【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年9月4日にIMPRES2013 Organizing Committeeが開催した「Innovative Materials for Processes in Energy Systems2013」において発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力需要予測値算出手段は、前記外気エンタルピ係数と前記外気エンタルピの積と、前記日射係数と前記日射量予測値の積と、の和に基づいて、前記電力需要予測値を算出すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力需要予測装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、一例として、
図1に示す負荷装置L1,…,Lmと、発電機G1,G2,G3と、蓄電池B1,…,Bnとが、所定地域の工場設備(図示せず)に設置されている場合について説明する。
【0012】
≪実施形態≫
図1は、本実施形態に係る電力需要予測装置を含む電力管理システムの構成図である。電力管理システムSは、電力系統Kから供給される電力や、発電機G1,G2,G3の発電電力によって、負荷装置L1,…,Lmに電力を供給するシステムである。また、電力管理システムSは、負荷装置L1,…,Lmの電力需要に応じて、蓄電池B1,…,Bnを充放電させるように構成されている。
【0013】
電力管理システムSは、電力情報管理サーバ100と、電力計P
0,P
L1,…,P
Lm,P
G1,P
G2,P
G3,P
B1,…,P
Bnと、PCS21(Power Conditioning Subsystems),22,23,31,…,3nと、気象情報管理サーバ400と、管理用PC500と、を備えている。
以下では、まず、負荷装置L1,…,Lm、発電機G1,G2,G3、及び蓄電池B1,…,Bnについて簡単に説明した後、電力管理システムSの各構成について説明する。
【0014】
<負荷装置>
負荷装置L1は、電力系統Kから供給される電力を消費する機器である。負荷装置L1として、例えば、工場設備の生産ラインに設置される機械設備、室内を照らす照明設備、機械設備を駆動させるためのエネルギ(例えば、圧縮空気)を供給するユーティリティ設備、室内を空調する空調設備が挙げられる(
図2(a)参照)。他の負荷装置L2,…,Lmについても同様である。
【0015】
なお、
図1に示す電力系統Kは、変電所(図示せず)の下流側に接続される配電線k1と、配電線k1の電圧を降圧する変圧器Trと、変圧器Trの下流側に接続される引込線k2と、を含んでいる。引込線k2は、
図1に示すように分岐しており、負荷装置L1,…,Lm、発電機G1,G2,G3、及び蓄電池B1,…,Bnに接続されている。
【0016】
<発電機>
太陽光発電機G1は、太陽光が照射されることで発電する太陽光発電パネル(図示せず)を有し、PCS21及び引込線k2を介して変圧器Trに接続されている。
風力発電機G2は、風力によって回転するブレード(図示せず)と、このブレードの回転軸に連結される発電機と、を有し、PCS22及び引込線k2を介して変圧器Trに接続されている。
【0017】
ガスエンジン発電機G3は、燃料ガスを燃焼させて運動エネルギを発生させるガスエンジン(図示せず)と、このガスエンジンで発生させた運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、を有し、PCS23及び引込線k2を介して変圧器Trに接続されている。
発電機G1,G2,G3によって発電される電力は、PCS21〜23による制御に応じて負荷装置L1,…,Lmに供給されたり、蓄電池B1,…,Bnに充電されたりする。
なお、発電機の種類及び個数は、
図1に示すものに限定されない。
【0018】
<蓄電池>
蓄電池B1は、直列又は直並列に接続された複数の電池セル(図示せず)を有し、PCS31及び引込線k2を介して変圧器Trに接続されている。なお、他の蓄電池B2,…,Bnについても同様である。
【0019】
<電力計>
電力計P
0は、電力系統Kを介して工場設備に供給される電力を検出するセンサであり、引込線k2に接続されている。電力計P
0は、有線又は無線通信によって、検出した電力値を電力情報管理サーバ100に送信するように構成されている。
電力計P
L1は、負荷装置L1の消費電力を検出し、その電力値を電力情報管理サーバ100に送信する(電力計P
L2,…,P
Lmについても同様)。
【0020】
電力計P
G1は、太陽光発電機G1で発電された電力を検出し、その電力値を電力情報管理サーバ100に送信する(電力計P
G2,P
G3についても同様)。
電力計P
B1は、蓄電池B1の充放電電力を検出し、その電力値を電力情報管理サーバ100に送信する(電力計P
B2,…,P
Bnについても同様)。
なお、前記した各電力計として、自身が制御機能を有するスマートメータを用いてもよいし、単に検出機能と通信機能のみを有する電力計を用いてもよい。
【0021】
<PCS>
PCS21は、インバータ回路、開閉器等を有しており、太陽光発電機G1の発電状態に応じて、直流/交流変換や電力変動補償を実行する(PCS22についても同様)。
PCS23は、電力情報管理サーバ100からの指令に応じて、ガスエンジン発電機G3の発電電力を制御する。なお、ガスエンジン発電機G3の運転開始/停止を手動で行うようにしてもよい。
PCS31は、電力情報管理サーバ100からの指令に応じて、蓄電池B1の充放電電力を制御したり、充放電に伴う電圧変動を抑制したりする(PCS32,…,3nについても同様)。
【0022】
以下では、任意の負荷装置、発電機、蓄電池、電力計、PCS(PCS31,…,3nを含む)を指す場合、それぞれ負荷装置L、発電機G、蓄電池B、電力計P,PCS20と記す。
【0023】
<気象情報管理サーバ>
気象情報管理サーバ400は、例えば、気象庁(図示せず)から取得した気象情報を管理するサーバであり、ネットワークNを介して電力情報管理サーバ100に接続されている。なお、前記した気象情報には、各地の気温予測値・湿度予測値・日射量予測値(つまり、将来の気象情報)と、各地の気温実測値・湿度実測値・日射量実測値(つまり、現在又は過去の気象情報)と、が含まれる。
【0024】
<管理用PC>
管理用PC500は、例えば、入力手段(マウス、キーボード等)を介した操作に応じて電力情報管理サーバ100に各種情報を送信するコンピュータであり、ネットワークNを介して電力情報管理サーバ100に接続されている。前記した操作は、例えば、電力管理システムSの管理者によって行われる。
【0025】
<電力情報管理サーバ>
電力情報管理サーバ100は、工場設備を含む所定地域の電力情報を管理するサーバである。電力情報管理サーバ100は、電力需要予測装置110と、制御信号生成装置120と、を備えている。
【0026】
(電力需要予測装置)
電力需要予測装置110は、気象情報管理サーバ400から取得した気象情報を用いて、所定地域における電力需要を予測する装置であり、ネットワークNを介して気象情報管理サーバ400及び管理用PC500に接続されている。まず、電力需要予測装置110が実行する処理の概要を説明する。
図2(a)は、電力需要の内訳を示す説明図である。工場設備に設置される負荷装置Lの電力需要は、例えば、
図2(a)に示す内訳になる。ここで、生産ライン、照明、及びユーティリティ(例えば、圧縮空気の生成)の電力需要は、外気条件(温湿度)や日射量の変化に影響されにくい「定常負荷」に相当する。
図2(b)は、電力需要の内訳の時間的変化を示すグラフである。
図2(b)に示す「定常負荷」は、工場設備の稼働スケジュール等に基づいて推定される。
【0027】
一方、空調に伴う電力需要は、外気条件や日射量によって変動する「変動負荷」に相当する。本実施形態において電力需要予測装置110(
図1参照)は、
図2(a)、(b)に示すように、外気条件による負荷と、日射による負荷と、の和で表わされる変動負荷と、前記した定常負荷と、に基づいて工場設備の電力需要を予測する。
すなわち、電力需要予測装置110は、外気エンタルピhと、日射量予測値Srと、に基づいて、以下に示す(数式1)によって工場設備の電力需要予測値P1を算出する。
【0028】
P1=α・h+β・Sr+γ+σ ・・・(数式1)
【0029】
ここで、外気エンタルピhは外気条件に応じて変化する値であり、気象情報管理サーバ400(
図1参照)から送信される気温予測値・湿度予測値に基づいて算出される。外気エンタルピ係数αは、外気エンタルピhが電力需要に与える影響度を表している。日射係数βは、日射量Srが電力需要に与える影響度を表している。
(数式1)のうち(α・h+β・Sr)の部分が、外気条件及び日射によって変化する「変動負荷」に相当する。
【0030】
また、(数式1)の定数γは、外気条件や日射量の変化に影響されることはほとんどなく、工場の稼働スケジュール等に基づいて算出される。補正値σは、工場設備の昼休憩等に伴う一時的な電力需要の低下を電力需要予測値P1に反映させるために設定される。
(数式1)のうち(γ+σ)の部分が、外気条件及び日射の影響を受けない「定常負荷」に相当する。電力需要予測装置110は、「変動負荷」と「定常負荷」との和をとることで、電力需要予測値P1を算出する。
なお、(数式1)に示す各パラメータの詳細については後記する。
【0031】
図3は、電力需要予測装置を備える電力情報管理サーバの構成図である。なお、
図3では、ネットワークN(
図1参照)の図示を省略した。
図3に示すように、電力需要予測装置110は、電力情報受信部111と、気象情報受信部112と、パラメータ算出部113と、電力需要予測部114と、記憶部115と、を備えている。
【0032】
電力情報受信部111(電力情報受信手段)は、電力計P(
図3参照)から電力情報を受信して電力情報データベース115aに格納する。なお、前記した「電力情報」には、電力計Pの識別情報と、検出された電力値である電力需要実績と、が含まれる。
気象情報受信部112(気象情報受信手段)は、工場設備を含む所定地域の気象情報を気象情報管理サーバ400から受信し、記憶部115に格納する。なお、前記した「気象情報」には、気温予測値と、湿度予測値と、日射量予測値と、が含まれる。
気象情報受信部112は、受信した気象情報のうち温湿度に関する情報を温湿度データベース115bに格納し、日射量に関する情報を日射量データベース115cに格納する。
【0033】
パラメータ算出部113は、記憶部115に格納された情報を用いて、前記した外気エンタルピ係数α、日射係数β、定数γ、及び補正値σを算出する。
電力需要予測部114(電力需要予測値算出手段)は、記憶部115に格納された情報を用いて、所定の日付・時間帯(例えば、翌日の1時間ごと)における工場設備の電力需要を予測する。
なお、電力需要予測装置110が実行する処理の詳細については、後記する。
【0034】
記憶部115(記憶手段)は、電力情報データベース115aと、温湿度データベース115b、日射量データベース115cと、建物情報データベース115dと、イベント情報データベース115eと、日射係数データベース115fと、を有している。
【0035】
図4は、記憶部の各データベースに格納される情報を示す説明図である。
図4(a)に示すように、電力情報データベース115aには、電力計Pの識別情報である電力計IDと、予測(又は検出)対象を特定するための日付・時間帯・位置と、電力需要予測値と、電力需要実績と、を含む電力情報が格納される。
ここで、「電力需要予測値」とは、負荷装置L(
図1参照)の電力需要であり、電力需要予測部114(
図2参照)によって予測される。また、「電力需要実績」とは、負荷装置Lの消費電力であり、電力計Pによって検出される。
【0036】
図4(b)に示すように、温湿度データベース115bには、予測(又は実測)対象を特定するための日付・時間帯・位置と、気温予測値と、湿度予測値と、気温実測値と、湿度実測値と、を含む温湿度情報が格納される。
気温予測値・湿度予測値は、所定地域について予測される将来(例えば、翌日)の気温・湿度である。一方、気温実測値・湿度実測値は、所定地域において実際に検出された気温・湿度である。温湿度データベース115bに格納される情報は、気象情報受信部112によって、気象情報管理サーバ400から取得される(
図3参照)。
【0037】
図4(c)に示すように、日射量データベース115cには、予測(又は実測)対象を特定するための日付・時間帯・位置と、日射量予測値と、日射量実測値と、を含む日射量情報が格納される。
日射量予測値は、所定地域について予測される将来(例えば、翌日)の日射量である。一方、日射量実測値は、所定地域において実際に検出された日射量である。日射量データベース115cに格納される情報は、気象情報受信部112によって、気象情報管理サーバ400から取得される(
図3参照)。
【0038】
図4(d)に示すように、建物情報データベース115dには、建物ID、住所、緯度・経度、面積、壁厚、材質、建物区分、及び遅れ時間Δtが格納される。建物IDとは、所定地域(例えば、工場設備内)に存在する建物の識別情報であり、電力需要予測装置110によって付与される。住所、緯度・経度は、前記した建物の位置情報であり、ネットワークN(
図1参照)を介して管理用PC500から取得される。
【0039】
図4(d)に示す面積は、建物を平面視した場合の面積である。壁厚は、建物を構成する壁(例えば、天井壁)の厚さである。材質は、建物を構成する壁の材質(例えば、コンクリート)である。建物区分は、前記した面積・壁厚・材質等を考慮して、建物の伝熱特性を反映させるように設定される区分である。例えば、壁の材質を基準としてコンクリート、鋼板、及び漆喰の3区分で建物を分類してもよい。
前記した面積・壁厚・材質・建物区分は、ネットワークNを介して管理用PC500から取得される。なお、
図4(d)に示す遅れ時間Δtについては後記する。
【0040】
図4(e)に示すように、イベント情報データベース115eには、イベントID、日付、時間帯、イベント区分、影響範囲、及び外気エンタルピ係数αを含むイベント情報が格納される。
イベントIDとは、各イベントの識別情報であり、電力需要予測装置110によって付与される。日付・時間帯は、イベントの時期を特定するための情報である。
【0041】
イベント区分とは、日付に対応する季節・曜日、時間帯が朝・昼・夜のいずれに属するか、行事内容、工場の稼働スケジュール等を考慮して定められる区分である。例えば、夏季の日曜日の昼間と、夏季の平日の昼間と、は外気条件が同一でも電力需要への影響の仕方が異なる。したがって、これらは互いに異なるイベント区分に分類される。
一方、電力需要に対する影響が同等とみなせるイベント(例えば、春季の日曜日の昼間と、秋季の日曜日の昼間)は、同一のイベント区分に分類される。
【0042】
影響範囲は、イベントが電力需要に影響する範囲を特定するための情報であり、例えば、緯度・経度を指定することで外縁が特定される領域である。日付、時間帯、イベント区分、及び影響範囲は、ネットワークN(
図1参照)を介して管理用PC500から取得される。
【0043】
建物に設置される空調装置の稼働状態は、外気エンタルピhの大きさが同じであっても、季節、曜日、時間帯等(つまり、イベント)によって異なる。本実施形態では、パラメータ算出部113(
図3参照)によって、イベント区分ごとに外気エンタルピ係数αを算出するようにした。これによって、電力需要に対するイベントの影響を、(数式1)の外気エンタルピ係数αに反映させることができる。なお、外気エンタルピ係数αの算出処理については後記する。
【0044】
図4(f)に示すように、日射係数データベース115fには、建物区分、イベント区分、及び日射係数βが格納される。ここで、
図4(f)に示す建物区分は、建物情報データベース115d(
図4(d)参照)に格納される建物区分に対応している。また、
図4(f)に示すイベント区分は、イベント情報データベース115eに格納されるイベント区分に対応している。
【0045】
ところで、建物に設置される空調装置の稼働状態は、日射条件が同じであっても、建物の伝熱特性(構造・材質)や、前記したイベントによって異なってくる。本実施形態では、パラメータ算出部113(
図3参照)によって、イベント区分及び建物区分ごとに日射係数βを算出するようにした。これによって、電力需要に対するイベントの影響と、建物の伝熱特性と、を(数式1)の日射係数βに反映させることができる。なお、日射係数βの算出処理については後記する。
【0046】
(制御信号生成装置)
図3に示す制御信号生成装置120は、電力需要予測装置110によって予測された電力需要と、電力情報データベース115aに格納されている電力情報と、に基づいて制御信号を生成し、PCS20及び発電機Gに出力する。
なお、制御信号生成装置120が実行する処理については後記する。
【0047】
<電力管理システムの動作>
図5は、電力管理システムの動作の流れを示すシーケンスである。
ステップS101において電力情報管理サーバ100は、管理用PC500から設定情報を受信する。この設定情報には、電力需要の予測対象とする地域を特定するための情報と、当該地域内に存在する建物の住所・建物ID・面積・壁厚・材質・建物区分(
図4(d)参照)と、が含まれる。なお、
図4(d)に示す遅れ時間Δtは、次のステップS102の処理で算出される。電力情報管理サーバ100は、管理用PC500から受信した情報を建物情報データベース115d(
図3参照)に格納する。
【0048】
ステップS102において電力情報管理サーバ100は、ステップS101で受信した設定情報に基づいて、遅れ時間Δtを算出する。ここで、「遅れ時間Δt」とは、建物への日射が、壁を介した伝熱によって室内温度の上昇(つまり、空調負荷・電力需要の増加)に反映されるまでの時間を意味している。このような遅れ時間Δtの長さは、建物の面積、壁厚、壁の材質によって異なる。
【0049】
図6(a)は、電力需要及び日射量の時間的変化と、遅れ時間を考慮した日射量の時間的変化と、を示すグラフである。
図6(a)に示す例では、電力需要(破線)のグラフがM字状を呈している。これは、工場設備で昼休憩(12:00〜13:00)がとられることに伴い、電力需要が一時的に減少したためである。このような一時的な減少は、前記した(数式1)の補正値σ(<0)によって電力需要予測値P1に反映される。
【0050】
また、
図6(a)に示す例では、電力需要(破線)が14:30付近で最大になっているのに対し、日射量(一点鎖線)は13:00付近で最大になっている。これは、建物の壁を介した伝熱に時間を要するため、日射が空調負荷に影響するまでに約1.5時間の遅れが生じることに起因している。
電力情報管理サーバ100は、以下の相関係数分析を実行し、建物情報データベース115d(
図4(d)参照)に格納された建物区分ごとに最適な遅れ時間Δtを算出する。
【0051】
図6(b)は、遅れ時間だけシフトさせた日射量のグラフと電力需要のグラフとの相関係数と、複数の遅れ時間の候補と、の関係を示す説明図である。電力情報管理サーバ100は、遅れ時間Δtの候補として、例えば、0[h]、0.5[h]、…、2.5[h]を設定する。そして、電力情報管理サーバ100は、過去1年間のデータを用いて、複数の遅れ時間候補に関する電力需要のグラフ(
図6(a)の破線)と、遅れ時間候補ぶんだけシフトした日射量のグラフ(
図6(a)の実線)と、の相関係数を算出する。
ちなみに、電力情報管理サーバ100は、相関係数が最大値ρ
Maxとなる遅れ時間(
図6(b)では、1.5h)を遅れ時間Δtとして設定し、建物情報データベース115dに格納する(
図4(d)参照)。
【0052】
また、電力需要予測部114(
図3参照)は、設定した遅れ時間Δt(1.5h)だけ遡った時刻の日射量を用いて、電力需要予測値P1を算出する。例えば、翌日の午後4時における電力需要を予測する際、電力需要予測部114は、遅れ時間1.5時間だけ遡った午後2時半の日射量予測値を用いる。これによって、建物の構造に伴う伝熱の遅れを電力需要予測値P1に反映させることができる。
【0053】
再び、
図5に戻って説明を続ける。ステップS201において電力情報管理サーバ100は、電力情報受信部111(
図3参照)によって、電力計Pから電力情報を受信し、電力情報データベース115aに格納する。前記した電力情報には、実際に検出された電力値(電力需要実績)と、電力計IDと、検出時刻と、が含まれる。ステップS201で取得した電力情報は、ステップS204のパラメータ算出処理に用いられる。
【0054】
ステップS202において電力情報管理サーバ100は、気象情報受信部112(
図3参照)によって、気象情報管理サーバ400から気象情報を受信し、温湿度データベース115b及び日射量データベース115cに格納する。前記した気象情報には、検出対象を特定するための日付・時刻・位置、気温実測値、湿度実測値、及び日射量実測値が含まれる。ステップS202で取得した気象情報は、ステップS204のパラメータ算出処理に用いられる。
なお、ステップS201,S202の処理は、所定時間ごとに逐次実行される。
【0055】
ステップS203において管理用PC500は、電力情報管理サーバ100に対し、ネットワークNを介してパラメータ算出指令を送信する。当該送信処理は、自動的に行ってもよいし、入力手段(図示せず)を介した管理者の操作に応じて手動で行ってもよい。
ステップS204において電力情報管理サーバ100は、パラメータ算出部113(
図3参照)によって、ステップS201,S202で取得した情報を用いてパラメータ算出処理を実行する。
【0056】
図7(a)は、外気エンタルピと電力需要実績との相関関係を示す説明図である。
図7(a)に示すように、外気エンタルピと電力需要実績(消費電力検出値)との間には正の相関がある。パラメータ算出部113は、外気エンタルピと、電力需要実績と、に基づく相関係数分析によって、外気エンタルピ係数を算出する。
【0057】
すなわち、パラメータ算出部113は、外気エンタルピ及び電力需要実績の共分散を、外気エンタルピ、電力需要実績それぞれの分散幾何平均の積で割ることによって相関係数を算出する。そして、パラメータ算出部113は、外気エンタルピ及び電力需要実績の標準偏差と、前記した相関係数と、に基づいて、
図7(a)に示す傾きαを算出し、外気エンタルピ係数αとして設定する。
つまり、前記した(数式1)の外気エンタルピ係数αは、外気エンタルピ(の変化)が電力需要(の変化)に与える影響度を表している。
【0058】
なお、
図7(a)に示すデータは、ある特定のイベント(例えば、日曜日の昼間)に関して取得されたデータである。つまり、イベントが異なる場合、
図7(a)に示す傾きαの大きさも異なってくる。
パラメータ算出部113は、過去1年間に取得した電力情報及び気象情報を用いてイベント区分ごとに外気エンタルピ係数αを算出し、イベント区分に対応付けてイベント情報データベース115eに格納する(
図4(e)参照)。
【0059】
また、
図7(b)に示すように、日射量実測値と電力需要実績との間にも正の相関がある。前記した場合と同様に、パラメータ算出部113は、日射量実測値と、電力需要実績(消費電力検出値)と、に基づく相関係数分析によって傾きβを算出し、日射係数βとして設定する。つまり、前記した(数式1)の日射係数βは、日射量(の変化)が電力需要(の変化)に与える影響度を表している。
【0060】
なお、
図7(b)に示すデータは、ある特定のイベント(例えば、日曜日の昼間)と、建物区分(例えば、コンクリート製の建物)と、の組合せに関して取得されたデータである。パラメータ算出部113は、過去1年間に取得したデータを用いて、建物区分及びイベント区分の組合せごとに日射係数βを算出する。そして、パラメータ算出部113は、算出した日射係数βを建物区分及びイベント区分に対応付けて、日射係数データベース115fに格納する(
図4(f)参照)。
【0061】
また、パラメータ算出部113は、前記した(数式1)の定数γ及び補正値σを算出する。定数γは、例えば、工場設備の稼働スケジュール等に基づいて算出される。
補正値σは、例えば、工場設備の昼休憩において一時的に機器が停止される(つまり、一時的に電力需要が小さくなる)場合を考慮して算出される。補正値σは、電力計Pから入力される電力情報(実測値)と、工場設備の運営状況と、に基づいて算出される。
ステップS203,S204の処理は、例えば、一年ごとに行われる(つまり、過去の電力需要実績に基づいて、定期的にパラメータが更新される)。
【0062】
再び、
図5に戻って説明を続ける。ステップS301において電力情報管理サーバ100は、気象情報受信部112(
図3参照)によって、気象情報管理サーバ400から気象情報を受信する(気象情報受信ステップ)。当該気象情報には、予測対象を特定するための日付・時間帯・位置、気温予測値、湿度予測値、及び日射量予測値が含まれている。
なお、外気エンタルピに関する情報は温湿度データベース115b(
図4(b)参照)に格納され、日射量に関する情報は日射量データベース115c(
図4(c)参照)に格納される。
【0063】
ステップS302において電力情報管理サーバ100は、電力需要予測部114(
図3参照)によって、電力需要予測処理を実行する。
図8は、電力需要予測処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において電力需要予測部114は、前記した所定地域に属する区域を指定して電力需要の予測対象を特定する。ここで「区域」とは、例えば、緯度・経度を指定することで外縁が定まる領域である。
【0064】
ステップS2において電力需要予測部114は、建物情報データベース115d(
図4(d)参照)から建物情報を読み込む。この建物情報には、ステップS1で指定した区域に存在する建物の建物区分、遅れ時間Δt等が含まれている。
【0065】
ステップS3において電力需要予測部114は、時間帯(例えば、翌日の午前0時〜1時)を指定して電力需要の予測対象を特定する。
ステップS4において電力需要予測部114は、イベント情報データベース115e(
図4(e)参照)からイベント情報を読み込む。このイベント情報には、イベント区分、外気エンタルピ係数α等が含まれている。
なお、管理用コンピュータ500が、ネットワークN(
図1参照)を介して区域の指定(S1)や時間帯の指定(S3)を行ってもよい。
【0066】
ステップS5において電力需要予測部114は、前記した(数式1)の外気エンタルピ係数α、日射係数β、定数γ、及び補正値σを記憶部115から読み込む。なお、外気エンタルピ係数αは、ステップS4で読み込んだイベント情報に含まれている(
図4(e)参照)。日射係数βは、日射係数データベース115f(
図4(f)参照)を参照して取得される。
なお、定数γ及び補正値σは、前記したパラメータ算出処理(S204:
図5参照)で算出され、予め記憶部115に格納されている。
【0067】
ステップS6において電力需要予測部114は、温湿度データベース115b(
図4(b)参照)から温度予測値及び湿度予測値を読み込む。この温湿度予測値及び湿度予測値は、ステップS1,S3で指定された区域・時間帯に対応している。
ステップS7において電力需要予測部114は、ステップS6で読み込んだ温度予測値及び湿度予測値を用いて、前記した(数式1の外気エンタルピhを算出する。
【0068】
ステップS8において電力需要予測部114は、日射量データベース115c(
図4(c)参照)から日射量予測値Srを読み込む。この日射量予測値は、ステップS1,S3で指定された区域・時間帯に対応している。なお、前記した時間帯は、ステップS3で指定された時間帯よりも遅れ時間Δtだけ遡った時間帯である(
図6(a)参照)。
【0069】
ステップS9において電力需要予測部114は、前記した(数式1)に基づいて電力需要予測値を算出する(電力需要予測値算出ステップ)。すなわち、電力需要予測部114は、ステップS5で読み込んだ各パラメータと、ステップS7で算出した外気エンタルピhと、ステップS8で読み込んだ日射量予測値Srと、を(数式1)に代入して電力需要予測値P1を算出する。
【0070】
図9は、電力需要予測処理の結果を示す説明図である。本実施形態では、
図9(a)に示すように、翌日の0:00〜6:00、及び10:00〜17:00の電力需要を、(数式1)に基づいて1時間刻みで予測するようにした(
図9(b)、(c)に示す複数の黒点に対応)。
【0071】
このような予測処理を行った後、
図9(b)に示すように、翌日の6:00に対応する点X1と、10:00に対応する点X2と、を直線で結んで近似する。また、17:00〜24:00の電力需要についても点X3,X4を直線で結んで近似する。ちなみに、実際の電力需要も、6:00〜10:00、及び17:00〜24:00において線形的に変化する。したがって、実際の電力需要との誤差を小さくしつつ、電力需要予測処理に要する演算量を低減できる。
【0072】
また、正午付近の電力需要に関して、(数式1)で説明した補正値σ(<0)が加算される。つまり、
図9(c)に示すように、電力需要予測部114は、電力需要予測値のグラフが正午付近(領域Qを参照)において凹状を呈するように補正する。これによって、電力需要予測値を、実際の電力需要の変化に近付けることができる。なお、補正値σは、正午付近を除く領域においてゼロになるように設定されている。
【0073】
次に、
図8のステップS10において電力需要予測部114は、翌日の24時間分の予測が完了したか否かを判定する。翌日の24時間分の予測が完了していない場合(S10→No)、電力需要予測部114の処理はステップS11に進む。ステップS11において電力需要予測部114は、他の時間帯(例えば、翌日の午前1時〜2時)を指定し、ステップS4の処理に戻る。一方、翌日の24時間分の予測が完了した場合(S10→Yes)、電力需要予測部114の処理はステップS12に進む。
【0074】
ステップS12において電力需要予測部114は、全ての区域について予測が完了したか否かを判定する。なお、「全ての区域」とは、工場設備を含む複数の区域を意味しており、予め設定されている。
予測が完了していない区域が存在する場合(S12→No)、電力需要予測部114の処理はステップS13に進む。ステップS13において電力需要予測部114は、他の区域を指定する。一方、全ての区域について予測が完了した場合(S12→Yes)、電力需要予測部114は処理を終了する(END)。
【0075】
再び、
図5に戻って説明を続ける。ステップS303において制御信号生成装置120(
図3参照)は、ガスエンジン発電機G3(
図1参照)の駆動や蓄電池Bの充放電を制御するための制御信号を生成する。ステップS304において制御信号生成装置120(
図3参照)は、ステップS303で生成した制御信号をPCS20及び発電機Gに送信する(
図3参照)。
【0076】
図10は、制御信号生成装置が実行する処理(S302,S303)の流れを示すフローチャートである。なお、
図10に示す処理の実行中も、太陽光発電機G1(
図1参照)及び風力発電機G2による発電は継続し、その発電電力及び電力系統Kからの電力が負荷装置Lに供給されているものとする。
【0077】
ステップS21において制御信号生成装置120は、翌日の電力ピーク時間帯と、ピーク電力量と、を予測する。ここで、ピーク電力量[kWh]とは、電力需要予測値(ステップS9:
図8参照)に基づいて算出される所定時間あたりの電力量の最大値である。また、ピーク時間帯とは、翌日のピーク電力量に対応する時間帯である。
【0078】
ステップS22において制御信号生成装置120は、蓄電池Bからの放電電力でピークカットすることが可能であるか否かを判定する。
図11は、電力需要の時間的変化と、蓄電池の充放電を行う時間帯と、ガスエンジン発電機を駆動する時間帯と、を示す説明図である。
図11に示すように、工場設備を運営する事業者は、電力会社との契約に基づいて、電力系統Kからの供給電力の目標上限値P
Sを予め設定している。
【0079】
前記したピークカットとは、蓄電池Bからの放電電力によって、電力系統Kからの供給電力を目標上限値P
S以下に抑えられる(
図11に示す斜線部が、蓄電池Bの放電電力で補われる)ことを意味している。ステップS22の判定処理は、電力情報データベース115aに格納された負荷装置Lの消費電力、太陽光発電機G1及び風力発電機G2の発電電力、蓄電池Bの充電電力等に基づいて実行される。
ちなみに、ガスエンジン発電機G3(
図1参照)は、通常時において停止している。
【0080】
再び、
図10に戻って説明を続ける。蓄電池Bの放電電力でピークカットが可能である場合(S22→Yes)、制御信号生成装置120の処理はステップS23に進む。ステップS23において制御信号生成装置120は、PCS20に対して蓄電池Bへの充電指令を出力する(
図11参照)。なお、安価な夜間電力を用いて蓄電池Bを充電することで、負荷の平準化及び電力コストの低減を図ることが好ましい。
【0081】
ステップS24において制御信号生成装置120は、ステップS21で予測した電力ピーク時間帯になったか否かを判定する。電力ピーク時間帯になっていない場合(S24→No)、制御信号生成装置120はステップS24の処理を繰り返す。一方、電力ピーク時間帯になった場合(S24→Yes)、制御信号生成装置120の処理はステップS25に進む。
ステップS25において制御信号生成装置120は、PCS20に対して蓄電池Bの放電指令を出力する。その結果、蓄電池Bからの放電電力が負荷装置Lに供給される。
【0082】
一方、蓄電池Bの放電電力のみではピークカットが不可能である場合(S22→No)、制御信号生成装置120の処理はステップS26に進む。ステップS26において制御信号生成装置120は、ガスエンジン発電機G3(
図1参照)に発電準備指令を出力する。例えば、制御信号生成装置120は、ガスエンジン発電機G3の操作盤(図示せず)のランプを点灯させることで、操作者に対してガスエンジン発電機G3の発電準備を促す。
【0083】
ステップS27,S28は、前記したステップS23,24と同様であるから説明を省略する。ステップS29において制御信号生成装置120は、発電機G3(
図1参照)にガスエンジンの発電開始指令を出力する。また、制御信号生成装置120は、操作者に対してガスエンジン発電機G3の発電開始時刻になったことを通知する。これによって、操作者は、手動でガスエンジン発電機G3の発電を開始させる(
図11参照)。
なお、ガスエンジン発電機G3は、ステップS9(
図8参照)で予測した電力需要予測値に基づき、電力需要をピークカットできる程度の発電電力を供給するように制御される。
【0084】
図10のステップS30において制御信号生成装置120は、PCS20に対して蓄電池Bの放電指令を出力し、処理を終了する(END)。その結果、ガスエンジン発電機G3の発電電力と、蓄電池Bからの放電電力と、が負荷装置Lに供給される。
【0085】
<効果>
本実施形態に係る電力需要予測装置110によれば、気象情報管理サーバ400から取得される外気エンタルピh及び日射量予測値Srに基づいて電力需要予測値P1を算出するため((数式1)を参照)、従来よりも電力需要を正確に予測できる。
例えば、実際の電力需要が電力需要予測値を大幅に超えた場合、蓄電池Bやガスエンジン発電機G3では不足分を補うことができず、系統電力Kからの供給電力が目標上限値P
S(
図11参照)を超える可能性がある。また、実際の電力需要が電力需要予測値よりも小さい場合、ガスエンジン発電機G3を無駄に発電することでエネルギロスが発生する可能性がある。
【0086】
これに対して、本実施形態では、電力需要を正確に予測することでエネルギロスを少なくし、かつ、電力系統Kからの供給電力を目標上限値P
S(
図11参照)以下に抑えることができる。その結果、発電機Gを高効率で運転し、工場設備に要する電力コストを低減できる。
また、外気エンタルピ係数α及び日射係数βを随時補正する必要はない(更新する場合でも、1年間に1回程度でよい)。したがって、イベント区分や建物区分を特定することで、係数α,βを簡単に特定できる。
【0087】
また、本実施形態では、外気エンタルピ係数αを相関係数分析に基づいてイベント区分ごとに算出し、日射係数βを建物区分とイベント区分との組合せごとに算出する。これによって、イベントや建物の構造が電力需要(主に、空調に伴う変動負荷)に与える影響を反映させ、電力需要を正確に予測できる。
【0088】
また、日射が建物の室内温度の上昇に反映されるまでの遅れ時間Δtを考慮することで、電力需要を正確に予測できる。特に、建物の構造や材質に基づく建物区分ごとに遅れ時間Δtを算出することで、建物の伝熱特性(蓄熱に伴う時間遅れ)を電力需要予測値P1に反映させることができる。
また、電力需要予測装置110は、外気エンタルピ係数αと外気エンタルピhの積と、日射係数βと日射量予測値Srの積と、の和に基づいて電力需要予測値P1を算出する((数式1)を参照)。このように、電力需要予測値の算出式が単純であるため、電力需要予測装置110の演算量を低減できる。
【0089】
また、相関係数分析に基づいて外気エンタルピ係数α、日射係数βを算出することで、実際に検出された消費電力検出値と外気エンタルピとの相関や、消費電力検出値と日射量との相関を、係数α,βの大きさに反映させることができる。したがって、電力需要を正確に予測し、それぞれの発電機Gを効率的に稼働させることができる。
【0090】
≪変形例≫
以上、本発明に係る電力需要予測装置110について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記実施形態では、(数式1)に基づいて電力需要を予測する場合について説明したが、これに限らない。例えば、指数関数、対数関数等を用いた他の計算式を用いて電力需要予測値を算出してもよい。
【0091】
また、前記実施形態では、外気エンタルピ係数αをイベント区分ごとに設定し、日射係数βをイベント区分と建物区分の組合せごとに設定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、個々のイベントや建物に応じて、外気エンタルピ係数α及び日射係数βを算出してもよい。
また、建物の伝熱特性を反映させた建物区分のみに対応付けて日射係数βを設定し、日射係数データベース115fに格納してもよい。この場合、需要電力予測部114は、日射量実測値と、消費電力検出値と、に基づく相関係数分析によって、建物区分ごとに日射係数を算出する。
【0092】
また、前記実施形態では、相関係数分析に基づいて外気エンタルピ係数α、日射係数β、遅れ時間Δtを算出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、相関係数分析に代えて、回帰分析に基づき各係数α,βを算出してもよい。また、遅れ時間Δtを電力需要と日射量との相互相関関数とみなし、両者の類似度を最大化するように遅れ時間Δtを算出してもよい。
【0093】
また、前記実施形態では、ガスエンジン発電機G3によって発電電力を調整する場合について説明したが、ディーゼルエンジン発電機、ガスタービンエンジン発電機、ボイラ発電機等を用いてもよい。
また、前記実施形態では、負荷装置L(
図1参照)、発電機G、及び蓄電池Bが引込線k2を介して同一の変圧器Trに接続されている場合について説明したが、これらの構成の一部が電力系統Kを介して他の変圧器に接続されていてもよい。
【0094】
また、前記実施形態では、負荷装置L、発電機G、及び蓄電池Bが工場設備に設置されている場合について説明したが、これに限らない。すなわち、大学構内に設置される複数の施設、工業団地等、他の設備に前記実施形態を適用してもよい。また、電力系統Kに接続される需要家、発電事業者が運営する発電設備、需要家に設置される太陽光発電機等を網羅した広域の範囲に適用してもよい。
また、電力計P(
図1参照)としてスマートメータを用いた自律分散型のスマートグリッドシステムに前記実施形態を適用してもよい。
【0095】
また、電力需要予測処理(S302:
図5参照)を、プログラムによって、コンピュータである電力情報管理サーバ100に実行させるようにしてもよい。前記したプログラムは、通信回線を介して提供することもできるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。