(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、前記冷却水誘導手段として、3つの例が記載されている。第1の例の冷却水誘導手段は、シリンダボア壁を冷却水の流来方向に対向する略円錐形状に突出させた冷却水誘導部からなる。しかし、このような突起状の冷却水誘導部をシリンダボア壁に設けることは極めて難しいと考えられる上に、冷却水が直接略円錐形状のシリンダボア壁に接するので、この部分のシリンダボア壁に対して過冷却防止機能が充分に発揮されるかどうか疑問である。また、特許文献1における第2及び第3の例の冷却水誘導手段は、冷却水の流来方向に対向し、且つシリンダボア壁から離間した状態のリブ形状、或いは、有底円筒部で側部に穴部を設けた形状の冷却水誘導部からなる。これらの例では、リブ形状部、或いは円筒部の底部が冷却水の流来方向に対向して邪魔板のように機能するが、これらの背面に冷却水が回り込むことは避けられず、シリンダボア壁の過冷却防止機能が充分に発揮されるとは言い難いと考えられる。さらに、特許文献3に記載されたスペーサは、冷却水の回り込み防止用の上下に延びるスペーサ延長部を備えているが、スペーサはウォータジャケット内で上下に浮動し易く、そのため、冷却水の回り込み防止機能が安定的に発揮されるかどうか疑問である。このスペーサ延長部に前記庇を設けた場合は、冷却水の回り込み防止機能の安定化はある程度改善されると考えられるが、導入部から導入された冷却水は、拡散と共にこの庇を回り込んで、シリンダボア壁に至る冷却水はなお少なからずあると考えられる。そのため、冷却水の導入部近傍におけるシリンダボア壁の過冷却防止をより効果的に行うには、なお改良が望まれるところである。
【0006】
本発明は、前記に鑑みなされたもので、ウォータジャケットにおける冷却水導入口に対向する位置のシリンダボア壁の過冷却防止が極めて有効になされる内燃機関の冷却構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内燃機関の冷却構造は、内燃機関のシリンダボア回りに設けられるウォータジャケットにおける内燃機関の冷却構造であって、前記ウォータジャケットには、当該ウォータジャケットの冷却水導入口に対向する位置に冷却水の流通を規制する規制板が挿入され、前記冷却水導入口には、前記規制板に臨むよう延設された冷却水の誘導部が設けられ、前記規制板と前記誘導部とには、前記規制板における前記冷却水導入口とは反対側部への冷却水の回り込みを抑制する回り込み抑制手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る内燃機関の冷却構造によれば、ウォータジャケットの冷却水導入口に対向する位置に規制板が挿入されるから、この規制板によって冷却水の流通が規制される。したがって、ウォータジャケット内における当該冷却水導入口に対向する位置のシリンダボア壁に冷却水導入口から導入される冷却水が直接当たらず、これによって当該シリンダボア壁の過冷却が抑制される。また、前記規制板と前記誘導部とには、前記規制板における前記冷却水導入口とは反対側部への冷却水の回り込みを抑制する回り込み抑制手段が設けられているから、回り込む冷却水による冷却が抑制され、規制板による冷却水の流通の規制作用と相俟って、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制が効果的になされる。
【0009】
本発明に係る内燃機関の冷却構造において、前記回り込み抑制手段が、前記規制板と、前記誘導部とにより構成されるラビリンス構造部からなるものとしても良い。これによれば、ラビリンス構造部によって、冷却水導入口から誘導部を経て誘導される冷却水の規制板の背面側への回り込みが抑制され、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制が効果的になされる。
そして、前記誘導部が、前記規制板における前記冷却水導入口側の面に沿って近接するよう屈折状態で延出された延出片を含み、当該延出片と前記規制板との近接部によって前記ラビリンス構造部が構成されるようにしても良い。これによれば、冷却水導入口から誘導部を経て延出片に至った冷却水は、直接規制板に当たらず、しかも延出片の背後から規制板の背面側へ回り込もうとする冷却水は、延出片と規制板との近接部で構成されるラビリンス構造部で阻まれ、前記シリンダボア壁へ至る冷却水の量がより少なくなる。その結果、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより効果的になされる。
【0010】
また、前記規制板が、前記誘導部における冷却水の流れ中心より遠い側の面に近接する横向片を含み、当該横向片と前記誘導部との近接部によって前記ラビリンス構造部が構成されるようにしても良い。これによれば、誘導部に沿って流通する冷却水が、冷却水の流れ中心より遠い側の面に回り込もうとしても、横向片と誘導部との近接部によって構成される前記ラビリンス構造部で阻まれ、前記シリンダボア壁へ向かう冷却水の量がより少なくなる。その結果、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより効果的になされる。
この場合、前記誘導部が前記延出片を含むように構成されている場合は、この延出片によるラビリンス構造部と横向片による前記ラビリンス構造部とが複合され、前記シリンダボア壁側への冷却水の回り込み抑制がより効果的になされ、当該シリンダボア壁の過冷却の抑制がより的確になされる。
さらに、前記誘導部と前記規制板とに相互に噛み合う噛み合い部が構成され、当該噛み合い部によって、前記ラビリンス構造部が構成されるものとしても良い。これによれば、ラビリンス構造部が前記誘導部と前記規制板との相互の噛み合い部によって構成されるから、ラビリンス構造部が複雑な構造となり、ラビリンス構造部による、前記シリンダボア壁側への冷却水の回り込み抑制機能がより効果的に発揮される。したがって、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより的確になされる。
【0011】
本発明に係る内燃機関の冷却構造において、前記回り込み抑制手段が、前記規制板と、前記誘導部との間に密着的に介在する弾性シール部材からなるものとしても良い。これによれば、規制板と誘導部との間に弾性シール部材が密着的に介在するから、冷却水導入口から誘導部を経て流通する冷却水は、弾性シール部材によって、規制板の背面側への回り込みが阻止される。これによって、当該シリンダボア壁の過冷却の抑制が効果的になされる。
そして、前記誘導部が前記規制板に突合されるよう位置付けられ、当該突合せ部に前記弾性シール部材が介在されるようにしても良い。このように、突合せ部に前記弾性シール部材が介在されるので、突合せ部が密封され、前記シリンダボア壁側への冷却水の回り込みが抑制され、当該シリンダボア壁の過冷却の抑制が的確になされる。
【0012】
また、前記誘導部が、前記規制板における前記冷却水導入口側の面に沿って近接するよう屈折状態で延出された延出片を含み、当該延出片と前記規制板との近接部に前記弾性シール部材が介在されるようにしても良い。これによれば、延出片に至った冷却水は、直接規制板に当たらず、しかも、延出片の背後から規制板の背面側へ回り込もうとする冷却水は、前記近接部によるラビリンス的効果で、近接部に浸入する冷却水の量がより少なくなる。加えて、延出片と規制板との近接部に前記弾性シール部材が介在されるので、弾性シール部材によって、近接部に浸入した冷却水の規制板の背面への回り込みが阻まれ、その結果、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより効果的になされる。
【0013】
さらに、前記規制板が、前記誘導部における冷却水の流れ中心より遠い側の面に近接する横向片を含み、当該横向片と前記誘導部との近接部に前記弾性シール部材が介在されるようにしても良い。これによれば、誘導部に沿って流通する冷却水が、冷却水の流れ中心より遠い側の面に回り込もうとしても、横向片と誘導部との近接部によるラビリンス的効果で、近接部に浸入する冷却水の量がより少なくなる。加えて、横向片と誘導部との近接部に前記弾性シール部材が介在されるので、弾性シール部材によって、近接部に浸入した冷却水の規制板の背面側への回り込みが阻まれ、その結果、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより効果的になされる。
【0014】
また、前記誘導部と前記規制板とに相互に噛み合う噛み合い部が構成され、当該噛み合い部に前記弾性シール部材が介在するようにしても良い。これによれば、誘導部と前記規制板とに構成される噛み合い部によるラビリンス的効果で、噛み合い部に浸入する冷却水の量がより少なくなる。加えて、噛み合い部に前記弾性シール部材が介在されるので、弾性シール部材によって、噛み合い部に浸入した冷却水の規制板の背面側への回り込みが阻まれ、その結果、前記シリンダボア壁の過冷却の抑制がより効果的になされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の内燃機関の冷却構造によれば、ウォータジャケットにおける冷却水導入口に対向する位置のシリンダボア壁の過冷却防止が極めて有効になされる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の冷却構造が適用される自動車用エンジンのシリンダブロックの一例を概略的に示している。また、
図2は、本発明に係る内燃機関の冷却構造の第一の実施形態であって、
図1におけるX−X線矢視部の拡大断面図である。
図1及び
図2に示すシリンダブロック1は、3気筒の自動車用エンジン(内燃機関)100を構成するものであり、3個のシリンダボア2…が直列的に配列されている。1a…はシリンダヘッド(不図示)をシリンダブロック1に合体締結させるためのボルト(不図示)用挿通孔である。シリンダボア2の内面にはシリンダライナー3が嵌合一体とされ、このシリンダライナー3内に軸方向(矢印a方向)に沿って往復摺動可能にピストン4が収納されている。ピストン4の周体にはシリンダライナー3の内面に接する複数のピストンリング41…が嵌装され、エンジンオイル(不図示)を介してピストン4がピストンリング41と共にシリンダライナー3の内面を円滑に摺動するようになされている。3個のシリンダボア2…の回りには、オープンデッキタイプのウォータジャケット5が形成され、シリンダブロック1には、このウォータジャケット5に通じる冷却水(不凍液も含む)導入口6と冷却水排出口7とが設けられている。冷却水排出口7は不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口6に配管接続される。これによって、ウォータジャケット5とラジエータとの間で冷却水が循環するように構成される。冷却水導入口6には、前記循環用の配管8を接続するためのソケット9がフランジ部9aを介し、不図示のボルトによって装着される。冷却水排出口7にも同様のソケットが装着されるが、図示を省略する。
なお、シリンダヘッドにもウォータジャケットが設けられる場合は、シリンダブロック1のウォータジャケット5と、シリンダヘッドのウォータジャケットとが連通するよう構成される。この場合は、シリンダブロック1には前記冷却水排出口7がなくても良く、シリンダヘッドに冷却水排出口が設けられ、これにラジエータに通じる配管が接続される。また、以下において、上及び下なる用語は、
図1の紙面手前側、即ち、ウォータジャケット5の開口部側を上とし、
図1の紙面奥側、即ち、ウォータジャケット5の開口部とは反対側(底部側)を下として用いている。
図2おいては、矢印aに沿った紙面上側を上、矢印aに沿った紙面下側を下とする。
【0018】
ウォータジャケット5の冷却水導入口6に対向する位置に冷却水の流通を規制する規制板10が挿入される。この規制板10は、例えば樹脂の成型体からなり、図例では冷却水導入口6に対向する部分を含む大きさであって当該位置にのみ挿入される板状体であるが、ウォータジャケット5の全体に挿入される環状のウォータジャケットスペーサの一部をなすものであっても良い。冷却水導入口6には、規制板10に臨むよう延設された誘導部11が設けられ、図例では、当該誘導部11はソケット9に一体に形成されている。誘導部11は、その先端部に、規制板10における冷却水導入口6側の面10aに沿って近接するよう屈折状態で上向き延出された延出片12を含み、当該延出片12と規制板10との近接部13によって前記ラビリンス構造部r1が構成される。このラビリンス構造部r1が、冷却水のウォータジャケット5内におけるシリンダボア側の内壁(以下、単にシリンダボア壁と言う)5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mr(第一の形態、以下、同様)を構成する。誘導部11は、
図4(a)にも示すとおり、ソケット9の開口部の下半部から冷却水導入口6の軸心(冷却水の流れ中心)Lを略曲率中心として延出された中心角が略180°の半円筒形状をなし、この誘導部11の先端にソケット9の軸心(同上)Lに交差するよう延出片12が延出されている。この延出片12は誘導部11に含まれ、当該誘導部11の一構成部をなす。
なお、規制板10は、シリンダボア壁5aの外形状に沿うよう湾曲しており、これに伴い延出片12も同様に湾曲している。また、誘導部11はソケット9に一体とされているが、別体として設けるようにしても良い。
【0019】
前記のような回り込み抑制手段Mrを備えたシリンダブロック1において、冷却水の循環用配管8からソケット9及び冷却水導入口6を経てウォータジャケット5に導入された冷却水は、矢印bに示すように、誘導部11によって流れ中心Lに沿って誘導される。さらに、冷却水は、延出片12によって上向き(シリンダヘッド側)に誘導される。そのため、延出片12及びその背後にある規制板10が邪魔板的に作用し、循環用配管8から導入される冷却水が直接シリンダボア壁5aに接触せず、シリンダボア壁5aの過冷却が抑制される。このとき、延出片12に沿ってウォータジャケット5内に流通する冷却水は、一部が延出片12と規制板10との近接部13に浸入しようとするが、近接部13はラビリンス構造部r1を構成するから、近接部13への流入が抑制され、さらに、規制板10の背面側(シリンダボア壁5a側)への冷却水の回り込みが抑制される。これによって、冷却水導入口6に対向する位置のシリンダボア壁5aの過冷却がより効果的に抑制される。このように流通が規制された冷却水はウォータジャケット5内に拡散して流通し、排出口7から排出されてラジエータに向け給送される。冷却水がウォータジャケット5内を流通する間、冷却が必要なシリンダブロック1の上部(シリンダヘッドに近い側)のシリンダボア壁5aが適度に冷却され、下部のシリンダボア壁5aの過冷却が抑制される。従って、シリンダライナー3の変形等を来さず、ピストン4の円滑な上下動がなされる。図例のように、誘導部11がソケット9と一体に構成されている場合、エンジン100の組立工程において、部品点数及び組立工数が増えることがない。
【0020】
図3は、前記第一の実施形態の第1の変形例を示す。以下において、
図2に示す例と共通する部分には同一の符合を付し、一部についてはその説明を省略する。
図3に示す例では、前記例に加えて、規制板10の下部より、誘導部11の流れ中心(軸心)Lより遠い側の面(誘導部11の外側面)11aに近接する横向片14が延出され、当該横向片14と誘導部11との近接部15によってラビリンス構造部r2が構成されている。このラビリンス構造部r2と前記ラビリンス構造部r1とが合わさって、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。横向片14は、
図4(b)にも示すとおり、誘導部11と略同心で中心角が略180°の半円筒形状をなし、誘導部11と横向片14とが近接部15を介して整合した重なり状態とされている。誘導部11の先端には、前記例と同様にソケット9の軸心(冷却水の流れ中心)Lに交差するように延出片12が延出されている。そして、この例における近接部15によるラビリンス構造部r2は、前記例における近接部13によるラビリンス構造部r1と屈折状態で連続して一連のラビリンス構造部を構成することになり、両ラビリンス構造部r1,r2の複合的作用によって、規制板10の背面側(シリンダボア壁5a側)への冷却水の回り込みがより効果的に抑制される。特に、ラビリンス構造部r1を構成する近接部13に冷却水が流入したとしても、ラビリンス構造部r2を構成する近接部15が前記近接部13に屈折状態で連続するから、近接部15を経て、規制板10の背面側への冷却水の回り込みがより効果的に抑制される。また、横向片14が誘導部11の下側に位置することから、規制板10の浮動を抑え、規制板10をウォータジャケット5内における深さ方向の所定の位置に、安定的に保持させることができる。
なお、図例では、回り込み抑制手段Mrが、ラビリンス構造部r1,r2からなるが、延出片12がなく、ラビリンス構造部r2のみによって構成されるものであっても良い。
【0021】
図4(c)〜(h)は、
図4(b)に示す例の変形例を示している。
図4(c)に示す例は、
図4(b)の例と同様に半円筒形状の横向片14の中心角が略180°であるが、誘導部11は中心角は180°より小さな半円筒形状とされている。誘導部11と横向片14とは、
図4の紙面を正面視して左右対称となるような重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部16によってラビリンス構造部r3が構成され、このラビリンス構造部r3が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には円形の延出片12が前記と同様に形成されている。
図4(d)に示す例は、
図4(b)の例と同様に半円筒形状の誘導部11の中心角が略180°であるが、横向片14の中心角は180°より小さな半円筒形状とされている。誘導部11と横向片14とは、
図4(b)(c)の例と同様に、
図4の紙面を正面視して左右対称となるような重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部17によってラビリンス構造部r4が構成され、このラビリンス構造部r4が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には半円形の延出片12が前記と同様に形成されている。
【0022】
図4(e)に示す例は、誘導部11と横向片14とは、共に中心角が180°より小さな半円筒形状をなし、互いにずれあった重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部18によってラビリンス構造部r5が構成され、このラビリンス構造部r5が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には円形の延出片12が前記と同様に形成されている。
図4(f)に示す例は、誘導部11と横向片14とは、共に中心角が180°より大きな半円筒形状をなし、互いに整合した重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部19によってラビリンス構造部r6が構成され、このラビリンス構造部r6が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には円形の延出片12が前記と同様に形成されている。
図4(g)に示す例は、誘導部11と横向片14とは、共に周方向2箇所に切欠を有する円筒形状をなし、互いに整合した重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部20によってラビリンス構造部r7が構成され、このラビリンス構造部r7が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には円形の延出片12が前記と同様に形成されている。
図4(f)(g)に示す例では、導入された冷却水のウォータジャケット5内への流通拡散規制が前記各例より強く作用する。
【0023】
図4(h)に示す例は、誘導部11と横向片14とは、共に半角筒形状をなし、互いに整合した重なり状態とされている。誘導部11と横向片14との近接部21によってラビリンス構造部r8が構成され、このラビリンス構造部r8が、冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。誘導部11の先端には方形の延出片12が前記と同様に形成されている。
これら、
図4(c)〜(h)に示す例においても、
図4(b)に示す例と同様の作用・効果を奏する。誘導部11、延出片及び横向片14の形状や相互の位置関係等は、図例に限定されるものではない。
【0024】
図5〜
図9は、前記第一の実施形態の第2〜6の変形例を示している。これらの例は、ラビリンス構造部が誘導部11と規制板10とに形成された相互に噛み合う噛み合い部によって構成される点で共通する。
図5に示す例では、規制板10の下部に、冷却水導入口6側に向く同心円弧状の2個の横向片14a,14bが間隔を開けて形成されている。そして、誘導部11の先側部が、規制板10の一構成部としての横向片14a,14bの間に、両者に近接するよう挿入され、これによって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部22が構成されている。この噛み合い部22によってラビリンス構造部r9が構成され、このラビリンス構造部r9が、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。このような噛み合い部22によるラビリンス構造部r9によって、シリンダボア壁5a側への冷却水の回り込みを効果的に抑制することができる。誘導部11の途中には流れ中心Lに向く内向鍔状部11bが当該誘導部11の一構成部として形成され、この内向鍔状部11bに前記横向片14aの先端が近接するよう設けられ、これによって、ラビリンス構造部r9がジグザグ形状をなし、冷却水の回り込み抑制機能がより効果的に発揮される。また、噛み合い部22によって、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、より安定的に保持される。
【0025】
図6に示す例では、規制板10の下部に、前記流れ中心Lを略曲率中心とする半円形の円弧溝10bが表裏に連通するよう形成されている。また、誘導部11の先端部には、
図2及び
図3に示す例と同様に、規制板10における冷却水導入口6側の面10aに沿って近接するよう屈折状態で延出された延出片12を備えている。さらに、この延出片12の規制板10に対向する面には、前記円弧溝10bに沿った形状で且つ当該円弧溝10bに遊挿し得る円弧形状の突片12aが形成されている。規制板10と延出片12との近接部及び円弧溝10bに対する突片12aの遊挿部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部23が構成されている。この噛み合い部23によってラビリンス構造部r10が構成され、このラビリンス構造部r10が、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。このような噛み合い部23によるラビリンス構造部r10によって、シリンダボア壁5a側への冷却水の回り込みを効果的に抑制することができる。また、噛み合い部23によって、
図5の例と同様に、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、より安定的に保持される。
【0026】
図7に示す例では、規制板10の下部に、冷却水導入口6に向く前記流れ中心Lを略曲率中心とする半円形状の横向片14cが規制板10の一構成部として形成されている。また、誘導部11は、その先側部に、開口部が規制板10側に向く凹溝構造部24を一構成部として備えている。この凹溝構造部24は、前記横向片14cに沿った形状で且つ当該横向片14cを溝内に遊挿し得る円弧形状に形成されている。凹溝構造部24に対する横向片14cの遊挿部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部25が構成されている。この噛み合い部25によってラビリンス構造部r11が構成され、このラビリンス構造部r11が、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。このような噛み合い部25によるラビリンス構造部r11によって、シリンダボア壁5a側への冷却水の回り込みを効果的に抑制することができる。また、噛み合い部25によって、前記例と同様に、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、より安定的に保持される。
【0027】
図8に示す例では、
図7に示す例と同様に、規制板10の下部に、冷却水導入口6に向く前記流れ中心Lを略曲率中心とする円弧形状の横向片14cが形成されている。また、誘導部11は、その先端部に、規制板10における冷却水導入口6側の面10aに沿って近接するよう屈折状態で延出された延出片12を含み、この延出片12に、前記横向片14cを遊挿し得る円弧溝12bが表裏に連通するよう形成されている。円弧溝12bに対する横向片14cの遊挿部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部26が構成されている。この噛み合い部26によってラビリンス構造部r12が構成され、このラビリンス構造部r12が、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。このような噛み合い部26によるラビリンス構造部r12によって、シリンダボア壁5a側への冷却水の回り込みを効果的に抑制することができる。また、この例においても、噛み合い部26によって、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、より安定的に保持される。
【0028】
図9に示す例では、
図7及び
図8に示す例と同様に、規制板10の下部に、冷却水導入口6に向く前記流れ中心Lを略曲率中心とする円弧形状の横向片14cが形成されている。また、規制板10における横向片14cの形成部位の下部近傍に表裏に連通する円弧形状の透孔10cが、誘導部11の先端部を嵌合し得るよう形成されている。この透孔10cに対する誘導部11の先端部の嵌合状態では、横向片14cと誘導部11とが近接状態に維持される。さらに、誘導部11の途中には、
図5に示す例と同様に、流れ中心Lに向く内向鍔状部11bが形成され、この内向鍔状部11bに前記横向片14cの先端が近接するように構成されている。横向片14cと誘導部11との近接部、横向片14cの先端と内向鍔状部11bとの近接部、及び、透孔10cに対する誘導部11の先端部の嵌合部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部27が構成されている。この噛み合い部27によってラビリンス構造部r13が構成され、このラビリンス構造部r13が、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mrを構成する。このような噛み合い部27によるラビリンス構造部r13によって、シリンダボア壁5a側への冷却水の回り込みを効果的に抑制することができる。また、噛み合い部27によって、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、より安定的に保持される。特に、透孔10cに対する誘導部11の先端部の嵌合状態によって、規制板10が前記深さ方向の所定の位置に、さらに安定的に保持される。
【0029】
図10〜
図22は、本発明に係る内燃機関の冷却構造の第二の実施形態を示し、具体的には、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段が、前記規制板10と、前記誘導部11との間に密着的に介在する弾性シール部材からなる。
図10に示す例は、
図2に示す例における規制板10と延出片12との近接部13に、ゴム等からなる弾性シール部材28が、規制板10及び誘導部11の一構成部としての延出片12に密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mp(第二の形態、以下、同様)が構成される。弾性シール部材28は、断面楕円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、規制板10における冷却水導入口6側の面10a、または、延出片12の規制板10に対向する面12cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材28は、前記のように2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記近接部13に弾性シール部材28が介在することにより、近接部13のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が近接部13を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0030】
図11に示す例は、前記第二の実施形態の第1の変形例を示し、
図3に示す例における規制板10の一構成部としての横向片14と誘導部11との近接部15に、ゴム等からなる弾性シール部材29が横向片14及び誘導部11に密着的且つ圧縮状態で介在されている。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材29も、断面楕円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、横向片14の誘導部11に対向する面、または、誘導部11の外側面11aに接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材29は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記近接部15に弾性シール部材29が介在することにより、近接部13及び近接部15のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が近接部13及び近接部15を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0031】
図12に示す例は、前記第二の実施形態の第2の変形例を示し、
図3に示す例における誘導部11の一構成部としての延出片12と規制板10との近接部13に、ゴム等からなる弾性シール部材30が規制板10及び延出片12に密着的且つ圧縮状態で介在され、これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材30も、断面楕円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、規制板10における冷却水導入口6側の面10a、または、延出片12の規制板10に対向する面12cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材30は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記近接部13に弾性シール部材30が介在することにより、近接部13及び近接部15のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が近接部13から近接部15を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0032】
図13及び
図14は、前記第二の実施形態の第3及び第4の変形例を示し、前記誘導部が前記規制板に突合せられるよう位置付けられ、当該突合せ部に弾性シール部材が介在され、これによって、第二の形態としての回り込み抑制手段Mpが構成される例を示している。
図13に示す例では、流れ中心Lを略曲率中心とする半円筒形の前記誘導部11が、規制板10における冷却水導入口6側の面10aに近接状態で突き合されるように延びている。誘導部11の先端面11cと規制板10との突合せ部31にゴム等からなる弾性シール部材32が密着的且つ圧縮状態で介在され、これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材32は、断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、規制板10における冷却水導入口6側の面10a、または、誘導部11の先端面11cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材32は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記突合せ部31に弾性シール部材32が介在することにより、冷却水導入口6から導入される冷却水が突合せ部31を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0033】
図14に示す例では、流れ中心Lを略曲率中心とする半円筒形の前記誘導部11と略同曲率半径の半円筒形状の横向片14dが、規制板10に冷却水導入口6側に向くようにその一構成部として設けられている。そして、誘導部11の先端面11cと横向片14dの先端面14daとが近接状態で突き合され、この突合せ部33にゴム等からなる弾性シール部材34が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材34も、断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、横向片14dの先端面14da、または、誘導部11の先端面11cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材34は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記突合せ部33に弾性シール部材34が介在することにより、冷却水導入口6から導入される冷却水が突合せ部33を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0034】
図15及び
図16は、前記第二の実施形態の第5及び第6の変形例を示し、
図5に示す例と略同様の噛み合い部に弾性シール部材が介在され、これによって、第二の形態としての回り込み抑制手段Mpが構成される例を示している。即ち、これらの例では、
図5に示す例と略同様の2個の横向片14a,14bの間に、誘導部11の先側部が挿入されて、噛み合い部22が構成されている。
図15に示す例では、外側(流れ中心Lより遠い側)の横向片14bと、誘導部11との近接部に、ゴム等からなる弾性シール部材35が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材35は、断面楕円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、横向片14bの内周面、または、誘導部11の外周面11dに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材35は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部22に弾性シール部材35が介在することにより、噛み合い部22のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部22を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
なお、この例では、内側(流れ中心Lに近い側)の横向片14aと、誘導部11との近接部に、弾性シール部材を密着的且つ圧縮状態で介在させて、同様に回り込み抑制手段Mpを構成するようにしても良い。
【0035】
図16に示す例では、2個の横向片14a,14bからなる横向き凹部の底面10aaと、誘導部11の先端面11cとの近接部に、ゴム等からなる弾性シール部材36が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材36は、断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、前記底面10aa、または、誘導部11の先端面11cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材36は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部22に弾性シール部材36が介在することにより、噛み合い部22のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部22を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0036】
図17及び
図18は、前記第二の実施形態の第7及び第8の変形例を示し、
図6に示す例と略同様の噛み合い部に弾性シール部材が介在され、これによって、第二の形態としての回り込み抑制手段Mpが構成される例を示している。即ち、これらの例では、
図6に示す例と略同様に、規制板10と延出片12との近接部及び規制板10の表裏に連通する円弧溝10bに対する突片12aの遊挿部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部23が構成されている。
図17に示す例では、円弧溝10bの内径側の溝壁面10baと、突片12aの内側面12aaとの近接部に、ゴム等からなる弾性シール部材37が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材37は、断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、前記溝壁面10ba、または、突片12aの内側面12aaに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材37は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部23に弾性シール部材37が介在することにより、噛み合い部23のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部23を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0037】
図18に示す例では、突片12aの内径側部分であって、延出片12における規制板10に対向する面12cと、規制板10における冷却水導入口6側の面10aとの近接部に、ゴム等からなる弾性シール部材38が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材38も、断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、延出片12における前記面12c、または、規制板10における前記面10aに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材38は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部23に弾性シール部材38が介在することにより、噛み合い部23のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部23を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0038】
図19及び
図20は、前記第二の実施形態の第9及び第10の変形例を示し、
図8に示す例と略同様の噛み合い部に弾性シール部材が介在され、これによって、第二の形態としての回り込み抑制手段Mpが構成される例を示している。即ち、これらの例では、
図8に示す例と略同様に、規制板10と延出片12との近接部及び延出片12の表裏に連通する円弧溝12bに対する横向片14cの遊挿部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部26が構成されている。
図19に示す例では、円弧溝12bの内径側の溝壁面12baと横向片14cの内側面14caとの近接部、及び、円弧溝12bの外径側の溝壁面12bbと横向片14cの外側面14cbとの近接部に、それぞれ、ゴム等からなる弾性シール部材39,40が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材39,40は、いずれも断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、前記溝壁面12baまたは横向片14cの内側面14ca、及び、溝壁面12bbまたは横向片14cの外側面14cbに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材39,40は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部26に弾性シール部材39,40が介在することにより、噛み合い部26のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部26を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。なお、2個の弾性シール部材39,40は、横向片14cの外形状に略整合する一連の環状体形状とし、横向片14cの周囲に輪ゴム状に嵌め付けるように構成されるものであっても良い。この場合は、先着剤による固着は不要とされる。
【0039】
図20に示す例では、横向片14cの内外部であって、規制板10における冷却水導入口6側の面10aと、延出片12における規制板10に対向する面12cとの近接部に、ゴム等からなる2個の弾性シール部材41,42が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材41,42は、いずれも断面円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、規制板10における前記面10aまたは延出片12における前記面12c、誘導部11の先端面11cに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材41,42は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部26に弾性シール部材41,42が介在することにより、噛み合い部26のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部26を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。なお、2個の弾性シール部材41,42は、一連の環状体とし、横向片14cの周囲を囲むように構成されるものであっても良い。
なお、
図19及び
図20に示す例におけるそれぞれの弾性シール部材39、41は、なしとしても良い。
【0040】
図21は、前記第二の実施形態の第11の変形例を示し、
図9に示す例と略同様の噛み合い部に弾性シール部材が介在され、これによって、第二の形態としての回り込み抑制手段Mpが構成される例を示している。即ち、この例では、
図9に示す例と略同様に、横向片14cと誘導部11との近接部、横向片14cの先端と内向鍔状部11bとの近接部、及び、透孔10cに対する誘導部11の先端部の嵌合部によって、誘導部11と規制板10とに相互に噛み合う噛み合い部27が構成されている。そして、横向片14cの外側面14cbと、誘導部11の内側面11dとの近接部に、ゴム等からなる弾性シール部材43が密着的且つ圧縮状態で介在される。これによって、冷却水導入口6から導入される冷却水のシリンダボア壁5a側への回り込みを抑制する回り込み抑制手段Mpが構成される。この例の弾性シール部材43は、断面楕円形状(図における2点鎖線部参照)の紐状に成形され、横向片14cにおける外側面14cbまたは誘導部11における前記内側面11dに、接着剤等によって流れ中心Lを略曲率中心とする円弧状に固着される。弾性シール部材43は、図における2点鎖線で示す原形状から圧縮された状態で、前記規制板10と前記誘導部11との間に密着的に介在する。このように、前記噛み合い部27に弾性シール部材43が介在することにより、噛み合い部27のラビリンス的効果とも相俟って、冷却水導入口6から導入される冷却水が噛み合い部27を経てシリンダボア壁5a側へ回り込むことがより確実に抑制される。
【0041】
なお、
図5〜
図21に示す誘導部11は、いずれも、流れ中心Lを略曲率中心とする半円筒形状としているが、これに限らず、
図4(h)に示すような半角筒形状やその他の形状であっても良い。従って、誘導部11とラビリンス構造や噛み合い部を構成する規制板10の構成部分の形状も、誘導部11の形状に応じて適宜変更される。また、延出片12の形状も、
図4(a)〜(h)に示すような形状が適宜採択される。さらに、
図10〜
図21の例の第二の形態としての回り込み抑制手段Mpを構成する弾性シール部材は、断面形状が楕円形や円形の紐状体に限らず、断面方形や長円形の帯状体であっても良い。加えて、本発明の冷却構造が適用される内燃機関として3気筒の自動車用のエンジンを例に採ったが、他の気筒数の自動車用のエンジン、或いは、自動車用以外の内燃機関にも適用されることは言うまでもない。また、シリンダブロック1における冷却水導入口6の設置位置は、
図1の例に限定されず、ウォータジャケット5の周方向のいずれの位置であっても良い。その高さ位置(深さ位置)も、ウォータジャケット5の開口部側、深さ方向中央部、或いは底部側のいずれでも良く、内燃機関の仕様によって適宜定められる。