(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明手段は、光源と、その光源が照射した光が透過させられるものであり、それを透過した光の性質が互いに異なるものとなる第1状態と第2状態に変化させられるようにされた第1透過手段と、を備えており、
前記照明切換手段は、前記第1透過手段に前記第1状態と前記第2状態を交互に取らせるように前記第1透過手段を制御するようになっており、
前記第1透過手段は、前記第1状態と前記第2状態の一方が、前記撮像側偏光板とその偏光の方向が直交する偏光板として機能する状態であり、その他方が、それを透過する光の偏光状態に影響を与えない状態となる液晶板である、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記照明手段は、光源と、その光源が照射した光が透過させられるものであるとともに、前記光源から照射される光の光路上にある状態とない状態をとれるようにされており、それを透過した光の性質をそれを透過しなかった光の性質と異ならせるようにされた第2透過手段と、を備えており、
前記照明切換手段は、前記第2透過手段が前記光源から照射される光の光路上にある状態とない状態を繰り返すように前記第2透過手段を制御するようになっており、
前記第2透過手段は、前記撮像側偏光板とその偏光の方向が直交する照明側偏光板である、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記第1照明からの照明光には、それらの偏光方向が直交する前記撮像側偏光板と前記照明側偏光板を透過する光の消光比が90%以上となるような波長範囲の光のみが含まれている、
請求項3記載のビデオカメラ。
前記変化手段は、前記撮像手段で生成されたビデオ信号に含まれるフレームのデータのうちの前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方に画像処理を行う画像処理手段を備えており、
前記画像処理手段は、前記フレームデータ振分手段で振分けられる前のビデオ信号に含まれるフレームのデータのうちの前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方に対して画像処理を行うようになっている、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記変化手段は、前記撮像手段で生成されたビデオ信号を前記フレームデータ振分手段で振分けることにより生成された前記第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータの少なくとも一方に画像処理を行う画像処理手段を備えている、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記画像処理手段は、エッジ強調、明暗反転、ホワイトバランスの調整、白飛びの補正、黒つぶれの補正、キャリブレーション、電子ズームのいずれかを行うようになっている、
請求項8又は9記載のビデオカメラ。
前記フレームデータ振分手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームから、一定の数置きのフレームのデータを抜き出して前記第1フレーム群のフレームのデータに振分けるとともに、前記第1フレーム群のフレームのデータに含まれないフレームのデータから一定の数置きのフレームのデータを抜き出して前記第2フレーム群のフレームのデータとするようになっている、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記フレームデータ振分手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームのデータの偶数番目のものと奇数番目のものの一方を前記第1フレーム群のフレームのデータに、他方を前記第2フレーム群のフレームのデータに振分けるようになっている、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータであって最新のものを次のフレームのデータを受取るまで保持する第1のメモリと、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータであって最新のものを、次のフレームのデータを受取るまで保持する第2のメモリを備えている、
請求項1又は2記載のビデオカメラ。
前記照明切換手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出する毎に、前記照明手段が前記第1照明光の照射と前記第2照明光の照射を交互に切り替えるように、前記照明手段を制御するようになっている、
請求項15記載のビデオカメラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の複数種類の動画の撮像を行えるビデオカメラは、複数の種類の動画から選択された一の動画を撮像し、その後の選択によって他の動画の撮像を行うというものである。つまり、従来のビデオカメラで撮像できる複数種類の動画は択一的なものであり、同時に複数種類の画像が撮像されるということはない。
他方、同時に複数種類の画像が撮像できるのであれば、特にユーザの目で見た場合に同時と認識できる程度に同時で、ユーザの目で見た場合に同位置と認識できる程度に対象物における同じ位置の動画を撮像することのできる、つまり、2種類(或いはそれ以上の種類)の動画を一度に撮像することのできるビデオカメラがあれば、観察によって得られる情報量が増すことと相俟って、ビデオカメラで撮像された動画を用いての観察が、更に効果的なものとなると思われる。また、観察を目的とせずとも、美しさ、面白さ等の他の効果を得られる可能性もある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、略同時に略同位置の複数種類の画像を得られるビデオカメラを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、上述の課題を解決するために、以下のようなビデオカメラを提案する。本願のビデオカメラは大きく2種類に大別される。本願では便宜上、前者を第1発明、後者を第2発明と呼ぶこととする。
【0008】
第1発明は、撮像の対象となる対象物からの像光を捉えて撮像し、連続した多数のフレームのデータを有するビデオ信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームについてのデータから、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、フレームの集合である第1フレーム群についてのデータと、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、前記第1フレーム群に含まれるフレームと重複しないフレームの集合である第2フレーム群についてのデータとを生成する、フレームデータ振分手段と、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータを出力する第1出力手段と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータを出力する第2出力手段と、を備えているとともに、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなるようにされてなる、ビデオカメラである。
【0009】
このビデオカメラは、フレームデータ振分手段を備えている。フレームデータ振分手段は、撮像手段が出力したビデオ信号に含まれる多数の前記フレームについてのデータから、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、フレームの集合である第1フレーム群についてのデータと、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、第1フレーム群に含まれるフレームと重複しないフレームの集合である第2フレーム群についてのデータとを生成する。第1フレーム群のデータと、第2フレーム群のデータが作られるというのは、要するに、撮像手段が撮像したフレームを、第1フレーム群と第2フレーム群とに振り分ける、ということである。そして、以下の照明切換手段の存在により、第1フレーム群に含まれるフレームにより再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームにより再生される動画は異質な動画となる。
第1発明におけるビデオカメラは、一つの撮像手段が作った、連続する多数のフレームのデータからなるビデオ信号から、2つ(或いはそれ以上。以下も同様であるが、同様の記載は省略する。)のビデオ信号を作るようになっている。そして各ビデオ信号に相当する第1フレーム群に含まれるフレームのデータと、第2フレーム群に含まれるフレームのデータとは、それらによって再生される動画が互いに異質なものとなるようになっている。それにより、第1発明におけるビデオカメラは、略同時に同位置の複数種類の画像を得られるものとなる。
第1発明は、撮像手段に用いられる撮像素子が1秒あたりに撮像できるフレームの数(フレームレート)が、人間が動画を滑らかなものと認識するために必要なフレームレート(一般には24と言われることが多く、フレームレートが120を超えると人間にはフレームレートの差を認識できなくなると言われている。)を遥かに超えているということを利用している。例えば、撮像手段に用いられる撮像素子が動画の撮像を行う場合のフレームレートが48である場合には、その撮像素子が作ったビデオ信号から、フレームを落とすことなく2つのビデオ信号を生成し双方のフレームレートを24とすることにより、元のビデオ信号から生成された2つのビデオ信号に基づいて再生される動画は、それを見るものに違和感を与えない程度に滑らかなものとなる。実際に現時点で存在する撮像素子が動画を撮像する場合のフレームレートは、48どころではないので、元の1つのビデオ信号から複数のビデオ信号を生成することも、また、フレームを落とすことも実際上可能である。
要するに、第1発明のビデオカメラは、撮像手段が生成したビデオ信号を、ビデオ信号に含まれるフレームのフレームレートが落ちることを許容しつつ(ただし、画質、画素数は必要に応じて落とすことも可能であるが、落とさないことも可能である。)、第1フレーム群に含まれるフレームと第2フレーム群に含まれるフレームに振り分けることにより、同じ対象物を略同時に撮像した2種類の動画像を得るものである。この理屈は、第2発明でも踏襲される。
なお、第1発明における第1出力手段と第2出力手段は、必ずしもビデオカメラの外のディスプレイにデータを出力するとは限らず、ビデオカメラが備えるディスプレイにデータを出力するようになっていてもよいし、ビデオカメラの外にある或いはビデオカメラが備える記録媒体にデータを出力するようになっていてもよい。記録媒体にデータを出力した場合、ユーザは後からでもそのデータに基づく2種類の画像を見ることができるようになる。これは、第2発明の出力手段でも同一である。つまり、第2発明の出力手段は、必ずしもビデオカメラの外のディスプレイにデータを出力するとは限らない。
【0010】
本願の第2発明は、撮像の対象となる対象物からの像光を捉えて撮像し、連続した多数のフレームのデータを有するビデオ信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームについてのデータから、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、フレームの集合である第1フレーム群についてのデータと、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、前記第1フレーム群に含まれるフレームと重複しないフレームの集合である第2フレーム群についてのデータとを生成する、フレームデータ振分手段と、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータによる第1動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータによる第2動画とを、所定のディスプレイが一画面に表示できるような動画についての動画データを生成する合成手段と、前記合成手段が生成した動画データを出力する出力手段と、を備えているとともに、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなるようにされてなる、ビデオカメラである。
【0011】
第2発明のビデオカメラは、第1発明のビデオカメラと主要な部分で同じ構成を採用している。
撮像手段、フレームデータ振分手段については第1発明と第2発明のビデオカメラに変わりはない。また、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなるようにされている点も第1発明と同様である。
他方、第2発明のビデオカメラは、第1フレーム群に含まれるフレームのデータによる第1動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータによる第2動画とを、所定のディスプレイが一画面に表示できるような動画についての動画データを生成する合成手段と、合成手段が生成した動画データを出力する出力手段を備えている。
例えば、出力手段を適当なディスプレイに接続すると、ディスプレイには合成手段で合成された動画データにより、第1フレーム群に含まれるフレームのデータによる第1動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータによる第2動画との双方を含んだ動画が表示される。これにより、ディスプレイは一つで済む。
【0012】
本願発明におけるフレームデータ振分手段は、ビデオ信号に含まれるフレームのデータを振り分け、上述のような第1フレーム群のフレームのデータと、第2フレーム群のフレームのデータとを生成する。なお、本願発明について用いる「フレーム」という語の意義には、動画、ビデオ信号の技術分野における技術用語である「フレーム」の語が一般的に持つ以外の意義が含まれる場合があるが、そのことも含めて、フレームデータ振分手段について更に説明する。
まず、既に述べた通り、撮像手段が撮像して作ったビデオ信号に含まれるすべてのフレームについてのデータが、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータのいずれかに振り分けられる必要はない。
例えば、前記フレームデータ振分手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームから、一定の数置きのフレームのデータを抜き出して前記第1フレーム群のフレームのデータに振分けるとともに、前記第1フレーム群のフレームのデータに含まれないフレームのデータから一定の数置きのフレームのデータを抜き出して前記第2フレーム群のフレームのデータとするようになっていてもよい。一定の数置きのフレームのデータを第1フレーム群と、第2フレーム群に含めることにより、第1フレーム群に含まれるフレームによる動画と第2フレーム群に含まれるフレームによる動画のフレームレートは常に一定となるので、動画に不自然さが生じない。撮像手段が高フレームレートでの撮像を行えるものであり、ディスプレイが高フレームレートでの描画に対応しない場合などは、上述のようにしてフレームレートを落とすこともあり得る。
本願の第1発明、第2発明は上述のように、基本的に、フレームレートが落ちることを許容することによって、本来は一つの動画を表示するためのビデオ信号から2種類の動画を表示するためのデータを作るものであるから、それ以上フレームレートを落とさないようにすることを考慮するのであれば、撮像手段が撮像して作ったビデオ信号に含まれるすべてのフレームについてのデータを、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータのいずれかに含めた方が良い。
例えば、前記フレームデータ振分手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームのデータの偶数番目のものと奇数番目のものの一方を前記第1フレーム群のフレームのデータに、他方を前記第2フレーム群のフレームのデータに振分けるようになっていてもよい。この方法によれば、ビデオ信号に含まれるフレームのデータを交互に第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータに振り分けるだけで、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータを簡単に生成できる。
【0013】
ところで、動画の伝送方式にはプログレッシブ(ノンインタレース)方式とインタレース方式とが存在する。
プログレッシブ方式で描画されるディスプレイは、一画面の画像を上から下などの一定の方向で一括で表示するようにされており、プログレッシブ方式のビデオ信号における1フレーム分のデータは、一画面分の描画を行うためのデータとされる。プログレッシブ方式では、ディスプレイの一画面分の描画を行うためのデータが本願で言う1フレーム分のデータである。
他方、インタレース方式では、一画面の画像を、例えば、走査線の奇数行目と偶数行目で分ける。インタレース方式で描画されるディスプレイでは、例えば、奇数行目の走査線の描画のためのデータにより奇数行目の描画が行なわれた後、偶数行目の描画のためのデータにより偶数行目の描画が行なわれることになる。奇数行目を描画するためのデータと、偶数行目を描画するためのデータを合わせたものがディスプレイの一画面分の画像を描画するためのデータとなる。
インタレース方式のビデオ信号を生成する場合、撮像手段は、ディスプレイの奇数行目の走査線の描画のためのデータと、偶数行目の描画のためのデータとを交互に生成する。インタレース方式が採用される場合であれば、これらのそれぞれを本願発明でいう1フレーム分のデータとしても良いし、奇数行目の走査線の描画のためのデータと、偶数行目の走査線の描画のためのデータとを足し合わせた、ディスプレイの一画面の画像分のデータを本願発明でいう1フレーム分のデータとしても良い。奇数行目の描画のためのデータ、偶数行目の描画のためのデータはいずれも、一般的に言う1フレーム分のデータとは異なるが、本願発明ではそのように取り扱うことも可能である。本願発明について用いる「フレーム」という語の意義には、動画の分野における技術用語である「フレーム」の語が一般的に持つ以外の意義を含む場合があると上述したが、これがそれである。
ディスプレイの奇数行目の走査線の描画のためのデータと、偶数行目の描画のためのデータを足し合わせたものを2種類の動画の1フレーム分のデータとする場合は、それらデータでディスプレイに表示されることになる動画のフレームレートの低下を許容して(ただし、この場合は、画質、つまり、走査線数或いは画素数は落とさないことも可能である。)、第1フレーム群のフレームのデータ及び第2フレーム群のフレームのデータを生成することができる。これは、プログレッシブ方式の場合と変わらない。
他方、インタレース方式のビデオ信号を扱う場合において、ディスプレイの奇数行目の走査線の描画のためのデータと、偶数行目の描画のためのデータとのそれぞれを本願発明における1フレーム分のデータとする場合は、事情が異なってくる。フレームデータ振分手段が、撮像手段が出力したビデオ信号に含まれる多数のフレームの偶数番目のものと奇数番目のものの一方を第1フレーム群と、他方を前記第2フレーム群とするようになっている場合を例とする。ディスプレイの奇数行目の走査線の描画のためのデータ、偶数行目の走査線の描画のためのデータのそれぞれを本願発明における1フレーム分のデータとした場合には、例えば、ディスプレイの奇数行目の走査線の描画のためのデータが第1フレーム群のフレームのデータに、ディスプレイの偶数行目の走査線の描画のためのデータが第2フレーム群のフレームのデータにそれぞれ振分けられることになる。この場合には、本来のビデオ信号のフレームレートと、第1フレーム群のフレームのデータにより再生される動画、及び第2フレーム群のフレームのデータにより再生される動画のフレームレートは同じとすることができる。他方、この場合には、撮像手段における走査線数或いは画素数は(略)半分になったのと同様になるので、2種類の動画はともに、その撮像手段が撮像したビデオ信号により本来得られる動画よりも画質が落ちる。
【0014】
ビデオ信号に含まれる各フレームをどのように第1フレーム群と第2フレーム群とに振分けるにせよ、本願発明では、撮像手段が生成したビデオ信号に含まれるデータを第1フレーム群に含まれるフレームのデータと第2フレーム群に含まれるフレームのデータとに振分けるためのタイミングを計る必要がある。それには、例えば、典型的にはビデオ信号に含まれる、より典型的には各フレームのデータに重畳された状態でビデオ信号に含まれる垂直同期信号を用いれば良い。垂直同期信号は、現存のCCDやCMOSが生成するビデオ信号の中に普通に含まれているものであり、また、各フレームのデータの終わり(乃至次のフレームデータの始まり)を示すものであるから、各フレームのデータを第1フレーム群と第2フレーム群に振分けるという作業に用いるに好適である。なお、インタレース方式で用いられるビデオ信号では、奇数行目の走査線の描画のためのデータの終わりと、偶数行目の描画のためのデータの終わりの双方に垂直同期信号が入っているので、奇数行目の走査線の描画のためのデータと、偶数行目の描画のためのデータの双方を2種類の動画における1フレーム分のデータとする場合でも、垂直同期信号を用いてタイミングを決定するに問題はない。
この場合、第1発明、及び第2発明は、例えば以下のようなものとなる。即ち、この場合の第1発明、及び第2発明のビデオカメラは、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号の垂直同期(フレームの切換)のタイミングに同期された垂直同期信号を検出する第1垂直同期信号検出手段を備えている。そして、それらビデオカメラの前記フレームデータ振分手段は、前記第1垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出したタイミングに基づいて、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータと、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータとを振分けるようになっている。
ビデオ信号に含まれる垂直同期信号を用いる場合、前記第1垂直同期信号検出手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる垂直同期信号を検出するようになっている。
他方、垂直同期信号がビデオ信号に含まれておらず、本願のビデオカメラが、前記撮像手段が出力する前記フレームのデータをそれと同期させる垂直同期信号を前記撮像手段に送る垂直同期信号発生手段を備えている場合には、前記第1垂直同期信号検出手段は、前記垂直同期信号発生手段から受取った前記ビデオ信号とは別の信号から垂直同期信号を検出するようにする。
或いは、垂直同期信号がビデオ信号に含まれておらず、本願のビデオカメラ外に、前記撮像手段が出力する前記フレームのデータをそれと同期させる垂直同期信号を前記撮像手段に送るようになっている垂直同期信号発生装置がある場合(これはいわゆる外部同期と呼ばれる方式である)、前記第1垂直同期信号検出手段は、前記撮像手段が出力する前記フレームのデータをそれと同期させる垂直同期信号を前記撮像手段に送る外部の垂直同期信号発生装置から受取った信号から垂直同期信号を検出するようになっていてもよい。
【0015】
前記フレームデータ振分手段は、前記第1垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出する毎に、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームのデータを、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータと、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータとに、交互に振り分けるようになっていても構わない。
第1発明、及び第2発明のビデオカメラは、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータであって最新のものを次のフレームのデータを受取るまで保持する第1のメモリと、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータであって最新のものを、次のフレームのデータを受取るまで保持する第2のメモリとを備えていてもよい。本願発明は基本的に、上述したように、フレームレートが落ちることを許容することによって、本来は一つの動画を表示するためのビデオ信号から2種類の動画を表示するためのデータを作るものである。したがって、2種類の動画はともに、あるフレームから次のフレームまでの間が延び、2種類の動画のいずれがディスプレイに表示される場合にも、一のフレームから次のフレームまでの間に、本来以上の空き時間が生じることによるちらつきが生じるおそれがある。上述の如き第1のメモリと第2のメモリがあればそのような不具合を抑えられる。
【0016】
第1発明のビデオカメラでも、第2発明のビデオカメラでも、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなる。なお、本願において、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画が「異質」であるというのは、両動画を見た場合に、両動画が撮像されたほんの僅かな時間の差、或いはほんの僅かな対象物における位置の差に基づく差異以外の差を、それを見た者に感知させられるということを意味するものとする。第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画の間の差が、エッジ強調の有無(或いはその程度の相違、以下同じ。)、明暗反転、ホワイトバランスの調整の有無、白飛びの補正の有無、黒つぶれの補正の有無、キャリブレーションの有無、倍率の相違、被写界深度の相違、色彩の相違である場合には、少なくとも両動画は異質であるものとする。
【0017】
第1発明のビデオカメラ、第2発明のビデオカメラは、要するに、第1発明では最終的に出力される2つの動画のデータと、第2発明では合成を行われる前に一旦作られる2つの動画のデータを、1つの撮像手段が作った動画のデータから作り出すものであると言える。そして、その2つの動画のデータは、2つの動画のデータが作られるよりも上流の「何か」を、1つの撮像手段が作る動画のデータに含まれるフレームのデータの作成のタイミングに同期させて変化させることにより、それぞれが異質なものとされるようになっている。上記「何か」は、光であっても、データ或いは信号であっても、或いは撮像素子における撮像条件であっても構わない。つまり、ビデオカメラは、照明光による照明(存在しない場合もあろう)を行い、照明光(或いは自然に存在する外光)により像光が生じ、その像光を撮像素子で撮像し、撮像素子が生じさせた1つの動画のデータを出力する。これらのいずれか、つまり、照明光、像光、撮像素子における撮像条件、撮像素子が生じさせた1つの動画のデータの一部、或いは撮像素子が生じさせた1つの動画のデータを2つに振分けることにより生成された2つの動画のデータの少なくとも一方に、変化を生じさせることにより、2つの動画のデータを異なるものとすることができるのである。
第1発明と、第2発明は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータによる動画と、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータによる動画を異質なものにするために、下記1〜4のいずれか一つを変化させる変化手段を備えていてもよい。
1.前記対象物に対する照明光
2.前記対象物から前記撮像手段に至るまでの像光
3.前記像光を撮像する撮像手段で撮像がなされる際の撮像の条件
4.前記撮像手段で生成されたビデオ信号に含まれるフレームのデータのうちの前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方か、又は前記第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータの少なくとも一方
照明光、像光、撮像手段での撮像の条件、撮像手段で生成されたビデオ信号のうち第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータ又は第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータの少なくとも一方を変化させることにより、第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータにより再生される動画と、第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータにより再生される動画を、異なるものとすることができる。
なお、第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータにより再生される動画と、第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータにより再生される動画を、異なるものにできるのであれば、照明光、像光、撮像手段での撮像の条件、撮像手段で生成されたビデオ信号の一部の複数を変化させても良い。
【0018】
照明光を変化させる場合、つまり、上記1の場合、前記変化手段は、性質の異なる2種類の照明光である第1照明光及び第2照明光を、前記対象物に択一的に照射する照明手段と、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記第1照明光を、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記第2照明光を、それぞれ照射するように前記照明手段を制御する照明切換手段と、を含んでいてもよい。
これは、第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像手段が撮像しているときと、第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、照明光を変化させるというものである。
【0019】
上述のように、照明手段は第1照明光と第2照明光という2種類の照明光を照射できるようになっている。照明手段に2種類の照明光を照射できるようにさせるための工夫はどのようなものであっても構わない。
例えば、前記照明手段は、前記第1照明光を照射するときに点灯する第1照明と、前記第2照明光を照射するときに点灯する第2照明と、を備えていてもよい。この場合、前記照明切換手段は、前記第1照明と前記第2照明が交互に点灯するように前記第1照明と前記第2照明を制御するようになっている。このように、光源を複数にすることによって2種類の照明光を照射可能とすることができる。
前記照明手段は、光源と、その光源が照射した光が透過させられるものであり、それを透過した光の性質が互いに異なるものとなる第1状態と第2状態に変化させられるようにされた第1透過手段と、を備えていてもよい。この場合、前記照明切換手段は、前記第1透過手段に前記第1状態と前記第2状態を交互に取らせるように前記第1透過手段を制御するようになっている。このように、光源からでた照明光の光路上に設けられる、照明光が透過させられる第1透過手段の状態変化により、2種類の照明光を照射可能とすることができる。
前記照明手段は、光源と、その光源が照射した光が透過させられるものであるとともに、前記光源から照射される光の光路上にある状態とない状態をとれるようにされており、それを透過した光の性質をそれを透過しなかった光の性質と異ならせるようにされた第2透過手段を備えていてもよい。この場合、前記照明切換手段は、前記第2透過手段が前記光源から照射される光の光路上にある状態とない状態を繰り返すように前記第2透過手段を制御するようになっている。このように、光源からでた照明光の光路上にある状態とない状態を繰り返す第2透過手段の運動により、2種類の照明光を照射可能とすることができる。第2透過手段の運動は、例えば往復運動、回転運動である。
【0020】
上述のように、照明切換手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記第1照明光を、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記第2照明光を、それぞれ照射するように前記照明手段を制御する。そのためには、照明手段に第1照明光と第2照明光を適切なタイミングで照射させるためのタイミングを計る必要がある。それには、典型的にはビデオ信号に含まれる各フレームのデータに含まれる垂直同期信号を用いれば良い。垂直同期信号をかかるタイミングの制御に用いることができる理由は、フレームデータ振分手段がタイミングの制御を行うに垂直同期信号を用いることができる理由と同様である。
この場合のビデオカメラは、例えば、以下のようなものである。ビデオカメラは、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号の垂直同期のタイミングに同期された垂直同期信号を検出する第2垂直同期信号検出手段を備えており第2垂直同期信号検出手段を備えており、前記照明切換手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出したタイミングに基づいて、前記照明手段が前記第1照明光の照射と前記第2照明光の照射を交互に切り替えるように、前記照明手段を制御するようになっている。
第1垂直同期信号検出手段の場合と同様、前記第2垂直同期信号検出手段は、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる垂直同期信号を検出するようになっていてもよい。また、ビデオカメラが、前記撮像手段が出力する前記フレームのデータをそれと同期させる垂直同期信号を前記撮像手段に送る垂直同期信号発生手段を備えている場合には、前記第2垂直同期信号検出手段は、前記垂直同期信号発生手段から受取った前記ビデオ信号とは別の信号から垂直同期信号を検出するようになっていてもよい。また、ビデオカメラがいわゆる外部同期方式を採用するのであれば、前記第2垂直同期信号検出手段は、前記撮像手段が出力する前記フレームのデータをそれと同期させる垂直同期信号を前記撮像手段に送る外部の垂直同期信号発生装置から受取った信号から垂直同期信号を検出するようになっていてもよい。これらはいずれも、以下に説明する第2垂直同期信号検出手段でも同様である。
なお、第2垂直同期信号検出手段と、第1垂直同期信号検出手段は同じ対象である垂直同期信号を検出するものであり、前者が後者を、或いは後者が前者を兼ねることでその一方を省略することも可能である。例えば第1垂直同期信号検出手段のみが存在する場合においては(これは、第2垂直同期信号検出手段のみが存在する場合と等価である。)、それが垂直同期信号を検出したタイミングをフレームデータ振分手段と照明切換手段の双方に送ることにより、垂直同期信号を検出する手段が第1垂直同期信号検出手段一つだけであったとしても、フレームデータ振分手段と照明切換手段を同期して制御することが可能となる。これらはいずれも、以下に説明する第2垂直同期信号検出手段でも同様である。
【0021】
また、前記照明切換手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出する毎に、前記照明手段が前記第1照明光の照射と前記第2照明光の照射を交互に切り替えるように、前記照明手段を制御するようになっていてもよい。
また、前記撮像手段があるフレームの画像の撮像を行なってから一定の時間経過後に当該フレームについてのデータを出力するようになっている場合に、前記照明切換手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出してから前記一定の時間に相当する時間の経過後に、前記照明手段が前記第1照明光の照射と前記第2照明光の照射を交互に切り替えるように、前記照明手段を制御するようになっていてもよい。既存のCCD、CMOS等の撮像手段は、あるフレームの撮像を行なってからそのフレームのデータを出力するために若干の遅延を生じる場合がある。そのような遅延があると、第2垂直同期信号検出手段が垂直同期信号を検出するタイミングと、実際に撮像手段が撮像を行うタイミングとにずれが生じる可能性がある。照明切換手段が、一定の時間(これは、撮像手段で生じる遅延の時間に相当する。)に相当する時間の経過後に、照明手段が第1照明光の照射と第2照明光の照射を交互に切り替えるようになっていれば、上述のずれの発生を防止できる。
【0022】
上述のように、本願のビデオカメラが備える照明手段は、性質の異なる2種類の照明光である第1照明光及び第2照明光を照射するようになっている。第1照明光と第2照明光の組合せはどのようなものであっても構わない。対象物の別、対象物から得たい情報の別などに応じて適宜選択すればよい。
前記第1照明光と前記第2照明光の一方は直線偏光であり、他方は前記直線偏光の振動方向以外の振動方向の光を含む光であってもよい。これにより、反射光を含む動画と、反射光を含まない動画を得られる。直線偏光の振動方向以外の振動方向の光を含む光は、偏光でない光であってもよいし、偏光であっても第1照明光と第2照明光の一方の直線偏光と振動の方向の異なる直線偏光であってもよい。
前記第1照明光と前記第2照明光の一方は、前記対象物への入射角が40°以下の光である落射光であり、他方は、前記対象物への入射角が40°より大きい光である側射光であってもよい。大雑把に言うと、落射光は対象物に正面から照射される照明光、側射光は対象物に側面から照射される照明光である。いずれを選択するかにより対象物表面の凹凸の見え方が変わるので、これらを照明光とする2つの動画を組合せることで、対象物表面の凹凸をより正確に把握し易くなる。
第1照明光と第2照明光を、色の異なる可視光とすることができる。例えば、前記第1照明光と前記第2照明光の一方は白色光であり、他方は緑色光であってもよい。例えば、緑色光を照明光として肌等の組織を見ると血管の走行が非常に見やすくなるが、他の組織の色彩が見えなくなる。他方、白色光を照明光とすると血管以外の組織の色彩を正しく把握し易くなる。したがって、この第1照明光と第2照明光を照明光とする2つの動画を組み合わせれば、組織の色と血管の走行をまとめて把握できるようになる。
前記第1照明光と前記第2照明光は、波長の異なる光であってもよい。色の異なる照明光を用いた場合もその一例となりうるが、照明光の波長が異なると得られる画像が変わるからである。
例えば、前記第1照明光と前記第2照明光の一方は可視光であり、他方は赤外光であってもよい。例えば、照明光に赤外光を用いた画像によれば、木簡に墨で書かれた後に肉眼では見えないように消えてしまった文字などがよく見える。他方、木簡全体の形状色彩などは赤外光を照明光とした画像によれば見えないが、可視光、例えば白色光を照明光とした画像によれば見える。これらを照明光とした2種類の動画を組合せることにより、木簡に書かれた文字と、木簡全体の形状や木簡における文字の書かれた位置の把握等をまとめて行えるようになる。
或いは、前記第1照明光と前記第2照明光の一方は可視光であり、他方は紫外光であってもよい。例えば、肌に紫外光である照明光を照射すると、肌上の角栓が黄色く発光するが、それ以外の部分は画像に映らない。他方、可視光、例えば白色光を用いれば肌の状態や色彩を見ることができる。これらを照明光とした2種類の動画を組合せることにより、肌における角栓の数や位置と肌の状態や色彩をまとめて把握することなどが可能となる。
【0023】
第1照明光と前記第2照明光の一方が直線偏光であり、他方がその直線偏光の振動方向以外の振動方向の光を含む光である場合、例えば、前記第1照明光と前記第2照明光の一方が直線偏光であり、他方が自然光である場合には、第1発明、及び第2発明は、以下のようなものとすることができる。
照明手段が第1照明と第2照明とを備えているのであれば、そのビデオカメラは、前記対象物からの像光が前記撮像手段に到達するまでの光路上に撮像側偏光板が設けられているとともに、前記第1照明からの照明光が前記対象物に到達するまでの光路上と、前記第2照明からの照明光が前記対象物に到達するまでの光路上の一方に、前記撮像側偏光板とその偏光の方向が直交する照明側偏光板が設けられており、前記照明側偏光板が光路上にない側の前記第1照明又は前記第2照明からの照明光には、直線偏光である前記第1照明からの照明光の振動方向以外の成分が含まれるようになっている、ものとすることができる。
この場合、前記第1照明からの照明光には、それらの偏光方向が直交する前記撮像側偏光板と前記照明側偏光板を透過する光の消光比が90%以上となるような(好ましくは100%となるような)波長範囲の光のみが含まれていても良い。一般的な偏光板を用いると、可視光領域の中心に近い部分の波長の光では、直交する2枚の偏光板を通過する光の量は略0であり消光比は100%に近いが、可視光域の両端近くの波長の光は、消光比が低く、可視光領域の中心に近い部分の光よりも2枚の偏光板を多く抜けてくる。そのようなことが起きると、多く抜けてくる波長の光の色に画像乃至動画の色彩が偏り、画像乃至動画の色味が崩れる。実際本願発明者は、2枚の偏光板を用いて水や濡れた対象物を撮像した場合や、反射率の高い金属面を撮像した場合に画像乃至動画の色味が青く偏ることを確認している。上述のような第1照明からの照明光を用いれば、つまり、そのような波長域の光しかそもそも照射しない第1照明を用いれば、そのような事態を防げ、色の再現性が良くなる。なお、このような第1照明は、下記第1透過手段と偏光板、下記第2透過手段と偏光板の組合せにも応用可能である。
照明手段が第1透過手段を備えるのであれば、そのビデオカメラは、前記対象物からの像光が前記撮像手段に到達するまでの光路上に撮像側偏光板が設けられているとともに、前記第1透過手段は、前記第1状態と前記第2状態の一方が、前記撮像側偏光板とその偏光の方向が直交する偏光板として機能する状態であり、その他方が、それを透過する光の偏光状態に影響を与えない状態となる液晶板である、ものとすることができる。
照明手段が第2透過手段を備えるのであれば、そのビデオカメラは、前記対象物からの像光が前記撮像手段に到達するまでの光路上に撮像側偏光板が設けられているとともに、前記第2透過手段は、前記撮像側偏光板とその偏光の方向が直交する照明側偏光板である、ものとすることができる。
【0024】
像光を変化させる場合、つまり、上記2の場合、前記変化手段は、前記対象物から前記撮像手段に至るまでの像光を性質の異なる2種類の像光である第1像光と第2像光にする像光変質手段と、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記像光を前記第1像光に、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記像光を前記第2像光にそれぞれするように前記像光変質手段を制御する像光切換手段と、を含んでいてもよい。
これは、第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像手段が撮像しているときと、第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、像光を変化させるというものである。
【0025】
前記像光変質手段は、前記対象物から前記撮像手段に至るまでの間に前記像光が透過させられるものであり、それを透過した光の性質が互いに異なるものとなる第1状態と第2状態に変化させられるようにされた第1像光透過手段、を備えており、前記像光切換手段は、前記第1像光透過手段に前記第1状態と前記第2状態を交互に取らせることで前記像光を前記第1像光と前記第2像光にするように前記第1像光透過手段を制御するようになっていてもよい。
第1像光透過手段は、それを透過した光の性質が互いに異なるものとなる第1状態と第2状態に変化させられるようなものであればその詳細は問わない。例えば、前記第1像光透過手段は、そのパワーが可変とされたレンズであり、前記像光切換手段は、そのパワーがある値であるときに前記第1状態を、そのパワーが他の値であるときに前記第2状態を取ることで、前記像光を前記第1像光と前記第2像光にするように前記第1像光透過手段を制御するようになっていてもよい。液晶を利用した電気によるスイッチングによりパワーを変化させることができる液晶レンズが知られている。それを第1像光透過手段に採用できる。前記第1像光透過手段は、特定の波長領域の波長の光を透過させる状態と透過させない状態を選択できるフィルタであり、前記像光切換手段は、特定の波長領域の波長の光を透過させる状態と透過させない状態の一方を前記第1状態として、その他方を前記第2状態として取ることで、前記像光を前記第1像光と前記第2像光にするように前記第1像光透過手段を制御するようになっていてもよい。例えば、電気的な制御により状態の変化を生じるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による、可変カラーフィルタによってこの場合の第1像光透過手段を構成することができる。
【0026】
前記像光変質手段は、前記像光の前記対象物から前記撮像手段に至るまでの光路上にある状態とない状態をとれるようにされており、それを透過した光の性質をそれを透過しなかった光の性質と異ならせるようにされた第2像光透過手段、を備えており、前記像光切換手段は、前記第2像光透過手段が前記像光の光路上にある状態とない状態を交互に繰り返すことで前記像光を前記第1像光と前記第2像光にするように前記第2像光透過手段を制御するようになっていてもよい。
第2像光透過手段は、像光の光路に対して出入りすることができ、光路上にあるか否かにより、像光に変化を生じさせる。第2像光透過手段は、例えば、レンズとすることができ、或いは、特定の波長領域の波長の光を透過させないフィルタとすることができる。
【0027】
前記像光変質手段は、前記対象物から前記撮像手段に至るまでの間に存在するその径が可変とされた絞りであり、前記像光切換手段は、前記絞りの径をある径にすることにより前記像光を第1像光に、前記絞りを他の径にすることにより前記像光を第2像光にするようになっていてもよい。この場合、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画は被写界深度が異なるものとなる。
【0028】
照明切換手段は、第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータを撮像手段が撮像しているときに第1照明光を、第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータを撮像手段が撮像しているときに第2照明光を、それぞれ照射するように照明手段を制御する。撮像手段は、決まったフレームレート、例えば一秒間に60フレームとか、30フレームとかのフレームレートで撮像を行うが、照明切換手段は、簡単に言うと、撮像手段が各フレームを撮像するタイミングと、照明手段が第1照明光及び第2照明光を照射するタイミングとを同期させる。それにより、第1フレーム群に含まれるフレームは第1照明光で、第2フレーム群に含まれるフレームは第2照明光で、それぞれ撮像されることになる。
上述のように、像光切換手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記像光を前記第1像光に、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときに前記像光を前記第2像光にそれぞれするように、前記像光変質手段を制御する。そのために像光切換手段は、照明切換手段と同様に、第1像光と第2像光とを適切なタイミングで切換えるためのタイミングを計る必要がある。それには、既に述べた通り、典型的にはビデオ信号に含まれる各フレームのデータに含まれる垂直同期信号を用いれば良い。
この場合のビデオカメラは、例えば、以下のようなものである。ビデオカメラは、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号の垂直同期のタイミングに同期された垂直同期信号を検出する第2垂直同期信号検出手段を備えており、前記像光変質手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出したタイミングに基づいて、前記第1像光と前記第2像光を切換えるタイミングを制御するようになっている。
【0029】
また、前記像光変質手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出する毎に、前記第1像光と前記第2像光とを交互に切り替えるようになっていてもよい。
また、前記撮像手段があるフレームの画像の撮像を行なってから一定の時間経過後に当該フレームについてのデータを出力するようになっている場合に、前記像光変質手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出してから前記一定の時間に相当する時間の経過後に、前記第1像光と前記第2像光とを交互に切り替えるようになっていてもよい。照明切換手段において説明した、撮像手段で生じる遅延の補償と同様の効果を得られる。
【0030】
撮像手段での撮像の条件を変化させる場合、つまり、上記3の場合、前記変化手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときと、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、前記撮像手段が前記像光を撮像する条件をある条件である第1条件とそれとは異なる条件である第2条件との間で変化させるように前記撮像手段を制御する撮像手段制御手段を含んでいてもよい。
これは、第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像手段が撮像しているとき(そのフレームのデータを撮像手段が生成しているとき)と、第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているとき(そのフレームのデータを撮像手段が生成しているとき)とで、撮像の像光を変化させるというものである。
条件の変化はどのようなものでも構わないが、例えば、前記撮像手段制御手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときと、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、撮像手段中の撮像を行なう範囲が変化するように前記撮像手段を制御するようになっていてもよい。特に、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とが、縦横比の等しく大きさの異なる矩形である場合には、一方の動画は他方の動画と倍率が異なるものとなる。また、前記撮像手段制御手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときと、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、撮像手段が撮像を行う際の露光時間が変化するように前記撮像手段を制御するようになっていてもよい。この場合には、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画の明るさを変化させられるようになる。
【0031】
上述のように、撮像手段制御手段は、前記第1フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときと、前記第2フレーム群に含まれることになるフレームを前記撮像手段が撮像しているときとで、前記撮像手段が前記像光を撮像する条件をある条件である第1条件とそれとは異なる条件である第2条件との間で変化させる。そのために撮像手段制御手段は、照明切換手段と同様に、第1条件と第2条件とを適切なタイミングで切換えるためのタイミングを計る必要がある。それには、既に述べた通り、典型的にはビデオ信号に含まれる各フレームのデータに含まれる垂直同期信号を用いれば良い。
この場合のビデオカメラは、例えば、以下のようなものである。ビデオカメラは、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号の垂直同期のタイミングに同期された垂直同期信号を検出する第2垂直同期信号検出手段を備えており、前記撮像手段制御手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出したタイミングに基づいて、前記第1条件と前記第2条件を切換えるタイミングを制御するようになっている。
【0032】
また、前記撮像手段制御手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出する毎に、前記第1条件と前記第2条件とを交互に切り替えるようになっていてもよい。
また、前記撮像手段があるフレームの画像の撮像を行なってから一定の時間経過後に当該フレームについてのデータを出力するようになっている場合に、前記撮像手段制御手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出してから前記一定の時間に相当する時間の経過後に、前記第1条件と前記第2条件とを交互に切り替えるようになっていてもよい。照明切換手段において説明した、撮像手段で生じる遅延の補償と同様の効果を得られる。
【0033】
撮像手段で生成されたビデオ信号に含まれるフレームのデータのうち第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方を変化させる場合、つまり、上記4の前者の例の場合、前記変化手段は、前記撮像手段で生成されたビデオ信号に含まれるフレームのデータのうちの前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方に画像処理を行う画像処理手段を備えており、前記画像処理手段は、前記フレームデータ振分手段で振分けられる前のビデオ信号に含まれるフレームのデータのうちの前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方に対して画像処理を行うようになっていてもよい。或いは、前記第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータの少なくとも一方を変化させる場合、つまり、上記4の後者の例の場合、前記変化手段は、前記撮像手段で生成されたビデオ信号を前記フレームデータ振分手段で振分けることにより生成された前記第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータの少なくとも一方に画像処理を行う画像処理手段を備えていてもよい。
つまり、画像処理手段による画像処理は、フレームデータ振分手段により振分けられる前のビデオ信号に対して行われても良いし、フレームデータ振分手段により振分けられた後の第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータの一方に対して行われても良い。
画像処理手段による画像処理は、画像データに対する画像処理の方法であればどのようなものでもよく例えば公知のものを必要に応じて行えばよい。例えば、画像処理手段による画像処理は、前記フレームのデータから、特定の波長の光のデータを除くものとされていてもよい。或いは、前記画像処理手段は、エッジ強調、明暗反転、ホワイトバランスの調整、白飛びの補正、黒つぶれの補正、キャリブレーション、電子ズームのいずれかを行なってもよい。
フレームデータ振分手段で振分けられる前のビデオ信号に含まれるフレームのデータに対して画像処理を行う場合、画像処理手段は、第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの双方に異なる画像処理を行なってもよい。同様に、ビデオ信号をフレームデータ振分手段で振分けることにより生成された第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータに対して画像処理を行う場合、画像処理手段は、第1フレーム群のフレームのデータと前記第2フレーム群のフレームのデータの双方に異なる画像処理を行なってもよい。
【0034】
上記4の前者の例の場合、画像処理手段は、画像処理を行う対象となるフレームのデータを検出する必要がある。そのために画像処理手段は、照明切換手段と同様に、画像処理を行うべきフレームを検出するためのタイミングを計る必要がある。それには、既に述べた通り、典型的にはビデオ信号に含まれる各フレームのデータに含まれる垂直同期信号を用いれば良い。
この場合のビデオカメラは、例えば、以下のようなものである。ビデオカメラは、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号の垂直同期のタイミングに同期された垂直同期信号を検出する第2垂直同期信号検出手段を備えており、前記画像処理手段は、前記第2垂直同期信号検出手段が前記垂直同期信号を検出したタイミングに基づいて、ビデオ信号に含まれるフレームのデータから、画像処理の対象となる前記第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータ、又は前記第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータを検出するようになっている。
なお、上記4の後者の例の場合、すでに振り分けられた第1フレーム群に含まれるフレームのデータと、第2フレーム群に含まれるフレームのデータの一方に対して画像処理を行うので、フレームの切り換えのタイミングと何かのタイミングを同期させる必要がないから、第2垂直同期信号検出手段は不要である。
【0035】
上記1の場合の第1発明と第2発明のビデオカメラはともに、前記撮像手段、前記照明手段、前記照明切換手段、を収納するケースを備えていても良い。
前記撮像手段、前記照明手段、前記照明切換手段は小型化が容易であるから、それらを収納するケースも小型化が容易であり、手持ちできる程度にもできるし、ビデオカメラが内視鏡である場合にはその先端部に取付けることも可能である。更には、ビデオカメラがカプセル内視鏡である場合には、ケースは、カプセル内視鏡のカプセルに収納するか、カプセル内視鏡のカプセルとすることができる。
第1発明におけるビデオカメラは、前記撮像手段と、前記照明手段と、前記照明切換手段と、を収納するケースである第1ケースと、前記フレームデータ振分手段と、前記第1出力手段と、前記第2出力手段と、を収納する第2ケースと、を備えていてもよい。
第2発明におけるビデオカメラは、前記撮像手段と、前記照明手段と、前記照明切換手段と、を収納するケースである第1ケースと、前記フレームデータ振分手段と、前記出力手段と、を収納する第2ケースと、を備えていてもよい。
小型化が容易な上述のケースを第1ケースとし、フレームデータ振分手段、及び第1出力手段と第2出力手段、又はフレームデータ振分手段、及び出力手段を収納する第2ケースを別に設けるものである。
なお、それが存在する場合には、上述のケース又は第1ケースには第2垂直同期信号検出手段を、第2ケースには第1垂直同期信号検出手段を収納しても良い。
本願のビデオカメラが内視鏡である場合、当該内視鏡は、体内に挿入される一般には曲折可能な部材であるスコープ部に光ファイバを束ねて作られたイメージガイドファイバを有するものであってもよい。イメージガイドファイバは、スコープ部を曲折する必要がない場合には、ロッドレンズなどに置き換えることができる。この場合、撮像手段は、スコープ部の基端側に設けられても構わない。また、照明手段はスコープ部の先端側と基端側のいずれに配しても良い。
上述したように、本願のビデオカメラは、内視鏡とすることができる。医療用或いは工業用の内視鏡による観察を行う場合には、反射光がある動画とない動画で、同位置を略同時に観察することができるという作用効果は極めて重要になるので、特に偏光を照明光に用いた場合との親和性が高い。
【0036】
第1発明と同様の作用効果を、例えば以下の方法により得ることができる。
その方法は、撮像の対象となる対象物からの像光を捉えて撮像し、連続した多数のフレームのデータを有するビデオ信号を出力する撮像手段と、制御手段と、第1出力手段と、第2出力手段と、を含んでなるビデオカメラにて実行される方法であって、前記制御手段が、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームについてのデータから、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、フレームの集合である第1フレーム群についてのデータと、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、前記第1フレーム群に含まれるフレームと重複しないフレームの集合である第2フレーム群についてのデータとを生成する過程と、前記第1出力手段が、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータを出力する過程と、前記第2出力手段が、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータを出力する過程と、を含んでおり、前記制御手段は、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなるようにする、方法である。
【0037】
第2発明と同様の作用効果を、例えば以下の方法により得ることができる。
その方法は、撮像の対象となる対象物からの像光を捉えて撮像し、連続した多数のフレームのデータを有するビデオ信号を出力する撮像手段と、制御手段と、出力手段と、を含んでなるビデオカメラにて実行される方法であって、前記制御手段が、前記撮像手段が出力した前記ビデオ信号に含まれる多数の前記フレームについてのデータから、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、フレームの集合である第1フレーム群についてのデータと、それに含まれるフレームを連続して見たユーザがそれを動画として認識できるようになっている、前記第1フレーム群に含まれるフレームと重複しないフレームの集合である第2フレーム群についてのデータとを生成する過程と、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータによる第1動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータによる第2動画とを、所定のディスプレイが一画面に表示できるような動画についての動画データを生成する過程と、合成された動画データを前記出力手段に出力させる過程と、を含んでおり、前記制御手段は、前記第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、前記第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とは、異質なものとなるようにする方法である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の第1〜第4実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
各実施形態(及びその変形例)の説明において、重複する対象には同じ符号を付すものとし、重複する説明は場合により省略するものとする。
また、各実施形態、各変形例に記載の内容は、他の実施形態又は変形例に適用できない合理的な理由がない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。
【0040】
≪第1実施形態≫
図1に、この実施形態におけるビデオカメラの模式図を示す。
この実施形態のビデオカメラは、内視鏡100である。この実施形態における内視鏡100は医療用内視鏡であるが、工業用内視鏡であっても構わない。この実施形態の内視鏡100は、2台のディスプレイであるディスプレイD1、ディスプレイD2と、ケーブルC1、ケーブルC2でそれぞれ接続して用いられる。
【0041】
内視鏡100は、その全体的な構成は、従来のものと変わらない。
内視鏡100は、スコープ部110と、ビデオプロセッサボックス120とを備えている。
【0042】
スコープ部110は、少なくともその先端側が患者の体内に挿入される。それが可能な程度にスコープ部110は細く、また、柔軟で曲折可能とされている。スコープ部110はこの実施形態では断面円筒形であり、例えば樹脂でできている。スコープ部110の基端は、ビデオプロセッサボックス120に着脱自在に接続されている。
スコープ部110の先端には、撮像を行う撮像部130が設けられている。
【0043】
撮像部130は、
図2に示したように構成されている。
撮像部130は、ケース131に囲まれている。ケース131は、この限りではないがスコープ部110と同径の断面円形であり、またこの限りではないが樹脂製である。ケース131の先端面には、後述する第1光源133Aからの光を撮像の対象となる対象物に照射できるようにするための第1孔131Aと、後述する第2光源133Bからの光を撮像の対象となる対象物に照射できるようにするための第2孔131Bと、対象物からの像光を後述する撮像素子に導くための第3孔131Cとが設けられており、ケース131の後端面には、後述する信号線137Aを通過させるための孔131Dが設けられている。なお、孔131Dを通過するのは信号線137Aのみならず、後述する撮像素子136に電源を供給するための電源線なども存在するが、周知であることもあり、図示、説明とも省略する。
第1孔131A、第2孔131B 、第3孔131C、孔131Dはいずれも、その大きさ、形状は上述した役割が担保される限り特に制限はない。この実施形態ではいずれも適当な大きさの円形とされている。
第1孔131Aにはそれを透過した光を直線偏光にする第1偏光板132Aが設けられている。第1偏光板132Aは、内視鏡100の使用中に患者の体液等がケース131内に入り込まないように、第1孔131Aを少なくとも水密に覆っている。
第2孔131Bにはそれを透過した光の偏光状態に影響を与えない透明な封止板132Bが設けられている。封止板132Bは、第2孔131Bを少なくとも水密に覆っている。
第3孔131Cにはそれを透過した光を直線偏光にする偏光板132Cが設けられている。偏光板132Cは、第3孔131Cを少なくとも水密に覆っている。偏光板132Cは、その偏光方向が第1偏光板132Aの偏光方向と直交している。
【0044】
第1孔131Aのやや後端側には、第1光源133Aが設けられている。第1光源133Aは、第1孔131Aを通して、対象物の撮像に必要な照明光を照射するようになっている。第1光源133Aが照射する照明光は当初は自然光である。この照明光は、第1偏光板132Aを通過して、偏光板132Cと直交する方向の直線偏光となる。偏光となったこの照明光が第1照明光である。
第2孔131Bのやや後端側には、第2光源133Bが設けられている。第2光源133Bは、第2孔131Bを通して、対象物の撮像に必要な照明光を照射するようになっている。第2光源133Bが照射する照明光は当初は自然光である。この照明光は、封止板132Bを通過しても偏光化されない。この照明光が第2照明光である。
【0045】
第1光源133Aと第2光源133Bはともに、適当なタイミングで点灯、消灯を繰り返すようになっている。第1光源133Aと第2光源133Bは選択的に点灯される。つまり、両者が同時に点灯することはなく、第1光源133Aと第2光源133Bは交互に点灯することとなる。もっとも、第1光源133Aが消灯してから第2光源133Bが点灯するまでの間、又は第2光源133Bが消灯してから第1光源133Aが点灯するまでの間には、時間的に隙間が空いても構わない。
第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯は、照明切換部134が行う。照明切換部134は、第1光源133Aと第2光源133Bのそれぞれに、信号線134A、134Bで接続されている。照明切換部134は、信号線134Cにて接続された、後述する第2垂直同期信号検出部137から送られてくる信号に基づいて、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の制御を行うが、かかる制御の詳細については後述する。
【0046】
第3孔131Cのやや後端側には、レンズ135が設けられており、レンズ135の後端側には、撮像素子136が設けられている。レンズ135は拡大レンズであり、対象物からの像光を撮像素子136に結像させる。レンズ135は図示されたように一枚であることを要せず、複数枚のレンズから構成されていてもよい。
撮像素子136は、例えばCCD或いはCMOSであり、対象物からの像光を撮像し、ビデオ信号を生成するようになっている。撮像素子136は、ビデオ信号を出力するための回路を含んでいる。このビデオ信号は、一般的なものであり、例えばVBS信号である。つまり、撮像素子136となるCCD、CMOSなどは一般的なもので良い。この実施形態の撮像素子136は、プログレッシブ方式の描画をディスプレイD1、D2にさせることができるようなビデオ信号を出力する。
ビデオ信号は、
図4にvで示したように、一定の時間ごとに信号が繰り返される。この信号一つ一つが、1フレーム分の画像データに対応している。なお、
図4では、一つ一つの信号を矩形波で表現しているが、実際の信号が矩形波であるとは限らないことは当然である。また、ビデオ信号には、これには限られないが多くの場合はそれに重畳される形で、vsyncで示されたような垂直同期信号が含まれている。
図4では、簡単のために、ビデオ信号と垂直同期信号を別に描いている。垂直同期信号は、1フレーム分の画像信号の終わりのタイミングを示す信号であり、この実施形態ではこれには限られないが、その立ち上がりのタイミングで1フレームの信号の最後の瞬間を示すものとなっている。なお、この実施形態では、垂直同期信号は、撮像素子136の中に含まれた図示を省略の垂直同期信号を生成するための手段によって生成される。
ビデオ信号は、撮像素子136と信号線136Aで接続された第2垂直同期信号検出部137に送られるようになっている。
【0047】
第2垂直同期信号検出部137は、撮像素子136から受付けたビデオ信号から、垂直同期信号を検出するようになっている。第2垂直同期信号検出部137が垂直同期信号を検出したタイミングは、信号線134Cを介して照明切換部134に伝えられるようになっている。
照明切換部134は第2垂直同期信号検出部137から伝えられたこのタイミングに基づいて、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の制御を行う。
ビデオ信号は、また、第2垂直同期信号検出部137を通過して、信号線137Aを介して、ビデオプロセッサボックス120に送られるようになっている。
【0048】
ビデオプロセッサボックス120は、
図3に示されたように構成されている。
ビデオプロセッサボックス120は、ケース121を備えている。ケース121は、これには限られないが樹脂製であり、この実施形態では直方体形状である。ケース121にはスコープ部110が接続されており、信号線137Aが引き込まれている。ケース121には、第1出力端子121Aと第2出力端子121Bが設けられている。第1出力端子121AはディスプレイD1と、第2出力端子121BはディスプレイD2と、ケーブルであるケーブルC1、ケーブルC2でそれぞれ接続される。ケース121には、また、信号線137Aをその内部に引き込むための孔121Cが設けられている。
【0049】
ケース121の中には、第1垂直同期信号検出部122が設けられている。第1垂直同期信号検出部122は、信号線137Aと接続され信号線137Aを介して受取ったビデオ信号から、第2垂直同期信号検出部137と同じように垂直同期信号を検出するようになっている。第1垂直同期信号検出部122が垂直同期信号を検出したタイミングは、第1垂直同期信号検出部122と信号線122Aを介して接続された出力制御部123に伝えられるようになっている。
【0050】
出力制御部123は、また、第1垂直同期信号検出部122と信号線122Bで接続されており、信号線122Bを介してビデオ信号を受取るようになっている。
出力制御部123は、また、信号線123Aを介して第1出力端子121Aと、信号線123Bを介して第2出力端子121Bとそれぞれ接続されている。出力制御部123は、ビデオ信号中の各矩形波のうちのどれに含まれるデータを第1出力端子121AからディスプレイD1に、また、ビデオ信号中の各矩形波のうちのどれに含まれるデータを第2出力端子121BからディスプレイD2に出力するかの制御、つまり矩形波をどのように振分けるかという制御を行う。これらデータのうち第1出力端子121Aへ向かうものは、信号線123Aを通って、第2出力端子121Bへ向かうものは、信号線123Bを通って、それぞれ第1出力端子121A又は第2出力端子121Bへ向かう。
なお、以下の関係は逆でも構わないが、この実施形態では、第1出力端子121Aから出力されるのが第1フレーム群のフレームのデータであり、第2出力端子121Bから出力されるのが第2フレーム群のデータである。第1フレーム群のフレームのデータ、第2フレーム群のフレームのデータとも、それに含まれるフレームのデータによってディスプレイD1又はディスプレイD2に表示されたフレームを連続してみたユーザがそれを動画として認識できるようになっている。また、第1フレーム群のフレームのデータに含まれるデータに対応するフレームと、第2フレーム群のフレームのデータに含まれるデータに対応するフレームには重複するものがないようになっている。
出力制御部123は、ビデオ信号中のどの矩形波に対応するデータを第1フレーム群のフレームのデータに含め、どの矩形波に対応するデータを第2フレーム群のフレームのデータに含めるかを、第1垂直同期信号検出部122から伝えられた、第1垂直同期信号検出部122が垂直同期信号を検出した上述のタイミングに基づいて、制御する。その制御方法については、後述する。
出力制御部123は、2つのメモリ126A、126Bを備えている。メモリ126A、126Bはそれぞれ、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータに振分けられた後の、ディスプレイD1、D2に表示される画像についての最新の1フレーム分のデータを、次のフレームのデータが来るまで保持するものである。
【0051】
なお、信号線123Aからは信号線123A1が、信号線123Bからは信号線123B1がそれぞれ分岐しており、信号線123A1と、信号線123B1はともに、記録部124に接続されている。記録部124は、ハードディスクドライブ、RAMなどのビデオプロセッサボックス120に内蔵の記録媒体か、或いはDVD、メモリカードなどのビデオプロセッサボックス120に対して着脱自在な記録媒体を含んでいる。記録部124は、信号線123A1を介して受取った第1フレーム群のフレームのデータと、信号線123B1を介して受取った第2フレーム群のフレームのデータとを、別個にそれぞれ記録する。
記録部124には、また、記録部124に記録された第1フレーム群のフレームのデータを信号線123A1、信号線123Aを介して第1出力端子121Aから出力する制御、及び記録部124に記録された第2フレーム群のフレームのデータを信号線123B1、信号線123Bを介して第2出力端子121Bから出力する制御を行う記録制御部125が接続されている。これにより、記録部124に記録された第1フレーム群のフレームのデータ、及び第2フレーム群のフレームのデータは、ビデオカメラでの撮像が行なわれた後のユーザが希望した任意の時に、ユーザが希望するディスプレイに出力できるようになっている。かかる出力は、例えば、ビデオプロセッサボックス120に設けられているかビデオプロセッサボックス120に接続されている所定の入力装置(スイッチ、テンキー、キーボード等)の操作により記録制御部125が行う。なお、記録制御部125は、記録部124に第1フレーム群のフレームのデータ、及び第2フレーム群のフレームのデータを記録させるか否かの制御を行うようになっていても良い。そのような制御を記録制御部125が行なわない場合には、記録部124は、常に第1フレーム群のフレームのデータ、及び第2フレーム群のフレームのデータを記録するようになっていてもよい。
なお、記録部124が可搬の記録媒体を含んでいるのであれば、ユーザはその可搬の記録媒体に記録された第1フレーム群のフレームのデータ又は第2フレーム群のフレームのデータを、そのデータを可搬の記録媒体から読み取り可能な機器(例えば、適当な動画再生装置やパーソナルコンピュータ)と接続した所望のディスプレイで再生することができる。
【0052】
次に、この内視鏡100の使用方法、及び動作について説明する。
内視鏡100を用いるには、スコープ部110を患者の体内に挿入する。これには限られないが、この実施形態では、スコープ部110の先端の撮像部130が患者の胃に届くまで、口から食道を経て胃まで、スコープ部110を挿入することとする。そして、スコープ部110を胃まで挿入しながら、撮像が行なわれる。撮像の対象となるのは、食道、胃の内表面であり、これらが撮像の対象となる対象物となる。
【0053】
撮像部130は、対象物を撮像する。
より詳細には、撮像部130内の撮像素子136が、第3孔131Cに嵌められた偏光板132Cとレンズ135を介して対象物から来る像光を撮像する。
第1光源133Aと、第2光源133Bとは交互に点灯、消灯を繰り返す。撮像素子136が撮像を行うときには、第1光源133A、第2光源133Bのいずれかが点灯している。第1光源133Aと、第2光源133Bが点灯しているときに撮像素子136で撮像される画像は以下のようなものとなる。
【0054】
まず、第1光源133Aが点灯している場合には、
図5に示したような像光が撮像される。なお、
図5(A)は対象物の表面で反射する表面反射光を、
図5(B)は対象物の表面から若干対象物に入って反射する内部反射光の振る舞いを示している。また、太線の○印の中に引かれた直線は当該部分における照明光又は像光の偏光の方向を示しており、○印の中に四方八方に線が引かれているのは当該部分における照明光又は像光の偏光が乱れている(例えば自然光化している。)ことを示している。以下も同様である。
第1光源133Aから出た照明光は、第1偏光板132Aを通過する。なお、第1偏光板132Aの偏光の向きは便宜上斜線の向きに等しいものとする。以下も同様である。第1偏光板132Aを通過すると、照明光は、左右方向に振動する直線偏光になる。ここまでは、
図5(A)、(B)で共通である。
第1偏光板132Aを通過した照明光である第1照明光は、対象物Xに当たり、対象物Xからの像光となる。対象物Xの表面で反射した第1照明光は、その偏光状態が維持されたままである。この像光は、第1偏光板132Aと偏光の向きが直交する偏光板132Cに遮断され、撮像素子136には届かない(
図5(A))。他方、対象物Xの中に若干入り込んで反射してきた像光は、その偏光状態が乱れている。この像光は、その中に含まれる偏光板132Cと偏光の方向が一致する成分が偏光板132Cを通過するので、少なくともその半分程度が偏光板132Cを通過する(
図5(B))。
結果として、第1光源133Aが点灯しているときは、表面反射光のない対象物の艶消しの画像が得られることになる。
なお、この実施形態では、第1光源133Aと、第2光源133Bは、内視鏡の用途を考えると白色光を照明光として照射するものであることが好ましい。この実施形態における、第1光源133Aと、第2光源133Bのうち少なくとも第1光源133Aは、第1偏光板132Aと、偏光板132Cを透過する光の消光比が90%以上となる波長領域に含まれる波長の光しか含んでいない。より好ましくは、この実施形態では、第1光源133Aは、光の消光比が100%となる波長領域に含まれる波長の光しか含んでいない。それは、例えば、第1光源133Aを、そのような波長領域に含まれる光を発する微細な光源を複数集めてなるLEDにより構成することにより実現できる。特定の幾つかの波長の光を混合した光を白色光か或いはそれに近い光として用いる(少なくとも人間の目にそう見せる)ことは可能であるが、上述のような第1光源133Aを用いると、得られる動画における色の再現性が良くなる。なお、この実施形態では、第2光源133Bも第1光源133Aと同じものとされている。
【0055】
他方、第2光源133Bが点灯している場合には、
図6に示したような像光が撮像される。なお、
図6(A)は対象物の表面で反射する表面反射光を、
図6(B)は対象物の表面から若干対象物に入って反射する内部反射光の振る舞いを示している。
第2光源133Bから出た照明光は、封止板132Bを通過する。封止板132Bを通過しても、照明光は偏光化されない。ここまでは、
図6(A)、(B)で共通である。
封止板132Bを通過した照明光である第2照明光は、対象物Xに当たり、対象物Xからの像光となる。もとより偏光でないので、対象物Xの表面で反射してきた像光も、対象物Xの中に若干入り込んで反射してきた像光も、その偏光状態が乱れている。これら像光はともに、その中に含まれる偏光板132Cと偏光の方向が一致する成分が偏光板132Cを通過するので、少なくともその半分程度が偏光板132Cを通過する。
結果として、第2光源133Bが点灯しているときは、表面反射光も内部反射光も撮像されるので、対象物の艶有りの画像が得られることになる。
【0056】
上述のような理屈で、第1光源133Aが点灯しているときは艶消しの、第2光源133Bが点灯しているときは艶有の画像が得られることになる。そして、これら画像がどのように動画になるかという点について説明する。
【0057】
上述したように、撮像素子136は、
図4に示したようなビデオ信号vを出力する。ビデオ信号vには、垂直同期信号vsyncが含まれている。
ビデオ信号vは、第2垂直同期信号検出部137に送られる。第2垂直同期信号検出部137は、ビデオ信号vに含まれている垂直同期信号vsyncを検出し、そのタイミングを照明切換部134に伝える。照明切換部134は、第2垂直同期信号検出部137から伝えられた垂直同期信号のタイミングに基づいて第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の制御を行う。
他方、ビデオ信号vは、信号線137Aを介して第1垂直同期信号検出部122に送られる。第1垂直同期信号検出部122は、第2垂直同期信号検出部137と同様に垂直同期信号vsyncを検出し、そのタイミングを出力制御部123に伝える。第2垂直同期信号検出部137と第1垂直同期信号検出部122は、同時に垂直同期信号vsyncを検出するので、そのタイミングを伝えられる照明切換部134と出力制御部123のそれぞれが行う処理を、同期したものとすることが可能となる。
【0058】
この実施形態では、出力制御部123は、
図4に示したように、タイミング信号が検出されたとの通知を第1垂直同期信号検出部122から受取った瞬間毎に、スイッチングを行い、信号線122Bを介して受取ったビデオ信号v中の各矩形波を1つずつ、信号線123Aと信号線123Bに交互に振り分けていく。
図4では、信号線123Aに振分けられる矩形波の上に「1」の表示を、信号線123Bに振分けられる矩形波の上に「2」の表示をしている。信号線123Aから第1出力端子121A、ケーブルC1を介してディスプレイD1に向かうビデオ信号が、第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータとなり、信号線123Bから第2出力端子121B、ケーブルC2を介してディスプレイD2に向かうビデオ信号が、第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータとなる。
このようなデータの振分けは、概念的には、
図3に示したように、ビデオ信号vを出力制御部123に送ってくる信号線122Bを、スイッチ123Sにより、交互に信号線123Aと信号線123Bに接続することにより実現可能である。そのようなスイッチ123Sの切換は、例えばフリップフロップ回路を用いることにより実現可能である。
【0059】
出力制御部123の上述の処理により生成される、信号線123Aから第1出力端子121A、ケーブルC1を介してディスプレイD1に向かうビデオ信号と、信号線123Bから第2出力端子121B、ケーブルC2を介してディスプレイD2に向かうビデオ信号はともに、元のビデオ信号vで再生される動画から半分フレームが落ちた動画をディスプレイD1又はディスプレイD2に表示させるものとなる。言い換えれば、それらは共に、元のビデオ信号vで再生される動画のフレームレートが半分になった動画をディスプレイD1又はディスプレイD2に表示させるようなビデオ信号となる。
【0060】
上述の処理が行われているのと同時に、第2垂直同期信号検出部137から垂直同期信号を検出したタイミングを通知された照明切換部134は、以下のように動作する。照明切換部134は、タイミング信号が検出されたとの通知を第2垂直同期信号検出部137から受取る毎に、例えばその通知を受取った瞬間に、スイッチングを行い、第1光源133Aと第2光源133Bを交互に点灯、消灯させる。具体的には、
図4で示された矩形波のうち信号線123Aに振分けられるもの(つまり第1フレーム群に振分けられるフレーム)が撮像されているときは第1光源133Aが点灯して第2光源133Bが消灯した状態となり、
図4で示された矩形波のうち信号線123Bに振分けられるもの(つまり第2フレーム群に振分けられるフレーム)が撮像されているときは第2光源133Bが点灯して第1光源133Aが消灯した状態となるように、第1光源133Aと第2光源133Bを制御する。これもスイッチの切換により実現できるが、そのようなスイッチの切換は、例えばフリップフロップ回路を用いることにより実現可能である。
これにより、第1フレーム群に振分けられるフレームが撮像素子136によって撮像される場合には第1光源133Aが点灯し、第2フレーム群に振分けられるフレームが撮像素子136によって撮像される場合には第2光源133Bが点灯することになる。つまり、第1フレーム群に振分けられるフレームのデータによってディスプレイD1に表示される動画は艶消しの動画となり、第2フレーム群に振分けられるフレームのデータによってディスプレイD2に表示される動画は艶有りの動画となる。
医師はそれら2種類の動画をまとめて見ることにより、より正確な診断を行うことができるようになる。
【0061】
なお、撮像素子136の種類によっては、あるフレームの撮像を行なってからそのフレームのデータを出力するまでに若干の遅延を生じる場合がある。そのような遅延があると、第2垂直同期信号検出部137が垂直同期信号を検出するタイミングと、実際に撮像素子136が撮像を行うタイミングとにずれが生じる可能性がある。これは、撮像素子136が撮像を行うタイミングと、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯のタイミングにずれが生じることを意味する。そのような場合には、第2垂直同期信号検出部137から照明切換部134までの間か、照明切換部134の内部に、撮像素子136があるフレームを撮像してからそのフレームのデータを出力するまでに生じる上述の遅延の時間分だけ照明の切換のタイミングを遅らせるための機構を設けておけばよい。例えば、所定の信号を上述の遅延の時間分だけ遅延させる遅延回路を設けておけば、それは容易に実現可能である。
【0062】
なお、記録部124には、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータが記録される。これらデータを用いて、ディスプレイD1とディスプレイD2に、リアルタイムで見られた上記2種類の動画をそれぞれ好きなときに表示させることもできるし、同じ動画を他のディスプレイに好きなときに表示させることも可能である。
【0063】
<変形例1>
変形例1のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
異なるのは以下の点のみである。
第1実施形態における撮像素子は、プログレッシブ方式の描画をディスプレイD1、D2(以下、単に「D」とする場合がある。)にさせることができるようなビデオ信号を出力するものとなっていた。これに対しこの実施形態における撮像素子は、インタレース方式での描画をディスプレイDにさせることができるようなビデオ信号を出力する。
ビデオ信号vは、
図7に示したような波形となる。
ビデオ信号vに含まれる各矩形波は、第1実施形態のものとは異なり、ディスプレイDの1フレーム分の画像ではなく、その奇数行目又は偶数行目の画像である。
図7中Oの符号が付されている矩形波がディスプレイDの奇数行目の走査線に対応するデータであり、Eの符号が付されている矩形波がディスプレイDの偶数行目の走査線に対応するデータである。データOとデータEが一組となって、ディスプレイDの走査線の奇数行目と偶数行目の描画がなされる。つまり、この変形例ではデータOとデータEが一組となって1フレーム分のデータとなる。
図示を省略するが、ビデオ信号vに含まれる各矩形波には、ディスプレイDの奇数行目の走査線に対応するデータOにも、ディスプレイDの偶数行目の走査線に対応するデータEにも、第1実施形態のビデオ信号vに含まれていたのと同様の垂直同期信号が含まれている。
【0064】
変形例1では、ビデオ信号vが上述のようなものであることを前提としつつ、以下の2通りの処理が実現可能である。
1通り目の処理は以下のようなものである。
1通り目の処理は、変形例1におけるデータOとデータEのそれぞれを、第1実施形態における矩形波にそれぞれ対応したものとして取扱うというものである(
図7(B))。この場合には、第1垂直同期信号検出部122、出力制御部123、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134で行なわれる処理はすべて第1実施形態の場合と同じになる。ただしその結果得られる第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータは、それがディスプレイD1に表示させる動画が、ビデオ信号vにより動画を表示させたときと比較してフレームレートが半分になった動画となるようなデータではなく、それがディスプレイD1に表示させる動画が、ビデオ信号vにより動画を表示させたときと比較して走査線数(或いは画素数)が半分になった動画となるようなデータとなる。
他方、2通り目の処理は以下のようなものである。
2通り目の処理は、変形例1におけるデータOとデータEを一纏めにしたものを、第1実施形態における矩形波にそれぞれ対応したものとして取扱うというものである(
図7(A))。この場合には、出力制御部123と、照明切換部134は垂直同期信号が2回検出される毎に、第1実施形態で説明したスイッチングの処理を実行することになる。これは例えば、第1垂直同期信号検出部122と、第2垂直同期信号検出部137をともに、垂直同期信号を2回検出する毎に第1実施形態で説明した垂直同期信号を検出したという通知を出力制御部123又は照明切換部134に送るようにするとともに、出力制御部123及び照明切換部134がその通知を受取る毎に第1実施形態で述べたスイッチングの処理を実行するようにするか、或いは、第1垂直同期信号検出部122と、第2垂直同期信号検出部137を、垂直同期信号を検出する毎に垂直同期信号を検出したという通知を送出するようにするとともに、出力制御部123及び照明切換部134を、その通知を2回受取る毎に第1実施形態で述べたスイッチングの処理を実行するようにすることにより、実現可能である。また、これらはいずれも、信号の数を2までカウントできるカウンタとカウンタのカウントに従い出力制御部123及び照明切換部134又は第1垂直同期信号検出部122及び第2垂直同期信号検出部137の動作を変更させる手段を第1垂直同期信号検出部122及び第2垂直同期信号検出部137か、出力制御部123及び照明切換部134に適宜配するだけで容易に実現可能である。
【0065】
<変形例2>
変形例2のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
異なるのは以下の点のみである。
第1実施形態の出力制御部123は、
図4に示したように、タイミング信号が検出されたとの通知を第1垂直同期信号検出部122から受取った瞬間毎に、スイッチ123Sのスイッチングを行い、信号線122Bを介して受取ったビデオ信号v中の各矩形波を1つずつ、信号線123Aと信号線123Bに交互に振り分けていくようになっていた。つまり、第1実施形態では、矩形波に対応するすべてのフレームを捨てることなく、第1フレーム群又は第2フレーム群に交互に振り分けることとしていた。
これに対し、この変形例の内視鏡の出力制御部123は、タイミング信号が検出されたとの通知を第1垂直同期信号検出部122から受取った瞬間のすべてでスイッチングを行うことはせず、ビデオ信号vに含まれる矩形波を、例えば、
図8の(A)〜(C)のように信号線123Aと信号線123Bに振分けるようになっている。
【0066】
図8(A)の例は、ビデオ信号vに含まれる各矩形波を、「第1フレーム群」、「捨てる」(矩形波の上に「1」、「2」の記載がないもの)、「第2フレーム群」、「捨てる」、「第1フレーム群」、「捨てる」、「第2フレーム群」、「捨てる」…、の順番で信号線123Aと信号線123Bに振分けるものとなっている。つまり、
図8(A)の例では、その出力制御部123が、ビデオ信号vに含まれる多数のフレームについてのデータから、一定の枚数置き(より正確には3枚置き)のフレームについてのデータを抜き出して第1フレーム群に含まれるフレームのデータとするとともに、第1フレーム群に含まれないフレームについてのデータから一定の枚数置き(より正確には3枚置き)のフレームについてのデータを抜き出して第2フレーム群に含まれるフレームのデータとするようになっている。
図8(B)の例は、ビデオ信号vに含まれる各矩形波を、「第1フレーム群」、「第2フレーム群」、「捨てる」、「第1フレーム群」、「第2フレーム群」、「捨てる」…、の順番で、信号線123Aと信号線123Bに振分けるものとなっている。つまり、
図8(B)の例では、その出力制御部123が、ビデオ信号vに含まれる多数のフレームについてのデータから、一定の枚数置き(より正確には2枚置き)のフレームについてのデータを抜き出して第1フレーム群に含まれるフレームのデータとするとともに、第1フレーム群に含まれないフレームについてのデータから一定の枚数置き(より正確には2枚置き)のフレームについてのデータを抜き出して第2フレーム群に含まれるフレームのデータとするようになっている。
図8(A)、
図8(B)の例はいずれも、ビデオ信号vに含まれる多数のフレームについてのデータの一部を捨てる場合であり、ビデオ信号vがインタレース方式の描画をディスプレイDにさせるものであり、且つ変形例1におけるデータOとデータEのそれぞれを、第1実施形態における矩形波にそれぞれ対応したものとして取扱うのでなければ、第1フレーム群のフレームのデータ又は第2フレーム群のフレームのデータにより描画されることになる動画のフレームレートは、元のビデオ信号vによって描画されることになる動画のフレームレートの半分未満となる。
これらにおいて出力制御部123でスイッチ123Sが行うスイッチングはそれぞれ、
図8(A)の場合であれば、「信号線122Bを信号線123Aと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」、「信号線122Bを信号線123Bと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」、「信号線122Bを信号線123Aと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」、「信号線122Bを信号線123Bと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」…という処理を繰り返すものとなる。
図8(B)の場合であれば、「信号線122Bを信号線123Aと接続」、「信号線122Bを信号線123Bと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」、「信号線122Bを信号線123Aと接続」、「信号線122Bを信号線123Bと接続」、「信号線122Bを信号線123Aと信号線123Bのいずれにも接続しない」…という処理を繰り返すものとなる。
このようなスイッチ123Sのスイッチングは、カウンタ等を適宜用いれば周知技術により実現可能である。
【0067】
他方、
図8(C)の例は、ビデオ信号vに含まれる各矩形波を、「第1フレーム群」、「第2フレーム群」、「第1フレーム群」、「第1フレーム群」、「第2フレーム群」、「第1フレーム群」、「捨てる」、「第1フレーム群」、「第2フレーム群」、「第1フレーム群」、…、の順番で、信号線123Aと信号線123Bに振分けるものとなっている。この場合には、第1フレーム群に振分けられたフレームのフレームレート、第2フレーム群に振分けられたフレームのフレームレートともに時間により変化することになる。
したがってこの例はそれほど有用ではない。本願発明によればこのような変形例も実現可能であるということである。
【0068】
<変形例3>
変形例3のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
異なるのは以下の点のみである。
第1実施形態では、第2光源133Bの前にはそれを通過する光の偏光状態に影響を与えない封止板132Bが存在した。変形例3ではこの封止板132Bが、撮像素子136の前にある偏光板132Cとその偏光方向が同じである第2偏光板132B1に置き換えられている。
この場合にも以下の理由により第1光源133Aが点灯した場合には艶消しの画像が、第2光源133Bが点灯した場合には艶有の画像が撮像素子136で撮像されることになる。
まず、第1光源133Aが点灯している場合には、
図9に示したような像光が撮像される。このときの表面反射光と内部反射光の振る舞いは、
図5に示した場合と変わらない。なお、
図9中の各記号の意味は
図5に、
図10中の各記号の意味は
図6にそれぞれ倣っている。
他方、第2光源133Bが点灯している場合には、
図10に示したような像光が撮像される。
第2光源133Bから出た照明光は、第2偏光板132B1を通過する。第2偏光板132B1を通過した照明光は、偏光板132Cの偏光方向と同じ方向に偏光化される。ここまでは、
図10(A)、(B)で共通である。
第2偏光板132B1を通過した照明光である第2照明光は、対象物Xに当たり、対象物Xからの像光となる。対象物Xの表面で反射してきた像光は偏光を保っているが、その偏光方向が偏光板132Cの偏光方向と同じであるから偏光板132Cを通過する。他方、対象物Xの中に若干入り込んで反射してきた像光は、その偏光状態が乱れている。この内部反射光による像光は、その中に含まれる偏光板132Cと偏光の方向が一致する成分が偏光板132Cを通過するので、少なくともその半分程度が偏光板132Cを通過する。
結果として、第2光源133Bが点灯しているときは、表面反射光も内部反射光も撮像されるので、対象物の艶有りの画像が得られることになる。
以上のように、封止板132Bを、それを通過した光の偏光状態に影響を与える偏光板である第2偏光板132B1に変更しても、第1実施形態と同様の2種類の動画を撮像でき、その作用効果は保たれる。第2偏光板132B1の偏光方向は、第2光源133Bが撮像されるときの画像の暗さを無視すれば、理論上、偏光板132Cとその偏光方向が直交していなければ、第2光源133Bが点灯した場合に得られる画像を艶ありの画像とすることができる。
【0069】
<変形例4>
変形例4のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
異なるのは以下の点のみである。
変形例4のビデオカメラの撮像部130を
図11に示す。
第1実施形態のビデオカメラは第1光源133Aと第2光源133Bという2つの光源を備えていたが、変形例4では光源は、第1光源133Aのみを残している。そしてこの第1光源133Aは撮像中は点灯したままである。また、第1実施形態のビデオカメラでは第1光源133Aと第2光源133Bという2つの光源が存在していた関係上、それらの前方に第1孔131Aと第2孔131Bという2つの孔が存在していたが、第2光源133Bをなくした変形例4では第1孔131Aのみを残し、第2孔131Bをなくしている。なお、第1孔131Aには、第1偏光板132Aではなく、封止板132Bが嵌められている。
また、変形例4のビデオカメラは、液晶板138を備えている。液晶板138は、第1光源133Aから対象物までの光路上に存在する。液晶板138はそれに印加する電圧を変更することにより、偏光板として機能する第1状態と、それを透過する光の偏光状態に影響を与えない第2状態とを取ることができるようになっている。第1状態におけるその偏光方向は、偏光板132Cと直交する方向である。
また、第1実施形態の照明切換部134は、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の切換を行ったが、変形例4の照明切換部134は、その代わりに、液晶板138の制御を行う。具体的には、変形例4の照明切換部134は、液晶板138が所定のタイミングで、第1状態から第2状態に、又は第2状態から第1状態に変化するように、液晶板138を制御する。
【0070】
照明切換部134が液晶板138の状態を変化させるタイミングは、第1実施形態の場合と同様の方法で制御でき、変形例4では、第1実施形態において第1光源133Aが点灯したのと同じ瞬間に液晶板138が第2状態から第1状態に変化し、第1実施形態において第2光源133Bが点灯したのと同じ瞬間に液晶板138が第1状態から第2状態に変化するようになっている。
液晶板138が第1状態を取っているときは、第1光源133Aから出た光は、液晶板138を透過すると、その偏光方向が偏光板132Cと直交する方向である偏光となる。このときの液晶板138は、第1実施形態における第1偏光板132Aと等価である。したがって、液晶板138を透過した第1光源133Aからの照明光である第1照明光は、その後透過するのがそれを透過する光の偏光の状態に影響を与えない封止板132Bであることもあり、第1実施形態における第1照明光と等価なものとなる。
他方、液晶板138が第2状態を取っているときは、液晶板138を透過しても、第1光源133Aから出た光は偏光していない。このときの液晶板138は、第1実施形態における封止板132Bと等価である。したがって、液晶板138を透過した第1光源133Aからの照明光である第2照明光は、第1実施形態における第2照明光と等価なものとなる。
つまり、変形例4における第1照明光、第2照明光とも第1実施形態のときのそれと変わらないので、変形例4においても、艶消しの動画と艶有りの動画を撮像できることになる。
【0071】
<変形例5>
変形例5のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
更に言えば、変形例5のビデオカメラは、変形例4のビデオカメラにかなり近いものになっている。
変形例5のビデオカメラの撮像部130を
図12に示す。
変形例5のビデオカメラは、変形例4のビデオカメラ同様、光源は、第1光源133Aのみである。そしてこの第1光源133Aは、変形例4の場合と同様、撮像中は点灯したままである。また、変形例5のビデオカメラでは、変形例4の場合と同様、第1孔131Aは残っているが、第2孔131Bはない。第1孔131Aに封止板132Bが嵌められている点も変形例4と同様である。
変形例5のビデオカメラは、また、後述するような移動を行う偏光板である移動偏光板139Aを備えている。移動偏光板139Aの偏光方向は、第1偏光板132Aと同じであり、偏光板132Cの偏光方向とは直交している。移動偏光板139Aは、実線で示した位置と、二点鎖線で示した位置との間で往復運動を行うようになっている。移動偏光板139Aは、実線で示した位置にあるときは、第1光源133Aからでる照明光の光路上に位置せず、二点鎖線で示した位置にあるときには、第1光源133Aからでる照明光の光路上に位置する。なお、両位置、及びその間で、移動偏光板139Aの偏光の方向は変化しないようになっている。
移動偏光板139Aの移動を実現するのが、移動機構139Bである。移動機構139Bは所定のフレーム等で支持された移動偏光板139Aを平行移動により往復させる。
【0072】
第1実施形態の照明切換部134は、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の切換を行ったが、変形例5の照明切換部134は、その代わりに、移動偏光板139Aの移動のタイミングを制御させるべく、移動機構139Bを制御する。具体的には、変形例5の照明切換部134は、移動偏光板139が所定のタイミングで、実線で示した位置から二点鎖線で示した位置に移動し、又は二点鎖線で示した位置から実線で示した位置に移動するように、移動機構139Bを制御する。
移動機構139Bが移動偏光板139Aを移動させるタイミングは、第1実施形態の場合と同様の方法で、照明切換部134が制御する。変形例5では、第1実施形態において第1光源133Aが点灯した時間帯に移動偏光板139Aが二点鎖線で示した位置にあり、第1実施形態において第2光源133Bが点灯した時間帯に移動偏光板139Aが実線で示した位置にあるように、照明切換部134が移動機構139Bを制御する。
移動偏光板139Aが二点鎖線で記載した位置にあるときには、第1光源133Aから出た光は、移動偏光板139Aを透過すると、その偏光方向が偏光板132Cと直交する方向である偏光となる。このときの移動偏光板139Aは、第1実施形態における第1偏光板132Aと等価である。したがって、移動偏光板139Aを透過した第1光源133Aからの照明光である第1照明光は、その後透過するのがそれを透過する光の偏光の状態に影響を与えない封止板132Bであることもあり、第1実施形態における第1照明光と等価なものとなる。
他方、移動偏光板139Aが実線で記載した位置にあるときには第1光源133Aから出た光は、封止板132Bを透過するのみであるので偏光化されない。したがって、この場合、第1光源133Aからの照明光である第2照明光は、第1実施形態における第2照明光と等価なものとなる。
つまり、変形例5における第1照明光、第2照明光とも第1実施形態のときのそれと変わらないので、変形例5においても、艶消しの動画と艶有りの動画を撮像できることになる。
【0073】
<変形例6>
変形例6のビデオカメラは内視鏡であり、その殆どの部分は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
更に言えば、変形例6のビデオカメラは、変形例5のビデオカメラと殆ど同じものになっている。
変形例5のビデオカメラは、移動偏光板139Aの移動により、偏光である第1照明光と偏光でない第2照明光を作り出していたが、変形例6では、
図13に示した複合偏光板141の回転により、偏光である第1照明光と偏光でない第2照明光を作り出すこととしている。
複合偏光板141は、中心角90度の扇形形状をした偏光板141Aと、それを透過した光の偏光方向に影響を与えない、中心角90度の扇形形状をした透過板141Bとを互い違いに2枚ずつ組合せて円形としたものである。複合偏光板141はその中心を貫く軸142に固定されている。軸142は、軸142を回転させるアクチュエータ143に接続されており、アクチュエータ143により回転させられる。それにより複合偏光板141は軸142周りに例えば一方向で回転する。
【0074】
第1実施形態の照明切換部134は、第1光源133Aと第2光源133Bの点灯、消灯の切換を行ったが、変形例6の照明切換部134は、その代わりに、複合偏光板141の回転の速さとその時点における位置を制御させるべく、アクチュエータ143を制御する。
アクチュエータ143が、複合偏光板141を回転させるスピードとある時点における位置は、第1実施形態の場合と同様の方法で、照明切換部134が制御する。変形例6では、第1実施形態において第1光源133Aが点灯した時間帯に偏光板141Aが第1光源133Aの前にあり、第1実施形態において第2光源133Bが点灯した時間帯に透過板141Bが第1光源133Aの前にあるように、照明切換部134がアクチュエータ143を制御する。
偏光板141Aが第1光源133Aの前にあるときには、第1光源133Aから出た光は、偏光板141Aを透過する。すると、照明光はその偏光方向が偏光板132Cと直交する方向である偏光となる。このときの偏光板141Aは、第1実施形態における第1偏光板132Aと等価である。したがって、偏光板141Aを透過した第1光源133Aからの照明光である第1照明光は、その後透過するのがそれを透過する光の偏光の状態に影響を与えない封止板132Bであることもあり、第1実施形態における第1照明光と等価なものとなる。
他方、透過板141Bが第1光源133Aの前にあるときには第1光源133Aから出た光は、透過板141Bを透過しても偏光化されず、また、その後封止板132Bを透過しても偏光化されない。したがって、この場合、第1光源133Aからの照明光である第2照明光は、第1実施形態における第2照明光と等価なものとなる。
つまり、変形例6における第1照明光、第2照明光とも第1実施形態のときのそれと変わらないので、変形例4においても、艶消しの動画と艶有りの動画を撮像できることになる。
【0075】
<変形例7>
変形例7のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。変形例7のビデオカメラを
図14に示す。
変形例7の内視鏡が第1実施形態の内視鏡と異なる最大の点は、第1実施形態の内視鏡ではスコープ部110の先端の撮像部130に撮像素子136が設けられていたが、変形例7の内視鏡では撮像素子136がビデオプロセッサボックス120に設けられているという点である。つまり、変形例7の内視鏡は、そのスコープ部110が像光を伝送させるようになっている。
図14における110がスコープ部である。スコープ部110の中には、上述した像光を伝送させる手段である像光伝送体151が設けられている。像光伝送体151は、これには限られないが、この実施形態では、光ファイバを束ねて構成されている。像光伝送体151の中の光ファイバは、その束の中(その束の断面中)における互いの位置関係が少なくともその両端で固定された状態となっている、公知のイメージガイドファイバである。もっともこのイメージガイドファイバは、スコープ部110の柔軟性が要求されないのであれば、公知のロッドレンズにより構成することも可能である。
スコープ部110の内部には、また、第1照明光を伝送するための第1照明光伝送体152Aと、第2照明光を伝送するための第2照明光伝送体152Bと、が設けられている。これらは、これには限られないが、この実施形態では、光ファイバを束ねて構成されている。像光を伝送するわけではないので、第1照明光伝送体152A及び第2照明光伝送体152Bの中の光ファイバは、その束の中(その束の断面中)における互いの位置関係が固定された状態となっている必要はない。スコープ部110の柔軟性が要求されないのであれば、これをロッドレンズにより構成することができるのは像光伝送体151と同様である。
【0076】
スコープ部110の先端には、像光伝送体151と、第1照明光伝送体152A及び第2照明光伝送体152Bとの先端を固定するための先端固定部材153が設けられている。先端固定部材153には、そこに挿入された第1照明光伝送体152Aの先端を固定する第1先端孔153A、そこに挿入された第2照明光伝送体152Bの先端を固定する第2先端孔153B、そこに挿入された像光伝送体151の先端を固定する第3先端孔153Cが設けられている。これら3つの孔にかしめられるなどして、像光伝送体151と、第1照明光伝送体152A及び第2照明光伝送体152Bとは、先端固定部材153と固定されている。
また、第3先端孔153Cの像光伝送体151の前側には、拡大レンズである先端レンズ154が取付けられている。先端レンズ154は、対象物からの像光を像光伝送体151の先端の端面に導くようになっている。
【0077】
変形例7のビデオプロセッサボックス120は、大雑把に言えば、第1実施形態における撮像部130と第1実施形態におけるビデオプロセッサボックス120とを併せたような構成となっている。
ビデオプロセッサボックス120のケース121には、第1孔131A、第2孔131B、第3孔131Cが設けられている。これらは、第1実施形態の撮像部130に設けられていた第1孔131A、第2孔131B、第3孔131Cに対応するものである。ただし、変形例7における第3孔131Cには、第1実施形態におけるのと同様の偏光板132Cが嵌めこまれているが、変形例7における第1孔131Aと第2孔131Bには、第1実施形態において第1孔131Aと第2孔131Bの中にそれぞれ嵌めこまれていた第1偏光板132Aと封止板132Bが嵌めこまれていない。
その代わり、第1孔131Aと第2孔131Bの中には、それぞれ、レンズである集束レンズ155A とこれもレンズである集束レンズ155Bが嵌めこまれている。集束レンズ155Aは、第1実施形態の場合と同様の第1光源133Aからの光を第1照明光伝送体152Aの基端の端面に収束させ、集束レンズ155Bは、第1実施形態の場合と同様の第2光源133Bからの光を第2照明光伝送体152Bの基端の端面に収束させるようになっている。また、第1実施形態で存在した第1偏光板132Aは、第1光源133Aの前側に配置されている。したがって、第1光源133Aが点灯したときの照明光は、第1偏光板132Aを通過して偏光化されてから、第1照明光伝送体152Aに入ることになる。他方、第2光源133Bが点灯したときの照明光は、偏光化されずにそのまま、第2照明光伝送体152Bに入ることになる。前者が第1照明光、後者が第2照明光であり、前者が偏光、後者が自然光であることは第1実施形態と同様である。第1照明光は、第1照明光伝送体152Aの先端の端面から、第2照明光は、第2照明光伝送体152Bの先端の端面から、それぞれ対象物に照射されるようになっている。
変形例7におけるビデオプロセッサボックス120のケース121の中には、上述のように、第1光源133A、第2光源133Bがあり、また、レンズ135、撮像素子136、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134がある。撮像素子136は、像光伝送体151を通って来てレンズ135によりそれに結像させられた像光を撮像するようになっている。また、撮像素子136、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134、第1光源133A、第2光源133Bは、第1実施形態の場合と同様に信号線134A、134B 、134C、136Aで互いに接続されている。撮像素子136、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134はともに、第1実施形態のそれと同様に動作する。したがって、第1光源133Aと第2光源133Bは、照明切換部134による制御下で、第1実施形態の場合と同様に、点灯と消灯を繰り返す。
【0078】
ケース121の中には、また、第1実施形態のケース121の中にあったものが大凡すべて存在している。存在していないのは、信号線137Aと、第1垂直同期信号検出部122である。
第1垂直同期信号検出部122が存在しないのは、第2垂直同期信号検出部137が第1垂直同期信号検出部122を兼ねているからである。変形例7では、第2垂直同期信号検出部137が、信号線122Aを介して垂直同期信号を検出したタイミングを出力制御部123に伝えるようになっており、また、信号線122Bを介してビデオ信号を出力制御部123に伝えるようになっている。第1実施形態における第2垂直同期信号検出部137と第1垂直同期信号検出部122が垂直同期信号を検出するタイミングは殆ど同時であるので、第2垂直同期信号検出部137から垂直同期信号を検出したタイミングを伝えられることとなっても、出力制御部123は第1実施形態のときと同様に動作できる。
変形例7のケース121の中にある、或いはケース121に設けられた各部材の動作、機能はすべて第1実施形態のものと同様にすることができ、この変形例7ではそうされている。したがって、変形例7のビデオカメラによっても、第1実施形態の場合と同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0079】
<変形例8>
変形例8のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
更に言えば、変形例8のビデオカメラは、
図15に示したように、変形例7のビデオカメラと殆ど同じものになっている。
変形例8のビデオカメラのうち、変形例7のビデオカメラと端的に異なる部分は、第1光源133Aと第2光源133Bの位置である。
変形例7ではビデオプロセッサボックス120のケース121内にあった第1光源133Aと第2光源133Bは、変形例8では、先端固定部材153に固定されている。それに伴い、変形例8では、変形例7にあった第1照明光伝送体152Aと第2照明光伝送体152Bがなくなっており、また、それに伴い、変形例8では、変形例7にあった集束レンズ155Aと集束レンズ155Bがなくなっている。
また、変形例8のビデオカメラでは、第1光源133Aの前に存在して第1光源133Aからの光を透過させる必要がある第1偏光板132Aが、先端固定部材153の第1孔153Aに取付けられている。また、変形例8のビデオカメラでは、第1実施形態にあったのと同様の封止板132Bが第2孔153Bに嵌めこまれている。
また、変形例8では、第1光源133Aと第2垂直同期信号検出部137を結ぶ信号線134Aと、第2光源133Bと第2垂直同期信号検出部137を結ぶ信号線134Bとが、スコープ部110の内部を伸びている。
その他については、各部材の機能、動作についても変形例7と変わらない。
変形例8のビデオカメラでは、第1光源133Aが点灯した場合には、第1光源133Aから出た照明光は、第1偏光板132Aを通過して偏光化している第1照明光になる。また、第2光源133Bから出た照明光は、封止板132Bを通過しても偏光化されないから、偏光でない第2照明光となる。第1照明光と第2照明光の関係が第1実施形態と同様であるから、変形例8のビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0080】
<変形例9>
変形例9のビデオカメラは、第1実施形態とは異なり内視鏡ではない。変形例9のビデオカメラは、手持ちタイプの拡大観察装置である。
ただし、変形例9のビデオカメラの構成は、第1実施形態のビデオカメラと概ね同じである。
図16に示すように、拡大観察装置160は、手持ち可能な形状、大きさのケース161を備えている。ケース161は、第1実施形態のスコープ部110と同様にその内部に信号線137Aを内包する柔軟なチューブ110Xによって、第1実施形態の場合と同様に構成された図外のビデオプロセッサボックス120に接続されている。
変形例9のケース161の先端付近は、その先端に向かって細くなるようにテーパーが与えられており、その先端には孔162が開いている。この拡大観察装置160は、その先端の孔162の周囲を撮像対象物(より正確には、撮像対象物の若干外側)に当接させた状態で使用される。
ケース161の後端には、孔163があるがこれは、第1実施形態の撮像部130の孔131Dと同様のものである。
【0081】
ケース161の内部には、第1光源133Aが設けられている。
ケース161の孔162の周縁部には、内向きに、複数の第2光源133Bが設けられている。第2光源133Bが複数なのは、相対的に第1光源133Aよりも小さく、それ故相対的に照明光の光量が第1光源133Aよりも劣る第2光源133Bからの照明光の光量を、第1光源133Aからの光量に合わせることを意識したものである。このような光量の一致の要請がない、或いは第2光源133Bが1つでもそもそも光量が一致しているのであれば、第2光源133Bを複数にする必要はそもそもない。
ケース161の中には、像光に対して45°の角度に傾いたハーフミラー164が設けられている。第1光源133Aからの照明光である第1照明光は、ハーフミラー164で反射され、対象物に略垂直に照射される。
この実施形態では、第1光源133Aからの照明光である第1照明光も、第2光源133Bからの照明光である第2照明光も、偏光化されることはない。ただし、第1照明光は、対象物への入射角が40°以下の光である落射光であり、第2照明光は、対象物への入射角が40°より大きな光である側射光となる。
ケース161内には、撮像素子136、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134が設けられており、これらと、第1光源133A、及び第2光源133Bは、信号線134A、134B、134Cで接続されている。これらの機能、動作は第1実施形態と変わらない。
また、ケース161内にはレンズ135がある。このレンズ135は基本的に第1実施形態のレンズ135と変わらないが、このレンズ135は撮像素子136の焦点が、孔162の部分に合うように設計されている。したがって、この拡大観察装置160は、その先端の孔162の周囲を対象物に当接させると、孔162の部分に存在する対象物に自動的に焦点が合うことになる。拡大観察装置160を、その先端の孔162の周囲を対象物に当接させて撮像を行えるようにすることは、手振れの防止に効果的である。なお、撮像素子136は、ハーフミラー164を透過した像光を撮像する。
第1光源133Aと第2光源133Bは、照明切換部134による制御下で、第1実施形態の場合と同様に、点灯と消灯を繰り返す。したがって、変形例9のビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に、2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。ただし、2種類の動画は、変形例9では、落射光を第1照明光とする動画と、側射光を第2照明光とする動画である。
【0082】
<変形例10>
変形例10のビデオカメラは、第1実施形態とは異なり内視鏡ではない。変形例10のビデオカメラは、手持ちタイプの拡大観察装置である。
ただし、変形例10のビデオカメラの構成は、変形例9の拡大観察装置と殆ど同じである。
この拡大観察装置160が変形例9の拡大観察装置160と端的に異なるのは、第1光源133Aと第2光源133Bである(
図17)。変形例10のビデオカメラの第1光源133Aと、第2光源133Bは、大きさを含め同じものであり、ともに同じ入射角で、対象物に対して照明光を照射するようになっている。なお、変形例10の拡大観察装置160にはハーフミラーは存在しない。
変形例10のビデオカメラには、第1光源133Aの前に、フィルタ165が設けられている。第1光源133Aからの光は、フィルタ165を透過してから対象物に照射される。フィルタ165は、この実施形態では、特定の範囲の波長の光のみを透過させるバンドパスフィルタである。
変形例10における第1光源133Aと第2光源133Bは、赤外領域から紫外領域までの光を含む、自然光様の照明光(白色光)を照射するものとされている。第2光源133Bからの照明光である第2照明光は、そのまま対象物に照射されるので、第2光源133Bが点灯しているときに第2照明光により撮像される画像は、白色光を照明光として撮像されたのと同様の一般的な画像となる。
他方、変形例10におけるフィルタ165が例えば、赤外領域の光のみを透過するものとされていれば、変形例10のビデオカメラで撮像される画像は、赤外光である第1照明光で撮像された画像となる。また、変形例10におけるフィルタ165が例えば、紫外領域の光のみを透過するものとされていれば、変形例10のビデオカメラで撮像される画像は、紫外光である第1照明光で撮像された画像となる。また、変形例10におけるフィルタ165が例えば、緑色の光のみを透過するものとされていれば、変形例10のビデオカメラで撮像される画像は、緑色光である第1照明光で撮像された画像となる。
このように、フィルタ165を適当なものとすることにより、変形例10のビデオカメラは、可視光と赤外光、可視光と紫外光、或いは白色光と緑色光という異なる2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。フィルタ165を更に変更すれば、2種類の動画を撮像するための照明光の波長を更に異なるものにできること、また、フィルタ165を第1偏光板132Aとし、撮像素子136の前に第1実施形態における偏光板132Cと同様のものを配すれば、拡大観察装置でも、艶なしと艶有りの動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できることは自明である。
なお、フィルタ165を用いずとも、第1光源133Aと第2光源133Bを、異なる特定の波長領域の照明光のみを照射できるものとすれば、2種類の動画を撮像するための照明光の波長を異なるものとできることも自明であろう。
【0083】
なお、変形例10の拡大観察装置で、第1照明光が紫外線、第2照明光が白色光を照射するようになっている場合、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基づく動画が表示されるディスプレイD1の前に、青の波長領域の光を遮断するフィルタを配置してやれば、後述する変形例16〜18の場合と同様に、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基づく動画が見やすくなる。
【0084】
<変形例11>
変形例11のビデオカメラは、第1実施形態の場合と同様内視鏡である。ただし、変形例11の内視鏡は、カプセル内視鏡である。
変形例11のカプセル内視鏡は、
図18、
図19に示したように構成されている。
カプセル内視鏡は、第1実施形態における撮像部130に相当するカプセル170を備えている。カプセル170は、患者が飲み込むのに無理がない形状、大きさであり、樹脂製の本体170Aと、透明な樹脂でできたドーム170Bを備えている。ドーム170Bは、本体170Aの一端側の面を、水密に覆っている。もちろんドーム170Bは、それを透過する光の偏光の状態に影響を与えない。
本体170Aのドーム170Bで覆われた一端側の面には、第1実施形態と同様の第1光源133Aと第2光源133Bが配されている。また、第1光源133Aの前方には、第1実施形態と同様の第1偏光板132Aが配されている。第1光源133Aからの照明光は、第1偏光板132Aを通過して、第1実施形態と同様に偏光化される。つまり、第1光源133Aが点灯したときに対象物に照射される照明光である第1照明光は、変形例11では偏光であり、第2光源133Bが点灯したときに対象物に照射される照明光である第2照明光は、偏光でない光である。この関係は、第1実施形態のときと変わらない。
また、本体170Aのドーム170Bで覆われた一端側の面には、孔170A1が穿たれており、第1実施形態と同様のレンズ135がそこに嵌めこまれている。レンズ135の前には、第1実施形態と同様の偏光板132Cがあり、対象物からの像光は、偏光板132C、レンズ135を介して、本体170Aの内部の撮像素子136で撮像されるようになっている。
【0085】
本体170Aの内部には、上述の撮像素子136の他、第2垂直同期信号検出部137、照明切換部134が設けられており、これらと、第1光源133A、及び第2光源133Bは、信号線134A、134B、134Cで接続されている。これらの機能、動作は第1実施形態と変わらない。
第1光源133Aと第2光源133Bは、照明切換部134による制御下で、第1実施形態の場合と同様に、点灯と消灯を繰り返すようになっている。撮像素子136が生成するビデオ信号は、第1実施形態のものと同様となる。
第2垂直同期信号検出部137は、また、第1実施形態の場合と同様、信号線137Aの一端と接続されている。しかしながら、この信号線137Aの他端は、第1実施形態の場合と異なり、無線送信部171と接続されている。無線送信部171は、ビデオ信号を、例えば電波により無線で送信するものである。
【0086】
変形例11のビデオカメラは、ビデオプロセッサボックス120を備えている。変形例11のビデオプロセッサボックス120は、小さく、患者がそれを身につけて行動できる程度の大きさになっている。患者は例えば、ビデオプロセッサボックス120をそのポケットに収納できるベストを着用して、日常生活を送りながら、飲み込んだカプセル170が撮像した動画を撮像し、そのデータを、後述のようにビデオプロセッサボックス120に記録させることができる。医師はそのデータにより、第1実施形態の場合と同様の2種類の動画を後から確認することができる。このように、日常生活を送りながら内視鏡検査を行えるのが、カプセル内視鏡の利点である。
【0087】
話を、ビデオプロセッサボックス120に戻す。変形例11のビデオプロセッサボックス120は、基本的に第1実施形態の場合と変わらない。
異なるのは、第1垂直同期信号検出部122に接続されているのが信号線137Aではなく信号線172Aの一端であるという点である。そして、信号線172Aの他端は、無線受信部172と接続されている。無線受信部172は、無線送信部171が送信したビデオ信号を受信するものである。
つまり、変形例11のビデオカメラのビデオプロセッサボックス120は、第2垂直同期信号検出部137が送信したビデオ信号を、第1実施形態の場合と異なり、信号線137Aのみを介して受取るのではなく、信号線137A、無線送信部171、無線受信部172、信号線172Aを介して受取るようになっている。
第1垂直同期信号検出部122以下の各要素が実行する処理は、第1実施形態の場合と変わらない。出力制御部123は、第1フレーム群のフレームのデータと第2フレーム群のフレームのデータとを生成する。
これらデータはそれぞれ、信号線123A1、信号線123B1から出力される。なお、変形例11には、信号線123A及び第1出力端子121A1と、信号線123Bと第2出力端子121Bは存在しない。上述のように、この実施形態のカプセル内視鏡では、医師がディスプレイD1とディスプレイD2により、リアルタイムで動画を見ることが予定されていないからである。もちろん、それを予定するのであれば、信号線123A及び第1出力端子121A1と、信号線123Bと第2出力端子121Bを設けることは可能である。
変形例11では、第1実施形態と同様の機能を有する記録部124が、信号線123A1を介して受取った第1フレーム群のフレームのデータと、信号線123B1を介して受取った第2フレーム群のフレームのデータとを、別個にそれぞれ記録する。医師は、このデータにより、第1実施形態の場合と同様の、2種類の動画を、ディスプレイD1とディスプレイD2を用いて見ることができる。
【0088】
<変形例12>
変形例12のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。
変形例12のビデオカメラが、第1実施形態のビデオカメラと異なるのは、第1実施形態のビデオカメラでは、ビデオ信号に垂直同期信号が重畳されていたのに対し、変形例12のビデオカメラでは、垂直同期信号はビデオ信号とは別の信号となっているという点にある。つまり、
図4におけるビデオ信号vと、垂直同期信号vsyncは、変形例12では別の信号として取り扱われる。
【0089】
第1実施形態では、垂直同期信号は撮像素子136内で生成され、ビデオ信号に重畳された状態で外部に出力されるようになっていたが、変形例12のビデオカメラでは、垂直同期信号は撮像素子136内ではなく、
図20に示した垂直同期信号発生部181が発生するようになっている。垂直同期信号発生部181は、それが発生させた垂直同期信号を、信号線181A、181Bを介して、撮像素子136と第2垂直同期信号検出部137に送るようになっている。
撮像素子136は、受付けた垂直同期信号にフレームの切り換えのタイミングを同期させて、動画を撮影しビデオ信号を出力する。これにより、垂直同期信号発生部181が発生させた垂直同期信号は、撮像素子136が生成したビデオ信号に含まれるフレームのデータの切り換えのタイミングに同期したものとなる。ビデオ信号は、第1実施形態の場合と同様に、信号線137Aを介してビデオプロセッサボックス120に送られるようになっている。ただし、変形例12では、撮像素子136で生成されたビデオ信号は、第1実施形態の場合と異なり、第2垂直同期信号検出部137を経由せずにビデオプロセッサボックス120に送られる。第2垂直同期信号検出部137は、垂直同期信号を垂直同期信号発生部181から受取ると、第1実施形態の第2垂直同期信号検出部137と同様に、第2垂直同期信号検出部137が垂直同期信号を検出したタイミングを、信号線134Cを介して照明切換部134に伝えるようになっている。このタイミングの情報を用いて照明切換部134が行う処理は、第1実施形態の場合と同様である。
変形例12の垂直同期信号発生部181は、また、スコープ部110の内部を走る第2信号線181Cと接続されており、第2信号線181Cを介して、ビデオ信号とは別の信号として、垂直同期信号をビデオプロセッサボックス120に送るようになっている。
【0090】
変形例12のビデオプロセッサボックス120は、
図21に示したように構成されている。
このビデオプロセッサボックス120は、第1実施形態のそれと概ね同様であるが、第1垂直同期信号検出部122が、信号線137Aとは接続されていない。信号線137Aは、第1垂直同期直信号検出部122を経ずに、そのまま出力制御部123に接続されている。
変形例12のビデオプロセッサボックス120内にも、第1垂直同期信号検出部122は存在する。第1垂直同期信号検出部122は、第1実施形態の場合と異なり、第2信号線181Cと接続されている。変形例12では、第2信号線181Cを介して第1垂直同期信号検出部122が垂直同期信号を受取ると、第1垂直同期信号検出部122は、それが垂直同期信号を受取ったタイミングを、信号線122Aを介して出力制御部123に伝えるようになっている。
出力制御部123は、信号線137Aを介して受取ったビデオ信号に対して、第1垂直同期信号検出部122から通知されたタイミングの情報を用いて、第1実施形態の場合と同様の方法で処理を実行する。
このように、ビデオ信号に垂直同期信号が含まれておらず、垂直同期信号発生部181がビデオ信号とは別の信号として垂直同期信号を発生する変形例12のビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0091】
<変形例13>
変形例13のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。もっと言えば、変形例13のビデオカメラは、変形例12のビデオカメラと殆ど同じものである。
変形例13のビデオカメラが変形例12のビデオカメラと異なるのは、事実上次の一点である。変形例13のビデオカメラでは、変形例12のビデオカメラでは撮像部130にあった垂直同期信号発生部181が、ビデオプロセッサボックス120にあるという点である(
図22、23)。
【0092】
変形例13のビデオカメラの垂直同期信号発生部181は、スコープ部110の内部を走る第2信号線181Cと接続されており、第2信号線181Cを介して撮像部130に接続されている。第2信号線181Cは、撮像部130内で、信号線181A、181Bに分岐しており、これらを介して、撮像素子136と第2垂直同期信号検出部137に接続されている。
変形例13のビデオカメラでは、垂直同期信号発生部181が生成した垂直同期信号は、第2信号線181Cと、信号線181A又は信号線181Bのいずれかとを介して、撮像素子136と、第2垂直同期信号検出部137に送られる。これらを受取った場合の撮像素子136と、第2垂直同期信号検出部137の動作は、変形例12の場合と同様である。
変形例13のビデオカメラの垂直同期信号発生部181は、また、信号線181Dを介して、第1垂直同期信号検出部122に接続されており、垂直同期信号発生部181で生成された垂直同期信号は、第1垂直同期信号検出部122に送られる。これを受取った場合の第1垂直同期信号検出部122の動作は、変形例12の場合と同様である。
以上のような構成、動作により、ビデオ信号に垂直同期信号が含まれておらず、且つ垂直同期信号発生部181がビデオプロセッサボックス120内にあるビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0093】
<変形例14>
変形例14のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。もっと言えば、変形例14のビデオカメラは、変形例13のビデオカメラと殆ど同じものである。
変形例14のビデオカメラが変形例13のビデオカメラと異なるのは、事実上次の一点である。変形例14のビデオカメラでは、変形例13のビデオカメラではビデオプロセッサボックス120にあった垂直同期信号発生部181が、ビデオカメラ外にあるという点である(
図24)。変形例14では、垂直同期信号は、ビデオカメラの一部ではなく、垂直同期信号を発生する所定の垂直同期信号発生装置により生成され、入力線182を介してビデオプロセッサボックス120に送られるようになっている。ビデオプロセッサボックス120は、入力端子183を備えており、入力線182は入力端子183に、例えば着脱自在に接続されるようになっている。
入力線182は、入力端子183を介して信号線182A に接続されている。信号線182Aは、ビデオプロセッサボックス120の内部で、信号線182Bと、第2信号線181Cに分岐している。第2信号線181Cは、変形例13の場合と同様撮像部130に接続されている。変形例14における撮像部130の構成は変形例13の場合と同じなので、撮像部130の図示は省略する。
信号線182Bは、第1垂直同期信号検出部122に接続されている。
【0094】
変形例13で、垂直同期信号発生部181が発生させた垂直同期信号が第2信号線181Cを経て撮像部130に供給されたのと同様に、変形例14では、垂直同期信号発生装置で発生させられた垂直同期信号が、入力線182、入力端子183、信号線182A、及び第2信号線181Cを介して撮像部130に供給される。
また、変形例14では、垂直同期信号発生部181が発生させた垂直同期信号が第1垂直同期信号検出部122に供給されたのと同様に、垂直同期信号発生装置で発生させられた垂直同期信号が、入力線182、入力端子183、信号線182A、及び信号線182Bを介して第1垂直同期信号検出部122に供給される。
撮像部130で垂直同期信号を用いて行われる動作、ビデオプロセッサボックス120で垂直同期信号を用いて行われる動作は変形例13と同様であるから、変形例14のビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0095】
<変形例15>
変形例15のビデオカメラは内視鏡であり、その基本的な構成は第1実施形態の内視鏡と変わらない。もっと言えば、変形例15のビデオカメラは、変形例14のビデオカメラと殆ど同じものである。
変形例15のビデオカメラが変形例14のビデオカメラと異なるのは、事実上次の一点である。それは、変形例14のビデオカメラでは、入力線182と入力端子183を介して接続されていた信号線182Aはビデオプロセッサボックス120内で信号線182Bと第2信号線181Cに分岐していたが、変形例15のビデオカメラでは、信号線182Aは、第1垂直同期信号検出部122に接続されている、という点である(
図25)。
そして、第1垂直同期信号検出部122は、信号線122Aを介して出力制御部123に接続されており、また、第2信号線181Cを介して撮像部130に接続されている。
第1垂直同期信号検出部122は、入力線182、入力端子183、信号線182Aを介して図外の垂直同期信号発生装置から垂直同期信号を受付けると、そのタイミングを出力制御部123に通知する。この通知を受けて出力制御部123が行う処理は第1実施形態と同様である。
また、この変形例15の第1垂直同期信号検出部122は、垂直同期信号を受付けると、そのタイミングを第2信号線181Cを経て撮像部130に通知する。
図26に示したように、撮像部130内で、第2信号線181Cは、信号線181Aと信号線134Cとに分岐し、前者を介して撮像素子136に、後者を介して照明切換部134に接続されている。なお、変形例15には第2垂直同期信号検出部137はない。
タイミングの情報を通知された撮像素子136はそのタイミングに同期したフレームのデータを含むビデオ信号を生成する。もっとも、撮像素子136には、第1垂直同期信号検出部122を素通りさせた垂直同期信号をそのまま送るようにしてもよい。他方、照明切換部134は、第1垂直同期信号検出部122から受取ったタイミングの情報に基づいて、第2垂直同期信号検出部137からタイミングの情報を受取るようになっていた第1実施形態の場合と同様の処理を実行する。つまり、この変形例15では、第1垂直同期信号検出部122が、第2垂直同期信号検出部137を兼ねている。
変形例15のビデオカメラでも、第1実施形態のビデオカメラと同様に2種類の動画をディスプレイD1、ディスプレイD2に表示できる。
【0096】
<変形例16>
変形例16のビデオカメラは、第1実施形態のビデオカメラと、後述する第4実施形態のビデオカメラを組み合わせたものといえる。
変形例16のビデオカメラは内視鏡ではなく、手持ちタイプの拡大観察装置であり、また、その基本的な構成は変形例10の拡大観察装置と変わらない。
変形例10の拡大観察装置では、第2光源133Bからの照明光である第2照明光は、そのまま対象物に白色光として照射され、第1光源133Aからの照明光である第1照明光は、フィルタ165を通過してから対象物に照射されるものとなっていた。
変形例16では、フィルタ165は紫外領域の光のみを透過するものとされており、それ故第1照明光は紫外線となるようになっている。
【0097】
変形例16のビデオカメラが、変形例10の拡大観察装置と異なるのは、変形例16のビデオカメラは、変形例10の拡大観察装置が持たなかった画像処理部184をビデオプロセッサボックス120内に備えているという点である(
図27)。画像処理部184は、出力制御部123に至る前のビデオ信号に対して、より正確には出力制御部123に至る前のビデオ信号の一部に対して所定の画像処理を行うものである。
【0098】
画像処理部184は、信号線184Aで、第1垂直同期信号検出部122と接続されている。変形例16の第1垂直同期信号検出部122は、ビデオ信号中の垂直同期信号を検出した場合に、垂直同期信号が検出されたタイミングを、出力制御部123のみでなく、画像処理部184にも通知するようになっている。
画像処理部184は、ビデオ信号に含まれるフレームのデータのうち、出力制御部123で信号線123Aに振分けられるフレーム(つまり第1フレーム群に振分けられるフレーム)のデータと、信号線123Bに振分けられるフレーム(つまり第2フレーム群に振分けられるフレーム)のデータのうちの一方のみに対して画像処理を行う。変形例16では、第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像素子136が撮像するときには第1光源133Aが点灯し、第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像素子136が撮像するときには第2光源133Bが点灯するが、画像処理部184は、後に第1フレーム群に振分けられるフレームのデータに対してのみ画像処理を行うようになっている。ビデオ信号中のフレームのうち、後に第1フレーム群に振分けられるフレームのデータにのみ画像処理を行うためのタイミングの制御には、第1垂直同期信号検出部122がビデオ信号中の垂直同期信号を検出した場合に、第1垂直同期信号検出部122から通知される垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報が利用される。
【0099】
画像処理部184が行う画像処理は、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基づく動画を見易くする等の、所望の目的に応じて選択することができ、公知のものであっても良いが、変形例16では、これには限られないが以下のようなものとなっている。
画像処理部184は、後に第1フレーム群に振分けられるフレームのデータに対し、当該データに基づいて表示される画像から、特定の波長の光のデータを除くものとされている。より詳細には、画像処理部184は、R(赤)、G(緑)、B(青)の信号を含む、後に第1フレーム群に振分けられるフレームのデータから、Bの信号を除去するものとなっている。
紫外線を照射して生じる、例えば黄色から赤色の波長領域の光である蛍光を観察する場合、青の波長領域の光は邪魔である。ビデオ信号のフレームのデータに含まれるBの信号を除去すると、第1フレーム群に振分けられるフレームのデータに基づく動画から青味を取り除くことができ、動画が見やすくなる。
この拡大観察装置のその他の構成、処理については、変形例10に同じである。
【0100】
<変形例17>
変形例17のビデオカメラは、第1実施形態のビデオカメラと、後述する第4実施形態の変形例26のビデオカメラを組み合わせたものといえる。
変形例17のビデオカメラは内視鏡ではなく、手持ちタイプの拡大観察装置であり、また、その基本的な構成は変形例16の拡大観察装置と変わらない。
変形例17の拡大観察装置でも、第1照明光は紫外線、第2照明光は白色光となるようになっている。
【0101】
変形例17のビデオカメラが、変形例16の拡大観察装置と異なるのは、画像処理部184の位置である(
図28)。画像処理部184は、出力制御部123で振分けられた2つのデータ、つまり信号線123Aに振分けられた、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータと、信号線123Bに振分けられた、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータの一方に対して画像処理を行うものである。この変形例における画像処理部184は、信号線123Aの上にあり、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに対して画像処理を行うようになっている。
画像処理部184が行う画像処理の内容は、変形例16で述べたものと同じである。ただし、変形例17の画像処理部184は、ビデオ信号から既に振分けられた後の第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに対して画像処理を行うものであるから、変形例16の画像処理部184で必要であったタイミングの制御が不要であり、それ故第1垂直同期信号検出部122から垂直同期信号を検出したタイミングの情報を受ける必要もないので、第1垂直同期信号検出部122と接続されているということもない。
画像処理部184により、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータから、B(青)の信号が除去されるので、変形例17における第1フレーム群に振分けられるフレームのデータに基づく動画からも、青味が取り除かれる。
この拡大観察装置のその他の構成、処理については、変形例16に同じである。
【0102】
<変形例18>
変形例18のビデオカメラは、第1実施形態のビデオカメラと、後述する第2実施形態のビデオカメラを組み合わせたものといえる。
変形例18のビデオカメラは内視鏡ではなく、手持ちタイプの拡大観察装置であり、また、その基本的な構成は変形例10の拡大観察装置と変わらない。
また、変形例18の拡大観察装置でも、変形例10の場合と同様、第1照明光は紫外線、第2照明光は白色光となるようになっている。
【0103】
変形例18のビデオカメラが、変形例10の拡大観察装置と異なるのは、変形例18のビデオカメラは、第1像光透過部材185を備えているという点である(
図29)。
第1像光透過部材185は、それを透過した像光の性質が互いに異なるものとなる第1状態と第2状態に変化させられるようになっており、それを透過した像光の性質を所望のタイミングで変化させるためのものである。第1像光透過部材185は、対象物と撮像素子136の間にある。
必ずしもこの限りではないが、変形例18のビデオカメラにおける第1像光透過部材185は、第1状態では、青の波長領域の光を遮断するフィルタとして機能する。第1像光透過部材185は、第2状態では、像光に対し光学的に透明である。このような状態の変化を高速に行えるような第1像光透過部材185は、電気的な制御により状態の変化を生じるものがよく、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による、可変カラーフィルタによって構成することができる。
【0104】
変形例18では、第1像光透過部材185は、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1状態を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取るようになっている。そのような同期を可能とするために、第1像光透過部材185は、信号線185Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。第1像光透過部材185はその情報を用いて、第1像光透過部材185の状態を撮像素子136が撮像を行いフレームのデータを生成するタイミングと同期させる。なお、第1像光透過部材185は、ビデオ信号から垂直同期信号を検出する他の手段から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受取るようになっていても構わない。
変形例18では、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1像光透過部材185が青の波長領域の光を遮断するフィルタとして機能するようになっているから、そのときに第1像光透過部材185を透過して撮像素子136で撮像される像光からは青の波長が除かれる。したがって、第1フレーム群に振分けられるフレームのデータには、変形例16、17における画像処理部184による画像処理を行わなくとも、そもそも青色(B)のデータが含まれていない。他方、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1像光透過部材185は光学的に透明であるから、そのときに第1像光透過部材185を透過して撮像素子136で撮像される像光からは青の波長が除かれない。
変形例18によって得られる2種類の動画は、変形例16、17の場合に得られる2種類の動画と同等のものとなる。
【0105】
<変形例19>
変形例19のビデオカメラは、第1実施形態のビデオカメラと同様に内視鏡である。
変形例19のビデオカメラの構成は、
図30、31に示すように、第1実施形態のビデオカメラの構成と殆ど変わらない。
変形例19のビデオカメラが第1実施形態のビデオカメラと端的に異なるのは、変形例19のビデオカメラは、ディスプレイD1とディスプレイD2という2台のディスプレイDに接続された第1実施形態のビデオカメラとは異なり、ディスプレイD1という1台のディスプレイにのみ接続されるという点である。
変形例19のビデオカメラも、ビデオプロセッサボックス120と、その先端に撮像部130を備えるスコープ部110とを備えている。
【0106】
変形例19における撮像部130、スコープ部110の構成は、第1実施形態の場合とまったく変わらない。また、変形例19におけるビデオプロセッサボックス120の構成も第1実施形態と殆ど変わらないが、ディスプレイD1のみとディスプレイが1台になったことに関連した変更が、ビデオプロセッサボックス120にはなされている。
変形例19のビデオプロセッサボックス120の第1実施形態のビデオプロセッサボックス120からの変更点は、端的に言えば、変形例19のビデオプロセッサボックス120が画像合成部188を備えている点にある。画像合成部188は、第1実施形態と同様の出力制御部123と、第1実施形態と同様の信号線123A及び信号線123Bで接続されている。
出力制御部123からは、第1実施形態の場合と同様に、信号線123Aを介して、第1フレーム群のフレームのデータが、信号線123Bを介して第2フレーム群のフレームのデータが出力される。画像合成部188は、第1フレーム群のフレームのデータと、第2フレーム群のフレームのデータとを受取り、それら2種類の動画を、1つのディスプレイに表示できるような動画データに合成する。
変形例19では、第1フレーム群のフレームのデータと、第2フレーム群のフレームのデータが、交互に画像合成部188に送られる。第1フレーム群のフレームのデータと、第2フレーム群のフレームのデータのどちらが先でも構わないが、この実施形態の画像合成部188は、先に受取ったフレームのデータと、その次に受取ったフレームのデータを、メモリ188Aの一部にそれぞれ書き込む。このとき、両データにより本来描画されるフレームを、多少縮小する、或いはその一部を切り捨てるなどして、新たな一画面分のフレームに描画し直してもよい。これを連続して行うことにより、画像合成部188は、第1フレーム群のフレームにより本来ディスプレイに表示される画像と、第2フレーム群のフレームにより本来ディスプレイに表示される画像とを共に含んだ、新たな動画のデータを作成する。この動画のデータは、メモリ188Aから、信号線189、第1出力端子121A、ケーブルC1を介してディスプレイD1に出力される。
ディスプレイD1には、第1フレーム群のフレームにより本来ディスプレイに表示される画像の連続である第1動画M1と、第2フレーム群のフレームにより本来ディスプレイに表示される画像の連続である第2動画M2とを含む動画が表示される。そのような動画の例を、
図32に示す。
なお、変形例19のビデオプロセッサボックス120では、信号線189から、信号線1891が分岐している。信号線1891を介して、記録部124に、上記新たな動画のデータが記録される。
【0107】
≪第2実施形態≫
第1実施形態のビデオカメラは、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中のフレームが切換わるタイミングに同期させながら、第1フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光が、第2フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光とは異質な第2照明光がそれぞれ照射されるように、照明光を適切なタイミングで切換えるものとなっていた。
これに対し、第2実施形態のビデオカメラは、後述する変形例のビデオカメラも含め、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中のフレームが切換わるタイミングに同期させながら、第1フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには像光を第1像光に、第2フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには像光を第1像光とは異質な第2像光にするように、像光を適切なタイミングで切換えるものとなっている。
各実施形態、変形例で説明した技術は、他の実施形態、変形例に原則適用できるのは上述の通りであるが、特に、変形例1、2で述べたフレームの概念の変更や、第1フレーム群と第2フレーム群にフレームを振分ける方法、変形例7で述べた第1垂直同期信号検出部122と第2垂直同期信号検出部137の一方で他方を兼ねる技術、変形例12〜16で述べたビデオ信号に重畳されていない垂直同期信号を利用する技術、変形例19で述べた異質な2つの画像を組合せて一画像とする技術は、第2実施形態、及びその変形例にも利用可能である。なお、この点は、第3実施形態以下の各実施形態及びそれらの変形例でも同様である。
また、第1実施形態(の変形例)で第1実施形態と第2実施形態を組み合わせた例を説明したのみならず、第1実施形態と第4実施形態とを組合せた例を説明した。しかしながら、第2実施形態は、第1実施形態のみでなく他の実施形態とも組合せ可能である。更に言えば、第1実施形態から第4実施形態(及びそれらの変形例)はそれぞれ、他の実施形態(及びそれらの変形例)と組合せることが可能である。
【0108】
第2実施形態のビデオカメラは、変形例18で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
第2実施形態のビデオカメラが、変形例18で説明したビデオカメラと異なるのは、
図33に示したように、第2実施形態のビデオカメラには、変形例18のビデオカメラが備えていた、第2光源133B、照明切換部134、及びこれらに接続されていた信号線134A、134B、134Cがないという点である。第2実施形態のビデオカメラの光源は常時点灯する第1光源133Aのみであり、第1光源133Aに、第1実施形態のときのように、適当なタイミングで、第2光源133Bと交互に点灯させる必要がないからである。
他方、第2実施形態のビデオカメラは、変形例18のビデオカメラ同様に、第1像光透過部材185を備えている。第1像光透過部材185は、像光を透過させるものである。第2実施形態では、第1像光透過部材185はレンズ135と撮像素子136の間に設けられているが、第1像光透過部材185は、像光を透過させられる限り、対象物と撮像素子136の間のどこに設けられていても構わない。これは変形例18の場合も同様である。
第1像光透過部材185は、特定の波長領域の波長の光を透過させる状態と透過させない状態を選択できるフィルタである。逆でも構わないが、この実施形態では、前者の状態を第1状態、後者の状態を第2状態と呼ぶこととする。特定の波長領域は、可視領域、赤外領域、紫外領域等どのような波長領域でも構わないが、例えば、変形例18と同様に、青の波長領域である。必ずしもこの限りではないが、第2実施形態のビデオカメラにおける第1像光透過部材185は、第1状態では、青の波長領域の光を遮断するフィルタとして機能し、第2状態では、像光に対し光学的に透明である。第1像光透過部材185は、例えばMEMSである。
【0109】
第2実施形態では、第1像光透過部材185は、変形例18と同じように、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1状態を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取るようになっている。そのような同期を可能とするために、第1像光透過部材185は、信号線185Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。第1像光透過部材185はその情報を用いて、第1像光透過部材185の状態を撮像素子136が撮像を行いフレームのデータを生成するタイミングと同期させる。
第2実施形態のビデオカメラでは、変形例18の場合と同様に、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1像光透過部材185が青の波長領域の光を遮断するフィルタとして機能する第1状態になっているから、そのときに第1像光透過部材185を透過して撮像素子136で撮像される像光からは青の波長が除かれる。したがって、第1フレーム群に振分けられるフレームのデータには、そもそも青色(B)のデータが含まれていない。他方、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1像光透過部材185は光学的に透明な第2状態となっているから、そのときに第1像光透過部材185を透過して撮像素子136で撮像される像光からは青の波長が除かれない。
このようにして、異質な動画についての2種類のビデオ信号が作られる。
【0110】
<変形例20>
変形例20のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
変形例20のビデオカメラが、第2実施形態で説明したビデオカメラと端的に異なるのは、変形例20のビデオカメラには、第2実施形態のビデオカメラが備えていた第1像光透過部材185がない、という点である。その代わり、変形例20のビデオカメラは、第2実施形態のビデオカメラが備えていなかったそのパワーが可変とされたパワー可変レンズ301を備えている(
図34)。
パワー可変レンズ301は、例えば液晶レンズである。液晶レンズは一般に、いずれも図示を省略するが、所定の間隔をおいて配された2枚の透明な板と、その2枚の板に沿って2枚の板のそれぞれと対にして設けられた2つの透明電極と、2つの透明電極の間に配された液晶層と、2つの透明電極の間に所望の電圧を印加する電源を備えて構成されている。液晶レンズは、透明電極の間に印加する電圧の大小及び向きを制御して、液晶層を横切る電界の強さを液晶層の部分毎に異ならせることで液晶層の屈折率分布をその部分によって異ならせることにより、全体としてレンズとして機能するとともに、そのパワーのプラスとマイナス、及びそのパワーの大きさを変化させられるというものである。
パワー可変レンズ301は、あるパワーである第1状態と、それとは異なるパワーである第2状態を取ることができるようになっている。それは、上述の電圧の制御により実現可能である。第1状態におけるパワーと、第2状態におけるパワーの組み合わせは、プラス、マイナス、ゼロ、及びそれらの絶対値の双方について自由に選択できるが、この実施形態ではいずれもプラスである。つまり、パワー可変レンズ301は、第1状態と第2状態のいずれでも、凸レンズとして機能するが、そのパワーが異なる。
【0111】
変形例20では、パワー可変レンズ301は、第2実施形態と同じように、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1状態を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取るようになっている。そのような同期を可能とするために、パワー可変レンズ301は、第2実施形態における信号線185Aに代わる信号線301Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。パワー可変レンズ301はその情報を用いて、パワー可変レンズ301の状態を撮像素子136が撮像を行いフレームのデータを生成するタイミングと同期させる。
変形例20のビデオカメラでは、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときに第1状態を、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取るが、両状態におけるパワー可変レンズ301はパワーの異なるプラスのパワーのレンズとして機能する。これは両状態における画像が、異なる倍率で拡大されることを意味する。
そのように異なる倍率で拡大された像光が撮像素子136で撮像されるから、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画とは、倍率の異なる拡大画像となり、異質なものとなる。
【0112】
<変形例21>
変形例21のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
変形例21のビデオカメラが、第2実施形態で説明したビデオカメラと端的に異なるのは、変形例21のビデオカメラには、第2実施形態のビデオカメラが備えていた第1像光透過部材185がない、という点である。その代わり、変形例21のビデオカメラは、第2実施形態のビデオカメラが備えていなかった像光を絞るものであり、その径が可変とされた絞り302を備えている(
図35)。絞り302は、ある径とそれとは異なる径を取ることができる。便宜上、前者を第1状態、後者を第2状態と呼ぶ。
絞り302の径は上述したように可変であるが、どのような仕組みで径が可変となるように成っていても良い。例えば、機械的にその径が変更できる周知の仕組みを絞り302に採用しても良いし、透過液晶板を用いて電気的にその径を変更できるような仕組みを絞り302に採用しても良い。
絞り302の径を変更することにより、撮像素子136で撮像される画像は、焦点深度又は明るさが異なるものとなる。絞り302に焦点深度の変更の機能を与えるか、明るさの変更の機能を与えるかは、絞り302を配する位置によって変えられる。
焦点深度を変化させる場合には、焦点深度の深さと、得られる画像の解像度がバーターの関係となる。
【0113】
変形例21では、絞り302は、第2実施形態と同じように、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1状態を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取るようになっている。そのような同期を可能とするために、絞り302は、第2実施形態における信号線185Aに代わる信号線302Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。絞り302はその情報を用いて、絞り302の状態を撮像素子136が撮像を行いフレームのデータを生成するタイミングと同期させる。
変形例21のビデオカメラでは、絞り302は、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときに第1状態を、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2状態を取る。両状態における絞り302の径は異なるものとなっているから、両状態で撮像される画像は、焦点深度、或いは明るさという点で異なるものとなる。
第1状態と第2状態のいずれかの状態の絞り302を通過して絞られた像光が撮像素子136で撮像されるから、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画とは、焦点深度、或いは明るさが異なる、異質なものとなる。
【0114】
<変形例22>
変形例22のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
変形例22のビデオカメラが、第2実施形態で説明したビデオカメラと端的に異なるのは、変形例22のビデオカメラには、第2実施形態のビデオカメラが備えていた第1像光透過部材185がない、という点である。その代わり、変形例22のビデオカメラは、第2実施形態のビデオカメラが備えていなかった、第2像光透過部材303、及びそれを駆動させる駆動部304を備えている(
図36)。
駆動部304は、第2像光透過部材303を平行移動させることができるようなものであり、それにより第2像光透過部材303は、破線で示された、像光の光路上にあり像光を透過させる第1位置と、実線で示された像光の光路上になく像光を透過させない第2位置の間を往復する。
変形例22の第2像光透過部材303は、フィルタであり、ある波長領域の光を透過させないものである。例えば、第2像光透過部材303は、青の波長領域の光を透過させないフィルタである。
【0115】
変形例22では、第2像光透過部材303は、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1位置に、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2位置にあるようになっている。そのような同期を可能とするために、第2像光透過部材303を移動させる駆動部304は、第2実施形態における信号線185Aに代わる信号線303Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。駆動部304はその情報を用いて、第2像光透過部材303を第1位置と第2位置の間で移動させ、第2像光透過部材303の位置の変化を撮像素子136が撮像を行いフレームのデータを生成するタイミングと同期させる。
変形例22のビデオカメラでは、第2像光透過部材303は、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときに第1位置に、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2位置にあるから、前者の場合に撮像素子136で撮像される像光には、青の波長領域の光が含まれないが、後者の場合に撮像素子136で撮像される像光にはすべての波長の光が含まれることとなる。
結果、変形例22のビデオカメラで得られる、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画とは、第2実施形態の場合と同じ異質なものとなる。
【0116】
<変形例23>
変形例23のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
更に言えば、変形例23のビデオカメラは、変形例22のビデオカメラと殆ど同じものになっている。
変形例22のビデオカメラは、第2像光透過部材303の移動により、フィルタである第2像光透過部材303に像光を透過させるか否かを選択していたが、変形例23のビデオカメラでは、
図37に示した複合フィルタ305の回転により、像光を変形例22の第2像光透過部材303に相当する後述のフィルタ部を透過させるか否かを選択することとしている。
複合フィルタ305は、中心角90度の扇形形状をした変形例22の第2像光透過部材303と同等の機能を有するフィルタ部305Aと、光学的に透明な板である、中心角90度の扇形形状をした透過板305Bとを互い違いに2枚ずつ組合せて円形としたものである。複合フィルタ305はその中心を貫く軸306に固定されている。軸306は、軸306を回転させるアクチュエータ307に接続されており、アクチュエータ307により回転させられる。それにより複合フィルタ305は軸306周りに例えば一方向で回転する。
【0117】
複合フィルタ305はビデオカメラのケース内に配置される。像光は、
図37(B)のLで示された範囲を通過する。複合フィルタ305が回転すると、像光は、フィルタ部305Aか、透過板305Bの一方を透過する。この変形例23では像光は、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときにはフィルタ部305Aを透過し、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには透過板305Bを透過するようになっている。そのような同期を可能とするために、複合フィルタ305を回転させるアクチュエータ307は、図示を省略の信号線により第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。
フィルタ部305Aを透過した場合における撮像素子136で撮像される像光は、変形例22において第2像光透過部材303が第1位置にある場合において撮像素子136で撮像される像光と同じであり、透過板305Bを透過した場合における撮像素子136で撮像される像光は、変形例22において第2像光透過部材303が第2位置にある場合において撮像素子136で撮像される像光と同じである。
つまり、この実施形態で得られる2つの動画は、変形例22の場合と同じとなり互いに異質なものとなる。
【0118】
<変形例24>
変形例24のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
更に言えば、変形例24のビデオカメラは、変形例22のビデオカメラと殆ど同じものになっている。
要するに、変形例24のビデオカメラは、変形例22における第2像光透過部材303をレンズを嵌めた枠308に置き換えただけのものとなっている(
図38)。この枠308は、変形例22における第2像光透過部材303同様、往復運動を行うようになっている。往復運動を実現するための仕組みやタイミングはすべて変形例22で示したものを応用可能である。
変形例24のビデオカメラでは、枠308が第1位置にある場合には像光がレンズを透過し、枠308が第2位置にある場合には像光がレンズを透過しない。例えば、レンズは拡大レンズである。
変形例24では、それが後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには撮像素子136は、レンズ135及び枠308に含まれたレンズを透過した像光を、それが後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには撮像素子136は、レンズ135のみを透過した像光を撮像することになる。
結果、変形例24のビデオカメラで得られる、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画とは、拡大倍率の異なる異質なものとなる。
【0119】
変形例24では、枠にレンズでなく絞りを固定することもできる。
それにより、逆でも良いが、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像している撮像素子136には、絞りを通過させた像光を、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像している撮像素子136には、絞りを通過しない像光を撮像させることができるようになる。
結果、変形例24のビデオカメラで得られる、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータに基いて再生される動画とは、焦点深度又は明るさの異なる異質なものとなる。
また、変形例22の往復運動を変形例23の回転運動に置き換えたのと同様に、変形例24の枠308に固定されていたレンズ又は絞りを、変形例23の複合フィルタ305のフィルタ部305Aの部分(より詳細には、像光が通過するLの範囲に対応する部分)に固定することも可能である。
これらの場合により得られる2つの動画は、拡大倍率の異なる異質なものになるか、或いは焦点深度又は明るさの異なる異質なものとなる。
【0120】
≪第3実施形態≫
第1実施形態のビデオカメラは、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中のフレームが切換わるタイミングに同期させながら、第1フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光が、第2フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光とは異質な第2照明光がそれぞれ照射されるように、照明光を適切なタイミングで切換えるものとなっていた。
これに対し、第3実施形態のビデオカメラは、後述する変形例のビデオカメラも含め、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中のフレームが切換わるタイミングに同期させながら、第1フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときと、第2フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときとで、撮像素子136が像光を撮像する条件をある条件である第1条件とそれとは異なる条件である第2条件との間で変化させるものとなっている。
【0121】
第3実施形態のビデオカメラは、第2実施形態で説明したビデオカメラと概ね同一に構成された、手持ちタイプの拡大観察装置である。
第3実施形態のビデオカメラが、第2実施形態で説明したビデオカメラと異なるのは、
図39に示したように、第3実施形態のビデオカメラには、第1像光透過部材185及び信号線185Aがないという点である。
他方、第3実施形態のビデオカメラには、撮像素子136が像光を撮像する条件をある条件である第1条件とそれとは異なる条件である第2条件との間で変化させるという撮像素子136の制御を行う、撮像素子制御部311が設けられている。撮像素子制御部311は、信号線311Bを介して撮像素子136と接続されており、信号線311Bを介して送る後述の情報により撮像素子136を制御する。
これには限らないが、この実施形態のビデオカメラの撮像素子制御部311は、後に第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときとで、撮像素子136(より詳細にはその受光面)中の撮像を行なう範囲が変化するように、撮像素子136を制御するようになっている。つまり、この実施形態における第1条件と第2条件は、撮像素子136中の撮像範囲である。後に第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときの撮像範囲が第1条件であり、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときの撮像範囲が第2条件であるものとして話を進める。
【0122】
第3実施形態では、撮像素子136は、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1条件を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2条件を取るようになっている。そのような同期を可能とするために、撮像素子制御部311は、信号線311Aにより第2垂直同期信号検出部137と接続されており、第2垂直同期信号検出部137から、ビデオ信号から垂直同期信号が検出されたタイミングについての情報を受付けるようになっている。撮像素子制御部311はその情報を用いて、撮像素子136に今のタイミングで撮像する範囲についての情報を送る。
その情報は、例えば、撮像素子136の撮像面を特定する座標の情報である。この座標の情報は、撮像素子136が撮像を行うべき範囲に存在するすべての受光素子を特定するものであっても良いし、撮像素子136が撮像を行うべき範囲が矩形である場合には、その4つの頂点か或いは、その対角の2つの頂点を指定するものであっても良い。
【0123】
撮像素子136は、その情報に基いて、第1条件と第2条件にしたがって交互に撮像を行う。
そのとき撮像される範囲は、例えば、
図40に示したようなものである。
(A)に示した例は、第1条件下では、撮像素子136は、撮像素子136の撮像面一杯で撮像を行い、第2条件下では、撮像素子136の中心の撮像面と相似形の所定範囲で撮像を行うというものである。このとき、第1条件下で撮像される撮像範囲は、(X
A1、Y
A1)と(X
B1、Y
B1)という2つの黒丸の付された座標を指定することで特定することができる。また、第2条件下で撮像される撮像範囲は、(X
A2、Y
A2)と(X
B2、Y
B2)という2つの黒丸の付された座標を指定することで特定することができる。この情報を、撮像素子制御部311は、撮像素子136に送る。なお、座標の情報は、撮像素子136が後に第1フレーム群に振分けられるフレーム又は、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像する度に送られても良いし、撮像素子136が座標の情報を記録ないし保持することができるのであれば、1回のみ送っても良い。ただし、その情報を毎回送るか、一度のみ送るかによらず、撮像素子制御部311は、どのタイミングで撮像素子136が後に第1フレーム群に振分けられるフレームの撮像をするのか、また、どのタイミングで撮像素子136が後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像するのか、というタイミングについての情報を撮像素子136に送る。
【0124】
それにより、第3実施形態のビデオカメラでは、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときと、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときとで撮像の範囲が異なるものとなる。例えば、
図40で示した(A)の例では、撮像素子136が第1条件で撮像した動画に対して撮像素子136が第2条件で撮像した動画はあたかも電子ズームを行ったかのような動画となる。また、(B)の例では、撮像素子136が第1条件で撮像した動画と、撮像素子136が第2条件で撮像した動画は、対象物の微妙に異なる場所を撮像した動画となる。
このようにして、異質な動画についての2種類のビデオ信号が作られる。
なお、撮像範囲についての第1条件と第2条件は、ユーザが指定できるようにしてももちろん良い。
【0125】
なお、撮像素子136か、その制御回路に垂直同期信号を生成する機能が備わっているのであれば、この実施形態では第2垂直同期信号検出部137は不要であり、撮像素子制御部311はその機能を有する回路等から垂直同期信号を受取れば良い。その場合には、撮像素子制御部311は撮像素子136と、或いは撮像素子136の制御回路と一体とするのが合理的かもしれない。
【0126】
<変形例25>
変形例25のビデオカメラは、第3実施形態で説明したビデオカメラとほとんど同一である。特に、
図39に示されたレベルでは、ハードウエア構成に変わりはない。異なるのは、第1条件と第2条件であり、撮像素子制御部311が撮像素子136に送る情報である。
第3実施形態の撮像素子制御部311は、後に第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときとで、撮像素子136(より詳細にはその受光面)中の撮像を行なう範囲が変化するように、撮像素子136を制御するようになっていた。
これに対し、変形例25の撮像素子制御部311は、後に第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときとで、撮像素子136が各フレームのデータを作るための撮像を行なっている時間(露光時間)が変化するように、撮像素子136を制御するようになっている。
つまり、この実施形態における第1条件と第2条件は、撮像素子136が撮像を行う際の露光時間である。後に第1フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときの露光時間が第1条件であり、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームを撮像素子136が撮像しているときの露光時間が第2条件であるものとして話を進める。
【0127】
変形例25では、撮像素子136は、撮像素子136が、後に第1フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第1条件を、撮像素子136が、後に第2フレーム群に振分けられるフレームを撮像しているときには第2条件を取るようになっている。そのような同期を可能とするための方法は、第3実施形態の場合と変わらない。
撮像素子136は、その情報に基いて、第1条件と第2条件にしたがって交互に撮像を行う。
そのとき撮像された画像は明るさの異なるものとなる。
このようにして、異質な動画についての2種類のビデオ信号が作られる。
なお、露光時間についての第1条件と第2条件は、ユーザが指定できるようにしてももちろん良い。
【0128】
≪第4実施形態≫
第1実施形態のビデオカメラは、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中のフレームが切換わるタイミングに同期させながら、第1フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光が、第2フレーム群に含まれることになるフレームが撮像素子136で撮像されているときには第1照明光とは異質な第2照明光がそれぞれ照射されるように、照明光を適切なタイミングで切換えるものとなっていた。
これに対し、第4実施形態のビデオカメラは、後述する変形例のビデオカメラも含め、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとするように、ビデオ信号中の後に第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの少なくとも一方にのみ画像処理を行うものとなっている。
【0129】
第4実施形態のビデオカメラは、手持ちタイプの拡大観察装置であり、また、構成の大部分は変形例16の拡大観察装置と変わらない。
特にそのビデオプロセッサボックス120の構成については、第4実施形態のビデオカメラと変形例16のビデオカメラで異なるところはなく
図27に示された通りとなっている。
第4実施形態のビデオカメラと変形例16のビデオカメラで異なるのはビデオプロセッサボックス120とともに拡大観察装置を構成する拡大観察装置160の構成である(
図41)。
第4実施形態のビデオカメラの拡大観察装置160は、第2光源133Bを持たない。また、第1光源133Aはフィルタ165を持たず、常時点灯するようになっている。また、第4実施形態のビデオカメラは第2実施形態のビデオカメラのように像光に変化を与えたり、第3実施形態のビデオカメラのように撮像素子136での撮像条件に変化を与えたりする必要もない。したがって、拡大観察装置160の側でビデオ信号中のフレームのデータと何かのタイミングを同期させる必要がないから、第2垂直同期信号検出部137もない。また、これらを互いに接続していた信号線134A等もない。第4実施形態のビデオカメラの拡大観察装置160は、極めてシンプルな構造となっている。
【0130】
ただし、第4実施形態のビデオカメラのビデオプロセッサボックス120は、変形例16のそれと同様、画像処理部184を備えている。画像処理部184の機能、ビデオ信号の一部に対して所定の画像処理を行う点、ビデオ信号の一部に対して所定の画像処理を行う際のビデオ信号との同期の取り方はすべて、変形例16の場合と同じである。
画像処理部184が行う画像処理は、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基づく動画を見易くする等の、所望の目的に応じて選択することができ、公知のものであっても良い。画像処理部184が行う画像処理は、フレームのデータから、特定の波長の光のデータを除くものとされていても良い。或いは、画像処理部184は、エッジ強調、明暗反転、ホワイトバランスの調整、白飛びの補正、黒つぶれの補正、キャリブレーション、電子ズームのいずれかを行うようになっていても良い。なお、これらの例は、変形例16の画像処理部184にも適用できる。
第4実施形態で行われる画像処理は、これには限られないが、変形例16の場合と同様のものとなっている。
そうすると、後にビデオ信号中の後に第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの一方に画像処理が行われることになるから、第4実施形態のビデオカメラで生成される、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとすることができることになる。
【0131】
なお、この実施形態では、後にビデオ信号中の第1フレーム群に含まれることになるフレームのデータと、後に第2フレーム群に含まれることになるフレームのデータの一方に画像処理を行うこととしていたが、それらの双方に異なる種類の画像処理を行うこと、或いは同種ではあるが程度を変えて画像処理を行うことも可能であり、そうすることによっても異質の動画を再生できる2種類のビデオ信号を得られる。
【0132】
<変形例26>
上述したように、第4実施形態は、変形例16のビデオカメラにおける拡大観察装置160をシンプルなものにしたものであったが、変形例26のビデオカメラは、変形例17のビデオカメラにおける拡大観察装置160をシンプルなものにしたものである。
変形例26のビデオカメラの拡大観察装置160は、第4実施形態の拡大観察装置160に同じであり、変形例26のビデオカメラのビデオプロセッサボックス120は、変形例17のビデオカメラにおけるビデオプロセッサボックス120に同じである。
出力制御部123で振分けられた2つのデータ、つまり信号線123Aに振分けられた、第1フレーム群に振分けられたフレームのデータと、信号線123Bに振分けられた、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータの一方に対して画像処理を行うだけのこの変形例26のビデオカメラによっても、第1フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画と、第2フレーム群に含まれるフレームのデータに基いて再生される動画とを異質なものとすることができることになる。
【0133】
なお、変形例26では、ビデオ信号中の第1フレーム群に振分けられたフレームのデータと、第2フレーム群に振分けられたフレームのデータの一方に画像処理を行うこととしていたが、それらの双方に異なる種類の画像処理を行うこと、或いは同種ではあるが程度を変えて画像処理を行うことも可能である。