(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底部を有する第一の筒状部材、及び前記底部の中央に立設され該底部の中央に形成される開口から気体を吸入する吸気筒を有し、前記第一の筒状部材と前記吸気筒との間に液体を貯留する浄化装置本体と、
頂部を有し下端に切り欠きが形成される第二の筒状部材であって、前記浄化装置本体内において前記第一の筒状部材の底部上に同心状に配設されて、前記吸気筒との間に第一の空間、前記第一の筒状部材との間に第二の空間をそれぞれ形成し、前記吸気筒上端との間に形成される空間を介して前記吸気筒内と前記第一の空間を連通させるとともに、前記切り欠きと前記第一の筒状部材の底部との間に形成される開口を介して前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる案内部材と、
多数の小孔を有する板状部材であって、前記第二の空間の水平断面と略同一の形状を有し、前記第二の空間内に配設される環状のバブリング部材と、を備え、
前記浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、前記吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を前記第一の空間において前記液体中に導入し、該液体中に導入した気体を前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる前記開口から前記第二の空間に移動させ、前記第二の空間に移動した気体を、前記液体中において前記バブリング部材の小孔を通過させ、バブリングさせて浄化する気体浄化装置。
中央に開口が形成される頂部、及び前記頂部中央から垂設され、多数の孔が形成される排気筒を有し、該排気筒の下端が前記第二の筒状部材の頂部上面に当接する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記排気筒の孔を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出する請求項1記載の気体浄化装置。
中央に開口が形成される頂部、及び前記頂部中央の下方に設けられる筒状の気液分離部を有し、前記気液分離部の下端が前記第二の筒状部材の頂部上面に当接する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出する請求項1記載の気体浄化装置。
前記気液分離部は、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設して通路を形成してなり、
前記浄化した気体を、前記通路を通過させ、液体と分離して外部へ排出する請求項4記載の気体浄化装置。
前記板状部材は、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設される請求項5記載の気体浄化装置。
前記第二の筒状部材の頂部上面に、当該第二の筒状部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設け、前記排気筒の孔又は気液分離部を通過した液体であって前記第二の案内部材の頂部上面に付着する液体を前記外方向に向けて移動させ、前記第二の空間に還流させる請求項2乃至6の何れか一項記載の気体浄化装置。
前記バブリング部材と前記排気筒又は気液分離部との間の空間に水滴飛散防止部材を配設し、前記浄化した気体を、前記水滴飛散防止部材を迂回させて前記排気筒の孔又は気液分離部に誘導する請求項2乃至7の何れか一項記載の気体浄化装置。
【背景技術】
【0002】
従来、油分等の不純物を含む排煙、例えばフライ食品調理器(フライヤー)等の厨房設備から発生する油煙等を捕集して屋外に排出する装置が知られている。
ところが、当該装置は、排煙中に含まれる気化した油分や塵埃等の不純物が、フードや排気ダクト内等に大量に付着し、不衛生であるとともに火災時の延焼を引き起こす原因となる問題がある。
また、当該装置は、排煙を直接屋外に排出するため、臭気が拡散し、周囲の環境を汚染する問題がある。
【0003】
そこで、排煙中に含まれる油分等の不純物を除去する装置が提案されている(特許文献1,2参照。)。
【0004】
特許文献1には、排気用ファンを備えた排気ダクトに連通すると共に周囲に対して閉鎖空間を形成している筒状枠と、この筒状枠の底部を構成する穴あきプレートと、この穴あきプレートの下側に配置した液槽と、上記筒状枠から液槽内へ向かって上記穴あきプレートの配置位置よりも下方へ延伸し、液槽内へ進入しているバッフルプレートとを有し、このバッフルプレートの下縁が液槽に入れられた液体の内部に浸漬するか或いは液面に略接触する程度にバッフルプレートの位置調節を行うと共に穴あきプレートとバッフルプレートと液面との間で閉鎖空間を形成する排気装置が記載されている。
【0005】
また、上記特許文献1には、前記排気用ファンを作動して筒状枠内閉鎖空間に負圧を発生させると共にこの負圧を穴あきプレートを介して穴あきプレート下部閉鎖空間に及ぼし、この負圧によってバッフルプレート内側の液槽内液位を上昇させると共に、バッフルプレート下縁を通して筒状枠周囲の排煙をバッフルプレート内部へ引き込み、引き込まれ且つ筒状枠内閉鎖空間へ吸引される排煙流によりバッフルプレート内側の液体の泡立ちを発生させ、泡立って飛散する液滴を筒状枠内閉鎖空間内の負圧によって穴あきプレートの穴を通して穴あきプレートの上部へ引き上げて穴あきプレート上に液体の層をもたらし、同時に穴あきプレートの穴を通して吸引される排煙を穴あきプレート上の液体内を潜らせ、その際、排煙流によって液体の泡立ちを発生させながら液体との積極的な接触をもたらし、この接触により排煙から油脂分を取り除き、浄化排気を排気ダクトへ送ること、が記載されている。
【0006】
上記特許文献1に記載された装置によれば、排煙中に含まれる油脂分等をある程度除去することが期待できる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置は、排煙がバッフルプレートの下縁を通過する際に液体を押しのけ液柱を吹き上げることになり、排煙と液体との接触面積が少なくなる。
【0007】
また、上記特許文献1に記載された装置は、前記排煙流の働きによって前記液槽内の液体が前記穴あきプレート上に揚液されることとなるが、前記穴あきプレート上における液層の分布は一様でなく、排煙の経路が偏りを生じ易いため、前記穴あきプレート上における液体の泡立ちの発生が不十分であり、排煙と液体との接触面積も十分といえるものではない。
【0008】
したがって、上記特許文献1に記載された装置は、排煙中に含まれる油脂分等を十分に除去することができず、該油脂分等がガラリや前記筒状枠内面に付着するため、これらを洗い落とすための洗浄ノズルを設ける必要があり、装置の構造が複雑化する問題がある。
【0009】
一方、特許文献2には、汚染空気が導入される吸気室と下端が連通口で連通されたバブル室を設け、連通口に沿ってバブル室側に突出して空気誘導板を設け、空気誘導板の上方に多数の小孔を有するバブリング板部材を設けてなる空気浄化装置が記載されている。
【0010】
特許文献2に記載された装置は、汚染空気が水を通過する際にバブル室で水柱を吹き上げることがない。また、特許文献2に記載された装置は、水中に位置するバブリング板部材の全面から多数の小径の気泡を発生させると同時に、水を微細化して霧状に飛散させることで、前記汚染空気と水の接触面積を増大させることができ、汚染空気中に含まれる油分等の不純物を除去するとともに、装置の汚損を抑制することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載された装置は、箱状体の浄化槽を備え、該浄化槽に前記吸気室とバブル室等を二槽以上の構造で並べて配置するものであり、装置全体が大型化する問題がある。
【0012】
【特許文献1】特開2002−126433号公報
【特許文献2】特許第4336890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、気体中に含まれる油分等の不純物を除去することができ、コンパクトで取り扱いが容易な気体浄化装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、気体中に含まれる油分等の不純物を除去することができ、コンパクトで取り扱いが容易な気体浄化装置を利用する気体浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の気体浄化装置は、
底部を有する第一の筒状部材、及び前記底部の中央に立設され該底部の中央に形成される開口から気体を吸入する吸気筒を有し、前記第一の筒状部材と前記吸気筒との間に液体を貯留する浄化装置本体と、
頂部を有
し下端に切り欠きが形成される第二の筒状部材であって、前記浄化装置本体内に
おいて前記第一の筒状部材の底部上に同心状に配設されて、前記吸気筒との間に第一の空間、前記第一の筒状部材との間に第二の空間をそれぞれ形成し、前記吸気筒上端との間に形成される空間を介して前記吸気筒内と前記第一の空間を連通させるとともに、
前記切り欠きと前記第一の筒状部材の底部との間に形成される開口を介して前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる案内部材と、
多数の小孔を有する板状部材であって、前記第二の空間の水平断面と略同一の形状を有し、前記第二の空間内に配設される環状のバブリング部材
と、を備え、
前記浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、前記吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を前記第一の空間において前記液体中に導入し、該液体中に導入した気体を前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる
前記開口から前記第二の空間に移動させ、前記第二の空間に移動した気体を、前記液体中において前記バブリング部材の小孔を通過させ、バブリングさせて浄化
するものである。
【0015】
本発明の気体浄化装置は、中央に開口が形成される頂部、及び前記頂部中央から垂設され、多数の孔が形成される排気筒を有し、該排気筒の下端が前記第二の筒状部材の頂部上面に当接する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記排気筒の孔を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出することが好ましい。
【0016】
本発明の気体浄化装置は、中央に開口が形成される頂部、及び前記頂部中央の下方に設けられる筒状の気液分離部を有し、前記気液分離部の下端が前記第二の筒状部材の頂部上面に当接する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材と、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出することが好ましい。
【0017】
本発明の気体浄化装置は、前記気液分離部が、前記頂部下面に対し下向きに筒状に配設される複数の板状部材を有し、隣接する前記板状部材間に間隙を形成してなり、
前記浄化した気体を、前記板状部材間の間隙を通過させ、液体と分離して外部へ排出することが好ましい。
【0018】
本発明の気体浄化装置は、前記気液分離部が、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設して通路を形成してなり、
前記浄化した気体を、前記通路を通過させ、液体と分離して外部へ排出することが好ましい。
【0019】
本発明の気体浄化装置は、前記板状部材が、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されることが好ましい。
【0020】
本発明の気体浄化装置は、前記第二の
筒状部材の頂部上面に、当該第二の
筒状部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設け、前記排気筒の孔又は気液分離部を通過した液体であって前記第二の
筒状部材の頂部上面に付着する液体を前記外方向に向けて移動させ、前記第二の空間に還流させることが好ましい。
【0021】
本発明の気体浄化装置は、前記バブリング部材と前記排気筒又は気液分離部との間の空間に水滴飛散防止部材を配設し、前記浄化した気体を、前記水滴飛散防止部材を迂回させて前記排気筒の孔又は気液分離部に誘導することが好ましい。
【0022】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化装置本体の側方に把手を備えることが好ましい。
【0023】
また、上記目的を達成するため、本発明の気体浄化システムは、集気ホッパと、排気ダクトと、装着枠と、を備え、前記装着枠は、前記集気ホッパに連通する開口を有する底板、前記何れかに記載の気体浄化装置を着脱自在に装着可能とする開口を有する側板、前記排気ダクトに連通する開口を有する天板、を有してなり、
前記装着枠に前記何れかの気体浄化装置を装着し、前記排気ダクト側から前記気体浄化装置内に負圧を作用させることで、前記集気ホッパにより集気し、前記装着枠の底板の開口を通して前記気体浄化装置内へ気体を吸入し、前記気体浄化装置内で浄化した気体を、前記装着枠の天板の開口を通して前記排気ダクトから排出するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の気体浄化装置によれば、浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を第一の空間において液体中に導入し、該液体中に導入した気体を第二の空間に移動させるので、前記気体が前記第二の空間を底部から気泡状となって上昇する。そして、該気泡状となって上昇する気体を、前記液体中においてバブリング部材の小孔を通過させてバブリングさせるので、前記バブリング部材の全面から小径の気泡が激しく大量に発生し、同時に微細化された液体が霧状に飛散する。
したがって、本発明の気体浄化装置によれば、前記気体と液体との接触面積を増大させることができ、前記気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
【0025】
また、本発明の気体浄化装置は、浄化装置本体の上部開口から案内部材とバブリング部材を、同心状に配設するものであるため、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易である。
【0026】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化された気体を、排気筒の孔を通過させ、液体と分離して外部へ排出することとすれば、油分等の不純物を含む液体が前記浄化された気体とともに外部へ排出されることを防ぐことができる。
また、本発明の気体浄化装置は、浄化装置本体の上部開口から案内部材、バブリング部材、及び蓋部材を、同心状に配設するものであるため、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易である。
【0027】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化した気体を、蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して外部へ排出することとすれば、油分等の不純物を含む液体が前記浄化した気体とともに外部へ排出されることを防ぐことができる。
また、本発明の気体浄化装置は、浄化装置本体の上部開口から案内部材、バブリング部材、及び蓋部材を、同心状に配設するものであるため、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易である。
【0028】
本発明の気体浄化装置は、前記気液分離部が、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設することとすれば、前記浄化した気体が前記板状部材に衝突し、該板状部材を迂回しながらジグザグ状の通路を通過するため、前記気体中に含まれる油分等の不純物が外部へ排出されることを防ぐ効果を高めることができる。
【0029】
本発明の気体浄化装置は、前記板状部材が、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されることとすれば、前記気体中に含まれる油分等の不純物が外部へ排出されることを防ぐ効果をさらに高めることができる。
【0030】
本発明の気体浄化装置は、前記第二の
筒状部材の頂部上面に、当該第二の
筒状部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設けることとすれば、前記排気筒の孔又は気液分離部を通過した液体であって前記第二の
筒状部材の頂部上面に付着する液体を、前記第二の空間に還流させることができる。
【0031】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化された気体を、水滴飛散防止部材を迂回させて前記排気筒の孔又は気液分離部に誘導することとすれば、前記油分等の不純物を含む液体が前記浄化された気体とともに外部へ排出されることを防ぐ効果を高めることができる。
【0032】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化装置本体の側方に把手を備えることとすれば、片手で扱うことが可能となり、取り扱いがより容易なものとなる。
【0033】
本発明の気体浄化システムは、前記本発明の気体浄化装置を着脱自在に装着可能とする装着枠を備え、当該装着枠に前記気体浄化装置を装着することで、気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
また、本発明の気体浄化システムは、前記気体浄化装置がコンパクトで取り扱いが容易であるため、該気体浄化装置が汚染された場合に簡単に交換することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の断面図を示す。
図2は、
図1の気体浄化装置を構成する案内部材を他の角度から見た断面図を示す。
【0036】
図1に示すように、本発明の実施の形態における気体浄化装置は、浄化装置本体2、案内部材3、バブリング部材4及び蓋部材5を備える。
【0037】
前記浄化装置本体2は、底部22を有する円筒状の外枠21と、前記底部22の中央に立設され、該底部22中央に形成される開口から気体を吸入する円筒状の吸気筒23を有する。
ここで、該浄化装置本体2は、透明な耐熱性樹脂材により形成される。
【0038】
前記案内部材3は、頂部32を有する円筒状の案内枠31を有し、前記頂部32の下面は逆すり鉢形状とされ、前記案内枠31の下端には切り欠き33が形成される。また、
図2に示すように、前記切り欠き33の間に位置する案内枠31の外面には、前記バブリング部材4を支持する支持部34が形成される。
該案内部材3は、前記案内枠31が前記外枠21と吸気筒23との間に位置するよう前記浄化装置本体2の底部22上に同心状に配設され、前記吸気筒23との間に第一の空間35、前記外枠21との間に第二の空間36をそれぞれ形成する。また、前記吸気筒23内と前記第一の空間35は、前記頂部32下面と前記吸気筒23上端との間に形成される空間を介して連通し、前記第一の空間35と前記第二の空間36は、前記切り欠き33と前記底部22との間に形成される開口37を介して連通する。
【0039】
前記バブリング部材4は、多数の小孔43を有する円環状の二枚の板状部材41,42を有する。
前記二枚の板状部材41,42は、前記第二の空間36の水平断面と略同一の形状であり、図示しないスペーサ等により上下に所定の間隔を空けて一体にねじ止めされる。
該バブリング部材4は、前記案内部材3に形成される支持部34上にねじ等により着脱可能に取り付けられ、前記第二の空間36内に水平に配設される。
【0040】
ここで、本実施の形態において、前記バブリング部材4には、二枚の板状部材41,42からなる二層構造のものを用いたが、前記バブリング部材4は一層でもよく、また三層以上の構造でもよい。
【0041】
なお、前記バブリング部材4は、前記案内部材3に代えて前記浄化装置本体2の外枠21内面に対し着脱可能に取り付けられることとすることもできる。
【0042】
前記蓋部材5は、頂部51の中央から垂設され、該頂部51中央に形成される開口から気体を排出する円筒状の排気筒52を有し、該排気筒52には多数の孔53が形成される。
該蓋部材5は、前記排気筒52の下端が前記案内部材3の頂部32上面に当接する状態で前記浄化装置本体2内に同心状に配設され、前記頂部51により前記外枠21の上部開口を閉鎖する。
【0043】
図3は、
図1の気体浄化装置により、汚染された気体を浄化する様子の説明図を示す。なお、
図3は
図1と同じ装置であるため、ここでは符号の記載を省略する。
まず、本発明の実施の形態における気体浄化装置において、前記浄化装置本体2の外枠21と吸気筒23との間に所定量の液体Lを貯留する。
次に、図示しないファン等の駆動により、気体浄化装置1の上方から前記蓋部材5の頂部51に形成される開口を介して前記浄化装置本体2内に負圧を作用させ、該浄化装置本体2の底部22に形成される開口を通して前記吸気筒23から汚染された気体を吸入する。
【0044】
前記吸気筒23から吸入された気体は、前記案内部材3の頂部52における逆すり鉢形状の下面により前記第一の空間35に案内され、該第一の空間35内において前記液体中に導入される。
そして、前記液体中に導入された気体は、気泡状となって前記開口37から前記第二の空間36に移動する。
【0045】
該第二の空間36に移動した気泡状の気体は、底部から液体中を上昇し、該液体中に位置する前記バブリング部材4の二枚の板状部材41,42の小孔43,43を順次通過する。
このとき、図示するように、当該気体浄化装置1は、前記板状部材41,42の全面から小径の気泡を激しく大量に発生させ、同時に微細化された液体を霧状に飛散させるため、前記汚染された気体と水の接触面積を増大させる(接触を密にする)ことができ、前記気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
【0046】
前記バブリング部材4を通過して油分等の不純物が除去され、浄化された気体は、前記第二の空間36を上昇し、前記蓋部材5の排気筒52に形成される多数の孔53を通過して、該蓋部材5の頂部51に形成される開口から外部へ排出される。
このとき、前記排気筒52には、多数の孔53が形成されているため、前記バブリング部材4の通過に伴い飛散した、油分等の不純物を含む液体が、前記浄化された気体とともに外部へ排出されることを防ぐことができる。
【0047】
図4は、
図1に示す気体浄化装置の分解図を示す。
本発明の実施の形態における気体浄化装置は、前記浄化装置本体2内に、前記案内部材3、前記バブリング部材4及び前記蓋部材5を、同心円状に配設するものであり、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易なものである。ここで、前記バブリング部材4を、予め前記案内部材3の支持部34上に取り付けておけば、効率よく組み立てることができる。
【0048】
また、本実施の形態における気体浄化装置は、前記浄化装置本体2が透明な耐熱性樹脂材により形成されているため、内部の汚染状況を確認することができ、清掃やメンテナンスを適時に行うことができる。
なお、前記浄化装置本体2は、外枠21をステンレス等の金属により形成することもできる。その場合、前記外枠21には、耐熱ガラス等の窓を設け、内部を観察できるようにすればよい。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の変形例の説明図(断面図)を示す。
図5に示す気体浄化装置は、
図1に示す気体浄化装置において、前記バブリング部材4と前記排気筒52との間の空間、ここでは前記排気筒52の下部に水滴飛散防止板54を配設するものである。
【0050】
図5に示す気体浄化装置は、前記バブリング部材4を通過して油分等の不純物が除去され、浄化された気体を、前記水滴飛散防止板54を迂回させて前記排気筒52の孔53に誘導することで、前記飛散し油分等の不純物を含むものとなった液体が、前記浄化された気体とともに外部に排出されることを防ぐ効果を高めることができる。
【0051】
ここで、前記水滴飛散防止板54は、前記第二の空間36を上昇する浄化された気体を迂回させるものであればよく、配設される場所も前記排気筒52の下部に限定されない。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の他の変形例の説明図(断面図)を示す。
図6に示す気体浄化装置は、
図1に示す気体浄化装置において、案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成するものである。
【0053】
図6に示す気体浄化装置において、油分等の不純物を含む液体が、前記蓋部材5の排気筒52に形成される多数の孔53を通過した場合、当該液体の大部分は前記案内部材3の頂部32上面に落下し又付着することとなるが、前記案内部材3の頂部32上面を円錐形状とすることで、前記液体は前記案内部材3の頂部32上面を伝って外周方向へ移動する。そして、当該気体浄化装置は、前記蓋部材5における排気筒52の下端が前記案内部材3の頂部32上面に当接する状態で配設されるため、前記ファン等の駆動により浄化装置本体2の上方から作用する負圧によって、前記排気筒52の下端が前記案内部材3の頂部32上面から僅かに浮き上がり、前記液体は前記僅かな隙間から前記バブリング部材4が配設される第二の空間へ還流する。
【0054】
また、
図6に示す気体浄化装置において、前記蓋部材5における排気筒52の下端、又は前記排気筒52の下端と当接する前記案内部材3の頂部32上面に、前記案内部材3の頂部32上方の空間と前記第二の空間とを連通する溝や段部を形成しておけば、前記負圧の作用による排気筒52の浮き上がりに関係なく、前記液体の還流を確実なものとすることができる。なお、前記排気筒52の下端に形成される溝には、該排気筒52に形成される孔53の一部分を利用できることはいうまでもない。
【0055】
図6に示す気体浄化装置では、案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成したが、前記頂部32上面の形状はこれに限るものでなく、前記排気筒52に形成される多数の孔53を通過して前記案内部材3の頂部32上面に落下し付着する液体を、該案内部材3の頂部32上面を伝って外周方向へ移動させる傾斜部を有するものであれば、任意の形状とすることができる。
なお、前記案内部材3の平坦な頂部32上面に円錐形状等の別部材を配置してもよいことはいうまでもない。
【0056】
本発明の実施の形態における気体浄化装置は、
図6に示すような案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成することに代えて、
図1に示すような案内部材3の平坦な頂部32上面に液体還流用の溝を形成することができる。その場合、前記溝は、前記頂部上面の中心から外周に向けて徐々に深くなるよう形成すればよく、必要に応じて放射状に複数形成してもよい。
このように、前記案内部材3の平坦な頂部32上面に液体還流用の溝を形成する場合でも、前記蓋部材5の排気筒52に形成される多数の孔53を通過した液体を、前記バブリング部材4が配設される第二の空間へ還流させることができる。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態における気体浄化装置のさらに他の変形例の説明図(断面図)を示す。
図7に示す気体浄化装置は、
図6に示す気体浄化装置において、蓋部材150の構造を変更するものである。
【0058】
図7に示す気体浄化装置において、前記蓋部材150は、中央に開口が形成される頂部151と、前記頂部151中央の下方に設けられる円筒状の気液分離部152を有する。
前記蓋部材150は、前記気液分離部152の下端が前記案内部材3の頂部32上面に載置される状態で前記浄化装置本体2内に同心円状に配設され、前記頂部151により前記外枠21の上部開口を閉鎖する。
【0059】
図8は、
図7の気体浄化装置における蓋部材150の拡大断面図を示す。
前記気液分離部152は、前記案内部材3の頂部32上面に当接する環状部材156と、前記蓋部材150の頂部151下面と前記環状部材156の上面を連結する複数の板状部材155を有している。
前記複数の板状部材155は、前記頂部151下面に対し下向きに円筒状に配設されて、隣接する板状部材155,155間に間隙Gを形成してなる。
また、前記環状部材156下面には段部が形成されている。
ここで、前記気液分離部152を構成する前記頂部151、前記板状部材155、前記環状部材156は、一部材により成形されるものでもよいし、別部材を一体に連結されるものでもよい。
【0060】
さらに、前記蓋部材150の頂部151下面であって、前記気液分離部152の内側には、前記板状部材155を伝って上昇する液体が前記蓋部材150の頂部151中央に形成される開口から外部へ漏出することを防止する液体漏出防止部157が形成されている。
【0061】
図9は、
図8における蓋部材150の平面図を示す。
前記気液分離部152における各板状部材155は断面V字形であって、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されている。
また、前記各列の隣接する板状部材155,155間にはそれぞれ間隙Gが形成されており、前記各板状部材155は、前記各列の間隙Gが平面視において千鳥状の配置となるように配設されジグザグ状の通路を形成する。
【0062】
上記気液分離部152の構成によれば、バブリング部材4を通過して油分等の不純物が除去され、浄化された気体は、前記第二の空間36を上昇した後、前記板状部材155に衝突し、また前記各板状部材155を迂回しながらジグザグ状の通路を通過して、前記蓋部材150の頂部151中央に形成される開口から外部へ排出される。
したがって、前記バブリング部材4の通過に伴い飛散した、油分等の不純物を含む液体は、前記各板状部材155に付着することとなり、浄化された気体とともに外部へ排出されることはない。
【0063】
また、
図7に示す気体浄化装置は、案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成するものである。
図7に示す気体浄化装置において、油分等の不純物を含む液体が、気液分離部152を通過した場合、前記液体の大部分は前記案内部材3の頂部32上面に落下し付着することとなるが、前記案内部材3の頂部32上面を円錐形状とすることで、前記液体は前記案内部材3の頂部32上面を外周方向へ移動する。そして、当該気体浄化装置1は、前記気液分離部152を構成する環状部材156の下面に段部が形成されており、当該環状部材156の下端面が前記案内部材3の頂部32上面に当接する状態で当該蓋部材150が配設されるため、ファン等の駆動により浄化装置本体2内に上方から作用する負圧によって、前記環状部材156の下端面が前記案内部材3の頂部32上面から僅かに浮き上がり、前記液体は前記僅かな隙間から前記バブリング部材4が配設される第二の空間へ還流する。
なお、前記環状部材156の下端面、又は前記環状部材156の下端面と当接する前記案内部材3の頂部32上面に、前記案内部材3の頂部32上方の空間と第二の空間とを連通する溝を形成しておけば、前記液体の還流を確実なものとすることができる。
【0064】
図9に示す例では、各板状部材155を円筒形状に二列に配設したが、一列又は三列以上に配設することもできる。
また、本実施の形態において、前記板状部材155とは、断面V字形の板状部材に加え、単なる平板部材、及び角材など厚みのある棒状部材をも含むものである。
さらに、前記気液分離部152において、環状部材156は必須の部材ではない。前記環境部材156を省略する場合、前記板状部材155の下端が前記案内部材3の頂部32上面に載置される状態で前記浄化装置本体2内に同心円状に配設されるため、前記案内部材3の頂部32上方の空間から第二の空間への液体の還流が確実に行われる。
【0065】
本実施の形態において、前記気液分離部152における各板状部材155の形状、配置及び間隙等は、浄化された気体の排出量と、油分等の不純物を含む液体の外部への排出防止効果を考慮して決定すればよい。
また、本実施の形態において、前記気液分離部152における板状部材155は、必ずしも前記蓋部材150の頂部151下面に対し垂直に設けられる必要はない。
【0066】
図10は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の使用例であって、空気浄化システムの説明図を示す。
本実施の形態における気体浄化装置は、例えばフードを用いないフライヤー(フードレス・フラーヤー)から立ち上る油煙等の除去装置として使用することができる。
【0067】
図10に示す空気浄化システム100は、出口部に図示しないファンを有する排気ダクト101と、前記排気ダクト101の入口部に設けられる装着枠102と、フライヤー等から立ち上る油煙等を集める集気ホッパ103から大略構成される。
【0068】
前記装着枠102は、前記集気ホッパ103に連通する開口を有する底板、前記気体浄化装置1を着脱自在に装着可能とする開口を有する側板、前記排気ダクト101に連通する開口を有する天板、を有し、前記側板には、前記内部に装着される気体浄化装置1を目視可能とする切り欠き窓105が形成される。
また、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104により保持される。
【0069】
そして、
図10に示すように、前記装着枠102に前記気体浄化装置1が装着された状態の空気浄化システム100は、フライヤー等から立ち上る油煙等を、前記集気ホッパ103により集気し、前記装着枠102の底板の開口を通して前記気体浄化装置1内へ吸入し、該気体浄化装置1内で浄化した気体を、前記装着枠102の天板の開口を通して前記排気ダクト101から外部へ排出する。
【0070】
本例において、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104に保持されるから、これを扱う作業者は、前記装着枠102への取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
なお、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104に保持させることに代えて、浄化装置本体2に直接把手を設けるものとすることもできる。
また、前記装着枠102は透明な耐熱性樹脂材等により形成することができる。その場合、該装着枠102の側板には前記切り欠き窓105を形成する必要はない。
【0071】
本発明の実施の形態における気体浄化装置は、水平な断面が円形状からなる各部材を同心円状に組み合わせて構成することとしたが、各部材が同心軸上に配設されるものであれば前記断面形状は円形に限るものでなく、例えば四角形とすることもできる。
【0072】
本発明の実施の形態における気体浄化装置において、浄化装置本体2の外枠21と吸気筒23との間に貯留する液体は、代表的には水を用いるが、それ以外の液体を用いても良い。また、前記液体には、例えば界面活性剤等の成分を含有させてもよい。液体が界面活性剤を含有するものであれば、親油性の臭気を溶かし込むことができる。
【0073】
本発明の実施の形態における気体浄化装置において、浄化する気体は、代表的には厨房から発生する油煙等の汚染された空気であるが、それ以外の場所で、それ以外の気体を浄化することもできる。
【0074】
本発明の気体浄化装置は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。