特許第6229944号(P6229944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229944
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】エレベータのドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B66B13/30 R
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-44080(P2014-44080)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-168508(P2015-168508A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100134452
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】染田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−151371(JP,A)
【文献】 特許第4586208(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアと、前記ドアを開閉方向に案内する敷居とを備える、エレベータのドア開閉装置において、
前記敷居は、前記ドアを案内するための溝部を備え、前記溝部は、下方に開口するように構成され、
前記ドアは、前記溝部に係合するとともに当該ドアを案内するための案内部と、前記案内部を支持する支持部とを備え、
前記敷居の側部に接触することにより、煙が前記敷居を通過することを阻止する遮煙部材をさらに備え、
前記遮煙部材は、前記敷居の側部から離間されて配置されるとともに、前記敷居の側部に接触できるように変形可能に構成される、エレベータのドア開閉装置。
【請求項2】
前記敷居の下方に配置されるとともに、利用者の爪先を保護するための保護部材をさらに備え、
前記遮煙部材は、前記保護部材に接触できるように変形可能に構成される、請求項1に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項3】
前記遮煙部材は、弾性体によって構成されるとともに、弾性変形によって前記敷居の側部に接触する、請求項1又は2に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項4】
ドアと、前記ドアを開閉方向に案内する敷居とを備える、エレベータのドア開閉装置において、
前記敷居との間に隙間を形成するように前記敷居の下方に配置されるとともに、利用者の爪先を保護するための保護部材をさらに備え、
前記敷居は、前記ドアを案内するための溝部を備え、前記溝部は、下方に開口するように構成され、
前記ドアは、前記溝部に係合するとともに当該ドアを案内するための案内部と、前記案内部を支持する支持部とを備え、
前記敷居の側部又は下部に接触することにより、煙が前記敷居を通過することを阻止する遮煙部材をさらに備え、
前記遮煙部材は、前記敷居と前記保護部材との間に両者から離間して延在する接触部を備え、
前記接触部は、前記敷居に接触した状態と前記保護部材に接触した状態とを取り得るように構成される、エレベータのドア開閉装置。
【請求項5】
前記遮煙部材は、弾性体によって構成されるとともに、弾性変形によって前記敷居又は前記保護部材に接触する、請求項4に記載のエレベータのドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮煙機能を有する、エレベータのドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエレベータは、昇降路内に、かごと、かごを案内するかご用のガイドレールと、釣合い錘と、釣合い錘用のガイドレールと、かごと釣合い錘とを連結するロープと、巻上機とを備える。
【0003】
エレベータは、巻上機によってロープを駆動することで、かご用のガイドレールに沿ってかごを上下動させ、釣合い錘用のガイドレールに沿って釣合い錘を上下動させる。
【0004】
かごは、昇降路を上下動するとともに、建物の各階に設けられる乗場に停止できる。かごは、かご側ドア開閉装置を備える。乗場には、かご側ドア開閉装置に対応するように、 乗場側ドア開閉装置が設けられている。
【0005】
乗場側ドア開閉装置としては、乗場から昇降路に通じる出入口に設けられた出入口枠と、開閉自在に構成されるドアと、ドアの下方に配置されるとともに、このドアを開閉方向に案内する敷居とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
このドア開閉装置では、敷居の上面に、ドアを案内するための溝部が上方開口状に形成されている。ドアの下部には、この溝部に嵌るガイドシュー(案内部)が設けられている。これにより、ドアは、溝部に沿って往復移動可能に構成されている。
【0007】
ドアの下部には、乗場への煙の侵入を阻止するために、遮煙部材が設けられている。乗場側ドア開閉装置は、ガイドシューと遮煙部材とが敷居の溝部に嵌入することにより、下部の遮煙を確実に行うことができる。
【0008】
上記のような従来のドア開閉装置の場合、溝部が敷居の上面に形成されていることから、この溝部にゴミ等の異物が入って、ドアの開閉の妨げになるとともに、遮煙部材による遮煙機能が低下することがあった。
【0009】
このことを解決するために、例えば、敷居の下面側に溝部を形成し、この溝部にガイドシューを嵌入するようにしたドア開閉装置が知られている(特許文献2参照)。このようにすることにより、敷居の上面は、溝部を形成する必要がなくなり、平坦状に構成されることになる。このような敷居は、一般にフラットシル(flat sill)と呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−91895号公報
【特許文献2】特開2013−151371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
乗場側ドア開閉装置にフラットシルを採用した場合においても、適切な遮煙措置を施す必要がある。従来のドア開閉装置では、フラットシルに対して適切な遮煙機能を付与したものが存在しなかった。
【0012】
そこで、本発明は、フラットシル、すなわち、下方に開口する溝部を有する敷居を採用した場合に、遮煙を確実に行うことができる、エレベータのドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、ドアと、ドアを開閉方向に案内する敷居とを備える。敷居は、ドアを案内するための溝部を備える。溝部は、下方に開口するように構成される。ドアは、溝部に係合するとともに当該ドアを案内するための案内部と、案内部を支持する支持部とを備える。エレベータのドア開閉装置は、敷居の側部に接触することにより、煙が敷居を通過することを阻止する遮煙部材をさらに備える。遮煙部材は、敷居の側部から離間されて配置されるとともに、敷居の側部に接触できるように変形可能に構成される。
【0014】
かかる構成によれば、遮煙部材が敷居の側部に接触することにより、火災発生時に煙が敷居を通過することを阻止できるようになる。すなわち、遮煙部材は、火災発生時に生じる周辺空間の圧力変化に応じて変形し、敷居の側部に接触できるように構成されている。また、案内部が溝部に係合することにより、この係合部分における遮煙を行うことができる。
【0015】
本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、敷居の下方に配置されるとともに、利用者の爪先を保護するための保護部材をさらに備える。遮煙部材は、保護部材に接触できるように変形可能に構成されることが望ましい。
かかる構成によれば、敷居と保護部材との間に煙の通過する隙間が形成されるような場合に、遮煙部材は、敷居だけでなく、保護部材にも接触することで、煙がその隙間を通過することを阻止できることとなる。
【0016】
本発明によれば、遮煙部材は、弾性体によって構成されるとともに、弾性変形によって敷居の側部に接触することが望ましい。
【0017】
本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、ドアと、ドアを開閉方向に案内する敷居とを備える。エレベータのドア開閉装置は、敷居との間に隙間を形成するように敷居の下方に配置されるとともに、利用者の爪先を保護するための保護部材をさらに備える。敷居は、ドアを案内するための溝部を備え、溝部は、下方に開口するように構成される。ドアは、溝部に係合するとともに当該ドアを案内するための案内部と、案内部を支持する支持部とを備える。エレベータのドア開閉装置は、敷居の側部又は下部に接触することにより、煙が敷居を通過することを阻止する遮煙部材をさらに備える。遮煙部材は、敷居と保護部材との間に両者から離間して延在する接触部を備える。接触部は、敷居に接触した状態と保護部材に接触した状態とを取り得るように構成される。
遮煙部材は、弾性体によって構成されるとともに、弾性変形によって敷居又は保護部材に接触することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フラットシル、すなわち、下方に開口する溝部を有する敷居を採用した場合に、遮煙を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、エレベータの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、エレベータにおける乗場側ドア開閉装置と、かご側ドア開閉装置を示す側面図である。
図3図3は、乗場側ドア開閉装置におけるドアの正面図である。
図4図4は、ドアの下部を示す拡大正面図である。
図5図5は、図4におけるV−V矢視線断面図である。
図6図6は、図4におけるVI−VI矢視線断面図である。
図7図7は、遮煙部材の一部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための実施形態について、図1から図7を参照しながら説明する。図1は、エレベータの全体構成を示す斜視図である。図1は、機械室を有していない、いわゆるマシンルームレスタイプのエレベータを例示する。
【0021】
図1に示すようにエレベータは、昇降路1内に、かご2と、かご2を案内する第1ガイドレール3と、釣合い錘(カウンターウェイト)4と、釣合い錘4を案内する第2ガイドレール5と、かご2と釣合い錘4とを連結するロープ6と、巻上機7とを備える。
【0022】
さらに、昇降路1の上部には、ロープ6を巻きかけるための返し車8が配置されている。昇降路1の下部には、巻上機7を制御するための制御盤9と、エレベータの速度を調速するための調速機10と、緩衝器11とがさらに設けられている。
【0023】
エレベータは、制御盤9を介して巻上機7を駆動することにより、かご2を第1ガイドレール3に沿って上下動させる。巻上機7は、トラクションシーブ12を備えるとともに、このトラクションシーブ12を介してロープ6を駆動することにより、かご2を上下動させることができる。
【0024】
釣合い錘4は、ロープ6を介してかご2に連結されているため、かご2の上下動に応じて、このかご2の動きとは逆に、第2ガイドレール5に沿って上下動する。釣合い錘4がかご2に連結されることで、巻上機7は、小さな動力によって、かご2を上下動させることができる。調速機10は、かご2の上下動の速度が規定値以上になったときに、かご2を停止させることができる。緩衝器11は、かご2と接触したときに、その衝撃を緩和することができる。
【0025】
かご2は、昇降路1を上下動するとともに、建物の各階に設けられる乗場13に停止できる。図2に示すように、かご2は、かご側ドア開閉装置14を備える。乗場13には、かご側ドア開閉装置14に対応するように、乗場側ドア開閉装置15が設けられている。図2には、これらのドア開閉装置14,15の例として、いわゆるセンターオープンタイプのものが示されている。
【0026】
かご側ドア開閉装置14は、図2に示すように、複数(例えば2枚)のドア14Aと、敷居14Bとを有する。ドア14Aは、かご2の上部に一体的に設けられる上部フレーム16に支持されている。上部フレーム16には、ドア14Aを案内するためのドアレール17が設けられている。ドア14Aの上部には、ドアレール17に支持されるドアハンガ18が設けられている。ドアハンガ18には、ドアレール17に係合する複数のローラ19が設けられている。ドア14Aは、ドアハンガ18のローラ19をドアレール17に係合させた状態で、図示しない駆動機構を介して開閉方向に移動するように構成されている。
【0027】
敷居14Bは、かご2の下部に設けられる下部フレーム20に支持されている。この敷居14Bは、ドア14Aを案内するための溝部21を有する。溝部21は敷居14Aの上面に形成され、上方開口状に構成される。この溝部21には、ドア14Aの下部に設けられる案内部(ガイドシュー)22が嵌入している。敷居14Bの溝部21は、ドア14Aの移動に伴って、案内部22をドア14Aの開閉方向に沿って案内する。
【0028】
乗場側ドア開閉装置15は、図2から図4に示すように、複数(例えば2枚)のドア15Aと、敷居15Bとを有する。ドア15Aは、乗場13に設けられる枠体26に支持されている。枠体26には、ドア15Aの上部を支持するためのフレーム27が設けられている。フレーム27には、ドア15Aを案内するためのドアレール28が設けられている。ドア15Aの上部には、ドアハンガ29が設けられている。ドアハンガ29には、ドアレール28に係合する複数のローラ30が設けられている。ドア15Aは、ドアハンガ29のローラ30をドアレール28に係合させた状態で、かご側ドア開閉装置14を駆動するための上記駆動機構(図示せず)に係合することにより、開閉方向に移動するように構成されている。
【0029】
敷居15Bは、昇降路1の壁面に設けられる支持フレーム31に支持されている。支持フレーム31は、敷居15Bの他に、エレベータの利用者の爪先が敷居15Bの下側の部分に挟まれることを防止するための保護部材32を支持している。図5に示すように、敷居15Bと保護部材32は、ボルト33及びナット34からなる締結手段により、支持フレーム31に固定されている。
【0030】
図3から図5に示すように、敷居15Bの下部15aには、ドア15Aを案内するための溝部35が形成されている。溝部35は、敷居15Bの長手方向に沿って直線状に構成される。敷居15Bは、溝部35が下方に開口するように構成される、フラットシルタイプのものである。敷居15Bの側部(側面)15bには、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜面が形成されている。
【0031】
図5図6に示すように、ドア15Aは、溝部35に係合するとともに当該ドア15Aを案内するための案内部(ガイドシュー)36と、案内部36を支持する支持部(ブラケット)37と、火災発生時に煙が敷居15Bを通過することを阻止するための遮煙部材38と、遮煙部材38を支持する支持部材39とを備える。図4に示すように、案内部36及び支持部37は、ドア15Aの下部であって、ドア15Aの幅方向における両端部(2カ所)に配置されている。また、遮煙部材38と支持部材39は、ドア15Aの幅方向における両端部に配置される案内部36及び支持部37の間に設けられている。
【0032】
案内部36は、例えばゴム等の合成樹脂材料によって形成される弾性体である。案内部36は、長尺状の板部材として構成される。
【0033】
支持部37は、金属製であり、長尺状の板形状に構成される。支持部37は、例えば、プレス成形によって所定の形状に成形される。図5に示すように、支持部37の一端部は、取付部材40を介してドア15Aの下部側面に固定される。支持部37の他端部には、案内部36が一体に形成されている。また、支持部37における鉛直方向の長さL1は、ドア15Aと敷居15Bとの隙間Cよりも長くなっている。
【0034】
遮煙部材38は、例えばゴム等の合成樹脂材料によって形成される弾性体である。遮煙部材38は、敷居15Bの側部15bに接触する接触部41と、支持部材39に取り付けられる取付部42とを備える。
【0035】
接触部41は、板状に構成され、かつ、断面視において直線状に構成される。接触部41は、取付部42に対して所定の角度で傾斜するように構成される。図6に示すように、接触部41は、敷居15Bと保護部材32との間の隙間に配置されている。より具体的には、接触部41は、通常時(火災が発生していない場合)において、敷居15Bの側部15bに形成される傾斜面から離間されて配置されている。また、接触部41は、敷居15Bの下部15aからも離れている。さらに、接触部41は、通常時において、保護部材32から離間されて配置されている。敷居15Bの接触部41は、火災発生時において、弾性変形することにより、敷居15Bの側部15b又は保護部材32に接触するように構成される。
【0036】
取付部42は、図6に示すように、板状に構成され、かつ断面視において直線状に構成される。取付部42は、鉛直方向に対して平行となるように、支持部材39を介してドア15Aに固定されている。取付部42における鉛直方向の長さL2は、ドア15Aと敷居15Bとの隙間Cよりも長くなっている。
【0037】
支持部材39は、金属製で、長尺状の板形状又は四角柱状に構成される。支持部材39の一部の面には、遮煙部材38の取付部42が固定されている。支持部材39は、他の一部の面がドア15Bの下部側面に固定されることにより、遮煙部材38を支持している。
【0038】
保護部材32は、図2図5及び図6に示すように、支持ブラケット44を介して支持フレーム31に支持されている。保護部材32は、ねじ部材45によって支持ブラケット44に固定されている。保護部材32は、利用者の爪先を保護するための保護部46と、支持ブラケット44に固定される固定部47とを備える。
【0039】
保護部46は、上方に突出する突起部として構成される。保護部46は、敷居15Bと対向する対向面46aを有する。この対向面46aは、敷居15Bの側部15bに形成される傾斜面に対向している。図5図6に示すように保護部46の対向面46aは、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜面となっている。この対向面46aの傾斜角度は、敷居15Bの側部15bにおける傾斜面の傾斜角度とほぼ等しくなっている。したがって、対向面46aは、敷居15Bの側部15bにおける傾斜面に対してほぼ平行となっている。
【0040】
対向面46aが敷居15Bから離れて位置していることから、対向面46aと敷居15Bの傾斜面との間には、隙間が形成されている。この隙間に挿入されている遮煙部材38の接触部41は、保護部材32の対向面46a及び敷居15Bのおける側部15bの傾斜面とほぼ平行になっている。すなわち、鉛直方向に対する接触部41の傾斜角度は、対向面46a及び前記側部15bの傾斜面の傾斜角度とほぼ等しくなっている。
【0041】
固定部47は、板状に構成されるとともに、ねじ部材45を挿通可能な挿通孔48を有する。この挿通孔48は、図5図6に示すように、上下方向に長い長孔とされている。これによって、保護部材32は、この挿通孔48の長さの範囲内において、上下方向の位置を調整できるようになっている。支持ブラケット44には、ねじ部材45が螺合するねじ孔44aが形成されている。
【0042】
以下、乗場側ドア開閉装置15における遮煙部材38の作用について、図6図7を参照しながら説明する。火災が発生していない通常時において、遮煙部材38は、弾性変形することなく、敷居15B及び保護部材32から離れている。例えば、乗場側ドア開閉装置15Bが設置される乗場13で火災が発生すると、この乗場13における気圧(圧力)が上昇する。そうすると、この気圧の上昇による圧力が遮煙部材38に作用し、遮煙部材38の接触部41が弾性変形する。この弾性変形によって、接触部41は、保護部材32における保護部46の対向面46aに接触する。この接触によって、乗場13から昇降路1内へと向かう煙の流れが遮断(阻止)されることになる。
【0043】
また、乗場側ドア開閉装置15が設置されている乗場13とは異なる場所で火災が発生した場合に、昇降路1内の気圧が上昇することがある。このような場合には、この気圧の上昇による圧力が遮煙部材38に作用し、遮煙部材38の接触部41が弾性変形する。この弾性変形によって、接触部41は、敷居15Bの側部15bにおける傾斜面に接触する。この接触によって、昇降路1から乗場13へと向かう煙の流れが遮断(阻止)されることになる。
【0044】
火災が消し止められると、上記のような気圧の上昇が解消されることになり、接触部41に作用していた圧力も解消する。これにより、接触部41は、元の形状に復元し、遮煙部材38による遮煙が解除される。
【0045】
以上説明したエレベータの乗場側ドア開閉装置15によれば、遮煙部材38は、火災発生時に生じる周辺空間の圧力変化に応じて弾性変形し、接触部41が敷居15Bの側部15b又は保護部材32の保護部46に接触する。これにより、火災発生時に煙が敷居15Bを通過することを阻止できるようになる。また、案内部36は、敷居15Bの溝部35に常に係合(嵌入)していることにより、この部分における遮煙を確実に行うことができる。
【0046】
さらに、遮煙部材38は、火災が発生していない通常時において、敷居15Bにも保護部材32にも接触していないことから、ドア15Aが開閉動作を行っても摩耗することがない。これによって、遮煙部材38の寿命を長期化できることとなる。
【0047】
また、遮煙部材38の接触部41は、弾性変形によって敷居15Bの側部15bに密着することで、確実な遮煙を行うことができる。しかも、遮煙部材38は、弾性体であるので、接触部41に作用する圧力が解除されたときに、自動的に元の形状に復元することが可能である。
【0048】
なお、本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明に係るエレベータのドア開閉装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
上記の実施形態では、乗場側ドア開閉装置15に対して、本発明を適用した例を示したが、かご側ドア開閉装置14に対しても本発明を適用可能である。
【0050】
上記の実施形態では、センターオープンタイプのドア開閉装置14,15を例示したが、これに限定されず、サイドオープンタイプのドア開閉装置に対しても本発明を適用できる。
【0051】
上記の実施形態では、遮煙部材38の接触部41が、敷居15Bの側部15bに接触可能に構成されたドア開閉装置(乗場側ドア開閉装置15)を例示したが、これに限定されない。接触部41は、敷居15Bの下部15aに接触してもよく、敷居15Bの下部15aと側部15bの両方に接触してもよい。
【0052】
上記の実施形態では、遮煙部材38の接触部41と取付部42とが共に合成樹脂によって形成されていたが、これに限定されない。例えば、取付部42を金属によって形成するとともに、接触部41を合成樹脂によって形成することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…昇降路、2…かご、3…第1ガイドレール、4…釣合い錘、5…第2ガイドレール、6…ロープ、7…巻上機、8…返し車、9…制御盤、10…調速機、11…緩衝器、12…トラクションシーブ、13…乗場、14…かご側ドア開閉装置、14A…ドア、14B…敷居、15…乗場側ドア開閉装置、15A…ドア、15B…敷居、15a…敷居15Bの下部、15b…敷居15Bの側部、16…上部フレーム、17…ドアレール、18…ドアハンガ、19…ローラ、20…下部フレーム、21…溝部、22…案内部、26…枠体、27…フレーム、28…ドアレール、29…ドアハンガ、30…ローラ、31…支持フレーム、32…保護部材、33…ボルト、34…ナット、35…溝部、36…案内部、37…支持部、38…遮煙部材、39…支持部材、40…取付部材、41…接触部、42…取付部、44…支持ブラケット、44a…ねじ孔、45…ねじ部材、46…保護部、46a…対向面、47…固定部、48…挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7