特許第6229897号(P6229897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229897
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】トイレットペーパー製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20171106BHJP
   B65H 75/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   A47K10/16 D
   A47K10/16 A
   B65H75/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-9028(P2015-9028)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-131761(P2016-131761A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190080
【氏名又は名称】コアレックス信栄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 暁
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−261203(JP,A)
【文献】 特開平10−139226(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0152094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
B65H 75/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によってペーパーを搬送する過程と、前記搬送されたペーパーを巻き取りシャフトへ巻き取る過程と、を有するトイレットペーパー製造方法であって、
前記ペーパーを巻き取りシャフトへ巻き取る過程は、
前記搬送されているペーパーの第1範囲に第1接着剤供給手段が第1接着剤を塗布する過程と、
前記第1範囲の後に続いて搬送されているペーパーの第2範囲に第2接着剤供給手段が第2接着剤を塗布する過程と、
前記第1接着剤ならびに前記第2接着剤を塗布したペーパーを順次前記巻き取りシャフトに巻き取りロール状に形成する過程と、
を含み、
前記第1接着剤を塗布する過程は、
前記巻き取ったペーパーをほぐれないように固める前記第1接着剤を用い、
前記第2接着剤を塗布する過程は、
前記巻き取ったペーパーを剥離できる程度に固める前記第2接着剤を用い
前記第1範囲は、
前記ペーパーの巻き取り開始部分から、前記巻き取りシャフトが5回転ないし10回転して巻き取られる範囲であり、
前記第2範囲は、
前記第1範囲に連なり、前記巻き取りシャフトが前記ペーパーの巻き取り開始後10回転ないし15回転するまでに巻き取られる範囲である、
ことを特徴とするトイレットペーパー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、厚紙等からなる芯材を備えていないトイレットペーパーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来より、トイレットペーパーは柔軟な使用感を備えるように巻き取られてロール状に製造されており、厚紙等を用いて管状に形成された紙管を備えている。
一方、最近はトイレットペーパーを使い切った後、上記紙管の廃棄を不要とするため、芯無しのトイレットペーパーが多数製造されている。
【0003】
上記芯無しのトイレットペーパーは、ロール中心部分の孔を小径として製造していたが、厚紙等の紙管を有するトイレットペーパーと併用可能とすることが望まれ、当該紙管と同様な径の孔を形成したものが一般的になっている。
芯無しトイレットペーパーを製造するとき、例えば、ペーパーの巻き取り開始部分に水を噴霧し、噴霧したペーパーが複数層となるように巻き取ることにより、厚紙等の紙管と同様な孔径の巻芯部を形成させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このように巻芯部を形成することにより、ロール形状の全て、もしくは巻芯部の近傍までトイレットペーパーとして使用することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−50475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
芯無しのトイレットペーパーは、ロール形状の幅方向については、巻回によって積層されたペーパーの剛性のみで形状を維持している。そのため、ロール中心の孔が比較的潰れ易く、また、ペーパーの使用が進行してロール径が小さくなると上記の剛性が弱くなり、ロール形状の軸線に撓み、歪などの変形が生じ易くなる。
特に、ロール中心の孔径を大きく形成した場合には、上記のような変形が生じ易くなり、トイレットペーパーの左右端部のみを保持するワンタッチ式のホルダに装着してペーパーを引き出す際に、ロール全体が外れ易くなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、厚紙等の紙管を有していなくとも、ワンタッチ式のホルダ等に設置した場合に脱落することがなく、ロール形状を維持する剛性を備えるトイレットペーパー製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るトイレットペーパー製造方法は、搬送手段によってペーパーを搬送する過程と、前記搬送されたペーパーを巻き取りシャフトへ巻き取る過程と、を有するトイレットペーパー製造方法であって、前記ペーパーを巻き取りシャフトへ巻き取る過程は、前記搬送されているペーパーの第1範囲に第1接着剤供給手段が第1接着剤を塗布する過程と、前記第1範囲の後に続いて搬送されているペーパーの第2範囲に第2接着剤供給手段が第2接着剤を塗布する過程と、前記第1接着剤ならびに前記第2接着剤を塗布したペーパーを順次前記巻き取りシャフトに巻き取りロール状に形成する過程と、を含み、前記第1接着剤を塗布する過程は、前記巻き取ったペーパーをほぐれないように固める前記第1接着剤を用い、前記第2接着剤を塗布する過程は、前記巻き取ったペーパーを剥離できる程度に固める前記第2接着剤を用い、前記第1範囲は、前記ペーパーの巻き取り開始部分から、前記巻き取りシャフトが5回転ないし10回転して巻き取られる範囲であり、前記第2範囲は、前記第1範囲に連なり、前記巻き取りシャフトが前記ペーパーの巻き取り開始後10回転ないし15回転するまでに巻き取られる範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ロール中心の孔を十分強固に形成することができ、ワンタッチ式のホルダ等からペーパーを引き出す際にロール全体が脱落することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例によるトイレットペーパー製造方法を用いた製造装置の概略構成を示す説明図である。
図2図1の製造装置によって製造されたトイレットペーパーを示す説明図である。
図3図1の製造装置によって製造されたトイレットペーパーを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
【0012】
(実施例)
図1は、本発明の実施例によるトイレットペーパー製造方法を用いた製造装置の概略構成を示す説明図である。この図は、厚紙等によって形成された紙管を備えていない、いわゆる芯無しのトイレットペーパーを製造する製造装置1の一部分を示している。
製造装置1は、図示を省略した搬送手段によって搬送されたペーパー21を巻き付けるシャフト(巻き取りシャフト)11、シャフト11の下方に配置され、搬送されてきたペーパー21をシャフト11に巻き取らせる巻き取りローラ12及び巻き取りローラ13を備えている。なお、ペーパー21は水壊性を有するものである。
【0013】
また、製造装置1は、シャフト11の上方に配置され、シャフト11が巻き取っているペーパー21に押圧を加え、所定の張力を加えて巻き取りを行わせる加圧ローラ14を備えている。なお、この加圧ローラ14は、図示を省略した支持手段等によって移動可能に支持されており、ペーパー21の巻き取りによるロール外径の変化に対応して所定押圧を加えるように構成されている。
また、製造装置1は、第1接着剤を供給する第1接着剤供給器15、第2接着剤を供給する第2接着剤供給器16、シャフト11に巻き取らせるペーパー21を切断して巻き取り終端部を形成させるペーパーカッター17などを備えている。
【0014】
また、例えば、繰り出しローラ23、繰り出しローラ24、図示を省略したガイドやローラなどを有し、前述の搬送手段が原反20から連続紙のペーパー21を繰り出してシャフト11へ搬送するように構成されている。
なお、原反20、繰り出しローラ23、繰り出しローラ24等に代えて、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート等を有する抄紙機を備え、当該抄紙機によって生成したペーパー21を、搬送手段がシャフト11等へ搬送する構成でもよい。
ここでは、原反20を所定部位に設置し、当該原反20からペーパー21を繰り出してシャフト11へ巻き取る構成を例示して説明する。
【0015】
前述の第1接着剤供給器15及び第2接着剤供給器16は、ペーパー21が原反20からシャフト11へ搬送される途中に配置されており、例えば搬送されているペーパー21の上方から、各接着剤をペーパー21の幅方向について十分塗布するように設置されている。
また、第1接着剤供給器15及び第2接着剤供給器16は、例えば図示を省略した制御手段等によって各接着剤を塗布する動作が制御されるように接続構成されている。
【0016】
次に動作について説明する。
所定位置に原反20が設置され、繰り出しローラ22及び繰り出しローラ23が原反20を回転駆動すると、原反20からペーパー21が繰り出され、前述の搬送手段によってシャフト11、巻き取りローラ12ならびに巻き取りローラ13へ向かって(図中矢印aの示す方向へ)搬送される。
【0017】
原反20から繰り出されたペーパー21の巻き取り開始部分が、第1接着剤供給器15の下方まで搬送されてくると、前述の制御手段は第1接着材供給器15を制御してペーパー21の巻き取り開始部分から所定長さが通過するまで、第1接着剤を塗布させる。
詳しくは、シャフト11が、例えば巻き始めから、5ないし10回転目までに巻き取る範囲に第1接着剤を塗布する。この第1接着剤は、乾燥すると積層巻回したペーパー21を硬化させ、ほぐれないように固めるものである。
【0018】
第1接着剤を塗布されたペーパー21は、巻き取りローラ12ならびに巻き取りローラ13の上端側を通過し、第1接着剤の塗布面を巻き取り内側としてシャフト11へ巻き付けられ、加圧ローラ14によって圧力を加えられながら積層される。
なお、ペーパー21の巻き取りを開始する際に、巻き付け開始の最先端部分の表裏を折り返して、第1接着剤の塗布面を直接シャフト11の表面に当接させないようにし、この後巻き取る部分については、前述のように第1接着剤の塗布面を巻き取り内側として巻き取りを続行するようにしてもよい。
【0019】
前述の制御手段は、第2接着剤供給器16を制御して、第1接着剤を塗布した範囲の終端部分に連ねて第2接着剤を塗布する。
第2接着剤は、ペーパー21をロール状に巻き取って積層させた部分を管状に固め、また、上記のように固めた部分が薄葉紙状にほぐれることを可能にする接着特性を備えている。
換言すると、第2接着剤は、巻き取り固めた管状の部分を触手によって剥離できる程度の接着力を有し、第1接着剤に比べて接着力が弱いものである。
【0020】
第2接着剤は、例えば第1接着剤に重ねた塗布とならないように、第1接着剤の塗布範囲に続けて、シャフト11が巻き取り開始から数えて10〜15回転目までに巻き取る範囲に塗布される。
具体的には、例えば第1接着剤を巻き取り開始から5回転目までの範囲に塗布したときには、第2接着剤を5回転目から10回転目までの範囲に塗布する。
また、例えば第1接着剤を巻き取り開始から10回転目までの範囲に塗布したときには、第2接着剤を10回転目から15回転目までの範囲に塗布する。
前述のように第1接着剤を塗布したペーパー21をシャフト11に巻き取り、これに続いて第2接着剤を塗布したペーパー21を順次巻き取ることにより、2層の紙管に相当するロール状(管状)の部分が形成される。
【0021】
第2接着剤を塗布した部分に続いて、加圧ローラ14によって所定の圧力を加えながら接着剤等を塗布していないペーパー21を順次巻き取る。
ペーパー21の巻き取りを続行することにより、シャフト11に形成されたペーパーロール10が所定径に達すると、前述の制御手段は、ペーパーカッター17を駆動して巻き取りローラ12等に搬送されてきたペーパー21を切断する。
切断したペーパー21の端部(巻き取りローラ12側に位置する部分)には、図示を省略した塗布手段等によって接着力の弱い接着剤などを塗布する、もしくは適量の水を噴霧し、このペーパー21の最後端部を当該ペーパーロール10外周面に固定する。
【0022】
このように、所定長さのペーパー21をシャフト11に巻き取り、ペーパー21を前述のように切断してペーパーロール10の形成を完了する。この後、ペーパーロール10を巻き付けたシャフト11は、巻き取りローラ12や巻き取りローラ13などが配置された製造装置1の部位から取り外される。
また、シャフト11は、ペーパーロール10から引き抜かれ、例えば再び巻き取りローラ12、巻き取りローラ13などが配置された部位に取付け設置される。
【0023】
図2及び図3は、図1の製造装置によって製造されたトイレットペーパーを示す説明図である。
図2は、製造装置1によって製造されたペーパーロール10のロール端部を正面視したもので、ペーパーロール10からシャフト11を引き抜いた状態を表している。
シャフト11を引き抜いた部分には、ペーパーロール10の中心孔となる孔部30が形成され、また、孔部30の壁面を構成する第1芯部40及び第2芯部41が形成される。
第1芯部40は、前述のように第1接着剤を塗布して固めた部分で、その外周側に第2接着剤を塗布して固めた第2芯部41が形成されている。
また、第2芯部41の外周側には、ロール形状から引き出された場合に薄葉紙状となるペーパー21が巻回されており、第1接着剤及び第2接着剤が乾燥凝固することにより、ペーパーロール10の軸部分には、2層の紙管に相当する管状部分が形成される。
【0024】
図3は、製造装置1によって製造されたペーパーロール10を斜視したものである。
前述のように第1芯部40及び第2芯部41を積層形成することにより、ペーパーロール10は、ロール幅方向に対して十分な剛性を備え、孔部30の周壁に適当な強度を生じさせている。
ペーパーロール10のロール幅は、原反20の幅サイズと同等であり、例えば図3に破線で示した各切断部50の位置で図示されない切断手段等によって輪切りに切断される。この切断加工によって、ペーパーロール10から複数個のトイレットペーパーロールが形成される。
【0025】
前述のようにペーパーロール10を輪切り状に切断する際には、孔部30を押し潰す応力が作用する。第1芯部40ならびに第2芯部41を設けることにより、切断時の応力によって孔部30が変形することを抑制し、好ましくは変形を防いで切断後の各トイレットペーパーロールの断面形状ならびに孔部30を真円、もしくは真円に近似する形状に維持することが可能になる。
【0026】
以上のように本実施例によれば、第1接着剤によって固められた第1芯部40及び第2接着剤によって固められた第2芯部41を積層形成したので、ロール形状の歪や軸の撓みなどを抑えることができる。特に、ワンタッチ式のホルダ等に装着した場合には、当該ホルダ等から脱落することを防ぐことができる。
また、第1芯部40及び第2芯部41を水壊するペーパー21によって形成したので、これら芯部をトイレに流すことができ、別途廃棄する手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0027】
1製造装置
10ペーパーロール
11シャフト
12巻き取りローラ
13巻き取りローラ
14加圧ローラ
15第1接着剤供給器
16第2接着剤供給器
17ペーパーカッター
20原反
21ペーパー
23繰り出しローラ
24繰り出しローラ
30孔部
40第1芯部
41第2芯部
50切断部
図1
図2
図3