(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撥水材を塗工する際に用いられる液材は、舗装路面を構成するアスファルト材と骨材との間の結合を低下させる、カットバックの問題を発生させることが分かった。
このような課題に対し、本願発明者らは、各種の実験を通じて、塗布用の撥水材組成に含まれる液材の調整により、カットバックを抑制可能な舗装路面凍結抑制用の撥水材組成を知見するに至った。
【0007】
本発明は、前記知見に基づくものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、施工が容易で、かつ、施工後の舗装路面のカットバックを抑制する舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物、凍結抑制舗装体及び舗装路面の凍結抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち
、
<
1>
撥水性粒子と、該撥水性粒子を分散させるバインダー樹脂とを含む撥水成分と、前記撥水成分が添加される有機化合物の塗布液成分と、を含み、全量における前記塗布液成分の含有率が、20質量%〜45質量%である舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が
アスファルト材と骨材とを含み構成される舗装路面
の表面上に塗工されていることを特徴とする凍結抑制舗装体。
<
2> 舗装路面が、空隙率が0%以上8%未満の密粒舗装体で構成され、舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量が、50g/m
2〜300g/m
2である前記<
1>に記載の凍結抑制舗装体。
<
3> 舗装路面が、空隙率が8%以上30%以下の粗面舗装体で構成され、舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量が、25g/m
2〜200g/m
2である前記<
1>に記載の凍結抑制舗装体。
<
4> 舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が、舗装路面上の少なくとも一部において、前記舗装路面の幅方向を縦方向とする縦縞模様及び市松模様のいずれかの塗様で塗工される前記<
1>から<
3>のいずれかに記載の凍結抑制舗装体。
<
5> エポキシ樹脂及びウレタンプレポリマーのいずれかから選択される下塗材が塗工された舗装路面上に舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が塗工される前記<
1>から<
4>のいずれかに記載の凍結抑制舗装体。
<
6> 舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量に対する下塗材の塗布量が、質量比で0.9倍〜1.1倍である前記<
5>に記載の凍結抑制舗装体。
<
7>
撥水性粒子と、該撥水性粒子を分散させるバインダー樹脂とを含む撥水成分と、前記撥水成分が添加される有機化合物の塗布液成分と、を含み、全量における前記塗布液成分の含有率が、20質量%〜45質量%である舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を
アスファルト材と骨材とを含み構成される舗装路面
の表面上に塗工することを特徴とする舗装路面の凍結抑制方法。
<
8> 空隙率が0%以上8%未満の密粒舗装体の舗装路面上に、舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を50g/m
2〜300g/m
2の塗布量で塗工する前記<
7>に記載の舗装路面の凍結抑制方法。
<
9> 空隙率が8%以上30%以下の粗面舗装体の舗装路面上に、舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を25g/m
2〜200g/m
2の塗布量で塗工する前記<
7>に記載の舗装路面の凍結抑制方法。
<
10> 舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を、舗装路面上の少なくとも一部において、前記舗装路面の幅方向を縦方向とする縦縞模様及び市松模様のいずれかの塗様で塗工する前記<
7>から<
9>のいずれかに記載の舗装路面の凍結抑制方法。
<
11> 舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗工前に、エポキシ樹脂及びウレタンプレポリマーのいずれかから選択される下塗材を舗装路面上に塗工する前記<
7>から<
10>のいずれかに記載の舗装路面の凍結抑制方法。
<
12> 舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量に対する下塗材の塗布量が、質量比で0.9倍〜1.1倍である前記<
11>に記載の舗装路面の凍結抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、施工が容易で、かつ、施工後の舗装路面のカットバックを抑制する舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物、凍結抑制舗装体及び舗装路面の凍結抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物)
本発明の舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物は、撥水成分と、塗布液成分とを含み、必要に応じて、その他の成分を含む。
【0012】
<撥水成分>
前記撥水成分は、撥水性粒子と、該撥水性粒子を分散させるバインダー樹脂とを含む。なお、本明細書において、撥水とは、平坦基板上に前記舗装路面の凍結抑制撥水材組成物を塗布、乾燥して得られる塗膜上に50mm
3の体積の水滴を滴下したとき、前記塗膜に対する前記水滴の接触角が90°以上であることを示す。
【0013】
前記撥水性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のフッ素樹脂の粒子、無機化合物の粒子等が挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、撥水性を有する限り、特に制限はなく、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂、フッ化ビニル樹脂等を好適に用いることができる。
前記無機化合物としては、ジメチレンシリコーンオイル等で表面が疎水化処理されたSiO
2、Al
2O
3等を好適に用いることができる。
なお、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記撥水性粒子の平均粒子径としては、特に制限はないが、均一な塗膜を得る観点から、0.05μm〜20μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。
【0014】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0015】
前記撥水成分における前記撥水性粒子と前記バインダー樹脂の構成比としては、特に制限はないが、均一な塗膜を得る観点から、前記撥水成分100質量部中、前記バインダー樹脂が20%質量部〜55%質量部であり、前記撥水性粒子が残余の80%質量部〜45%質量部であることが好ましい。
【0016】
<塗布液成分>
前記塗布液成分は、前記撥水成分が添加される有機化合物であり、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物全量における前記塗布液成分の含有率が、20質量%〜45質量%であることを特徴とする。前記塗布液成分の含有率を45質量%以下に抑えることで、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が塗工される舗装路面のカットバックを抑制することができる。また、前記塗布液成分の含有率を20質量%以上とすることで、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の前記舗装路面に対する施工性を確保することができる。
【0017】
前記塗布液成分は、一般に有機溶剤として用いられている成分であり、前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤として公知のアルコール、芳香族、脂肪族の有機化合物を挙げることができ、より具体的には、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、イソオクタン、エチレンアルコール等の常温(25℃)で液体の有機化合物が挙げられる。
前記バインダー樹脂として、前記フッ素樹脂を用いる場合、前記有機化合物としては、酢酸ブチル等が好ましく、前記シリコーン樹脂を用いる場合、ヘプタン、トルエン、イソオクタン等が好ましい。
なお、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結抑制目的で舗装路面上に散布される、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の化学系凍結抑制材やゴム等の物理系凍結抑制材、防汚目的で用いられる光触媒(酸化チタン)等が挙げられる。
【0019】
(凍結抑制舗装体)
本発明の凍結抑制舗装体は、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が舗装路面上に塗工されていることを特徴とする。これにより、塗工後のカットバックが抑制され、また、塗工するだけで施工ができ、施工が容易とされる。また、前記凍結抑制舗装体は、既存の舗装体に対して前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を塗工することで構築することができ、低コストに施工することができる。特に、凍結抑制が期待される急カーブ、坂道等の場所を選択して前記凍結抑制舗装体を構築することで、前記舗装路面の冬期路面管理に必要なコストを低減させることができる。また、施工が容易であることから、凍結問題が生じた前記舗装路面に対し、短工期で対応することができる。
【0020】
前記凍結抑制舗装体を構成する舗装体は、アスファルト材と骨材により構成される一般的な舗装体の全てが該当し、前述の通り、全国の既存舗装路面も適用対象とされる。
前記塗工の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローラ刷毛等の一般的な塗布手段で、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を前記舗装路面上に塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。
【0021】
前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の前記舗装路面に対する塗布量について説明する。
先ず、密粒舗装体の舗装路面上に塗工する場合の前記塗布量としては、特に制限はないが、50g/m
2〜300g/m
2が好ましい。前記塗布量が50g/m
2未満であると、塗膜が不均一となり、撥水性にムラが生ずることがあり、前記塗布量が300g/m
2を超えても、これ以上の撥水性の向上が期待できず、コスト高になることがある。
なお、本明細書において、密粒舗装体とは、表面から深さ5cmの表層における空隙率が0%以上8%未満の舗装体を示す。
【0022】
次に、粗面舗装体の舗装路面上に塗工する場合の前記塗布量としては、特に制限はないが、25g/m
2〜200g/m
2が好ましい。前記塗布量が25g/m
2未満であると、塗膜が不均一となり、撥水性にムラが生ずることがあり、前記塗布量が200g/m
2を超えると、粗面構造体の隙間に前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物がダレていき、これ以上の撥水性の向上が期待できず、コスト高になることがある。
なお、本明細書において、粗面舗装体とは、表面から深さ5cmの表層における空隙率が8%以上30%以下の舗装体を示す。
【0023】
前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の前記舗装路面に対する塗工領域としては、凍結抑制を行うべき舗装区画の全体又は一部とすることができる。
前記舗装路面の一部に塗工する場合には、特に制限はないが、前記舗装路面の幅方向を縦とする縦縞模様及び市松模様のいずれかの塗様で塗工することが好ましい。
このような塗様で塗工することで、凍結抑制に基づく走行車両の安全な通行に必要なすべり抵抗を前記舗装区画の全体として確保した上で、施工に要するコストを低減させることができる。
【0024】
前記凍結抑制舗装体の実施態様のひとつとして、前記舗装路面に対し、先に下塗材を塗工し、この下塗材が塗工された前記舗装路面上に前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物が塗工された凍結抑制舗装体が挙げられる。
前記下塗材は、エポキシ樹脂及びウレタンプレポリマーのいずれかから選択され、これらを硬化させることで、前記塗布液成分に対するカットバック抑制効果を高めることができる。
【0025】
前記エポキシ樹脂及び前記ウレタンプレポリマーとしては、塗工後の硬化により、前記舗装体のアスファルト構造を強化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液状の組成として市販されているプレポリマーを用いることができる。
【0026】
前記下塗材の前記舗装路面の塗布量としては、特に制限はないが、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量と同程度が好ましく、具体的には、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物に対する前記下塗材の塗布量が、0.9倍〜1.1倍であることが好ましい。このような塗布量であれば、塗膜にムラがなく塗工でき、カットバック抑制効果を高めることができる。
【0027】
(舗装路面の凍結抑制方法)
本発明の舗装路面の凍結抑制方法は、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を前記舗装路面上に塗工することを特徴とする。これにより、塗工後のカットバックが抑制され、また、塗工するだけで施工ができ、施工が容易とされる。また、前記舗装路面の凍結抑制方法は、既存の舗装体に対して前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を塗工することで実施することができ、低コストに施工することができる。特に、凍結抑制が期待される急カーブ、坂道等の場所を選択して前記舗装路面の凍結抑制舗抑制方法を実施することで、前記舗装路面の冬期路面管理に必要なコストを低減させることができる。また、施工が容易であることから、凍結問題が生じた前記舗装路面に対し、短工期で対応することができる。
【0028】
なお、前記舗装路面に対し、前記舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を塗工する方法としては、前記凍結抑制舗装体について説明した事項を適用することができ、重複した説明を省略する。
また、前記凍結抑制舗装体について説明したように、前記舗装路面に対し、先に前記下塗材を塗工する方法を実施態様のひとつに挙げることができ、その具体的な施工方法についても、前記凍結抑制舗装体について説明した事項を適用することができる。
【実施例】
【0029】
(実施例1〜3及び比較例1,2/舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の調製)
撥水成分として、シリコーン樹脂の含有率が50質量%で、四フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒子径1μm)の含有率が50質量%である撥水材(エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(株)社製)を用いた。
この撥水成分55質量部を、塗布液成分としてのヘプタン、トルエン、イソオクタンを主成分とする混合溶液45質量部に添加後、撹拌して実施例1に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を調製した。
【0030】
また、撥水成分と塗布液成分の配合量を変更し、後掲の表1に示す塗布液成分の含有量としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2,3及び比較例1,2に係る各舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を調製した。
【0031】
実施例1〜3及び比較例1,2に係る各舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を用いて、舗装路面のカットバック抑制試験を行った。
即ち、実施例1〜3及び比較例1,2に係る各舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を、表面から深さ5cmまでの表層における空隙率が4%の密粒舗装体(アスファルト舗装体)の供試体表面にローラ刷毛を用いて、200g/m
2の塗布量で塗布し、ローラ刷毛への溶解したアスファルトの付着具合(変色)を目視で判断して、カットバック抑制効果を評価した。なお、この評価は、視力が健常な施工者5名の総合判断により、客観的に行った。
なお、カットバック抑制評価の評価基準は、次の通りとした。また、その評価結果を後掲の表1に示す。
○:ローラ刷毛の変色がほぼ見られない。
×:ローラ刷毛に明らかな変色が見られる。
【0032】
また、前記カットバック抑制試験における実施例1〜3及び比較例1,2に係る各舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布し易さを施工性として評価した。
なお、この施工性評価の評価基準は、次の通りとした。また、その評価結果を後掲の表1に示す。
○:塗料のダマなどが出来ず、均一に塗布できる。
×:塗料のダマなどが発生し、均一な塗布ができない。
【0033】
【表1】
【0034】
この表1に示すように、比較例1に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物では、塗布液成分が多く含まれていることにより、アスファルト舗装におけるアスファルト材と骨材との結合を低下させ、カットバック抑制が不十分なものなっている。
また、比較例2に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物では、塗布液成分が少なすぎ、施工性が不十分なものとなっている。
これに対し、実施例1〜3に係る各舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物では、カットバック抑制及び施工性のいずれにおいても良好な結果が得られた。
【0035】
(実施例4〜11/密粒舗装体に対する施工)
実施例2に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を、表面から深さ5cmまでの表層における空隙率が4%の密粒舗装体(アスファルト舗装体)の供試体表面にローラ刷毛を用いて、25g/m
2の塗布量で塗布し、乾燥させ、実施例4に係る凍結抑制舗装体を構築した。
【0036】
また、実施例2に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量を後掲の表2に示す塗布量に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜11に係る各凍結抑制舗装体を構築した。
【0037】
これら実施例4〜11に係る各凍結抑制舗装体に対し、塗工時の表面性状を目視し、塗工性の評価を行った。
なお、この塗工性評価の評価基準は、次の通りとした。また、その評価結果を後掲の表2に示す。
○:塗料のダマなどが出来ず、均一に塗布できる。
△:塗料のダマなどが発生し、均一な塗布ができないところがある。
【0038】
【表2】
【0039】
この表2に示すように、塗布量を50g/m
2〜300g/m
2とする実施例5〜10に係る各凍結抑制舗装体において、塗工性に関する良好な結果が得られた。また、同時に、塗工性が良好である実施例5〜10に係る各凍結抑制舗装体においては、撥水成分の撥水効果が舗装路面上に一様に発揮され、充分な凍結抑制効果が得られる。
【0040】
(実施例12〜18/粗面舗装体に対する施工)
実施例2に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を、表面から深さ5cmまでの表層における空隙率が23%の粗面舗装体(アスファルト舗装体)の供試体表面にローラ刷毛を用いて、10g/m
2の塗布量で塗布し、乾燥させ、実施例12に係る凍結抑制舗装体を構築した。
【0041】
また、実施例2に係る舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物の塗布量を後掲の表3に示す塗布量に変更したこと以外は、実施例12と同様にして、実施例13〜18に係る各凍結抑制舗装体を構築した。
以上の実施例12〜18に係る各凍結抑制舗装体に対し、密粒舗装体に対する塗工性の評価と同じ評価基準で塗工性の評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
この表3に示すように、塗布量を25g/m
2〜200g/m
2とする実施例13〜17に係る各凍結抑制舗装体において、塗工性に関する良好な結果が得られた。また、同時に、塗工性が良好である実施例13〜17に係る各凍結抑制舗装体においては、撥水成分の撥水効果が舗装路面上に一様に発揮され、充分な凍結抑制効果が得られる。
【0044】
次に、実際の凍結抑制効果を確認するため、実施例8に係る凍結抑制舗装体(密粒舗装体)と、実施例15(粗面舗装体)に係る凍結抑制舗装体に対し、氷着引張試験を行った。
即ち、「舗装性能評価法別冊(日本道路協会)」に準拠し、実施例8,15に係る各凍結抑制舗装体の塗工面に、該塗工面との接触面側に不織布が貼付けられた鋼板からなる引張治具を設置し、塗工面と引張治具が氷着した状態で引張治具を引張試験機で引張り、剥離するまでに要した引張強度(MPa)を測定した。
なお、塗工面と引張治具の氷着は、各凍結抑制舗装体を約−5℃程度の温度に冷却させた状態で塗工面−引張治具間に水を散水後、これらを接触させた状態で10時間程度養生することで行った。
【0045】
氷着引張試験の試験結果を
図1に示す。なお、
図1中の「かき氷」とは、粗面舗装体の空隙を予めかき氷で充填してから試験を行ったことを示し、「通常」とは、かき氷の充填を行わない条件で試験を行ったことを示す。
また、
図1では、比較用に舗装路面の凍結抑制用撥水材組成物を塗布しない場合の試験結果を「塗布なし」として示している。
【0046】
この
図1に示すように、実施例8に係る凍結抑制舗装体(密粒舗装体)と、実施例15に係る凍結抑制舗装体(粗面舗装体)とでは、それぞれに対して「塗布なし」とした場合よりも、氷着引張強度(MPa)を小さく抑えることができており、剥離した氷層が車両通過時に破壊されることで、舗装路面の凍結抑制効果を見込むことができる。