(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部は、前記ローラが設けられた固定部と、該固定部に固定され、軸状に延びる軸部と、該軸部に対してその軸線方向に相対移動可能とされ、前記切断刃が設けられた可動部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のパイプカッタ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図7】切断開始直後のパイプとパイプカッタの斜視図
【
図9】軟質層を切断する途中のパイプと切断刃の刃先の拡大断面図
【
図10】硬質層を切断する途中のパイプと切断刃の刃先の拡大断面図
【
図11】切断開始直後の実施形態2に係るパイプとパイプカッタの斜視図
【
図16】実施形態5に係るパイプカッタの切断刃の正面図
【0021】
<実施形態1>
図1乃至
図10を参照して実施形態1を説明する。
図1に示すように、実施形態1に係るパイプカッタ10は、本体部20と、本体部20に設けられたローラ26と、本体部20に設けられた円盤状の切断刃12と、を備えており、作業者が簡単に持ち運べるサイズのものとされている。本体部20は、一端側に配されたフレーム状の固定部24と、他端側に配されたフレーム状の可動部18と、固定部24と可動部18との間を繋ぐ軸状の軸部22と、から構成される。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸およびZ軸を示しており、各軸方向が各図面で共通した方向となるように描かれている。このうちZ軸方向は、パイプカッタ10を用いてパイプ50(
図7参照)の切断作業を行う際の当該パイプ50の軸方向と一致している。また、以下では、固定部24と可動部18との間に挟まれた空間を切断空間CSと称することとする。
【0022】
本体部20を構成する固定部24は、軸部22に対して固定されている。固定部24には、その一部に円弧状に切り欠かれた切り欠き部24aが設けられている。切り欠き部24a内には、凹状に刳り抜かれた凹部24bが設けられている。上記ローラ26は、この凹部24b内においてY軸方向に並んだ形で一対配されており、Z軸方向に沿った軸周りに回転可能に取り付けられている。一方、本体部20を構成する可動部18は、軸部22に対してその軸線方向(X軸方向)に相対移動可能に取り付けられている。
【0023】
具体的には、
図2および
図3に示すように、軸部22のうち可動部18に取り付けられた側の端部は、可動部18を貫通しており、その先端には可動部18から露出した形で取付板15(
図3参照)が取り付けられている。また、可動部18内には、軸部22の延びる方向に沿って巻ばね17が配されている。巻ばね17は、その一端が可動部18に取り付けられており、他端が取付板15に取り付けられている。これにより、可動部18は、取付板15を介して巻ばね17によって軸部22に対して付勢された構成となっている。
【0024】
また、可動部18の外面には、規制レバー16が取り付けられている。規制レバー16は、回動させることでその一部が可動部18内において軸部22と係合される構成となっており、これにより、可動部18のX軸方向に沿った方向への移動が規制される。以上のような構成とされていることで、作業者は、可動部18を巻ばね17の弾性力に抗ってX軸方向に沿って軸部22に対して相対移動させ、規制レバー16によって可動部18を軸部22に対して固定させることで、固定部24と可動部18との間の間隔を調整することができる。
【0025】
また、
図2ないし
図4に示すように、可動部18内には、可動部18を貫通する調整軸13が配されている。調整軸13の一端には切断空間CSに露出する形で切断刃支持部19が取り付けられており、他端には調整ネジ14が取り付けられている。切断刃支持部19には、固定部24に取り付けられた一対のローラ26,26と所定の間隔を空けて対向した形で、円盤状の切断刃12が取り付けられている。切断刃12は、切断刃支持部19に対してZ軸方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。
【0026】
調整ネジ14は、調整軸13を介して切断刃支持部19に取り付けられており、この調整ネジ14を回すことによって切断刃支持部19をX軸方向に沿ってゆっくりと移動させることが可能となっている。これにより、パイプ50の切断作業を行う際に、X軸方向における切断刃12の位置を微調整することができる。
【0027】
続いて切断刃12の構成について詳しく説明する。円盤状をなす切断刃12は、真円状とされており、当該切断刃12の中心に位置し、切断刃支持部19に回転可能に支持された支持部12aと、支持部12aから外側に向かって延びており、パイプ50を切断する際に当該パイプ50に切り込まれる切断部12bと、切断刃12の刃先をなす刃先部12cと、から構成される。
【0028】
切断刃12を構成する切断部12bは、
図5に示すように、一定の厚みをなすものとされている。本実施形態において切断部12bの厚みW1は、1.0mmから1.2mmの範囲内とされている。一方、切断刃12を構成する刃先部12cは、
図6に示すように、その断面が二等辺三角形状とされている、そして、刃先部12cの先端の角度θ1は、30°の公差内の角度とされている。なお、実施形態でいう公差内の角度とは、例えば刃先部の先端を研磨によって角度調整した場合の一般公差をいい、具体的には±20分以内の範囲のことをいう。
【0029】
以上が本実施形態に係るパイプカッタ10の構成であり、続いてその作用について
図7を参照して説明する。以下では、作業者が行う手順について説明する。本実施形態に係るパイプカッタ10を用いてパイプ50を切断する場合、まず、切断対象となるパイプ50の軸方向(Z軸方向)と本体部20を構成する軸部22の延びる方向(X軸方向)とが直交した形で切断空間CS(
図1参照)内にパイプ50の切断部位が配置されるように、切断対象のパイプ50に対してパイプカッタ10を近づけ、一対のローラ26,26をパイプ50の外周面50aに当接させる。このとき、ローラ26の回転軸の方向は、パイプ50の軸方向と一致する。
【0030】
なお、
図7に示すように、本実施形態において切断対象として例示するパイプ50は、その外周をなす側壁52が、表層側から順に、塩化ビニルスキン層(軟質層の一例)52aと、発泡塩化ビニル層(軟質層の一例)52bと、硬質塩化ビニル層(硬質層の一例)52cと、の三層構造からなるパイプ50である。また、切断対象とされるパイプ50の側壁52の厚みやパイプ50の径は限定されない。
【0031】
次に、可動部18を軸部22の延びる方向(X軸方向)に移動させるとともに、調整ネジ14によって微調整を行いながら、切断刃12の刃先部12cの先端をパイプ50の切断部位に当接させ、この状態で切断刃12の位置を固定する(
図7に示す状態)。このとき、パイプ50の切断部位が切断刃12によってわずかに押圧された状態となるように切断刃12の位置を調整する。ここで、パイプ50の表層である塩化ビニルスキン層52aは軟質層であるため、刃先部12cの形状や先端の角度によっては塩化ビニルスキン層52aに切り込むことができない。具体的には、刃先部12cの先端の角度θ1が30°の公差内の角度より大きい場合、塩化ビニルスキン層52aに切り込むことが不能となり得る。これに対し、本実施形態では、刃先部12cの断面形状が二等辺三角形状とされ、その先端の角度θ1が30°の公差内の角度とされていることで、パイプ50の切断部位に押圧された刃先部12cの先端を当該塩化ビニルスキン層52aに切り込ませることができる。
【0032】
次に、パイプカッタ10をパイプ50の軸周り方向(
図7に示す矢印方向)に回転させる。パイプカッタ10をパイプ50の軸周り方向に回転させることで、
図8に示すように、パイプ50の切断部位の側壁52がある程度の深さまで切断される。なお、
図8に示す符号CLは、パイプカッタ10によってパイプ50の切断部位に形成された切り込み線を示している。
図8に示すように、パイプ50の切断部位がある程度の深さまで切断されると、切断刃12のX軸方向における位置を調整ネジによって微調整することで切断刃12の刃先部12cの先端をパイプ50の切断部位のさらに深い位置まで切り込ませる。そして、再びパイプカッタ10をパイプ50の軸周り方向に回転させる。
【0033】
以上のように、パイプカッタ10のパイプ50の軸周り方向への回転と、切断刃12の位置の調整と、を繰り返すことにつれて、パイプ50の切断部位の側壁52が深い位置まで切断されていき、パイプ50の切断部位の側壁52を切断することができる。
【0034】
続いて、パイプカッタ10を用いてパイプ50を切断する際の、パイプ50の側壁52の切断態様について、
図9および
図10を参照して説明する。ここで、
図9は、パイプ50の側壁52のうち、軟質層とされた発泡塩化ビニル層52bを切断する途中における、パイプ50と切断刃12の刃先の拡大断面図を示している。また、
図10は、パイプ50の側壁52のうち、硬質層とされた硬質塩化ビニル層52cを切断する途中における、パイプ50と切断刃12の刃先の拡大断面図を示している。
【0035】
図9に示すように、発泡塩化ビニル層52bを切断する途中では、発泡塩化ビニル層52bが軟質層であることから、切断刃12が深い位置まで切り込まれるのに追従して、発泡塩化ビニル層52bの切断面52b1が切断刃12に引っ張られることとなる。
【0036】
ここで、切断刃12の切断部12bの厚みW1(
図5参照)が大き過ぎると、切断刃12と発泡塩化ビニル層52bとの接触面積が大きいものとなり、発泡塩化ビニル層52bの切断面52b1の変形量が大きいものとなる。その結果、発泡塩化ビニル層52bを切断することが不能となる。具体的には、切断部12bの厚みW1が1.2mmより大きいと、発泡塩化ビニル層52bの切断面52b1の変形量が大きく、発泡塩化ビニル層52bを切断することが不能となり得る。これに対し、本実施形態のパイプカッタ10では、このような軟質層を切断するために切断刃12の切断部12bの厚みW1が大き過ぎない厚み、具体的には1.2mm以下とされている。このため、発泡塩化ビニル層52bの切断面52b1の変形量を抑えることができる。
【0037】
また、切断刃12の刃先部12cの形状や角度によっては、軟質層とされた発泡塩化ビニル層52bに切り込むのに際し、刃先部12cの先端を発泡塩化ビニル層52bに切り込ませることができず、発泡塩化ビニル層52bを切断不能となる。これに対し、本実施形態のパイプカッタ10では、このような軟質層に切り込むために切断刃12の刃先部12cの形状や角度が最適な構成および値とされている。このため、刃先部12cの先端を発泡塩化ビニル層52bに切り込ませることができる。
【0038】
図10に示すように、硬質塩化ビニル層52cを切断する途中では、硬質塩化ビニル層52cが硬質層であることから、切断刃12に追従して引っ張られる硬質塩化ビニル層52cの切断面52c1の変形量は小さい。
【0039】
ここで、切断刃12における刃先部12cの先端の角度θ1や切断部12bの厚みW1(
図5参照)が小さ過ぎると、硬質層である硬質塩化ビニル層52cを切断するときに刃の強度がもたず、刃の破断や刃こぼれ等が発生する。具体的には、刃先部12cの先端の角度θ1が30°の公差内の角度より小さい場合や、切断部12bの厚みW1が1.0mmより小さい場合、硬質塩化ビニル層52cを切断するときに刃の破断や刃こぼれ等が発生し得る。これに対し、本実施形態のパイプカッタ10では、このような硬質層を切断するために切断刃12の切断部12bの厚みW1が小さ過ぎない厚み、具体的には1.0mm以上とされている。このため、切断刃12の破断や刃こぼれ等が発生することなく、硬質塩化ビニル層52cを切断することができる。
【0040】
このように、本実施形態のパイプカッタ10では、軟質層である発泡塩化ビニル層52bと硬質層である硬質塩化ビニル層52cとのいずれの層を切断する際においても、切断面52b1、52c1の変形量を抑えることができるため、切断後のパイプ50の切断面を真円状に保持することができる。
【0041】
ところで従来のパイプカッタでは、その切断刃の厚みが大き過ぎると、パイプの柔らかな層を切断する際に切断刃と層との接触面積が大きくなるため、切断刃に追従して変形する切断面の変形量が大きく、切断面を真円状に保持しながらパイプを切断することが難しかった。また、切断刃の刃先の形状や角度によってはパイプの柔らかな層に切り込むことができない。一方、切断刃の厚みや刃先の角度が小さ過ぎると、パイプの硬い層を切断する際に切断刃がもたず、刃こぼれ等が発生することがあった。これに対し、本実施形態に係るパイプカッタ10では、刃先部12cの断面形状が二等辺三角形状とされるとともに刃先部12cの先端の角度θ1が30°の公差内の角度とされていることで、パイプ50の軟質層に切断刃12を切り込ませることができる。また、切断部12bの厚みが1.2mm以下とされていることで、パイプ50の軟質層を切断する際に切断刃12に追従して変形する切断面52b1、52c1の変形量を抑制することができる。さらに、切断部12bの厚みが1.0mm以上とされ、刃先部12cの先端の角度θ1が30°の公差内の角度とされていることで、パイプ50の硬質層を切断する際に刃こぼれ等が発生することを防止ないし抑制することができる。このように本実施形態のパイプカッタ10では、切断刃12における切断部12bの厚みや刃先部の形状、角度が、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ50を切断するために最適な構成、および値とされている。このため、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ50を、少ない変形量で切断することができ、その結果、円形の切断面を保持した状態で良好に切断することができる。
【0042】
ここで、切断刃12における刃先部12cの先端の角度を18°から32°の範囲内の角度で変更した場合における、当該刃先部12cのパイプ50の軟質層への切り込み易さ、及び硬質層を切断する際の当該刃先部12cの耐久性を表にしたものを下記表1に示す。なお、表1では、○を優良、△を良、×を不良とする三段階評価で示している。また表1でいう耐久性とは、硬質層を切断する際の刃こぼれ等の発生し難さをいう。表1に示すように、軟質層への切り込み易さと硬質層を切断する際の耐久性とはトレードオフの関係とされ、刃先部12cの先端の角度が20°から30°の範囲内の角度である場合に、軟質層への切り込み易さと硬質層を切断する際の耐久性との両者を確保することができる。
【0043】
【表1】
【0044】
特に本実施形態のように刃先部12cの先端の角度が30°(公差の範囲内を含む)の角度とされていると、表1に示すように、刃先部12cの先端が耐久性に優れたものとなるため、パイプ50の硬質層を切断する際に刃こぼれ等が発生することを効果的に防止することができる。このように本実施形態のパイプカッタ10では、刃先部12cの先端の角度について、パイプ50の軟質層に切断刃12を切り込ませることを可能としながら、パイプ50の硬質層を切断する際の耐久性に優れた角度を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るパイプカッタ10では、本体部20が、一対のローラ26,26が設けられた固定部24と、固定部24に固定され、軸状に延びる軸部22と、軸部22に対してその軸線方向に相対移動可能とされ、切断刃12が設けられた可動部18と、を有する構成とされている。このように、本体部20のうち、ローラ26が設けられた部位側ではなく、切断刃12が設けられた部位側が動くことで、一対のローラ26,26を先にパイプ50の外周面50aに当接させた状態で、切断刃12の刃先をパイプ50の外周面50aに当接させることができる。このため、パイプ50を切断する際に、切断刃12の刃先がパイプ50に対して当接する程度を調整し易いものとすることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るパイプカッタ10は、作業者が簡単に持ち運べるサイズのものとされている。このため、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ50を切断するために、大きな切断装置を準備する必要がない。本実施形態に係るパイプカッタを用いることで、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ50を、円形の切断面を保持した状態で良好かつ簡単に切断することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るパイプカッタ10では、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ50の外周面50aを切断刃12で削るのではなく当該外周面50aに切断刃12を切り込ませる形で当該パイプ50を切断できるため、切断に伴う削り屑やバリの発生を防止ないし抑制することができる。このため、切断後のパイプ50について、極めて良好な状態の切断面を得ることができる。
【0048】
<実施形態2>
図11を参照して実施形態2を説明する。実施形態2は、切断対象となるパイプ60が実施形態1のものと異なっている。パイプ60を切断するためのパイプカッタ10の構成については、実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。
【0049】
図11に示すように、実施形態2において、パイプカッタ10の切断対象とするパイプ60は、その外周をなす側壁62が、表層側から順に、ポリエチレン層(軟質層の一例)62aと、強化アルミニウム層(硬質層の一例)62bと、ポリエチレン層(軟質層の一例)62cと、の三層構造からなるパイプ60である。
【0050】
切断対象となるパイプ60がこのような構成であっても、本実施形態のパイプカッタ10では、軟質層であるポリエチレン層62a,62cを切断するために切断刃12の切断部12bの厚みW1が大き過ぎない厚みとされている。このため、ポリエチレン層62a,62cの切断面の変形量を抑えることができる。さらに、本実施形態のパイプカッタ10では、このような軟質層に切り込むために切断刃12の刃先部12cの形状や角度が最適な構成および値とされている。このため、刃先部12cの先端をポリエチレン層62a,62cに切り込ませることができる。
【0051】
また、本実施形態のパイプカッタ10では、硬質層である強化アルミニウム層62bを切断するために切断刃12の切断部12bの厚みW1が小さ過ぎない厚みとされている。このため、切断刃12の破断や刃こぼれ等が発生することなく、強化アルミニウム層62bを切断することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るパイプカッタ10では、実施形態1と同様に、切断刃12における切断部12bの厚みや刃先部12cの形状、角度が、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ60を切断するために最適な構成、および値とされている。このため、軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ60を、少ない変形量で切断することができ、その結果、円形の切断面を保持した状態で良好に切断することができる。
【0053】
<実施形態3>
図12および
図13を参照して実施形態3を説明する。実施形態3は、切断刃支持部119の構成が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図12において、
図4の参照符号に数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0054】
実施形態3に係るパイプカッタ110では、
図12に示すように、本体部120における切断刃支持部119のうち、切断刃112と対向する内壁の一部が、切断刃112側にせり出した構成となっている。詳しくは、切断刃支持部119の内壁のうち調整軸113側に位置する部分が切断刃112の一部を挟み込む形で当該切断刃112側にせり出している(以下、当該せり出した部分を規制部119aと称する)。これにより、切断刃112における切断部112bのうち調整軸113側に位置する部分が切断刃支持部119における規制部119aと近接した状態となっており、当該切断刃112がその厚み方向(Z軸方向)にぶれることが規制部119aによって規制されている。
【0055】
本実施形態において切断刃支持部119の内側に形成された隙間のうち規制部119aによって挟まれた隙間の距離W2(
図13参照)は、1.5mmとされている。この隙間の真中に位置するように切断刃112の一部、具体的には切断刃112のうち、刃先部112cの一部と、厚みW3が1.2mmとされた切断部112bの一部と、が収まっている。従って、当該隙間内において切断刃支持部119における規制部119aと切断刃112における切断部112bとの間の距離W4は、0.15mmとされている。
【0056】
ところで、切断刃がパイプの柔らかな層に切り込まれた状態でパイプカッタを当該パイプの軸周り方向に回転させた場合、切断刃が柔らかな層に食い込んで引っ張られ、パイプカッタの回転に伴って切断刃がその厚み方向にぶれることがある。このように切断刃がぶれた場合、パイプの外周面に形成される切り込み線がぶれ、パイプの延在方向に対して直交する形で真っ直ぐな切り込み線を入れることができず、良好な切断面を得られないことがある。
【0057】
これに対し本実施形態のパイプカッタ110では、本体部120の切断刃支持部119における規制部119aと切断刃112における切断部112bとが近接しており、両者の間の距離が0.5mm以下とされている。このような構成とされていることで、切断刃112がその厚み方向にぶれかけた場合であっても、切断部112bが規制部119aと干渉し、切断刃112がぶれることが規制される。従って、切断刃112がパイプの柔らかな層に切り込まれた状態でパイプカッタ110をパイプの軸周り方向に回転させる際、当該規制部119aによって切断刃112がその厚み方向にぶれることが良好に規制される。
【0058】
以上のように本実施形態に係るパイプカッタ110では、パイプの柔らかな層を切断する場合であっても、当該パイプカッタ110の回転に伴って切断刃112がその厚み方向にぶれることを防止ないし抑制することができ、パイプの延在方向に対して直交するような形でパイプの外周面に沿って真っ直ぐに切り込み線を入れることができる。その結果、パイプの切断後に良好な切断面を得ることができる。特に、本実施形態のようにパイプの外周面に切断刃112を切り込ませる形で当該パイプを切断するパイプカッタ110においては効果的である。
【0059】
<実施形態4>
図14および
図15を参照して実施形態4を説明する。実施形態4は、切断刃支持部219の構成が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図14において、
図4の参照符号に数字200を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0060】
実施形態4に係るパイプカッタ210では、
図14に示すように、本体部220における切断刃支持部219の厚みが実施形態1のものと比べて薄くされており、当該切断刃支持部219の内側に略筒状をなす内側部材230が配された構成とされている。切断刃支持部219の厚みと内側部材230の厚みとの和は、実施形態1における切断刃支持部19の厚みとほぼ同等である。このように本実施形態では、切断刃212を支持する部位が切断刃支持部219と内側部材230との二層構造によりなるものとされている。また、切断刃支持部219と内側部材230には、両者を貫通する形で一対の貫通ネジ(規制部の一例)232が配されており、この貫通ネジ232によって切断刃支持部219に対して内側部材230が取り付けられている。そして、切断刃212は、切断刃支持部219および内側部材230に対して回転可能に支持されている。
【0061】
図15に示すように、一対の貫通ネジ232の各々は、その先端が内側部材230を貫通しており、切断刃212のうち支持部212aに対して調整軸213側に位置する切断部212bの一部を挟み込む形で当該切断部212bの一部と近接している。これにより、切断刃212がその厚み方向(Z軸方向)にぶれることが貫通ネジ232の先端によって規制されている。また、本実施形態では、一対の貫通ネジ232の間に厚みW5が1.2mmとされた切断部212bが収まっている。そして、一対の貫通ネジ232の先端と上記切断部212bの一部との間の距離W6は、それぞれ0.5mmとされている。
【0062】
以上のように本実施形態のパイプカッタ210では、切断刃支持部219と内側部材230を貫通する貫通ネジ232の先端と切断刃112における切断部212bとが近接しており、両者の間の距離が0.5mm以下とされている。このような構成とされていることで、切断刃212がその厚み方向にぶれかけた場合であっても、切断部212bが貫通ネジ232の先端と干渉し、切断刃212がぶれることが規制される。従って、切断刃212がパイプの柔らかな層に切り込まれた状態でパイプカッタ210をパイプの軸周り方向に回転させる際、当該規制部219aによって切断刃212がその厚み方向にぶれることが良好に規制される。これにより、パイプの柔らかな層を切断する場合であっても、当該パイプカッタ210の回転に伴って切断刃212がその厚み方向にぶれることを防止ないし抑制することができ、パイプの延在方向に対して直交するような形でパイプの外周面に沿って真っ直ぐに切り込み線を入れることができる。その結果、パイプの切断後に良好な切断面を得ることができる。
【0063】
<実施形態5>
図16から
図19を参照して実施形態5を説明する。実施形態5は、切断刃312の構成が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図16、
図17、
図19において、それぞれ
図6、
図7、
図3の参照符号に数字300を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0064】
実施形態5に係るパイプカッタ310(
図19参照)では、
図16及び
図17に示すように、切断刃312における切断部312bのうち、刃先部312cとの境界近傍の部位の両側が滑らかに窪んでなることでくびれ状とされている(以下、くびれ状とされた部位をくびれ部312dと称する)。切断部312bの厚みは、実施形態1のものと同様に1.2mmとされている。一方、上記くびれ部312dは、切断部312bの両側がそれぞれ0.2mm窪むことにより設けられている。従って、くびれ部312dの厚みW7は、0.8mmとされている。
【0065】
ここで本実施形態のように、切断刃312における切断部312bの一部にくびれ部312dが設けられていると、パイプを切断する際、切断部312bのくびれ部312dがパイプの切断面から逃げる形となって当該くびれ部312dが切断面から受ける応力が低減されるので、切断刃312と切断面との間に生じる摩擦抵抗が減少する。このため、本実施形態のパイプカッタ310を用いて軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプ350(
図18参照)を切断すると、パイプ350の軟質層に対して切断刃312を滑らかに切り込ませることができる。そして、
図18に示すように、切断されて二つに分割されたパイプ350の各切断面352a、352bは、それぞれパイプ350の外周面350aに対して直角となるように真っ直ぐに切り込まれた形となる。このように本実施形態のパイプカッタでは、パイプ350の軟質層に切断刃312を滑らかに切り込ませることができ、切断されて分割されたパイプ350の各切断面352a、352bを略均一な面とすることができる。
【0066】
また本実施形態のパイプカッタ310では、
図17に示すように、切断刃312における刃先部312cの先端の角度θ2が、22.6°の公差内の角度とされている。従って、本実施形態における切断刃312の刃先部312cは、実施形態1のものと比べてその先端がより尖った形状となっている。
【0067】
本実施形態のように切断刃312における刃先部312cの先端の角度が22.6°の公差内の角度とされていると、上記表1に示すように、パイプ350の軟質性に対して刃先部312cを極めて良好に切り込ませることができ、かつ、パイプ350の硬質層を切断する際の刃先部312cの耐久性にも優れ、刃先部312cに刃こぼれ等が発生することを効果的に防止することができる。このように本実施形態のパイプカッタでは、刃先部312cの先端の角度θ2について、パイプ350の軟質層への刃先部312cの切り込み易さとパイプ350の硬質層を切断する際の刃先部312cの耐久性とを兼ね備えた最適な角度を実現することができる。
【0068】
なお、
図19に示すように、本実施形態のパイプカッタ310では、実施形態1における巻ばね17の代替として、規制レバー316と本体部320を構成する可動部318との間にねじりばね317が配されている。ねじりばね317は、規制レバー316の回動部分に巻回された状態で、その一端が規制レバー316に取り付けられ、その他端が可動部318の内壁に取り付けられている。これにより、規制レバー316は、ねじりばね317の自然状態において、その一部が軸部322に対して接圧を付与しながら軸部322と係合されるようになっている。作業者は、ねじりばね317の弾性力に抗って規制レバー316を回動させて軸部322から離間させ、X軸方向に沿って可動部318を軸部322に対して相対移動させた後、ねじりばね317の弾性力によって規制レバー316の一部を軸部322と係合させることで、固定部324と可動部318との間の間隔を調整することができる。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記の各実施形態では、塩化ビニルスキン層と、発泡塩化ビニル層と、硬質塩化ビニル層と、の三層構造からなるパイプ、および、ポリエチレン層と、強化アルミニウム層と、ポリエチレン層と、の三層構造からなるパイプを切断する例を示したが、切断対象とされるパイプはこれに限定されない。軟質層と硬質層とが混在する三層構造のパイプであれば、実施形態に係るパイプカッタを用いて、円形の切断面を保持した状態で良好に切断することができる。
【0070】
(2)上記の各実施形態では、パイプの硬質層が硬質塩化ビニル層または強化アルミニウム層とされた例を示したが、硬質層は樹脂で形成された層と金属で形成された層とのいずれであってもよく、限定されない。
【0071】
(3)上記の各実施形態では、本体部が、固定部と、軸部と、可動部と、をそれぞれ有する構成を例示したが、本体部の構成については、適宜に変更可能である。
【0072】
(4)上記の各実施形態では、調整ネジによって切断刃の位置を微調整可能な構成を例示したが、切断刃の位置を微調整するための構成については限定されない。
【0073】
(5)上記の実施形態3および実施形態4以外にも、本体部に設けられる規制部の構成、配置等については、適宜に変更可能である。
【0074】
(6)上記の実施形態5以外にも、切断部に設けられるくびれ部の厚みや形状等については、適宜に変更可能である。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0076】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。