特許6229984IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

アニオン重合性カプロラクタムの重合体を一層高い結晶化度にすることができるポリアミド6の製造方法に関し、詳細にはカルボジイミド化合物存在下にカプロラクタムをアニオン重合することにより結晶化度を向上させたポリアミド6を製造する方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

ところで、モノマーキャスト法のような、溶剤を用いずにアニオン重合性カプロラクタム溶融液を重合する手法は、成形、加工の現場にてポリアミド重合を行う手法として知られている。この方法を用いる際に、ポリアミドの重合工程が終了した時点で、もしも、成形、加工の現場では実施困難な長時間の加熱処理を行うことなく、ポリアミドの結晶化度をさらに向上させることができたなら、このような現場重合型ポリアミドの寸法安定性、吸湿による物性低下の抑制等の特性の向上が期待できる。また、ポリアミド6の結晶化度が向上することによって、強度の向上、剛性の向上、硬度の向上、耐クリープ性の向上、耐薬品性(例えば、耐ガソリン性、耐ブレーキ油性、耐グリース性等を含むがこれらに限定されない。)の向上、耐摩耗性の向上、熱変形温度の向上、線膨張係数の低下、吸水性の低下、ガスバリア性の向上、電気特性の向上等が期待できる。そこで、従来公知の手法である結晶核剤、造核剤や成核剤の使用を試みるかもしれない。結晶核剤、造核剤、成核剤等は、ポリアミド等の結晶性樹脂に添加することによりその結晶化度を向上することを期待して使用されるものである。 しかしながら、本発明者の検討によれば、従来公知の各種結晶核剤、造核剤や成核剤(以下、区別することなく結晶核剤とも言う。その中には有機、無機、ポリマー等の各種の知られている結晶核剤が含まれる。)をモノマーキャスト法に用いて試したところ、後述するように、予期に反して、いずれも結晶化度をさらに向上させることはできなかった。すなわち、従来、結晶核剤は、ポリマーに溶融混練して溶融保持することにより結晶化度を向上させるという手法で用いられていたものであり、モノマーキャスト法のモノマー原料中に結晶核剤を添加する手法では、モノマーキャスト工程で得た樹脂の結晶化度向上には効果が見られなかった。実際、従来技術において、モノマーキャスト法と一般に称される、アニオン重合性カプロラクタム溶融液の重合において、長時間の加熱処理を行うことなく、重合工程終了時点で、一層高い結晶化度にする手法が開示された文献は知られていない。 従って本発明は、アニオン重合性カプロラクタム溶融液の重合工程終了時点での重合体を、一層高い結晶化度にすることができる、ポリアミド6の製造方法、ポリアミド6の結晶化度向上剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明は、カルボジイミド化合物、及び、カルボジイミド化合物ではないアニオン重合触媒の存在下に、溶融カプロラクタムをアニオン重合することを特徴とするポリアミド6の製造方法である。 本発明の一態様においては、重合工程において、予め調製しておいた、カプロラクタムとアニオン重合触媒とを含有する原料組成物Aと、カプロラクタムとカルボジイミド化合物とを含有する原料組成物Bとを溶融混合して反応させる。・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
(1)本発明の製造方法によれば、アニオン重合性カプロラクタム溶融液の重合工程終了時点での重合体を一層高い結晶化度にすることができ、モノマーキャスト法で重合後すみやかに金型から取り出したポリアミド6成形体の結晶化度を、好ましくは42%以上、より好ましくは44%以上、さらに好ましくは45%以上にすることができる。従って、ポリマーに結晶核剤を配合したり、ポリマーを重合後さらに熱処理したりすることなく、現場重合のポリアミド6の結晶化度を、一層向上することができる。
(2)本発明の製造方法によれば、結晶化度の向上したポリアミド6を得ることができ、ポリアミド6の成形体の寸法安定性が向上し、また、吸湿による物性低下の抑制等の成形体の特性が向上する。さらに、ポリアミド6の結晶化度が向上することによって、強度の向上、剛性の向上、硬度の向上、耐クリープ性の向上、耐薬品性(例えば、耐ガソリン性、耐ブレーキ油性、耐グリース性等。)の向上、耐摩耗性の向上、熱変形温度の向上、線膨張係数の低下、吸水性の低下、ガスバリア性の向上、電気特性の向上等の優れた特性を有する成形体を得ることができる。
(3)本発明のポリアミド6の結晶化度向上剤は、アニオン重合性カプロラクタム溶融液を重合する手法により得られるポリアミド6において、カプロラクタムに配合すると、得られる重合体の結晶化度が飛躍的に向上するという、従来知られていなかったカルボジイミド化合物の特性を見出すことによりなされたものであり、ポリアミド6の結晶核剤として使用できる。
(4)本発明のポリアミド6合成原料は、重合することにより、長時間の熱処理を必要とすることなしに、結晶化度の向上したポリアミド6を得ることができ、しかも、貯蔵安定な組成物である。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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