特許第6229932号(P6229932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229932
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-200883(P2013-200883)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-66027(P2015-66027A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】萩 高志
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148751(JP,A)
【文献】 特開2012−148060(JP,A)
【文献】 特開2012−144833(JP,A)
【文献】 特許第4390747(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15−64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維集合体に高吸収性ポリマー粒子を混入してなる吸収体を、クレープ紙からなる包装シートで包装してなる吸収要素と、この吸収要素の表側を覆う透液性トップシートと、吸収要素の裏側を覆う液不透過性シートとを備えた吸収性物品において、
前記クレープ紙は、パルプ繊維の全量が針葉樹晒クラフトパルプであり、フリーネスが560〜1000mlの針葉樹晒クラフトパルプを用い、粘剤を対パルプ重量比で0.6〜1.0kg/t使用してなるものであり、目付が10〜40g/m2であり、9.8×102Pa圧力下での厚みが0.05〜1mmであり、粘性液透過速度試験による粘性液透過速度が500秒以下であり、ポリマー抜け出し試験によるポリマー抜け出し量が0.5重量%以下である、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記高吸収性ポリマー粒子は、未吸収時の平均粒径が50〜1,000μmであり、かつ未吸収時の粒径が106μm以上のものが全体の99重量%以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性を有する液(以下、粘性液ともいう)、例えば泥状便や水様便における粘性液分の吸収性を向上させた吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な使い捨ておむつは、繊維集合体に高吸収性ポリマー粒子を混入してなる吸収体を包装シートで包装してなる吸収要素と、この吸収要素の表側を覆う透液性トップシートと、吸収要素の裏側を覆う液不透過性シートとを基本構成要素としている(例えば特許文献1参照)。また最近では、トップシートと吸収要素との間に、いわゆる逆戻りを防止するために中間シート(セカンドシートともいわれる)を介在させることも一般的となっている。使用時には、尿や便の液分はトップシート、中間シートがある場合は中間シート、及び包装シートを通過して吸収体に吸収され、吸収体の裏側への移動は液不透過性シートにより遮断されるようになっている。
【0003】
包装シートは、吸収体の形状維持、高吸収性ポリマー粒子の漏れ出し防止等を目的とするものであるため、吸収体素材が抜け出ない緻密な繊維構造が必要である反面、吸収体を包むものであるため透過性にも優れることが要求される。包装シートの素材としては、クレープ紙が広く採用されているが、このような高い要求を満たすために従来から種々の改善が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
しかしながら、吸収対象が泥状便や水様便における粘性液分のような粘性液の吸収速度と、繊維間隙からの高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止とは、相反する要素であるため、高次元で両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−144833号公報
【特許文献2】特開2009−148322号公報
【特許文献3】特開2001−314444号公報
【特許文献4】特開2012−144832号公報
【特許文献5】特開2012−148060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、粘性液の吸収性及び高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止を高次元で両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
繊維集合体に高吸収性ポリマー粒子を混入してなる吸収体を、クレープ紙からなる包装シートで包装してなる吸収要素と、この吸収要素の表側を覆う透液性トップシートと、吸収要素の裏側を覆う液不透過性シートとを備えた吸収性物品において、
前記クレープ紙は、パルプ繊維の全量が針葉樹晒クラフトパルプであり、フリーネスが560〜1000mlの針葉樹晒クラフトパルプを用い、粘剤を対パルプ重量比で0.6〜1.0kg/t使用してなるものであり、目付が10〜40g/m2であり、9.8×102Pa圧力下での厚みが0.05〜1mmであり、粘性液透過速度試験による粘性液透過速度が500秒以下であり、ポリマー抜け出し試験によるポリマー抜け出し量が0.5重量%以下である、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0008】
<請求項2記載の発明>
前記高吸収性ポリマー粒子は、未吸収時の平均粒径が50〜1,000μmであり、かつ未吸収時の粒径が106μm以上のものが全体の99重量%以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば粘性液の吸収性及び高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止が高次元で両立することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図2】テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図3図1の6−6線断面図である。
図4図1の7−7線断面図である。
図5図1の8−8線断面図である。
図6図1の9−9線断面図である。
図7図1の5−5線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1図7はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、図中の符号Xはファスニングテープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤の塗布部分を示している。
【0012】
このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素50が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFとを有するものである。
【0013】
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体の側縁よりも側方に延出する一対のサイドフラップ部SF,SFを有しており、背側におけるサイドフラップ部SF,SFにはファスニングテープ13がそれぞれ設けられている。
【0014】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに各サイドフラップ部SF,SFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、およびトップシート30がこの順に積層されている。トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、トップシート30よりも若干幅広に形成されている。
【0015】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部立体ギャザー60,60が設けられており、この側部立体ギャザー60,60を形成するギャザーシート62,62が、トップシート30の両側部上から各サイドフラップ部SF,SFの内面までの範囲に固着されている。
【0016】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を囲む部位となる。
【0017】
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付は10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
【0018】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0019】
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0020】
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0021】
(中間シート)
トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、トップシート30表面の肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
【0022】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40はトップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
【0023】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0024】
(側部立体ギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
【0025】
この側部立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0026】
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。
【0027】
脚周りにおいては、側部立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が弾性伸縮部材63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして弾性伸縮部材63の収縮力が作用するので、弾性伸縮部材63の収縮力により側部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0028】
図示形態と異なり、ギャザーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
【0029】
(平面ギャザー)
各サイドフラップ部SF,SFには、ギャザーシート62の固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と液不透過性シート11との間に、糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64が前後方向に沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップ部SF,SFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。脚周り弾性伸縮部材64はサイドフラップ部SFにおける液不透過性シート11と外装シート12との間に配置することもできる。脚周り弾性伸縮部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
【0030】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0031】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付としては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0032】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
【0033】
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
【0034】
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子は、この種の吸収性物品に使用される粒径のものをそのまま使用でき、平均粒径が1000μm以下、好ましくは未吸収時の粒径が106μm以上のものが全体の99重量%以上、特に150〜850μmのものが全体の99重量%以上であるのが望ましい。未吸収時の平均粒径は250〜500μm程度であるのが好ましい。また、高吸収性ポリマー粒子は吸収後の平均粒径が未吸収時の平均粒径の3倍以上、具体的には500μm以上であることが望ましい。なお、未吸収時の高吸収性ポリマー粒子の平均粒径は、重量基準粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。この場合における重量基準粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定される。すなわち、内径150mm、深さ45mmの710μm、500μm、300μm、150μm及び106μmの目開きのふるいを、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0035】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0036】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0037】
高吸収性ポリマー粒子の目付は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0038】
(包装シート)
包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を一枚で包む形態のほか、吸収体の表面を覆う部分とそれ以外を覆う部分と分けて構成しても良い。
【0039】
(ファスニングテープ)
図1図2及び図5に示されるように、ファスニングテープ13は、おむつの側部に固定されたテープ取付部13C、及びこのテープ取付部13Cから突出するテープ本体部13Bをなすシート基材と、このシート基材におけるテープ本体部13Bの幅方向中間部に設けられた、腹側に対する係止部13Aとを有し、この係止部13Aより先端側が摘み部とされたものである。ファスニングテープ13のテープ取付部13Cは、サイドフラップ部における内側層をなすギャザーシート62及び外側層をなす外装シート12間に挟まれ、かつホットメルト接着剤により両シート62,12に接着されている。また、係止部13Aはシート基材に接着剤により剥離不能に接合されている。
【0040】
乳幼児用おむつにおいては、テープ取付部13Cの寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、テープ本体部13Bの寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。
【0041】
係止部13Aとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)が好適である。フック材は、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。もちろん、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
【0042】
また、テープ取付部からテープ本体部までを形成するシート基材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0〜3.5dtex、目付20〜100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
【0043】
おむつの装着に際しては、背側のサイドフラップ部SFを腹側のサイドフラップ部SFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
【0044】
ファスニングテープ13は、背側のエンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13のテープ取付部13Cが重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13のテープ取付部13C間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側のエンドフラップ部EFの前後方向長さは、ファスニングテープ13のテープ取付部13Cの前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0045】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
【0046】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部EFであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部EFである。
【0047】
背側エンドフラップEFの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0048】
腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
【0049】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0050】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0051】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0052】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、またトップシート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70はトップシート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
【0053】
(包装シートの素材)
特徴的には、本発明では包装シート58として特定のクレープ紙が用いられる。すなわち、本発明のクレープ紙は、パルプ繊維の全量が針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)であり、目付が10〜40g/m2であり、10gf/cm2圧力下での厚みが0.05〜1mmであり、後述する粘性液透過速度試験による粘性液透過速度が500秒以下であり、また、後述するポリマー抜け出し試験によるポリマー抜け出し量が0.5重量%以下のものである。このようなNBKP100%のクレープ紙は、例えば後述するように、フリーネス560〜1,000mlの針葉樹晒クラフトパルプを用い、粘剤を対パルプ重量比で0.6〜1.0kg/t使用することにより製造することができる。フリーネスのより好ましい範囲は560〜590mlである。また、目付のより好ましい範囲は16〜18g/m2である。また、10gf/cm2圧力下での厚みのより好ましい範囲は0.1〜0.17mmである。また、粘剤のより好ましい範囲は対パルプ重量比で0.6〜0.8kg/tである。
【0054】
ここで、クレープ紙の目付は、200mm×250mmで切り抜いた重量を測定し、1m2での重量に換算して算出することができる。また、フリーネスとは、JIS P8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、パルプの叩解(水の存在下でパルプを機械的に叩き、磨砕する処理)の度合いを示す値である。通常、フリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。フリーネスが前記範囲にある繊維は、フィブリル化が進行しているため繊維どうしが絡み合い易い。NL比(NBKP:LBKP)を10:0として強度を確保しつつ、目付、厚み及びフリーネスを上記範囲とすることにより繊維間隙による細孔径を大きなものとすることができる。
【0055】
また、これだけでは、細孔径の分布が広くなり、高吸収性ポリマー粒子が抜け難い範囲で十分に大径のものだけでなく、高吸収性ポリマー粒子よりも大径の細孔が多くなり、高吸収性ポリマー粒子の抜け出しが多くなる。これに対して、上記のように粘剤(ねり)を通常よりも多くすると、殆どが高吸収性ポリマー粒子の抜け難い範囲で十分に大きい細孔となるため、粘性液の透過性にも優れるようになる。よって、このような条件で製造されたクレープ紙は、粘性液の吸収性及び高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止が高次元で両立し、また製造、使用において十分な強度を有するものとなる。
【0056】
粘剤は特に限定されず、トロロアオイといった天然粘剤や、ポリエチレンオキシド系粘剤、ポリアクリル酸系粘剤、ポリアクリルアミド系粘剤などの合成粘剤等、パルプ繊維の凝集、絡み合いを防止し、水抜けを遅くする目的で使われる公知の粘剤から適宜選択できるが、特にポリエチレンオキシド系粘剤といった合成粘剤を好適に用いることができる。
【0057】
クレープ紙は、クレープ(ちりめん状のシワ)を有するものであり、そのクレープは、ドライヤパートにおけるヤンキードライヤ等から乾燥状態の繊維ウエブをドクターナイフ等で剥離する際に生じるドライクレープであることが好ましい。クレープ紙のクレープ率は特に限定されないが、液透過性と高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止性、及び強度のバランスの観点から20〜30%とするのが好ましい。クレープ率は、((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100により求めることができる。
【0058】
透気度は、クレープ紙の通気性だけでなく液透過性の指標ともなるものである。本発明のクレープ紙は、透気度は5秒/50枚/300ml以下であることが望ましい。なお、 透気度はJIS P8117の「ガーレー試験機法」に準じて、50枚のクレープ紙を重ねて300mlの気体が通過する時間を測定したものである。
【0059】
本発明のクレープ紙においては、紙力を確保するために、乾燥紙力剤や湿潤紙力剤を使用することができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその塩、ポリアクリルアミド系樹脂及びその塩、カチオン化デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。CMCあるいはポリアクリルアミド系樹脂の塩としては、それぞれ、ナトリウム塩が主に用いられる。ポリアクリルアミド系樹脂としては、例えば、カチオン性又はアニオン性ポリアクリルアミド(PAM)が挙げられる。これらの中では、CMC及びその塩、アニオン性PAM及びその塩が好ましい。
【0060】
また、湿潤紙力剤としては、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、メチロール化ポリアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、PAEが好ましい。
【0061】
クレープ紙の強度は特に限定されないが、製造時の搬送方向(MachineDirection、略してMD方向。製品時の前後方向。)の乾燥引張強さは500cN/25mm以上であるのが好ましく、特に900〜1,100cN/25mmであると好ましい。また、クレープ紙のMDに直交する方向(CrossmachineDirection、略してCD方向。製品時の幅方向。)の乾燥引張強さは、100cN/25mm以上であるのが好ましく、特に200〜300cN/25mmであると好ましい。さらに、クレープ紙のMD方向の湿潤引張強さは100cN/25mm以上であるのが好ましく、特に200〜300cN/25mmであると好ましい。また、クレープ紙のCD方向の湿潤引張強さは、50cN/25mm以上であるのが好ましく、特に100〜150cN/25mmであると好ましい。
【0062】
乾燥状態におけるMD方向及びCD方向の引張強さは、JIS P 8113−2006に準じて測定され、試験片の寸法は長さ(MD方向の引張強さのときはMD方向の長さ、CD方向の引張強さのときはCD方向の長さ)が100mmとされ、幅(MD方向の引張強さのときはCD方向の長さ、CD方向の引張強さのときはMD方向の長さ)が25mmとされチャック間距離は60mm、引張速度100mm/minとされる。湿潤状態の引張強さは、JIS P 8135−1998に準じて測定され、試験片の寸法は長さ(MD方向の引張強さのときはMD方向の長さ、CD方向の引張強さのときはCD方向の長さ)が100mmとされ、幅(MD方向の引張強さのときはCD方向の長さ、CD方向の引張強さのときはMD方向の長さ)が25mmとされチャック間距離は60mm、引張速度100mm/minとされる。
【0063】
<用語の説明>
用語「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分と背側部分を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。
【0064】
また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
【実施例】
【0065】
表1に示す種々のドライクレープ紙を製造し、透気度、粘性液透過速度試験による粘性液透過速度、及びポリマー抜け出し試験によるポリマー抜け出し量を測定するとともに、目付ムラを目視確認した。試験方法及び試験結果は以下のとおりであった。
【0066】
<透気度、乾燥引張強さ、湿潤引張強さ>
前述のとおりとした。
【0067】
<厚み>
厚みは、見かけ厚みではなく、KATO TECH CO.,LTD. KES-SE FRICTION TESTERを用いて、10gf/cm2圧力下で測定し、厚みとした。
【0068】
<粘性液透過速度試験>
粉ミルク(和光堂レーベンスミルクはいはい)を30重量%の割合で水に溶かし、さらにカルボキシルメチルセルロースを添加して温度25度での粘度を100mPa・sに調整したものを、粘性液として使用した。
【0069】
ガラスビーカーの口にクレープ紙を1枚被せ、輪ゴムでシワやたわみが入らないように固定した後、水平な台上に置き、クレープ紙の上面に2mlの粘性液を載せてから、ビーカーの底に擬似便が滴下するまでに要した時間を測定し、粘性液透過速度とした。
【0070】
<ポリマー抜け出し試験>
縦200mm×横200mmのクレープ紙の中央部に3.0gの高吸収性ポリマー粒子(平均粒径約380μm、未吸収時の粒径が106μm以上のものが全体の99重量%以上)を載せるとともに、周縁5mmにホットメルト接着剤を付着させ、横方向の中心線で二つ折りして、クレープ紙内に高吸収性ポリマー粒子を封入し、サンプルを作製した。このサンプルを振とう器(Yamato製 振とう器 型式MK160)にて200rpmで3分間振とうさせ、クレープ紙内に封入した高吸収性ポリマー粒子の質量に対する、クレープ紙を通りぬけて外にこぼれたポリマーの質量の割合を測定し、ポリマー抜け出し量とした。
【0071】
<目付ムラ>
目視にて、穴の大きさにムラがないか(目付ムラ)確認した。直径1mm以上の孔を確認した場合は×と評価し、確認できなかったものを○と評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
<試験結果>
表1から、実施例1,2は比較例1〜8と比べて、粘性液の透過性(つまり吸収性物品であれば吸収性)及び高吸収性ポリマー粒子の抜け出し防止が高次元で両立していることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、上述のようなテープタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプやパッドタイプの使い捨ておむつ、あるいは生理用ナプキン等、吸収性物品全般に利用可能なものである。
【符号の説明】
【0075】
11…液不透過性シート、12…外装シート、13…ファスニングテープ、13A…係止部、13B…テープ本体部、13C…テープ取付部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、70…背側伸縮シート、12T…ターゲットシート、80…インジケータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7