係合凸部26が挿入されて、ハウジング23がハウジング15との嵌合状態をとるものとされるとき、図7及び図8に示されるように、回路基板13に装着されたリセプタクルコネクタ11と複数のケーブル14が連結されたプラグコネクタ12とが相互係合状態におかれる。その際、リセプタクルコネクタ11のハウジング15の一対の端部18の夫々に取り付けられた固定部材19が有する係合係止部21の先端部分21aが、プラグコネクタ12が備えるシェル部材24に設けられ、プラグコネクタ12のハウジング23の長手方向における両端部の夫々に設けられた収容空間形成部34が形成する収容空間33内に収容された蓋状部30における透孔30aに挿入される。
【0038】
リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態におかれて、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15との嵌合状態をとるもとにあっては、図9に示されるように、ハウジング23に設けられた係合凸部26がハウジング15に設けられた嵌合凹部16に挿入されており、係合凸部26に配されたプラグ側コンタクト25における当接部25bが、嵌合凹部16内に臨むものとされたリセプタクル側コンタクト17における接触接続部17bに当接する。それにより、プラグコネクタ12のハウジング23に配列配置された複数のプラグ側コンタクト25がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に配列配置された複数のリセプタクル側コンタクト17に夫々接触接続される。その結果、各々の中心導体14aが複数のプラグ側コンタクト25の夫々におけるケーブル接続部25aに接続された複数のケーブル14が、複数のプラグ側コンタクト25及び複数のリセプタクル側コンタクト17を介して、複数のリセプタクル側コンタクト17の夫々における基板接続部17aが接続された配線端子部を有する回路基板13に電気的に連結される。
【0039】
また、斯かる際には、プラグコネクタ12のハウジング23の長手方向における両端部の夫々に設けられた収容空間形成部34が形成する収容空間33内に収容された一対の弾性係合腕状部29が、プラグコネクタ12のハウジング23のリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する嵌合移動方向に移動しつつ、リセプタクルコネクタ11のハウジング15の一対の端部18の夫々に取り付けられた固定部材19が有する係合係止部21に係合する。プラグコネクタ12のハウジング23のリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する嵌合移動方向は、係合係止部21の固定部材19における半田付け部20からの突出方向とは逆の方向、即ち、係合係止部21の先端部分21aから固定部材19における半田付け部20に向かう方向である。従って、一対の弾性係合腕状部29は、係合係止部21にその先端部分21aから固定部材19における半田付け部20に向かう方向に移動しつつ係合することになる。
【0040】
このように一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21に係合するときにおける係合過程においては、先ず、図10に示されるように、一対の弾性係合腕状部29が夫々有する一対の当接係合部29aが、係合係止部21に形成された先端部分21aに連なる大径部分を成す段部21bに、それを係合係止部21の固定部材19における半田付け部20からの突出方向に直交する方向において挟んで弾性当接するものとされる。このとき、一対の当接係合部29aは、大径部分を成す段部21bによって押し広げられて、相互間隔が拡大された状態におかれる。また、一対の当接係合部29aが、係合係止部21に形成された先端部分21aから大径部分を成す段部21bに至る過程において、一対の弾性係合腕状部29が生じる虞のある、係合係止部21の固定部材19における半田付け部20からの突出方向への変形が、弾性係合腕状部29を部分的に覆う蓋状部30によって抑制される。
【0041】
続いて、一対の弾性係合腕状部29は、係合係止部21の先端部分21aから固定部材19における半田付け部20に向かう方向の更なる移動に伴って係合係止部21に形成された段部21bを通過し、図8におけるXI−XI線断面を示す図11に示されるように、一対の当接係合部29aが、係合係止部21における段部21bに隣接した段部21bより小なる径を有する小径部分に、それを係合係止部21の固定部材19における半田付け部20からの突出方向に直交する方向において挟んで弾性当接する状態をとって停止する。このとき、一対の当接係合部29aは、係合係止部21における大径部分を成す段部21bによって押し広げられた状態を脱し、相互間隔が低減されて係合係止部21における段部21bに隣接した小径部分にそれを挟んで弾性当接するものとされる。それにより、一対の弾性係合腕状部29と係合係止部21とによって、一対の弾性係合腕状部29が設けられたシェル部材24が固定されたプラグコネクタ12のハウジング23が、係合係止部21が設けられた固定部材19が取り付けられたリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止される。なお、図11においては、係合係止部21における大径部分を成す段部21bが仮想線をもってあらわされている。
【0042】
斯かるもとで、プラグコネクタ12のハウジング23に、リセプタクルコネクタ11のハウジング15から離隔させようとする、ハウジング23のハウジング15に対する嵌合移動方向とは逆の方向の力が作用すると、係合係止部21における段部21bに隣接した小径部分を挟んだ一対の弾性係合腕状部29における一対の当接係合部29aが、係合係止部21における段部21bに当接して位置規制され、一対の弾性係合腕状部29のハウジング23のハウジング15に対する嵌合移動方向とは逆の方向への移動が禁止される。その結果、プラグコネクタ12のハウジング23のリセプタクルコネクタ11のハウジング15からの離隔が充分な信頼性をもって確実に阻止される。
【0043】
このようにして、プラグコネクタ12のハウジング23の長手方向における両端部及びリセプタクルコネクタ11のハウジング15における長手方向における一対の端部18において、ハウジング23に固定されたシェル部材24に設けられた一対の弾性係合腕状部29がハウジング15における端部18に取り付けられた固定部材19に設けられた係合係止部21に係合することにより、ハウジング23のハウジング15に対する機械的係止が、充分な信頼性をもって確実かつ安定に行われ、ハウジング23がハウジング15に嵌合した状態が安定に維持される。
【0044】
上述のようにプラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に嵌合した状態がとられたもとで、ハウジング23のハウジング15との嵌合状態を解除させる必要が生じた場合には、予め用意された、例えば、図12に示されるような解除ジグ40が用いられる。解除ジグ40は、例えば、剛性が比較的大とされた金属板部材に打抜き・屈曲加工が施されて形成されたものとされ、一端縁部に、相互対向する一対の係合解除部41の組が二つ設けられている。これら二つの一対の係合解除部41の組のうちの一方の組と他方の組との間の間隔は、プラグコネクタ12のシェル部材24に設けられた二つの一対の開口部32の組のうちの一方の組と他方の組との間の間隔に相当するものに選定されている。
【0045】
そして、ハウジング23のハウジング15との嵌合状態を解除させるにあたっては、解除ジグ40が、図12に示されるような、回路基板13に装着されたリセプタクルコネクタ11に係合したプラグコネクタ12に対向した位置から、プラグコネクタ12に向かって移動せしめられ、図13及び図14に示されるように、解除ジグ40に設けられた一対の係合解除部41が、プラグコネクタ12のシェル部材24に設けられた一対の開口部32を夫々通じてシェル部材24の外部から内部へと挿入されることになる位置をとるものとされる。シェル部材24の内部へと挿入された一対の係合解除部41は、図14におけるXV−XV線断面を示す図15及び図14における XVI−XVI 線断面を示す図16に示されるように、シェル部材24に設けられた一対の弾性係合腕状部29に夫々設けられた一対の当接係合部29aが夫々有する一対の自由端部29bに当接係合して、一対の自由端部29bの各々を相互離隔させる方向(図16における一対の矢印Mによって示される方向)に変位させ、一対の自由端部29b間の間隔を増大させる。それに伴い、一対の弾性係合腕状部29に夫々設けられた一対の当接係合部29aが相互離隔する方向に変位せしめられて、一対の当接係合部29a間の間隔が、一対の当接係合部29aが係合係止部21における大径部分を成す段部21bをハウジング15に対するハウジング23の嵌合移動方向とは逆の方向に通過し得るように拡大される。
【0046】
このようにして、シェル部材24の内部へと挿入された一対の係合解除部41により、一対の当接係合部29aが夫々有する一対の自由端部29bの各々が相互離隔する方向に変位せしめられたもとで、プラグコネクタ12のハウジング23が、リセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する嵌合移動方向とは逆の方向に移動せしめられると、一対の弾性係合腕状部29に夫々設けられた一対の当接係合部29aが、係合係止部21における大径部分を成す段部21bをハウジング15に対するハウジング23の嵌合移動方向とは逆の方向に通過するものとされ、一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21との係合を解除して、係合係止部21から離隔する。それにより、一対の弾性係合腕状部29と係合係止部21とによるハウジング23のハウジング15に対する機械的係止が解かれて、ハウジング23のハウジング15との嵌合状態が解除される。
【0047】
上述のようなリセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とを含んで構成される本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例においては、プラグコネクタ12におけるシェル部材24が有する一対の弾性係合腕状部29が、リセプタクルコネクタ11における固定部材19が有する係合係止部21にそれを挟んで係合して係合係止部21に形成された大径部分を成す段部21bに当接することにより位置規制されるものとされて、プラグコネクタ12のハウジング23をリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止するときには、一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21をその突出方向に直交する方向において挟むものとされ、それにより、ハウジング23のハウジング15に対する嵌合移動方向とは逆の方向の力がハウジング23に作用するときには、係合係止部21を挟んだ一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21に形成された段部21bに当接して位置規制される。その結果、プラグコネクタ12のハウジング23のリセプタクルコネクタ11のハウジング15から離隔しようとする方向の移動が阻止される。
【0048】
このように、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例によれば、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止されるにあたっては、一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21をその突出方向に直交する方向において挟んで当該係合係止部21に係合するものとされ、ハウジング23のハウジング15に対する嵌合移動方向とは逆の方向の力がハウジング23に作用するときには、係合係止部21を挟んだ一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21に形成された段部21bに当接して位置規制されるので、一対の弾性係合腕状部29と係合係止部21とにより、ハウジング23についてのハウジング15に対する係止を、十分な信頼性をもって確実かつ安定に行うことができる。
【0049】
また、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例にあっては、一対の弾性係合腕状部29及び係合係止部21の夫々が比較的大なる剛性を有した金属部材とされるので、一対の弾性係合腕状部29の係合係止部21に対する係合は、金属部材の金属部材に対する係合となり、それゆえ強固に行われることになる。その結果、一対の弾性係合腕状部29と係合係止部21とによるハウジング23のハウジング15に対する係止を、十分な信頼性をもって堅固に行うことができる。
【0050】
さらに、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例によれば、プラグコネクタ12におけるシェル部材24が有する一対の弾性係合腕状部29が、各々が互いに逆方向をもって折返し屈曲されて係合係止部21を挟むことになる一対の当接係合部29aが設けられたものとされ、一対の弾性係合腕状部29が係合係止部21にそれを挟んで係合するときには、一対の当接係合部29aが係合係止部21に弾性当接するので、一対の弾性係合腕状部29と係合係止部21とによるハウジング23についてのハウジング15に対する係止を、より一層確実かつ安定に行うことができることになる。
【0051】
なお、上述の本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例にあっては、リセプタクルコネクタ11のハウジング15に取り付けられた固定部材19が有する係合係止部21が円柱状を成すものとされているが、係合係止部21は、円柱状ではなく、板柱状を成すものとされてもよい。斯かる場合には、先端部分に連なる段部が広幅部とされた頸部によって形成され、その頸部に狭幅部が隣接するものとされる。また、上述の本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例にあっては、プラグコネクタ12がそれに複数のケーブル14が連結されるものとされているが、本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、プラグコネクタが、それに、複数のケーブルに代えて、フレキシブル配線基板あるいは回路基板が連結されるものとされてもよい。斯かる際には、プラグコネクタに連結されたフレキシブル配線基板あるいは回路基板が、複数のプラグ側コンタクト及び複数のリセプタクル側コンタクトを介して、複数のリセプタクル側コンタクトの夫々ににおける基板接続部が接続された配線端子部を有する回路基板に電気的に連結される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のような本願発明に係る相互係合コネクタ装置は、回路基板に装着される、例えば、リセプタクルコネクタとされる第1のコネクタとケーブルや配線基板が連結される、例えば、プラグコネクタとされる第2のコネクタとを含み、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられることにより、第2のコネクタに連結されたケーブルや配線基板を第1のコネクタが装着された回路基板に電気的に接続された状態におくことができる機構を成すものであって、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合状態をとるもとで、第2のコネクタに設けられた一対の弾性係合腕状部が第1のコネクタに設けられた係合係止部にそれを挟んで係合することにより、第2のコネクタのハウジングについての第1のコネクタのハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって確実かつ安定に、さらには、堅固に行うことができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0053】
11 ・・・リセプタクルコネクタ(第1のコネクタ), 12・・・プラグコネクタ(第2のコネクタ), 13・・・回路基板, 14・・・ケーブル, 14a・・・中心導体, 14b・・・外側導体, 15・・・ハウジング(第1のハウジング), 16・・・嵌合凹部, 17・・・リセプタクル側コンタクト(第1のコンタクト), 17a・・・基板接続部, 17b・・・接触接続部, 18・・・(ハウジング15の)端部, 19・・・固定部材, 20・・・半田付け部, 21・・・係合係止部, 21a・・・(係合係止部21の)先端部分, 21b・・・段部, 23・・・ハウジング(第2のハウジング), 24・・・シェル部材, 25・・・プラグ側コンタクト(第2のコンタクト), 25a・・・ケーブル接続部, 25b・・・当接部, 26・・・嵌合凸部, 27・・・接地接続板部材, 28・・・(シェル部材24の)本体部, 29・・・弾性係合腕状部, 29a・・・当接係合部, 29b・・・(当接係合部29aの)自由端部, 30・・・蓋状部, 30a・・・透孔, 31・・・帯状連結部, 32・・・開口部, 33・・・収容空間, 34・・・収容空間形成部, 40・・・解除ジグ, 41・・・係合解除部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16