【実施例】
【0027】
図1は本発明の実施例である生コンクリート製造システムを説明するための概念図である。
図1において、本発明の生コンクリート製造システムは、第1のミキシング工程および第2のミキシング工程を行うセメントぺースト作製用ミキサ11と、セメント等の原料を貯蔵する原料貯蔵槽12と、前記セメントぺースト作製用ミキサ11によって作製されたセメントぺーストと、水と、細骨材および粗骨材等を入れて、本練りを行う本練り用ミキサ18とから少なくとも構成されている。
【0028】
原料貯蔵槽12から供給されるセメントは、セメント計量器13によって所定の量が計量された後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。また、減水剤は、減水剤計量器14によって計量された後、水タンク15からの水と一緒になって、水計量器16により計量され、その後、水量調整弁17を介してセメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。さらに、水の量および空気を連行するAE剤(界面活性剤、以下、単にAE剤と記載する)は、水と共に前記水計量器16によって計量され、空気の連行量が制御される。
【0029】
前記水量調整弁17は、後述の水・セメント比制御装置の制御によって、水および減水剤を適当な量と時間に調整しながら前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入する。第1のミキシング工程は、前記水量調整弁17およびAE剤の制御の基に、水および空気の連行量を所定量と所定時間かけて徐々に供給され、混練される。その後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11は、前記水量調整弁17が全開されて、第2のミキシング工程に必要な水、減水剤、およびAE剤が投入される。
【0030】
前記第1のミキシング工程から第3のミキシング工程は、
図6に記載されている示方配合で行った。セメントは、ポルトランドセメントを使用し、
図6に示す示方配合の場合、ブリーディングが少なく、強度の硬いコンクリートを得ることができた。また、その時の水のセメントに対する重量%は、40%であることが判った。AE剤の空気連行量は、4.5%とした。
【0031】
前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程に使用するセメントぺースト作製用ミキサ11は、たとえば、弾力のあるゴム製からなり、攪拌羽根を持たずに、高速で偏心回転できるような混合槽から構成される。前記セメントぺースト作製用ミキサ11の形状および構造は、
図4において後述する。前記第1のミキシング工程は、前記セメントぺースト作製用ミキサ11において、前記セメントと水、減水剤、およびAE剤の量が徐々に供給されて、上手に攪拌混合されるため、セメントボールができずに、良質で均一に攪拌されたセメントペーストを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、セメントボールができないだけでなく、AE剤により連行した微細な空気泡が蒸気を加えても、膨張せずに微細なまま、コンクリートの内部に留まることができるため、凍結融解抵抗性を高くすることができ、より高い強度のコンクリートができるとともに、ブリーディングの発生が無く、短時間の養生で済むコンクリートを得ることができるようになった。
【0032】
第1のミキシング工程および第2のミキシング工程が終了したセメントぺーストは、セメントぺースト作製用ミキサ11から投入シュート181を介して、本練り用ミキサ18に供給される。細骨材は、細骨材計量器183により計量された後、投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。同様に、粗骨材は、粗骨材計量器184および前記投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。第3のミキシング工程は、前記本練り用ミキサ18によって、前記セメントぺーストと、細骨材と、粗骨材とを混練した後、生コンクリートを得る。
【0033】
図2は本発明の実施例である生コンクリート製造方法を工程順に説明するためのブロック構成図である。
図2において、第1のミキシング工程215は、セメント211、一次水(最適水比の水)212、減水剤213、AE剤214を所定の量で所定時間をかけるため、水量調整弁を介して徐々に投入しながらセメントペースト作製用ミキサを高速偏心回転させてミキシングを行う。第2のミキシング工程は、二次水(残りの水)216、減水剤217、およびAE剤218を一度に前記混合槽に供給し、攪拌する。前記セメントペースト作製用ミキサにおいて、攪拌されたセメントぺーストは、移動・静置工程を経て、第3のミキシング工程219を行う本練り用ミキサに供給される。前記移動・静置工程は、セメントの種類あるいは使用する生コンクリートの強度等によって設けられる。
【0034】
前記一次水(最適水比の水)212は、ポルトランドセメントに対して重量比で、24%の時、ブリーディングが最も少なくり、また、水和反応性が最も高くなることが判った。また、前記効果は、ブリーディング試験、セメントペーストの水和収縮試験、簡易断熱温度測定試験により確認した。前記一次水(最適水比の水)212は、減水剤を添加しない場合のものであるが、前述のように、減水剤を入れた場合であっても、ブリーディングが少なく、所望の硬度を得ることができた。AE剤の量は、必要に応じて、エアメーターによって空気量を推定(225)することができる。前記AE剤は、第1ミキシング工程215および第2ミキシング工程219において、必要に応じて、一回または二回に分けて供給することができる。
【0035】
第3のミキシング工程223は、本練り用ミキサにおいて、粗骨材221および細骨材222が供給され、前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程によって得られたセメントぺーストとともに本練りが行われて、生コンクリートとなる。前記生コンクリートは、排出工程224により、専用工場における予め決められた形状の型枠に投入し、蒸気養生を行った後に、成形されたプレキャストコンクリートとなる。
【0036】
図3は本発明の生コンクリート製造方法における水およびセメント等の供給量、ミキサ駆動モータの制御、水量調整弁の制御等を説明するためのブロック構成図である。
図3において、セメントは、セメント貯蔵槽311からセメント計量器312よって計量された後、セメントぺースト作製用ミキサ316に投入される。水タンク313からの水は、水計量器314によって所定の量とするとともに、水量調整弁315によって、徐々にセメントぺースト作製用ミキサ316に投入される。
【0037】
前記ミキサ駆動モータ317は、駆動モータ制御部318の制御により制御される。前記水量調整弁315は、水・セメント比制御装置30によって制御される。前記水・セメント比制御装置30は、負荷電流検出部301と、マイコン302と、メモリ303と、水量調整弁制御部304と、表示部305とから少なくとも構成されている。
【0038】
前記負荷電流検出部301は、セメントぺースト作製用ミキサ316を駆動するモータの負荷電流を検出する。前記セメントぺースト作製用ミキサ316を駆動するモータの負荷電流の代わりに、負荷トルクを検出することもできる。前記マイコン302は、負荷電流検出部301によって検出された前記負荷電流または負荷トルクを信号として、駆動モータ制御部318および水量調整弁制御部304へ送り、ミキサ駆動モータ317および水量調整弁315を制御する。
【0039】
また、前記マイコン302は、予めメモリ303に記憶されているセメントの種類とその量、水の量、AE剤の連行する空気量、負荷電流(負荷トルク)の値等のデータを基にして制御を行う。前記マイコン302は、前記負荷電流検出部301により、負荷電流が最大になった際に、水量調整弁制御部304により、水量調整弁315を閉じるように制御する。最大の負荷電流または負荷トルクが検出された状態は、前記セメントペースト作製用ミキサ316のセメントペーストが一番練り込まれた状態であり、セメントボールがない一つに纏まった塊状になっている。
【0040】
表示部305は、メモリ303の記憶内容を表示装置に表示する。前記表示部305は、セメントの種類、水およびAE剤の量等、目的に合ったコンクリートの強度、ブリーディングの発生程度、養生(養生または蒸気養生)時間等を表示して、適宜選択することにより、所望の品質の生コンクリートを得ることができる。前記コンクリート作製システムの水・セメント比制御装置30は、前記表示部305に、運転中および運転完了の表示ができるとともに、メモリ303の記憶内容、前記セメントペースト作製用ミキサの回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態等を表示する。なお、AE剤の量は、セメントぺースト用ミキサ316における空気量を推定している。
【0041】
図4は本発明の実施例に使用したセメントペースト作製用ミキサの概念構成を説明するための図である。
図4において、セメントペースト作製用ミキサ41は、モータ42と、前記モータ42によって回転する回転板と偏心部材からなる偏心機構43と、弾性部材から構成される弾性底部44と、前記弾性底部44に連設されているほぼ円筒状筐体45と、前記弾性底部44および円筒状筐体45からなる混合槽の底部を構成する半球状底部46とから少なくとも構成されている。
【0042】
前記セメントペースト作製用ミキサ41は、半球状底部46が偏心しながら回転するとともに、前記弾性底部44の弾性による伸び縮みにより、内部に入っているセメントペースト47に強い加速度を与えながら、不規則に旋回することにより、水とセメントが均一に攪拌されるため、セメントボールの発生がなくなる。特に、前記セメントペースト作製用ミキサ41における弾性底部44は、高速偏心回転により、一方が伸び、他方が縮むようになり、水およびセメントの不規則性を大きくして回転する。前記水とセメントは、前記セメントペースト作製用ミキサ41の不規則な偏心高速回転により、セメント粒子間に働く水の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなり、一つに纏まった塊状の混練物が得られるようになる。
【0043】
前記セメントペースト作製用ミキサ41は、たとえば、毎分200回転の高速攪拌を行い、内部に強い旋回流を生じるようにする。前記旋回流による遠心力の作用は、前記セメントペースト作製用ミキサ41の中心軸から円周方向に向かって放射状に急激な圧力の増大が起こる。また、半球状底部46は、偏心機構43を介して傾斜しながら回転するようになっているため、旋回流も絶えず偏心しながら、その向きを変えることになり、混合槽の内壁部に打つ付けられる際の衝撃により混練物に強烈なせん断力と圧力変動を与える。したがって、前記AE剤により連行された空気泡は、微粒子化され、従来のミキサーで行う混練と比較して、微細な空気泡となる。
【0044】
図5は本発明の実施例におけるセメント、細骨材、粗骨材、混和剤、練混ぜ水等の割合の一例を示す図である。
図5において、混和剤の中には、AE剤が含まれている。また、前記各材料は、種類、密度、粗粒率、産地及び生産会社が示されている。
図6は本発明の実施例における各工程における示方配合の例を示す図である。
図6において、空気量は4.5%、s/aは骨材中に占める細骨材の容積割合、W/Cは水とセメントとの重量比、Wは水、Cは普通ポルトランドセメント、Sは細骨材、G1005は粗骨材を示し、SP(%)は高性能減水剤、AE(%)はAE剤の重量を表している。
【0045】
本発明において、混和材は、セメント、水、骨材以外で、コンクリートに混和する材料のうち、比較的使用量が多く(1ないし3割程度)、それ自体の容積がコンクリートの容積に算入される。前記混和材は、粉末状の混和材料であり、たとえば、
フライアッシュあるいは高炉スラグ微粉末等である。混和剤は、セメント、水、骨材以外で、コンクリートに混和する材料のうち、使用量が少なく、それ自体の容積がコンクリートの容積に算入されない物の総称である。前記混和剤は、減水剤あるいはAE剤で、液体状の混和材料である。減水剤は、コンクリートに対して、所定の柔らかさ(スランプ)を得るのに必要な水量を減らさせることができるものである。単位水量、単位セメント量の削減あるいは作業性(ワーカビリティー)の向上に効果がある。
【0046】
AE剤は、コンクリート中に微細な独立空気泡を連行させるための混和剤で、凍結融解に対する耐久性あるいは作業性の向上に効果がある。s/aは、コンクリート中の全骨材(粗骨剤+細骨剤)に対する細骨材の容積割合(%)−大まかに言うと砂の割合である。
【0047】
図7は本発明の実施例で、シングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)における相対動弾性係数および質量減少率の違いを説明するための図である。
図7において、シングルミキシングは、凍結融解サイクルが多くなると、相対動弾性係数が大幅に低下しており、質量減少率も低下している。これに対して、本発明のダブルミキシングは、凍結融解サイクル数を300にしても、相対動弾性係数および質量減少率の変化が少ない。
【0048】
図8は本発明の実施例で、凍結融解試験結果におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の違いを説明するための図である。
図8における凍結融解試験結果は、凍結融解サイクルが多くなると、シングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)において、相対動弾性係数に大きな相違が出ることを表している。
【0049】
図9は本発明の実施例における凍結融解試験結果におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の前置き時間および養生パターンを説明するための図である。シングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)は、
図9に示すように、前置き時間および養生パターンを同じにしている。
図10は本発明の養生温度と養生時間(時間)を説明するための図である。
図10において、本発明は、前置き時間および蒸気養生時間を短くすることができる。
【0050】
図11は本発明の実施例における試験項目および試験方法を示すものである。
図11において、試験項目および試験方法は、JISに規定されている通りに行っている。
図12は本発明のシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)におけるコンクリートのフレッシュ性状を説明するための図である。コンクリートのフレッシュ性状については、シングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)において相違がない。
【0051】
図13は本発明のシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)における圧縮強度を説明するための図である。
図14はシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)におけるコンクリートの密度を説明するための図である。コンクリート密度は、シングルミキシング(SM)と比較して、ダブルミキシング(DM)の方が小さくなっている。この時の気泡間隔係数は、少なくとも200μmから250μm以下にすることができた。
【0052】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の実施例に記載された制御系のブロックは、周知または公知の技術によって達成できるものである。