【実施例】
【0011】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、乗り物として電車に搭載されるシートシステムを例示する。
【0012】
(1)シートシステムの構成
本実施例に係るシートシステム1は、
図1及び
図2に示すように、複数(図中2つ)のシート2が横(左右)方向D1に並ぶように連結されたシートユニット1Aを備えている。このシートユニット1Aは、縦(前後)方向D2に複数設けられている。各シートユニット1Aは、電車の進行方向に応じて向きを変更可能とさている。なお、本実施例では、上記シートユニット1Aは、縦方向D2に6列設けられているものとする。
また、本実施例では、
図1に示すように、単一のシート2からなる単独シートも縦方向D2に沿って複数備えられており、それぞれ、電車の進行方向に応じて向きを変更可能とされている。
【0013】
上記シート2は、
図3及び
図4に示すように、シート本体2Aと、このシート本体2Aをその後方及び側方を覆うように収容するシェル3と、を備えている。また、シート本体2Aは、座部となるクッション部4と、クッション部4の前端側に連なり足のせとなるオットマン部5と、クッション部4の後端側に連なり背もたれとなるバック部6と、を備えている。このクッション部4は、モータM1の駆動により傾動可能(すなわち、チルト可能)に設けられている。また、オットマン部5は、モータM2の駆動により傾動可能に設けられている。さらに、バック部6は、モータM3の駆動により傾動可能(すなわち、リクライニング可能)に設けられている。これら各モータM1〜M3の駆動は、シート2のアームレストの先端側に設けられるスイッチ操作部7(
図3参照)を操作することで、後述する制御装置の制御により実行される。
【0014】
上記各シート2には、シート2の動作を制御する制御装置12(ECU(Electronic Control Unit)とも称される。)がそれぞれ備えられている(
図3参照)。この制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)と、図示しないメモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)と、を備えている。また、制御装置12は、スイッチ操作部7のスイッチからの操作信号が入力される入力回路と、モータM1〜M3を駆動するためのモータ駆動回路と、を備えている。制御装置12は、シートユニット1Aの各シート2にそれぞれ備えられている。
【0015】
図2に示されるように、動作開始スイッチ(一括操作スイッチ15)は、第1番目の列のシートユニット1Aに電線17を介して接続されている。電線17は、シートユニット1A内で二股に分岐しており、分岐線はシートユニット1A内の2つのシート2にそれぞれ接続されている。
また、シートユニット1Aの2つのシート2は、相互に信号の送受信が可能なように電線19により、互いに接続されている。
【0016】
一括操作スイッチ15がオンされると、第1番目の列の各シート2の制御装置12により各モータM1〜M3が作動して、オットマン部5及びバック部6がそれぞれ初期位置に戻るとともにクッション部4の前部が上方に持ち上がる。これにより、クッション部4下方のオットマン部5の裏側に通常隠されている反転用のペダル(図示せず)が露出して操作可能な状態となるようにされている。また、各シート2の制御装置12は、自己のシート2が反転用のペダルが露出して操作可能な状態となると、隣のシート2の制御装置12に対して、動作終了信号を送信するようにされている。
また、2つのシート2のうち、右側のシート2に装備された制御装置12は、自己の動作が終了し、かつ、隣のシート2、すなわち左側のシート2の制御装置12から動作終了信号を受信したときは、次の列(第2番目の列)のシートユニット1Aに電線17を介して動作開始信号を送信するようになっている。
【0017】
次に第2番目の列以降のシートユニット1Aについて説明する。
第2番目の列以降のシートユニット1Aは、それぞれその前の列のシートユニット1Aに電線17を介して接続されている。これらの電線17は、第1番目の列と第2番目の列のシートユニット1Aを接続する電線17と同様に、シートユニット1A内で二股に分岐しており、分岐線はシートユニット1A内の2つのシート2にそれぞれ接続されている。
また、2つのシート2が相互に信号の送受信が可能なように、電線19により、互いに接続されている点も同様である。
【0018】
第2番目の列以降のシートユニット1Aでは、電線17を介して、前の列のシートユニット1Aから動作開始信号が入力される。これにより、上記第1番目の列のシートユニット1Aと同様の反転用のペダルを露出する動作が実行され、各シート2の制御装置12は自己のシート2が反転用のペダルが操作可能な状態となると、隣のシート2の制御装置12に対して動作終了信号を送信する。
そして、2つのシート2のうち、右側のシート2に装備された制御装置12は、自己の動作が終了し、かつ、隣のシート2、すなわち左のシート2の制御装置12から動作終了信号を受信したときは、さらに次の列のシートユニット1Aに電線17を介して動作開始信号を送信するようになっている。
【0019】
なお、上記制御装置12による制御処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適にはCPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。
【0020】
(2)シートシステムの作用
次に、上記構成のシートシステム1の作用について説明する。
図5に示すように、第1番目の列のシートユニット1Aでは、まず、ステップS100において、動作開始スイッチ(一括操作スイッチ15)がオンされたか否かを判定する。この判定条件が満たされると、ステップS110において、第1番目の列のシートユニット1Aの各シート2の各可動部を所定位置まで動作させる。本実施例の場合には、第1番目の列のシートユニット1Aの左右のシート2の各モータM1〜M3を駆動してクッション部4、オットマン部5及びバック部6を動作させ、反転用のペダルが露出した状態にする。
【0021】
そして、左右のシート2について、この動作が終了したか否かを判定する。各シート2の制御装置12は、自己のシート2が反転用のペダルが露出して操作可能な状態となると、隣のシート2の制御装置12に対して、電線19を介して動作終了信号を送信する。一方のシート2(
図2では、右側のシート2)が動作終了し(ステップS120:YES)、このシート2が他方のシート2(
図2では、左側のシート2)から動作終了信号を受信すると(S130:YES)、ステップS140において、第1番目の列のシートユニット1Aから、第2番目の列のシートユニット1Aへ、電線17を介して動作開始信号を送信する。
【0022】
第2番目の列以降のシートユニット1Aでは、
図6に示すように、ステップS200において、前の列のシートユニット1Aから動作開始信号を受信したか否かを判定する。この判定条件が満たされると、ステップS210において、このシートユニット1Aの2つのシート2の各可動部を所定位置まで動作させる。
【0023】
そして、左右のシート2について、この動作が終了したか否かを判定する。各シート2の制御装置12は、自己のシート2が反転用のペダルが露出して操作可能な状態となると、隣のシート2の制御装置12に対して、電線19を介して動作終了信号を送信する。一方のシート2(
図2では、右側のシート2)が動作終了し(ステップS220:YES)、このシート2が他方のシート2(
図2では、左側のシート2)から動作終了信号を受信すると(S230:YES)、ステップS240において、このシートユニット1Aから、次の列のシートユニット1Aへ、電線17を介して動作開始信号を送信する。
【0024】
このように、シートユニット1Aは、上述の動作開始信号の受信、可動部が所定の状態になるような動作、上述の動作開始信号の発信を、最後列である第6番目の列のシートユニット1Aの可動部が所定の状態になるような動作終了まで繰り返す。
【0025】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のシートシステム1では、一度、動作開始スイッチを入れれば、シートシステム1の全シート2を、所定状態により簡便に移行できる。よって、清掃担当者の作業が省力化される。また、第n番目の列のシートユニット1A内の全シート2の動作が完了したときに、第(n+1)番目の列のシートユニット1Aへ動作信号を送信して、第(n+1)番目の列のシートユニット1A内のシート2の動作が開始する。すなわち、複数のシートユニット1Aが同時に動作しないから、電流制限値内での動作を担保できる。
また、シートユニット1Aから、次列のシートユニット1Aへ動作開始信号を出力する際、電線17は、シートユニット1A内で二股に分岐しており、分岐線はシートユニット1A内の2つのシート2にそれぞれ接続されている。よって、車両を通る電線回路数を削減することができる。
【0026】
なお、上記実施例では、右側のシート2が左側のシート2から動作終了信号を受信するものとしたが、左側のシート2が右側のシート2から動作終了信号を受信してもよい。
また、一括操作スイッチ15の種類も特に限定されず、例えば、メンブレン式、タッチ式、プッシュ式、ロータリ式、スライド式、押しボタン式スイッチ等であってもよい。
【0027】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0028】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。