(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、基板と;前記基板の表面に設けられた配線パターンと;前記配線パターンの上に設けられた発光素子と;前記発光素子を囲むように設けられた包囲壁部材と;前記基板と、前記包囲壁部材と、の間に設けられた接続部と;前記配線パターンの上に設けられ、膜状を呈し、厚み方向に貫通した除去部を有する制御素子と;を具備した照明装置である。そして、
前記接続部は、シリコーン樹脂を含んでいる。前記接続部は、前記除去部を覆っている。
この照明装置によれば、サージ電圧に対する耐性を高めることができ、且つ小型化を図ることができる。
また、この照明装置によれば、接合部の弾性を高めることができる。そのため、温度変化時に発生する包囲壁部材の線膨張係数と基板の線膨張係数との差による応力を緩和したり、気密性を高めたりすることができる。また、接合部の耐熱性および耐光劣化性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御素子の少なくとも一部は、前記基板と、前記包囲壁部材と、の間に設けられている照明装置である。
この照明装置によれば、照明装置をさらに小さくすることが可能となる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記除去部は、前記制御素子の前記発光素子が設けられる領域に近い側に設けられている照明装置である。
この照明装置によれば、制御素子において生じた熱が発光素子に与える影響を小さくすることができる。
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1および
図2は、本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。 なお、
図1は照明装置1の模式斜視図、
図2は照明装置1の模式分解図である。
また、
図1および
図2においては、図を見やすくするために封止部27を省いて描いている。
図3は、発光部20の模式平面図である。
図4は、発光部20の回路図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、照明装置1には、本体部10、発光部20、給電部30、およびソケット40が設けられている。
本体部10には、収納部11、フランジ部12、およびフィン13が設けられている。 収納部11は、円筒状を呈し、フランジ部12の一方の面から突出している。収納部11の内側には、発光部20が収納されている。また、収納部11の内側には、給電部30の給電端子31が突出している。
【0015】
フランジ部12は、円板状を呈し、一方の面には収納部11が設けられ、他方の面にはフィン13が設けられている。
フィン13は、フランジ部12の面から突出して複数設けられている。複数のフィン13は、板状を呈し、放熱フィンとして機能する。
【0016】
本体部10は、発光部20および給電部30などを収納する機能と、発光部20や給電部30で発生した熱を照明装置1の外部に放出する機能とを有する。
そのため、熱を外部に放出することを考慮して、本体部10を熱伝導率の高い材料から形成することができる。例えば、本体部10は、アルミニウム、アルミニウム合金、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PETやナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い炭素や酸化アルミニウム等の繊維や粒子を混合させたものである。
この場合、フィン13などの熱を外部に放出する部分を熱伝導率の高い材料から形成し、その他の部分を樹脂などから形成することもできる。
【0017】
また、本体部10の主要部分を導電性材料で構成する場合は、給電端子31と本体部10の導電性材料との間の電気絶縁性を確保するため、給電端子31の周囲を絶縁材料(図示しない)で覆い、更に、その周囲に導電性材料を配置する構成としても良い。絶縁材料は、例えば、樹脂などであって、熱伝導率が高い材料が好ましい。また、本体部10には、車両用灯具に脱着可能な取り付け部が設けられても良い。
【0018】
図3に示すように、発光部20には、基板21、発光素子22、制御素子23a、制御素子23b、配線パターン24、配線25、包囲壁部材26、封止部27、接合部28、制御素子29a、制御素子29b、被覆部51および制御素子52が設けられている。
基板21は、本体部10の収納部11の内側に設けられている。
基板21は、板状を呈し、表面に配線パターン24が設けられている。
基板21は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁材料で被覆したものであってもよい。なお、金属板の表面を絶縁材料で被覆する場合には、絶縁材料は、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなるものであってもよい。
【0019】
この場合、発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁材料で被覆したものなどを例示することができる。
また、基板21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0020】
発光素子22は、基板21の表面に設けられた配線パターン24の上に複数設けられている。
発光素子22は、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)に図示しない電極を有したものとすることができる。なお、図示しない電極は、配線パターン24に設けられる側の面(下面)と、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)とに設けられていてもよいし、どちらかの面のみに設けられていてもよい。
【0021】
発光素子22の下面に設けられた図示しない電極は、銀ペーストなどの導電性の熱硬化材を介して配線パターン24に設けられた実装パッド24bと電気的に接続されている。発光素子22の上面に設けられた図示しない電極は、配線25を介して配線パターン24に設けられた配線パッド24cと電気的に接続されている。
【0022】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22の光の出射面である上面は、照明装置1の正面側に向けられており、主に、照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0023】
配線パターン24は、基板21の少なくとも一方の表面に設けられている。
配線パターン24は、基板21の両方の面に設けることもできるが、製造コストを低減させるためには、基板21の一方の面に設けるようにすることが好ましい。
配線パターン24には、入力端子24aが設けられている。
入力端子24aは、複数設けられている。入力端子24aには、給電部30の給電端子31が電気的に接続されている。そのため、発光素子22は、配線パターン24を介して、給電部30と電気的に接続されている。
【0024】
配線25は、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとを電気的に接続する。
配線25は、例えば、金を主成分とする線とすることができる。ただし、配線25の材料は、金を主成分とするものに限定されるわけではなく、例えば、銅を主成分とするものや、アルミニウムを主成分とするものなどであってもよい。
【0025】
配線25は、例えば、超音波溶着または熱溶着により、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとに電気的に接続される。配線25は、例えば、ワイヤボンディング法を用いて、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとに電気的に接続することができる。
【0026】
包囲壁部材26は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。包囲壁部材26は、例えば、環状形状を有し、中央部26aに複数の発光素子22が配置されるようになっている。
包囲壁部材26は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)やPC(polycarbonate)などの樹脂や、セラミックスなどから形成することができる。
【0027】
また、包囲壁部材26の材料を樹脂とする場合には、酸化チタンなどの粒子を混合して、発光素子22から出射した光に対する反射率を向上させるようにすることができる。
なお、酸化チタンの粒子に限定されるわけではなく、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料からなる粒子を混合させるようにすればよい。
また、包囲壁部材26は、例えば、白色の樹脂から形成することもできる。
【0028】
包囲壁部材26の中央部26a側の側壁面26bは斜面となっている。発光素子22から出射した光の一部は、包囲壁部材26の側壁面26bで反射されて、照明装置1の正面側に向けて出射される。
また、発光素子22から照明装置1の正面側に向けて出射された光の一部であって封止部27の上面(封止部27と外気との界面)で全反射した光は、包囲壁部材26の中央部26a側の側壁面26bで反射して、再び照明装置1の正面側に向けて出射される。
【0029】
すなわち、包囲壁部材26は、リフレクタの機能を併せ持つものとすることができる。なお、包囲壁部材26の形態は、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0030】
封止部27は、包囲壁部材26の中央部26aに設けられている。封止部27は、包囲壁部材26の内側を覆うように設けられている。すなわち、封止部27は、包囲壁部材26の内側に設けられ、発光素子22と配線25とを覆っている。
封止部27は、透光性を有する材料から形成されている。封止部27は、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
封止部27は、例えば、包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
【0031】
包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填すれば、発光素子22、包囲壁部材26の中央部26aに配置された配線パターン24、および配線25などに対する外部からの機械的な接触を抑制することができる。また、水分やガスなどが、発光素子22、包囲壁部材26の中央部26aに配置された配線パターン24、および配線25などに付着することを抑制することができる。そのため、照明装置1に対する信頼性を向上させることができる。
【0032】
また、封止部27には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0033】
接合部28は、包囲壁部材26と、基板21とを接合する。
接合部28は、膜状を呈し、包囲壁部材26と、基板21と、の間に設けられている。
接合部28は、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を硬化させることで形成されたものとすることができる。
【0034】
接合部28は、例えば、以下の手順により形成することができる。
まず、基板21の表面の包囲壁部材26が設けられる領域に、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を塗布する。
例えば、ディスペンサなどを用いて、基板21の表面の包囲壁部材26が設けられる領域に接着剤を塗布する。
この際、制御素子52の除去部52aをも覆うように接着剤を塗布することができる。 なお、除去部52aを覆うことに関する詳細は後述する。
次に、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させ、接合部28を形成するとともに、包囲壁部材26と、基板21とを接合する。
例えば、まず、塗布された接着剤の上に包囲壁部材26を載置する。
続いて、包囲壁部材26を押圧して接着剤を包囲壁部材26に密着させるとともに、包囲壁部材26の位置(接着剤の厚み)を調整する。
その後、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させる。
【0035】
ここで、接着剤の硬化前の粘度は、1Pa・s〜15Pa・sであることが好ましい。 この様な粘度とすれば、ディスペンサなどを用いて塗布を行う際に、任意の形状に塗布することが容易となる。
また、この様な粘度とすれば、接着剤を硬化させる際に、包囲壁部材26の位置を安定させることができる。
【0036】
図3および
図4に示すように、照明装置1には、2系統の回路が設けられている。
すなわち、入力端子であるAnode1とグランド端子(GND)との間には、制御素子29b、制御素子23b、および発光素子22が直列接続されている。
また、制御素子52は、発光素子22と並列に接続されている。制御素子52の一端は、制御素子29bのアノード側に接続されている。制御素子52の他端は、グランドに接続されている。なお、制御素子52の一端が制御素子29bのカソード側に接続され、制御素子52の他端がグランドに接続されていてもよい。
入力端子であるAnode2とグランド端子(GND)との間には、制御素子29a、制御素子23a、および発光素子22が直列接続されている。
また、これらの回路において、グランド端子(GND)は共通となっている。
【0037】
制御素子23aおよび制御素子23bは、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子23aおよび制御素子23bは、発光素子22に流れる電流を制御する。
発光素子22の順方向電圧特性にはばらつきがあるので、Anode1(またはAnode2)と、グランド端子(GND)と、の間の印加電圧を一定にすると、発光素子22の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22の明るさが所定の範囲内に収まるように、制御素子23aおよび制御素子23bにより、発光素子22に流れる電流の値が所望の範囲内となるようにしている。
【0038】
制御素子23aおよび制御素子23bは、例えば、抵抗器とすることができる。制御素子23aおよび制御素子23bは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。
なお、
図3に例示をした制御素子23aおよび制御素子23bは、膜状の抵抗器である。
【0039】
この場合、制御素子23aおよび制御素子23bの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所望の範囲内となるようにすることができる。
【0040】
例えば、制御素子23aおよび制御素子23bが膜状の抵抗器の場合には、制御素子23aおよび制御素子23bの一部を除去して図示しない除去部をそれぞれ形成することで、それぞれの抵抗値を変化させることができる。この場合、制御素子23aおよび制御素子23bの一部を除去すれば、それぞれの抵抗値は増加することになる。
制御素子23aおよび制御素子23bの一部の除去は、例えば、制御素子23aおよび制御素子23bにレーザ光を照射することで行うことができる。
制御素子23aおよび制御素子23bの数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0041】
制御素子29aおよび制御素子29bは、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子29aおよび制御素子29bは、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられている。
制御素子29aおよび制御素子29bは、例えば、ダイオードとすることができる。制御素子29aおよび制御素子29bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどとすることができる。
【0042】
制御素子52は、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子52は、発光ダイオードの断線の検出や、誤点灯防止などのために設けられている。制御素子52は、プルダウン抵抗である。
制御素子52は、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器とすることができる。
制御素子52は、例えば、酸化ルテニウムを用いて形成された膜状の抵抗器とすることができる。
酸化ルテニウムを用いて形成された膜状の抵抗器とする場合には、抵抗断面積に対する電流値が15A/mm
2以下となるようにすることが好ましい。なお、抵抗断面積に対する電流値が15A/mm
2以下となるようにすることは、トリミングの有無とは関係がない。
抵抗断面積に対する電流値が15A/mm
2以下となるようにすれば、サージ電圧に対する耐性を向上させることができる。
また、制御素子52は、厚み方向に貫通した除去部52aを有する。
なお、制御素子52に関する詳細は後述する。
また、一例として、2系統の回路が設けられる場合を例示したが、回路の系統数は2系統に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0043】
図3に示すように、被覆部51は、配線パターン24の一部、膜状の抵抗器である制御素子23a、制御素子23b、および膜状の抵抗器である制御素子52を覆うように設けられている。
なお、制御素子29a、制御素子29bおよび発光素子22が設けられる部分、配線25が接続される部分、および給電端子31が接続される部分には被覆部51が設けられていない。
被覆部51は、水分やガスなどが配線パターン24、制御素子23a、制御素子23b、および制御素子52に接触するのを抑制するため、および、電気絶縁性を確保するために設けられている。
【0044】
被覆部51は、ガラス材料を含むものとすることができる。
被覆部51は、例えば、以下のようにして形成することができる。
まず、ガラスペーストを作成する。
ガラスペーストは、例えば、ガラス粉末、フィラー、および有機溶剤を含むものとすることができる。
ガラス粉末は、例えば、珪素、バリウム、カルシウム、およびビスマスなどを含むものとすることができる。
フィラーは、例えば、酸化アルミニウムを含むものとすることができる。
有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレンなどとすることができる。
【0045】
次に、スクリーン印刷法などを用いて、基板21の表面の所定の領域にガラスペーストを塗布する。
次に、ガラスペーストを焼成して被覆部51を形成する。
【0046】
給電部30には、複数の給電端子31が設けられている。
複数の給電端子31は、収納部11およびフランジ部12の内側を延びている。複数の給電端子31の一方の端部は、収納部11の底面から突出し、配線パターン24の入力端子24aと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、本体部10の基板21が設けられる側とは反対の側から露出している。
【0047】
なお、給電端子31の数、配置、形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、給電部30は、図示しない基板や、コンデンサや抵抗などの回路部品を備えたものとすることもできる。なお、図示しない基板や回路部品は、例えば、収納部11またはフランジ部12の内部に設けることができる。
【0048】
ソケット40は、本体部10の基板21が設けられる側とは反対の側に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。
ソケット40には、図示しない電源などが電気的に接続されている。
そのため、ソケット40を給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
ソケット40は、例えば、接着剤などを用いて本体部10側の要素に接合することができる。
【0049】
次に、制御素子52についてさらに説明する。
前述したように、制御素子52はプルダウン抵抗である。
ここで、プルダウン抵抗である制御素子52には、サージ電圧が印加される場合がある。例えば、照明装置1が車載用である場合には、オルタネータのフィールドコイルなどの誘導系負荷から放出されるノイズが制御素子52に印加される場合がある。そのため、照明装置1が車載用である場合には、負のサージ電圧に対する耐性を確認するための試験(フィールドディケイ試験)が行われる。負のサージ電圧に対する耐性を高めるためには、制御素子52の耐熱性や耐圧性を高める必要がある。
【0050】
この場合、制御素子52として、表面実装型の抵抗器や、リード線を有する抵抗器を複数個設けるようにすれば、耐熱性や耐圧性を高めることができる。例えば、制御素子52として、定格電力が0.5W以上の表面実装型の抵抗器を10個以上直列接続したり、定格電力が2W以上のリード線を有する抵抗器を2個以上直列接続したりすれば、耐熱性や耐圧性を高めることができる。
しかしながら、表面実装型の抵抗器や、リード線を有する抵抗器を複数個設けるようにすれば、基板21の面積が大きくなり、ひいては照明装置1の小型化が図れなくなるおそれがある。また、基板21の面積が大きくなり、抵抗器の実装も必要となるので、製造コストが増加するおそれがある。
【0051】
また、制御素子52として、例えば、平面寸法が5mm×5mmの膜状の抵抗器を2個以上直列接続すれば、耐熱性や耐圧性を高めることができる。この場合、基板21との接触面積が大きい膜状の抵抗器とすれば、表面実装型の抵抗器や、リード線を有する抵抗器と比べて、放熱性を高めることができる。また、膜状の抵抗器とすれば、スクリーン印刷法などを用いて形成することができるので、製造コストの増加を抑制することができる。また、膜状の抵抗器とすれば、表面実装型の抵抗器や、リード線を有する抵抗器と比べて、基板21の面積を小さくすることができる。
【0052】
ただし、制御素子52として、膜状の抵抗器を単に設けるようにすると、制御素子52を設けない場合に比べて、基板21の面積が大きくなる。
例えば、膜状の抵抗器の抵抗値を1kΩ(500Ωの抵抗器を2個直列接続した場合)、負のサージ電圧をVs=−462V、膜状の抵抗器の厚み寸法を10μm、膜状の抵抗器の幅寸法の4割を残してトリミングする場合には、膜状の抵抗器の幅寸法は、1.55mm程度となる。
【0053】
そのため、照明装置1においては、制御素子52を膜状の抵抗器とし、膜状の抵抗器の少なくとも一部の上に、包囲壁部材26の少なくとも一部が設けられるようにしている。すなわち、制御素子52の少なくとも一部は、基板21と包囲壁部材26との間に設けられている。つまり、平面視において、制御素子52の少なくとも一部と、包囲壁部材26の少なくとも一部が重なるようにしている。
制御素子52を膜状の抵抗器とし、制御素子52の少なくとも一部が、基板21と包囲壁部材26との間に設けられているようにすれば、基板21の面積が大きくなることを抑制することができる。
すなわち、照明装置1をさらに小さくすることが可能となる。
【0054】
この場合、一般的には、制御素子52の抵抗値は高いものとなる。例えば、制御素子52の抵抗値は、1kΩ〜3kΩ程度とすることができる。そのため、制御素子52に流れる電流の値は、発光素子22に流れる電流の値に比べて低くなるので、制御素子52における発熱量は小さなものとなる。
その結果、制御素子52の少なくとも一部が、基板21と包囲壁部材26との間に設けられているようにしても、制御素子52において生じた熱が発光素子22に与える影響を小さくすることができる。
【0055】
ただし、制御素子52は、多少なりとも発熱する。この場合、発熱量が大きい領域は、厚み方向に貫通した除去部52a(トリミングにより除去された部分)と、除去部52aと対峙する制御素子52の辺との間となる。例えば、
図3に示す領域Aとなる。
そのため、領域Aと発光素子22との間の距離が長くなるように、除去部52aを設けるようにすることがより好ましい。
すなわち、除去部52aは、制御素子52の発光素子22が設けられる領域に近い側に設けられているようにすることが好ましい。
【0056】
ここで、制御素子52を膜状の抵抗器とした場合、抵抗値のばらつきが大きくなるおそれがある。例えば、抵抗値が±30%程度の範囲内でばらつくおそれがある。制御素子52の抵抗値のばらつきは、発光素子22の電流値ばらつきの要因となり、ひいては発光量や熱損失のばらつきの要因となる。
そのため、制御素子52を膜状の抵抗器とした場合には、トリミングを行うことで、発光素子22に流れる電流の値が所望の範囲内となるように、制御素子52の抵抗値を調整することが好ましい。
例えば、制御素子52にレーザ光を照射することで、除去部52aを形成して、制御素子52の抵抗値を調整することができる。この場合、除去部52aを形成すれば、抵抗値は増加することになる。
制御素子52の上には被覆部51が設けられているが、制御素子52にレーザ光を照射することで、除去部52aが形成されるとともに被覆部51の一部が除去される。
被覆部51の一部が除去されると、制御素子52の一部が露出することになるので、水分やガスなどの付着や、外部からの機械的な接触により、制御素子52の抵抗値が変化するおそれがある。
そのため、少なくとも被覆部51が除去された部分、すなわち、除去部52aを覆う必要がある。
【0057】
この場合、少なくとも除去部52aを覆うようにガラスペーストを塗布し、ガラスペーストを焼成してガラス材料を含む被膜を形成することができる。
しかしながら、ガラスペーストを焼成する際に、制御素子52が高温になり、制御素子52の抵抗値が変化して、抵抗値にばらつきが発生するおそれがある。
【0058】
また、少なくとも除去部52aを覆うように樹脂を塗布し、被膜を形成することができる。
しかしながら、制御素子23a、制御素子23b、および給電端子31などと、配線パターン24と、の接続のために、基板21の所定の領域には、はんだペーストが塗布される。そのため、はんだペーストの印刷工程、およびリフローはんだ付け工程の前に樹脂を塗布すると、樹脂が塗布された領域及びその周囲において、はんだペースト印刷用の版と基板との間に隙間が生じ、はんだペーストの量が多くなるので、部品が正常な位置にはんだ付けできなかったり、配線間に余分なはんだが付着して配線間の電気短絡(ショート)の原因となるおそれがある。
【0059】
そのため、以下の手順により、少なくとも除去部52aを覆う被膜を形成することが好ましい。
まず、配線パターン24、制御素子52、および被覆部51などを、基板21の上に設ける。
次に、制御素子52にレーザ光を照射して除去部52aを形成する。
続いて、リフローはんだ付けにより、制御素子23aおよび制御素子23bなどをはんだ付けする。
【0060】
次に、実装パッド24bの上に発光素子22を設ける。
続いて、包囲壁部材26と、基板21とを接合するために、基板21の所定の領域に接合部28となるシリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を塗布する。
この際、少なくとも除去部52aを覆うように、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を塗布する。
この場合、シリコーン系接着剤を用いるようにすれば、接合部28は、シリコーン樹脂を含むものとなる。シリコーン樹脂を含む接合部28とすれば、接合部28の弾性を高めることができる。そのため、温度変化時に発生する包囲壁部材26の線膨張係数と基板21の線膨張係数との差による応力を緩和したり、気密性を高めたりすることができる。また、シリコーン系接着剤を用いるようにすれば、接合部28の耐熱性および耐光劣化性を向上させることができる。
【0061】
その後、塗布された接着剤の上に包囲壁部材26を載置し、接着剤を硬化させる。
接着剤が硬化することで、包囲壁部材26と、基板21とが接合されるとともに、少なくとも除去部52aを覆う被膜が形成される。
この様にすれば、リフローはんだ付け工程への影響をなくすことができるとともに、除去部52aを覆う被膜を形成する工程を別途設ける必要がなくなる。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。