特許第6230016号(P6230016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230016
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】給袋の分離機構
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B65B43/18
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-82723(P2013-82723)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2014-205496(P2014-205496A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104466
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 信義
(74)【代理人】
【識別番号】100095278
【弁理士】
【氏名又は名称】犬飼 達彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正明
(72)【発明者】
【氏名】石川 信治
(72)【発明者】
【氏名】林 純也
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−201566(JP,A)
【文献】 実開昭63−105609(JP,U)
【文献】 特開平07−061423(JP,A)
【文献】 特開2001−171616(JP,A)
【文献】 特開平06−255821(JP,A)
【文献】 特公昭49−022190(JP,B1)
【文献】 特開2009−248975(JP,A)
【文献】 米国特許第4189136(US,A)
【文献】 実開昭60−9844(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層状態の空袋を吸着盤で分離供給する給袋の分離機構であって、
空袋の口部を吸着する口部右吸着盤と口部左吸着盤及び空袋の底部を吸着する底部右吸着盤と底部左吸着盤のうちの対角位置にある一対の吸着盤のみで空袋を吸着し、前記一対の吸着盤は水平状態から傾斜状態に移行可能であることを特徴とする給袋の分離機構。
【請求項2】
積層状態の空袋を吸着盤で分離供給する給袋の分離機構であって、
空袋の口部を吸着する口部右吸着盤と口部左吸着盤及び空袋の底部を吸着する底部右吸着盤と底部左吸着盤のうちの3個の吸着盤のみで空袋を吸着し、
前記3個の吸着盤は水平状態から傾斜状態に移行可能であることを特徴とする給袋の分離機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2の分離機構であって、
吸着盤を傾斜したとき、吸着された空袋と積層された空袋の間に空気を吹き付けることを特徴とする分離機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂フィルムや紙等から成る柔軟な積層状態の空袋を1枚毎、分離供給する給袋の分離機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、ストッカーに積層された、例えば、フィルム袋のような軟らかい空袋は、吸盤等により吸着されて包装機に供給される。この場合に、空袋は静電気や負圧によって複数枚取り出されたり、風によって揺れたりして包装機に正確に補給されないことがある。
そこで、特許文献1に開示の給袋機構は、空袋の口部側を押さえる押さえ板と、空袋の口部側を吸着する口部側吸盤と、底部側吸盤を備えていて、空袋が口部側吸盤、押さえ板、底部側吸盤により押圧された後に、口部側吸盤により空袋の口部側が持ち上げられ、空袋全体が持ち上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−61423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、空袋を口部側吸盤、押さえ板、底部側吸盤を介して、1枚毎、供給される給袋の分離機構が開示してあるが、本願では、積層状態の空袋を口部側吸盤と底部側吸盤を用いて、1枚毎、より確実に分離供給する給袋の分離機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の積層状態の空袋を吸着盤で分離供給する給袋の分離機構は、空袋の口部を吸着する口部右吸着盤と口部左吸着盤及び空袋の底部を吸着する底部右吸着盤と底部左吸着盤のうちの対角位置にある一対の吸着盤のみで空袋を吸着し、前記一対の吸着盤は水平状態から傾斜状態に移行可能であることを特徴とするものである。
又、請求項2の給袋の分離機構は、空袋の口部を吸着する口部右吸着盤と口部左吸着盤及び空袋の底部を吸着する底部右吸着盤と底部左吸着盤のうちの3個の吸着盤のみで空袋を吸着し、前記3個の吸着盤は水平状態から傾斜状態に移行可能であることを特徴とするものである。
又、請求項3の給袋の分離機構は、吸着盤を傾斜したとき、吸着された空袋と積層された
空袋の間に空気を吹き付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本願発明の給袋の分離機構によると、積層された空袋を、1枚毎、より確実に、分離供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ロータリー式包装機の工程を示し、ストッカー内に積層されている空袋を給袋の分離機構で供給する平面図である。
図2】ストッカー内に積層されている空袋を給袋の分離機構で供給する概要図である。
図3】ロータリー式包装機の工程を示し、コンベアーに積層されている空袋を給袋の分離機構で供給する平面図である。
図4】コンベアーに積層されている空袋を給袋の分離機構で供給する概要図である。
図5】中間受け渡し機構と横持ち機構及び包装機の一対の挟持腕を示す図である。
図6】分離機構とその作用を示す図である。
図7】1枚毎分離する空袋の種々の分離方式を示す図である。
図8】1枚毎分離する空袋の種々の分離方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明は、種々の包装機に適用できるが、ここではロータリー式包装機において、積層された合成樹脂フィルムや紙等から成る柔軟な積層状態の空袋を、1枚毎、分離して供給する給袋の分離機構について説明する。
図1は、ロータリー式包装機の工程を示す平面図であり、図2は2方或いは3方シール等の空袋を、空袋受け渡し工程(10)において、ストッカー2内に積層されている空袋5を後記で詳述する分離機構60を備える給袋機構10を介して1枚の空袋を中間受け渡し機構20及び横持ち機構40を介して包装機に備えてある一対の挟持腕30に受け渡す概要図である。
【0009】
その一対の挟持腕30に掴まれた空袋は、次の印字する印字工程(1)に回転搬送され、その次は、印字を検査する印字検査工程(2)、そして、空袋を開口する開口工程(3)、開口された空袋に充填物を充填する充填・押込工程(4)、充填物を押し込む振動工程(5,6)、空袋のシール部の不良を確認するカミコミ確認工程(7)、空袋のシールをするシール工程(8)、そのシール部を冷却し、排出する冷却排出工程(9)を経る。
【0010】
又、図3に示す包装機は、前記図1に示すロータリー式包装機と同じであるが、コンベアー7によって、傾斜状に積層された空袋5が順次搬送される機構である点を異にする。
図4は2方或いは3方シール等の空袋を、空袋受け渡し工程(10)において、コンベアー7で積層された空袋5を1枚毎めくる分離機構60を備える給袋機構10(後記で詳述する)と、その1枚の空袋を受け取る中間受け渡し機構20、及びその中間受け渡し機構20から受け渡される横持ち機構40で空袋5を挟持して、包装機の一対の挟持腕30に受け渡す概要図である。
【0011】
前記給袋機構10を図5を参照して説明すると、駆動源(図示略)で回動する主軸11には第1アーム12が取り付けられていて、その第1アーム12には第1駆動軸13が連結されている。又、その第1駆動軸13に端部には、積層された空袋5を、1枚毎めくる分離機構60が付設の基台14が取り付けてある。そして、後記で詳述する分離機構60を介して給袋機構10で吸着された空袋は、駆動源(図示略)の回動によって、第1アーム12a、第1駆動軸13a、基台14aの位置に揺動される。
【0012】
一方、基台14aの位置に揺動される分離機構60を介しての空袋5は、受け取り機構20を構成する、駆動源(図示略)で回動する主軸21に付設の第2アーム22、その第2アーム22に連結の第2駆動軸23、その端部に付設されている渡し吸着盤24で吸着される。
そして、前記駆動源(図示略)で回動された第2アーム23aによって、横持ち機構40に受け渡され、前記横持ち機構40で挟着された空袋5は、横移動されて、包装機に備えてある一対の挟持腕30に受け渡される。
【0013】
次に、前記図6を参照して分離機構60について説明する。図6(A)は側面図、(B)は正面図、(C)〜(E)は作用図である。
この分離機構60には、空袋の口部付近の左右において吸着する口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、空袋の底部付近の左右において吸着する底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを備えている。
尚、後述する空袋がU字又は逆U字状に湾曲する頂部を空袋の縦中心、横中心といい、縦中心は空袋を吸着する口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bの間と、空袋を吸着する底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの間を結ぶ頂部をいい、空袋の横中心は空袋を吸着する口部右吸着盤60aと底部右吸着盤61aの間と、空袋を吸着する口部左吸着盤60bと底部左吸着盤61bの間を結ぶ頂部をいう。
【0014】
次に、前記分離機構60の構成について説明すると、駆動ユニット(シリンダー)65にはアーム66が取付台に回動可能に連結してある。又、そのアーム66にはレバー67が連結してあり、そのレバー67の端部には回転支点68aが付設してある。又、前記取付台には傾斜状の誘導カム70が形成してある。一方、吸着盤60a(61a)、60b(61b)を取り付けの基台69には、回転ローラ68bが取り付けてあり、前記傾斜状の誘導カム70に沿って回転ローラ68bが前記回転支点68aを起点として摺動する。また、誘導カム70と基台69には弾性体71で常時、付勢している。
【0015】
前記分離機構60の作動について説明すると、駆動ユニット(シリンダー)65の往動によって、回転支点68aを介して回動ピン68bが誘導カム70で誘導され、基台69、即ち、吸着盤60a,60b及び吸着盤61a、61bのそれぞれの底が水平状態から、空袋の縦中心に対して、外側に向く傾斜状態になって、空袋5をU字状にし、積層された空袋と分離をする(図6(C)〜図6(D))。
そして、駆動ユニット(シリンダー)65の復動によって、分離機構60に付設の吸着盤60a,60b,61a、61bは傾斜状態から水平状態になって(図6(E))、給袋機構10を介して受け取り機構20に受け渡された後に横持ち機構40に受け渡さる。そして、前記横持ち機構40で挟着された空袋は、横移動されて、包装機に備えてある一対の挟持腕30に受け渡される。
【0016】
次に、前記分離機構60の吸着盤60a,60b,61a、61bが、水平状態から傾斜状態、傾斜状態から水平状態になり、空袋5がU字状または逆U字状になることを利用して、積層された空袋を、1枚毎、分離供給するには種々のパターンがあり、それらのパターンについて、4個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの作動について説明する。
【0017】
(パターンA)
このパターンAは、図7(A)に示すように、4個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを使用する。
尚、これらの口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの作動は図6に示す分離機構であり2基が必要である。
この分離機構の駆動ユニット(シリンダー)65の往動によって、4個の吸着盤は、駆動ユニット(シリンダー)65の往動によって、回転支点68a、誘導カム70で誘導される回動ピン68bを介して、吸着盤60a,60b及び吸着盤61a、61bのそれぞれの底が水平状態から、空袋の縦中心に対して、外側に向く傾斜状態に移行し、空袋5をU字状にし、積層された空袋と分離をする
尚、この吸着盤が傾斜状になったとき、吸着された空袋と積層状態の空袋の間に、空気を吹き込むことによって、積層された空袋と、吸着盤に吸着の空袋の分離はより確実になる。
【0018】
(パターンB)
このパターンBは、図7(B)に示すように、2個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bを使用するものである。即ち、前記パターンAにおいて、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを用いないものである。
このように、口部の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bによって、空袋を縦中心に対してU字状にすることによっても、積層状態の空袋から分離することができるし、この場合、分離機構60は1基で済む。
【0019】
(パターンC)
このパターンCは、図7(C)に示すように、4個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを使用する。
なお、これらの口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの作動の給袋機構は略す。
前記口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bは、分離機構(図示略)を介して、水平状態で空袋を吸着の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの底部が、空袋の縦中心に対して、内側に向く傾斜状態に移行することにより、空袋5の縦中心において、逆U字状に湾曲することによって、積層状態の空袋から分離する。
【0020】
(パターンD)
このパターンDは、図7(D)に示すように、2個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bを使用するものである。即ち、前記パターンCにおいて、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを用いないものである。
このように、口部の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bによって、空袋5を逆U字状にすることによっても、積層状態の空袋から分離することができるし、この場合、分離機構60は1基で済む。
【0021】
(パターンE)
このパターンEは図8(E)に示すように、前記パターンA〜Dが空袋の縦中心でU字状又は逆U字状に湾曲させるのと異なり、空袋の横中心でU字状又は逆U字状に湾曲させる。
そこで、このパターンEは4個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを使用し、2基の分離機構を用いる。
そして、前記各吸着盤で水平状態の空袋を吸着後、口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの底部が、それぞれ、空袋の横中心に対して、外側に向く傾斜状態に移行させると、空袋は、横中心に対して、U字状に湾曲して、積層状態の空袋から分離する。
【0022】
(パターンF)
このパターンFは図8(F)に示すように、2個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bを使用するものである。即ち、前記パターンEにおいて、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを用いないものである。
そして、口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bの底部が、それぞれ、空袋の縦中心に対して、外側に向く傾斜状態に移行させると、空袋は、空袋の縦中心に対して、U字状に湾曲して、積層状態の空袋から分離する。なお、この場合、分離機構60は1基で済む。
【0023】
(パターンG)
このパターンGは図8(G)に示すように、前記パターンEと同様に、4個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを使用し、2基の分離機構を用いる。
そして、前記各吸着盤で水平状態の空袋を吸着後、口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60b及び底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bの底部が、それぞれ、空袋の横中心に対して、内側に向くように傾斜させると、空袋は、横中心に対して、逆U字状に湾曲して、積層状態の空袋から分離する。
【0024】
(パターンH)
このパターンHは、図8(H)に示すように、前記パターンFと同様に、2個の口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bを使用するものである。即ち、前記パターンEにおいて、底部右吸着盤61aと底部左吸着盤61bを用いないものである。
そして、口部右吸着盤60aと口部左吸着盤60bの底部が、それぞれ、空袋の横中心に対して、内側に向くように傾斜させると、空袋は、横中心に対して、逆U字状に湾曲して、積層状態の空袋から分離する。なお、この場合、分離機構60は1基で済む。
【0025】
以上のように、少なくとも一対の吸着盤を傾斜状にして、空袋の縦中心又は横中心に対して、空袋をU字状又は逆U字状にすることによって、積層された空袋から1枚毎、分離される。
尚、前記パターンA〜Hの他に、口部右吸着盤60aと底部右吸着盤61a又は及び底部左吸着盤61bの組み合わせのように、対角位置にある吸着盤を使用してもよいし、3個の吸着盤を用いてもよい。即ち、前記4個の吸着盤に対して、いずれの組み合わせによる吸着盤であっても、空袋がU字又は逆U字状になる2個以上を選択すればよい。
又、吸着盤を操作する機構は、図6に示すカムによる機構の他、シリンダー等を用いた機構等、公知の機構を用いることができる。又、前記パターンAにおいて記載したが、空袋をU字又は逆U字状にしたとき、空気を吹き付けることは、前記パターンB〜Hにおいても有効である。
【符号の説明】
【0026】
5 空袋
10 給袋機構
20 中間受け渡し機構
40 横持ち機構
60 分離機構
60a 口部右吸着盤
60b 口部左吸着盤
61a 底部右吸着盤
61b 底部左吸着盤

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8