【文献】
中川 正雄,可視光通信,映像情報メディア学会誌,日本,2008年12月 1日,Vol.60 No.12,P.1908-1913
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空間光送信器は、自身のID情報を記憶するID情報記憶部を備え、前記伝送信号生成部は、該ID情報を含む情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成して前記投光駆動回路に出力し、該ID情報を含む情報信号を重畳した空間光を投光することを特徴とする請求項1記載の空間光伝送装置。
前記空間光送信器の投光部の投光素子として、可視光を照射する素子が使用され、前記空間光受信器の受光器の受光素子として可視光用のフォトダイオードが使用されることを特徴とする請求項1記載の空間光伝送装置。
前記携帯端末は、利用者に提供するコンテンツ情報または該携帯端末で動作するソフトウエアプログラムの起動情報を含む制御情報を記憶する記憶部を有し、該記憶部のコンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報を変更する場合、転送ケーブルまたは外部メモリーを介して、該コンテンツ情報または該ソフトウエアプログラムの制御情報を収集し、該コンテンツ情報または該ソフトウエアプログラムの制御情報を前記ID情報に対応して該記憶部に記憶することを特徴とする請求項2記載の空間光伝送装置。
前記携帯端末は、利用者に提供するコンテンツ情報または該携帯端末で動作するソフトウエアプログラムの起動情報を含む制御情報を記憶する記憶部を有し、該記憶部のコンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報を変更する場合、ネットワーク上のコンテンツサーバにアクセスして、該コンテンツ情報または該ソフトウエアプログラムの制御情報を収集し、該コンテンツ情報または該ソフトウエアプログラムの制御情報を前記ID情報に対応して該記憶部に記憶することを特徴とする請求項2記載の空間光伝送装置。
前記空間光受信器の受光部及び受光回路に、前記携帯端末のマイク入力端子から供給される直流電力を入力する電源ラインが設けられ、該電源ラインとグランド間にコンデンサが接続されたことを特徴とする請求項1記載の空間光伝送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の音声案内装置は、例えば、例えば体育館、公会堂、博物館、美術館など、各種の施設における各々の複数場所に設置する場合、各施設における各々の設置場所ごとに、音声案内が異なるため、それらの音声案内データを記録したレコード部を作成し、各設置場所用の音声案内装置に記憶させる必要があり、さらに、それらの個別の音声案内装置を、各々の設置場所に取り付ける施工工事を行なう必要があり、その設置のための施工工事に手間や時間がかかる課題があった。
【0007】
また、例えば、博物館や美術館の音声案内装置の場合、各展示品ごとに、音声案内装置が設置され、それらの音声案内装置は、展示品が変わるごとに、その音声案内を変更する必要があるが、やはり上記と同様に、変更した音声案内データを各音声案内装置に記憶させる必要があり、そのための作業に手間と時間がかかる課題があった。
【0008】
一方、近年、携帯電話機などの携帯端末の普及は著しく、殆どの人々が携帯端末を携帯して生活するようになりつつあるが、このような携帯電話機は、通常、電波による携帯電話通信網を介して、通話、電子メール、画像などの情報の伝送を行なうので、情報の伝達は遅くなる。
【0009】
このため、例えば、視覚障害者が街中などを移動中に、移動場所で必要な注意情報を直ちに得たい場合、或いは、利用者が街中などを移動中、その場所の位置情報、地図情報などを直ちに取得したい場合、携帯電話機を操作して携帯電話通信網を介して情報を得るのでは遅くなり、障害者などが必要な情報を直ちに取得することができない。
【0010】
さらに、地震などの災害時には、電波による携帯電話通信網は、その殆どが使用できなくなるため、地震等の災害時に、利用者の携帯電話機の電源が確保され使用可能な状態であっても、電波による携帯電話通信網の問題で、必要な情報が携帯端末を通して得られないという課題があった。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、携帯端末を通して、利用者に必要な情報を迅速に且つ簡便に提供することができる空間光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の空間光伝送装置は、
予め記憶された情報信号または外部から入力された情報信号を重畳した空間光を投光する投光部を設けた空間光送信器と、
携帯端末に接続され、該空間光送信器の投光部から投光された空間光を受光する受光部を有し、該受光部の受光信号を増幅して出力する受光回路を設けた空間光受信器と、
を備える空間光伝送装置であって、
前記空間光送信器は、投光素子から空間光を投光する投光部と、該投光素子を投光動作させる投光駆動回路と、予め記憶された情報信号または外部から入力された情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成し、該投光駆動回路に出力する伝送信号生成部と、を備え、
前記空間光受信器には、前記受光回路の受光出力信号を該携帯端末に対し出力するための端子として、該携帯端末のマイク入力端子に接続されるコネクタ部が設けられ、
該携帯端末は、該コネクタ部を通して入力したアナログ信号を、所定の周期でサンプリングしてデジタル信号に変換するとともに、当該信号を復調して情報を取得することを特徴とする。
【0013】
ここで、上記空間光とは、可視光、赤外光(赤外線)、及び紫外光(紫外線)を含めた概念である。また、上記情報信号の情報は、テキスト、音声、画像、動画、アプリケーションソフトウエア、同ソフトウエアの制御情報、案内情報、機器の故障情報、或いは自身の装置のID情報(識別情報)などを含む概念である。
【0014】
この発明によれば、空間光伝送装置の空間光受信器を携帯電話機などの携帯端末のマイク入力端子に接続して使用し、特定位置の天井などに設置された空間光送信器から空間光に重畳して伝送される情報を空間光受信器から携帯端末に入力することができるため、電波を使用する携帯電話通信網を通さずに、必要な情報を直ちに携帯端末に入力し、携帯端末を通してその情報を再生することができる。
【0015】
また、空間光受信器は、受光部と受光信号を増幅する受光回路のみで構成することができるので、非常に小型化することができ、各種携帯端末のマイク入力端子に、そのまま簡単に接続して使用することができる。
【0016】
ここで、上記空間光送信器は、自身のID情報を記憶するID情報記憶部を備え、伝送信号生成部は、ID情報を含む情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成して前記投光駆動回路に出力し、ID情報を含む情報信号を重畳した空間光を投光するように構成することができる。これによれば、空間光送信器から送信されたID情報は空間光受光器から利用者の携帯端末に入力され、携帯端末は、そのID情報に基づき、予め記憶した或いはネットワークを通して取得したコンテンツ情報などの再生を行うことができ、コンテンツ情報を空間光送信器から空間光受信器を通して携帯端末に送信する場合に比べ、迅速にコンテンツ情報などの再生を行なうことができる。
【0017】
ところで、上記空間光伝送装置において、上記携帯端末
が、コネクタ部を通して入力したアナログ信号を、所定の周期でサンプリングしてデジタル信号に変換するとともに、当該信号を復調して情報を取得
するように構成される。
【0018】
これによれば、例えば美術館のような広い施設内に多数の展示物が配置され、それらの展示物についての解説コンテンツを利用者に提供する場合、携帯端末を携帯する利用者が、各展示物に接近したとき、空間光に重畳されて送信されるID情報に基づき当該展示物の解説コンテンツが選択されて再生されるため、各展示物の解説コンテンツ等を自動的に、携帯端末を通して利用者に提供することができる。また、空間光により送信器から各携帯端末の空間光受信器に伝送する情報はID情報のみとすることができるため、コンテンツ情報をそのまま伝送する場合に比して、空間光送信器、空間光受信器ともに回路構成を簡単化して小型化することができ、しかも伝送時の雑音等の影響を受けにくく、適正なコンテンツを迅速に提供することができる。
【0019】
また、各展示物等の近傍には、ID情報を記憶した簡単な構成の空間光送信器を設置し、投光部から空間光に重畳してID情報を送信すればよいため、多数の送信器を必要な箇所に非常に簡単に設置することができる。さらに、展示物等を変更する場合、ID情報に対応するコンテンツを変更するのみで、簡便に対応することができる。
【0020】
ここで、上記空間光送信器の投光部の投光素子には、照明用の可視光を照射するLED或いは有機EL素子を使用し、上記空間光受信器の受光器の受光素子として可視光用のフォトダイオードを使用することができる。また、空間光送信器の電源入力部に、電球用ソケットに取り付け可能な口金部を設けることができる。これによれば、空間光送信器を照明器具と兼用して使用することができ、美術館、博物館などの展示施設において空間光送信器を違和感なく簡単に設置することができる。
【0021】
さらに、上記携帯端末は、利用者に提供するコンテンツ情報を記憶する記憶部を有し、該記憶部のコンテンツ情報を変更する場合、ネットワーク上のコンテンツサーバにアクセスして、或いは転送ケーブルや外部メモリを経由して、該コンテンツ情報を収集し、該コンテンツ情報をID情報に対応して該記憶部に記憶するように構成することができる。
【0022】
これによれば、例えば、美術館などで展示物が変わり、解説コンテンツが変更される場合、管理用コンピュータなどを使用して、ネットワーク上のコンテンツサーバへのアクセス等を行い、ID情報に対応したコンテンツをアップロードして変更することができ、コンテンツの変更時、携帯端末はコンテンツサーバにアクセスし、変更後のコンテンツをダウンロードし、或いは転送ケーブルや外部メモリを経由してコンテンツ記憶手段に取り込み、変更されたコンテンツを容易に利用者に提供することができる。
【0023】
また、携帯端末は、利用者に提供するコンテンツ情報に代えて、携帯端末で動作するソフトウエアプログラムの起動情報を含む制御情報を記憶部に記憶することもできる。この場合、記憶部のコンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報を変更する際には、コンテンツサーバにアクセスして、或いは転送ケーブル、外部メモリ等を介して、コンテンツ情報または該ソフトウエアプログラムの制御情報を収集し、コンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報をID情報に対応して記憶部に記憶するように構成する。
【0024】
また、上記空間光受信器の受光部及び受光回路に、上記携帯端末のマイク入力端子から供給される直流電力を入力する電源ラインが設けられ、該電源ラインとグランド間にコンデンサを接続する構成とすることができる。これによれば、空間光受信器の受光部及び受光回路の電源が電源ラインに接続したコンデンサに蓄電された電力を使用することができるので、空間光受信器に独立した専用の電源は不要となり、空間光受信器を極めて小型化することができ、且つ携帯端末のマイク入力端子に接続して簡便に使用することができる。
【0025】
また、本発明の他の空間光伝送装置は、
予め記憶された情報信号または外部から入力された情報信号を重畳した空間光を投光する投光部を設けた空間光送信器と、
携帯端末に接続され、該空間光送信器の投光部から投光された空間光を受光する受光部を有し、該受光部の受光信号を増幅して出力する受光回路を設けた空間光受信器と、
を備える空間光伝送装置であって、
前記空間光送信器は、投光素子から空間光を投光する投光部と、該投光素子を投光動作させる投光駆動回路と、予め記憶された情報信号または外部から入力された情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成し、該投光駆動回路に出力する伝送信号生成部と、を備え、
前記空間光受信器には、前記受光回路の受光出力信号を該携帯端末に対し出力するための端子として、該携帯端末のマイク入力端子に接続されるコネクタ部が設けられ、
該コネクタ部として、前記携帯端末のマイク入力端子に差し込み可能で、マイク用端子とイヤホン用端子及び共用のグランド端子
を有したマイク・イヤホン共用型プラグが該空間光受信器に設けられ、且つ該空間光受信器にはイヤホン用プラグを差し込み可能なイヤホン用コネクタ部が設けられ、該マイク・イヤホン共用型プラグの該イヤホン用端子が該イヤホン用コネクタ部に接続され
たことを特徴とする。
【0026】
これによれば、空間光受信器のマイク・イヤホン共用型プラグを、携帯端末のマイク・イヤホン共用型コネクタに差し込み、空間光受信器を携帯端末に簡便に装着して使用することができ、さらに、使用者がイヤホンを用いて携帯端末を使用する場合、空間光受信器に設けたイヤホン用コネクタ部にイヤホン用プラグを差し込めば、イヤホンの使用も可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の空間光伝送装置によれば、空間光受信器を携帯端末のマイク入力端子に接続して簡便に使用することができ、携帯端末の利用者は電波による携帯電話通信網や無線LANを使用せずに、様々な場所で、迅速に必要な情報を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この空間光伝送装置は、複数の場所に固定的に設置され、予め設定された自身のID情報を記憶し、ID情報を重畳した空間光を投光する投光部2を設けた、
図5の空間光送信器1と、携帯端末40に接続され、空間光送信器1の投光部2から投光された空間光を受光する受光部31を有し、受光部31の受光信号を増幅して出力する受光回路33を設けた、
図7の空間光受信器30と、から構成される。
【0030】
空間光受信器30には、
図8に示すように、受光回路33の受光出力信号を携帯端末40に対し出力するための端子として、携帯端末40のマイク入力端子45に接続されるコネクタ部34が設けられる。コネクタ部34としては、マイク入力端子45に直接差し込み可能なマイク用プラグ、或いは接続ケーブルの先端のマイク用プラグを差し込み接続するためのマイク用コネクタなどを使用することができる。
【0031】
空間光を投光する空間光送信器1は、
図1〜
図4に示すように、その本体ケース1aが、先端に投光部2を設けた電球型に形成され、空間光伝送としての可視光通信に必要な回路を本体ケース1a内に収納している。この空間光送信器1は、例えば美術館、博物館等の各展示物の近傍、つまり解説コンテンツを利用者に提供する場所に設置されるが、設置のための施工工事を簡単化し、且つ照明器具と兼用して、空間光送信器1を目障りや違和感なく簡単に設置できるように、電球型となっている。
【0032】
空間光送信器1は、電球型に形成された本体ケース1aを有しており、本体ケース1aの先端部に投光素子3から空間光を投光する投光部2が設けられ、末端部に口金部12が取付部兼電源入力部として設けられる。これにより、空間光送信器1は、施設内などの所定の設置場所、例えば解説コンテンツを提供する場所に設けられ、交流電源に接続された電球用ソケットに、口金部12を介して簡単に取り付けられる構造となっている。
【0033】
投光部2の投光素子3には、例えば白色光を投光する可視光発光ダイオードが使用され、
図4に示すように、椀状の反射器19の中央にそのLEDモジュールが取り付けられ、投光部2の前面が透明板により覆われ、後述の如く、ID情報と追加情報を含む伝送信号を重畳した可視光を前方に照射する。投光部2の投光素子3から照射される可視光は、例えば10〜20度の角度範囲で上方から展示物近傍に向けて投光されるようになっている。
【0034】
投光素子3として、白色発光ダイオードを使用した場合、照明光として展示物などに照射することができ、これにより、可視光通信の送信器と照明器具とを兼用する装置とすることができる。なお、このような白色発光ダイオードの他、赤外線(近赤外光)を発光する赤外線発光ダイオードを空間光送信器1の投光素子3として使用することもでき、この場合、空間光受信器30の受光素子32は赤外線フォトダイオードを使用することとなる。
【0035】
本体ケース1aは、円筒状に形成された上ケース16とその下部に接続された下ケース17とからなり、上ケース16の上部に投光部2が固定され、上ケース16内には、
図5に示すように、投光素子3を投光動作させる投光駆動回路5と、例えば28.8kHzの副搬送波を発振し出力する副搬送波発振器6と、空間光送信器1のID情報及び追加情報などを含む情報信号により、副搬送波を変調して伝送信号を生成し、投光駆動回路5に出力する伝送信号生成部7と、空間光送信器1のID情報を予め記憶するID情報記憶部8と、が収納される。なお、上記副搬送波を発振出力する副搬送波発振器6は、伝送媒体である光を主搬送波とする場合の称呼であり、単に搬送波を発振出力する搬送波発振器でもある。
【0036】
本体ケース1aの投光部2、上ケース16、及び下ケース17は、
図4に示すように、固定ねじ22により分解と組立が可能な構造となっており、例えば型式情報、ID情報の書き込みなどを行なう場合、マイクロコンピュータ10に信号線を接続して
図5に示すID情報記憶部8に、空間光送信器1のID情報や追加情報などを書き込むことができるようになっている。
【0037】
下ケース17内には上記回路の電源となる電源回路11が収納される。電源回路11は商用電源などの交流電源を、所定電圧の直流に変換するAC/DC変換器から構成され、交流電源は、本体ケース1aの末端部に配した口金部12から供給される。AC/DC変換器は、スイッチングインバータ回路が使用され、小形の回路で商用電源の交流を例えばDC12Vの直流に変換する。
【0038】
口金部12は、ねじ部としてのシェル部13と、シェル部13の下側中央に絶縁体15を介して取り付けられたアイレット部14とから構成される。アイレット部14には電源回路11の一方の入力端子が内側で接続され、シェル部13には他方の入力端子が内側で接続される。
【0039】
このような口金部12は、E17、E18,E26等の規格化された口金部として形成され、所定の電球用ソケットにねじ込み、簡単に取り付けを行うことができるようになっている。なお、取付部兼電源入力部としての口金部12は、ねじ部式のシェル部13を有しているが、ねじ式シェル部以外の例えば円筒型の取付接続部材であってもよい。
【0040】
図5に示す伝送信号生成部7及びID情報記憶部8は、ワンチップ型のマイクロコンピュータ10から構成され、予めメモリに記憶されたプログラムデータに基づき、上記副搬送波信号を、空間光送信器1のID情報により、例えば4値PPM変調(パルスポジション変調)にて変調し、変調された送信伝送信号を、投光駆動回路5に出力するように構成される。ワンチップ型のマイクロコンピュータ10、副搬送波発振器6、及び投光駆動回路5は、
図4のように、本体ケース1a内の回路基板18に実装される。
【0041】
ID情報記憶部8は、空間光伝送装置で使用される各々の空間光送信器1のID情報、つまり当該空間光送信器固有の識別番号を記憶する記憶部であり、各々の空間光送信器1が設置される場所或いは解説コンテンツ情報や案内情報を特定するためのID情報を書き込む記憶部でもある。ID情報記憶部8には、ID情報とともに、空間光送信器1の種類示す型式情報などの追加情報を記憶することもできる。また、ID情報記憶部8には、ID情報が予め記憶されるが、外部から送られる参照情報を記憶するようにしてもよい。
【0042】
マイクロコンピュータ10の伝送信号生成部7は、
図6に示すように、データフレームを作成し、プリアンブルとフレームタイプからなるスタートフレームに続き、ペイロードとして例えばID情報と追加情報のデータを配し、エンドフレームとしてチェック用にCRC(周期冗長コード)を配するように、伝送信号のデータフレームを生成する。
【0043】
さらに、伝送信号生成部7は、副搬送波発振器6から入力する副搬送波を、上記データフレームのデータ、つまり機器のID情報と型式情報等の任意の追加情報を含むデータにより4値PPM変調して、情報伝送信号を出力するように構成される。4値PPMの変調回路は、伝送するデータを2ビット単位に区切り、例えば「00」を「1000」、「01」を「0100」、「10」を「0010」、「11」を「0001」とするように、4個の2ビットデータに応じてデジタル符号化する。そして、そのデジタル信号の符号位置を特定するパルスを発生させ、副搬送波をそのデータパルスで変調するように動作する。これにより、空間光送信器1は送信するデータに拘わらず、一定の照度の可視光を照射して送信するようになっている。
【0044】
なお、伝送信号生成部7では、副搬送波を情報伝送信号により4値PPM変調し、伝送信号を生成しているが、PPM変調に代えて、ASK変調、FSK変調、或いはPSK変調等を行なって、伝送信号を生成することもでき、若しくは搬送波の変調なしに、ベースバンド方式で情報伝送信号をパルス化し、パルス化した伝送信号を空間光に重畳して伝送するようにしてもよい。
【0045】
図5に示す投光駆動回路5は、マイクロコンピュータ10の伝送信号生成部7から送られる変調された情報伝送信号を入力し、投光部2の投光素子3を駆動して可視光を投光すると共に、情報伝送信号をその可視光に重畳させるように構成される。
【0046】
一方、空間光受信器30は、
図7,8に示すように、受光素子32を設けた受光部31と受光素子32で発生した受光信号を増幅して出力する受光回路33とから、非常に小型に構成される。受光回路33は、増幅した受光アナログ信号を出力するためのコネクタ部34を有し、このコネクタ部34を携帯端末40のマイク入力端子45に接続して使用される。
【0047】
コネクタ部34は上記のように接続ケーブルの端部のプラグを挿入するようにメス型コネクタとされる。なお、携帯端末40のマイク入力端子45がメス型コネクタの場合、コネクタ部34としてマイク用プラグを、空間光受信器30のケースの外側に突設し、そのコネクタ部34を携帯端末40のマイク入力端子45に直接差し込むこともできる。これによれば、小型に形成された空間光受信器30を直接携帯端末40に接続して取り付け、簡便に使用することができる。
【0048】
空間光受信器30の受光部31は、可視光を受光して受光信号を出力するフォトダイオード等の受光素子32を備えて構成され、空間光送信器1の投光部2から投光される可視光を受光し、その受光信号を受光回路33に出力する。
図7に示すように、受光素子32のアノードは電源ライン35に接続され、受光素子のカソードは抵抗Rを介してグランドに接続されるとともに、コンデンサC1を介して、アンプ用のトランジスタTrのベースに接続される。
【0049】
これにより、受光素子32が可視光を受光して受光電流が発生したとき、抵抗Rの両端に受光電流に対応した電圧が発生し、その受光電圧信号がトランジスタTrのベースに印加され、トランジスタTrの動作によってその信号が増幅され、トランジスタTrのコレクタからコネクタ部34を通して、増幅された受光信号を出力するようになっている。
【0050】
空間光受信器30は、使用時、そのコネクタ部34を、利用者の携帯端末40のマイク入力端子45に接続して使用される。携帯端末40に設けられたマイク入力端子45は、コンデンサマイク用の端子であり、コンデンサマイクを駆動するために直流電力が端子から出力されるようになっている。
【0051】
このため、空間光受信器30の電源は、携帯端末40のマイク入力端子45から供給される直流電圧を電源ライン35に入力し、電源ライン35とグランド間に接続したコンデンサC2に蓄電し、空間光受信器30の受光回路33はコンデンサC2から放出される直流電力を電源として使用する構成としている。
【0052】
また、携帯端末40側では、マイク入力端子45にコネクタ部34が接続されたとき、そこに印加される電源電圧の僅かな低下を検出して、プラグアンドプレイで、ID情報抽出用のソフトウエアを自動的に起動するように構成されている。
【0053】
このように、空間光受信器30の受光部31及び受光回路33の電源は、携帯端末40のマイク入力端子45を通して供給される構造のため、空間光受信器30は、電池等の電源が不要となり、形状を極めて小型化することができる。しかも、受光部31及び受光回路33は、
図7に示すように、受光素子32の受光信号を増幅するアンプと、電源ライン35にコンデンサC2を接続するのみとなるので、回路構成を非常に簡単化することができる。さらに、受光回路33の増幅器により受光信号が増幅されたマイク入力端子45に送られるので、良好なS/N比の受光信号を携帯端末40の送ることができる。
【0054】
なお、受光部31の受光素子32の受光時に、S/N比の良好な受光電圧信号が得られ、携帯端末40側で受光信号からID情報を抽出可能であれば、受光信号を増幅するアンプは必ずしも必要ではない。したがって、ID情報を取得可能な程度に高いS/N比で、受光素子32の受光電圧信号が得られる場合、受光回路33は不要となり、受光素子32のアノードとカソードを直接マイク入力端子45に接続しても、携帯端末40のオーディオ回路46は有効な受光信号を取り込むことができる。
【0055】
また、例えば携帯端末40のマイク入力端子45が電源の不要なダイナミックマイク用の入力端子として構成され、携帯端末40から直流電源を供給しない場合、空間光受信器30は受光素子32には、S/N比の良好な受光電圧信号を得られる受光素子を使用することが望ましい。この場合、空間光受信器30の受光回路は外部から供給される直流電源を必要としない構成とし、受光素子32の信号の起電力で受光回路33を動作させて、有効なアナログ信号をマイク入力端子45に入力する。或いは、上記のように、空間光受信器は受光素子のみから構成し、その受光信号を直接携帯端末40のマイク入力端子45に入力することができる。
【0056】
図9,10は、他の実施形態の空間光受信器30Aを示しており、この空間光受信器30Aは、上記コネクタ部34として、受信器ケースの外側に、マイク・イヤホン共用型プラグ36が突設され、そのマイク・イヤホン共用型プラグ36を、携帯端末40のマイク入力端子(コネクタ)45に直接差し込むことにより、携帯端末40側のマイク入力端子45及びイヤホン出力端子に接続される構造となっている。
【0057】
すなわち、空間光受信器30Aは、
図9,10に示すように、受信器ケースにメス型のイヤホン用コネクタ部37を設け、使用者が空間光受信器30Aを接続した状態でイヤホンを使用したい場合、イヤホン用プラグ38を受信器ケースに設けたイヤホン用コネクタ部37に差し込んで接続できるようになっている。このため、
図9に示す如く、空間光受信器30A内では、マイク・イヤホン共用型プラグ36のイヤホン用端子39aが配線39を介してイヤホン用コネクタ部37に接続される。これにより、携帯端末40のマイク・イヤホン共用型コネクタのマイク入力端子45に、空間光受信器30Aのマイク・イヤホン共用型プラグ36を差し込んでいる場合でも、使用者はイヤホン用プラグ38を受信器ケースのイヤホン用コネクタ部37に差し込めば、イヤホンの使用が可能となる。
【0058】
一方、携帯端末40は、
図8に示すように、マイク入力端子45を通して入力したアナログ信号(オーディオ信号)の、フィルタリングやレベル調整等を行なうオーディオ回路46を備え、オーディオ回路46の出力側には、サンプリング回路47が接続される。オーディオ回路46は、空間光受信器30から出力される受光信号を、マイク入力端子45を通して入力した、信号レベルの調整を行なうと共にフィルタを通して入力した信号を波形整形した後、そのアナログ信号を周辺インターフェイス53内のサンプリング回路47に出力する。また、オーディオ回路46には音声を再生するスピーカー52、電話通話用に音声を入力するために内蔵用のマイク51が接続される。上記イヤホン用出力端子はオーディオ回路46に接続される。
【0059】
携帯端末40は、周辺インターフェイス53内にサンプリング回路47を備え、サンプリング回路47は、所定の周期でアナログオーディオ信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。そして、サンプリング回路47から出力されるデジタル信号は、デジタル処理部48に取り込まれ、復調される。
【0060】
携帯端末40には、CPU及びメモリを含むデジタル処理部48が設けられ、デジタル処理部48は、ワンチップ型のマイクロコンピュータを主要部として構成され、不揮発性メモリからなる記憶部50には、アプリケーションソフトウエアとして、4値のPPM信号を復調し、そのPPM信号からID情報を抽出するソフトウエアなどが記憶される。携帯端末40のデジタル処理部48は、ID情報抽出用のソフトウエアを使用して、4値のパルスの位置に基づき、ID情報を取得するようになっている。
【0061】
なお、空間光送信器1の伝送信号生成部7は、PPM変調以外の例えばASK変調、FSK変調、PSK変調などを行なってID情報を送信することもでき、このような他の変調を行なって空間光送信器1がID情報を送信する場合、携帯端末40のデジタル処理部48は、ASK変調、FSK変調、PSK変調などに対応した復調を行ってID情報を取得することとなる。
【0062】
携帯端末40は、無線LANに接続可能なPDA,タブレット型端末、或いは携帯電話通信網や無線LANに接続可能な携帯電話機から構成される。携帯端末40は、
図8に示すように、各種機能スイッチ入力用のタッチ入力が可能で、動画、静止画、テキスト等を表示するタッチ感知ディスプレイ57を、ディスプレイコントローラ56とともに備えており、携帯電話通信網や無線LANに接続するための無線電話モジュールとして、RF回路54が設けられ、周辺インターフェイス53に接続される。
【0063】
図11に示すように、携帯端末40は、携帯電話通信網のほか、無線LAN43を介して、インターネット等のネットワークに接続が可能であり、携帯端末40の記憶部50には、アプリケーションソフトウエアとして、ブラウザソフト、音声再生ソフトなどが予め記憶される。さらに、インターネット上のコンテンツサーバ42からダウンロードした、上記ID情報に対応した複数のコンテンツも、不揮発性メモリの記憶部50に記憶するようになっている。また、上記の如く、携帯端末40には、コンテンツの音声信号を再生するためのオーディオ回路46が設けられ、オーディオ回路46の入力側にはマイク入力端子45とともに内蔵用のマイク51が接続され、出力側には、スピーカー52が接続される。
【0064】
一方、インターネット上に設置されるコンテンツサーバ42には、管理用コンピュータ41を使用して、例えば美術館の各展示物の解説コンテンツ情報が、上記ID情報に対応して格納される。つまり、管理者は、管理用コンピュータ41を使用して、予め作成した解説コンテンツ情報をコンテンツサーバ42にアップロードし、コンテンツサーバ42の不揮発性メモリに上記ID情報に対応して格納する。そして、携帯端末40からそれらの解説コンテンツをダウンロードするためのアクセスがあったとき、コンテンツサーバ42はそれらのID情報に対応したコンテンツ情報を携帯端末40に配信するように構成される。
【0065】
上記構成の空間光伝送装置の空間光送信器1は、例えば美術館、博物館などの公共施設等における展示物の近傍など、利用者に解説コンテンツ(音声ガイド)を提供する場所に設置される。設置場所には、電球用ソケットが下向きに設けられ、空間光送信器1は、その電球用ソケットに口金部12をねじ込むことにより、その投光部2を下方に向けた状態で取り付けられる。各空間光送信器1には異なるID情報が割り当てられて設定され、各々の空間光送信器1のID情報記憶部8には、固有のID情報が記憶される。
【0066】
展示物の上方付近には、通常、照明器具が配設され、その照明器具用の電球用ソケットが使用できる場合、空間光送信器1はその電球用ソケットに口金部12をねじ込んで取り付けるのみの簡単な作業で、空間光送信器1を所定の場所に設置し、同時に電源接続を行うことができる。
【0067】
これは、美術館、博物館のように、多数の展示物が広範囲にわたって設置されている場合、各展示物の近傍に多数の空間光送信器1を設置する際に、特に有利であり、多数の空間光送信器1を簡単に効率良く設置することができる。
【0068】
美術館、博物館のように、展示物の解説用機器として携帯端末40を利用者に貸し出して使用する場合、それらの携帯端末40のマイク入力端子45に、空間光受信器30のコネクタ部34を、直接或いは接続ケーブルを介して接続して使用する。携帯端末40はマイク入力端子45を設けた汎用の携帯端末を使用することができ、上述のように空間光受信器30は非常に小型化されているので、空間光受信器30を携帯端末40のマイク入力端子45に直接或いは接続ケーブルを介して違和感なく簡便に接続して使用することができる。
【0069】
また、携帯端末40には、予め各空間光送信器固有のID情報と、それに対応して解説コンテンツ情報が格納される。ID情報は各空間光送信器固有の識別情報であるから、各空間光送信器1が設置される場所、或いはその場所の展示物を示し、解説コンテンツ情報はその展示物等に対応することとなる。これらのコンテンツ情報は、
図11に示すように、携帯端末40を操作して、インターネット等のネットワークを介してコンテンツサーバ42にアクセスし、ダウンロードする。例えば、新たな展示会を美術館、博物館などで開催する場合、開始時にその解説用のコンテンツをダウンロードし、携帯端末40の記憶部50に格納しておけば、その展示会の開催中は、携帯端末40をインターネットなどに接続することなく、そのまま使用することができる。なお、ネットワーク経由によるダウンロードに代えて、転送ケーブルやUSBメモリ等の外部メモリを使用して、直接携帯端末40にコンテンツを書き込むこともできる。
【0070】
空間光伝送装置の各空間光送信器1は、美術館などの施設が開館され、照明が点灯している間、その投光部2が投光動作して、展示物近傍のある程度の範囲内に、上方から下方に向けて空間光(可視光)を照射し投光を行なう。
【0071】
このとき、空間光送信器1の伝送信号生成部7は、データフレームを作成する際、スタートフレームに続き、ペイロードのID情報及び型式情報等の任意の追加情報のデータをフレームに入れ、伝送信号を生成する。
【0072】
さらに、伝送信号生成部7は、副搬送波発振器6から送られる副搬送波を、機器のID情報を含むデータにより4値PPM変調して、情報伝送信号を出力する。伝送信号生成部7から出力された情報伝送信号は、投光駆動回路5に入力され、投光駆動回路5は、投光部2の投光素子3を駆動して空間光(可視光)を投光すると共に、情報伝送信号をその空間光に重畳させ、投光部2から下方に向けて投光する。
【0073】
美術館、博物館などの利用者は、携帯端末40を携帯して各展示物を見ながら移動し、各展示物近傍に移動したとき、携帯端末40に接続された空間光受信器30の受光部31は、その展示物の近傍に設置される空間光送信器1の投光部2から、展示物に対し照明光として投光される、空間光を受光する。
【0074】
このとき、空間光受信器30の受光部31の受光回路33は、受光素子32から出力される微弱な受光信号をアンプで増幅し、コネクタ部34を通して携帯端末40に受光アナログ信号を出力する。携帯端末40は、マイク入力端子45を通して、空間光受信器30からの受光アナログ信号をオーディオ回路46に入力し、当該信号を復調に必要なレベルにレベル調整し、フィルタリングして高周波成分等を除去した後、受信した受光アナログ信号をサンプリング回路47に取り込む。サンプリング回路47は、所定の周期で当該信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタル処理部48に出力する。
【0075】
デジタル処理部48は、入力されたデジタル信号に基づき、空間光送信器1から送信されPPM変調された伝送信号の復調を行う。送信された伝送信号は4値のPPM変調された信号であるので、4値のパルスの位置に基づき、伝送信号をデジタル値に変換し、伝送されたID情報を抽出する。
【0076】
さらに、携帯端末40は、抽出されたID情報に基づき、当該ID情報に対応したコンテンツを記憶部50から読み出し、コンテンツの画像等を端末のディスプレイに表示すると共に、その音声信号をオーディオ回路46により再生して、スピーカー52或いはイヤホンから音声を出力する。これにより、携帯端末40の利用者は、展示物を見ながら、展示物に近づいたとき、その展示物の解説(音声ガイド)を聞くことができる。
【0077】
一方、展示の変更などにより、各展示物が変わり、それに対応した解説コンテンツが変更される場合、管理者は管理用コンピュータ41を使用して、コンテンツサーバ42にアクセスし、コンテンツサーバ42の不揮発性メモリに格納される、ID情報ごとのコンテンツ情報を、新たなコンテンツ情報に更新する操作を行なう。新たに格納されるコンテンツ情報は、上記と同様に、ID情報に対応してコンテンツサーバ42の不揮発性メモリに格納されることとなる。携帯端末40の記憶部50に格納するコンテンツの変更は、コンテンツサーバへのアクセスに代えて、転送ケーブルを介して或いは外部メモリを経由して行なうこともできる。
【0078】
なお、携帯端末40は、利用者に提供するコンテンツ情報に加え、携帯端末40で動作するソフトウエアプログラムの起動情報を含む制御情報を、記憶部50に記憶することもできる。この場合、記憶部50のコンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報を変更する際には、コンテンツサーバ42にアクセスして、或いは転送ケーブル、外部メモリ等を介して、コンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報を収集し、コンテンツ情報またはソフトウエアプログラムの制御情報をID情報に対応して記憶部50に記憶する。
【0079】
さらに、上記実施形態では、空間光送信器1からID情報を送信したが、コンテンツ情報のデータ量が少ない場合、ID情報に代えて、テキスト、音声、画像などのコンテンツ情報をそのまま空間光送信器1から空間光受信器30に送信し、携帯端末40にマイク入力端子45を通して入力することもできる。コンテンツ情報のデータ量が制御情報のように比較的少ない場合、何ら問題なく携帯端末40は情報信号を取り込むことができる。
【0080】
また、上記実施形態では、空間光送信器1の投光素子3としてLEDを使用したが、投光素子として有機EL素子を使用することもできる。また、投光部2として、照明用の投光素子3を、照明用と伝送用との兼用としたが、例えばLEDまたは有機EL素子がディスプレイの画像表示用に使用される場合、画像表示用と伝送用との兼用として、LEDまたは有機EL素子を空間光送信器1の投光部2に使用することができる。
【0081】
このように、上記実施形態の空間光伝送装置では、空間光受信器30を携帯電話機などの携帯端末40のマイク入力端子45に接続して使用し、特定位置の天井などに設置された空間光送信器1から空間光に重畳して伝送される情報を空間光受信器30から携帯端末40に入力することができるため、電波を使用する携帯電話通信網や無線LANを通さずに、必要な情報を直ちに携帯端末40に入力し、携帯端末40を通してその情報等を再生することができる。
【0082】
また、ID情報を使用する場合、携帯端末40は、マイク入力端子45を通して入力した受光信号から、デジタル処理部48がソフトウエアにより4値PPM信号を復調してID情報を取得するので、空間光受信器30は、受光部31と受光回路33のみの非常に簡単な回路構成となり、大幅に小型化され、携帯端末40のマイク入力端子45に接続して簡便に使用することができる。
【0083】
さらに、携帯端末40は、空間光に重畳して送信されたID情報を受信したとき、そのID情報をトリガとして、ID情報に基づくコンテンツを再生するので、利用者は例えば美術館などで、実際に鑑賞しているその展示物の音声ガイドを、直ちに聞くことができる。
【0084】
また、空間光により空間光送信器1から各携帯端末40の空間光受信器30に伝送する情報は、ID情報及びそれに付随する短い情報のみであるので、コンテンツ情報をそのまま伝送する場合に比して、空間光送信器1、空間光受信器30ともに回路構成を簡単化して小型化することができ、しかも伝送時に雑音等の影響を受けにくく、適正なコンテンツを迅速に提供することができる。
【0085】
さらに、美術館、各種イベント会場などの施設で、音声ガイドや解説などのコンテンツ情報を提供する場合、各展示物等の近傍に、照明用と兼用の電球用ソケットを配置し、空間光送信器1のID情報記憶部8には各々のID情報を記憶して、各空間光送信器1は各電球用ソケットに装着するのみで、コンテンツ提供用の設備を非常に簡単に設置することができる。また、展示物等を変更する場合、ID情報に対応するコンテンツを変更するのみで、簡便に対応することができる。
【0086】
なお、上記構成の空間光伝送装置は、美術館、博物館などの展示物の解説コンテンツを利用者に提供するために、ID情報を空間光送信器1から携帯端末40の空間光受信器30に送信したが、展示物用の解説コンテンツのほか、各種の見本市の解説コンテンツの提供、提示された商品の広告用コンテンツなどの提供、街中などで視覚障害者に対する各種音声案内情報の提供、災害時に人々を誘導するための位置情報や地図情報の提供などに、本発明の空間光伝送装置を使用することができる。
【0087】
さらに、上記構成の空間光伝送装置は、例えば、顧客が各店舗に来店した際のスタンプ或いはクーポンのサービスやポイントサービスに使用することもできる。その場合、空間光送信器1を各店舗に設置し、利用者は空間光受信器30を接続した携帯端末40を携帯する。利用者が店舗に来店したとき、その店舗に設置される空間光送信器1から空間光に重畳して伝送されたID情報を空間光受信器30が受信する。一方、携帯端末40には各店舗のID情報をカウントする記憶部が設けられ、記憶部にはカウントした値がスタンプ数やポイントとして記憶され、記憶部の数が所定数に達したとき、利用者には特典を付与するように、空間光伝送装置を使用することができる。
【0088】
さらに、上記構成の空間光伝送装置は、時間を指定した商品価格の割引や追加サービスの提供など、時間と関連付けたタイムセールスなどのサービスに使用することもできる。この場合、空間光送信器1を各商品の近傍に設置し、利用者は空間光受信器30を接続した携帯端末40を携帯する。利用者が各商品に接近したとき、その商品近傍に設置される空間光送信器1から空間光に重畳して伝送されたID情報を空間光受信器30が受信する。
【0089】
一方、携帯端末40には各ID情報とそれに対応した、時間と関連付けたサービスの内容を記憶する記憶部が設けられ、ID情報を受信したタイミングが時間と関連付けたサービルの提供時間と一致したとき、利用者に時間と関連付けたサービスの特典、例えば特定の時間帯において商品価格の割引サービスなどを提供するように、空間光伝送装置を使用することができる。