特許第6230088号(P6230088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6230088-血流促進剤 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230088
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】血流促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20171106BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 9/08 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171106BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   A61K31/198
   A61K8/42
   A61K31/17
   A61P3/06
   A61P9/00
   A61P9/08
   A61P9/10
   A61P17/00
   A61P17/16
   A61P43/00 111
   A61Q19/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-243913(P2012-243913)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-91720(P2014-91720A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月7日
【審判番号】不服2016-17383(P2016-17383/J1)
【審判請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】308032666
【氏名又は名称】協和発酵バイオ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】森田 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】神村 彩子
(72)【発明者】
【氏名】小林 義典
【合議体】
【審判長】 内藤 伸一
【審判官】 松澤 優子
【審判官】 前田 佳与子
(56)【参考文献】
【文献】 Ruiz E. et al,Br J Pharmacol,1998年,vol.125,p.186−192
【文献】 Yang D. et al,Cell Metab,2010年,vol.12, no.2,p.130−41
【文献】 日本認知科学会,認知科学辞典,共立出版株式会社,2003年 5月,初版,p.265
【文献】 関根茂 他,新 化粧品ハンドブック,日光ケミカルズ株式会社 他,2006年10月,p.521
【文献】 田中千賀子 他,NEW 薬理学,株式会社南江堂,1997年8月,第3版,p.390−391
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/198
A61K8/42
A61K31/17
A61P3/06
A61P9/00
A61P9/08
A61P9/10
A61P7/00
A61P17/16
A61P43/00
A61Q19/00
Caplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シトルリン又はその塩及び0.1mg〜20mgのカプサイシン又はカプサイシノイド類を有効成分として含有し、かつシトルリン又はその塩の含有量が、カプサイシン又はカプサイシノイド類1重量部に対して10〜200重量部である血流促進剤。
【請求項2】
1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、1回の摂取量として、0.1mg〜20mgのカプサイシン又はカプサイシノイド類、及びカプサイシン又はカプサイシノイド類1重量部に対して10〜200重量部のシトルリン又はその塩を含有する血流促進剤。
【請求項3】
末梢血管拡張に関連して発揮される運動パフォーマンス増強、脂肪蓄積抑制、肌質向上、又は虚血性疾患の予防に使用される請求項1又は2に記載の血流促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管弛緩作用を有するより効果的な血流促進剤及びこのような作用を示す機能性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
シトルリンは、生体内でタンパク質の合成原料としては使われず、遊離の状態で存在するアミノ酸の一種である。体内ではアルギニン前駆体としてアルギニン生合成や、一酸化窒素(NO)の供給に関わるNOサイクルの構成因子として重要な役割を果たしている。
【0003】
シトルリンはウサギの血管平滑筋に対して弛緩作用を示すことから血管拡張作用を有することは報告されている(非特許文献1)が、その他にも動脈硬化抑制、冷え症改善、精力増強、アンモニア解毒等の種々の効果があると言われている。
【0004】
カプサイシン(8−Methyl−N−vanillyl−6−nonenamide)やジヒドロカプサイシン(8−Methyl−N−vanillyl−nonanamide)はとうがらしに含まれる辛味成分である。古くから香辛料として食品に、また反対刺激剤として医療に用いられる。また、食欲増進や鎮痛作用などの生理活性を有している。近年、カプサイシンを投与することによりTRPV1(Transient Receptor Potential Vanilloid 1)が活性化し、内皮依存性血管弛緩を高め高血圧を防ぐことが報告されている(非特許文献2)。
またカプサイシンは、強い辛味や刺激性を有することが知られている。カプサイシン溶液の舌下処置に関する研究によると、カプサイシンによる刺激性唾液分泌は濃度依存的に促進されるが、カプサイシン溶液の濃度が75μM以上になると、濃度依存的に強い痛みの感覚を生じさせた(非特許文献3)。このように、カプサイシンは、その強い辛味、刺激性や難溶性から食品あるいは医薬品への利用は限られている。
以上のように、動物組織に対して刺激性を与えないカプサイシンの濃度範囲は数十μM以下であるが、刺激性のない低い濃度範囲のカプサイシンと既素材の組合せにより、作用を効果的に増強する方法の開発は有用でありながら、これまで知られていなかった。
【非特許文献1】British Jounal of Pharmacology, (1998) 125, 186−192
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献2】Cell Metabolism,(2010)12, 130−141
【非特許文献3】北海道歯誌,(2011)32, 2-11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を有効成分として含有し、シトルリンの効果が増強されるとともにカプサイシン又はカプサイシノイド類が刺激性のない濃度範囲においてより有効な血流促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を併用すれば、少量で血管平滑筋が弛緩することで血管が拡張し、これらを含む血流促進剤として有用であることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の[1]〜[7]に関する。
[1]シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を有効成分として含有する血流促進剤。
[2]カプサイシン又はカプサイシノイド類の投与量が刺激性を示さない量である[1]に記載の血流促進剤。
[3]刺激性を示さない量が、成人1回の投与量あたり0.1mg〜20mgである[2]に記載の血流促進剤。
[4]シトルリン又はその塩の投与量が、成人1回の投与量あたり20mg〜2000mgである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の血流促進剤。
[5]シトルリン又はその塩が、カプサイシン又はカプサイシノイド類1重量部に対して10〜200重量部で含有される[1]〜[4]のいずれか1項に記載の血流促進剤。
[6]1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、1回の摂取量として、シトルリン又はその塩を20mg〜2000mg、及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を0.1mg〜20mg含有する、[5]に記載の血流促進剤。
[7]末梢血管拡張に関連して発揮される運動パフォーマンス増強、脂肪蓄積抑制、肌質向上、又は虚血性疾患の予防に使用される[1]〜[6]のいずれか1項に記載の血流促進剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明の血流促進剤は、シトルリンを併用することによりカプサイシンの刺激性を呈さない低用量で効果的な血管拡張作用を示し、アミノ酸と食品由来の成分を有効成分として含むので、安全性に優れ長期投与が可能であり、特に保健機能食品の場合は、常用的に摂取することができる。
また本発明の血流促進剤は、優れた血管弛緩作用を有することから、末梢血管拡張に関連して発揮される運動パフォーマンス増強、脂肪蓄積抑制、肌質向上作用のほか、虚血性疾患等における血行の確保、加齢や生活習慣病等により収縮に偏った血管の弛緩、動脈硬化予防、血流障害による肩こり、冷え症、勃起不全、血栓症等の予防に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ラット摘出大動脈を用いてNorepinephrine 0.3 μM誘発血管収縮に対する各サンプル添加時の血管弛緩率(%)を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を有効成分として含有する血流促進剤に関する(以下本発明の血流促進剤と略することもある)。
【0012】
本発明において、「血流促進」とは、健常状態からの血流の上昇が医学生理学的に有益となり得る場面において任意の組織の血液量を増加させること、又は単位時間あたりの血液循環量を増加させること、及び血流の低下状態からの回復が医学生理学的に有益となり得る場面において任意の組織の血液量を正常に回復させること、又は単位時間あたりの血液循環量を正常に回復させることを意味する。
本発明の血流促進剤は、「血流促進」用途に用いられる医薬品、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の特定の機能を有し、健康維持などを目的として摂食される医薬品類似の組成物や機能性食品を意味する。
【0013】
本発明で用いるシトルリン又はその塩としては、L−体、D−体及びDL−体のいずれであってもよいが、L−体が好ましい。
また、シトルリンは、市販品を購入することにより取得することもできる。シトルリンを化学的に合成する方法としては、例えば、J. Biol. Chem., 122, 477(1938)、J.Org.Chem., 6, 410(1941)等に記載の方法があげられる。L-シトルリンを発酵生産する方法としては、例えば、特開昭53−075387号公報、特開昭63−068091号公報等に記載の方法があげられる。また、L−シトルリン及びD−シトルリンは、シグマ−アルドリッチ社等より購入することもできる。
【0014】
シトルリンの塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
【0015】
酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩があげられる。
【0016】
金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられる。
【0017】
アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられる。
【0018】
有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等との塩があげられる。
【0019】
アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩があげられる。
【0020】
本発明においては、シトルリンの塩としては、リンゴ酸塩が好ましく用いられるが、他の塩、又は2以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明におけるシトルリン又はその塩は、蛋白質加水分解法、化学合成法、酵素法又は発酵法など、いずれの製造方法で製造されたものでもよいし、市販品を用いることもできる。
【0022】
また、本発明におけるシトルリン又はその塩は、当該アミノ酸配列を有する天然蛋白質を酵素的に加水分解することによっても得ることができる。
【0023】
本発明におけるカプサイシン又はカプサイシノイド類は、化学合成法、酵素的合成法などの製造方法により製造されたもの、市販品、及び天然物から抽出・精製したカプサイシン又はカプサイシノイド類のいずれをも用いることができる。天然物としては、例えば、唐辛子などのトウガラシ属植物の果実が挙げられる。
【0024】
本発明におけるカプサイシノイド類は、ノルジヒドロカプサイシンやジヒドロカプサイシン、カプシノイド(カプシエイト)誘導化合物が含まれ、好ましくはジヒドロカプサイシン、カプシエイトが挙げられる。
【0025】
本発明の血流促進剤は、ヒト、ヒト以外の動物〔例えば、ヒト以外の哺乳類(ブタ、ウシ、ウマ、イヌ等の家畜及び愛玩動物)、鳥類(シチメンチョウ、ニワトリ等の家禽及び愛玩動物)等〕等に適用することができる。
【0026】
本発明の血流促進剤は、シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を組み合わせてなるもの(即ち、併用剤)であり、投与時にシトルリン等とカプサイシン等を組み合わすことができるものであればよい。従って、本発明の血流促進剤は、投与時にシトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を組み合わすことができるものであれば、シトルリン等とカプサイシン等を同時に製剤化して得られる単一の製剤であっても、シトルリン等とカプサイシン等とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を組み合わせたものであってもよい。投与形態は、特に限定されず、例えば、(1)シトルリンとカプサイシンを含有する組成物、即ち、単一の製剤としての投与、(2)シトルリンとカプサイシンを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)シトルリンとカプサイシンを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与(例えばシトルリン、カプサイシンの順序での投与、あるいは逆の順序での投与)、(4)シトルリンとカプサイシンを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)シトルリンとカプサイシンを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えばシトルリン、カプサイシンの順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が挙げられる。
なお、時間差をおいての投与の場合、両者が体内で共存していることが必要である。
【0027】
本発明の血流促進剤において、シトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類との組合せの割合は、両者が単一製剤とされる場合、別個の製剤とされる場合のいずれにおいても、シトルリン又はその塩の含有量が、通常、カプサイシン又はカプサイシノイド類1重量部に対して、10〜200重量部であり、50〜200重量部が好ましく、100〜200重量部がより好ましい。
【0028】
本発明の血流促進剤において、投与量はシトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類をあわせて成人1日あたり、通常は30mg〜30gの範囲であり、好ましくは100mg〜10g、特に好ましくは200mg〜3gとなるように、1日1回ないし数回投与する。
【0029】
シトルリン又はその塩の投与量は成人1日あたり、通常20mg〜20gの範囲であり、100mg〜5gの範囲が好ましく、200mg〜2gの範囲がより好ましい。1日1回ないし数回投与するためシトルリンの投与量は、成人1回の投与量として、例えば1日1回投与の場合、通常20mg〜2000mgの範囲であり、40mg〜1000mgの範囲が好ましく、80mg〜500mgの範囲がより好ましく、100mg〜400mgの範囲が特に好ましい。また例えば1日2回投与の場合、通常10mg〜1000mgの範囲であり、20mg〜500mgの範囲が好ましく、40mg〜250mgの範囲がより好ましく、50mg〜200mgの範囲が特に好ましい。
【0030】
カプサイシン又はカプサイシノイド類の投与量は、刺激性を示さない量が使用される。本発明において、「刺激性を示さない」とは、投与される被験体の摂取から代謝過程に関わる任意の組織において被験体自身が苦痛と感じる程度の辛みや痛みなどの侵害刺激の感覚を呈さないことを意味する。
刺激性を示さないカプサイシン又はカプサイシノイド類の投与量は、成人1日あたり、通常は01mg〜200mgの範囲であり、03mg〜150mgの範囲が好ましく、0.5mg〜100mgの範囲がより好ましい。1日1回ないし数回投与するためカプサイシン又はカプサイシノイド類の投与量は、成人1回の投与量として、例えば1日1回投与の場合、通常01mg〜20mgの範囲であり、02mg〜10mgの範囲が好ましく、0.5mg〜4mgがより好ましい。また例えば1日2回投与の場合、通常005mg〜10mgの範囲であり、01mg〜5mgの範囲が好ましく、0.25mg〜2mgがより好ましい。
上記成人1回あたりの量は、性別、年齢、疾患等の体の状態を加味して適宜変更しうる。
【0031】
本発明の血流促進剤において、上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて投与することができる。また投与期間は特に限定されず、成分がアミノ酸と食品由来の成分であるため長期投与が可能であるが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ヶ月間である。
【0032】
本発明の血流促進剤はその剤型に格別の制限はなく、経口製剤、非経口製剤のいずれでもよい。その剤型としては、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤、マイクロカプセル剤、ドリンク剤、乳剤、あるいは懸濁液剤等の経口投与剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、パック剤、入浴剤などの皮膚外用剤、注射剤などとすることができる。
【0033】
経口的に投与する場合には、本発明の血流促進剤は、必要に応じて、担体、賦形剤、結合剤、膨化剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、防腐剤、乳化剤、被覆剤等を含有することができ、これらとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で用いることができる。これらの組成物又は製剤におけるシトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類の量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにすればよい。また経口的に投与する場合には、食前、食後、食間を問わない。
【0034】
本発明の血流促進剤において、含有することができる具体的な成分としては、例えばトラガント、アラビアゴム、コーンスターチ、プルラン及びゼラチンのような結合剤;微晶性セルロース、結晶セルロース、環状オリゴ糖のような賦形剤;コーンスターチ、前ゼラチン化デンプン、アルギン酸、デキストリンのような膨化剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムのような潤滑剤;微粒二酸化ケイ素、メチルセルロースのような流動性改善剤;グリセリン脂肪酸エステルのような滑沢剤;ショ糖、乳糖及びアスパルテーム、エリスリトールのような甘味剤;ペパーミント、ワニラ香料及びチェリー又はオレンジのような香味剤;クエン酸のようなpH調整剤、モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤等が挙げられる。
【0035】
調剤単位形態がカプセル剤である場合には上記のタイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。
【0036】
また、種々の他の材料を、調剤単位の物理的形態を変化させるために含有させることができる。錠剤の被覆剤としては、例えば、シェラック、砂糖又はその両方などが挙げられる。シロップ剤又はエリキシル剤は、例えば、甘味剤としてショ糖、防腐剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベン、色素及びチェリー又はオレンジ香味等などを含有することができる。その他、各種ビタミン類、アルギニン、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシンやバリンなどの各種アミノ酸類を含有しても良い。
【0037】
腸溶性製剤とするときは、例えばヒドロキシルフェニルメチルセルロースの水溶液を被覆前処理剤とし、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの水溶液及びポリアセチンの水溶液を被覆剤として常法により腸溶性製剤とすればよい。
【0038】
本発明の血流促進剤は、有効成分としてシトルリン又はその塩及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を含有するが、更に任意のほかの有効成分を含有してもよい。
【0039】
非経口的に投与する場合には、例えば、シトルリン及びカプサイシンを含有する溶液を点鼻噴霧することや注射剤として投与すること等ができる。又は本発明の血流促進剤を皮膚外用剤とする場合には、シトルリン及びカプサイシンを種々の基剤に分散させて常法により製剤化すればよく、かかる基剤としては、ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどの高級脂肪酸エステル、スクワラン、ラノリン、セタノールなどの高級アルコール、シリコーン油、動植物油脂などの油脂性基剤、エタノールなどの低級アルコール類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、α−モノグリセリルエーテル、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸金属塩、硫酸マグネシウムなどの乳化又は乳化安定剤、芳香剤、防腐剤、色素、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、創傷治癒剤、抗炎症剤、保湿剤などの各種薬効剤、水などが挙げられる。
【0040】
本発明において医薬品とは、本発明の血流促進剤そのものであってもよく、また他の添加物等を含有するものであってもよい。
【0041】
本発明の血流促進剤を食品として使用する場合には、本発明の特定の機能に着目して摂取される健康食品の他、保健機能食品制度に規定される特定保健用食品や栄養機能食品を意味し、さらにダイエタリーサプリメントも包含される。食品に含まれるシトルリンとカプサイシンの量は、特に限定されないが、1日あたりの飲食量が本発明の血流促進剤における上記の投与量と同様の範囲となるようにするのが好ましい。本発明の血流促進剤の保健機能食品の形態は、特に限定されない。
本願における食品は、シトルリンとカプサイシンが1食当たりの摂取単位量の形態で包装された形態や、シトルリンとカプサイシンが懸濁あるいは溶解した飲料が1食あたりの飲み切りの形態で瓶等に充填された形態などが挙げられる。1食あたりの用量は上記に示した1日の投与量であってもよい。
【0042】
具体的には、1食当たりの単位包装形態において、該単位のシトルリン又はその塩の1回の摂取量としては、通常20mg〜2000mg、40mg〜1000mgが好ましく、80mg〜500mgがより好ましく、100mg〜400mgが特に好ましい。また例えば1日2回摂取の場合、該単位中のシトルリンまたはその塩の1回の摂取量としては、通常10mg〜1000mg、20mg〜500mgが好ましく、40mg〜250mgがより好ましく、50mg〜200mgが特に好ましい。
【0043】
また同様に、該単位中のカプサイシン又はカプサイシノイド類の1回の摂取量としては、通常01mg〜20mg、02mg〜10mgが好ましく、0.5mg〜4mgがより好ましい。また例えば1日2回摂取の場合、該単位中のカプサイシン又はカプサイシノイド類の1回の摂取量としては、通常005mg〜10mg、01mg〜5mgが好ましく、0.25mg〜2mgがより好ましい。
【0044】
例えば、1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、1回の摂取量としてシトルリン又はその塩を20mg〜2000mg、及びカプサイシン又はカプサイシノイド類を0.1mg〜20mg含有する血流促進剤が好ましい。
【0045】
本発明の血流促進剤は、血管平滑筋に作用し血管を拡張させ、血液循環の促進、及び血流停滞が関与する症状の軽減や緩和を促す。したがって本発明の血流促進剤は、末梢血管拡張に関連して発揮される運動パフォーマンス増強、脂肪蓄積抑制、肌質向上作用のほか、虚血性疾患等における血行の確保、加齢や生活習慣病等により収縮に偏った血管の弛緩、動脈硬化予防、血流障害による肩こり、冷え症、勃起不全、血栓症等の予防に適用できる。
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
以下に、シトルリンとカプサイシンを併用した場合の血管拡張能を調べた試験例を示す。
【0048】
(試験例)
血管拡張能の評価にはラットの摘出胸部大動脈によるマグヌス法を用いた。5週齢のWister系雄ラット(日本クレア)を予備飼育の後、18時間絶食後に実験に供した。L−シトルリンは協和発酵バイオ株式会社製を用い、カプサイシンはフナコシ(BIOMOL社製)より購入した。ペントバルビタール麻酔下にて胸部大動脈を摘出し、37±1℃に加温したKrebs-Henseleit液(NaCl 133 mM, KCl 4.7 mM, CaCl 2.52 mM, KHPO 1.35 mM, MgSO 0.61 mM, NaHCO 16.3 mM, glucose 7.8 mM, pH= 7.4)に浸しながら、大動脈リング標本を作製した。測定にはマグヌス装置(いわしや岸本医科産業)を用い、各ウェルには37±1℃に保温したKrebs-Henseleit液を満たし、95% O-5%CO混合ガスを下方から通気した。作製した大動脈リングは、ウェルの固定針にセットし内側から張力を加えて固定した。約40分間静置することで安定化させ、記録計のベースラインが一定になってから実験を開始した。血管拡張能の評価には、予備実験より濃度を設定したNorepinephrine 0.3 μM誘発収縮に対する各サンプル添加時の血管弛緩率(%)を求めた。各サンプル添加濃度として、L−シトルリンは血管拡張作用が期待できる300μM、より高い血管拡張作用が期待できる1000μMとし、カプサイシンは、上述の通り刺激性を呈さない濃度範囲の1μMに設定した。
【0049】
図1にL−シトルリン、カプサイシン及びそれらを併用添加した場合の血管弛緩率(%)を示す。
本試験で用いた添加濃度において、L−シトルリン300μM及びカプサイシン1μMの添加により、Norepinephrine0.3 μMで誘発した血管収縮に対し、7〜10%程度の弱い弛緩作用が認められた。またL−シトルリン1000μMの添加により15〜20%程度の弛緩作用が認められた。
一方、L−シトルリン300μM及びカプサイシン1μMを併用添加した場合、血管拡張が各単独添加時に比べて促進し、弛緩反応が惹起されることが確認され、L−シトルリン1000μMの添加時と同程度の弛緩作用を示した。このことから、低い用量のカプサイシンと低い用量のL−シトルリンとを組合せることで、L−シトルリンの血管拡張が効果的に増強されることとともに、カプサイシンは刺激性を呈さない低い用量で用いることができることが明らかとなり、優れた血流促進剤となることが示された。
【0050】
以下に、本発明の製剤実施例を示す。
【0051】
(実施例1)
シトルリン及びカプサイシンを含有する錠剤の製造
L−シトルリン120kg、カプサイシン1.2kg、環状オリゴ糖19kg、セルロース57kg及びプルラン1kgを流動層造粒乾燥機で造粒した。得られた造粒物とステアリン酸カルシウム3kgとをコニカルブレンダーで混合した後、ロータリー圧縮成形機で圧縮成形して錠剤を製造する。
【0052】
(実施例2)
シトルリン及びカプサイシンを含有する腸溶性錠剤の製造
実施例1で製造する錠剤の表面をシェラック溶液でコーティングして腸溶性錠剤を製造する。
【0053】
(実施例3)
シトルリン及びカプサイシンを含有する腸溶性カプセルの製造
L−シトルリン120kg、カプサイシン1.2kg、環状オリゴ糖19kg、セルロース57kg、ステアリン酸カルシウム3kg及びプルラン1kgを、コニカルブレンダーで混合する。得られる混合物20kgと0.2kgの二酸化ケイ素とを混合攪拌して得られた混合物をカプセル充填機に投入、ハードカプセルに充填してハードカプセルを得る。得られるハードカプセルの表面をツェイン溶液でコーティングして腸溶性カプセルを製造する。
【0054】
(実施例4)
シトルリン及びカプサイシンを含有する飲料の製造(1)
L−シトルリン1.28kg、カプサイシン38g、エリスリトール3kg、クエン酸0.05kg、人工甘味料3g、香料0.06kgを液温70℃で水50Lに攪拌溶解し、クエン酸でpHを3.3に調整後、プレート殺菌を用いて滅菌して瓶に充填後、パストライザー殺菌し、飲料を製造する。
【0055】
(実施例5)
シトルリン及びカプサイシンを含有する飲料の製造(2)
シトルリン20mg、カプサイシン1mg、アルギニン20mgと適当量の果糖ぶどう糖液糖、食塩、クエン酸、香料、クエン酸Na、乳酸Ca、ピロリン酸鉄、グルコン酸Ca、塩化K、塩化Mg、甘味料とを配合し555mlの飲料を製造する。
【0056】
(実施例6)
シトルリン及びカプサイシンを含有する飲料の製造(3)
L−シトルリン100mg、カプサイシン5mg、アルギニン100mg、アラニン2.5mg、グリシン2.5mg、ロイシン2.5mg、イソロイシン1.3mg、バリン1.3mgと適当量の香料、甘味料を配合し300mlの飲料を製造する。
【0057】
(実施例7)
シトルリン及びカプサイシンを含有する化粧水の作製
エタノール10.0重量%、L−シトルリン2.0重量%、カプサイシン0.2重量%、1,3−ブチレングリコール5.0重量%、精製水83.0重量%を配合し化粧水を製造する。
【0058】
(実施例8)
シトルリン及びカプサイシンを含有するクリームの作製
ポリエチレングリコール(PEG55)、モノステアレート2.00重量%、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5.00重量%、セチルアルコール4.00重量%、スクワラン6.00重量%、2−エチルヘキサン酸トリグリセリル6.00重量%、1,3−ブチレングリコール7.00重量%、L−ヒスチジン3.00重量%、L−シトルリン1.00重量%、カプサイシン0.05重量%、精製水66.00重量%を配合しクリームを製造する。
【0059】
(実施例9)
シトルリン及びカプサイシンを含有するローションの作製
L−シトルリン3.00重量%、カプサイシン0.15重量%、水溶性コラーゲン(1%水溶液)1.00重量%、クエン酸ナトリウム0.10重量%、クエン酸0.05重量%、甘草エキス0.20重量%、1,3−ブチレングリコール3.00重量%、精製水91.65重量%を配合しローションを製造する。
【0060】
(実施例10)
シトルリン及びカプサイシンを含有するパックの作製
ポリビニールアルコール13.00重量%、L−アスパラギン酸1.00重量%、L−シトルリン5.00重量%、カプサイシン0.50重量%、ラウロイルヒドロキシプロリン1.00重量%、水溶性コラーゲン(1%水溶液)2.00重量%、1,3−ブチレングリコール3.00重量%、エタノール5.00重量%、精製水70.00重量%を配合しパックを製造する。
【0061】
(実施例11)
シトルリン及びカプサイシンを含有する美容液の作製
ヒドロキシエチルセルロース(2%水溶液)12.0重量%、キサンタンガム(2%水溶液)2.0重量%、L−シトルリン2.0重量%、カプサイシン0.1重量%、1,3−ブチレングリコール6.0重量%、濃グリセリン4.0重量%、ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液)5.0重量%、精製水69.0重量%を配合し美容液を製造する。
図1