(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、ハウジング10と、コンタクト20と、前方シェル部材30と、後方シェル部材40と、外部防水部材50と、遮蔽板60と、を有している。
【0014】
ハウジング10は、絶縁性を有する材料により形成されており、コンタクト20を保持する保持部材である。ハウジング10は、コンタクト20の外周面に沿ってコンタクト20に密着する部分にシランカップリング剤を含んでいる。ハウジング10は、コンタクト20を後方に突出させる後端部にシランカップリング剤を含んでいない。ここで、シランカップリング剤は、無機質材料と化学結合可能な反応基と、有機質材料と化学結合可能な反応基と、を有しており、有機質材料と無機質材料とを結びつけることが可能な性質を有している。
【0015】
ハウジング10は、本体部11と、板状部12と、を備えている。
【0016】
本体部11は、コンタクト20を保持しており、
図4に示すように、前方に突出する前方突出部111と、後方に突出する後方突出部112と、前方突出部111と後方突出部112との間において前方突出部111及び後方突出部112よりも外方に突出する外方突出部113と、を備えている。外方突出部113には、段差部114が設けられている。
【0017】
後方突出部112は、外方突出部113の後端から後方に突出すると共にシランカップリング剤を含まない前端部112dと、ハウジング10の後端に設けられると共にシランカップリング剤を含まない後端部112aと、前端部112dと後端部112aとの間に設けられると共にシランカップリング剤を含む防水樹脂部112cと、により構成されている。
【0018】
防水樹脂部112cは、コンタクト20の外周面に沿ってコンタクト20に密着していると共に、後方シェル部材40の内周面の周方向に沿って後方シェル部材40に密着している。防水樹脂部112cを構成している樹脂は、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂と異なる種類の樹脂であって、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂よりも溶融温度が低い性質を有している。
【0019】
なお、前端部112dと後端部112aと防水樹脂部112cとの
図3に示す境界線は、説明の便宜上、明確に記載しているが、前端部112dと防水樹脂部112cとの接する部分が後述する製造工程において溶融及び結合すると共に、後端部112aと防水樹脂部112cとの接する部分が後述する製造工程において溶融及び結合することにより、実際には曖昧になっている。
【0020】
板状部12は、板状であり、本体部11より前方に突出すると共に、前端側が前方シェル部材30より前方に突出している。
【0021】
コンタクト20は、導電性を有する材料により形成されており、ハウジング10に保持されている。コンタクト20は、第1のコンタクト20aと、第1のコンタクト20aの下方に配置される第2のコンタクト20bと、により構成されている。第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとは、ハウジング10により互いに絶縁されている。
【0022】
第1のコンタクト20aは、ハウジング10の前方側に露出していると共に板状部12の上面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21aと、ハウジング10より後方に突出して図示しない基板の導電部に半田付けされる端子部22aと、を備えている。第1のコンタクト20aは、接続部21aと端子部22aとの間が前方突出部111、後方突出部112及び外方突出部113に埋設されている。第1のコンタクト20aは、外周面に沿って防水樹脂部112cに密着している。第1のコンタクト20aの防水樹脂部112cに密着している部分は、左右方向及び上方に折り曲げられた形状を有している。
【0023】
第2のコンタクト20bは、ハウジング10の前方側に露出していると共に板状部12の下面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21bと、ハウジング10より後方に突出して図示しない基板に半田付けされる端子部22bと、を備えている。第2のコンタクト20bは、接続部21bと端子部22bとの間が前方突出部111、後方突出部112及び外方突出部113に埋設されている。第2のコンタクト20bは、外周面に沿って防水樹脂部112cに密着している。第2のコンタクト20bの防水樹脂部112cに密着している部分は、左右方向及び下方に折り曲げられた形状を有している。端子部22aの下端と端子部22bの下端とは上下方向において同一高さになっている。
【0024】
前方シェル部材30は、導電性を有する材料又は絶縁性を有する材料により形成されており、前後方向に貫通する筒状である。前方シェル部材30は、図示しない相手側コネクタが前方から嵌合可能な嵌合部31を備えている。嵌合部31の内径は、互換性を有するように規格等により予め設定された大きさにする必要がある。嵌合部31には、板状部12及び前方突出部111が配設されている。前方シェル部材30は、後端が段差部114に当接していると共に外方突出部113の前方側に保持されている。
【0025】
後方シェル部材40は、導電性を有する材料又は絶縁性を有する材料により形成されており、前後方向に貫通する筒状である。後方シェル部材40は、外方突出部113の後方側に保持される拡径部41と、拡径部41の後方に連設される拡径部41よりも小径の狭窄部42と、を備え、後方に向けて窄まった形状を有している。拡径部41の外径は、前方シェル部材30の外径と略同じである。小径部としての狭窄部42は、内周面の周方向に沿って防水樹脂部112cに密着している。ここで、前方シェル部材30及び拡径部41は、大径部を構成している。
【0026】
外部防水部材50は、弾性力及び絶縁性を有する材料により環状に形成されており、前方シェル部材30の前端に設けられている。
【0027】
遮蔽板60は、導電性を有する材料により形成されており、板状である。遮蔽板60は、ハウジング10に埋設されている。遮蔽板60は、第1のコンタクト20a及び第2のコンタクト20bと絶縁された状態で、第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとの間に設けられている。
【0028】
上記構成を有する電気コネクタ1を図示しない電子機器の筐体に取り付けた際に、前方シェル部材30及び拡径部41の外径に対して狭窄部42の外径が小さくなっているため、
図4に示すように、狭窄部42の上方にLCD等の他の部品300を配置することができ、また、狭窄部42の下方又は側方にも他の部品300を配置することができる。
【0029】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、
図1から
図6を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0030】
まず、予め形成しておいたコンタクト20及び遮蔽板60を、図示しない成型用金型にセットし、この成型用金型に対して所定の溶融温度で溶融させたシランカップリング剤を含まない樹脂を注入して硬化させる一体成型により、
図5に示す一次成型品100を形成する。一次成型品100は、板状部12、コンタクト20、前方突出部111、外方突出部113、前端部112d、後端部112a及び遮蔽板60を有している。一次成型品100を形成する際の所定の溶融温度は、ここでは300℃を例示する。
【0031】
一次成型品100には、前端部112dと後端部112aとの間に空間112bが設けられていると共に、前端部112dと後端部112aとが対向している。空間112bには、第1のコンタクト20aの一部及び第2のコンタクト20bの一部が外部に露出している。
【0032】
次に、一次成型品100を図示しない成型用金型にセットし、所定の温度において空間112bにシランカップリング剤を含む樹脂を注入して硬化させる一体成型により
図6に示す二次成型品150を形成する。二次成型品150は、一次成型品100及び防水樹脂部112cを有している。即ち、二次成型品150は、一次成型品100に対して防水樹脂部112cを追加した構成を有している。
【0033】
ここで、空間112bに流し込まれる樹脂は、一次成型品100において板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂と異なる種類の樹脂であって、一次成型品100において板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂よりも溶融温度が低い性質を有し、熱可塑性樹脂等である。即ち、二次成型品150の防水樹脂部112cを形成する際の樹脂の融点は、一次成型品100を形成する際の樹脂の融点よりも低い。これより、二次成型品150の防水樹脂部112cを形成する際の樹脂の溶融温度を、一次成型品100を形成する際の樹脂の溶融温度よりも低くして、一次成型品100の板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113が再び溶融しない温度にする。二次成型品150の防水樹脂部112cを形成する際の樹脂の溶融温度は、ここでは150℃を例示する。
【0034】
このように、二次成型品150の防水樹脂部112cを形成する際の樹脂の溶融温度を、一次成型品100の板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113が再び溶融しない温度にするため、二次成型品150を形成する際に、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113により、コンタクト20を確実に保持しておくことができる。特に、後端部112aによりコンタクト20を確実に保持しておくことができるため、端子部22a及び端子部22bの後端部112aからの突出位置を二次成型品150を形成する際にずれないようにすることができ、基板の導電部に対する端子部22a及び端子部22bの接続不良を防止することができる。
【0035】
次に、二次成型品150に対して、前方から前方シェル部材30を被せると共に後方から後方シェル部材40を被せる。
【0036】
次に、前方シェル部材30の後端と後方シェル部材40の前端とを溶接して、二次成型品150に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付ける。
【0037】
次に、前方シェル部材30の前端に外部防水部材50を取り付ける。
【0038】
次に、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成型品150を、防水樹脂部112cを形成した際の温度より高温度であって一次成型品100を形成した際の樹脂の溶融温度よりも低い温度で加熱して、防水樹脂部112cを再び溶融させる。
【0039】
この際、防水樹脂部112cの後方シェル40の内周面に当接している部分は、溶融すると共に防水樹脂部112cに含まれているシランカップリング剤の結合作用により、後方シェル40の内周面と結合する。また、防水樹脂部112cのコンタクト20の外周面に当接している部分は、溶融すると共に防水樹脂部112cに含まれているシランカップリング剤の結合作用により、コンタクト20の外周面と結合する。これにより、防水樹脂部112cと後方シェル部材40の内周面とが後方シェル部材40の内周面の周方向に沿って密着すると共に、防水樹脂部112cとコンタクト20の外周面とが密着する。
【0040】
このように、防水樹脂部112cを再び溶融させる温度を、一次成型品100の板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113が再び溶融しない温度にするため、防水樹脂部112cを後方シェル40の内周面に密着させる際に、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113により、コンタクト20を確実に保持しておくことができる。特に、後端部112aによりコンタクト20を確実に保持しておくことができるため、端子部22a及び端子部22bの後端部112aからの突出位置を、防水樹脂部112cを後方シェル40の内周面に密着させる際にずれないようにすることができ、基板の導電部に対する端子部22a及び端子部22bの接続不良を防止することができる。
【0041】
また、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成型品150を、防水樹脂部112cを形成した際の温度より高温度で加熱することにより、少なくとも防水樹脂部112cを再び溶融させて、防水樹脂部112cと、後端部112a及び前端部112dと、を強固に密着させることができる。
【0042】
このように、防水樹脂部112cは、金属製のコンタクト20と、樹脂材の後端部112a及び前端部112dと、に対して密着性を有する。
【0043】
次に、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成型品150を冷却することにより電気コネクタ1が完成する。
【0044】
上記製造方法により製造された電気コネクタ1は、シランカップリング剤を含む防水樹脂部112cが後方シェル部材40の内周面に密着し、防水樹脂部112cと後方シェル部材40との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ1を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング10と後方シェル部材40との間の隙間から密閉して、防水することができる。また、電気コネクタ1は、シランカップリング剤を含む防水樹脂部112cがコンタクト20の外周面に密着し、防水樹脂部112cとコンタクト20との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ1を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング10とコンタクト20との間の隙間から密閉して、防水することができる。更に、電気コネクタ1は、コンタクト20と狭窄部42との間に防水樹脂部112cのみを設けて止水することができるため、後方側を小型化することができる。
【0045】
ここで、電気コネクタ1の製造方法は上記に限らず、以下に説明する製造方法により電気コネクタ1を製造することができる。
【0046】
具体的には、上記の方法で一次成型品100を形成した後に、一次成型品100に対して、前方から前方シェル部材30を被せると共に後方から後方シェル部材40を被せる。
【0047】
次に、前方シェル部材30の後端と後方シェル部材40の前端とを溶接して、一次成型品100に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付ける。
【0048】
次に、前方シェル部材30の前端に外部防水部材50を取り付ける。
【0049】
また、一次成型品100の前端部112dと後端部112aとの間の空間112bにシランカップリング剤を含む溶融した熱可塑性樹脂を、後方シェル40に予め形成しておいた図示しない貫通孔より注入して硬化させることにより防水樹脂部112cを形成する。これにより、二次成型品150に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を設けた状態となる。なお、上記の貫通孔は、シランカップリング剤を含む溶融した熱可塑性樹脂が硬化することにより塞がれる。
【0050】
次に、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を設けた二次成型品150を加熱して防水樹脂部112cを溶融させた後に硬化させる。防水樹脂部112cを溶融させるために加熱する際の温度は、防水樹脂部112c以外のハウジング10を構成する樹脂が溶融しない温度とする。これにより、防水樹脂部112cに含まれるシランカップリング剤の結合作用で、後方シェル部材40の内周面の周方向に沿って防水樹脂部112cを密着させることができると共に、防水樹脂部112c以外のハウジング10を構成する樹脂は溶融しないため、ハウジング10に対するコンタクト20の位置ずれを防ぐことができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、コンタクト20を保持するハウジング10と、拡径部41の後方に設けられて端子部22a及び端子部22bを突出させると共に前方シェル部材30及び拡径部41よりも小径の狭窄部42と、の間が密閉されることにより、防水機能を有すると共にコンタクト20の端子部22a及び端子部22bが突出する後方側を小型化することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、コンタクト20を保持するハウジング10を狭窄部42の内周面の周方向に沿って狭窄部42に密着させて、ハウジング10と狭窄部42との間を密閉することにより、コンタクト20と狭窄部42との間にハウジング10と別部材の防水部材を設けることなく防水することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ハウジング10の狭窄部42に密着する部分にシランカップリング剤を含むことにより、コンタクト20を保持するハウジング10により狭窄部42とハウジング10との間の隙間を密閉することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、狭窄部42の周囲に他の部品300を配置することができるため、機器の薄型化及び小型化に貢献できる電気コネクタ1を提供することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の構成につき、
図7を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0056】
なお、
図7において、
図1から
図6と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係る電気コネクタ2は、コンタクト20と、前方シェル部材30と、後方シェル部材40と、外部防水部材50と、遮蔽板60と、第1のハウジング210と、第2のハウジング220と、内部防水部材230と、を有している。
【0058】
第1のハウジング210は、絶縁性を有する材料により形成されており、コンタクト20を保持している。ハウジング210は、本体部211と、板状部212と、を備えている。
【0059】
本体部211は、コンタクト20を保持しており、前方に突出する前方突出部2111と、後方に突出する後方突出部2112と、前方突出部2111と後方突出部2112との間において前方突出部2111及び後方突出部2112よりも外方に突出する外方突出部2113と、を備えている。外方突出部2113には、段差部2114が設けられている。
【0060】
板状部212は、板状であり、本体部211より前方に突出すると共に、前端側が前方シェル部材30より前方に突出している。
【0061】
第2のハウジング220は、第1のハウジング210よりも後方においてコンタクト20を保持している。
【0062】
内部防水部材230は、硬化した際に後方シェル部材40の内周面に密着する弾性力を有する材料であって、硬化した際に第1のハウジング210及び第2のハウジング220よりも弾性力が大きくなる材料により形成されており、例えばシリコンゴム等の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等により形成されている。内部防水部材230は、第1のハウジング210の後方突出部2112と、第2のハウジング220との間に設けられ、後方シェル部材40の内周面の周方向に沿って後方シェル部材40に密着する第1の部材である。内部防水部材230は、コンタクト20を保持している。
【0063】
第1のハウジング210、第2のハウジング220及び内部防水部材230は、コンタクト20を保持する保持部材である。また、第1のハウジング210及び第2ハウジング220は、内部防水部材230よりも弾性力の小さい第2の部材である。
【0064】
コンタクト20は、導電性を有する材料により形成されており、第1のハウジング210、第2のハウジング220及び内部防水部材230に保持されている。第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとは、第1のハウジング210、第2のハウジング220及び内部防水部材230により互いに絶縁されている。
【0065】
第1のコンタクト20aは、第1のハウジング210の前方側に露出していると共に板状部212の上面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21aと、第2のハウジング220より後方に突出して図示しない基板の導電部に半田付けされる端子部22aと、を備えている。第1のコンタクト20aは、接続部21aと端子部22aとの間が前方突出部2111、後方突出部2112及び外方突出部2113に埋設されている。第1のコンタクト20aは、外周面に沿って内部防水部材230に密着している。第1のコンタクト20aの内部防水部材230に密着している部分は、左右方向及び上方に折り曲げられた形状を有している。
【0066】
第2のコンタクト20bは、第1のハウジング210の前方側に露出していると共に板状部212の下面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21bと、第2のハウジング220より後方に突出して図示しない基板に半田付けされる端子部22bと、を備えている。第2のコンタクト20bは、接続部21bと端子部22bとの間が前方突出部2111、後方突出部2112及び外方突出部2113に埋設されている。第2のコンタクト20bは、外周面に沿って内部防水部材230に密着している。第2のコンタクト20bの内部防水部材230に密着している部分は、左右方向及び下方に折り曲げられた形状を有している。
【0067】
嵌合部31には、板状部212及び前方突出部2111が配設されている。前方シェル部材30は、後端が段差部2114に当接していると共に外方突出部2113の前方側に保持されている。
【0068】
後方シェル部材40は、外方突出部2113の後方側に保持される拡径部41と、拡径部41の後方に連設される拡径部41よりも小径の狭窄部42と、を備え、後方に向けて窄まった形状を有している。狭窄部42は、内周面に沿って内部防水部材230に密着している。
【0069】
遮蔽板60は、第1のハウジング210、第2のハウジング220及び内部防水部材230に埋設されている。
【0070】
上記構成を有する電気コネクタ2を図示しない電子機器の筐体に取り付けた際に、前方シェル部材30及び拡径部41の外径に対して狭窄部42の外径が小さくなっているため、
図4に示すように、狭窄部42の上方にLCD等の他の部品300を配置することができ、また、狭窄部42の下方又は側方にも他の部品300を配置することができる。
【0071】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の製造方法につき、以下に詳細に説明する。
【0072】
まず、予め形成しておいたコンタクト20及び遮蔽板60を、図示しない成型用金型にセットし、この成型用金型に溶融させた樹脂を注入して硬化させる一体成型により一次成型品を形成する。この一次成型品は、コンタクト20、遮蔽板60、第1のハウジング210及び第2のハウジング220を有している。
【0073】
一次成型品には、第1のハウジング210の後端部2112と第2のハウジング220との間に空間が設けられていると共に、後端部2112と第2のハウジング220とが対向している。後端部2112と第2のハウジング220との間の空間には、第1のコンタクト20aの一部及び第2のコンタクト20bの一部が外部に露出している。
【0074】
次に、上記により形成した一次成型品を図示しない成型用金型にセットし、後端部2112と第2のハウジング220との間の空間に、硬化した際に第1のハウジング210及び第2のハウジング220よりも弾性力が大きくなる材料であって溶融させた材料を注入して硬化させることにより二次成型品を形成する。この二次成型品は、上記の一次成型品及び内部防水部材230を有している。即ち、上記の二次成型品は、上記の一次成型品100に対して内部防水部材230を追加した構成を有している。二次成型品の内部防水部材230の外径は、後方シェル40の狭窄部42の内径よりも若干大きくしておく。
【0075】
次に、上記により形成した二次成型品に対して、前方から前方シェル部材30を被せると共に後方から後方シェル部材40を被せる。この際、内部防水部材230の外径が後方シェル40の狭窄部42の内径よりも若干大きいため、内部防水部材230を狭窄部42の内部に圧入することができる。これにより、内部防水部材230は、狭窄部42の内周面に沿って狭窄部42に圧接して密着する。
【0076】
次に、前方シェル部材30の後端と後方シェル部材40の前端とを溶接して、二次成型品に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付ける。
【0077】
次に、前方シェル部材30の前端に外部防水部材50を取り付ける。
【0078】
上記製造方法により製造された電気コネクタ2は、内部防水部材230が後方シェル部材40の内周面に密着し、内部防水部材230と後方シェル部材40との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ2を取り付ける電子機器の内部を防水することができる。また、電気コネクタ2は、内部防水部材230がコンタクト20の外周面に密着し、内部防水部材230とコンタクト20との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ2を取り付ける電子機器の内部を、第1のハウジング210とコンタクト20との間の隙間から密閉して、防水することができる。更に、電気コネクタ2は、コンタクト20と狭窄部42との間に内部防水部材230のみを設けて止水することができるため、後方側を小型化することができる。
【0079】
このように、本実施形態によれば、コンタクト20を保持する内部防水部材230と、拡径部41の後方に設けられて端子部22a及び端子部22bを突出させると共に前方シェル部材30及び拡径部41よりも小径の狭窄部42と、の間が密閉されることにより、防水機能を有すると共にコンタクト20の端子部22a及び端子部22bが突出する後方側を小型化することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、コンタクト20を保持する内部防水部材230を狭窄部42の内周面の周方向に沿って狭窄部42に密着させて、内部防水部材230と狭窄部42との間を密閉することにより、コンタクト20と狭窄部42との間に内部防水部材230と別部材の防水部材を設けることなく防水することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、第1のハウジング210及び第2のハウジング220よりも弾性力の大きい内部防水部材230を狭窄部42に密着させることにより、コンタクト20を保持する内部防水部材230により狭窄部42と内部防水部材230との間の隙間を密閉することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、狭窄部42の周囲に他の部品300を配置することができるため、機器の薄型化及び小型化に貢献できる電気コネクタ2を提供することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ3の構成につき、
図8を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0084】
なお、
図8において、
図1から
図6と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態に係る電気コネクタ3は、コンタクト20と、前方シェル部材30と、後方シェル部材40と、外部防水部材50と、遮蔽板60と、ハウジング310と、ポッティング部材320と、を有している。
【0086】
ハウジング310は、絶縁性を有する材料により形成されており、コンタクト20を保持する保持部材である。ハウジング310は、本体部311と、板状部312と、を備えている。
【0087】
本体部311は、コンタクト20を保持しており、
図4に示すように、前方に突出する前方突出部3111と、後方に突出する後方突出部3112と、前方突出部3111と後方突出部3112との間において前方突出部3111及び後方突出部3112よりも外方に突出する外方突出部3113と、を備えている。外方突出部3113には、段差部3114が設けられている。
【0088】
板状部312は、板状であり、本体部311より前方に突出すると共に、前端側が前方シェル部材30より前方に突出している。
【0089】
コンタクト20は、導電性を有する材料により形成されており、ハウジング310に保持されている。第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとは、ハウジング310により互いに絶縁されている。
【0090】
第1のコンタクト20aは、ハウジング310の前方側に露出していると共に板状部312の上面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21aと、ハウジング310より後方に突出して図示しない基板の導電部に半田付けされる端子部22aと、を備えている。第1のコンタクト20aは、接続部21aと端子部22aとの間が前方突出部3111、後方突出部3112及び外方突出部3113に埋設されている。第1のコンタクト20aは、外周面に沿ってポッティング部材320に密着している。
【0091】
第2のコンタクト20bは、ハウジング310の前方側に露出していると共に板状部312の下面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21bと、ハウジング310より後方に突出して図示しない基板に半田付けされる端子部22bと、を備えている。第2のコンタクト20bは、接続部21bと端子部22bとの間が前方突出部3111、後方突出部3112及び外方突出部3113に埋設されている。第2のコンタクト20bは、外周面に沿ってポッティング部材320に密着している。
【0092】
嵌合部31には、板状部312及び前方突出部3111が配設されている。前方シェル部材30は、後端が段差部3114に当接していると共に外方突出部3113の前方側に保持されている。
【0093】
後方シェル部材40は、外方突出部3113の後方側に保持される拡径部41と、拡径部41の後方に連設される拡径部41よりも小径の狭窄部42と、を備え、後方に向けて窄まった形状を有している。狭窄部42は、内周面の周方向に沿ってポッティング部材320に密着している。
【0094】
遮蔽板60は、ハウジング310に埋設されている。
【0095】
ポッティング部材320は、ハウジング310よりも後方に設けられ、狭窄部42の内周面の周方向に沿って狭窄部42の内周面に密着すると共に、ハウジング310の後面に密着する。ポッティング部材320は、ハウジング310と狭窄部42との間を密閉する接着剤等の封止部材である。ポッティング部材320は、コンタクト20の外周面に密着して、ポッティング部材320とコンタクト20との間の隙間を塞ぐ。
【0096】
上記構成を有する電気コネクタ3を図示しない電子機器の筐体に取り付けた際に、前方シェル部材30及び拡径部41の外径に対して狭窄部42の外径が小さくなっているため、
図8に示すように、狭窄部42の上方にLCD等の他の部品300を配置することができ、また、狭窄部42の下方又は側方にも他の部品300を配置することができる。
【0097】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ3の製造方法につき、以下に詳細に説明する。
【0098】
まず、予め形成しておいたコンタクト20及び遮蔽板60を、図示しない成型用金型にセットし、この成型用金型に溶融させた樹脂を注入して硬化させる一体成型により、ハウジング310、コンタクト20及び遮蔽板60を一体にした成型品を形成する。
【0099】
次に、上記により形成した成型品に対して、前方から前方シェル部材30を被せると共に後方から後方シェル部材40を被せる。
【0100】
次に、前方シェル部材30の後端と後方シェル部材40の前端とを溶接して、成型品に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付ける。
【0101】
次に、前方シェル部材30の前端に外部防水部材50を取り付ける。
【0102】
次に、ハウジング310よりも後方において、ハウジング310の後面及び狭窄部42の内周面の周方向に沿って狭窄部42にポッティング部材320を塗布して乾燥させる。
【0103】
上記製造方法により製造された電気コネクタ3は、ポッティング部材320がハウジング310の後面及び後方シェル部材40の内周面に密着し、ハウジング310と後方シェル部材40との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ3を取り付ける電子機器の内部を防水することができる。また、電気コネクタ3は、ポッティング部材320がコンタクト20の外周面に密着し、ポッティング部材320とコンタクト20との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ3を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング310とコンタクト20との間の隙間から密閉して、防水することができる。更に、電気コネクタ3は、コンタクト20と狭窄部42との間に、ハウジング310又はポッティング部材320のみを設けるため、後方側を小型化することができる。
【0104】
このように、本実施形態によれば、コンタクト20を保持するハウジング310と、拡径部41の後方に設けられて端子部22a及び端子部22bを突出させると共に前方シェル部材30及び拡径部41よりも小径の狭窄部42と、の間が密閉されることにより、防水機能を有すると共にコンタクト20の端子部22a及び端子部22bが突出する後方側を小型化することができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、ハウジング310よりも後方に設けられるポッティング部材320により、ハウジング310と狭窄部42との間を密閉することにより、コンタクト20と狭窄部42との間にハウジング310と別部材の防水部材を設けることなく防水することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、狭窄部42の周囲に他の部品300を配置することができるため、機器の薄型化及び小型化に貢献できる電気コネクタ3を提供することができる。
【0107】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0108】
具体的には、上記第1の実施形態から第3の実施形態において、前方シェル部材30と後方シェル部材40の2つの部材によりシェルを構成したが、1つの部材によりシェルを構成してもよい。
【解決手段】電気コネクタ1は、絶縁性のハウジング10と、ハウジング10の前方側において露出して相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21a、21bと、ハウジング10より後方に突出する端子部22a、22bと、を備えるハウジング10に保持される導電性のコンタクト20と、前方に開口して相手側コネクタを挿入可能な嵌合部31を備える前方シェル部材30と、前方シェル部材30の後方に設けられる前方シェル部材30よりも小径の後方シェル部材40と、を備えるハウジング10を収納するシェルと、を有し、ハウジング10と狭窄部42との間が密閉される。