特許第6230046号(P6230046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧 ▶ パーク二四株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6230046-料金課金システム、及び、料金課金方法 図000002
  • 特許6230046-料金課金システム、及び、料金課金方法 図000003
  • 特許6230046-料金課金システム、及び、料金課金方法 図000004
  • 特許6230046-料金課金システム、及び、料金課金方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230046
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】料金課金システム、及び、料金課金方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20171106BHJP
【FI】
   G07B15/00 510
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-165522(P2013-165522)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-35106(P2015-35106A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】浜名 通夫
(72)【発明者】
【氏名】河西 弘明
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−024880(JP,A)
【文献】 特開2004−272552(JP,A)
【文献】 特開2013−092868(JP,A)
【文献】 特開2004−102582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 − 17/04
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードが挿入された車載器と、
有料領域の出入口に設けられ、前記車載器と通信を行って課金処理を行う路側機と、
を具備し、
前記路側機は、
前記有料領域への入場時に、前記車載器を介して前記ICカードから受信したID情報と、入場情報と、前記ICカードに前記入場情報を書き込む命令とを、前記車載器に送信する手段と、
前記車載器から送信される入場情報を受信する手段と、
前記受信した入場情報に基づいて課金する手段と、
を有し、
前記車載器は、
前記路側機から送信されたID情報を自身のメモリに前記ID情報を書き込み、前記路側機から送信された命令に従って、前記路側機から送信された入場情報をICカードに書き込む手段と、
前記有料領域からの出場時に、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信する手段と、
挿入されたICカードからID情報を読み出す手段と、
前記ICカードから読み出したID情報と、前記メモリに書き込まれたID情報とが一致するかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により一致しないと判定された場合、警告を出力する手段と、
前記車載器のメモリにID情報が存在しない場合、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信する
ことを特徴とする料金課金システム。
【請求項2】
前記車載器は、
電子署名が添付された入場情報を前記路側機から受信すると、前記電子署名と前記入場情報を前記ICカードに送り、前記ICカードに対して前記入場情報の書き込みを行なわせる
ことを特徴とする請求項1記載の料金課金システム。
【請求項3】
ICカードが挿入された車載器と、有料領域の出入口に設けられた路側機とが、通信を行って課金処理を行う料金課金方法であって、
前記有料領域への入場時に、前記路側機が、前記車載器を介して前記ICカードから受信したID情報と、入場情報と、前記ICカードに前記入場情報を書き込む命令とを、前記車載器に送信するステップと、
前記車載器が、前記路側機から送信された命令を受信すると、自身のメモリに前記ID情報を書き込んだ上で、前記路側機から送信された命令に従って、前記路側機から送信された入場情報をICカードに書き込むステップと、
前記車載器が、挿入されたICカードからID情報を読み出すステップと、
前記車載器が、前記ICカードから読み出したID情報と、前記メモリに書き込まれたID情報とが一致するかどうかを判定するステップと、
前記車載器が、前記判定において一致しないと判定された場合、警告を出力するステップと、
前記車載器が、前記車載器のメモリにID情報が存在しない場合、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信するステップと、
前記有料領域からの出場時に、前記車載器が、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信するステップと、
前記路側機が、前記車載器から送信される入場情報を受信するステップと、
前記路側機が、前記受信した入場情報に基づいて課金するステップと、
を有することを特徴とする料金課金方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの挿入された車載器と、駐車場や有料道路などの有料領域の出入口に設けられた路側機との通信を利用して、有料領域の利用料金の自動課金を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動料金支払いシステム(例えば、ETC(Electronic Toll Collection)(登録商標)システム)の導入により、例えば有料道路の利用料金などは、有料道路の入口、出口に設けられた路側機と、車に搭載された車載器との通信によって、車載器に挿入されたクレジットカード等により自動的に決済される。このような場合、入口で路側機から送信される入場情報を車載器のメモリが記憶しておき、出口の路側機が車載器から入場情報を読み出すことで、利用料金の課金処理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−102582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の課金処理方法では、入場情報が車載器のメモリに書き込まれるため、車載器に対して操作することによって入場情報を改ざんすることが可能であり、正しい課金処理が行われない場合があるという問題があった。また、何らかの理由によって入場情報が車載器のメモリから消去された場合も、同様に正しい課金処理が行われない。
また、車載器にカードが挿入されていない場合やカードが正しく挿入されていない場合、課金処理が円滑に行われず、出口付近で渋滞や事故等が起こる場合も考えられる。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、有料道路や有料駐車場などの有料領域の利用料金の課金処理を、確実にかつ円滑に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために本発明は、ICカードが挿入された車載器と、有料領域の出入口に設けられ、前記車載器と通信を行って課金処理を行う路側機と、を具備し、前記路側機は、前記有料領域への入場時に、前記車載器を介して前記ICカードから受信したID情報と、入場情報と、前記ICカードに前記入場情報を書き込む命令とを、前記車載器に送信する手段と、前記車載器から送信される入場情報を受信する手段と、前記受信した入場情報に基づいて課金する手段と、を有し、前記車載器は、前記路側機から送信されたID情報を自身のメモリに前記ID情報を書き込み、前記路側機から送信された命令に従って、前記路側機から送信された入場情報をICカードに書き込む手段と、前記有料領域からの出場時に、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信する手段と、挿入されたICカードからID情報を読み出す手段と、前記ICカードから読み出したID情報と、前記メモリに書き込まれたID情報とが一致するかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により一致しないと判定された場合、警告を出力する手段と、前記車載器のメモリにID情報が存在しない場合、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信することを特徴とする料金課金システムである。
【0007】
ここで、前記車載器は、電子署名が添付された入場情報を前記路側機から受信すると、前記電子署名と前記入場情報を前記ICカードに送り、前記ICカードに対して前記入場情報の書き込みを行なわせる。
【0008】
また、本発明は、ICカードが挿入された車載器と、有料領域の出入口に設けられた路側機とが、通信を行って課金処理を行う料金課金方法であって、前記有料領域への入場時に、前記路側機が、前記車載器を介して前記ICカードから受信したID情報と、入場情報と、前記ICカードに前記入場情報を書き込む命令とを、前記車載器に送信するステップと、前記車載器が、前記路側機から送信された命令を受信すると、自身のメモリに前記ID情報を書き込んだ上で、前記路側機から送信された命令に従って、前記路側機から送信された入場情報をICカードに書き込むステップと、前記車載器が、挿入されたICカードからID情報を読み出すステップと、前記車載器が、前記ICカードから読み出したID情報と、前記メモリに書き込まれたID情報とが一致するかどうかを判定するステップと、前記車載器が、前記判定において一致しないと判定された場合、警告を出力するステップと、前記車載器が、前記車載器のメモリにID情報が存在しない場合、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信するステップと、前記有料領域からの出場時に、前記車載器が、前記ICカードに書き込まれた入場情報を読み出して、前記路側機に送信するステップと、前記路側機が、前記車載器から送信される入場情報を受信するステップと、前記路側機が、前記受信した入場情報に基づいて課金するステップと、を有することを特徴とする料金課金方法である。
【発明の効果】
【0009】
ICカードに書き込まれた入場情報は改ざんされにくく、セキュリティが高いため、その入場情報を用いて課金処理を行う本発明によれば、正しい課金処理を行うことができる。
また、本発明によれば、出場する前に、正しいICカードが正しく挿入されているかどうかを確認することが可能であり、出場時におけるICカードによる課金処理を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】料金課金システム1のブロック構成図
図2】料金課金システム1の入場時の処理手順を示すフローチャート
図3】料金課金システム1によるICカード検知処理の手順を示すフローチャート
図4】料金課金システム1の出場時の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に係る料金課金システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0012】
図1は、料金課金システム1のブロック構成図である。本料金課金システム1は車載器3、車載器3に挿入されたICカード5、入口路側機7、出口路側機9から構成される。
車載器3は、CPU11、メモリ13、カードインタフェース(カードI/F)15、無線通信部17、出力部19等を有する。CPU11は、メモリ13、カードI/F15、無線通信部17、出力部19の各部を制御し、後述する処理動作を行うものである。
【0013】
メモリ13は、ICカード5から読み出した情報や入口路側機7から送信された情報等を記憶する。カードI/F15は、ICカード5とのデータ送受信を行い、ICカード5のデータの読み出し、ICカード5へのデータ書き込みを行う。無線通信部17は、無線通信により、入口路側機7や出口路側機9とデータの送受信を行う。この無線通信の通信方式としては、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等がある。出力部19は、ディスプレイやスピーカ等であり、画像やテキスト、音声等により情報や警報等を出力する。
【0014】
ICカード5は、ICチップを有し、その記憶領域はいくつかのブロックに分かれている。記憶領域の中には、利用が許可され、正しい電子署名が添えられている情報を記憶することが可能なブロックがある。ICカード5は、クレジットカードであるか、プリペイド型の電子マネーカードであってもよい。本システムを自動料金支払いシステム(例えば、ETC(登録商標)システム)に利用する場合は、ICカード5は自動料金支払いシステム用カード(例えば、ETC(登録商標)カードに相当する。
【0015】
入口路側機7、出口路側機9は、高速道路や駐車場といった有料領域の入口、出口等に設置され、無線通信により、車載器3とのデータの送受信を行う。図1に示す実施形態では、入口路側機7と出口路側機9は区別されているが、駐車場などの構成によっては入口路側機7と出口路側機9が一体となっている場合もある。
【0016】
次に、料金課金システム1の動作について説明する。
図2は、有料領域への入場時における入口路側機7と車載器3の処理動作を示すフローチャートである。車などが有料領域に入場する際、入口路側機7は、車を一旦停止させ、車載器3と通信を行い、車載器3に挿入されたICカード5からID情報等を読み出すことを指示する(ステップS101)。入口路側機7は、入場情報とID情報を車載器3に送信し、ICカード5に入場情報を書き込む命令を送信する(ステップS102)。ここで、入場情報とは、例えば、有料領域の場所を識別するためのID(有料道路の入口のIDや駐車場ID等)、入場時刻等である。
【0017】
次に、車載器3は、入口路側機7から送信された入場情報と読み出したID情報とを自身のメモリ13に記憶し(ステップS103)、送信された命令に従って、ICカード5の記憶領域に入場情報を書き込む(ステップS104)。ここで、入口路側機7から送信された入場情報には、電子署名が含まれる。通常、車載器3はICカード5へ書き込むデータに署名を生成して添付する機能を有さないため、ICカード5へのデータの書き込みを行うことができない。しかしながら、入口路側機7から送信される入場情報には電子署名が添付されるため、入口路側機7から受信した情報をそのままICカード5に送る場合は、ICカード5の許可された記憶領域に入場情報を書き込むことが可能となる。
【0018】
車載器3は、自身のメモリ13に、入口路側機7から受信した入場情報とICカード5のID情報を記憶し、ICカード5に入場情報を書き込む。
こうして、入口路側機7は有料領域への車等の入場を許可する(ステップS105)。
【0019】
図3は、車載器3によるICカード5の検知処理の手順を示すフローチャートである。図3に示す検知処理は、例えば、車等のエンジンをかけた際に行うものである。
車載器3は、現在挿入されているICカードのID情報が読み出せるかどうかを判定し(ステップS201)、読み出せる場合、メモリ13に記憶したID情報と、挿入されているICカードから読み出したID情報とを比較し(ステップS202)、一致する場合は正しいICカードが正しく挿入されているものと判断して、処理を終了する。即ち、これは、車載器3に挿入されているICカードが入場時に挿入されていたICカードであると確認されたこととなる。また、カードが逆方向に挿入されてしまうといったカードの誤挿入を出場前に検知することができる。
【0020】
しかしながら、ステップS201において、ICカードのID情報が読み出せない場合や、ステップS202において、メモリに記憶したID情報と、挿入されているICカードから読み出したID情報とが一致しない場合は、車載器3にICカードが挿入されていない、或いは、車載器3に挿入されているICカードが入場時に挿入されていたICカード5と異なるカードである、或いは、ICカードが正しく挿入されていないなどといった問題があり、出場時に課金処理が正しく円滑に行われないことが考えられる。この場合、車載器3は、出力部19から警報を出力し(ステップS204)、車の運転手等に報知する。
【0021】
尚、ステップS201からステップS204の処理は、車載器3に正しいICカードが正しく挿入されるまで繰り返される。
このようにして、有料領域からの出場前に正しいICカード5が車載器3に挿入されていることを確認することができるため、出場時に円滑に課金処理が行われることとなる。
尚、何らかの理由で車載器3のメモリ13に記憶されたID情報が消去された場合には、図3に示すICカードの検知処理は省略することも可能である。
【0022】
図4は、有料領域からの出場時における車載器3と出口路側機9の処理動作を示すフローチャートである。
車載器3は、ICカード5の記憶領域に書き込まれた入場情報を読み出し(ステップS301)、出口路側機9に対して、入場情報とICカード5のID情報を送信する(ステップS302)。出口路側機9は、受信した入情報とICカードのID情報に従って、課金処理を行う(ステップS303)。課金処理が終了すると、出口路側機9は車載器3のメモリ13からID情報を消去し(ステップS304)、車等の出場を許可する(ステップS305)。
【0023】
ステップS303の課金処理は課金情報を記憶することであってもよく、この課金情報は、例えば、ネットワークを介してICカード5を発行したクレジットサービス会社等のサーバに送信され、後日クレジットカードによる支払い処理を行うようにしてもよい。
このように、本料金課金システム1では、車載器3にICカード5が正しく挿入されているかどうかを検知し、改ざんされ難く、セキュリティの高いICカード5に書き込まれた入場情報を用いて課金するため、正しい課金処理を円滑に行うことができる。
【0024】
尚、車載器3のメモリ13にID情報が存在し、ICカード5が正しく検知された場合、車載器3はメモリ13から入場情報を読み出して、ステップS302以降の課金処理を行うことも可能である。
また、ID情報がメモリ13から消去されるなどして車載器3のメモリ13にID情報が存在せず、ICカードの検知処理が正しく行われなかった場合であっても、車載器3のメモリ13に記憶された入情報と、挿入されたICカードのカード情報を読み出すことにより、課金処理を行うことが可能である。
【0025】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る料金課金システムの好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
このように、本発明によれば、高速道路や有料駐車場といった有料領域から車等が出場する場合に、有料領域の利用料金等の課金処理を確実にかつ円滑に行うことが可能となる。
【0027】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1 料金課金システム
3 車載器
5 ICカード
7 入口路側機
9 出口路側機
11 CPU
13 メモリ
15 カードインタフェース
17 無線通信部
19 出力部
図1
図2
図3
図4