特許第6230089号(P6230089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6230089通信中継装置、通信制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230089
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】通信中継装置、通信制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20171106BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04L12/46 E
   H04L12/66 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-276470(P2012-276470)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-121035(P2014-121035A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大崇
【審査官】 大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−210346(JP,A)
【文献】 特開2001−154763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04L 12/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と第1の構内通信網を介して通信する第1の構内通信網インターフェースと、
第2の端末と第2の構内通信網を介して通信する第2の構内通信網インターフェースと、
公衆網に接続する処理を実行する公衆網接続可能な公衆網インターフェースと、
通信の監視制御を実行する通信監視制御を実行する通信監視制御部と、を備え、
前記通信監視制御部は、
前記第1の端末および前記第2の端末が前記公衆網と通信する送信データ及び受信データを一元的に監視して、前記送信データ及び受信データ中のヘッダを解析して、前記第1の端末および前記第2の端末の送受信データ量を取得する監視手段と、
前記第1の端末および前記第2の端末の送信データ量と、前記第1の端末および前記第2の端末の受信データ量と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1の構内通信網インターフェースおよび前記第2の構内通信網インターフェースの通信速度を調整する制御手段と、
を備えた通信中継装置。
【請求項2】
前記監視手段は、前記全送受信データ中のパケットのヘッダフォーマット中のIPアドレスを用いて端末を個別に識別することにより、前記ヘッダを解析する、
請求項1の通信中継装置。
【請求項3】
前記第1の端末および前記第2の端末が前記公衆網と通信するデータを送受信するCPUをさらに備え、
前記CPUは、
前記第1の端末と前記第2の端末との間の通信である場合、前記通信監視制御部に対し機能を停止させる、
請求項1または2の通信中継装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の端末および前記第2の端末が前記公衆網と通信していない場合に、前記第1の構内通信網インターフェースおよび前記第2の構内通信網インターフェースの通信速度を最も遅い速度に設定する、
請求項1〜3いずれかに記載の通信中継装置。
【請求項5】
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置における通信制御方法であって、
第1の端末および第2の端末が前記公衆網と通信する送信データ及び受信データを一元的に監視し、前記送信データ及び受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて、前記第1の端末および前記第2の端末の送受信データ量を取得するステップと、
前記第1の端末および前記第2の端末の送信データ量と、前記第1の端末および前記第2の端末の受信データ量と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1の端末および前記第2の端末との間の通信速度を調整するステップと、
を備えた通信制御方法。
【請求項6】
前記ヘッダを解析するステップでは、前記全送受信データ中のパケットのヘッダフォーマット中のIPアドレスを用いて端末を個別に識別することにより、前記ヘッダを解析する、
請求項5の通信制御方法。
【請求項7】
前記第1の端末と前記第2の端末との間の通信である場合、監視処理を停止させる、請求項5または6の通信制御方法。
【請求項8】
前記通信速度を調整するステップでは、前記第1の端末および前記第2の端末が前記公衆網と通信していない場合に、前記第1の端末および前記第2の端末との間の通信速度を最も遅い速度に設定する、請求項5〜7いずれかに記載の通信制御方法。
【請求項9】
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置において実行されるプログラムであって、
第1の端末および第2の端末が前記公衆網と通信する送信データ及び受信データを一元的に監視し、前記送信データ及び受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて、前記第1の端末および前記第2の端末の送受信データ量を取得するステップと、
前記第1の端末および前記第2の端末の送信データ量と、前記第1の端末および前記第2の端末の受信データ量と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1の端末および前記第2の端末との間の通信速度を調整するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信中継装置、通信制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会情勢により、あらゆる電気機器に対して省電力化が求められている。通信中継機器に対しても省電力化が求められ、様々な手法が提案されている。一般的な消費電力を抑える方法の例として、ユーザが装置のボタンを押し、タイマを設定することで機能を限定するなど、ユーザが装置自体に設定を加える技術がある。
また、特許文献1、特許文献2は、ゲートウェイ装置に接続している複数の通信装置毎のデータ流量を監視し、それに基づいて省電力制御を実行する手法を提示している。
特許文献3は、外部公衆網に接続している外部サーバに、構内通信網から構内通信装置が頻繁にリクエストを出す場合にWAN(Wide Area Network)とLAN(Local Area Network)の通信レートを監視する仕組みを提示している。しかし、いずれの手法もデータ流量の監視が煩雑である等の課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187296号公報
【特許文献2】特開2010−141426号公報
【特許文献3】特開2011−182331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、関連する技術は通信中継装置の消費電力を抑えるためには複数の装置の管理が必要であり、管理が煩雑となるという課題がある。
本発明は、低電力制御を一括して管理する通信中継装置、通信制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様にかかる通信中継装置は、
複数の端末と構内通信網を介して通信する処理を実行する構内通信網インターフェースと、
公衆網に接続する処理を実行する公衆網接続可能な公衆網インターフェースと、
通信の監視制御を実行する通信監視制御を実行する通信監視制御部を備え、
前記通信監視制御部は、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視して、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析して、前記端末毎の送受信データ量を取得する監視手段と、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記構内通信網インターフェースの通信速度を調整する制御手段と、
を備える。
【0006】
一態様にかかる通信制御方法は、
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置における通信制御方法である。そして、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視し、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて前記端末毎の送受信データ量を取得するステップと、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記端末との間の通信速度を調整するステップと、
を備える。
【0007】
一態様にかかるプログラムは、
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置において実行されるプログラムでる。そして、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視し、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて前記端末毎の送受信データ量を取得するステップと、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記端末との間の通信速度を調整するステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低電力制御を一括して管理する可能な通信中継装置、通信制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態にかかる通信システムの構成図である。
図2】IPパケットのヘッダフォーマットの図である。
図3】本発明の実施の形態のフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態の通信速度に対応する閾値の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に本発明を想到するまでに行った検討の経緯について説明する。
関連する通信中継機器技術は、通信状態を監視し省電力化を行うことを提示している(特許文献1)。その中で、通信中継機器の公衆網等の上位ネットワークにつながるWAN側の通信の有無や下位ネットワークにつながるLANの通信状態を監視し、通信を行っていない場合、ネットワークから切り離し、消費電力を抑える技術が提案されている。また、通信量の監視で、低電力処理を行う制御も考えられているが、WAN/LAN両方の監視が必要となり、管理する場所が複数必要である。
また、該技術は、LAN側の通信監視で、ネットワーク側の転送レートが低い場合、装置内で廃棄されるデータも通信データとして加味しており、適切な通信量の計測となっていない。
【0011】
特許文献2で提示する技術は、中継装置に接続している種類が異なる端末毎の各ポートに監視部を設ける必要があるため、実現コストが高くなる。しかし、一般的に、中継装置内の通信は、WAN側の上位ネットワークとLAN側との通信が多くなることと判断されるので、WAN側の通信監視をすれば一元的に通信量を監視でき、十分な効果が得られると期待される。
【0012】
また、特許文献3は、外部公衆網に接続している外部サーバに、構内通信網から構内通信装置が頻繁にリクエストを出す場合にWANとLANの通信レートを監視する仕組みを提示している。しかし、通信量の監視をするためには該方式は複雑でコストが高くなる。これに対し、ゲートウェイ装置に1つあるWANポートを監視すれば一元的に通信量を監視でき、開発コストを抑えることができると期待される。
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、以下、内容を詳述する。
【0013】
実施の形態1
図1は、通信システム1を構成するゲートウェイ装置11、PC(Personal computer)17、無線LAN端末18を示している。ゲートウェイ装置11は、通信監視・制御部15、CPU(Central Processing Unit)20を備える。通信監視・制御部15は、公衆網と接続する処理するための公衆網インターフェースであるWAN(Wide Area Network)インターフェース13(以下、単にWAN13とする)側に接続している。また、有線LANインターフェース12(以下、単に有線LAN12とする)、無線LANインターフェース14(以下、単に無線LAN14とする)等の構内通信網インターフェースは、CPU20に接続している。そして、ゲートウェイ装置11は、ネットワーク19と通信可能となっている。
【0014】
ゲートウェイ装置11は、下位ネットワークに接続した端末機器と上位ネットワークとの通信中継機器である。下位ネットワーク側は10/100/1000Mbps(Mega bit per second)の最大転送速度の設定が可能な有線LAN12と、IEEE802.11nで規格化された無線LAN14の構内通信網インターフェースを備える。有線LAN12の最大転送速度は1000Mbps>100Mbps>10Mbpsの順番でデータを通信可能であり、通信速度の上昇に従って消費電力も上がるものとする。
【0015】
また無線LAN14は規格IEEE802.11nでHT20、HT40等の通信に使用する帯域が異なる処理モードを有し、処理モードを変更することが可能である。なお、HT20は、HT40に比べ、使用する帯域が狭く最大通信速度が遅い半面、消費電力はHT40よりも低い。さらにゲートウェイ装置11には上位のネットワーク19に接続するWAN13が存在する。WAN13側は、LAN12と同様の有線でも無線LAN14と同様の無線でも良い。本実施の形態は、有線LAN12と同様の有線として説明する。
【0016】
次に、各装置について説明する。
ゲートウェイ装置11は、CPU20が有線LAN12、無線LAN14データをネットワーク側に送受信するために必要な処理を行い、そのデータを、WAN13を介してネットワーク19に送る。さらにゲートウェイ装置11は、WAN側の通信を監視する機能とLANや無線LANのインターフェースの最大転送速度を制御する機能を持つ通信監視・制御部15を備える。さらにゲートウェイ装置11は、WAN側のパケット情報を記録するための記録部16を備える。なお、ゲートウェイ装置11の無線LAN14には無線LAN端末18が通信可能であり、無線LAN端末18はゲートウェイ装置11を介してネットワーク19側と通信を行うことができる。
【0017】
また、ゲートウェイ装置11内の有線LAN12に、有線LAN端末の1つであるPC17が通信可能である。PC17はゲートウェイ装置11を介してネットワーク19側と通信を行うことができる。また、PC17側もゲートウェイ同様に10/100/1000Mbpsの最大通信速度に対応しているものとする。そして、無線LAN14と有線LAN12間も通信が可能である。
【0018】
無線LAN14や有線LAN12がネットワーク19とデータの送受信を行う場合、RFC791で規格化されているIPパケットで通信を行うことを前提とする。
図2にIPパケットのヘッダフォーマットを示す。IPパケットはこのヘッダと呼ばれるデータの情報を格納する部分が存在する。本実施の形態でもこの中のデータ長と送信元IPアドレスならびに送信先IPアドレスを参照する。
【0019】
処理の説明
無線LAN端末18からネットワーク19の間の処理はPC17からネットワーク19間の処理と同様であるため、一例として、PC17からネットワーク19間の処理を説明する。
まず、前提条件としてゲートウェイ装置11は有線LAN12に接続しているPC17のIPアドレスを記憶している。この記憶方法は、一般的なゲートウェイ装置毎に採用されている独自の方法に従う。そのため、本実施の形態とは直接関係が無いため、ここでは説明を省略する。
またPC17は有線LAN12と通信可能である。そして、PC17は何も制御されていない状態では最大通信速度1000Mbpsの速度で通信していると仮定する。
【0020】
PC17からネットワーク19へデータを送信する場合を説明する。
図3は本実施の形態のフローチャートを示している。最初にPC17と無線LAN端末18間のデータ通信の場合、WAN13にはデータが出てこない。そのため、通信監視・制御部15はLAN12からデータが出ていないと誤認識するため監視機能をOFFにする必要がある(S31:YES)。
判断方法の1例を示す。CPU20は、パケットの送受信IPを確認し、WAN側に転送するかを判断する。CPU20は、有線LAN12〜無線LAN14間の通信が発生したかどうか判断する。PC17と無線LAN端末18間のデータ通信の場合、CPU20は通信監視・制御部15に対し信号を送り機能をOFFにするよう制御する(S33)。
【0021】
PC17からネットワーク19にデータを送る場合、ゲートウェイ装置11は、まず有線LAN12でデータ受信する。一般的な場合、この後、CPU20は、データの正常性の確認を行い、IPパケットのヘッダ情報に基づいてデータをWAN13からネットワーク19に送信する。
本実施の形態では、CPU20からWAN13の間に通信監視制御部15を設け、ここでIPパケットについて以下の確認を行う。
【0022】
1)通信監視制御部15は、IPパケットのヘッダ情報に含まれる送信元IPアドレスを元に無線LAN端末18側のデータか、PC17のデータか判断する(S31:NO)。
2)通信監視制御部15は、IPアドレス毎にIPパケットのヘッダ情報に含まれるデータサイズを確認する(S32)。
3)通信監視制御部15は、IPアドレス毎に、このIPパケットが送信する時間を確認する。
通信監視制御部15は、1)〜3)までの確認結果を、記録部16に記憶する(S34)。
【0023】
通信監視制御部15は、WAN13を通過する全てのIPパケットに同様の確認を行い、所定期間にPC17がネットワーク19側に送信したデータの量を測定する。通信監視制御部15は、所定期間と該データ量を用い、PC17がWAN側で通信しているデータ通信速度を計算する。この計算結果を元に、通信監視・制御部15は有線LAN12に対し、適切な通信速度に変更するよう制御する。
通信監視・制御部15は、適切な速度を判断する方法としてLAN12の最大転送速度に比べWAN13のデータ転送速度が特定の閾値より高いか低いかを比べる(S36)。一例として、閾値を図4のように設定する場合を考える。
【0024】
通信監視・制御部15は、WAN13の通信速度が40Mbps未満のとき、LAN12側の通信速度が1000Mbpsに設定してある場合、LAN12側の通信速度を100Mbpsに落とす(図4 b)。
通信監視・制御部15は、WAN13の通信速度が4Mbps未満のとき、LAN12側の通信速度が100Mbpsに設定してある場合、LAN12側の通信速度を10Mbpsに落とす(図4 a)。
通信監視・制御部15は、WAN13の通信速度が70Mbps以上であればLAN12側の通信速度を1000Mbpsに上げる(図4 c)。
隣接する速度の上限閾値と下限閾値は、閾値付近で速度が頻繁に切り替わるのを防止するため、図4下段の様にオーバーラップさせている。
例えば、PC17のデータの通信速度がWAN13では30Mbpsだったとすると、通信監視・制御部15は、有線LAN12に対し、100Mbpsとなるように速度を変化させる。通信速度がWAN13では2Mbpsだったとすると、通信監視・制御部15は、有線LAN12に対し、10Mbpsとなるようにする。これにより、LAN12側の最大通信速度が常に1000Mbpsに固定されている状態よりも消費電力を下げることができる(S38)。
【0025】
通信監視・制御部15が有線LAN12の最大通信速度を上げたり、下げたりするWAN13の通信速度の閾値は任意であり、ゲートウェイの構成に従って最適となる値を設定する必要がある。ネットワーク19側からPC17にデータが送られる場合も、上記と同様の方法を用いて通信速度を制御して消費電力を下げることができる。
この場合、通信監視・制御部15は以下の確認を行う。
【0026】
1)通信監視・制御部15は、IPパケットのヘッダ情報に含まれる送信先IPアドレスを元に無線LAN端末18側宛てデータなのかPC17宛てのデータなのか判断する。
2)通信監視・制御部15は、IPパケットのヘッダ情報に含まれるデータサイズを確認する。
3)通信監視・制御部15は、このIPパケットを受信した時間を確認する。
通信監視・制御部15は、この情報を元に、有線LAN12の最大通信速度を制御する。
通信監視・制御部15は、PC17がネットワーク19と通信していない場合には、もっとも最大転送速度の遅い10Mbpsに設定する。
【0027】
効果の説明
第1の効果として、ゲートウェイ装置は、WAN側にパケットの監視・制御部を設けることで、ネットワーク側で発生するデータ転送速度の状態を監視し、LAN側を適切な最大通信速度に制御し、消費電力を低下することができる。
第2の効果として、ゲートウェイ装置は、WAN側のデータのみを監視することで、複数存在するLAN側のポートに個別の監視部を設けることなく、LAN側の最大通信速度を制御することができる。
【0028】
実施の形態2
実施の形態1は、リアルタイムで有線LANや無線LANの通信速度を変化させるように構成した。しかし、実際の通信中は、最大通信速度を変化させることが望ましくない場合がある。たとえば、有線LANで最大通信速度を変化させる場合、端末機器と一度Link状態(物理的に接続した状態)を解除する場合がある。この処理は通信中には望ましくない。それは、端末機器とゲートウェイ装置は、再度Link状態とするための初期化を行い、処理にオーバーヘッドも発生するからである。
このような場合、通信監視・制御部15の処理を変更することにより、実施の形態1と異なる制御を行うことも可能である。
【0029】
本実施の形態のシステムの構成は図1と同様である。また通信監視・制御部15についても実施の形態1と同様に下記の確認を行い、記録部16に格納する。
1)通信監視・制御部15は、IPパケットのヘッダ情報に含まれる送信先IPアドレス(もしくは送信先IPアドレス)を元にどこの端末から送信されたデータなのか(どの端末宛に送信されたデータなのか)を判断する。
2)通信監視・制御部15は、IPパケットのヘッダ情報に含まれるデータサイズを確認する。
3)通信監視・制御部15は、IPパケットを受信(送信)した時間を確認する。
【0030】
このデータを例えば、通信監視・制御部15が数日間収集する。通信監視・制御部15は、収集したデータを解析することにより、端末ごとのデータを送受信するスケジュールデータを作成し、記憶部16に記憶する。そして、通信監視・制御部15は、構内ネットワーク装置の通信速度をスケジュールデータに従って制御する。例えば、通信監視・制御部15は、通信量が少ない時間帯は構内ネットワーク装置の最大通信速度を低下させる。そして、通信監視・制御部15は、通信量が多い時間帯は通信量に従った構内ネットワーク装置の通信速度を設定する。
このようにすると、PC17や無線LAN端末18が、特定の時間帯にネットワーク側への通信を行っているか否かがわかる。その状態が数日続いた場合、今後もその時間帯は通信を行わない可能性がある。これにより通信監視・制御部15は、構内ネットワーク装置の最大通信速度を低下させ、自動で消費電力を抑えることができる。
【0031】
この制御の例として、端末機器が接続した状態で、数日間は傾向をサンプリングするために、有線LAN12や無線LAN14は通信速度をゲートウェイが設定可能である最大速度にしておく等の方法がある。また、通信監視・制御部15は、さらに実際に送受信したデータ量を記憶部16に蓄積させ、解析することにより、スケジュールデータを所定の時期に自動更新させてもよい。
【0032】
その他の実施の形態
上記で説明した通信制御方法は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、MPU、DSP(Digital Signal Processor))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。具体的には、これらの送信信号処理又は受信信号処理に関するアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0033】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、次世代無線LAN規格IEEE802.11ac、IEEE802.11ai、WiGig(Wireless Gigabit Alliance)以上の通信規格に適用してもよい。
【0035】
さらに、上述した実施の形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0036】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の端末と構内通信網を介して通信する処理を実行する構内通信網インターフェースと、
公衆網に接続する処理を実行する公衆網接続可能な公衆網インターフェースと、
通信の監視制御を実行する通信監視制御を実行する通信監視制御部を備え、
前記通信監視制御部は、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視して、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析して、前記端末毎の送受信データ量を取得する監視手段と、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記構内通信網インターフェースの通信速度を調整する制御手段と、
を備えた通信中継装置。
(付記2)
前記監視手段は、前記全送受信データ中のパケットのヘッダフォーマット中のIPアドレスを用いて端末を個別に識別することにより、前記ヘッダを解析する、
付記1の通信中継装置。
(付記3)
前記監視手段は、
前記端末間の通信と、前記端末と前記公衆網間の通信とを監視し、前記端末間でデータ通信が発生し前記端末と前記公衆網間とは通信を行なっていないと判定した場合に、前記通信監視制御部に対し機能を停止させる、
付記1または2の通信中継装置。
(付記4)
前記制御手段は、前記端末が前記公衆網と通信していない場合に、前記構内通信網インターフェースの通信速度を最も遅い速度に設定する、
付記1〜3いずれかに記載の通信中継装置。
(付記5)
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置における通信制御方法であって、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視し、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて前記端末毎の送受信データ量を取得するステップと、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記端末との間の通信速度を調整するステップと、
を備えた通信制御方法。
(付記6)
前記ヘッダを解析するステップでは、前記全送受信データ中のパケットのヘッダフォーマット中のIPアドレスを用いて端末を個別に識別することにより、前記ヘッダを解析する、
付記5の通信制御方法。
(付記7)
前記端末間の通信と、前記端末と前記公衆網間の通信とを監視し、前記端末間でデータ通信が発生し前記端末と前記公衆網間とは通信を行なっていないと判定した場合に、監視処理を停止させる、
付記5または6の通信制御方法。
(付記8)
前記通信速度を調整するステップでは、前記端末が前記公衆網と通信していない場合に、前記端末との間の通信速度を最も遅い速度に設定する、
付記5〜7いずれかに記載の通信制御方法。
(付記9)
複数の端末と公衆網間の通信を中継する装置において実行されるプログラムであって、
前記端末が前記公衆網と通信する送信データ又は受信データを一元的に監視し、前記送信データ又は受信データ中のヘッダを解析するステップと、
解析結果に基づいて前記端末毎の送受信データ量を取得するステップと、
前記端末毎の送受信データ量に基づいて、前記端末との間の通信速度を調整するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記10)
ヘッダを解析するステップは、前記全送受信データ中のパケットのヘッダフォーマット中のIPアドレスを用いて端末を個別に識別することにより、前記ヘッダを解析する、
付記9のプログラム。
【符号の説明】
【0037】
1 通信システム
11 ゲートウェイ装置
12 有線LAN
13 WAN
14 無線LAN
15 通信監視・制御部
16 記録部
17 PC
18 無線LAN端末
19 ネットワーク
20 CPU
図1
図2
図3
図4