特許第6230062号(P6230062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230062
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   G06F3/041 530
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-7988(P2014-7988)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-138287(P2015-138287A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 哲也
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−284379(JP,A)
【文献】 特開平06−314167(JP,A)
【文献】 特開2005−165532(JP,A)
【文献】 特開昭63−226716(JP,A)
【文献】 実開平03−050240(JP,U)
【文献】 特開2001−051760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01 − 3/0489
H03M 11/04
11/08 − 11/14
11/20 − 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報選択項目が表示される表示区分を有する表示パネル及び該表示パネル上に配置したタッチパネルを含む表示手段と、
前記表示区分に対応する、接触による入力領域を前記タッチパネル上に設定するタッチパネル制御手段と、
前記入力領域への接触による所定の物理量の変化量が所定の閾値を超えた場合に、検出信号を生成するタッチパネル検出手段と、
前記タッチパネル検出手段から送信される前記検出信号を受信して前記情報選択項目に対応する選択情報を実行する選択情報実行手段と、を備え、
前記タッチパネル制御手段は、所定の情報選択項目による第1の入力領域と、隣接する他の情報選択項目による第2の入力領域との間隔が所定距離以下にあるときに、第1の入力領域及び第2の入力領域の各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲よりも感度が低い低感度領域に設定し、
更に、前記タッチパネル制御手段は、前記第1の入力領域の面積が前記第2の入力領域の面積より大きい場合には、前記低感度領域に設定された前記第1の入力領域内の境界周囲の所定範囲のうち、前記第2の入力領域と対向する部分を拡張することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
情報選択項目が表示される表示区分を有する表示パネル及び該表示パネル上に配置したタッチパネルを含む表示手段と、
前記表示区分に対応する、接触による入力領域を前記タッチパネル上に設定するタッチパネル制御手段と、
前記入力領域への接触による所定の物理量の変化量が所定の閾値を超えた場合に、検出信号を生成するタッチパネル検出手段と、
前記タッチパネル検出手段から送信される前記検出信号を受信して前記情報選択項目に対応する選択情報を実行する選択情報実行手段と、を備え、
前記タッチパネル制御手段は、所定の情報選択項目による第1の入力領域と、隣接する他の情報選択項目による第2の入力領域との間隔が所定距離以下にあるときに、第1の入力領域及び第2の入力領域の各入力領域をその中心から離れた距離に応じて連続的にタッチパネルの感度を低下させて低感度領域にすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記タッチパネル制御手段は、前記入力領域内において前記閾値を高く設定することで前記低感度領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記タッチパネル制御手段は、前記入力領域内において前記タッチパネル検出手段による前記検出信号の生成の条件となる前記閾値の検出時間の範囲を長く設定することで、前記低感度領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル入力画面を備えた情報処理装置に関し、特にタッチパネルへの誤入力の防止を図る情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、スマートフォン等の携帯情報端末、ATM、券売機、ゲーム機、音楽プレーヤ等のAV機器、及びナビゲーション装置を含む車載機器等の各種情報処理装置では、タッチパネルを備えた表示画面を設け、指や接触ペン等の入力機器による画面接触での情報入力を可能としている。このようなタッチパネル入力画面を備えた情報処理装置では、使用者の意図しないタッチパネルへの接触等による誤入力を防止するために、各種の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−89212号公報
【特許文献2】特開2013−175138号公報
【特許文献3】特開2012−208633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の携帯端末では、表示画面の周端部を低感度領域とすることで、携帯端末を把持する際の表示画面周端部への手指の接触により発生する誤動作を防止し、特許文献2に記載の端末装置では、画面上の誤操作回数の多いアイコン、文字キーを低感度に抑制することでユーザに注意を喚起させている。また、特許文献3に記載の情報端末では、選択されたアイコンと隣接する他のアイコンとの間隔を広げるようにその表示態様を変更して誤操作の防止を図っている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の技術を用いても、目的とするリンクボタン、メニューボタン等に隣接する他のボタンに誤って触れてしまうという誤入力操作を迅速、かつ的確に防止することができない。誤って隣接する他のボタンに触れてしまうと、意図しない処理が実行され、当該処理のキャンセルと、操作のやり直し等の不要な動作が発生する。従来、このような誤入力を回避するために、画面上でピンチアウトによる拡大操作を行い、目的のボタンへの正確なタッチを行うなどの煩雑な操作が必要であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、タッチパネルを備えた画面上に表示されるボタンへの誤入力を防止することのできる情報処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る情報処理装置は、情報選択項目が表示される表示区分を有する表示パネル及び該表示パネル上に配置したタッチパネルを含む表示手段と、前記表示区分に対応する、接触による入力領域を前記タッチパネル上に設定するタッチパネル制御手段と、前記入力領域への接触による所定の物理量の変化量が所定の閾値を超えた場合に、検出信号を生成するタッチパネル検出手段と、前記タッチパネル検出手段から送信される前記検出信号を受信して前記情報選択項目に対応する選択情報を実行する選択情報実行手段と、を備え、前記タッチパネル制御手段は、所定の情報選択項目による第1の入力領域と、隣接する他の情報選択項目による第2の入力領域との間隔が所定距離以下にあるときに、第1の入力領域及び第2の入力領域の各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲よりも感度が低い低感度領域に設定し、更に、前記タッチパネル制御手段は、前記第1の入力領域の面積が前記第2の入力領域の面積より大きい場合には、前記低感度領域に設定された前記第1の入力領域内の境界周囲の所定範囲のうち、前記第2の入力領域と対向する部分を拡張するように構成される。
【0008】
このような構成によれば、表示画面上に表示された情報選択項目のタッチパネル上の第1の入力領域について、隣接する他の情報選択項目の第2の入力領域との間隔が所定距離以下にあるときに、第1の入力領域及び第2の入力領域の各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心よりも低感度となる低感度領域に設定するので、目的とする情報選択項目の入力領域の中心から離れた位置、すなわち目的とする第1の入力領域と隣接する第2の入力領域との間の部分を押圧し、隣接する他の情報選択項目の第2の入力領域の端に触れても、低感度領域に設定されているので、検出され難く誤入力の防止につながる。また、入力領域内の境界周囲の所定範囲を低感度領域としているので、使用者は低感度でない入力領域の中心付近を押圧するようになり、より一層の誤入力の防止につながるものとなる。
【0009】
なお、目的の情報選択項目の第1の入力領域とその隣接する他の情報選択項目の第2の入力領域との間隔が所定距離以下でないとき、すなわち間隔が十分にあり、指等で目的の情報選択項目の第1の入力領域の端部を押圧したときにも隣接する他の情報選択項目の入力領域に触れるおそれがないときは、あえて低感度領域の設定をしなくてもよいものとする。
【0010】
本発明に係る情報処理装置としては、携帯電話機、スマートフォン等の携帯情報端末、ATM、券売機、音楽プレーヤ等のAV機器及びナビゲーション装置を含む車載機器等で表示画面にタッチパネルを設けた電気機器が相当する。また、表示画面上の情報選択項目は、操作指示ボタン、入力指示ボタン、リンクボタン等を含む、情報選択指示である。
【0012】
更に、情報選択項目同士が隣接する場合、入力領域の面積の大きい方の情報選択項目の第1の入力領域について、面積の小さい他の情報選択項目の第2の入力領域と対向する側にある第1の入力領域内の境界周囲の所定範囲を拡張、すなわち低感度領域を拡張することで、隣接する情報選択項目の入力領域の面積が大小関係にあるときは、第1及び第2の入力領域の間に触れた場合には小さい入力領域への接触を優先させるものとなる。これにより、面積の小さい入力領域へのタッチによる入力がし易く、かつ大きい入力領域への誤入力を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る情報処理装置は、情報選択項目が表示される表示区分を有する表示パネル及び該表示パネル上に配置したタッチパネルを含む表示手段と、前記表示区分に対応する、接触による入力領域を前記タッチパネル上に設定するタッチパネル制御手段と、前記入力領域への接触による所定の物理量の変化量が所定の閾値を超えた場合に、検出信号を生成するタッチパネル検出手段と、前記タッチパネル検出手段から送信される前記検出信号を受信して前記情報選択項目に対応する選択情報を実行する選択情報実行手段と、を備え、前記タッチパネル制御手段は、所定の情報選択項目による第1の入力領域と、隣接する他の情報選択項目による第2の入力領域との間隔が所定距離以下にあるときに、第1の入力領域及び第2の入力領域の各入力領域をその中心から離れた距離に応じて連続的にタッチパネルの感度を低下させて低感度領域にする構成である。
【0014】
このような構成によれば、入力領域について中心から離れた距離に応じて低感度にするので、情報選択項目の入力領域の端部への誤った接触による誤入力を防止でき、さらに使用者はボタンの中心部を押圧する習慣を持つようになる。また、隣接する情報選択項目の入力領域が大小関係にあるときは、面積の大きい入力領域であるほど、その端部は低感度となり、面積の小さい入力領域へのタッチによる入力がし易く、かつ大きい入力領域への誤入力を防止することができる。さらに、隣接する情報選択項目の入力領域が同一サイズで大小関係にないときは、双方の入力領域の感度が同一となるため、操作性を損なうことがなく、操作することができる。
【0016】
更に、入力領域の中心から離れた距離に応じて連続的にタッチパネルの感度を低下させるので、面積の小さい入力領域は、面積の大きい入力領域と隣接した場合でも、入力領域の端部については、大きい面積の入力領域の端部の方がより低感度となるので、双方の端部に触れてしまった場合には、面積の小さい入力領域への入力が優先される。

【0017】
本発明に係る情報処理装置において、前記タッチパネル制御手段は、各入力領域を中心から離れた所定距離に応じてタッチパネルの感度を所定の段階毎に低下させて低感度領域にする構成とすることができる。
【0018】
このような構成とすることで、各入力領域を中心から離れた所定距離に応じてタッチパネルの感度を所定の段階毎に低下させる低感度領域にするので、連続的に感度を低下させる場合に比べて、容易かつ簡便に設定することができる。
【0019】
本発明に係る情報処理装置において、前記タッチパネル制御手段は、前記入力領域内において前記閾値を高く設定することで前記低感度領域を設定する構成とすることができる。
【0020】
このような構成によれば、例えば、タッチパネルが静電容量式であれば、静電容量の変化量を検出量として、その閾値を中心を低く、中心から離れた入力領域の境界付近の閾値を高くすることで、中心から離れた所定の範囲を低感度領域に設定することが可能である。なお、閾値を中心からの距離に応じて、連続的又は段階的に高くなるように設定することもできる。なお、静電容量式の他に、超音波式、感圧式、光検出式のタッチパネルの場合には、超音波の検出値、圧力の検出値、光量の検出した値の変化量にそれぞれ閾値を設定し、中心を低い閾値、中心から離れた所定の範囲を高い閾値に設定することで、中心から離れた所定の範囲を低感度領域に設定することができる。
【0021】
本発明に係る情報処理装置において、前記タッチパネル制御手段は、前記入力領域内において前記タッチパネル検出手段による前記検出信号の生成の条件となる前記閾値の検出時間の範囲を長く設定することで、前記低感度領域を設定する構成とすることができる。
【0022】
このような構成によれば、入力領域の中心から離れた所定の範囲については、検出信号の生成の条件となる閾値の検出時間を長く設定することで、中心よりも低感度となる低感度領域とすることができる。なお、検出に必要な時間を中心からの距離に応じて、連続的又は段階的に長くするように設定することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る情報処理装置によれば、表示画面上に表示される情報選択項目に対応するタッチパネル上の入力領域内の境界周囲の所定範囲を、中心よりも低感度となる低感度領域に設定するので、目的とする情報選択項目の入力領域の中心から離れた位置、すなわち目的とする入力領域と隣接する入力領域との間の部分を押圧し、隣接する他の情報選択項目の入力領域の端に触れても、低感度領域に設定されているので検出され難く、誤入力の防止を図ることができる。
【0024】
また、入力領域をその中心からの距離に応じて低感度の領域にすることで、大小の入力領域が隣接した場合でも、入力領域の端部は大きい面積の入力領域の方が低感度となるので、大小の入力領域双方の端部に触れた場合には、面積の小さい入力領域への入力が優先して確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の処理ユニットによる処理手順(その1)を示すフローチャートである。
図2B図2Bは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の処理ユニットによる処理手順(その2)を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の表示部の模式図(その1)である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の表示部の模式図(その2)である。
図5A図5Aはタッチパネル上の感度領域の感度状態を模式的に表した図である。
図5B図5Bは大小の各ボタンの感度領域の感度状態をタッチパネル上に表示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0027】
本発明の実施の一形態に係る情報処理装置としての車載機器100は、図1に示すように構成される。
【0028】
図1において、車載機器100は、画面上に入力ボタン、操作ボタン及びリンクボタン等の各種ボタン(情報選択項目)、並びに各種情報処理に伴う映像、地図情報等を表示するLCD、有機EL等によって構成されるディスプレイ12(表示パネル)と、ディスプレイ12の表面に配置されるタッチパネル13とを有する表示部15(表示手段)を有する。さらに、車載機器100は、コンピュータユニット(例えば、CPU,MPU)によって構成される処理ユニット16を有する。処理ユニット16には、各種音源及び映像源(例えば、CD及びDVD)の再生処理が可能なAVユニット17及び自車両のナビゲーションが可能なナビゲーションユニット18が接続されている。また、処理ユニット16には、スピーカ20と接続される出力回路21が接続されている。これによって、AVユニット17及びナビゲーションユニット18による処理に係る音声信号を出力回路21を介してスピーカ20から出力することが可能となっている。加えて、処理ユニット16には、AVユニット17及びナビゲーションユニット18において利用する楽曲情報、地図情報等の各種情報、及び上述した各種ボタンに対応する各種情報を記憶可能な記憶部23(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)が接続されている。
【0029】
ディスプレイ12の表面に配置されるタッチパネル13は、指又はタッチペン等の入力器具が表面に触れることで生じる電極間の静電容量の変化を検出するポインティングデバイスであり、各種ボタン等が表示されるディスプレイ12の前面に配置されている。タッチパネル13には、ディスプレイ12に表示された各種ボタンを表示する表示区分にそれぞれ対応する入力領域が設けられていて、所定の入力領域に指又はタッチペン等で触れると、その入力領域に対応するボタンに関連するプログラム等が実行される。なお、タッチパネル13は上記静電容量式に限定されず、超音波式、感圧式、光検出式等を採用してもよい。
【0030】
処理ユニット16は、所定のコンピュータプログラムの実行により、ディスプレイ12上に表示される各種ボタン(情報選択項目)の表示区分に対応する、接触による入力領域をタッチパネル13上に設定する機能を有する(タッチパネル制御手段)。さらに、処理ユニット16は、同様に所定のコンピュータプログラムの実行により、入力領域への接触による所定の物理量の変化量が所定の閾値を超えた場合に、検出信号を生成する機能を有する(タッチパネル検出手段)。加えて、処理ユニット16は、上記検出信号を受信して各種ボタン(情報選択項目)に対応するコンピュータプログラム(選択情報)を実行する機能を有する(選択情報実行手段)。各種ボタンへの接触による検出信号を受信した選択情報実行手段は、例えば各種ボタンの対応するコンピュータプログラム(選択情報)の実行により、使用者の所望の画面を表示、又は所望のアプリケーションプログラムを起動する。
【0031】
本発明の実施形態に係る情報処理装置としての車載機器100の動作について、その手順を示す図2A図2Bを参照して説明する。なお手順の説明に際しては、構成を示す図1の他に、表示部の模式図である図3図5を適宜参照する。
【0032】
車載機器100の表示部15のディスプレイ12には、例えば、図3に示すように、情報選択項目である各種のボタン31、32、33、34、35が表示されている。これらのボタン31〜35は、所定の情報を入力する入力ボタン、所定の操作を行う操作ボタン及び所定の情報へリンクするリンクボタン等で、四角形状の枠で表示が区分されている(表示区分)。ボタン31〜35は、情報選択が容易となるように、その情報選択項目の内容を表現した絵、文字等の記号(アイコン)が四角形状の枠内に記載されている(図示せず)。
【0033】
ディスプレイ12の表面上には、その表面略全体を覆うようにタッチパネル13が配置されており、ボタン31〜35を表示する区分に対応する入力領域31a、32a、33a、34a、35aが、ボタン31〜35と略同じ位置となるようにタッチパネル13に設定されている。このタッチパネル13の入力領域31a〜35aの何れかを指、タッチペン等で触れることで、対応する表示区分のボタン31〜35が選択され、ボタン31〜35にそれぞれ対応する操作が開始されるようになっている。
【0034】
図2Aに示すように、処理ユニット16は、目的とするボタンの入力領域と、その隣にあるボタンの入力領域とが所定の距離以下にあるか否かを判断する(S11:タッチパネル制御手段)。この所定の距離とは、例えばタッチパネル13に触れる指の幅の長さ程度を意味するもので、入力領域同士の間が指の幅の長さ以下にあるときに、双方の入力領域に触れて誤入力が生じることから、誤入力防止のために後述するように低感度領域を設定するものである。したがって、例えば、目的のボタンが図3のディスプレイ12上に表示されるボタン35の入力領域35aであるときは、他のボタン31〜34の入力領域と十分な距離(所定距離<最短のボタン32の入力領域との間隔W1、とする)で隔てられているので、所定距離以下でないとして(S11のNO)、あえて入力領域に低感度の領域を設ける必要はなく、入力領域35aは均一の感度に維持される(S12)。また、例えば、図3に示すように、目的のボタンがボタン32であるときは、その入力領域32aと隣接するボタン31、33の入力領域31a、33aとの間隔W2、W3(所定距離>W2、W3とする)は、所定距離以下であると判断する(S11のYES)。
【0035】
目的のボタンの入力領域が、隣接するボタンの入力領域と所定の距離以下であるときは(S11のYES)、処理ユニット16は、目的のボタンと隣接するボタンの各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲よりも感度が低い低感度領域に設定するか否かを記憶部23に記憶された設定情報等に基づいて判断する(S13:タッチパネル制御手段)。
【0036】
処理ユニット16は、目的のボタンと隣接するボタンの各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲よりも感度が低い低感度領域に設定すると判断したときは(S13のYES)、さらに、隣接する入力領域の何れかが大きいサイズの入力領域であり、その大きい入力領域に低感度領域を拡張して設定するか否かを記憶部23に記憶された設定情報等に基づいて判断する(S14:タッチパネル制御手段)。隣接する入力領域同士が同一サイズで大小関係にないとき、又は大小関係にあっても大きい入力領域に低感度領域を拡張して設定しないときは(S14のNO)、処理ユニット16は、隣接する各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲より低感度に設定する(S15:タッチパネル制御手段)。
【0037】
図3に示すように、ボタン31、32、33、34の各入力領域31a、32a、33a、34aについては、中心部分31b、32b、33b、34b(図面上の濃い黒色の部分)は感度が高く、四角の枠の付近である入力領域内の境界周囲の所定部分31c、32c、33c、34c(図面上の淡い黒色の部分)は低感度領域に設定されている(S15)。このように、入力領域内の境界周囲を低感度領域に設定することで、例えば、目的のボタンがボタン32で、入力領域内の境界周囲の部分32cに触れたときに、隣接する他のボタン31、33の入力領域内の境界周囲の部分31c、33cにも触れてしまう場合があるが、入力領域内の境界周囲の部分31c、32c、33cは低感度領域に設定されているので、検出され難く、誤入力を防止を図ることができる。なお、入力領域31aのように入力領域の面積が比較的大きい場合には、その中心部分31bについて、内側31b1よりも外側31b2をより低感度にする等、中心部の内側31b1、中心部の外側31b2、境界周囲の部分31cと段階的に低感度の設定をしても良い。
【0038】
入力領域内の境界周囲の部分31c、32c、33c、34cを低感度領域にするには、例えば、タッチパネル13が、タッチパネル13に対する接触によって生じる静電容量の変化を検出するものである静電容量方式であるときは、検出する閾値を入力領域内の中心部分31b、32b、33b、34bでは低く、入力領域内の境界周囲の部分31c、32c、33c、34cでは高くなるように設定することで可能となる(タッチパネル検出手段)。検出値の閾値が高いときは、閾値の低い場合に比べて接触による静電容量の変化量の検出がより困難となり、いわゆる接触による感度が低感度となる。また、閾値の設定を異なるものとする他に、閾値の検出時間に差異を設けることでも可能である。例えば、閾値の検出に必要な時間を、入力領域内の中心部分31b、32b、33b、34bでは短く、入力領域内の境界周囲の部分31c、32c、33c、34cでは長くなるように設定することで低感度領域の設定が可能である。
【0039】
面積の大きい入力領域に低感度領域を拡張して設ける場合には(S14のYES)、処理ユニット16は、大きい方の入力領域の入力領域内の境界周囲の所定範囲(低感度領域)のうち、隣接する小さい入力領域に対向する部分を拡張して、低感度領域を広げる(S16:タッチパネル制御手段)。例えば、図4に示すように、面積が大きい入力領域31aについて、入力領域内の境界周囲の所定範囲31cを低感度領域にすると共に、さらに入力領域内の境界周囲の所定範囲31cのうち、隣接する小さい入力領域32a、33a、34aに対向する部分31p、31q、31rを低感度領域(図4の入力領域31aの入力領域32a、33a、34aに対向する淡い黒色の部分)として広げるものである。このように入力領域の面積の大きい方に低感度領域を広げることで、例えば小さい入力領域32aと大きい入力領域31aの両方に触れたときに、接触による入力がより難しい小さい入力領域を優先させて検出するので、タッチパネル使用の使い勝手を向上させることができる。
【0040】
次に、記憶部23に記憶された設定情報等に基づき、目的のボタンと隣接するボタンの各入力領域内の境界周囲の所定範囲を中心部分の範囲よりも感度が低い低感度領域に設定するとの選択をしない場合には(S13のNO)、図2Bに示すように、処理ユニット16は目的のボタンと隣接するボタンの各入力領域をその中心から離れた距離に応じてタッチパネルの感度を低下させる低感度領域にするか否かの判断をする(S17:タッチパネル制御手段)。各入力領域について入力領域の中心から離れた距離に応じてタッチパネルの感度を低下させる低感度領域の設定を行わないとの選択をしたときは(S17のNO)、各入力領域については均一の感度領域となる(S12)。
【0041】
これに対し、記憶部23に記憶された設定情報等に基づいて、各入力領域について入力領域の中心から離れた距離に応じてタッチパネルの感度を低下させる低感度領域の設定を行う場合には、処理ユニット16は、入力領域の中心からの距離に応じて、低感度領域を設定する(S18:タッチパネル制御手段)。低感度領域の設定には、各入力領域を中心から離れた距離に応じて連続的にタッチパネルの感度を低下させる場合と、各入力領域を中心から離れた所定距離に応じてタッチパネルの感度を所定の段階毎に低下させる場合とが可能であり、いずれも処理ユニット16が入力領域の中心を座標の原点として、原点からの距離を算出し、中心(原点)からの距離に応じてタッチパネルの感度を低下させる(タッチパネル制御手段)。
【0042】
図5Bに示すように、入力領域面積が大きい入力領域41と、入力領域面積が小さい入力領域42を、各入力領域41、42の中心からの距離に応じて感度領域を低下させる場合を説明する。説明の便宜上、図5Aでは、入力領域41、42を重ね、中心点を一致させ、中心からの距離を明確にすべく、入力領域41、42を含む円43及びXY座標軸が描かれている。各入力領域41、42の中心である、XY座標軸の原点から入力領域の所定の点の距離は、所定の点のX座標及びY座標をそれぞれ自乗した和の平方根から算出され、処理ユニット16は、中心からの距離に応じて所定の点のタッチパネルの感度を低下させる(タッチパネル制御手段)。感度の低下は前述したように、タッチパネル13に対する接触によって生じる静電容量の変化を検出する場合には、検出する閾値を、中心からの距離に応じて高くすることで、距離に応じて低感度とすることが可能である(タッチパネル検出手段)。また、閾値の検出時間に差異を設けることでも可能である。例えば、閾値の検出に必要な時間を、中心からの距離に応じて長くすることで、距離に応じて低感度とすることが可能である。中心からの距離に応じて徐々に低感度にすることで連続的な低感度の設定が可能で、中心からの所定距離毎に低感度にすることで段階的な低感度の設定が可能となる。
【0043】
図5Aに示すように、小さい面積の入力領域42に含まれる各点は、大きい面積の入力領域41に含まれる点に比べて、中心である原点からの距離が小さいことから、入力領域42は、入力領域41に比べて感度が高いものとなる。図5A図5Bは、感度領域の高い部分を濃い黒色で示し、感度領域の低い部分を淡い黒色で示した模式図である。
【0044】
入力領域の中心からの距離に応じて低感度とする低感度領域の設定をする場合は(S18)、図5Bに示すように、面積が小さい入力領域42は、面積が大きい入力領域41に比べて、入力領域内の境界周囲の所定範囲は感度が高いので、両方の入力領域の境界付近に触れた場合には、面積が小さい入力領域42の入力が優先的に検出されることになり(タッチパネル検出手段)、的確な選択情報を実行することができる(選択情報実行手段)。よって、小さい入力領域に対する接触が誤りなく容易にできるので、使い勝手の良い入力画面を含む表示部を有する車載機器100が提供できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置である車載機器100によれば、タッチパネル上の隣接する入力領域が所定の間隔以下であるときに、入力領域内の境界周囲の所定範囲を、中心よりも低感度となる低感度領域に設定するので、誤って隣接する双方の入力領域の端部に触れても検出され難くなり誤入力の防止が可能となる。また、隣接する入力領域に大小関係があるときには、大きい入力領域の方に低感度領域を拡張することで、小さい入力領域の入力が優先されて入力し易くなる。さらに、入力領域の中心からの距離に応じて低感度とする低感度領域の設定をすることで、入力領域の端部は小さい入力領域の方が感度が高くなるので、小さい入力領域の入力が優先されて入力し易くなり、使い勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る情報処理装置は、タッチパネル上の入力領域内の境界周囲の所定範囲を、中心よりも低感度となる低感度領域に設定するので、入力領域内の端部に誤って触れても誤入力とはならないという効果を有し、タッチパネルへの誤入力の防止を図る情報処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0047】
12 ディスプレイ
13 タッチパネル
15 表示部(表示手段)
16 処理ユニット
23 記憶部
31、32、33、34、35 ボタン
31a、32a、33a、3a4、35a 入力領域
100 車載機器
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B