特許第6230113号(P6230113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6230113撮影動画像に指示画像を同期して重畳する映像指示同期方法、システム、端末、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230113
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】撮影動画像に指示画像を同期して重畳する映像指示同期方法、システム、端末、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0489 20130101AFI20171106BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20171106BHJP
   H04N 7/15 20060101ALI20171106BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20171106BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20171106BHJP
【FI】
   G06F3/0489 170
   H04M11/00 301
   H04M11/00 302
   H04N7/15
   G06F13/00 650A
   H04N21/436
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-7387(P2014-7387)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-135641(P2015-135641A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 達也
(72)【発明者】
【氏名】荒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晴久
(72)【発明者】
【氏名】柳原 広昌
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−298872(JP,A)
【文献】 特開2007−004311(JP,A)
【文献】 特開2011−034315(JP,A)
【文献】 加藤 博一、Mark Billinghurst、浅野 浩一、橘 啓八郎,マーカー追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション,日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.4 No.4 1999,日本,日本バーチャルリアリティ学会,1999年12月31日,第4巻第4号,pp.607-612
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0489
G06F 13/00
H04M 11/00
H04N 7/15
H04N 21/436
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ及びディスプレイを有し、前記カメラによる撮影動画像を送信する第1の端末と、ディスプレイを有し、第1の端末から受信した前記撮影動画像をディスプレイに表示する第2の端末が、ネットワークを介して接続されたシステムにおける映像同期表示方法において、
第1の端末及び第2の端末は、撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶しており、
第2の端末が、第1の端末から受信した前記撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出し、前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、第1の端末へ予め送信する第1のステップと、
第1の端末が、前記カメラによる前記撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出し、当該基準マーカ画像から前記相対位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する第2のステップと、
第1の端末が、前記撮影動画像の画面に対する前記指示画像の表示位置を算出し、当該表示位置を第2の端末へ送信する第3のステップと、
第2の端末が、前記撮影動画像の画面に対する前記表示位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する第4のステップと
を有し、第2のステップから第4のステップが常時繰り返されることを特徴とする映像同期表示方法。
【請求項2】
第3のステップについて、第1の端末は、前記表示位置を算出した際に、その撮影動画像のフレームID(IDentifier)を、第2の端末へ更に送信し、
第4のステップについて、第2の端末は、前記フレームIDと一致する撮影動画像のフレームに、前記指示画像を重畳表示する
ことを特徴とする請求項に記載の映像同期表示方法。
【請求項3】
第3のステップについて、第1の端末は、
予め記憶された基準マーカ画像がマッチングする、前記撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出し、
前記基準マーカ画像(第0の所定範囲)から前記相対位置に相当する位置に、前記指示画像(第2の所定範囲)を重畳してディスプレイに表示し、
前記指示画像(第2の所定範囲)の座標位置を、前記表示位置とする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の映像同期表示方法。
【請求項4】
第1のステップについて、第2の端末は、
予め記憶された前記基準マーカ画像がマッチングする、前記撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出し、
前記基準マーカ画像(第0の所定範囲)と前記指示画像(第1の所定範囲)との間の座標変換を、前記相対位置として算出する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像同期表示方法。
【請求項5】
前記相対位置は、平行移動行列、平行移動行列及び拡大縮小行列の組み合わせ、ユークリッド変換行列、アフィン変換行列、射影変換行列、又は、姿勢変換行列である
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像指示同期方法。
【請求項6】
第2の端末に搭載されたディスプレイは、タッチパネルディスプレイであって、
第2のステップについて、第2の端末は、前記タッチパネルディスプレイ上でユーザに指によって描かれた画像を指示画像とする
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像指示同期方法。
【請求項7】
第2の端末は、前記ディスプレイに表示された撮影動画像に、ユーザによって描かせるタッチペン入力装置を更に接続しており、
第2のステップについて、第2の端末は、前記タッチペンによってユーザに描かれた画像を指示画像とする
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像指示同期方法。
【請求項8】
前記システムは、複数の第2の端末を有し、
第1のステップについて、一方の第2の端末が、前記指示画像を、他方の第2の端末へ予め送信し、
第3のステップについて、第1の端末は、複数の第2の端末へ、前記撮影動画像及び前記表示位置を同報的に送信する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像指示同期方法。
【請求項9】
第1のステップについて、複数の第2の端末各々が、前記指示画像及び前記相対位置を、第1の端末へ予め送信しており、
第2のステップについて、第1の端末が、前記基準マーカ画像から、各相対位置に相当する位置に、各指示画像を重畳してディスプレイに表示する
ことを特徴とする請求項に記載の映像指示同期方法。
【請求項10】
第2の端末は、ユーザ操作に応じて重畳表示中止通知を第1の端末へ送信し、
第1の端末は、第2の端末から前記重畳表示中止通知を受信した際に、第2のステップにおける指示画像の重畳表示を中止する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の映像指示同期方法。
【請求項11】
カメラ及びディスプレイを有する第1の端末と、ディスプレイを有する第2の端末とが、ネットワークを介して接続されたシステムにおいて、
第1の端末は、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する基準マーカ記憶手段と、
前記カメラによる撮影動画像を、第2の端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
前記カメラによる撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
第2の端末から、前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から前記相対位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
前記表示位置を第2の端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
第2の端末は、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する基準マーカ記憶手段と、
前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、第1の端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
第1の端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
第1の端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
第1の端末から受信した撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記表示位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
ディスプレイ及びカメラを搭載した端末において、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶した基準マーカ記憶手段と、
被指示側機能として、
前記カメラによる撮影動画像を、相手方端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
前記カメラによる撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
相手方端末から、前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から前記相対位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
前記表示位置を相手方端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
指示側機能として、
前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、相手方端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
相手方端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
相手方端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
相手方端末から受信した撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記表示位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
を有することを特徴とする端末。
【請求項13】
ディスプレイ及びカメラを搭載した端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶した基準マーカ記憶手段と、
被指示側機能として、
前記カメラによる撮影動画像を、相手方端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
前記カメラによる撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
相手方端末から、前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から前記相対位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
前記表示位置を相手方端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
指示側機能として、
前記撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、前記基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、相手方端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
相手方端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
相手方端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
相手方端末から受信した撮影動画像に映る前記基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
前記撮影動画像の画面に対する前記表示位置に相当する位置に、前記指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする端末用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末間のオンラインビデオサービスの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット等の端末の普及に伴って、地理的に離れた端末間で、ネットワークを介したオンラインビデオサービスが提供されている(例えば非特許文献1参照)。このサービスによれば、例えば現場作業の用途として、現場作業員が持つ端末で撮影された映像を、遠隔の作業管理者へリアルタイムに送信することができる。これに対し、作業管理者は、映像でその作業現場の状況を認識し、音声で指示することができる。
【0003】
図1は、オンラインビデオサービスのシステム構成図である。
【0004】
図1のシステムによれば、携帯電話機やスマートフォンのような端末が、撮影した映像データを、ネットワークを介してリアルタイムに他方の端末へ、ストリーミングで伝送している。近年、携帯端末のようなポータブル型機器でも、HD(High-Definition)クラスの映像を撮影することができる。
【0005】
図1によれば、端末1は、現場作業員(被指示者)によって所持され、搭載されたカメラによってその映像が撮影される。一方で、端末2は、作業管理者(指示者)によって所持される。そして、端末1は、アクセスネットワーク及びインターネットを介して、その映像データを端末2へリアルタイムに送信する。端末2は、受信した映像データをディスプレイに再生することによって、作業管理者に対し、現場作業員の状況を視認させることができる。
【0006】
しかしながら、作業管理者にとって、音声だけでは、現場作業員に対して明確に指示できない場合も多い。例えば、作業管理者としては、現場の多種多様な機器や操作部分の位置を、現場作業員へ画像で指示することできれば望ましい。
【0007】
従来、現場作業員が、自ら所持する端末によって撮影した静止画像を、作業管理者の端末へ送信し、これに対し、作業管理者が指示情報を重畳した静止画像を、現場作業員の端末へ送信する技術がある(例えば非特許文献2参照)。これによって、作業管理者は、音声以外の静止画像によって現場作業員へ指示することができる。
【0008】
また、映像上の所定位置を特定するために、拡張現実感(AR(Augmented Reality))の技術を適用することもできる(例えば非特許文献3、4参照)。映像の中からARマーカを画像認識することよって、その位置を特定する。また、ARマーカを用いることなく、多数のオブジェクト画像の中から、その映像に写るオブジェクトを検出するマーカレス型・物体認識方式を用いることもできる。但し、マーカレス型・物体認識方式の技術によれば、予めオブジェクト画像を事前登録しておく必要がある。ここで、映像に写る対象物と、オブジェクト画像との形状が類似する場合、誤ったオブジェクト画像を対応付けてしまう場合もある。
【0009】
AR技術を用いることで、操作の対象箇所等を直感的に理解できるため、マニュアルや対象機器のヘルプ文章を参照する場合や、遠隔のオペレータから音声のみによるサポートを受けた場合と比較して、スムーズに問題を解決することが期待されている。
【0010】
更に、マーカを用いた他の従来技術として、2次元マーカを用いて、ユーザが撮影したサポート対象機器の映像に、ヘルプサーバから取得した指示画像を重畳表示する技術がある(例えば特許文献1参照)。また、2次元マーカを用いて、作業者が撮影したサポート対象機器の映像に、遠隔のオペレータが入力した指示画像を重畳表示する技術もある(例えば特許文献2参照)。更に、作業者が撮影したサポート対象機器の映像を予め登録したサポート対象機器の画像をマーカとして、映像と比較することによって対象機器を認識し、遠隔のオペレータが入力した指示画像を重畳表示する技術もある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−219879号公報
【特許文献2】特開2013−115578号公報
【特許文献3】特開2011−034315号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「Skype」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<URL:http://www.skype.com/ja/>
【非特許文献2】構造計画研究所、「Remote Guideware」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://www4.kke.co.jp/guideware/>
【非特許文献3】富士通、「ARを利用した作業支援技術」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://jp.fujitsu.com/solutions/industry/nextvalue/technology/tec_ar.html>
【非特許文献4】NTT技研、「ARを用いた設備管理業務システム」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://www.ntt.co.jp/journal/1302/files/jn201302042.pdf>
【非特許文献5】「アフィン変換と射影変換」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://www58.atwiki.jp/dooooornob/pages/43.html>
【非特許文献6】「画像処理ソリューション」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://imagingsolution.blog107.fc2.com/blog-entry-86.html>
【非特許文献7】「行列計算」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://www.cg.info.hiroshima-cu.ac.jp/~miyazaki/knowledge/tech07.html>
【非特許文献8】「カメラキャリブレーションと3次元再構成」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://opencv.jp/opencv-2svn/cpp/camera_calibration_and_3d_reconstruction.html>
【非特許文献9】「3次元幾何解析」、[online]、[平成25年12月23日検索]、インターネット<http://www.ieice-hbkb.org/files/02/02gun_02hen_03.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載の技術によれば、予めヘルプサーバに記録されている定められた種類の指示画像しか提供できず、サポートの範囲が限られるという問題があった。また、特許文献2又は3に記載の技術によれば、オペレータ側で指示画像の重畳表示を確認することができず、誤った重畳表示に起因する操作指示をしてしまうという問題があった。特に、特許文献3に記載の技術によれば、視点の変化によって対象設備と基準マーカ(予め登録した対象設備の画像)との見え方のズレが大きくなった場合、指示画像が表示できないか、誤った位置に表示することとなる。しかしながら、このような重畳表示の失敗は、オペレータ側から把握できない。
【0014】
これに対し、本願の発明者らは、現場作業者側で指示画像の重畳表示のために算出された表示位置が、オペレータ側と共有されないことが問題ではないか?と考えた。AR技術によれば、撮影動画像の中からマーカ画像を検出し、その位置に指示画像を重畳的に表示させなければならない。このような画像処理は、演算プロセッサにかかる処理負荷が大きいにも拘わらず、一般的にGPU(Graphic Processing Unit)側では処理できない。そのために、CPU(Central Processing Unit)側で処理することとなってしまう。
【0015】
撮影動画像は、できる限りリアルタイムに伝送する必要があり、指示画像と重畳させて伝送することはその演算処理に時間がかかるという問題がある。また、既存のオンラインサービスによるビデオ伝送技術の中で、撮影動画像に指示画像を重畳させるシーケンスをリアルタイムに埋め込むことも難しい。そのために、撮影動画像と、指示画像及び表示位置とは、一般的に別々に伝送される。結果的に、指示側端末2は、撮影動画像を受信し且つ表示しつつ、その指示画像及び表示位置は、被指示側端末1へ一方的に送信するだけとなる。そのために、指示側端末2のオペレータは、被指示側端末1のディスプレイに指示画像が撮影動画像にどのように表示されているかを視認することができていない。
【0016】
そこで、本発明は、指示側端末のオペレータが、被指示側端末のディスプレイで指示画像が撮影動画像にどのように重畳して表示されているかを視認することができる映像指示同期方法、システム、端末、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、カメラ及びディスプレイを有し、カメラによる撮影動画像を送信する第1の端末と、ディスプレイを有し、第1の端末から受信した撮影動画像をディスプレイに表示する第2の端末が、ネットワークを介して接続されたシステムにおける映像同期表示方法において、
第1の端末及び第2の端末は、撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶しており、
第2の端末が、第1の端末から受信した撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出し、撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、第1の端末へ予め送信する第1のステップと、
第1の端末が、カメラによる撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出し、当該基準マーカ画像から相対位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する第2のステップと、
第1の端末が、撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を算出し、当該表示位置を第2の端末へ送信する第3のステップと、
第2の端末が、撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する第4のステップと
を有し、第2のステップから第4のステップが常時繰り返されることを特徴とする。
【0019】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第3のステップについて、第1の端末は、表示位置を算出した際に、その撮影動画像のフレームID(IDentifier)を、第2の端末へ更に送信し、
第4のステップについて、第2の端末は、フレームIDと一致する撮影動画像のフレームに、指示画像を重畳表示することも好ましい。
【0020】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第3のステップについて、第1の端末は、
予め記憶された基準マーカ画像がマッチングする、撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出し、
基準マーカ画像(第0の所定範囲)から相対位置に相当する位置に、指示画像(第2の所定範囲)を重畳してディスプレイに表示し、
指示画像(第2の所定範囲)の座標位置を、表示位置とすることも好ましい。
【0021】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、第2の端末は、
予め記憶された基準マーカ画像がマッチングする、撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出し、
基準マーカ画像(第0の所定範囲)と指示画像(第1の所定範囲)との間の座標変換を、相対位置として算出することも好ましい。
【0022】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
相対位置は、平行移動行列、平行移動行列及び拡大縮小行列の組み合わせ、ユークリッド変換行列、アフィン変換行列、射影変換行列、又は、姿勢変換行列であることも好ましい。
【0023】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第2の端末に搭載されたディスプレイは、タッチパネルディスプレイであって、
第2のステップについて、第2の端末は、タッチパネルディスプレイ上でユーザに指によって描かれた画像を指示画像とすることも好ましい。
【0024】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第2の端末は、ディスプレイに表示された撮影動画像に、ユーザによって描かせるタッチペン入力装置を更に接続しており、
第2のステップについて、第2の端末は、タッチペンによってユーザに描かれた画像を指示画像とすることも好ましい。
【0025】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
システムは、複数の第2の端末を有し、
第1のステップについて、一方の第2の端末が、指示画像を、他方の第2の端末へ予め送信し、
第3のステップについて、第1の端末は、複数の第2の端末へ、撮影動画像及び表示位置を同報的に送信することも好ましい。
【0026】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、複数の第2の端末各々が、指示画像及び相対位置を、第1の端末へ予め送信しており、
第2のステップについて、第1の端末が、基準マーカ画像から、各相対位置に相当する位置に、各指示画像を重畳してディスプレイに表示することも好ましい。
【0027】
本発明の映像同期表示方法における他の実施形態によれば、
第2の端末は、ユーザ操作に応じて重畳表示中止通知を第1の端末へ送信し、
第1の端末は、第2の端末から重畳表示中止通知を受信した際に、第2のステップにおける指示画像の重畳表示を中止することも好ましい。
【0028】
本発明によれば、カメラ及びディスプレイを有する第1の端末と、ディスプレイを有する第2の端末とが、ネットワークを介して接続されたシステムにおいて、
第1の端末は、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する基準マーカ記憶手段と、
カメラによる撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
第2の端末から、撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から相対位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
カメラによる撮影動画像を、第2の端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
表示位置を第2の端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
第2の端末は、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する基準マーカ記憶手段と、
撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、第1の端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
第1の端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
第1の端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
第1の端末から受信した撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
を有することを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、ディスプレイ及びカメラを搭載した端末において、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶した基準マーカ記憶手段と、
被指示側機能として、
カメラによる撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
相手方端末から、撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から相対位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
カメラによる撮影動画像を、相手方端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
表示位置の相手方端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
指示側機能として、
撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、相手方端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
相手方端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
相手方端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
相手方端末から受信した撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
を有することを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、ディスプレイ及びカメラを搭載した端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶した基準マーカ記憶手段と、
被指示側機能として、
カメラによる撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
相手方端末から、撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを予め受信する指示画像受信手段と、
当該基準マーカ画像から相対位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と、
カメラによる撮影動画像を、相手方端末へ送信する撮影動画像送信手段と、
撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を算出する表示位置算出手段と、
表示位置を相手方端末へ送信する表示位置送信手段と
を有し、
指示側機能として、
撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、相手方端末へ予め送信する指示画像送信手段と、
相手方端末から撮影動画像を受信する撮影動画像受信手段と、
相手方端末から表示位置を受信する表示位置受信手段と
相手方端末から受信した撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する基準マーカ検出手段と、
撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する表示制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の映像指示同期方法、システム、端末、及びプログラムによれば、指示側端末のオペレータが、被指示側端末のディスプレイで指示画像が撮影動画像にどのように重畳して表示されているかを視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】オンラインビデオサービスのシステム構成図である。
図2】本発明におけるシーケンス図である。
図3】第1の端末によって撮影された映像を、第2の端末のディスプレイに表示した画面図である。
図4】第2の端末における基準マーカ画像及び指示画像を表す説明図である。
図5】指示者が第2の端末に指示を書き込んでいる画面図である。
図6】第1の端末における基準マーカ画像及び指示画像を表す説明図である。
図7】被指示側の第1の端末に映る画面図である。
図8】撮影対象物に対する撮影位置が射影移動した場合における第2の端末の画面図である。
図9】1台の被指示側端末と複数の指示側端末とからなるシーケンス図である。
図10】第1の端末及び第2の端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
図2は、本発明におけるシーケンス図である。
【0035】
図2によれば、ディスプレイ及びカメラを有する端末1(被指示側端末)と、少なくともディスプレイを有する端末2(指示側端末)とが、ネットワークを介して接続されている。ディスプレイやカメラは、当該端末に予め搭載されたものであってもよいし、外部に接続されたものであってもよい。カメラは、例えばWebカメラのように映像を取得し続けるものである。
【0036】
端末1及び端末2は、撮影動画像に映るであろう「基準マーカ画像」を予め記憶している。「基準マーカ画像」は、画像マッチングの「キー画像」として用いられるものであって、後述する「指示画像」を適切な位置に表示するための基準位置として用いられる。例えば撮影対象物に貼られた2次元マーカ(例えばQR(Quick Response)(登録商標)コード、特許文献1及び2参照)のようなものであってもよいし、予め登録された対象物画像(例えばマーカレス型の対象物画像、特許文献3参照)であってもよい。
【0037】
尚、予め記憶される「基準マーカ画像」は、画像そのものである必要はなく、マッチングのための特徴量画像であってもよい。特徴量画像とは、画像の局所領域から算出された特徴量であって、例えば画像内のエッジやコーナー等の局所領域から抽出される。代表的には例えばSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)やSURF(Speeded Up Robust Features)が用いられる。その他、計算コストに優れるバイナリ特徴量を用いることもできる。また、SSD(Sum of Squared Difference)や、正規化相互相関(NCC)でマッチングを行うための、局所的な切り出し画像(パッチ)であってもよい。
【0038】
[第1のステップS1]
(S11)端末1は、カメラによって対象物を撮影する。例えば現場作業員(被指示者)によって操作される端末1は、作業状況(対象物)を、動画像(ビデオ)として撮影する。そして、端末1は、その撮影動画像を、作業管理者(指示者)によって操作される端末2へ逐次送信する。端末2は、受信した撮影動画像をディスプレイに表示する。
【0039】
図3は、第1の端末によって撮影された映像を、第2の端末のディスプレイに表示した画面図である。
図4は、第2の端末における基準マーカ画像及び指示画像を表す説明図である。
【0040】
(S12)端末2は、端末1から受信した撮影動画像に映る「基準マーカ画像」を検出する。図3によれば、基準マーカ画像としてのQRコードが撮影対象物に貼り付けられており、既存の2次元コード検出技術を適用して、その基準マーカ画像を検出する。
【0041】
図4のS12によれば、端末2は、予め記憶された基準マーカ画像がマッチングする、指示側端末2のディスプレイの撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出する。ここで、基準マーカ画像を、射影/姿勢変換させながら、撮影動画像にマッチングさせる。撮影動画像は常に動いているものであるので、基準マーカ画像とのマッチングの追従処理は常に実行されている。
【0042】
(S13)図3によれば、端末2のディスプレイの右上に、「指示書込」用ボタンが明示されている。端末2を操作する指示者は、撮影動画像が表示されている途中で、「指示書込」用ボタンを押下することによって1枚の画像を対象として、停止させることができる。そして、指示者は、停止させた画像に対して、指示を書き込むことができる。
【0043】
図5は、指示者が第2の端末に指示を書き込んでいる画面図である。
【0044】
図5によれば、指示者は、端末2のタッチパネルディスプレイ上に指で、当該撮影動画像に対する「指示画像」を書き込むことができる。ここで、指示者は、キーボードのキー[R]の部分を差して、「←ココ」と描いている。
【0045】
また、他の実施形態として、端末2は、ディスプレイに表示された撮影動画像に、ユーザによって描かせるタッチペン入力装置を更に接続しているものであってもよい。この場合、端末2は、タッチペンによってユーザに描かれた画像を「指示画像」とすることができる。
【0046】
尚、前述した「基準マーカ画像」及び「指示画像」は、低データ量のための解像度圧縮画像であってもよい。これら画像は、bitmap形式の画像である必要はなく、例えばJPEGのような圧縮画像であってもよい。
【0047】
(S14)端末2は、基準マーカ画像に対する指示画像の「相対位置」を算出する。図4によれば、端末2は、基準マーカ画像(第0の所定範囲)と指示画像(第1の所定範囲)との間の座標変換を、「相対位置」として算出する(図4における行列Hp参照)。
第0の所定範囲:基準マーカ画像の範囲
第1の所定範囲:指示側端末でユーザが書き込んだ指示画像を含む範囲
ここで、「相対位置」は、平行移動行列、平行移動行列及び拡大縮小行列の組み合わせ、ユークリッド変換行列、アフィン変換行列、射影変換行列、又は、姿勢変換行列による変換関係を有する(例えば非特許文献5〜9参照)。これは、例えば矩形状の範囲であれば、第0の所定範囲の4頂点座標と、第1の所定範囲の4頂点座標との間の移動差分を意味する。これら行列の掛け算だけで、位置関係を変換することができる。
【0048】
アフィン変換の場合、第1の所定範囲と第2の所定範囲との間で、線形変換は座標に対する2×2行列を乗算することによって表され、平行移動は2次元のベクトルの加算で表わされる。
【数1】
x,y:第2の所定範囲におけるx座標及びy座標
x',y':第1の所定範囲におけるx座標及びy座標
11,h12,h21,h22要素:線形変換要素
13,h23要素:平行移動要素
【0049】
また、ユークリッド変換の場合、以下のように表される。
【数2】
x,y:第2の所定範囲におけるx座標及びy座標
x',y':第1の所定範囲におけるx座標及びy座標
θ:回転変換要素
tx,ty:平行移動要素
【0050】
更に、「射影変換」の場合、平行回転移動に、平面の遠近感を表現する射影を更に加えることができ、例えば以下のように表される。
【数3】
x,y:基準マーカ画像におけるx座標及びy座標
x',y':マッチング先のx座標及びy座標
11〜h33:パラメータ
【0051】
更に、「姿勢変換」の場合、3次元空間内の剛体運動であって、6自由度の姿勢行列で表現することができる。ここで「姿勢行列」とは、3次元特殊ユークリッド群SE(3)に属し、3自由度の3次元回転行列と3次元並進ベクトルとで表される。例えば以下のような行列式によって表される。
【数4】
A:カメラの内部パラメータ
予めカメラキャリブレーションによって求めておくことが望ましい。
しかしながら、実際の値とずれた場合でも最終的に姿勢行列と打ち消し合う
ために、重畳表示の位置には影響しない。そのため、本発明の利用用途の場合、
一般的なカメラの値で代用することができる。
R(r11〜r33):3次元空間内の回転を表すパラメータ
各パラメータはオイラー角等の表現によって3パラメータで表現可能
t(t1〜t3):3次元空間内の平行移動を表すパラメータ。
x,y:基準マーカ画像におけるx座標及びy座標
x',y':マッチング先のx座標及びy座標
姿勢変換によれば、カメラの視点(撮影角度や撮影距離の変化を含む)が大きく変わった場合でも、その位置に正確に指示画像を表示することができる。
【0052】
(S15)図5によれば、端末2のディスプレイの右上に、「指示送信」用ボタンが明示されている。ユーザは、指示画像を書き込んだ後、「指示送信」用ボタンを押下する。これによって、端末2は、撮影動画像に重畳表示すべき「指示画像」と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の「相対位置」(図4における行列Hpのパラメータ要素)とを、被指示側端末1へ予め送信する。
【0053】
[第2のステップS2]
(S21)被指示者端末1は、カメラによって対象物を、動画像として撮影する。そして、端末1は、その撮影動画像を端末2へ逐次送信する。端末2は、受信した撮影動画像をディスプレイに表示する。
【0054】
図6は、第1の端末における基準マーカ画像及び指示画像を表す説明図である。
【0055】
(S22)端末1は、カメラから連続的に入力される撮影動画像の各フレームに対して、予め記憶された基準マーカ画像とマッチングし、撮影動画像に映る基準マーカ画像(第0の所定範囲)を検出する。これは、端末2のS12と同じ処理である。基準マーカ画像を、射影/姿勢変換させながら、撮影動画像にマッチングさせる。撮影動画像は常に動いているものであるので、基準マーカ画像とのマッチングの追従処理は常に実行されている。
【0056】
(S23)そして、端末1は、検出された基準マーカ画像(第0の所定範囲)に相対位置(図6における行列Hp参照)を反映した第2の所定範囲に、「指示画像」を重畳させてディスプレイに表示する。
第0の所定範囲:被指示側端末で撮影動画像に映る基準マーカ画像の範囲
第2の所定範囲:被指示側端末で撮影動画像に映る指示画像を含む範囲
ここで、所定範囲間の相対位置も、平行移動行列、平行移動行列及び拡大縮小行列の組み合わせ、ユークリッド変換行列、アフィン変換行列、射影変換行列、又は、姿勢変換行列による変換関係を有する(例えば非特許文献5〜9参照)。
【0057】
図7は、被指示側の第1の端末に映る画面図である。
【0058】
図7によれば、端末1に映る撮影動画像に、端末2の指示者によって書き込まれた「指示画像」が重畳して表示されている。ここでは、キーボードのキー[R]の部分を差して、「←ココ」と表示されている。
【0059】
尚、端末1が、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)のような装置である場合、撮影動画像までもディスプレイに表示される必要はない。このような、シースルー型のHMDの場合、視界に指示画像のみを重畳して表示させればよい。
【0060】
[第3のステップS3]
(S31)端末1は、撮影動画像の画面に対する指示画像の「表示位置」を算出する。「表示位置」とは、撮影動画像の画面に対する頂点座標(例えば矩形状の場合は4頂点)や、所定位置(例えば画面枠)からの変換行列のパラメータであってもよい。このような「表示位置」は、基準マーカ画像の検出処理を必要とせず、指示画像の重畳位置を直接的に決定することができる。
【0061】
表示位置の算出処理は、カメラのフレームレート(大抵のカメラは30flame/sec)で実行可能である。これに対し、撮影動画像の伝送処理は、符号化処理や通信帯域の制約等の理由から、カメラのフレームレート以下のフレームレート(例えばflame/sec)でしか伝送できない。即ち、動画像に対する通信バッファや符号化/復号処理によってる遅延が発生する。図2によれば十分に表現できないが、1枚の撮影動画像については、端末1は、「表示位置」(+フレームID)を端末2へ伝送した後、撮影動画像を端末2へ伝送することとなる。端末2は、「表示位置+フレームID」を受信した後、そのフレームの撮影動画像を待って、指示画像を重畳表示することができる。
【0062】
(S32)端末1は、その「表示位置」を端末2へ逐次送信する。ここで、端末1は、表示位置を算出した際に、その撮影動画像のフレームID(IDentifier)を、端末2へ更に送信することも好ましい。フレームIDは、例えばMPEGにおける動画フレームを識別するインデックスである。フレームIDを更に送信することによって、最終的に端末2で撮影動画像と指示画像との重畳表示を完全に同期させることができる。
【0063】
[第4のステップS4]
端末2は、撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、自らの指示画像を重畳してディスプレイに表示する。
【0064】
図8は、撮影対象物に対する撮影位置が射影移動した場合における第2の端末の画面図である。
【0065】
これによって、端末2は、基準マーカ画像の検出処理を必要とせず、指示画像の重畳位置を直接的に決定することができる。また、端末2は、端末1から表示位置と共に、重畳すべきフレームIDを受信することによって、フレームIDと一致する撮影動画像のフレームに、指示画像を重畳表示することができる。
【0066】
そして、図2のシーケンスの流れに沿って、S2〜S4のシーケンスが常時繰り返されることとなる。これによって、指示側端末2のオペレータは、被指示側端末1のディスプレイで指示画像が撮影動画像にどのように重畳して表示されているかを視認することができ、ARによる遠隔作業を支援することができる。
【0067】
尚、他の実施形態として、図8によれば、端末2のディスプレイに、「重畳表示停止」ボタンが表示されている。S2〜S4のシーケンスが常時繰り返されることによって、指示側端末2のオペレータから見て、撮影動画像に重畳された指示画像の位置にズレが生じる場合がある。この場合、端末2は、オペレータによる「重畳表示停止」ボタンのタッチによって、重畳表示中止通知を端末1へ送信することができる。これに対し、端末1は、端末2から重畳表示中止通知を受信した際に、S2(第2のステップ)における指示画像の重畳表示を中止する。オペレータ操作によって、誤った重畳表示が視認されることを防止することができる。その後、この場合、端末2は、改めてS1(第1のステップ)を実行することによって、撮影動画像に対する指示画像の重畳表示の位置を改めて調整することができる。
【0068】
図9は、1台の被指示側端末と複数の指示側端末とからなるシーケンス図である。
【0069】
図9によれば、例えば遠隔に位置する複数のオペレータによって、それぞれ異なる指示画像が作成される場合である。この場合、端末1は、複数の端末2から受信した複数の指示画像を同時に重畳して表示することとなる。勿論、端末1及び複数の端末2は、互いに相手方の宛先アドレスを認識しているものとする。
【0070】
図9によれば、シーケンス番号が適宜飛ばされているが、未記載のシーケンス番号は、図2の処理と同様に実行されているものとする。
(S11)端末1は、カメラによる撮影動画像を、複数の端末21及び22へ同報的に送信する。
(S15)端末21について、オペレータによって指示画像が書き込まれたとする。端末21は、指示画像及び相対位置を、端末1へ送信すると共に、他方の端末22へも送信する。指示側の複数の端末2の間で、指示画像及び相対位置が共有される。
(S21)その後、端末1は、カメラによる撮影動画像を、複数の端末21及び22へ同報的に送信する。
(S22)端末1は、カメラによる撮影動画像に、端末21から受信した指示画像を重畳して表示する。
(S3)端末1は、撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を、複数の端末21及び22へ同報的に送信する。
(S4)端末21及び22は、端末1から受信した撮影動画像の画面に対する表示位置に、指示画像を重畳して表示する。これによって、指示画像を作成しない指示側端末22であっても、端末1における撮影動画像と指示画像との重畳表示を視認することができる。
【0071】
次に、端末22について、オペレータによって指示画像が書き込まれたとする。
(S15)端末22は、指示画像及び相対位置を、端末1へ送信すると共に、他方の端末21へも送信する。指示側の複数の端末2の間で、指示画像及び相対位置が共有される。
(S21)その後、端末1は、カメラによる撮影動画像を、複数の端末21及び22へ同報的に送信する。
(S22)端末1は、カメラによる撮影動画像に、端末22から受信した指示画像を重畳して表示する。
(S3)端末1は、撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を、複数の端末21及び22へ同報的に送信する。
(S4)端末21及び22は、端末1から受信した撮影動画像の画面に対する表示位置に、指示画像を重畳して表示する。これによって、指示画像を作成しない指示側端末21であっても、端末1における撮影動画像と指示画像との重畳表示を視認することができる。
【0072】
尚、他の実施形態として、複数の端末1と、1台の端末2とからなるシステムであってもよい。この場合、端末2は、複数の端末1から撮影動画像を受信する必要があり、これらを同時に表示するか、又は、ユーザ操作に基づく選択ボタンによって切り替えて表示するものであってもよい。勿論、複数の端末1と、複数の端末2とからなるシステムにも適用できる。
【0073】
図10は、第1の端末及び第2の端末の機能構成図である。
【0074】
被指示側端末としての端末1は、ネットワークに接続すると共に、ディスプレイ17及びカメラ18とを有する。また、端末1は、基準マーカ記憶部10と、撮影動画像送信部11と、基準マーカ検出部12と、指示画像受信部13と、表示制御部14と、表示位置算出部15と、表示位置送信部16とを有する。これら機能構成部は、端末1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0075】
基準マーカ記憶部10は、撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する。この基準マーカ画像は、基準マーカ検出部12によって参照される。
撮影動画像送信部11は、カメラによる撮影動画像を、端末2へ送信する(図2のS11、S21の処理と同様)。
基準マーカ検出部12は、カメラによる撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する(図2のS22の処理と同様)。検出した基準マーカ画像の位置範囲(第0の所定範囲)を表示制御部14へ出力する。
指示画像受信部13は、端末2から、撮影動画像に重畳表示すべき「指示画像」と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の「相対位置」とを予め受信する(図2のS15の処理と同様)。受信した指示画像及び相対位置は、表示制御部14へ出力される。
表示制御部14は、当該基準マーカ画像から相対位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する(図2のS23の処理と同様)。
表示位置算出部15は、撮影動画像の画面に対する指示画像の表示位置を算出する(2のS31の処理と同様)。算出された表示位置は、表示位置送信部16へ出力される。
表示位置送信部16は、表示位置を端末2へ送信する(図2のS32の処理と同様)。
【0076】
指示側端末としての端末2は、ネットワークに接続すると共に、タッチパネルディスプレイ27を有する。また、端末2は、基準マーカ記憶部20と、撮影動画像受信部21と、基準マーカ検出部22と、指示画像送信部23と、表示制御部24と、表示位置受信部26とを有する。これら機能構成部は、端末2に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0077】
基準マーカ記憶部20は、撮影動画像に映るであろう基準マーカ画像を記憶する。この基準マーカ画像は、基準マーカ検出部22によって参照される。
撮影動画像受信部21は、端末1から撮影動画像を受信する(図2のS11、S21の処理と同様)。
基準マーカ検出部22は、端末1から受信した撮影動画像に映る基準マーカ画像を検出する(図2のS12の処理と同様)。
指示画像送信部23は、撮影動画像に重畳表示すべき指示画像と、基準マーカ画像に対する当該指示画像の相対位置とを、端末1へ予め送信する(図2のS15の処理と同様)。
表示位置受信部26は、端末1から表示位置を受信する(図2のS32の処理と同様)。
表示制御部24は、撮影動画像の画面に対する表示位置に相当する位置に、指示画像を重畳してディスプレイに表示する(図2のS4の処理と同様)。
【0078】
尚、図10における指示側機能と被指示側機能とを合わせて、両用端末とすることもできる。これら機能構成部は、1つの端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0079】
以上、詳細に説明したように、本発明の映像指示同期方法、システム、端末、及びプログラムによれば、指示側端末のオペレータが、被指示側端末のディスプレイで指示画像が撮影動画像にどのように重畳して表示されているかを視認することができる。指示側端末のオペレータに撮影動画像に対する指示画像の位置のズレを認識させることによって、円滑な遠隔作業を実現する。
【0080】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0081】
1 被指示側端末
10 基準マーカ記憶部
11 撮影動画像送信部
12 基準マーカ検出部
13 指示画像受信部
14 表示制御部
15 表示位置算出部
16 表示位置送信部
17 ディスプレイ
18 カメラ
2 被指示側端末
20 基準マーカ記憶部
21 撮影動画像受信部
22 基準マーカ検出部
23 指示画像送信部
24 表示制御部
26 表示位置受信部
27 タッチパネルディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10