(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
歩行訓練を行う訓練者が装着した状態で、予め設定されたパラメータに応じて前記訓練者による歩行動作に対する補助動作が行われる歩行補助装置を用いて、前記訓練者により歩行訓練を行った場合の歩行状態を示す予め定められた物理量を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された物理量に基づいて、前記訓練者の運動レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された運動レベルに応じて、前記歩行訓練を支援するものとして予め定められた処理を実行する実行手段と、
を備え、
前記実行手段は、前記予め定められた処理として、前記判定手段によって判定された運動レベルに応じて、予め定められた複数種類の歩行補助装置から何れか1つを選択的に提示する処理を実行する
歩行訓練支援装置。
前記実行手段は、前記予め定められた処理として、前記判定手段によって判定された運動レベルが予め定められた目標レベルに達した場合、前記歩行補助装置に設定するパラメータを前記目標レベルに応じて予め定められた種類のパラメータに変更する処理を実行する
請求項3記載の歩行訓練支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、片麻痺および対麻痺の症状を有する患者(以下、「訓練者」ともいう。)の歩行訓練を支援する歩行訓練支援システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0032】
まず、
図1を参照して、本発明が適用された歩行訓練支援システム10の構成を説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10は、当該システム10の中心的な役割を担う歩行訓練支援装置20と、訓練者が歩行訓練を行う際に装着する歩行補助装置30と、を有している。
【0034】
本実施の形態に係る歩行補助装置30は、運動機能を失った範囲(一側性(片麻痺)、両側性(対麻痺))や、訓練者の麻痺のレベル(以下、「麻痺レベル」という。)に応じた複数種類のものが予め用意されており、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10では、後述する非拘束型の歩行補助装置30A(
図3も参照。)、密着型で膝関節および足関節の補助を行うことのできる歩行補助装置30B(
図5も参照。)、および密着型で足関節のみの補助を行うことのできる歩行補助装置30C(
図8も参照。)の3種類のものが予め用意されている。なお、以下では、各歩行補助装置30A〜30Cを特に区別することなく記載する場合は、「歩行補助装置30」と表記する。
【0035】
詳細は後述するが、本実施の形態に係る歩行訓練支援装置20および歩行補助装置30は、後述する制御情報、実測情報等の各種情報の授受を通信にて相互に行う機能を有している。なお、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10では、この歩行訓練支援装置20と歩行補助装置30との間の通信を無線通信にて行う場合について説明するが、これに限らず、有線通信にて行う形態としてもよい。
【0036】
次に、
図2を参照して、歩行訓練支援システム10において特に重要な役割を有する歩行訓練支援装置20の電気系の要部構成を説明する。
【0037】
同図に示すように、本実施の形態に係る歩行訓練支援装置20は、システムバスBUSに接続され、当該歩行訓練支援装置20全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)20Aが備えられている。
【0038】
システムバスBUSには、CPU20Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)20Bおよび各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)20Cが接続されている。また、システムバスBUSには、各種情報を記憶するために用いられる記憶手段としての二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)20Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード20Eと、が接続されている。さらに、システムバスBUSには、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ20Fと、歩行補助装置30等の外部装置との間での無線通信動作を制御する無線通信部20Hと、が接続されている。
【0039】
従って、CPU20Aは、RAM20B、ROM20C、および二次記憶部20Dに対するアクセス、キーボード20Eを介した各種入力情報の取得、およびディスプレイ20Fに対する各種情報の表示を各々行うことができる。また、CPU20Aは、無線通信部20Hを介した外部装置との間の各種情報の授受を行うことができる。なお、図示は省略するが、本実施の形態に係る歩行訓練支援装置20には、キーボード20E以外に、マウス、タッチパット、タッチディスプレイ等の他の入力装置が備えられている。
【0040】
次に、本実施の形態に係る歩行補助装置30の構成について説明する。
【0041】
まず、
図3を参照して、本実施の形態に係る非拘束型の歩行補助装置30Aの構成を説明する。
【0042】
図3に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aは、下半身装着部50A、上半身支持部50B、および後述する制御ユニットC1(
図4も参照。)を備えている。
【0043】
下半身装着部50Aは、大腿部を含む下半身に装着されるものであり、装着者の右足の膝関節の角度を制御する駆動モータ52Aと、装着者の右足の足関節の角度を制御する駆動モータ52Bと、装着者の左足の膝関節の角度を制御する駆動モータ52Cと、装着者の左足の足関節の角度を制御する駆動モータ52Dと、を備えている。なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aでは、駆動モータ52A〜52Dとしてステッピング・モータを適用しているが、これに限るものではない。
【0044】
また、下半身装着部50Aは、中心リンク54と、中心リンク54に連結され、装着者の膝関節を駆動する右下半身大腿部駆動機構および左下半身大腿部駆動機構と、上記右下半身大腿部駆動機構に連結され、装着者の右足関節を駆動する右下半身下腿部駆動機構と、上記左下半身大腿部駆動機構に連結され、装着者の左足関節を駆動する左下半身下腿部駆動機構と、を有する。以下に、上記右下半身大腿部駆動機構と、上記左下半身大腿部駆動機構と、上記右下半身下腿部駆動機構と、上記左下半身下腿部駆動機構と、について説明する。
【0045】
右下半身大腿部駆動機構は、タイミングベルト56と、メインギア58と、固定リンク60と、回転リンク62と、並行リンク64と、右大腿部装着リンク66と、右膝関節リンク68と、を有している。
【0046】
タイミングベルト56は、駆動モータ52Aの回転をメインギア58へと伝達する。メインギア58は、タイミングベルト56とかみ合い回転する。固定リンク60は、中心リンク54と自身の中心部で連結し、メインギア58の回転軸を自身の前端部にて固定している。回転リンク62は、メインギア58の回転軸を自身の上側の回転軸の軸中心とし、固定リンク70の前端部との接続部分を自身の下側の回転軸の軸中心とし、メインギア58に固定され、メインギア58とともに回転する。並行リンク64は、固定リンク60の後端部に設けられた軸を上側の回転軸とし、固定リンク70の中心部との接続部分を自身の下側の回転軸の軸中心とし、自身と固定リンク60と回転リンク62と固定リンク70とからなる形状を平行四辺形状に維持しながら回転する。右大腿部装着リンク66は、中心リンク54と全方向継手により連結し、右膝関節リンク68の左側端部と全方向継手により連結している。右膝関節リンク68は、自身の右側端部にて固定リンク70の後端部と連結し、自身の左側端部にて右下腿部装着リンク72および右大腿部装着リンク66と全方向継手により連結している。
【0047】
駆動モータ52Aの回転に伴い、タイミングベルト56が駆動し、メインギア58が回転する。メインギア58の回転に伴い、回転リンク62が回転する。回転リンク62の回転に伴い、固定リンク60と回転リンク62と固定リンク70と並行リンク64とからなる形状が平行四辺形状を維持しながら、上記各リンクが動く。固定リンク70の動きに伴い、右膝関節リンク68も一緒に動く。右膝関節リンク68の動きに伴い、中心リンク54との連結部分を中心に右大腿部装着リンク66が回転運動をする。ここでは、回転リンク62と、並行リンク64と、右大腿部装着リンク66と、は常にほぼ平行を保ったまま動く。
【0048】
一方、右下半身下腿部駆動機構は、タイミングベルト74と、メインギア76と、固定リンク70と、回転リンク78と、並行リンク80と、右下腿部装着リンク72と、右足裏支持板82と、を含んで構成される。
【0049】
タイミングベルト74は、駆動モータ52Bの回転をメインギア76へと伝達する。メインギア76は、タイミングベルト74とかみ合い回転する。固定リンク70は、自身の前端部に回転リンク62の下側回転軸および並行リンク80の上側回転軸を有し、自身の中心部に並行リンク64の下側回転軸および回転リンク78の上側回転軸を有し、自身の後端部にて右膝関節リンク68と連結している。また、固定リンク70の中心部に位置する回転リンク78の上側回転軸はメインギア76の回転軸と連結しており、メインギア76の回転とともに、回転リンク78は回転軸を軸中心として回転可能である。また、回転リンク78は右足裏支持板82の右辺後端部と全方向継手により連結されており、当該全方向継手を中心に回転可能である。同様に、並行リンク80は右足裏支持板82の右辺中央端部と全方向継手により連結されており、当該全方向継手を中心に回転可能である。右下腿部装着リンク72は、自身の上端部にて右膝関節リンク68の左側端部と、自身の下端部にて右足裏支持板82の左辺後端部と、それぞれ全方向継手により連結されている。
【0050】
駆動モータ52Bの回転に伴い、タイミングベルト74が駆動し、メインギア76が回転する。メインギア76の回転に伴い、回転リンク78が回転する。回転リンク78の回転に伴い、回転リンク78と右足裏支持板82と固定リンク70と並行リンク80とからなる形状が平行四辺形状を維持しながら、各リンクおよび右足裏支持板82が動く。右足裏支持板82の動きに伴い、右膝関節リンク68との連結部分を中心に右下腿部装着リンク72が回転運動をする。ここでは、回転リンク78と、並行リンク80と、右下腿部装着リンク72と、は常にほぼ平行を保ったまま動く。
【0051】
なお、左下半身大腿部駆動機構の構成および駆動態様は、上述した右下半身大腿部駆動機構とほぼ同様であり、左下半身下腿部駆動機構の構成および駆動態様は、上述した右下半身下腿部駆動機構とほぼ同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0052】
一方、上半身支持部50Bは、腰上部を含む上半身を支えるものであり、背負子右面板84と、背負子左面板86と、背負子背面板88と、背負子各面板を固定する上半身リンク90とを含んで構成される。背負子背面板88は自身の裏面において弾性リンク部と金属ねじ等により固定される。この上半身支持部50Bを用いる場合、装着者は自らの腰部が、背負子右面板84と、背負子左面板86との間に挟まるように立ち、自身の背面を背負子背面板88に添えることで上半身支持部50Bを装着する。
【0053】
一方、上述した下半身装着部50Aと上半身支持部50Bとは、自身の前後左右方向に弾性変形が可能な弾性リンク92により弾性連結されている。この弾性リンク92は、中心リンク54の中心部にて金属ねじ等により固定され、背負子背面板88の背面において金属ねじ等により固定されている。
【0054】
さらに、背負子背面板88の腰部に対応する位置には加速度センサS1が、右足裏支持板82の足関節部に対応する位置には加速度センサS2が、左足裏支持板83の足関節部に対応する位置には加速度センサS3が、各々設けられている。なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aでは、加速度センサS1〜S3として、6軸加速度センサを用いているが、これに限るものではない。
【0055】
また、右足裏支持板82の足先領域には感圧センサS4が、踵領域には感圧センサS5が、各々設けられている。さらに、左足裏支持板83の足先領域には感圧センサS6が、踵領域には感圧センサS7が、各々設けられている。なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aでは、感圧センサS4〜S7として、厚さ0.5[mm]の感圧導電ゴム(PCR テクニカル製)を銅箔シールで挟んだ薄型圧力センサを適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0056】
歩行補助装置30Aを装着する場合、装着者は、右足裏支持板82および左足裏支持板83に両足をそれぞれ乗せ、右下腿部装着リンク72および左下腿部装着リンク73に両下腿部分をそれぞれ添え、右膝関節リンク68および左膝関節リンク69に膝裏をそれぞれ添え、右大腿部装着リンク66および左大腿部装着リンク67に両大腿部分をそれぞれ添える。
【0057】
次に、
図4を参照して、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aの電気的な構成について説明する。
【0058】
同図に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aは、無線通信部98および制御部99を備えた制御ユニットC1を備えている。なお、無線通信部98は、歩行訓練支援装置20の無線通信部20Hとの無線通信を行うものである。また、制御部99は、歩行補助装置30A全体の作動の制御を行うものであり、CPUを有すると共に、RAM、ROM等の各種記憶部を有している。
【0059】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Aでは、制御部99に、加速度センサS1〜S3、感圧センサS4〜S7、および駆動モータ52A〜52Dが電気的に接続されており、制御部99は、加速度センサS1〜S3および感圧センサS4〜S7による計測値に基づいて駆動モータ52A〜52Dの作動を制御する。
【0060】
次に、
図5を参照して、本実施の形態に係る密着型の歩行補助装置30Bの構成を説明する。なお、
図5では、装着者の右足に対応する歩行補助装置のみを示しているが、実際には、装着者の左右両足に対応する歩行補助装置が用意されている。
【0061】
図5に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、装着者の片足に対し、装着者の膝関節の動きを補助するための動力を生成するモータ、すなわち膝関節モータ35と、装着者の足関節の動きを補助するための動力を生成するモータ、すなわち足関節モータ36と、の2つのモータを備えている。なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bでは、膝関節モータ35および足関節モータ36が装着者の背面にベルト等によって固定して設置されているが、これに限るものではない。
【0062】
また、膝関節モータ35および足関節モータ36を駆動するための信号は、後述する制御部31(
図7も参照。)とこれらのモータとを接続する接続ケーブルにより伝達される。本実施の形態に係る歩行補助装置30Bでは、膝関節モータ35および足関節モータ36として、DCサーボ・モータを適用しているが、ステッピング・モータやギアドモータ等、他のモータを適用してもよいことは言うまでもない。
【0063】
なお、膝関節モータ35および足関節モータ36の各モータの駆動制御は、基本的には、自身の回転角および回転角速度が制御を受けることで行われる。したがって、上記各モータの駆動制御を行う信号は、上記回転角および回転角速度に関する情報を有する必要がある。また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bでは、膝関節モータ35および足関節モータ36の各々の回転軸がモータ本体から突出しており、膝関節モータ35の回転軸はモータ側エンコーダ37の回転軸に、足関節モータ36の回転軸はモータ側エンコーダ38の回転軸に、各々連結している。そして、各モータ側エンコーダ37、38は、膝関節モータ35および足関節モータ36の回転軸の回転角度および回転方向を回転角として検知する。
【0064】
一方、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、膝関節モータ35の回転軸に連結され、装着者の片足に対し、装着者の膝関節の動きを補助するための動力を伝達する膝関節フレキシブルシャフト39と、足関節モータ36の回転軸に連結され、装着者の足関節の動きを補助するための動力を伝達する足関節フレキシブルシャフト40と、の2つのフレキシブルシャフトが設けられている。ここで、フレキシブルシャフトの一例としては、一本の金属線に複数層の金属線を一層ごとの金属線が互いに逆方向に螺旋を描くように巻きつけてできたインナーシャフトを、硬剛線などを管状に巻きあげたものの外面に塩化ビニルなどを皮覆してできたアウターチューブのなかに通したもの等が挙げられる。
【0065】
上記各フレキシブルシャフト39、40は、自身の上端が各モータ35,36の回転軸に連結していて、各モータの回転軸の回転とともに回転する。なお、一般に、フレキシブルシャフトは、自身の一方の端部を持って回転させても、自身の他方の端部が物体に固定されていれば、上記物体からの抗力により、自身にねじれが生じてしまう。つまり、このフレキシブルシャフトの上記他方の端部が物体に固定されている場合、上記一方の端部から回転を加えても、両端部に生じる回転角は異なる。したがって、このような場合に、上記物体が固定されている方の端部に所望の回転角を与える場合には、回転する側の端部からさらに余分に力、すなわちトルクを加える必要がある。この場合のトルクTは、T=(θ1−θ2)×kで表わされる。ここで、θ1はフレキシブルシャフトの端部のうち、回転を加える側に生じた回転角、θ2はフレキシブルシャフトの端部のうち、物体に固定された側に生じた回転角、kはねじりばね定数である。このねじりばね定数kは、用いられるフレキシブルシャフトにより異なる値をとる。
【0066】
また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、膝関節フレキシブルシャフト39の下端に連結し、装着者の膝関節部分に配置されている膝関節動作補助部分41を有すると共に、足関節フレキシブルシャフト40の下端に連結し、装着者の足関節部分に配置されている足関節動作補助部分42を有する。また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、装着者の大腿部と膝関節動作補助部分41とを固定する大腿部固定リンク43〜45を有する。また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、膝関節動作補助部分41と足関節動作補助部分42とを連結する下腿部固定リンク46〜48を有する。下腿部固定リンク46〜48は膝関節動作補助部分41の回転軸に固定され、その固定軸の回転により前後方向に駆動する。また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、足関節フレキシブルシャフト40の下端に連結し、下腿部固定リンク46〜48の下端に配置されている足関節動作補助部分42を有すると共に、装着者の足裏部分を支持する足裏支持板49を有する。足裏支持板49は、足関節動作補助部分42の回転軸に固定され、その固定軸の回転により、その固定軸を軸中心として回転運動可能である。
【0067】
一方、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、膝関節フレキシブルシャフト39の下端と膝関節動作補助部分41との連結部分に配置された膝関節エンコーダ33と、足関節フレキシブルシャフト40の下端と足関節動作補助部分42との連結部分に配置された足関節エンコーダ34と、を備えている。なお、当該連結部分と各関節エンコーダ33、34の回転軸は連結しており、当該連結部分の回転角度および回転方向を駆動角として検知する。
【0068】
また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、装着者の歩行状態に応じて追従するため、母指球および踵の下の2箇所の圧力を計測できるよう、一例として
図6に示すように、右足に対応する履物の中敷きに感圧センサS8および感圧センサS9を埋め込むと共に、左足に対応する履物の中敷きに感圧センサS10および感圧センサS11を埋め込む。なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bでも、感圧センサS8〜S11として、厚さ0.5[mm]の感圧導電ゴム(PCR テクニカル製)を銅箔シールで挟んだ薄型圧力センサを適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。また、計測位置、計測箇所の数に関しても同様である。
【0069】
次に、
図7を参照して、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bの電気的な構成について説明する。
【0070】
同図に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、無線通信部29および制御部31を備えた制御ユニットC2を備えている。なお、無線通信部29は、歩行訓練支援装置20の無線通信部20Hとの無線通信を行うものである。また、制御部31は、歩行補助装置30B全体の作動の制御を行うものであり、CPUを有すると共に、RAM、ROM等の各種記憶部を有している。
【0071】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Bでは、制御部31に、感圧センサS8〜S11が電気的に接続されると共に、各々一対の関節エンコーダ33、34と、モータ側エンコーダ37、38と、膝関節モータ35と、足関節モータ36と、が電気的に接続されており、制御部31は、各感圧センサS8〜S11、各関節エンコーダ33、34、および各モータ側エンコーダ37、38による計測値に基づいて、各関節モータ35、36の作動を制御する。
【0072】
次に、
図8を参照して、本実施の形態に係る密着型の歩行補助装置30Cの構成を説明する。なお、
図8では、装着者の右足に対応する歩行補助装置のみを示しているが、実際には、装着者の左右両足に対応する歩行補助装置が用意されている。また、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cは、上述した歩行補助装置30Bとほぼ同様の構成とされているため、歩行補助装置30Bと同様の構成要素には
図5と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図8に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cは、歩行補助装置30Bに対して、膝関節モータ35、モータ側エンコーダ37、膝関節フレキシブルシャフト39等の膝関節に関するものが備えられておらず、固定バンド32が備えられている点が異なっている。すなわち、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、装着者の膝関節および足関節の補助を行うものとされているのに対し、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cは、足関節のみの補助を行うものとされている。
【0074】
次に、
図9を参照して、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cの電気的な構成について説明する。なお、同図における
図7に示した歩行補助装置30Bの構成と同一の構成要素については、
図7と同一の符号を付する。
【0075】
図9に示すように、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cは、歩行補助装置30Bと同様の構成とされた制御ユニットC2を備えている。
【0076】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Cでは、制御ユニットC2の制御部31に、感圧センサS8〜S11が接続されると共に、各々一対の関節エンコーダ34と、モータ側エンコーダ38と、足関節モータ36と、が電気的に接続されており、制御部31は、各感圧センサS8〜S11、各関節エンコーダ34、および各モータ側エンコーダ38による計測値に基づいて、各関節モータ36の作動を制御する。
【0077】
ここで、本実施の形態に係る歩行補助装置30A、30B、30Cの制御法について説明する。まず、
図10〜
図13を参照して、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aの制御法について説明する。
【0078】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Aは、健常者の歩行時の関節角度と装着者の足の長さから生成した軌道に沿うように、右足裏支持板82および左足裏支持板83の位置と周期、位相を制御する足先軌道追従制御を行うことができる。以下、足先軌道追従制御について説明する。
【0079】
本実施の形態に係る足先軌道追従制御では、まず、装着者の足を、一例として
図10に示すようなリンク機構としてモデル化する。次に、健常者の歩行時の各関節角度変化データと、予め計測した装着者の各関節間の長さとを用いて順運動学により母指球および踵の軌道を算出する。なお、上記健常者の歩行時の各関節角度変化データについては、文献「江原義弘、山本澄子,ボディダイナミクス入門歩き始めと歩行の分析(2002),pp.136〜167,医歯薬出版」(以下、「文献1」という。)、「中村隆一、斎藤宏、長崎浩,基礎運動学,第6版(2007),pp.362〜366,医師薬出版」に掲載されているもの等を適用することができる。
【0080】
そして、母指球および踵の両方の最下点を各足裏支持板が追従するよう、一例として
図11に示す右足裏支持板82および左足裏支持板83の上の基準点を設け、基準点の目標軌道を、一例として
図12に示すように生成し、軌道上に基本点を1周期中に複数点(本実施の形態では、20点)定め、線形補間する。この際の制御間隔は一例として1[msec]毎に目標値を更新する。この目標軌道の歩幅を装着者の体感や歩行環境に応じて伸縮させる。
【0081】
一方、人間には歩行比aが存在し,歩幅をl[m]、歩行率をp[step/min]とすると、a=l/pとして表すことができる。また、この値は個体変化があまりなく、一般にa=0.006[m/step/min]といわれている。さらに、歩行率は年齢によらずあまり変化しないが、加齢に伴い歩幅が縮小することにより、歩行比が低下する方向に変化することがわかっている。なお、上記歩行比については、文献「長崎浩,からだの自由と不自由−身体運動学の展望,中公新書1379,(1997),pp.166〜169,中央公論社」、「河内まき子、横山一也、山下樹里、横井孝志、小木元、吉岡松太郎、渥美浩章、堀田明裕,設計のための人体寸法データ集,No.2−1(1994),生命工学工業技術研究所」等に記載されている。
【0082】
この歩行比を利用し、歩行補助装置30Aを装着したときの歩幅を随時計測し、上述した歩幅の最大時に予め設定された歩行周期(本実施の形態では、健常者の歩行周期を1とした場合の歩行周期)になるよう、すなわち、歩き始めや歩き終わりは歩幅が小さいため、歩行補助装置30Aはゆっくりと動作するが、歩き出して歩幅が大きくなるに伴い、歩行補助装置30Aは早く動作し、歩行周期が小さくなるように制御する。なお、上記健常者の歩行周期としては、上記文献1に基づいて算出した、1.08[s/step]を適用することができる。
【0083】
また、装着者の歩行状態に応じて追従するため、母指球および踵の下の2箇所を計測できるよう、一例として
図3に示したように、感圧センサS4〜S7を右足裏支持板82および左足裏支持板83に設け、一例として
図13に示すように、各感圧センサの出力電圧の組み合わせから装着者の歩行位相を判断する。特に、遊脚期への移行判断は慎重に行い、遊脚に移行したい足の踵が浮いたことを判断するだけでなく、片足立脚する方への重心移動を確認した後に目標値を切り替え、安全性を考慮する。
【0084】
なお、以上の足先軌道追従制御については、文献「Eiichirou Tanaka, Tadaaki Ikehara, Hirokazu Yusa, Yusuke Sato, Tomohiro Sakurai, Shozo Saegusa, Kazuhisa Ito, Louis Yuge, "Walking-Assistance Apparatus as a Next-Generation Vehicle and Movable Neuro-Rehabilitation Training Appliance", Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.24 No.5, (2012), pp. 851-865」や、「田中英一郎、池原忠明、佐藤友亮、遊佐広和、伊藤和寿、三枝省三、中川慧、青景遵之、弓削類,“脚部非固定式歩行補助機の開発と筋電による補助効果の検討”,日本機械学会論文集C編,Vol.77,No.775,(2011),pp.1119〜1132」等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0085】
ところで、以上の足先軌道追従制御のような目標とする軌道がある場合、その目標に沿った平地等の歩行補助には有効であるが、屋外で使用することを考えると、様々な歩行環境に応じた適切な補助力の算出が重要である。
【0086】
そこで、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aは、上記足先軌道追従制御の他に、関節トルク制御も行うことができる。
【0087】
本実施の形態に係る関節トルク制御は、装着者の股関節を基準とし、その相対速度として足先加速度を得るため、上述したように歩行補助装置30Aの腰部、両足首の関節部に加速度センサS1〜S3を設ける一方、健常者の足先の目標軌道から算出した足先加速度をテンプレートとして用い、事前に算出した各関節のトルクに追従するように、各加速度センサS1〜S3によって得られる加速度を利用して各関節の動きを制御する。
【0088】
なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aでは、関節トルク制御として、以上のような足先加速度のテンプレートを用いるものを採用しているが、これに限らない。
【0089】
例えば、加速度センサS1〜S3によってリアルタイムで得られる加速度の計測データを用いて、動力学の方程式により各関節を制御する形態としてもよい。すなわち、上述した足先加速度のテンプレートを用いる形態では、或る程度の歩行速度が出てきている場合に、足先軌道追従制御よりも柔軟性があり、かつそのタイミングで動作する、といったことの教示を装着者に行うことができ、有効である。さらに、或る程度歩けるようになった患者向けには、上述したような、リアルタイムの加速度の計測データを用いる制御を行えば、装着者の歩きたいように動いているその動作の筋力補助(パワーアシスト)を行うことができる。なお、このように、リアルタイムの加速度計測データを用いる場合の動力学の方程式については、文献「鈴木雄大、田中英一郎、池原忠明、桜井智広、六本木将太、弓削類,“高齢者・患者用歩行補助機の開発〜脚先加速度を利用した歩行順応型トルク制御〜”,日本機械学会2012年度年次大会講演論文集,S116024,DVD−ROM,(2012)」等に記載されている。
【0090】
さらに、以上の足先加速度のテンプレートを用いる制御と、リアルタイムの加速度計測データを用いる制御とを組み合わせて適用する形態としてもよい。
【0091】
なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30Aは、足先軌道追従制御および関節トルク制御の何れか1つの制御を選択的に実行することができる。
【0092】
次に、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bの制御法について説明する。
【0093】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Bの最大の特長は、フレキシブルシャフトを用いて負荷トルクを計測できることである。これを用いて、足関節の先端位置および膝関節の角度と、各関節のトルクと、の両方を制御するハイブリッド制御を行う。このように、角度制御にトルク制御を加えることにより、片足立脚時などの目標角度に達していても力を出す必要がある場合に補助が可能となる。また、角度制御のみでは難しかった歩行時に発生する関節モーメントの強弱が再現でき、より自然に近い歩行が可能となる。
【0094】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Bのハイブリッド制御では、まず、歩行位相に応じた目標角度との偏差に比例した電流値を決定する。さらに、モータ側エンコーダ37、38と関節エンコーダ33、34の各々の角度から角度差を算出し、フレキシブルシャフトのねじり剛性を乗じて各関節にかかる負荷トルクを算出し、歩行位相に応じた目標トルクとの偏差に比例した電流値を決定する。その2つの目標値は、健常者が歩行するために必要な角度およびトルクであり、この比率を調整して電流値を決定し、各モータ35、36を駆動させることとする。
【0095】
上記歩行位相の取得方法としては、一例として文献「赤澤康史、中川昭夫、松原裕幸、中村俊哉、野村毅、田中正夫,メカトロニクスを導入した短下肢装具の開発研究,平成15年度兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所報告集,(2003),pp.199〜202」等に記載されている従来の装置のように、筋電を用いると計測波形の個人差による誤差や取りやすい位置が異なり、素人には取り扱いが難しく、筋力の低下している装着者等では筋電波形が取りにくい。そこで、本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、一例として
図6に示したように、母指球および踵の部分に感圧センサS8〜S11を埋め込んだ中敷きを足裏に敷き、一例として
図13に示したように、各感圧センサによって得られる電圧の変化から歩行位相を判別する。これにより、筋力が低下して筋電波形が取りにくい装着者にも対応することができるようになる。
【0096】
本実施の形態に係る歩行補助装置30Bは、このハイブリッド制御において、上記比率を設定することにより、上記角度制御と上記トルク制御との比重を設定できるものとして構成されている。すなわち、本実施の形態に係るハイブリッド制御では、[角度制御:トルク制御]として、[7:3]、[8:2]といった設定を行うことができる。なお、本実施の形態に係るハイブリッド制御では、[角度制御:トルク制御]として、[10:0]とすることもできるが、この場合は、角度制御のみを行うことになる。また、本実施の形態に係るハイブリッド制御も、上述した歩行周期が設定可能とされており、予め設定された歩行周期に追従するように、当該ハイブリッド制御が行われる。
【0097】
なお、以上のハイブリッド制御については、文献「池原忠明、田中英一郎、永村和照、牛田卓朗、小島翔、田宮高信、池条清隆、青景遵之、中川慧、弓削類,“フレキシブルシャフトのねじりばね効果を用いた脚部密着型歩行補助機の開発”,日本機械学会論文集C編,Vol.77,No.775,(2011),pp.698〜711」等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0098】
一方、本実施の形態に係る歩行補助装置30Cの制御法は、歩行補助装置30Bの制御法とほぼ同様であるが、歩行補助装置30Bが、膝関節および足関節の双方を対象として制御を行うのに対し、歩行補助装置30Cでは、足関節のみを対象として制御を行う点のみが異なっている。
【0099】
なお、本実施の形態に係る歩行補助装置30では、足先軌道追従制御、関節トルク制御およびハイブリッド制御の何れの制御も各モータに対するPID制御により実現するものとされている。
【0100】
一方、
図14には、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10の機能的な構成を示す機能ブロック図が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10は、検出部20A1と、判定部20A2と、実行部20A3と、を備えている。
【0101】
本実施の形態に係る検出部20A1は、訓練者(患者)が装着した状態で歩行補助装置30を用いて、当該訓練者により歩行訓練を行った場合の歩行状態を示す予め定められた物理量を検出する。ここで、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10では、上記物理量として、訓練者による歩行訓練の歩行補助装置30による補助動作に対する追従性を示す物理量を適用しているが、これに限らず、訓練者による歩行訓練時における歩行補助装置30の動きの量を示す情報等といった他の歩行状態を示す物理量を適用してもよい。
【0102】
一方、本実施の形態に係る判定部20A2は、検出部20A1によって検出された物理量に基づいて、訓練者の麻痺レベルを判定し、本実施の形態に係る実行部20A3は、判定部20A2により判定されたレベルに応じて、歩行訓練を支援するものとして予め定められた処理を実行する。
【0103】
なお、本実施の形態に係る実行部20A3は、上記予め定められた処理として、判定部20A2によって判定されたレベルに応じた各種パラメータの歩行補助装置30への設定を行う処理を実行する。また、本実施の形態に係る実行部20A3は、上記予め定められた処理として、判定部20A2によって判定されたレベルが予め定められた目標レベルに達した場合、歩行補助装置30に設定するパラメータを上記目標レベルに応じて予め定められた種類のパラメータに変更する処理を実行する。
【0104】
また、本実施の形態に係る実行部20A3は、上記予め定められた処理として、判定部20A2によって判定されたレベルに応じた訓練法をディスプレイ20Fにより提示する処理を実行する。また、本実施の形態に係る実行部20A3は、上記予め定められた処理として、判定部20A2によって判定されたレベルに応じた訓練メニューを作成して二次記憶部20Dに記憶する処理を実行する。さらに、本実施の形態に係る実行部20A3は、上記予め定められた処理として、判定部20A2によって判定されたレベルに応じて、予め定められた複数種類(本実施の形態では、3種類)の歩行補助装置30から何れか1つを選択的にディスプレイ20Fにより提示する処理を実行する。
【0105】
一方、
図15には、本実施の形態に係る歩行訓練支援装置20に備えられた二次記憶部20Dの主な記憶内容が模式的に示されている。
【0106】
同図に示すように、二次記憶部20Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、各種アプリケーション・プログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。また、データベース領域DBには、訓練メニュー基礎情報データベースDB1、および患者情報データベースDB2が含まれる。以下、各データベースの構成について詳細に説明する。
【0107】
運動麻痺の評価は、一般に、ブルンストローム・ステージ(Brunnstrom's Stage)と呼ばれる評価法で行われている。この評価法では、麻痺の程度を、以下に示すステージ1からステージ6までの6段階で評価する。
ステージ1:随意運動なし(弛緩)
ステージ2:共同運動またはその要素の最初の出現期(痙性発現)
ステージ3:共同運動またはその要素を随意的に起こしうる(痙性著明)
ステージ4:基本的共同運動から逸脱した運動(痙性やや弱まる)
ステージ5:基本的共同運動から独立した運動(痙性減少)
ステージ6:協調運動ほとんど正常(痙性最小期)
図16には、ブルンストローム・ステージにおける各ステージの推移に伴う筋トーヌスの変化の一例が示されている。
【0108】
図16に示すように、歩行訓練によって麻痺レベルがステージ1からステージ2に移行した段階では、筋トーヌスが弛緩性の領域にあるが、さらに麻痺レベルがステージ3に移行すると、適切な範囲(各関節が分離して動く範囲)を通り越して痙性の領域に移行する。その後、ステージ4に移行した後は、適切な範囲に納まることとなる。従って、効果的に歩行訓練を行うためには、患者の麻痺レベルを的確に把握し、把握したレベルに応じた歩行訓練を実施することが重要である。
【0109】
本実施の形態に係る訓練メニュー基礎情報データベースDB1は、このように、各麻痺レベルに応じた歩行訓練を行うために用意されたデータベースであり、一例として
図17に模式的に示すように、ステージ、期間配分、および訓練プログラムの各情報が記憶されるように構成されている。また、上記訓練プログラムには、補助装置タイプ、使用器具、プログラム、および訓練頻度上限の各情報が含まれている。
【0110】
なお、上記ステージは、上述したブルンストローム・ステージにおける各ステージを示す情報であり、上記期間配分は、歩行訓練を実施する際の各ステージ間の期間配分の割合を示す情報である。
図17に示す例では、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、ステージ5、ステージ6の各々の期間の配分を、3:2:2:2:2:2とすることが示されている。
【0111】
また、上記補助装置タイプは、対応するステージに含まれる麻痺レベルの患者に対して使用させる歩行補助装置30のタイプを示す情報であり、本実施の形態では、上述した歩行補助装置30Aに相当する「非拘束型」、歩行補助装置30Bに相当する「密着型(膝関節+足関節)」、歩行補助装置30Cに相当する「密着型(足関節)」の3タイプの歩行補助装置30が適用されている。
【0112】
また、上記使用器具は、対応するステージに含まれる麻痺レベルの患者に対して使用させる器具を示す情報であり、本実施の形態では、「3次元ハーネス」および「平行棒」の2種類の器具が適用されている。
【0113】
また、上記プログラムは、対応するステージに含まれる麻痺レベルの患者が装着する歩行補助装置30において適用する制御法、および当該制御において適用するパラメータを示す情報であり、本実施の形態では、上記制御法として上述した「足先軌道追従制御」、「関節トルク制御」、および「ハイブリッド制御」の3種類の制御法が適用されており、上記パラメータとして、「脚部重量補償」および上述した「歩行周期」の2種類が適用されている。
【0114】
ここで、上記脚部重量補償は、対応するステージに含まれる麻痺レベルの患者の脚部に対する重量の免荷の程度を示す情報であり、歩行補助装置30において各モータをPID制御する際のP(比例制御)における制御量を調整することにより実現することができる。
【0115】
また、上記訓練頻度上限は、対応するステージの患者が、対応する補助装置タイプの歩行補助装置30を用いて歩行訓練を行う場合の頻度の上限を示す情報であり、本実施の形態では、1週間のうち、何日まで歩行訓練を行ってよいかを示す情報、および1日当たりの歩行訓練の実施時間の上限値を示す情報により構成されている。
【0116】
一方、本実施の形態に係る患者情報データベースDB2は、一例として
図18に模式的に示すように、患者ID(Identification)、訓練開始日、目標訓練期間、麻痺レベル、および訓練メニューの各情報が記憶されるように構成されている。
【0117】
なお、上記患者IDは、対応する患者を特定するために、歩行訓練支援システム10における全ての患者に対して個別に割り振られた情報である。また、上記訓練開始日は、対応する患者が訓練を開始した日を示す情報であり、上記目標訓練期間は、対応する患者によって申告された、または理学療法士等によって提案された、目標とする訓練期間を示す情報である。
【0118】
また、上記麻痺レベルは、対応する患者の麻痺レベルを示す情報であり、本実施の形態では、訓練開始時のレベルである「初期」と、最新のレベルである「現在」の2種類の情報からなる。さらに、上記訓練メニューは、後述する歩行訓練支援プログラム(
図20も参照。)において作成される、対応する患者専用の訓練メニューを示す情報である。
【0119】
図18に示す例では、患者IDとして「10001」が付与された患者の訓練開始日が2013年5月10日であり、当該患者の目標訓練期間が12週間であり、当該患者の訓練開始時の麻痺レベルがステージ1で、現在の麻痺レベルがステージ3であり、訓練メニューとして訓練メニューAが作成されて、登録されていることを示している。
【0120】
図19には、本実施の形態に係る訓練メニューの構成例が模式的に示されている。
【0121】
同図に示すように、本実施の形態に係る訓練メニューは、上述した訓練メニュー基礎情報データベースDB1の各情報(
図17も参照。)に比較して、「期間配分」がなく、「経過週」および「実施日」の各情報が含まれている点のみが異なっている。
【0122】
上記経過週は、対応する患者の上記目標訓練期間を、上記訓練メニュー基礎情報データベースDB1における期間配分で各ステージに割り振った場合の訓練開始日から経過した週を示す情報である。また、上記実施日は、対応する上記経過週の実際の暦上の期間を示す情報である。同図に示す例では、例えば、訓練開始日から7週間後である6月28日〜7月4日の週は、ステージ4の前半に対応する訓練、すなわち、密着型(膝関節+足関節)の歩行補助装置30Bを用いて、20%の脚部重量補償を行うと共に、歩行周期を1〜1.5の何れかとしてハイブリッド制御を行うことを示している。
【0123】
なお、以上のように構成された歩行訓練支援装置20の各構成要素(検出部20A1、判定部20A2、実行部20A3)による歩行訓練支援処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現してもよい。この場合、当該プログラムに本実施の形態に係るプログラムが含まれることになる。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現してもよいことは言うまでもない。
【0124】
以下では、本実施の形態に係る歩行訓練支援装置20が、上記プログラムを実行することにより上記各構成要素による歩行訓練支援処理を実現するものとされている場合について説明する。この場合、当該プログラムを歩行訓練支援装置20に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0125】
次に、本実施の形態に係る歩行訓練支援システム10の作用を説明する。なお、ここでは、錯綜を回避するために、訓練メニュー基礎情報データベースDB1が既に構築されている場合について説明する。また、ここでは、患者と、理学療法士等の補助者との2名で歩行訓練を行う場合について説明する。
【0126】
以下、
図20を参照して、歩行訓練支援処理を実行する際の歩行訓練支援装置20の作用を説明する。なお、
図20は、歩行訓練支援処理の実行指示がキーボード20E等を介して入力された際に、歩行訓練支援装置20のCPU20Aによって実行される歩行訓練支援プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部20Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。
【0127】
同図のステップ100では、予め定められたフォーマットとされた初期画面を表示するようにディスプレイ20Fを制御し、次のステップ102にて、所定情報の入力待ちを行う。
【0128】
図21には、上記初期画面の表示状態の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る初期画面には、今回の歩行訓練が初回(1回目)の訓練である場合に指定する領域A1と、2回目以降の訓練である場合に指定する領域A2と、が表示される。また、本実施の形態に係る初期画面には、今回の歩行訓練が初回の訓練である場合における、患者の麻痺レベルを入力する領域A3と、目標訓練期間を入力する領域A4と、が表示される。さらに、本実施の形態に係る初期画面には、今回の歩行訓練が2回目以降の訓練である場合における、患者の患者IDを入力する領域A5が表示される。
【0129】
図21に示される初期画面がディスプレイ20Fに表示されると、操作者(本実施の形態では、補助者)は、今回が初回の歩行訓練である場合は領域A1を、マウス等を用いてポインティング指定する。また、操作者は、この際、この時点の患者の麻痺レベルを領域A3に、目標訓練期間を領域A4に、各々キーボード20E、マウス等を用いて入力した後、当該初期画面の下端部近傍に表示されている終了ボタンをポインティング指定する。これに対し、操作者は、今回が2回目以降の歩行訓練である場合は領域A2をポインティング指定し、患者に付与された患者IDを領域A5に入力した後、上記終了ボタンをポインティング指定する。上記終了ボタンがポインティング指定されると、上記ステップ102が肯定判定となって、ステップ104に移行する。
【0130】
ステップ104では、上記初期画面での入力情報に基づいて、今回が初回の歩行訓練であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106に移行して、上記初期画面で入力された麻痺レベルに対応するステージの全ての情報を訓練メニュー基礎情報データベースDB1から読み出した後、ステップ110に移行する。
【0131】
一方、上記ステップ104において否定判定となった場合は、今回の歩行訓練が2回目以降の訓練であるものと見なしてステップ108に移行し、上記初期画面で入力された患者IDに対応する全ての情報を患者情報データベースDB2から読み出し、その後にステップ110に移行する。
【0132】
ステップ110では、上記ステップ106またはステップ108の処理によって読み出した情報に基づいて、予め定められたフォーマットとされた情報提示画面を表示するようにディスプレイ20Fを制御し、次のステップ112にて、所定情報の入力待ちを行う。
【0133】
図22には、上記情報提示画面の表示状態の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る情報提示画面には、患者の麻痺レベルが表示されると共に、使用する歩行補助装置30の種類(同図に示す例では、‘非拘束型’)、使用する器具(同図に示す例では、‘3次元ハーネス’)、および歩行訓練を行う時間の上限値である実施時間(同図に示す例では、‘3時間以内’)を示す情報が、歩行訓練の実施を促すメッセージと共に表示される。
【0134】
なお、本ステップ110の処理が上記ステップ106の処理を経た後に実行される場合、上記情報提示画面の麻痺レベルは、上記初期画面上で操作者によって入力された麻痺レベルを適用して表示すると共に、使用する歩行補助装置30の種類、器具、および実施時間の各情報は、上記ステップ106の処理によって訓練メニュー基礎情報データベースDB1から読み出した「補助装置タイプ」、「使用器具」、および「訓練頻度上限」における一日の訓練の上限時間の各情報を適用して表示する。
【0135】
これに対し、本ステップ110の処理が上記ステップ108の処理を経た後に実行される場合、上記情報提示画面の麻痺レベルは、上記ステップ108の処理によって患者情報データベースDB2から読み出した情報における「麻痺レベル」の「現在」の情報を適用して表示すると共に、使用する歩行補助装置30の種類、器具、および実施時間の各情報は、患者情報データベースDB2から読み出した情報における訓練メニューの「補助装置タイプ」、「使用器具」、および「訓練頻度上限」における一日の訓練の上限時間の各情報を適用して表示する。
【0136】
図22に示される情報提示画面がディスプレイ20Fに表示されると、操作者は、患者に対して当該情報提示画面で表示されている種類の歩行補助装置30(以下、「使用対象装置」という。)の装着を指示すると共に、表示されている器具の使用を指示する。そして、操作者は、患者に使用対象装置および使用器具を指示した後、情報提示画面の下端部近傍に表示されている終了ボタンをポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ112が肯定判定となってステップ114に移行する。
【0137】
ステップ114では、ステップ106またはステップ108の処理によって読み出した情報に含まれるプログラムの情報(本実施の形態では、制御法、当該制御法がハイブリッド制御である場合の角度制御とトルク制御の比率、脚部重量補償の値、歩行周期の各情報(以下、「制御情報」という。))を、使用対象装置に無線通信部20Hを介して送信する。これに応じて使用対象装置の制御部は、受信した制御情報を自身に備えられた記憶部に記憶する。なお、本実施の形態に係る制御情報における歩行周期は、一例として
図17に示すように、「2〜3倍」、「1.5〜2倍」といったように幅を有するものとされているが、対応するステージの歩行訓練期間における前半の期間では当該幅の最大値を適用し、後半の期間では当該幅の最小値を適用する形態や、別途操作者に当該幅の範囲内で入力させたりする形態等を適用することができる。また、
図17に示す例では、ステージ6に対応する歩行周期が、その場に応じて調整する旨の情報とされているが、この場合も操作者によって1倍を上限として入力させる形態等を適用することができる。
【0138】
一方、装着する使用対象装置および使用する器具が操作者から指示されると、患者は、指示された使用対象装置を装着した後、3次元ハーネスの使用が指示された場合は図示しない3次元ハーネスを使用し、平行棒の使用が指示された場合は図示しない平行棒を使用して、歩行訓練を開始する。
【0139】
そこで、次のステップ116では、使用対象装置に対して制御の開始を指示する指示情報を送信する。これに応じて使用対象装置は、歩行訓練支援装置20から受信した制御情報に応じた制御を開始し、当該制御を行っている際に、制御対象とするパラメータの目標値を示す情報(以下、「目標情報」という。)、および各種センサ等によって検知された情報(以下、「実測情報」という。)の、歩行訓練支援装置20への無線通信部を介した時系列順で、かつ連続的な送信を開始する。
【0140】
具体的には、使用対象装置が歩行補助装置30Aであり、足先軌道追従制御を行う場合は、目標軌道を示す情報を上記目標情報とし、加速度センサS1〜S3および感圧センサS4〜S7からの出力値を示す情報を上記実測情報として歩行訓練支援装置20に送信する。また、使用対象装置が歩行補助装置30Aであり、関節トルク制御を行う場合は、目標とする足先加速度を示す情報を上記目標情報とし、加速度センサS1〜S3からの出力値を示す情報を上記実測情報として歩行訓練支援装置20に送信する。
【0141】
一方、使用対象装置が歩行補助装置30Bである場合は、目標角度および目標トルクを示す情報を上記目標情報とし、関節エンコーダ33、34からの出力値を上記実測情報として歩行訓練支援装置20に送信する。さらに、使用対象装置が歩行補助装置30Cである場合は、目標角度および目標トルクを示す情報を上記目標情報とし、関節エンコーダ34からの出力値を上記実測情報として歩行訓練支援装置20に送信する。
【0142】
そこで、次のステップ118では、使用対象装置から送信された目標情報および実測情報を受信し、その時点の時刻を示す時刻情報に関連付けて二次記憶部20Dの所定領域に記憶する。
【0143】
一方、使用対象装置は、患者、補助者等によって歩行訓練を終了する旨の操作が行われると、当該歩行訓練の終了を示す終了情報を歩行訓練支援装置20に無線通信部を介して送信する。
【0144】
そこで、次のステップ120では、上記終了情報を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ118に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ122に移行する。以上のステップ118〜ステップ120の繰り返し処理により、二次記憶部20Dの所定領域には、使用対象装置から受信した目標情報および実測情報が時系列順に逐次記憶される。
【0145】
そこで、ステップ122では、以上の処理によって記憶された目標情報および実測情報を二次記憶部20Dから読み出し、読み出した目標情報および実測情報に基づいて、患者による歩行訓練の動作の、使用対象装置による補助動作に対する追従性を示す値(以下、「追従性情報」という。)を以下のように導出する。
【0146】
すなわち、まず、時系列の実測情報に基づいて、当該実測情報によって示される値を目標情報によって示される値と同様の物理量を示す値に変換する。そして、これによって得られた値と目標情報によって示される値とのずれ量を上記追従性情報として算出する。
【0147】
次のステップ124では、以上の処理によって得られた追従性情報に基づいて、患者の麻痺レベルが何れのステージであるのかを以下のように判定する。
【0148】
すなわち、上記ステップ122の処理によって得られた追従性情報により示される値が予め定められた範囲内となっている場合は、上記初期画面において入力された麻痺レベルまたは上記ステップ108の処理によって読み出した麻痺レベル(以下、「適用麻痺レベル」という。)が患者の麻痺レベルであるものと判定する。一方、上記追従性情報により示される値が、上記範囲の上限値を超えている場合は、適用麻痺レベルよりも1段階低い麻痺レベルが患者の麻痺レベルであるものと判定する。さらに、上記追従性情報により示される値が、上記範囲の下限値を下回っている場合は、適用麻痺レベルよりも1段階高い麻痺レベルが患者の麻痺レベルであるものと判定する。なお、上記範囲は、上記追従性情報により示される値が当該範囲内である場合に、患者の麻痺レベルが適用麻痺レベルとなっていると見なすことのできる範囲として、麻痺レベルのステージ毎に、実際の使用対象装置を用いた実験や、当該使用対象装置の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた範囲等を適用することができる。
【0149】
次のステップ126では、患者情報を新規作成または更新するタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合は本歩行訓練支援プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合はステップ128に移行する。なお、本実施の形態に係る歩行訓練支援プログラムでは、患者情報を新規作成または更新するタイミングとして、今回が初回の歩行訓練であるタイミングと、前回更新(または新規作成)した時点から予め定められた期間(本実施の形態では、1週間)が経過したタイミングと、上記ステップ124の処理によって判定した麻痺レベル(以下、「判定麻痺レベル」という。)が患者情報データベースDB2に登録されている麻痺レベルから変化したタイミングと、を適用しているが、これに限らない。例えば、これらのタイミングに加えて、直近で麻痺レベルが変化した時点から予め定められた期間が経過したタイミングを適用する形態等としてもよい。
【0150】
ステップ128では、以下に示すように患者情報を新規作成または更新する。
【0151】
まず、上記判定麻痺レベルに基づいて、この時点を起点とする患者の訓練メニューを作成する。ここで、本実施の形態に係る訓練メニューの作成法について説明する。
【0152】
すなわち、まず、上記判定麻痺レベルに対応するステージから最終ステージ(ステージ6)までに対応する全ての情報を訓練メニュー基礎情報データベースDB1から読み出す。次に、この時点から予め設定された目標訓練期間の終了時までの期間を、訓練メニュー基礎情報データベースDB1から読み出した情報における、判定麻痺レベルに対応するステージから最終ステージまでの期間配分を用いて細分化することにより、これ以降の各ステージに割り当てる経過週を決定する。
【0153】
そして、決定した経過週に対応する実際の暦上の期間を特定し、決定した経過週および決定した暦上の期間を、訓練メニュー基礎情報データベースDB1から読み出した、期間配分を除く情報と組み合わせることにより、訓練メニューを作成する。なお、
図19に示す例は、訓練を開始して初めて訓練メニューを作成した場合の一例である。
【0154】
訓練メニューの作成が終了すると、次に、今回が初回の歩行訓練である場合は、患者情報データベースDB2に登録されていない患者IDを新たに生成し、生成した患者IDおよび生成した訓練メニューと共に、この日の日付、上記初期画面で入力された目標訓練期間、上記初期画面で入力された麻痺レベル、および上記判定麻痺レベルを、「訓練開始日」、「目標訓練期間」、「麻痺レベル」(初期)、および「麻痺レベル」(現在)として、各々患者情報データベースDB2に新たに登録する。
【0155】
これに対し、今回が2回目以降の歩行訓練である場合は、患者情報データベースDB2における、上記初期画面で入力された患者IDに対応する「麻痺レベル」(現在)および訓練メニューを、上記判定麻痺レベルおよび作成した訓練メニューに各々置き換えることにより、患者情報データベースDB2を更新する。
【0156】
以上の患者情報の作成ないし更新が終了すると、ステップ130に移行し、以上の処理によって得られた訓練メニューを患者IDと共にディスプレイ20Fに表示する処理を実行した後に、本歩行訓練支援プログラムを終了する。なお、上記ステップ130の処理によってディスプレイ20Fに表示された情報を参照することにより、患者および補助者は、患者の現状の麻痺レベルおよび患者IDを把握することができると共に、次回以降の歩行訓練の予定を把握することができる。
【0157】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、歩行訓練を行う訓練者が装着した状態で、予め設定されたパラメータ(本実施の形態では、制御情報のパラメータ)に応じて前記訓練者による歩行動作に対する補助動作が行われる歩行補助装置を用いて、前記訓練者により歩行訓練を行った場合の歩行状態を示す予め定められた物理量(本実施の形態では、追従性情報)を検出し、検出した物理量に基づいて、前記訓練者の運動レベル(本実施の形態では、麻痺レベル)を判定し、判定した運動レベルに応じて、前記歩行訓練を支援するものとして予め定められた処理を実行しているので、訓練者の運動レベルを的確に判断することができる結果、より効果的な歩行訓練を行うことができる。
【0158】
また、本実施の形態では、前記物理量が、前記訓練者による歩行訓練の前記補助動作に対する追従性を示す物理量であるものとしているので、より的確に運動レベルを判断することができる結果、より効果的な訓練を行うことができる。
【0159】
また、本実施の形態では、前記予め定められた処理として、判定した運動レベルに応じた前記パラメータの前記歩行補助装置への設定を行う処理を実行しているので、上記パラメータの設定を、人手を介して行う場合に比較して、より簡易に歩行補助装置の設定を行うことができる。
【0160】
特に、本実施の形態では、前記予め定められた処理として、判定した運動レベルが予め定められた目標レベルに達した場合、前記歩行補助装置に設定するパラメータを前記目標レベルに応じて予め定められた種類のパラメータに変更する処理(本実施の形態では、麻痺レベルが向上した場合の制御情報を変更する処理)を実行しているので、訓練者の運動レベルの如何にかかわらず、歩行補助装置に設定するパラメータの種類を固定とする場合に比較して、より効果的に歩行訓練を行うことができる。
【0161】
また、本実施の形態では、前記予め定められた処理として、判定した運動レベルに応じた訓練法(本実施の形態では、情報提示画面で表示される情報により示される訓練法)を提示する処理を実行しているので、訓練者自身が自身の訓練法を把握することができる結果、理学療法士等による労力を、より軽減することができると共に、より効果的に歩行訓練を行うことができる。
【0162】
また、本実施の形態では、前記予め定められた処理として、判定した運動レベルに応じた訓練メニューを作成する処理を実行しているので、訓練者が、その後の歩行訓練のスケジュールを把握することができる結果、より利便性を向上させることができる。
【0163】
また、本実施の形態では、前記予め定められた処理として、判定した運動レベルに応じて、予め定められた複数種類の歩行補助装置(本実施の形態では、歩行補助装置30A〜30Cの3種類の歩行補助装置)から何れか1つを選択的に提示する処理を実行しているので、より効果的に歩行訓練を行うことができる。
【0164】
特に、本実施の形態では、前記複数種類の歩行補助装置が、膝関節および足関節の少なくとも一方で、かつ互いに異なる組み合わせの関節を補助するものとしているので、下肢全般に関する訓練を網羅的かつ効果的に行うことができる。
【0165】
さらに、本実施の形態では、前記運動レベルが、前記訓練者の麻痺のレベルであるものとしているので、訓練者の麻痺のレベルに応じた効果的な歩行訓練を行うことができる。
【0166】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0168】
例えば、上記実施の形態では、麻痺患者を対象として歩行訓練を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、高齢者を対象として歩行訓練を行う形態としてもよい。この場合、上記実施の形態で例示したブルンストローム・ステージに代えて、高齢者用に予め定められた評価法を適用することになる。
【0169】
また、上記実施の形態では、本発明の追従性を示す物理量として、目標情報によって示される値と実測情報に基づいて得られる値とのずれ量を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前者の値に対する後者の値の割合等を本発明の追従性を示す物理量として適用する形態としてもよい。
【0170】
また、上記実施の形態では、本発明の運動レベルとして、ブルンストローム・ステージで規定されている各ステージを採用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、modified National Institute of Health Stroke scale(NIHSS改訂版)、Motor Assessment Scale(MAS)、Motricity Index,Modified Ashworth scale、Fugl-Meyer assessment(FMA)、Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)、脳卒中重症度スケール(JSS)、NIH stroke scale、Functional Independence Measure(FIM)、Barthel index、上田式12段階片麻痺機能テストなどの評価方法を適用する形態としてもよい。
【0171】
また、上記実施の形態では、患者および補助者の2名で歩行訓練を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、麻痺レベルによっては、患者のみで歩行訓練を行う形態としてもよい。
【0172】
また、上記実施の形態では、ブルンストローム・ステージの各ステージを麻痺レベルの各段階として適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ブルンストローム・ステージの各ステージをさらに分割し、当該分割区分毎の麻痺レベルを適用する形態としてもよい。
【0173】
また、上記実施の形態では、本発明の歩行訓練支援装置として、歩行補助装置30とは別体として構成された歩行訓練支援装置20を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の歩行訓練支援装置を歩行補助装置30に一体的に構成する形態としてもよい。
【0174】
また、上記実施の形態では、患者の初期の麻痺レベルを歩行訓練支援装置20に入力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、自動的に患者の初期の麻痺レベルを特定する形態としてもよい。この場合、例えば、歩行補助装置30の腰部、足裏部等に6軸加速度センサ等の動きを検出することのできるセンサを設け、歩行補助装置30を装着した状態で上記センサの出力値を時系列で連続的に取得し、当該出力値の変化から麻痺レベルを特定する形態としてもよい。また、患者の動きをカメラで動画像として撮影し、これによって得られた画像情報により示される動作の状況に基づいて、当該患者の麻痺レベルを特定する形態としてもよい。
【0175】
その他、上記実施の形態で説明した歩行訓練支援システム10の構成(
図1〜
図9参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な構成要素を削除したり、新たな構成要素を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0176】
また、上記実施の形態で示した歩行訓練支援プログラムの処理の流れ(
図20参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な処理ステップを削除したり、新たな処理ステップを追加したり、処理ステップの順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0177】
また、上記実施の形態で示した各種画面の構成(
図21〜
図22参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、一部の情報を削除したり、新たな情報を追加したり、表示位置を変えたりすることができることは言うまでもない。
【0178】
さらに、上記実施の形態で示した各種データベースや訓練メニューの構成(
図17〜
図19参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、一部の情報を削除したり、新たな情報を追加したり、記憶位置を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。