特許第6229939号(P6229939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229939
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171106BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20171106BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20171106BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01L21/304 643C
   H01L21/304 647Z
   B08B3/08 Z
   H01L21/306 R
   G02F1/13 101
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-249548(P2013-249548)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-106699(P2015-106699A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100137062
【弁理士】
【氏名又は名称】五郎丸 正巳
(72)【発明者】
【氏名】根来 世
(72)【発明者】
【氏名】永井 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 敬次
(72)【発明者】
【氏名】阿野 誠士
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−284456(JP,A)
【文献】 特開2007−234812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/08
G02F 1/13
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持手段と、
第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生させる第2液とを混合して、前記第1液と第2液との混合液を生成するための混合部と、
前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管と
前記気体導出配管に接続され、当該気体導出配管の内部を吸引する気体吸引配管とを含み、
前記混合部の内部で生成された前記混合液が、前記基板に供給される、基板処理装置。
【請求項2】
基板を保持する基板保持手段と、
第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生させる第2液とを混合して、前記第1液と第2液との混合液を生成するための混合部と、
前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管とを含み、
前記混合部は、前記第1液と前記第2液とを混合するための混合室と、前記混合室で生成された混合液を、前記基板に向けて吐出するための吐出口とを有する混合液ノズルを含み、
前記混合室に前記気体導出配管が接続されており、
前記混合室で生成された前記混合液が、前記吐出口から前記基板に供給される、基板処理装置。
【請求項3】
前記混合液ノズルの前記混合室には、前記第1液を当該混合室に供給するための第1配管と、前記第2液を当該混合室に供給するための第2配管とが接続されており、
前記第1および第2配管の少なくとも一方には、当該第1および第2配管の内部を吸引するための吸引配管が接続されている、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を保持する基板保持手段と、
第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生させる第2液とを混合して、前記第1液と第2液との混合液を生成するための混合部と、
前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管と、
前記混合液を吐出するための混合液ノズルと、
前記混合部と前記混合液ノズルとを接続し、前記混合部によって生成された前記混合液を、前記混合液ノズルに供給する混合液供給配管とを含み、
前記混合部の内部で生成された前記混合液が、前記混合液ノズルから前記基板に供給される、基板処理装置。
【請求項5】
前記第1液は硫酸であり、
前記第2液は過酸化水素水である、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1液と第2液との混合液を用いて基板を処理するための基板処理装置に関する。処理の対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
たとえば半導体製造装置の製造工程では、硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPM(Sulfuric Acid-Hydrogen Peroxide Mixture)を、基板の表面に供給して、SPMに含まれるペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid)の強酸化力により、基板の表面からレジストを除去する手法が知られている。下記特許文献1には、スピンチャックと、スピンチャックに保持された基板の上面に対してSPMを供給するためのSPMノズルと、SPMノズルに硫酸を供給する硫酸供給管と、SPMノズルに過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給管とを備える基板処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−16497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SPMノズルからのSPMの吐出時には、硫酸供給管からの硫酸がSPMノズルに供給されるとともに、過酸化水素水供給管からの過酸化水素水がSPMノズルに供給される。
このとき、SPMノズルの内部で硫酸と過酸化水素水とが混合され、SPMが生成される。また、SPMノズルの内部においては、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより気体(水蒸気)が発生し、その結果、SPMノズルの内部の圧力が過度に上昇する。この場合、SPMの吐出開始時において、SPMノズルの吐出口からSPMが勢い良く噴出し、その結果、基板の表面にダメージを与えるおそれがある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、第1液と第2液とが混ざり合うことにより発生する気体による影響を取り除くことができ、これにより、基板への混合液の供給を安定的に行うことができる、基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持する基板保持手段(5)と、第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生する第2液とを混合して、第1液と第2液との混合液を生成するための混合部(12;115)と、前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管(17)と、前記気体導出配管に接続され、当該気体導出配管の内部を吸引する気体吸引配管(24)とを含み、前記混合部の内部で生成された前記混合液が、前記基板に供給される、基板処理装置(1;101)を提供する。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、第1液と第2液との混合液を基板に供給する際には、混合部の内部で第1液と第2液とが混合され、混合液が生成される。第1液と第2液とが混ざり合うことにより混合部の内部に発生する気体は、気体導出配管を通って混合部外に導出される。混合部の内部から気体が排出されるので、混合部の内部の圧力が過度に上昇しない。これにより、混合部から基板に良好に混合液を良好に導くことができる。ゆえに、第1液と第2液とが混ざり合うことにより発生する気体による影響を取り除くことができ、これにより、基板への混合液の供給を安定的に行うことができる。
【0008】
気体導出配管を用いた混合部からの気体の導出後に、気体導出配管の内部に気体が残留することがある。気体導出配管に残留した気体は温度低下に伴って液化して気体導出配管の管壁に液滴として付着するおそれがあり、この場合、当該液滴が気体導出配管から混合部内に流入するおそれもある
【0009】
この構成によれば、気体導出配管の内部に残留する気体が吸引され、外気と置換されるので、混合部からの気体の導出後において、気体導出配管の内部から、第1液と第2液とが混ざり合うことにより発生した気体を完全に置換することができる。これにより、気体が液化し液滴となって混合部内に流入することを確実に防止できる。
請求項に記載の発明は、基板(W)を保持する基板保持手段(5)と、第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生する第2液とを混合して、第1液と第2液との混合液を生成するための混合部と、前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管(17)とを含み、前記混合部は、前記第1液と前記第2液とを混合するための混合室(55)と、前記混合室で生成された混合液を、前記基板に向けて吐出するための吐出口(57)とを有する混合液ノズル(12)を含み、前記混合室に前記気体導出配管が接続されており、前記混合室で生成された前記混合液が、前記吐出口から前記基板に供給される、基板処理装置である。
【0010】
この構成によれば、第1液と第2液との混合液を基板に供給する際には、混合部の内部で第1液と第2液とが混合され、混合液が生成される。第1液と第2液とが混ざり合うことにより混合部の内部に発生する気体は、気体導出配管を通って混合部外に導出される。混合部の内部から気体が排出されるので、混合部の内部の圧力が過度に上昇しない。これにより、混合部から基板に良好に混合液を良好に導くことができる。ゆえに、第1液と第2液とが混ざり合うことにより発生する気体による影響を取り除くことができ、これにより、基板への混合液の供給を安定的に行うことができる。
また、混合液ノズルからの混合液の吐出時には、混合室において第1液と第2液とが混合されて混合液が生成され、その混合液が吐出口から吐出される。混合室において第1液と第2液とが混ざり合うことにより発生した気体は、気体導出配管を通って混合ノズル外に導出されるので、混合液ノズルの内部(混合室を含む)の圧力が過度に上昇しない。これにより、混合液ノズルの吐出口から基板に向けて吐出される混合液の勢いが強くなり過ぎることを防止することができる。ゆえに、基板にダメージを与えることなく、基板に混合液を吐出することができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記混合液ノズルの前記混合室には、前記第1液を当該混合室に供給するための第1配管(15)と、前記第2液を当該混合室に供給するための第2配管(16)とが接続されており、前記第1および第2配管の少なくとも一方には、当該第1および第2配管の内部を吸引するための吸引配管(27,29)が接続されている、請求項に記載の基板処理装置である。
【0012】
この構成によれば、混合液ノズルからの混合液の吐出停止後に、第1配管の内部および第2配管の内部の少なくとも一方が吸引される。第1配管の内部を吸引する場合には、第1配管内の第1液の先端面を後退させることができ、第2配管の内部を吸引する場合には、第2配管内の第2液の先端面を後退させることができる。これにより、混合液ノズルからの混合液の吐出停止後において、混合液ノズルから混合液が落下することを抑制または防止することができる。
【0013】
請求項に記載のように、基板(W)を保持する基板保持手段(5)と、第1液と、前記第1液と混ざり合うことにより気体を発生する第2液とを混合して、第1液と第2液との混合液を生成するための混合部(115)と、前記混合部に接続され、前記第1液と前記第2液とが混ざり合うことにより前記混合部の内部に発生する前記気体を、前記混合部外に導出する気体導出配管(17)とを含み、前記混合液を吐出するための混合液ノズル(113)と、前記混合部と前記混合液ノズルとを接続し、前記混合部によって生成された前記混合液を、前記混合液ノズルに供給する混合液供給配管(114)とを含み、前記混合部の内部で生成された前記混合液が、前記混合液ノズルから前記基板に供給されていてもよい。
請求項に記載のように、前記第1液は硫酸であり、前記第2液は過酸化水素水であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の模式的な平面図である。
図2図1に示すチャンバの内部を水平に見た模式図である。
図3図2に示すSPMノズルの構成を示す図解的な断面図である。
図4図2に示す赤外線ヒータの縦断面図である。
図5図2に示す処理ユニットによって行われるレジスト除去処理の処理例の概略を示すフローチャートである。
図6図5の処理例の一部の具体的なタイムチャートである。
図7】本発明の他の実施形態に係るSPM供給装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の模式的な平面図である。図2は、基板処理装置1に備えられたチャンバ4の内部を水平に見た模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスによって基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、各処理ユニット2のチャンバ4に対して基板Wの搬入および搬出を行う基板搬送ロボットCRと、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉などを制御する制御装置3とを含む。
【0016】
図2に示すように、各処理ユニット2は、枚葉式のユニットである。各処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバ4と、チャンバ4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持手段)5と、スピンチャック5に保持されている基板WにSPM(HSOとHとを含む混合液)を供給するSPM供給装置6と、スピンチャック5に保持されている基板Wを基板Wの上方から加熱する加熱装置と、回転軸線A1まわりにスピンチャック5を取り囲む筒状のカップ7とを含む。
【0017】
図2に示すように、スピンチャック5として、たとえば挟持式のものが採用されている。具体的には、スピンチャック5は、スピンモータ8と、このスピンモータ8の駆動軸と一体化されたスピン軸9と、スピン軸9の上端にほぼ水平に取り付けられた円板状のスピンベース10と、スピンベース10の周縁部の複数箇所にほぼ等角度間隔で設けられた複数個の挟持部材11とを備えている。複数個の挟持部材11は、基板Wをほぼ水平な姿勢で挟持する。この状態で、スピンモータ8が駆動されると、その駆動力によってスピンベース10が所定の回転軸線A1まわりに回転され、そのスピンベース10とともに、基板Wがほぼ水平な姿勢を保った状態で回転軸線A1まわりに回転される。
【0018】
なお、スピンチャック5としては、挟持式のものに限らず、たとえば、基板Wの裏面を真空吸着することにより、基板Wを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で鉛直な回転軸線まわりに回転することにより、スピンチャック5に保持された基板Wを回転させる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
図2に示すように、SPM供給装置6は、SPMおよび過酸化水素水を基板Wの上面に向けて選択的に吐出するSPMノズル(混合液ノズル。混合部)12と、SPMノズル12が先端部に取り付けられた第1ノズルアーム13と、第1ノズルアーム13を移動させることにより、SPMノズル12を移動させる第1ノズル移動ユニット14とを含む。
【0019】
SPMノズル12は、たとえば、連続流の状態でSPMまたは過酸化水素水を吐出するストレートノズルであり、基板Wの上面に垂直な方向に処理液を吐出する垂直姿勢で第1ノズルアーム13に取り付けられている。第1ノズルアーム13は水平方向に延びており、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる揺動軸線(図示しない)まわりに旋回可能に設けられている。なお、SPMノズル12は、吐出口よりも内方(回転軸線A1側)の位置にSPMまたは過酸化水素水が着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向にSPMまたは過酸化水素水が吐出される内向き姿勢で第1ノズルアーム13に保持されていてもよいし、吐出口よりも外方(回転軸線A1とは反対側)の位置にSPMまたは過酸化水素水が着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向にSPMまたは過酸化水素水を吐出する外向き姿勢で第1ノズルアーム13に保持されていてもよい。
【0020】
第1ノズル移動ユニット14は、揺動軸線(図示しない)まわりに第1ノズルアーム13を回動させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿ってSPMノズル12を水平に移動させる。第1ノズル移動ユニット14は、SPMノズル12から吐出されたSPMが基板Wの上面に着液する処理位置と、SPMノズル12が平面視でスピンチャック5の周囲に設定されたホーム位置との間で、SPMノズル12を水平に移動させる。さらに、第1ノズル移動ユニット14は、SPMノズル12から吐出されたSPMまたは過酸化水素水が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、SPMノズル12から吐出されたSPMまたは過酸化水素水が基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置との間で、SPMノズル12を水平に移動させる。中央位置および周縁位置は、いずれも処理位置である。
【0021】
SPM供給装置6は、SPMノズル12に接続され、硫酸供給源(図示しない)から硫酸(第1液)が供給される硫酸配管(第1配管)15と、過酸化水素水供給源(図示しない)から過酸化水素水(第2液)が供給される過酸化水素水配管(第2配管)16と、SPMノズル12の内部から気体を導出する気体導出配管17とを含む。
硫酸配管15の途中部には、硫酸配管15を開閉するための硫酸バルブ18、硫酸流量調整バルブ19および昇温用ヒータ20が、SPMノズル12側からこの順に介装されている。昇温用ヒータ20は、硫酸を室温よりも高い温度(60〜90℃の範囲内の一定温度。たとえば80℃)に維持する。硫酸バルブ18は、制御装置3による制御により開閉される。硫酸を加熱する昇温用ヒータ20は、図2に示すように、ワンパス方式のヒータであってもよいし、ヒータを含む循環経路の内部に硫酸を循環させることにより硫酸を加熱する循環方式のヒータであってもよい。図示はしないが、硫酸流量調整バルブ19は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他の流量調整バルブについても同様である。
【0022】
過酸化水素水配管16の途中部には、過酸化水素水配管16を開閉するための過酸化水素水バルブ21と、過酸化水素水流量調整バルブ22とが、SPMノズル12側からこの順に介装されている。SPMノズル12には、温度調整されていない室温(約25℃)程度の過酸化水素水が、過酸化水素水配管16を通して供給される。過酸化水素水バルブ21は、制御装置3による制御により開閉される。
【0023】
硫酸と過酸化水素水とがSPMノズル12に同時に供給されると、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより反応熱を生じ、SPMノズル12の内部で気体(水蒸気)が発生する。気体導出配管17は、SPMノズル12の内部で発生する気体(水蒸気)を、SPMノズル12外に導出するための配管である。気体導出配管17の他端(SPMノズル12側と反対側の端部)は、大気圧下で開放されている。気体導出配管17の途中部には、気体導出配管17を開閉するための気体導出バルブ23が介装されている。この実施形態では、気体導出バルブ23は、制御装置3による制御により開閉される。
【0024】
図3は、SPMノズル12の構成を示す図解的な断面図である。SPMノズル12は、たとえば、いわゆるストレートノズルの構成を有している。SPMノズル12は、略円筒状をなすケーシング51を備える。SPMノズル12は、ケーシング51の中心軸線が鉛直方向に延びる鉛直姿勢で、第1ノズルアーム13(図2参照)に取り付けられている。ケーシング51は、第1円筒部58と、第1円筒部58よりも小径でかつ第1円筒部58と同軸の円筒形状の第2円筒部59とを備える。第2円筒部59が第1円筒部58よりも小径であるので、第2円筒部59内の内部の流路断面は、第1円筒部58の流路断面よりも小面積である。第1円筒部58および第2円筒部59は鉛直方向に沿う内壁を有している。
【0025】
ケーシング51の第1円筒部58の下部分には、硫酸を導入するための硫酸導入口52と、過酸化水素水を導入するための過酸化水素水導入口53とが形成されている。硫酸導入口52は、過酸化水素水導入口53よりも下方に配置されている。ケーシング51の第1円筒部58の上部分(硫酸導入口52や過酸化水素水導入口53よりも上方)に、気体導出口54が形成されている。硫酸導入口52に硫酸配管15が接続されており、過酸化水素水導入口53に過酸化水素水配管16が接続されている。気体導出口54に気体導出配管17が接続されている。ケーシング51の第1円筒部58によって混合室55が区画形成されている。
【0026】
硫酸バルブ18(図2参照)および過酸化水素水バルブ21(図2参照)が開かれると、硫酸配管15からの硫酸が、硫酸導入口52から混合室55へと供給されるとともに、過酸化水素水配管16からの過酸化水素水が、過酸化水素水導入口53から混合室55へと供給される。混合室55に流入した硫酸および過酸化水素水は、混合室55の下部分において十分に混合(攪拌)される。この混合によって、硫酸と過酸化水素水とが均一に混ざり合い、硫酸と過酸化水素水との反応によって硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)が生成され、そのSPMが、混合前の硫酸および過酸化水素水の温度よりも高い温度(100℃以上。たとえば、160℃)まで加熱される。また、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより、ケーシング51の内部に気体(水蒸気)が発生する。
【0027】
ケーシング51の第2円筒部59の先端(下端)には、生成されたSPMを外部空間56に向けて吐出するための吐出口57が有している。混合室55において生成された高温のSPMは、第2円筒部59の内部を通って、吐出口57から吐出される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸を含む。
図2に示すように、気体導出配管17においてSPMノズル12と気体導出バルブ23との間の第1分岐位置17Aには、気体導出配管17の内部に存在する気体(水蒸気)を吸引するための気体吸引配管24の一端が分岐接続されている。気体吸引配管24には気体吸引バルブ25が介装されており、気体吸引配管24の他端は吸引装置26へと接続されている。この実施形態では、吸引装置26は常時作動状態とされている。気体吸引バルブ25が開かれると、気体吸引配管24の内部が排気され、気体導出配管17の内部に存在する気体(水蒸気)が、気体吸引配管24を介して吸引装置26により吸引される。気体吸引バルブ25は、制御装置3による制御により開閉される。
【0028】
図2に示すように、硫酸配管15においてSPMノズル12と硫酸バルブ18との間の第2分岐位置15Aには、硫酸配管15内の硫酸を吸引するための硫酸吸引配管(吸引配管)27の一端が分岐接続されている。硫酸吸引配管27には硫酸吸引バルブ28が介装されており、硫酸吸引配管27の他端が吸引装置26へと接続されている。硫酸吸引バルブ28が開かれると、硫酸吸引配管27の内部が排気され、硫酸バルブ18よりも下流側の硫酸吸引配管27の内部の硫酸が、硫酸吸引配管27を介して吸引装置26により吸引される。硫酸吸引バルブ28は、制御装置3による制御により開閉される。
【0029】
図2に示すように、過酸化水素水配管16においてSPMノズル12と過酸化水素水バルブ21との間の第3分岐位置16Aには、過酸化水素水配管16内の過酸化水素水を吸引するための過酸化水素水吸引配管(吸引配管)29の一端が分岐接続されている。過酸化水素水吸引配管29には過酸化水素水吸引バルブ30が介装されており、過酸化水素水吸引配管29の他端が吸引装置26へと接続されている。過酸化水素水吸引バルブ30が開かれると、過酸化水素水吸引配管29の内部が排気され、過酸化水素水バルブ21よりも下流側の過酸化水素水配管16の内部に存在する過酸化水素水が、過酸化水素水吸引配管29を介して吸引装置26により吸引される。過酸化水素水吸引バルブ30は、制御装置3による制御により開閉される。
【0030】
なお、図2では、気体導出配管17の内部を吸引するための吸引装置26を、硫酸や過酸化水素水を吸引するための吸引装置と共用する場合を例に挙げて示しているが、気体導出配管17の内部を吸引するための吸引装置26が、硫酸や過酸化水素水を吸引するための吸引装置と個別に設けられていてもよい。また、硫酸を吸引するための吸引装置と、過酸化水素水を吸引するための吸引装置とが、個別に設けられていてもよい。
【0031】
図2に示すように、処理ユニット2は、SC1(NHOHとHとを含む混合液)を基板Wの上面に向けて吐出するSC1ノズル33と、SC1ノズル33が先端部に取り付けられた第2ノズルアーム34と、第2ノズルアーム34を移動させることにより、SC1ノズル33を移動させる第2ノズル移動ユニット35とを含む。
図2に示すように、処理ユニット2は、リンス液を基板Wの上面に向けて吐出するリンス液ノズル38を含む。リンス液ノズル38は、たとえば連続流の状態で液を吐出するストレートノズルであり、スピンチャック5の上方で、その吐出口を基板Wの上面の中央部に向けて固定的に配置されている。リンス液ノズル38には、リンス液供給源からのリンス液が供給されるリンス液配管39が接続されている。リンス液配管39の途中部には、リンス液ノズル38からのリンス液の供給/供給停止を切り換えるためのリンス液バルブ40が介装されている。リンス液ノズル38に供給されるリンス液としては、たとえばDIW(脱イオン水)が採用されるが、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水、還元水(水素水)等をリンス液として採用することもできる。
【0032】
なお、リンス液ノズル38は、スピンチャック5に対して固定的に配置されている必要はなく、たとえば、スピンチャック5の上方において水平面内で揺動可能なアームに取り付けられて、このアームの揺動により基板Wの上面におけるリンス液の着液位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
図2に示すように、加熱装置は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上方に配置された赤外線ヒータ41と、赤外線ヒータ41が先端部に取り付けられたヒータアーム42と、ヒータアーム42を移動させることにより、赤外線ヒータ41を移動させるヒータ移動ユニット31とを含む。赤外線ヒータ41は、平面視で基板Wよりも小さい。
【0033】
図4は、赤外線ヒータ41の縦断面図である。赤外線ヒータ41は、赤外線を含む光を発する赤外線ランプ43と、赤外線ランプ43を収容するランプハウジング44とを含む。赤外線ランプ43は、ハロゲンランプやカーボンヒータ等の発熱体である。赤外線ランプ43は、フィラメントと、フィラメントを収容する石英管とを含む。ランプハウジング44の少なくとも一部は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。
【0034】
図4に示すように、ランプハウジング44は、基板Wの上面と平行な底壁を有している。底壁の下面は、基板Wの上面と平行でかつ平坦な基板対向面41aを含む。基板対向面41aは、たとえば、直径が基板Wの半径よりも小さい円形である。
図4に示すように、赤外線ヒータ41が基板Wの上方に配置されている状態では、赤外線ヒータ41の基板対向面41aが、間隔を空けて基板Wの上面に上下方向に対向する。この状態で赤外線ランプ43が光を発すると、赤外線を含む光が、基板対向面41aから基板Wの上面に照射される。
【0035】
図2に示すように、ヒータ移動ユニット31は、赤外線ヒータ41を所定の高さで保持している。ヒータ移動ユニット31は、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びるヒータ回動軸線A2まわりにヒータアーム42を回動させることにより、赤外線ヒータ41を水平に移動させる。これにより、赤外線が照射される照射位置(基板Wの上面内の一部の領域)が基板Wの上面内で移動する。ヒータ移動ユニット31は、平面視で基板Wの中央部を通る軌跡に沿って赤外線ヒータ41を水平に移動させる。
【0036】
図1図2に示す制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータなどによって構成されている。制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、スピンモータ8、ノズル移動ユニット14,35、ヒータ移動ユニット31、昇温用ヒータ20、吸引装置26等の動作を制御する。また、制御装置3は、赤外線ランプ43に供給される電力を調整する。さらに、制御装置3は、硫酸バルブ18、過酸化水素水バルブ21、気体導出バルブ23、吸引バルブ25,28,30、SC1バルブ37、リンス液バルブ40等の開閉を制御するとともに、流量調整バルブ19,22の開度を制御する。
【0037】
図2に示すように、カップ7は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方に配置されている。カップ7は、スピンベース10を取り囲んでいる。スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で処理液(SPM、過酸化水素水、SC1およびリンス液)が基板Wに供給されると、処理液が基板Wから基板Wの周囲に飛散する。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いたカップ7の上端部は、スピンベース10よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された処理液は、カップ7によって受け止められる。そして、カップ7に受け止められた処理液は、回収装置(図示しない)または排液装置(図示しない)に送られる。
【0038】
図5は、処理ユニット2によって行われるレジスト除去処理の処理例の概略を示すフローチャートである。図6は、図5の処理例の一部の具体的なタイムチャートである。図2および図5を参照して、レジスト除去処理について説明する。図6についても適宜併せて参照する。
なお、レジスト除去処理の開始時に、気体導出バルブ23は閉じられている。
【0039】
処理ユニット2によって基板Wにレジスト除去処理が施されるときには、チャンバ4の内部にイオン注入処理後の基板Wが搬入される(図5のステップS1)。搬入されるウエハWは、レジストをアッシングするための処理を受けていないものとする。具体的には、制御装置3は、全てノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板Wを保持している基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバ4の内部に進入させることにより、基板Wがその表面を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。その後、制御装置3は、スピンモータ8によって基板Wの回転を開始させる(図5のステップS2)。基板Wは予め定める液処理速度(300〜1500rpmの範囲内で、たとえば500rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。
【0040】
基板Wの回転速度が液処理速度に達すると、次いで、SPMを基板Wに供給するSPM供給工程(図5のステップS3)が行われる。具体的には、制御装置3は、第1ノズル移動ユニット14を制御することにより、SPMノズル12をホーム位置から処理位置に移動させる。これにより、SPMノズル12が基板Wの上方に配置される。
SPMノズル12が基板Wの上方に配置された後、制御装置3は、図6に示すように、硫酸バルブ18および過酸化水素水バルブ21を同時に開く。
【0041】
これにより、硫酸配管15の内部を流通する硫酸がSPMノズル12に供給されるとともに、過酸化水素水配管16を流通する過酸化水素水がSPMノズル12に供給される。そして、SPMノズル12の混合室55(図3参照)において硫酸と過酸化水素水とが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される。そのSPMが、SPMノズル12の吐出口57から吐出され、基板Wの上面に着液する。制御装置3は、第1ノズル移動ユニット14を制御することにより、この状態で基板Wの上面に対するSPMの着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。
【0042】
また、制御装置3は、硫酸バルブ18および過酸化水素水バルブ21の開成に同期して、気体導出バルブ23を開成する。硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより、SPMノズル12の混合室55(図3参照)の内部では、気体(水蒸気)が発生する。より具体的には、硫酸導入口52(図3参照)から導入された硫酸と、過酸化水素水導入口53(図3参照)から導入された過酸化水素水とが混ざり合う位置は、気体導出口54(図3参照)よりも下方に位置しており、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより発生した気体(水蒸気)は、上方に向けて移動して、気体導出口54に導かれる。SPMノズル12の内部(混合室55の内部)は、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより発生した気体(水蒸気)により、陽圧になっている。そのため、SPMノズル12の内部で発生した気体(水蒸気)は、気体導出口54を通して気体導出配管17の内部を流通し、気体導出配管17から排気される。
【0043】
SPMノズル12から吐出されたSPMは、液処理速度で回転している基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、SPMが基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に形成される。これにより、レジストとSPMとが化学反応し、基板W上のレジストがSPMによって基板Wから除去される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSPMの着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SPMの着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、SPMノズル12から吐出されたSPMが、基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
【0044】
また、SPM供給工程(図5のステップS3)と並行して、赤外線ヒータ41によって基板Wおよび基板W上のSPMを基板Wに供給される前のSPMの温度よりも高温の加熱温度で加熱する加熱工程が行われる。具体的には、制御装置3は、ヒータ移動ユニット31を制御することにより、赤外線ヒータ41を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、赤外線ヒータ41が基板Wの上方に配置される。その後、制御装置3は、赤外線ヒータ41に発光を開始させる。これにより、赤外線ヒータ41の温度が、SPMのその濃度における沸点以上の加熱温度(たとえば、200℃以上)まで上昇し、加熱温度に維持される。
【0045】
赤外線ヒータ41が基板Wの上方で発光を開始した後、制御装置3は、ヒータ移動ユニット31によって赤外線ヒータ41を移動させることにより、基板Wの上面に対する赤外線の照射位置を基板Wの上面内で移動させる。基板Wが前記の液処理速度(たとえば500rpm)で回転している状態で、基板Wおよび基板W上のSPMが加熱される。
制御装置3は、赤外線ヒータ41による基板Wの加熱が所定時間にわたって行われた後、赤外線ヒータ41の発光を停止させる。その後、制御装置3は、ヒータ移動ユニット31を制御することにより、赤外線ヒータ41を基板Wの上方から退避させる。
【0046】
このように、制御装置3は、基板Wを回転させている状態で、基板Wの上面に対する赤外線の照射位置を基板Wの上面内で移動させるので、基板Wが均一に加熱される。そのため、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜も均一に加熱される。赤外線ヒータ41による基板Wの加熱温度は、たとえばSPMのその濃度における沸点よりも高温に設定されており、これにより、基板WとSPMとの界面の温度が、沸点よりも高温に維持され、基板Wからのレジストの除去が促進される。
【0047】
SPM供給工程(図5のステップS3)が終了すると、引き続いて、過酸化水素水を基板Wに供給する過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)が行われる。
SPMの吐出開始から予め定めるSPM処理時間が経過すると、制御装置3は、第1ノズル移動ユニット14を制御することにより、基板Wの上面中央部の上方にSPMノズル12を配置し、その後、制御装置3は、過酸化水素水バルブ21を開いた状態に維持しつつ硫酸バルブ18だけを閉じる。これにより、硫酸配管15の内部を硫酸が流通せずに、過酸化水素水だけが過酸化水素水配管16の内部を流通してSPMノズル12に供給される。SPMノズル12に供給された過酸化水素水は、SPMノズル12の内部を通ってSPMノズル12の吐出口57から吐出される。その過酸化水素水が、液処理速度で回転している基板Wの上面中央部に向けて、SPMノズル12の吐出口57から吐出される。すなわち、SPMノズル12から吐出される処理液が、SPMから硫酸過酸化水素水に切り換わる。
【0048】
基板Wの上面中央部に着液した過酸化水素水は、基板Wの周縁に向かって基板W上を外方に流れる。基板W上のSPMが過酸化水素水に置換され、やがて、基板Wの上面全域が、過酸化水素水の液膜によって覆われる。
なお、過酸化水素水バルブ21を開いた状態でSPM供給工程(図5のステップS3)から過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)に移行するものとして説明したが、SPM供給工程(図5のステップS3)から、過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)への移行時に、過酸化水素水バルブ21を一旦閉じるようにしてもよい。
【0049】
過酸化水素水の吐出開始から予め定める過酸化水素水供給時間が経過すると、制御装置3は、過酸化水素水バルブ21を閉じて、SPMノズル12からの過酸化水素水の吐出を停止させる。また、制御装置3は、過酸化水素水バルブ21の閉成に同期して、気体導出バルブ23を閉成する。すなわち、SPM供給工程(図5のステップS3)および過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)に亘って、SPMノズル12からの気体(水蒸気)の導出が行われる。
【0050】
SPMノズル12からの過酸化水素水の吐出停止後、硫酸配管15の内部に存在する硫酸、および過酸化水素水配管16の内部に存在する過酸化水素水がそれぞれ吸引される(硫酸サックバック/過酸化水素水サックバック(サックバック工程(S41)))。
具体的には、図6に示すように、制御装置3は、サックバック工程(ステップS41)において、硫酸バルブ18を閉じた状態に維持しながら、硫酸吸引バルブ28を開く。これにより、吸引装置26の働きが有効化され、硫酸バルブ18よりも下流側の硫酸配管15の内部に存在する硫酸が、硫酸吸引配管27を介して吸引装置26により吸引される。吸引装置26による硫酸配管15の内部の吸引により、硫酸配管15内から一部の硫酸が排除され、硫酸の先端面が、硫酸配管15の先端から後退する。硫酸の先端面が所定位置まで後退すると、制御装置3は、硫酸吸引バルブ28を閉じ、これにより、硫酸配管15の内部の吸引が終了する。
【0051】
また、制御装置3は、過酸化水素水バルブ21を閉じた状態に維持しながら、過酸化水素水吸引バルブ30を開く。これにより、常時作動状態とされている吸引装置26の働きが有効化され、過酸化水素水バルブ21よりも下流側の過酸化水素水配管16の内部に存在する過酸化水素水が、過酸化水素水吸引配管29を介して吸引装置26により吸引される。吸引装置26による過酸化水素水配管16の内部の吸引により、過酸化水素水配管16内から一部の過酸化水素水が排除され、過酸化水素水の先端面が、過酸化水素水配管16の先端から後退する。過酸化水素水の先端面が所定位置まで後退すると、制御装置3は、過酸化水素水吸引バルブ30を閉じ、これにより、過酸化水素水配管16の内部の吸引が終了する。
【0052】
硫酸配管15の内部および過酸化水素水配管16の内部を吸引して、硫酸配管15内の硫酸の先端面および過酸化水素水配管16内の過酸化水素水の先端面を後退させるので、SPMノズル12からの過酸化水素水の吐出停止後において、SPMノズル12からの硫酸や過酸化水素水、SPMが、予測しないタイミングで落下することを抑制または防止することができる。
【0053】
仮に、処理液供給後に処理液の液滴が基板W上に落下した場合には、基板W上の処理液は、スピンドライ工程(図5のステップS8)における基板Wの高速回転による遠心力を受けて基板Wの上面を放射状に移動し、その結果、基板Wの上面(表面)に多数のパーティクルが放射状に形成されるおそれがある。しかし、SPM供給装置6においてはSPMノズル12からの硫酸や過酸化水素水、SPMの落下がないので、このような懸念がない。
【0054】
次いで、図6に示すように、制御装置3は、第1ノズル移動ユニット14を制御することにより、SPMノズル12を基板Wの上方からホーム位置へと移動させる。SPMノズル12がホーム位置に退避した後、制御装置3は、気体吸引バルブ25を開く。これにより、吸引装置26の働きが有効化され、気体導出配管17の内部に存在する気体(水蒸気)が、気体吸引配管24を介して吸引装置26により吸引される。
【0055】
気体導出配管17を用いたSPMノズル12からの気体(水蒸気)の導出後において、気体導出配管17の内部に気体(水蒸気)が残留することがある。気体導出配管17に残留した気体(水蒸気)は液化して気体導出配管17の管壁に液滴として付着するおそれがあり、この場合、当該液滴が気体導出配管17からSPMノズル12内に流入するおそれがある。SPM供給装置6では、残留している気体(水蒸気)が気体吸引配管24を介して吸引されるので、気体導出配管17の内部から気体(水蒸気)を完全に排除された(外気によって置換された)状態に保つことができる。そのため、気体(水蒸気)が液滴となってSPMノズル12内に流入することを確実に防止でき、これにより、前述したようなSPMノズル12からの液体の落下の発生を、より確実に抑制することができる。
【0056】
過酸化水素水の吐出開始から予め定める過酸化水素水供給時間が経過すると、次に、DIW等のリンス液を基板Wに供給する第1リンス液供給工程(図5のステップS5)が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ40を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル38からリンス液を吐出させる。リンス液ノズル38から吐出されたリンス液は、過酸化水素水によって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板W上の過酸化水素水が、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上の過酸化水素水の液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。これにより、基板Wの上面の全域において過酸化水素水が洗い流される。そして、リンス液バルブ40が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ40を閉じて、リンス液ノズル38からのリンス液の吐出を停止させる。
【0057】
リンス液の吐出開始から所定時間が経過すると、次いで、SC1を基板Wに供給するSC1供給工程(図5のステップS6)が実行される。具体的には、制御装置3は、第2ノズル移動ユニット35を制御することにより、SC1ノズル33を退避位置から処理位置に移動させる。制御装置3は、SC1ノズル33が基板Wの上方に配置された後、SC1バルブ37を開いて、回転状態の基板Wの上面に向けてSC1をSC1ノズル33に吐出させる。制御装置3は、この状態で第2ノズル移動ユニット35を制御することにより、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、SC1バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、SC1バルブ37を閉じてSC1の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、第2ノズル移動ユニット35を制御することにより、SC1ノズル33を基板Wの上方から退避させる。
【0058】
SC1ノズル33から吐出されたSC1は、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、基板W上のリンス液は、SC1によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これにより、基板W上のリンス液の液膜が、基板Wの上面全域を覆うSC1の液膜に置換される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SC1の着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、SC1ノズル33から吐出されたSC1が、基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
【0059】
次に、DIW等のリンス液を基板Wに供給する第2リンス液供給工程(図5のステップS7)が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ40を開いて、回転状態の基板Wの上面の中央部に向けて、リンス液ノズル38からリンス液を吐出させる。これにより、基板W上のSC1が、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上のSC1の液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。そして、リンス液バルブ40が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ40を閉じてリンス液の吐出を停止させる。
【0060】
次に、基板Wを乾燥させるスピンドライ工程(図5のステップS8)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ8を制御することにより、SPM供給工程(図5のステップS3)から第2リンス液供給工程(図5のステップS7)までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ8を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(図5のステップS9)。
【0061】
次に、チャンバ4内から基板Wが搬出される(図5のステップS10)。具体的には、制御装置3は、全てのノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバ4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバ4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバ4から搬出される。
【0062】
以上の実施形態によれば、基板WへのSPMの供給時には、SPMノズル12の混合室55(図3参照)において硫酸と過酸化水素水とが混合され、SPMが生成される。そのSPMは、吐出口57(図3参照)から吐出される。硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより混合室55において発生する気体(水蒸気)は、気体導出配管17を通ってSPMノズル12外に導出される。SPMノズル12の内部から気体(水蒸気)が排出されるので、SPMノズル12の内部の圧力が過度に上昇しない。これにより、SPMノズル12の吐出口57から吐出されるSPMの勢いが強くなり過ぎることを防止することができる。ゆえに、基板Wの上面(表面)にダメージを与えることなく、基板WにSPMを吐出することができる。
【0063】
以上により、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより発生する気体(水蒸気)による影響を取り除くことができ、これにより、基板WへのSPMの供給を安定的に行うことができる。
また、気体導出配管17を用いたSPMノズル12からの気体(水蒸気)の導出後に、気体導出配管17の内部に気体(水蒸気)が残留すると、残留気体が温度低下に伴って液化し気体導出配管17の管壁に液滴として付着し、当該液滴が気体導出配管17からSPMノズル12に流入するおそれがある。
【0064】
これに対し、この実施形態では、気体導出配管17に接続された気体吸引配管24により、気体導出配管17の内部に残留する気体(水蒸気)が吸引され、外気と置換される。これにより、SPMノズル12からの気体の導出後において、気体導出配管17の内部の気体(水蒸気)を外気に完全に置換することができ、これにより、気体(水蒸気)が液化した液滴となってSPMノズル12内に流入することを、確実に防止できる。
【0065】
また、SPMノズル12からのSPMの吐出停止後に、硫酸配管15の内部および過酸化水素水配管16の内部がそれぞれ吸引される。硫酸配管15の内部の吸引により、硫酸配管15内の硫酸の先端面を後退させることができ、過酸化水素水配管16の内部の吸引により、過酸化水素水配管16内の過酸化水素水の先端面を後退させることができる。これにより、SPMノズル12からのSPMの吐出停止後において、SPMノズル12からSPMが落下することを抑制または防止することができる。
【0066】
また、硫酸導入口52および過酸化水素水導入口53がSPMノズル12の第1円筒部58の下部分に配置されているので、混合室55の下部分で、硫酸と過酸化水素水とが混ざり合う。硫酸と過酸化水素水との混合により発生した気体(水蒸気)は、空気よりも比重が小さいので、混合室55を上方に向けて移動する。第1円筒部58の上部分に配置された気体導出口24は、混合室55における硫酸と過酸化水素水とが混ざり合う空間よりも上方に位置している。これにより、硫酸と過酸化水素水との混合により発生した気体(水蒸気)を、気体導出口24を介して良好に気体導出配管17に導くことができ、ゆえに、SPMノズル12からの気体(水蒸気)の導出を良好に行うことができる。
【0067】
また、過酸化水素水よりも硫酸の比重が大きいので、硫酸導入口52および過酸化水素水導入口53から硫酸および過酸化水素水が同時に供給されると、硫酸が過酸化水素水よりも先に下方へと移動し易い。そのため、仮に、硫酸導入口を過酸化水素水導入口53よりも上方に配置するとした場合、硫酸導入口から供給される硫酸が下方へと移動し、過酸化水素水導入口53を介して過酸化水素水配管16に進入するおそれがある。この場合、硫酸と過酸化水素水とが、過酸化水素水配管16内で混触するおそれがある。この実施形態では、SPMノズル12の第1円筒部58において、過酸化水素水導入口53よりも下方に硫酸導入口52が配置されている。そのため、硫酸導入口52から下方に向けて移動する硫酸は、硫酸導入口52よりも上方の過酸化水素水導入口53に達し難い。これにより、過酸化水素水配管16内での硫酸と過酸化水素水との混触を確実に防止できる。
【0068】
図7は、本発明の他の実施形態に係るSPM供給装置106の構成を説明する図である。
図7の実施形態において、前述の実施形態と同等の構成は、図1図6の場合と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
SPM処理装置106は、SPMを吐出するためのSPMノズル(混合液ノズル)113と、硫酸と過酸化水素水とを混合させるための混合部115と、混合部115とSPMノズル113との間に接続されたSPM供給配管(混合液供給配管)114とを含む。
【0069】
硫酸配管15の先端および過酸化水素水配管16の先端が、それぞれ混合部115に接続されている。なお、図7では、昇温用ヒータ20(図2参照)や流量調整バルブ19,22の図示を省略しているが、硫酸供給ユニット15は、昇温用ヒータ20や流量調整バルブ19,22を含む構成である。
このようなSPM処理装置106を備える基板処理装置101では、図5の処理例と同等のレジスト除去処理が行われる。レジスト除去処理において、基板処理装置101の特徴的な部分のみを説明する。
【0070】
SPM供給工程(図5のステップS3)では、制御装置3は、硫酸バルブ18および過酸化水素水バルブ21を開く。これにより、硫酸配管15の内部を流通する硫酸が混合部115に供給されるとともに、過酸化水素水配管16を流通する過酸化水素水が混合部115に供給される。混合部115において硫酸と過酸化水素水とが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成され、そのSPMが、SPM供給配管114の内部を通ってSPMノズル113に与えられ、SPMノズル113から吐出される。SPMノズル113からのSPMは、基板Wの上面に供給される。
【0071】
過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)では、制御装置3は、硫酸バルブ18を閉じた状態に維持しながら過酸化水素水バルブ21を開く。これにより、硫酸配管15の内部を硫酸が流通せずに、過酸化水素水だけが過酸化水素水配管16の内部を流通して混合部115に供給される。混合部115に供給された過酸化水素水は、SPM供給配管114の内部を通ってSPMノズル113に与えられ、SPMノズル113から吐出される。SPMノズル113からの過酸化水素水は、基板Wの上面に供給される。
【0072】
SPMノズル113からの過酸化水素水の吐出停止後、硫酸配管15の内部に存在する硫酸、および過酸化水素水配管16の内部に存在する過酸化水素水がそれぞれ吸引される(硫酸サックバック/過酸化水素水サックバック)。硫酸配管15の内部の吸引および過酸化水素水配管16の内部の吸引の具体的な手法は、前述の図1図6に示す前述の実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
SPMノズル113からの過酸化水素水の吐出停止後に、硫酸配管15の内部および過酸化水素水配管16の内部を吸引して、硫酸配管15内の硫酸の先端面および過酸化水素水配管16内の過酸化水素水の先端面を後退させるので、SPMノズル113からの過酸化水素水の吐出停止後において、混合部115内への硫酸や過酸化水素水の流入を防止することができる。
【0074】
また、SPMノズル113がホーム位置に退避した後、制御装置3は、気体吸引バルブ25を開く。これにより、吸引装置26の働きが有効化され、気体導出配管17の内部に存在する気体(水蒸気)が、気体吸引配管24を介して吸引装置26により吸引される。
気体導出配管17を用いた混合部115からの気体(水蒸気)の導出後において、気体導出配管17の内部に気体(水蒸気)が残留することがある。気体導出配管17に残留した気体(水蒸気)は液化して気体導出配管17の管壁に液滴として付着するおそれがあり、この場合、当該液滴が気体導出配管17から混合部115内に流入するおそれがある。SPM供給装置106では、残留している気体(水蒸気)が気体吸引配管24を介して吸引されるので、気体導出配管17の内部から気体(水蒸気)を完全に排除された状態に保つことができる。そのため、気体(水蒸気)が液滴となって混合部115内に流入することを確実に防止できる。
【0075】
図7の実施形態では、基板WへのSPMの供給時には、混合部115の内部において硫酸と過酸化水素水とが混合され、SPMが生成される。そのSPMはSPMノズル113に与えられる。硫酸と過酸化水素水とが混ざり合うことにより混合部115の内部において発生する気体(水蒸気)は、気体導出配管17を通って混合部115外に導出される。混合部115の上部に形成された気体導出配管17により内部から気体(水蒸気)が排出されるので、混合部115の内部の圧力が過度に上昇しない。これにより、混合部115からSPMノズル113に供給されるSPMの勢いが強くなり過ぎることを防止することができる。ゆえに、基板WへのSPMの供給を安定的に行うことができる。
【0076】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
前述の各実施形態では、SPMノズル12,113からSPMおよび過酸化水素水を選択的に吐出する構成を例に挙げて説明したが、過酸化水素水吐出専用の過酸化水素水ノズルを、SPMノズル12,113とは別に設け、この過酸化水素水ノズルから、基板Wの表面に過酸化水素水を供給することもできる。このような場合には、前述の硫酸配管15の内部や過酸化水素水配管16の吸引を、SPM供給工程(図5のステップS3)の終了後直ちに行うことができる。
【0077】
また、前述の各実施形態では、SPM供給工程(図5のステップS3)の終了後に過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)を行う場合を例に挙げて説明したが、過酸化水素水供給工程(図5のステップS4)を省略することもできる。
また、SPM供給工程(図5のステップS3)において、基板Wを液処理速度(たとえば500rpm)で回転させるとして説明したが、このときの基板Wの回転速度が、基板W上からのSPMの排出が抑制されて基板Wの表面にSPMの液膜が保持される状態(パドル状態)を維持できるような低回転速度(パドル回転速度)であってもよい。
【0078】
また、前述の処理例では、SPM供給工程(図5のステップS3)に並行して赤外線ヒータ41による基板Wおよび基板W上のSPMの加熱を行うものとして説明したが、SPM供給工程(図5のステップS3)中に赤外線ヒータ41による加熱を行わないようにしてもよい。この場合、基板処理装置1,101から加熱装置の構成が省略されていてもよい。
【0079】
また、前述の実施形態では、第1液および第2液の組合せとして、硫酸および過酸化水素水の組合せを例に挙げて説明したが、第1液および第2液の組合せとして、リン酸および水の組合せ(この場合、混合液は熱リン酸)や、硫酸およびオゾン水の組合せ(この場合、混合液は硫酸オゾン(硫酸にオゾンガスを溶解させて生成した液体))を例示することができる。
【0080】
また、前述の各実施形態では、基板処理装置1,101が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1,101は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 基板処理装置
5 スピンチャック(基板保持手段)
12 SPMノズル(混合液ノズル。混合部)
15 硫酸配管(第1配管)
16 過酸化水素水配管(第2配管)
17 気体導出配管
24 気体吸引配管
27 硫酸吸引配管(吸引配管)
29 過酸化水素水吸引配管(吸引配管)
55 混合室
57 吐出口
101 基板処理装置
113 SPMノズル(混合液ノズル)
114 SPM供給配管(混合液供給配管)
115 混合部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7