特許第6229970号(P6229970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229970
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】情報共有イヤホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/05 20060101AFI20171106BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20171106BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20171106BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20171106BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04M1/05 C
   H04R1/10 104Z
   H04R1/10 104E
   H04M1/02 C
   H04M1/21 Z
   H04M1/00 V
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-153040(P2013-153040)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-15691(P2015-15691A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月26日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】599167526
【氏名又は名称】辻 利秀
(72)【発明者】
【氏名】辻 利秀
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0247245(US,A1)
【文献】 特表2006−526295(JP,A)
【文献】 特表2012−519422(JP,A)
【文献】 特開2005−79713(JP,A)
【文献】 特開平10−136479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/05
H04M1/00
H04M1/02
H04M1/21
H04R1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホン情報端末の装着者の周囲の状況を表す情報を,電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者に対して,それぞれの通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータを利用して通信ネットワークを介して送信し,前記電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者から前記装着者に対して,音,音声又は映像による情報が送信される情報共有イヤホンシステムであって,
前記イヤホン情報端末は,
前記装着者の耳甲介による空間にスピーカハウジングが保持されるオープンタイプのスピーカ部又は外耳道にインナーパッドを挿入することでスピーカ部を保持する密閉型のスピーカ部と,
耳珠と対耳珠との珠間により挟持される概筒形状の胴部分を有し,前記胴部分の両端の片側が前記スピーカ部と固定され,他端側に集音部,送受信部又はインターフェイス部を,他端側の更にスピーカ部と反対側に撮像部を係着し,前記装着者が装着する時は前記スピーカ部の保持と共に前記胴部分を耳珠と対耳珠の間である珠間に挟持させて,前記スピーカ部と合わせて2点で保持し,前記装着者が頭を立てた状態のとき前記他端側の集音部,送受信部,インターフェイス部及び他端側の更にスピーカ部と反対側の撮像部の重力ベクトルが前記スピーカ部を支点にして,前記胴部分を更に珠間に押しつける方向となることを利用して,前記撮像部,集音部,送受信部又はインターフェイス部を耳垂近傍に安定的に保持せしめることができる挟持部と,
前記挟持部の他端側の更にスピーカ部と反対側に係着されて前記装着者の視界を含むエリアを撮像する向きに保持され,カメラモジュールにより映像を取得して画像情報を出力する前記撮像部と,
前記挟持部の他端側の前記撮像部又は有線ケーブル上の基台に載接又は埋設されたマイクロホンで周囲の音を集音して周囲音情報を出力する前記集音部と,
前記通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータと情報信号を無線又は有線ケーブルで送受信する前記送受信部又はインターフェイス部と,
を備えることを特徴とする,前記情報共有イヤホンシステム。
【請求項2】
前記イヤホン情報端末は,
撮像部の撮像する方向を照明する向きに前記挟持部の他端側若しくは前記撮像部に保持される発光素子を有する照明部,
前記挟持部の他端側若しくは前記撮像部に保持される臭いを検知して臭い情報を出力する臭いセンサ部,
GPS情報を電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者に対して,通信端末,携帯型コミュニケータ若しくはパーソナルコンピュータにより通信ネットワークを介して送信するGPS装置,
から選ばれた一つ又は複数の任意の組み合わせを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報共有イヤホンシステム。
【請求項3】
該情報共有イヤホンシステムの運用及びイヤホン情報端末の情報を監視する監視通知サーバを更に備え,
前記監視通知サーバは、
通信ネットワークを介して前記イヤホン情報端末の装着者の周囲情報である画像情報,周囲音情報,臭い情報,GPS情報若しくは地震津波情報,又は,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他のイヤホン情報端末装着者と交信した情報からなる監視情報を取得する取得部と,
前記監視情報を分析して,前記装着者,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他の前記イヤホン情報端末装着者,電気通信事業者,公共機関又は民間安全産業会社におこなう通知制御の内容又はユーザに対する課金を決定する分析部と,
通信ネットワークを介して前記分析部による分析情報又は通知制御情報を送信する送信部と,
前記監視情報,前記分析情報又は通知制御情報を記憶する記憶部と,
を備えることを特長とする請求項1又は2のいずれかに記載の情報共有イヤホンシステム。
【請求項4】
該情報共有イヤホンシステムの上記電話相手,上記テレビ電話相手若しくは上記監視保護者の,通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータに前記イヤホン情報端末を無線又は有線ケーブルで送受信接続することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報共有イヤホンシステム。
【請求項5】
前記イヤホン情報端末の集音部は,前記挟持部の他端側又は前記撮像部に固着又は埋設されたマイクロホンで周囲の音を集音し,集音した音の信号の中から前記スピーカ部から出力する電話相手からの音若しくは音声又は装着者が聴く音声信号の逆位相の信号により,前記スピーカ部から出力する音のマイクロホンへの回り込み音を減衰させ,前記装着者の周囲音のS/Nを上げる事ができる周囲音源保護処理装置を更に備えることを特長とする請求項1から4に記載の情報共有イヤホンシステム。
【請求項6】
前記イヤホン情報端末は,前記装着者の対耳珠の裏面側に当接して撮像部の上記耳珠近傍への保持を補助する裏面当接部を更に備え,前記裏面当接部は対耳珠裏面側に当接する接触端,前記接触端から伸びるアーム及び前記アームの他端側となる固定端から構成され,前記アームは可撓性の材質で前記固定端が上記挟持部に直接固定されている裏面当接部,
前記アームは可撓性を有しない材質で前記固定端と接続し前記固定端は更に有する回動機構部により回動可能に上記挟持部の他端側に固定されている裏面当接部,
前記固定端は撮像部に固定されて撮像部とともに回動可能に挟持部の他端側に固定される裏面当接部
又は前記固定端は前記挟持部の他端側の概筒形状の胴部分の軸線と平行にスライド可能なスライド機構部に固定され,スピーカ部から離れた位置に固定端をスライドさせて前記スピーカ部と挟持部を装着位置にセットした後,固定端をスピーカ部の方向にスライドして前記接触端を対耳珠裏面側に当接させる裏面当接部と
を更に備えることを特徴とする,請求項1から5のいずれかに記載の情報共有イヤホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホン情報端末装着者の周囲の情報を,通信端末等を用いて,電話相手等に伝えてコミュニケートすることができる情報共有イヤホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像部とヘッドホン又はイヤホンを組み合わせて用いる装置として,主に現場での業務あるいは救助活動の記録用として用いられるものがあり,撮像部を取り付けた耳掛け式イヤホン,撮像部を取り付けたヘッドホンのセット又は防護メガネ等にカメラをマウントして用いるものがあった。これらは作業内容の確認と記録に用いることが多いため,撮像部の固定が重要であり,装着の容易さはあまり考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−275422
【特許文献2】特開2003−169161
【特許文献3】特開2009−48601
【特許文献4】特開2009−171002
【特許文献5】特開2010−268030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イヤホンは一般の利用者が携帯音楽プレーヤ又は通信端末とセットで利用されることが多く有線式やBluetooth規格を用いる無線等で信号接続され,歩行中や電車の中など生活の中で普通に装着されている。これらの普通のイヤホン使用者の低年齢化あるいは高年齢化も進んでいる。前記普通のイヤホンは耳珠,対耳珠及び耳甲介による空間にイヤホンを抱持させるか外耳道にイヤホンのインナーパッド部を挿入するだけで誰でも容易に装着できるものである。
【0005】
一方,前記現場業務の記録用,救助活動の記録用として,撮像部を耳掛け式のイヤホン,ヘッドホンセット又は防護メガネ等にマウントして用いるものがあったが。これらは装着が面倒であったり,低年齢者の装着が困難であったことから,一般にはあまり普及していない。
【0006】
高齢化が進み,子供や女性に高年齢者も加わりいわゆる弱者が増えている。これら弱者は外出時や一人でいる時には事故,迷子あるいは犯罪に巻き込まれるなどの危険にさらされている。弱者の外出時の危険性を下げる方法は保護者の付き添いであるが,今後の後期高齢者の増加に対して付き添い保護者の増加はあまり期待できず、危険性が増大するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は情報共有イヤホンシステムに関する。この情報共有イヤホンシステムはイヤホン情報端末の装着者の周囲の状況を表す情報を,電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者に対して,それぞれの通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータを利用して通信ネットワークを介して送信し,前記電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者から前記装着者に対して,音,音声又は映像による情報が送信される情報共有イヤホンシステムであって,
前記イヤホン情報端末は,前記装着者の耳甲介による空間にスピーカハウジングが保持されるオープンタイプのスピーカ部又は外耳道にインナーパッドを挿入することでスピーカ部を保持する密閉型のスピーカ部と,耳珠と対耳珠との珠間により挟持される概筒形状の胴部分を有し,前記胴部分の内部に通線空間と該通線空間中にスピーカ信号線を有してもよく,前記胴部分の両端の片側が前記スピーカ部と固定され,他端側に集音部,送受信部又はインターフェイス部を,他端側の更にスピーカ部と反対側に撮像部を係着し,前記装着者が装着する時は前記スピーカ部の保持と共に前記胴部分を耳珠と対耳珠の間である珠間に挟持させて,更に前記胴部分は太さを調整できる調整部若しくは柔軟性のあるフィット部を備えてもく,前記スピーカ部と合わせて2点で保持し,装着者が頭を立てた状態のとき前記他端側の集音部,送受信部,インターフェイス部及び他端側の更にスピーカ部と反対側の撮像部の重力ベクトルが前記スピーカ部を支点にして,前記胴部分を更に珠間に押しつける方向となることを利用して,前記撮像部,集音部,送受信部又はインターフェイス部を耳垂近傍に安定的に保持せしめることができる挟持部と,前記挟持部の他端側に係着されて前記装着者の視界を含むエリアを撮像する向きに保持され,カメラモジュールにより映像を取得して画像情報を出力する前記撮像部と,前記挟持部の他端側の前記撮像部又は有線ケーブル上の基台に載接又は埋設されたマイクロホンで周囲の音を集音して周囲音情報を出力する前記集音部と,前記通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータと情報信号を無線又は有線ケーブルで送受信する前記送受信部又はインターフェイス部と,を備えることを特徴とする。
【0008】
前記イヤホン情報端末は,撮像部の撮像する方向を照明する向きに前記挟持部の他端側若しくは前記撮像部に保持される発光素子を有する照明部,前記挟持部の他端側若しくは前記撮像部に保持される臭いを検知して臭い情報を出力する臭いセンサ部,GPS情報を電話相手,テレビ電話相手若しくは監視保護者に対して,通信端末,携帯型コミュニケータ若しくはパーソナルコンピュータにより通信ネットワークを介して送信するGPS装置,から選ばれた一つ又は複数の任意の組み合わせを備えてもよい。
【0009】
情報共有イヤホンシステムは,
該情報共有イヤホンシステムの運用及びイヤホン情報端末の情報を監視する監視通知サーバを更に備え,前記監視通知サーバは,通信ネットワークを介して前記イヤホン情報端末の装着者の周囲情報である画像情報,周囲音情報,臭い情報又はGPS情報と,通信ネットワークから得られる地震,津波,火災若しくは事故情報又は,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他のイヤホン情報端末装着者と交信した情報とからなる監視情報を取得する取得部と,前記監視情報を分析して,前記装着者,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他の前記イヤホン情報端末装着者,電気通信事業者,公共機関又は民間安全産業会社におこなう通知制御の内容又はユーザに対する課金を決定する分析部と,通信ネットワークを介して前記分析部による分析情報又は通知制御情報を送信する送信部と,前記監視情報,前記分析情報又は通知制御情報を記憶する記憶部と,を備えてもよい。また該情報共有イヤホンシステムのユーザの利用情報を送信してもよい。
【0010】
情報共有イヤホンシステムの上記電話相手,上記テレビ電話相手若しくは上記監視保護者の,通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータに前記イヤホン情報端末を無線又は有線ケーブルで送受信接続してもよく,この場合は,本発明における装着者と電話相手は共にイヤホン情報端末を装着しており両者は異なる場所にいながら対等な立場で互いに周囲の情報を交換できる。
【0011】
前記イヤホン情報端末の集音部は,前記挟持部又は前記撮像部に固着又は埋設されたマイクロホンで周囲の音を集音し,集音した音の信号の中から前記スピーカ部から出力する電話相手等からの音若しくは音声情報又は装着者が聴くミュージック音等の音信号の逆位相の信号により,前記スピーカ部から出力する音のマイクロホンへの回り込み音を減衰させ,前記装着者の周囲音のS/Nを上げる事ができる周囲音源保護処理部を備えてもよい。
【0012】
更に集音部からの周囲音は,装着者が音楽を聞いているときには装着者に対してノイズとなるので,スピーカ部に逆位相にして重畳させればノイズキャンセル機能として利用でき,集音部からの周囲音を増幅してスピーカ部に出力すれば,補聴器機能を発揮する事ができ,前記周囲音源保護処理部に更に前記ノイズキャンセル機能又は補聴器機能を備えてもよい。
【0013】
前記イヤホン情報端末は,前記装着者の対耳珠の裏面側に当接して撮像部の上記耳珠近傍への保持を補助する裏面当接部を更に備え,前記裏面当接部は対耳珠裏面側に当接する接触端,前記接触端から伸びるアーム及び前記アームの他端側となる固定端から構成され,前記アームは可撓性の材質で前記固定端が上記挟持部に直接固定されている裏面当接部,前記アームは可撓性を有しない材質で前記固定端と接続し前記固定端は更に有する回動機構部により回動可能に上記挟持部の他端側に固定されている裏面当接部,前記固定端は撮像部に固定されて撮像部とともに回動可能に挟持部の他端側に固定される裏面当接部又は前記固定端は前記挟持部の他端側の概筒形状の胴部分の軸線と平行にスライド可能なスライド機構部に固定され,スピーカ部から離れた位置に固定端をスライドさせて前記スピーカ部と挟持部を装着位置にセットした後,固定端をスピーカ部の方向にスライドして前記接触端を対耳珠裏面側に当接させる裏面当接部とを更に備えてもよい。
【0014】
なお,以上の構成要素の任意の組み合わせ,本発明の表現を方法,装置,システム,記憶媒体,コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた,本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
前記低年齢者や後期高齢者が容易に装着できる普通のイヤホン構造では,撮像部を付けた時の重量を安定的に保持固定することができなかった。本発明の情報共有イヤホンシステムに係るイヤホン情報端末においては,胴部分の両端の内,一端がスピーカ部と固定されて他端側に集音部,送受信部,インターフェイス部又は他端側であってスピーカ部とは反対側に撮像部を係着している挟持部を有していることが特徴で,前記挟持部の胴部分を耳珠と対耳珠の間に挟持させることで,耳に対してスピーカ部と挟持部の2箇所で保持でき,装着者が頭を立てた状態のとき前記他端側の撮像部,集音部,送受信部又はインターフェイス部の重力ベクトルが前記スピーカ部を支点にして,前記胴部分を更に挟持方向に押しつける方向となることから,頭を立てた状態で顔を上下する程度の日常の動きに対して前記撮像部,集音部,送受信部又はインターフェイス部とスピーカー部が一体となった構成で撮像部を耳垂近傍に安定的に保持せしめることが可能となった。しかも装着方法は前記普通のイヤホンと同等程度に容易である。
【0016】
このように情報共有イヤホンシステムに係るイヤホン情端末は低年齢者や高齢者が普通のイヤホンの様に外出時には気軽に装着できるため,簡単に本発明の情報共有イヤホンシステムが利用でき,上記付き添い保護者の機能が得られるものである。
【0017】
また,イヤホン情報端末装着者が万一事故や犯罪にまきこまれたときには,電話相手や保護者は警察や救急に対して装着者の視界を含む映像,周囲音,声,臭い又は位置等から多くの情報を伝えることができるので装着者の救助救急安全性が高くなる。又装着者に対しては救助側の行動又は救助計画を知らせることができ装着者自身の避難行動の参考にできる。
【0018】
更に,監視通知サーバを備えれば,緊急時には監視通知サーバから分析部の通知制御に基づいた公共機関又は民間安全産業会社などの救助救急部署への直接通知がなされ,より早く的確な救助救急を実施できる。更に通信ネットワークを介して,GPS情報,火事や事故等の情報又は地震津波の情報を監視通知サーバが取得しイヤホン情報端末装着者に送信することで,イヤホン情報端末装着者の安全向上に寄与することができる。
【0019】
記憶部による情報の記録は,万一の時の状況の正確な記録となるばかりか,情報共有イヤホンシステムによって記録が行われていることが明らかであることにより,犯罪が未然に防止される効果も期待できる。
【0020】
さらに,イヤホン情報端末の装着者の通信先である電話相手,テレビ電話相手又は監視保護者にあってもイヤホン情報端末を装着すれば,互いのイヤホン情報端末装着者から装着者の視界を含むエリアの映像又は周囲の音が送られてきて,あたかもイヤホン情報端末装着者同士が離れた場所にいながらそばにいるような安心の効果が得られる。
【0021】
また,上記スピーカ部から出力される音の集音部マイクロホンへの回り込み音を減衰させる周囲音源保護処理部を備えれば,例えばイヤホン装着者が音楽などを聴いている最中であっても,電話相手等にはその音楽音の回り込みは低く抑えられて装着者の話し声又は周囲音は明瞭に届き,質の高い記録も得られるという効果がある。
【0022】
上記裏面当接部を備えたイヤホン情報端末は装着時には1アクション多くなるが単純な操作であり,ある程度の振動や頭を横にしたりしても外れにくいことから,例えば装着者がジョギングや登山等を行う時や軽作業などでの使用時に有用である。本構造によれば,ピアス・イヤリング装着者であってもその横の対耳珠の裏部分を抑える構造なので支障は少ない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係る情報共有イヤホンシステムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る無線で送受信するイヤホン情報端末の構成を示す図である。(1)正面図(2)右側面図
図3】実施の形態に係る図2の例での装着イメージを示す図である。
図4】実施の形態に係る有線で送受信するイヤホン情報端末の構成を示す図である。
図5】実施の形態に係る監視通知サーバの構成を示す図である。
図6】実施の形態に係る可撓性当接部を備えるイヤホン情報端末を示す図である。
図7】実施の形態に係る回動当接部を備えるイヤホン情報端末を示す図である。(1)回動機構部の装着前の状態を示す図(2)回動機構部の装着時の状態を示す図
図8】実施の形態に係るスライド当接部を備えるイヤホン情報端末を示す図である。(1)スライド機構部の装着前の状態を示す図(2)スライド機構部の装着後の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は,本発明の実施の形態に係る情報共有イヤホンシステムの構成を示す。情報イヤホンシステムは,装着者1の周囲の情報である装着者の視界を含む映像,周囲音及び臭い情報をイヤホン情報端末5aにて取得して携帯型コミュニケータ6aに無線にて送信し,一方イヤホン情報端末5aには携帯型コミュニケータ6aからテレビ電話相手の音声又は音楽や英会話学習などの音声が無線送信される。
【0025】
携帯型コミュニケータ6aでは装着者1の周囲情報を記憶すると共に通信ネットワーク4を介して,テレビ電話相手2との通信時にはパーソナルコンピュータ7に対して,テレビ電話相手3との通信時には携帯型コミュニケータ6b及び,イヤホン情報端末5bに対して装着者1の周囲情報を送信する。装着者1へはテレビ電話相手2又は3の音声,映像情報又は周囲情報を携帯型コミュニケータ6aに対して送信される。
【0026】
監視通知サーバ22は通信ネットワーク4を介して,装着者1とテレビ電話相手の送受信による交信情報と周囲情報である画像情報,周囲音情報,臭い情報又はGPS情報と,通信ネットワーク4から得られる地震,津波,火災若しくは事故情報とからなる監視情報を取得すると共に記憶し分析して,緊急時には監視通知サーバから分析部の通知制御に基づいた公共機関又は民間安全産業会社などの救助救急部署へ通信ネットワークを介して通知制御をおこなう。
【0027】
図2は,イヤホン情報端末の実施の形態に係る無線で送受信するイヤホン情報端末の構成を示す図であり,(1)は正面(2)は右側面を示す図である。
【0028】
イヤホン情報端末は,装着者の耳甲介27による空間にスピーカハウジングが保持されるオープンタイプのスピーカ部10と,耳珠と対耳珠との珠間により挟持される概筒形状の胴部分9を有し,胴部分9の内部に通線空間と該通線空間中にスピーカ信号線を有し、胴部分9の両端の片側がスピーカ部10と固定され,他端側に集音部12,送受信部とインターフェイス部を内蔵するボディー13を,他端側の更にスピーカ部10とは反対側に撮像部11を係着し,更に撮像部11に固定された照明部14及び臭いセンサ部15とを備えており,撮像部11は挟持部8の他端側のボディー13と視野調整のために回動機構部20にて回動可能に取り付けてあり,照明部も一体に回動することで常に撮像方向を照明する。
【0029】
集音部12はスピーカ部10とは最も遠い位置に配置されているが,本発明の特徴であるスピーカ部10からの出力音の集音部12への回り込み音を減衰させる周囲音源保護処理部を備え,テレビ電話相手又は監視通知サーバにはスピーカ出力音をノイズと見立てて周囲音のS/Nを向上させる処理を行っている。
【0030】
図3は,装着者が実施の形態に係るイヤホン情報端末を装着したときの装着イメージを示す図であり,スピーカ部10は耳甲介27に保持され,挟持部8の胴部分9は耳珠28と対耳珠29との珠間30により挟持され,スピーカ部10と合わせて2点で保持することと,他端側に集音部12と,送受信部又はインターフェイス部を,更に他端側のスピーカ部とは反対側に撮像部11,照明部14,臭いセンサ部15を係着していることから,装着者が頭を立てた状態のとき重力ベクトルがスピーカ部10を支点にして,胴部分9を更に珠間30に押しつける方向となることで,撮像部11,集音部12,送受信部又はインターフェイス部を有するボディー13を耳垂近傍に安定的に保持せしめることができる。
【0031】
図4は,通信端末,携帯型コミュニケータ又はパーソナルコンピュータと情報信号を有線ケーブルで送受信する実施の形態に係るイヤホン情報端末を示し,ケーブル31を有すると共に,集音部をケーブル31の途中に設けている。
【0032】
図5は,実施の形態に係る監視通知サーバ22の構成を示す。監視通知サーバは,情報共有イヤホンシステムの運用及びイヤホン情報端末の情報を監視し,通信ネットワーク4を介してイヤホン情報端末の装着者の周囲情報である画像情報,周囲音情報,臭い情報又はGPS情報と,通信ネットワークから得られる地震,津波,火災若しくは事故情報又は,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他のイヤホン情報端末装着者と交信した情報とからなる監視情報を取得する取得部23と,監視情報を分析して前記装着者,電話相手,テレビ電話相手,監視保護者若しくは他の前記イヤホン情報端末装着者,電気通信事業者,公共機関又は民間安全産業会社におこなう通知制御の内容又はユーザに対する課金を決定する分析部24と,通信ネットワーク4を介して分析部24による分析情報又は通知制御情報を送信する送信部25と,前記監視情報,前記分析情報又は通知制御情報を記憶する記憶部26を備えている。更に情報共有イヤホンシステムのユーザの利用情報を通信ネットワークでユーザに送信することができる。
【0033】
図6は,実施の形態に係るイヤホン情報端末の,装着者の対耳珠29の裏面側に当接して撮像部の上記耳珠近傍への保持を補助する裏面当接部16を備え,裏面当接部16は対耳珠29の裏面側に当接する接触端18,接触端18から伸びるアーム19及びアーム19の他端側にある固定端17を備え,アーム19は可撓性のゴム材質で固定端17が挟持部に直接固定されている構成である。
【0034】
図7は,他の実施の形態に係るイヤホン情報端末の,裏面当接部16のアーム19は可撓性を有しないプラスチック材質で固定端17と接続し固定端17は,回動機構部20により回動可能固定された撮像部に固定されている構成の,(1)は接触端18を開いた状態を示し,(2)は接触端18を対耳珠29の裏面に接触せしめた状態を示す図である。接触せしめる力は回動機構部20内のスプリングで得ている。装着時は(1)に示すように触端18を開いた状態とし,装着後に(2)に示すように状態接触端18を閉じて対耳珠29の裏面側に当接させる。
【0035】
図8は,実施の形態に係るイヤホン情報端末の,裏面当接部16のアーム19は可撓性を有しないプラスチック材質で固定端17と接続し固定端17は挟持部8の他端側の概筒形状の胴部分9の軸線と平行にスライド可能なスライド機構部21に固定されている構成の,(1)は接触端18を開いた状態を示し,(2)は接触端18を対耳珠29の裏面に接触せしめた状態を示す図である。接触せしめる力はスライド機構部21内のスプリングで得ている。装着時は(1)に示すようにスピーカ部10から離れた位置に固定端17をスライドさせて前記スピーカ部10と挟持部8を装着位置にセットした後,(2)に示すように固定端17をスピーカ部10の方向にスライドして接触端18を対耳珠29の裏面側に当接させる。
【0036】
以上,本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり,それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと,またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0037】
1…装着者,2…テレビ電話相手1,3…テレビ電話相手2,4…通信ネットワーク,
5a,5b…イヤホン情報端末,6a,6b…携帯型コミュニケータ,
7…パーソナルコンピュータ,8…挟持部,9…胴部分,10…スピーカ部
11…撮像部,12…集音部,13…ボデー,14…照明部,15…臭いセンサ部
16…裏面当接部,17…固定端,18…接触端,19…アーム,
20…回動機構部,21…スライド機構部,22…監視通知サーバ,23…取得部
24…分析部,25…送信部,26…記憶部,27…耳甲介,28…耳珠,
29…対耳珠,30…珠間,31…ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8