特許第6230117号(P6230117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230117
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】光学物品及び作製方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20171106BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20171106BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20171106BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20171106BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20171106BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20171106BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G02B5/02 C
   B32B7/02 101
   B32B27/08
   F21V5/00 530
   F21V5/04 600
   G02B5/30
   G02F1/1335
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-48623(P2014-48623)
(22)【出願日】2014年3月12日
(62)【分割の表示】特願2010-504147(P2010-504147)の分割
【原出願日】2008年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-123152(P2014-123152A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年3月24日
【審判番号】不服2016-7412(P2016-7412/J1)
【審判請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】11/735,684
(32)【優先日】2007年4月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ヘブリンク,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンザ,ジェイムズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベイ,ランディ エス.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,グラハム エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラッキング,レイモンド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ユ,タ−フア
(72)【発明者】
【氏名】コリアー,テリー オー.
【合議体】
【審判長】 鉄 豊郎
【審判官】 清水 康司
【審判官】 中田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/051783(WO,A1)
【文献】 特開2000−329940(JP,A)
【文献】 特開平8−94833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/02-5/04,5/30
B32B7/02,27/08
F21V5/00-5/02
G02F1/1335-1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学物品を通り抜ける垂直でない方向に伝播する光を、前記物品により垂直な方向に変えるように光をコリメートする構造化上面を有する上層と、
前記構造化上面の反対側で前記上層に固定されたコア層と、
前記上層の反対側で前記コア層に固定された下層と、
を含む光学物品であって、
前記上層が、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーの層であり、前記コア層が第2の押出可能なポリマーの層であり、前記第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において5%を超える引張破断伸度とを有し、
前記下層が第3の押出可能なポリマーを含み、
前記下層が、前記コア層の反対側に構造化下面を含む、光学物品。
【請求項2】
前記構造化上面が、複数の凸状構造体を含み
記構造化下面が複数の凹状構造体を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項3】
前記構造化上面が、複数の凹状構造体を含み
記構造化下面が複数の凸状構造体を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項4】
請求項1の光学物品と、
前記コア層の反対側で前記下層に固定された光学フィルムであって、前記光学フィルムが、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含む光学フィルムと、を含む光学体。
【請求項5】
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
前記ディスプレイパネルと前記1つ以上の光源との間に配置された、請求項1に記載の光学物品と、を含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、ディスプレイ装置内の光を管理するために用いることのできる光学物品に関する。この光学物品は、構造化表面を有し、押出法によって作製することができる。
【0002】
液晶ディスプレイ(「LCD」)装置等のディスプレイ装置は、コンピュータのモニター、テレビ、手持ち式デバイス、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等を含む様々な用途に使用されている。LCD装置は、より軽量で、より小型で、より電力が小さいという点で、ブラウン管を採用する従来のディスプレイ装置を上回る利点を複数提供する。LCDパネルは、典型的には、像が生成されるように、前記パネルに光学的に結合される1つ以上の線光源又は点光源によってバックライトを当てられる。
【0003】
ディスプレイ装置内で光学フィルムを用いることは、周知である。バックライト付きディスプレイ装置の場合、均一な高輝度を有するディスプレイを作るために、数多くの異なる光学フィルムが使われることが多い。例えば、光源から伝播する光を拡散させて、パネルの反対側に位置する視聴者に光源が認識されないようにするために、光源とディスプレイパネルとの間に拡散フィルムを配置することができる。しかし、拡散フィルムは、望ましくないことに、ディスプレイパネルで観察される全体的な輝度を低下させる場合がある。したがって、光の方向を変えて再循環できる、すなわち、光学利得と呼ばれることのある現象をもたらす輝度上昇フィルムを用いるのが望ましい場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイ装置内での使用に適していると共に、光学的特性及び機械的特性を向上させているうえに、低コストで製造できる光学物品の開発に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、光学物品を開示する。1つの態様では、この光学物品は、光をコリメートする構造化上面を有する上層と、前記構造化上面の反対側で前記上層に固定されたコア層と、前記上層の反対側で前記コア層に固定された下層とを含み、前記上層又はコア層のいずれかは、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層は、第2の押出可能なポリマーを含み、この第2の押出可能なポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、前記下層は、第3の押出可能なポリマーを有する。この光学物品の下層は、前記コア層の反対側に構造化下面を含んでよく、この構造化下面は、光を拡散させる。
【0006】
別の態様では、光学物品は、構造化上面及び/又は構造化下面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層を有してもよく、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0007】
本明細書では、光学物品を作製する方法も開示する。1つの態様では、この方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第1、第2、及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、第1の押出可能なポリマーで上層を、第2の押出可能なポリマーでコア層を、第3の押出可能なポリマーで下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定する工程と、成形ツールを用いて前記上層の上面を構造化し、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程とを含む。第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、第2の押出可能なポリマーで上層を、第1の押出可能なポリマーでコア層を、第3の押出可能なポリマーで下層を形成してもよい。
【0008】
別の態様では、光学物品が構造化下面を含む場合には、前記方法は、下層の下面を構造化して、光を拡散させる構造化下面を形成する工程を更に含んでもよく、この構造化工程は、下面を成形ツールに接触させるか、又は、下面に粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合させることを含み、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0009】
本明細書には、光学物品の下層が光学フィルムに固定されている光学体も開示されている。1つの態様では、この光学体は、光学フィルムに固定された単一の光学物品を含み、この光学フィルムは、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含んでよい。別の態様では、光学体は、光学フィルムに固定された第2の光学物品を含み、光学フィルムが各光学物品の下層に固定されるようになっている。別の態様では、光学体は、光学物品の構造化上面及び/又は第2の光学物品の構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層を有してもよい。
【0010】
本明細書では、光学体を作製する方法も開示する。1つの態様では、この方法は、光学フィルムを光学物品の下層に固定する工程を含む。別の態様では、この方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第1、第2び第3の押出可能なポリマーを光学フィルムの上に共押出して、第1の押出可能なポリマーで光学フィルム上の上層を、第2の押出可能なポリマーで光学フィルム上のコア層を、第3の押出可能なポリマーで光学フィルム上の下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定し、前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、前記上層を成形ツールと接触させ、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程とを含む。第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、第2の押出可能なポリマーで上層を、第1の押出可能なポリマーでコア層を、第3の押出可能なポリマーで下層を形成してもよい。
【0011】
本明細書では、上記の光学物品及び光学体のいずれか1つ以上を含むディスプレイ装置も開示する。1つの態様では、このディスプレイ装置は、ディスプレイパネルと1つ以上の光源との間に、開示されている光学物品又は光学体を含む。
【0012】
前記光学物品は、数多くの利点を提供する。例えば、ディスプレイ装置内で用いるとき、前記光学物品を用いて、ディスプレイパネルにおける光の均一性と輝度を向上させることができる。また、前記光学物品は、今日の多くのディスプレイ装置の過酷な動作条件で用いるとき、経時的反りを呈したとしても最小限である。別の利点は、前記光学物品が、高ライン速度、かつ少ない工程段階で製造できると共に、従来のウェブハンドリング及びフィルム切断方法に耐えることができる点である。
【0013】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明で更に詳細に記載される。上記概要はいずれも、主張される対象の制限として解釈されるべきではなく、前記対象は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、下記の図と併せて、以下の詳細な説明を考慮すれば、より完全に理解できる。
図1】本明細書で開示される代表的な光学物品の断面図。
図2】本明細書で開示される代表的な光学物品の断面図。
図3】本明細書で開示される代表的な光学物品の断面図。
図4】本明細書で開示される代表的な光学物品の断面図。
図5】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図6】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図7】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図8】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図9】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図10】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図11】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
図12】本明細書で開示される代表的な光学体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で開示するのは、光学物品を通り抜ける光をコリメートするのに有用な光学物品である。この光学物品は一般的にフィルムの形状をしており、構造化上面を有する。この光学物品は、明るさが必要であるいずれかのタイプのディスプレイ装置内、例えば、1つ以上の光源によってバックライトを当てられるLCDパネルを有するLDC装置内で用いてもよい。この場合、光学物品は、前記1つ以上の光源とディスプレイパネルとの間に配置してもよく、前記ディスプレイパネルに面する構造化上面を有する。ほとんどの場合、光学物品は、ディスプレイパネルの面積に匹敵する面積を有することになる。光学物品がディスプレイデバイス内に存在する場合、ディスプレイパネルの輝度が向上する。前記光学物品を用いて光を拡散させて、視聴者が、前記光学物品が使われていないディスプレイ装置と比べて、光源の形、寸法、数などを認識にしにくくなるようにしてもよい。
【0016】
本開示の光学物品は、良好な表面品質を有するように作製できる構造化上面を有する。良好な表面品質を有する構造化上面は、光学純度及び表示均一性のために不可欠である。光学物品内での拡散は、光学物品内の欠点を隠し、光学物品の下のその他のフィルム内の欠点を隠し、複数の光源からの光を混合して、ディスプレイ光の均一性を高めることができる。
【0017】
本明細書で開示されている光学物品は、今日のディスプレイ装置内での使用に適した十分な寸法安定性を呈することができる点でも有益である。今日の装置の動作条件が、高温及び繰り返し温度サイクルに伴い、非常に過酷な場合があるという点から、寸法安定性を提供するのは難しい場合が多い。過酷な動作環境としては、最高で約85℃の温度、最高で約90%の相対湿度、及び400時間にわたり1.5時間ごとに約−30℃〜約85℃という繰り返し温度サイクルを挙げてよい。物品が、滑らかで平らな表面を保持できないと、寸法安定性の欠如は、反りを引き起こす場合があると共に、しわが現れ、その結果、ディスプレイパネルで影が観察される場合がある。寸法安定性に加えて、光学物品は、縁の亀裂なしに細かく切断できるように、十分な強靭性を有さなければならない。これは、材料及び動作上の無駄を最少限にする。
【0018】
本明細書で開示されている光学物品は、押出複製及びエンボス加工法を用いて製造できるという点で、更に別の利点を提供する。これらの方法は、高ライン速度で光学物品を押出及び複製できると共に、押出及び複製を同時に実施できる、すなわち工程段階数を減らせるため、有益である。
【0019】
本開示は、上記の利点の組み合わせを有する光学物品の製造の仕方を教示する。様々な光学物品が当該技術分野において既知であるが、それらの光学物品が必須の構造性及び寸法安定性を有さなければならない場合には、それらの物品を作製するのに用いる材料の組み合わせは、押出複製及びエンボス加工法には適していない。例えば、ポリカーボネートのような特定のポリマーは、寸法安定性及び、押出プロセス中のウェブハンドリングに必要な強靭性のような優れた物理的特性を有するが、これらのポリマーは、高ライン速度で、良好な表面品質を有するように、押出複製又はエンボス加工するのは難しい。ポリスチレン及びポリスチレンコポリマーのような別のポリマーは、優れた表面品質を有するように、押出複製又はエンボス加工できるが、それらの脆性が原因で、取り扱いにくい。スチレンアクリロニトリルコポリマーは、優れた表面品質を有するように、押出複製又はエンボス加工できるが、ダイカット又は転化中に亀裂を起こす傾向がある。フィルム形状の脆性ポリマーは、たわませると、例えばフィルムをロール形状で保管すると、亀裂を呈する場合が多い。
【0020】
本明細書に開示されている光学物品は、適切な選択の材料及び表面構造を有しているため、光学利得の増大をもたらす。また、本明細書に開示されている光学物品は、ヘイズ及び透明性によって測定される、拡散のための光学的要件も満たしており、この要件は、今日のディスプレイ装置内で用いるために不可欠なものである。前記3つの層の各々において上記の特性を有することによって、利得拡散子として機能する光学物品を、高ライン速度で、良好な複製品質を有するように作製することができると共に、層の剥離がほとんど又は全くない状態でダイカットすることができる。これらの利点は良品率の向上をもたらし、製造コストを低下させる。
【0021】
図1は、本明細書に開示されている代表的な光学物品の断面図を示している。光学物品10は3つの層を含み、すなわち、上層12と下層26との間に配置されたコア層14を含む。この上層は、光をコリメートする構造化上面18を含む。一般に、これらの3つの層は、下記のような単一の作業工程で、フィルムの形状で共押出する。したがって、これらの層は、共押出される結果、一体形成されるという意味で、相互に固定されていると言われる。フィルムを形成したら、構造化上面を形成するために、上層を下記のように複製又はエンボス加工する。複雑に複製又はエンボス加工できるが、ウェブハンドリング及びダイカット用としては劣ると思われる材料で上層を作製できるように、コア層は、寸法安定性及び強靭性を光学物品にもたらす。光学物品が、カーリングに耐え、光を拡散させるように、又は、下記のように、光学物品を別のフィルムに付着できるように、下層を設計できる。
【0022】
上層は、光をコリメートする構造化上面を有する。すなわち、光学物品を通り抜ける光において、その物品と直角を成さない(垂直ではない)方向に伝播する光を、物品とより直角を成す(垂直な)方向に変える。この光の方向転換は、一定の視角における輝度の上昇をもたらし、この現象は典型的には、光学利得、又は簡潔に「利得」と称される。大半のケースでは、構造化上面は、少なくとも約1.05の光学利得をもたらすトポグラフィーを有することになる。
【0023】
いくつかの実施形態では、光学物品が光を拡散させるように、構造化上面を構造化する。構造化上面は、光が物品を通り抜けることによって、観察される光の均一性が向上するように、物品を通る光の方向、特に、光の角度広がりを制御する性能を有する光学物品をもたらす点で、光を拡散させると言われる。一般に、構造化上面は、光学物品が用いられることになる特定の用途又は装置に応じて、様々なトポグラフィーを有してよい。構造化上面は、上記のように1つ以上の光源を隠すのに適したトポグラフィーを有してよい。構造化上面は、前記フィルム内、又はディスプレイ内の他のフィルムの傷、綿くず等のような光学的欠点を隠したり、あるいは、グレア、及びディスプレイ装置内の構成要素間で発生することのある望ましくない光学的結合を最小限に抑えるように設計することもできる。
【0024】
構造化上面は、レンズ形若しくはプリズム形、又はこれらの組み合わせを有する複数の構造体を含んでもよい。例えば、構造体は、半球形、長円形、円錐形、放物線形、若しくは角錘形、又はこれらの組み合わせを有してもよい。このケースでは、構造体は、不揃いの形及び寸法を有してもよい。例えば、角錐プリズム形、矩形ベースのプリズム形、及び丸い先端を有するプリズム形等、いずれかの組み合わせの形の合成物も用いてよい。不規則な形のように、不定の細長い形も有用である。不定に傾斜したレンズ形又は不揃いな柱形が特に有用である。不揃いな形の組み合わせも有用である。
【0025】
これらの構造体の寸法も様々であってよい。一般に、これらの構造体は、回折がほとんど又は全く観察されないほど十分に大きいが、肉眼で見ることができないほど十分に小さいのが望ましい。いくつかの実施形態では、これらの構造体は、約1〜約100μm、例えば約5〜約70μmの寸法を有してよい。この複数の構造体は、全て同じ寸法を有する構造体を含んでもよく、あるいは、異なる寸法のものをいずれかの数有してよく、例えば、それらの寸法は不揃いであってよい。
【0026】
前記構造体は、あらゆる方法で、構造化上面の上に配置してよい。例えば、構造体は、ランダムに配置するか、何らかのタイプの規則正しいパターンで配列するか、又はこれらの両方であってもよい。構造体間の距離も様々であってよく、例えば、構造体は、相互にごく近接させるか、実質的に接触させるか、若しくは、相互に直接隣接させるか、又は、何らかの組み合わせで配置してよい。構造体間の有用な距離は、最高で約10μmである。構造体は、相互に対して、角を成すように、かつ横断方向にオフセットしてもよい。
【0027】
一般に、構造体の形、寸法、配置に関する上記の可変要素は、所望の量の光学利得及び必要に応じて所望の量の拡散をもたらすように最適化する。例えば、少なくとも約1.05の利得が望ましく、典型的には、上記の光学的欠点及び/又は光源を隠すには最小量の拡散が必要である。いくつかの実施形態では、構造体は、不揃いな形及び寸法を有し、構造化上面の上にランダムに配置してよい。例えば、構造化上面は、粗面又はつや消し面のようであってよい。1つの実施形態では、構造体は、レンズ形若しくはプリズム形、又はこれらの組み合わせを有してよく、構造体は、不揃いな寸法及び形を有してよい。別の実施形態では、構造体は、半球形、長円形、円錐形、放物線形、若しくは角錐形、又はこれらの組み合わせであってよく、構造体は、不揃いな寸法及び形を有してよい。
【0028】
代表的な構造体及び構造化上面は、米国特許出願公開第2006/0146562 A1号、同第2006/0146566 A1号及び同第2006/0103777 A1号に記載されており、これらは全て参考として本明細書に組み込まれる。有用な構造化上面は、米国特許出願公開第2006/0146562 A1号、同第2006/0146566 A1号及び同第2006/0103777 A1号にも記載されているが、形及び寸法のいずれもランダム分布を有する。
【0029】
上層又はコア層は、第1の押出可能なポリマーを含む。本明細書で使用する場合、ポリマーは、下に記載されていると共に当該技術分野において既知である従来の押出手段を用いて押出すことができる場合には、押出可能であるとみなす。押出可能なポリマーは典型的に熱可塑性ポリマーを含む。第1の押出可能なポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する。一般に、曲げ弾性率は、たわませたときの材料の剛性の尺度として用いられ、ASTM D790に従って測定することができる。得られるフィルムが、向上した寸法安定性を有するため、2.5GPaを超える曲げ弾性率が望ましい。いくつかのケースでは、光学物品が、更に優れた寸法安定性を有するようになるため、曲げ弾性率が約3GPaを超えるのが望ましい場合もある。フィルム物品を曲げるか又は反らせるために必要な力は、曲げ弾性率に依存し、その力は、ポリマーのタイプと分子量の関数であることができる。
【0030】
下記の等式は、フィルム座屈力の曲げ弾性率に対する依存関係を示している。
【0031】
限界座屈力=(E3*π)/L
式中、E=曲げ弾性率
H=厚み
W=幅
L=長さ
上層内で用いる材料は、付与されることになる構造化上面の特定のトポグラフィーに応じて選択することができる。一般に、材料が凝固又は氷結する前に構造体が完全に複製されるように、この材料を選択する。これは、押出プロセス中に材料が保持される温度、及び構造化上面を付与するために用いるツールの温度、並びに、共押出を行っているときの速度に部分的に左右されることになる。典型的には、上層内で用いられる押出可能なポリマーは、大半の動作条件下での共押出複製及びエンボス加工に適応するように、約140℃未満のTg、又は約85〜約120℃のTgを有する。すなわち、上層が第1の押出可能なポリマーを含む場合には、第1の押出可能なポリマーは、約140℃未満のTg、又は約85〜約120℃のTgを有する。同様に、上層が第2の押出可能なポリマーを含む場合には、第2の押出可能なポリマーは、約140℃未満のTg、又は約85〜約120℃のTgを有する。分子量及び溶融粘度のようなその他の特性も考慮しなければならず、それらの特性は、用いる特定のポリマー又はポリマー類に左右されることになる。上層内で用いられる材料も、それらの材料がコア層に対する良好な接着性をもたらして、光学物品の寿命期間中に上層とコア層の剥離を最小限に抑えるように、選択しなければならない。
【0032】
第1の押出可能なポリマーとして用いてよい有用なポリマーとしては、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリメチルメタクリレート、スチレン無水マレイン酸コポリマー、有核半結晶性ポリエステル、ポリエチレンナフタレートのコポリマー、ポリイミド、ポリイミドコポリマー、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、シンジオクタクチック(syndiodactic)ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、及び、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。第1の押出可能なポリマーとして用いてよい特に有用なポリマーとしては、ダウケミカル(Dow Chemical)から入手可能なタイリル(TYRIL)コポリマーとして知られるスチレンアクリロニトリルコポリマーが挙げられ、その例としては、タイリル(TYRIL)880及び125が挙げられる。第1の押出可能なポリマーとして用いてよいその他の特に有用なポリマーとしては、スチレン無水マレイン酸コポリマーのダイラーク(DYLARK)332、及びスチレンアクリレートコポリマーのNAS30が挙げられ、この双方とも、ノバケミカル(Nova Chemical)製である。ケイ酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、又はメチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)酸リン酸ナトリウムのような核化剤とブレンドしたポリエチレンテレフタレートも有用である。
【0033】
いくつかの実施形態では、上部スキン層が、光のコリメーションの向上のために、高い屈折率、例えば630nmで測定した場合に約1.59を超える屈折率を有するのが望ましい。より高い屈折率を有するポリマーは、光の屈折の増大をもたらすと共に、特定の表面形状によって高角光の再循環が増大し、ひいては、利得又は垂直な角度の輝度が増大する。上部スキン層として有用な、高い屈折率を有する代表的なポリマーとしては、CoPEN(ポリエチレンナフタレートのコポリマー)、CoPVN(ポリビニルナフタレートのコポリマー)、及びポリエーテルイミドを含むポリイミドが挙げられる。
【0034】
所望の効果に応じて、上層内で追加の材料を用いてもよい。一般に、順方向に散乱する光の量を最大化するように、上層に追加されるいずれの材料も、望ましくは透明又は半透明である。例えば、上層の曲げ弾性率を上昇させるように、上層は、繊維又は微粒子強化材を有するポリマー複合体を含んでよく、繊維、球体、ナノ粒子又はこれらの組み合わせが、このような材料の例である。
【0035】
下層は、下層に望ましい特性に応じて選択できる第3の押出可能なポリマーを含む。例えば、第3の押出可能なポリマーは、光学物品がカーリングに耐え、及び/又は容易に取り扱うことができるために、平衡状態をもたらすように選択してよい。この場合、第3の押出可能なポリマーは、上層内で用いられる押出可能なポリマーと同じであるか、又は、少なくとも、上層内で用いられる押出可能なポリマーと同じ特性を有するのが望ましい場合がある。例えば、上層が第1の押出可能なポリマーを含む場合、第3の押出可能なポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有するのが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、上層は、第1の押出可能なポリマーを含むことができ、第1及び第3の押出可能なポリマーは同じである。別の実施形態では、上層は、第2の押出可能なポリマーを含むことができ、第2及び第3の押出可能なポリマーは同じである。
【0036】
第3の押出可能なポリマーも、コア層の反対側の下面が、光を拡散させる構造化下面を含むことができるように選択してもよい。この実施形態は図2に示されており、光学物品20は、上層12と下層16との間に配置されたコア層14を含む。この下層は、構造化上面18と同じでも同じでなくてもよい構造化下面22を含む。例えば、構造化下面22は、構造化上面18よりも少ない拡散をもたらすのが望ましい場合があり、これは、光のコリメーションの増大が望まれるときに望ましい。別の例では、構造化下面22は、構造化上面18が光をコリメートするよりも少なく、光をデコリメートするのが望ましい場合がある。
【0037】
下層が構造化下面を含む場合、その材料は、付与されることになる構造化下面の特定のトポグラフィーに応じて選択することができる。一般に、この材料は、材料が凝固又は氷結する前に構造体が完全に複製されるように選択する。これは、押出プロセス中に材料が保持される温度、及び構造化面を付与するために用いるツールの温度、並びに、共押出を行っているときの速度に部分的に左右されることになる。第3の押出可能なポリマーは、大半の動作条件下での共押出複製及びエンボス加工に適応可能である必要がある。分子量及び溶融粘度のようなその他の特性も考慮しなければならず、それらの特性は、用いる特定のポリマー又はポリマー類に左右されることになる。第3の押出可能なポリマーも、下層が接着層又は結合層として機能でき、光学物品を別のフィルムに付着できるように、選択することができる。
【0038】
第3の押出可能なポリマーとして用いてよい有用なポリマーとしては、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、有核半結晶性ポリエステル、ポリスチレン、シンジオクタクチック(syndiodactic)ポリスチレン、ポリスチレンとポリフェニレンオキサイドとの混合物、スチレン−アクリロニトリルコポリマーの混合物、スチレン−アクリロニトリルとポリカーボネートとの混合物、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマー、及びこれらのコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。特定の例としては、上記の材料のうちのいずれかが挙げられる。第3の押出可能ポリマーは、ポリエステル、官能基変性ポリオレフィン、及びポリウレタンからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでよい。有用なポリエステルとしては、コポリエステル、特に、ナフタレンジカルボン酸モノマーから特異的に抽出されるポリエチレンナフタレートのコポリマーが挙げられる。
【0039】
下層が結合層として機能する場合には、第3の押出可能なポリマーは、ポリエステル、例えばイーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763を含むことができる。結合層用として用いられる追加の好適なポリマーとしては、三井化学(Mitsui Chemicals)製のアドマー(ADMER)SE 810及びアドマー(ADMER)AT1614A、並びにデュポン(Dupont)製のバイネル(BYNEL)E418及びフサボンド(FUSABOND)E−556Dのような官能基変性ポリオレフィンが挙げられる。ボスティック(Bostik)製のバイテル(VITEL)1200というコポリエステル、及びバイテル(VITEL)4240というコポリアミドのようなホットメルトの押出可能な接着剤も、下層内で用いることができる。結合層として有用なその他の接着性ポリマーは、ボスティック(Bostik)製のバイテル(VITEL)7119Mというポリウレタン、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のパーフマ(PURHMA)という反応性ホットメルト接着剤である。
【0040】
構造化上面及び構造化下面は同じであるのが望ましい場合があり、あるいは、相互に異なっていてもよい。例えば、構造化上面及び構造化下面が凸状構造体を含むもの、構造化上面が凸状構造体を含み、下面が凹状構造体を含むもの、並びに、構造化上面が凹状構造体を含み、下面が凸状構造体を含むものという組み合わせの構造面が望ましい場合がある。
【0041】
第2の押出可能なポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率、ASTM D256に従って測定した場合において約40KJ/mを超える衝撃強度、及びASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度という組み合わせの特性を有する。曲げ弾性率は、上記のように、たわませたときの材料の剛性の測定値である。ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率を有するポリマーを含む上層又はコア層のいずれかを有すると、独立した物品としての層が亀裂を呈する場合があっても、その光学物品は、亀裂することなしに、たわませたり、曲げたり、巻いたり、微細化したり、ダイカットしたりする等できる。曲げ弾性率は望ましくは、光学物品をダイカットするときに、上及び/又は下層がほとんど又は全く亀裂を呈さないほど十分に低い。
【0042】
光学物品が、上記のように十分な寸法安定性を呈するうえに、従来のウェブハンドリング及びフィルム切断法にも耐えることもできるように、衝撃強度及び延性によって上層又はコア層に強靭性を付与する。一般に、強靭性は、塑性変形すると共に破砕前にエネルギーを吸収する材料性能である。延性は、物が破砕前に塑性変形する程度に関する測定値であるが、材料が延性であるだけでは、その材料は強靭にはならない。強靭性へのカギは、高い強度と高い延性との組み合わせであり、すなわち、強度によって、ポリマーは破砕することなく塑性変形に耐えることが可能になり、延性によって、ポリマーは塑性変形可能になり、光学物品が、従来のウェブハンドリング及びフィルム切断方法に耐えることができるようになる。
【0043】
具体的には、第2の押出可能なポリマーは、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度を有するのが望ましく、この衝撃強度は、アイゾット振り子式耐衝撃性と称されることがある。一般に、第2の押出可能なポリマーは、可能な限り高い、例えば約100J/mを超える衝撃強度を有するのが望ましい。衝撃強度が約40J/m未満である場合には、光学物品は、ウェブハンドリング及びダイカット中に亀裂を起こす可能性が高くなる。一般に、第2の押出可能なポリマーは、可能な限り高い引張破断伸度を有するのが望ましい。ASTM D638に従って測定した場合において約5%超、いくつかの実施形態では約10%超、又は25%超の引張破断伸度を有するのも望ましい。引張破断伸度が約5%未満である場合には、光学物品は、ウェブハンドリング及びダイカット中に亀裂を起こす可能性が高くなる。第2の押出可能なポリマーは、光学物品の寿命期間中に層の剥離を最小限に抑えるために、隣接する層(単一又は複数)が良好な接着性を有するように選択することもできる。
【0044】
第2の押出可能なポリマーとして用いてよい有用なポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリカーボネートとポリエステルとの混合物、スチレンのコポリマー、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレンのコポリマー、スチレンのアルケン重合中間ブロックとのブロックコポリマー、酸及び/又は無水物の官能基を有するポリオレフィン、並びに、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。有用な混合物の例は、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のSA115、及びGEプラスチックス(GE Plastics)製のザイレックス(XYLEX)7200として知られている、ポリカーボネートとコポリエステルとの混合物である。アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマーとしては、ポリブタジエンの存在下でスチレンとアクリロニトリルを重合することによって調製されるコポリマーを挙げてよい。これらの比率は、15%〜35%のアクリロニトリル、5%〜30%のブタジエン及び40%〜60%のスチレンと様々にすることができる。その結果得られるのは、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)の短鎖と十字交差したポリプタジエンの長鎖である。スチレンのアルケン重合中間ブロックとのブロックコポリマーとしては、クラトンポリマーズ(Kraton Polymers)からクラトン(KRATON)Gというコポリマーとして入手可能なものが挙げられる。クラトン(KRATON)Gポリマーは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、又はスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンの水素化中間ブロックとのスチレンブロックコポリマーである。
【0045】
所望の効果に応じて、コア層内で追加の材料を用いてもよい。一般に、順方向に散乱する光の量を最大化するように、コア層に追加されるいずれの材料も、望ましくは透明又は半透明である。例えば、コア層は、繊維、球体、ナノ粒子、又はこれらの組み合わせを有するポリマー複合体を含んでよい。
【0046】
押出によって形成される層のいずれかの中に、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、及び抗酸化剤のような添加剤を混合してもよい。これらの添加剤は、劣化、とりわけ紫外線による劣化から保護するために用いてよい。有用な紫外線吸収剤の例としては、チバスペチャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)製のチヌビン(TINUVIN)1577、チヌビン(TINUVIN)327、及びCGL 139が挙げられる。有用なヒンダードアミン光安定剤の例としては、チバスペチャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)製のチヌビン(TINUVIN)622、並びにグレートレークスケミカルズ(Great Lakes Chemicals)製のロウィライト(LOWILITE)62及び94が挙げられる。有用な抗酸化剤の例としては、チバスペチャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)製のウルトラノックス(ULTRANOX)627及びイルガノックス(IRGANOX)1010が挙げられる。
【0047】
光学物品の総厚は、その光学物品が用いられる特定のディスプレイ装置に応じて様々であってよい。光学物品は、ディスプレイ装置の中に組み込むことができるほど十分に薄い必要があるが、十分な耐反り性を得られるほど十分に厚い必要もあり、すなわち、ディスプレイ装置内部での特定の動作条件に左右される。光学物品の厚みの有用な範囲は、約0.5μm〜約500μm、又は約5μm〜約250μmである。
【0048】
図1に描かれている3つの層は、概ね同じ厚みを有するように示されているが、これらの層は、いずれの組み合わせの厚みでも構築することができる。所与の層の最小厚は、押出条件と併せて、その層を形成するのに用いる材料の機能に依存することが多く、この材料は、流動安定性が最小限に収まるように、最小限の厚みで押出さなければならない。上層及び下層の厚みは典型的に、約0.5μm〜250μm、又は約1μm〜約150μmである。特に、コア層は、ダイカット時に、層の剥離がほとんど又は全く観察されないほど十分に厚くなければならない。コア層の厚みの有用な範囲は、約10μm〜約250μm、約10μm〜約125μm又は約10μm〜約50μmである。材料コストも考慮しなければならず、より安価な材料のより厚い層と組み合わせて、より高価な材料のより薄い層を用いるのが望ましい場合がある。
【0049】
光学物品は、構造化上面若しくは下面、又はこの両方に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層を更に含んでよい。図3は、上層12と下層16との間に配置されたコア層14を有する代表的な光学物品30を示しており、粗い可剥性スキン層32が構造化上面に、粗い可剥性スキン層34が下面に動作可能な状態で接合されている。一般的に、粗い可剥性スキン層は、最初の処理、微細化、ダイカット、保管、取り扱い、梱包、輸送及びその後の処理中に光学物品に付着したままであるように、動作可能な状態で表面に接合するか、又は、これらの工程のいずれかの前又は後に剥ぎ取るか又は取り除くかすることができる。例えば、粗い可剥性スキン層は、ディスプレイ装置内に実装する直前に取り除くことができる。粗い可剥性スキン層は、米国特許出願公開第2006/0093809 A1号に記載されており、この開示は、参考として本明細書に組み込まれる。
【0050】
図4は、上層12と下層16との間に配置されたコア層14を有する代表的な光学物品40を示しており、粗い可剥性スキン層34が、下層の下面に動作可能な状態で接合されている。この実施形態では、粗い可剥性スキン層は構造化下面に動作可能な状態で接合されており、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0051】
別の代表的な光学物品は、構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層を有する。この実施形態では、粗い可剥性スキン層は構造化上面に動作可能な状態で接合されており、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0052】
図3に示されている光学物品では、光学物品は、構造化上面に動作可能な状態で接合された第1の粗い可剥性スキン層であって、第1の粗い可剥性スキン層が第1の連続相と第1の分散相とを含み、第1の連続相が第1の連続相ポリマーを含み、第1の分散相が第1の粒子又は分散相ポリマーを含み、第1の分散相ポリマーが前記第1の連続相ポリマーと不混和性である第1の粗い可剥性スキン層と、構造化下面に動作可能な状態で接合された第2の粗い可剥性スキン層であって、第2の粗い可剥性スキン層が第2の連続相と第2の分散相とを含み、第2の連続相が第2の連続相ポリマーを含み、第2の分散相が第2の粒子又は第2の分散相ポリマーを含み、第2の分散相ポリマーが前記第2の連続相ポリマーと不混和性である第2の粗い可剥性スキン層とを含む。
【0053】
粗い可剥性スキン層内で用いられる材料は、粗い可剥性スキン層が動作可能な状態で接合される表面に対する特定の量の接着性をもたらすように選択することができる。例えば、剥離力は少なくとも約0.8g/センチ(2g/インチ)〜約47.2g/センチ(120g/インチ)であるのが有用である場合が多いが、剥離力は、用途及び取り外す方法に応じて、47.2g/センチ(120g/インチ)を超えることもできる。
【0054】
上記のように、粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、その連続相は連続相ポリマーであり、分散相は、粒子、又は前記連続相ポリマーと不混和性である分散相ポリマーである。この材料は、動作可能な状態で接合される表面が粗くなるか及び/又は複数の構造体を含むように選択してよい。続いて、この表面を用いて、光学物品の表面に粗さ又は構造体を付与できる。例えば、粗い可剥性スキン層は、光学物品の下面に動作可能な状態で接合される粗面を含み、その粗面が下面に粗さを付与するようになっていてよい。別の例では、粗い可剥性スキン層は、動作可能な状態で接合された表面上に複数の突出部又は凸状構造体を含み、その表面が、光学物品の上面及び/又は下面に複数の凹状構造体を付与するようになっていてよい。
【0055】
連続相ポリマーとして用いるのに適した材料としては、低い溶融点及び低い結晶化度特性を有するポリマーが挙げられ、又は、この材料は非晶質であってもよい。例としては、ポリオレフィン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンとのランダムコポリマー、ポリエステル、スチレンアクリロニトリル、中密度ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリカーボネート及びポリエステルの混合物、プロピレンランダムコポリマー、若しくはこれらのコポリマーのいずれか、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。分散相ポリマーとして用いるのに適した材料としては、連続相ポリマーの結晶化度よりも高い結晶化度を有するポリマーのように、連続相ポリマーと不混和性であるポリマーが挙げられる。好適な分散相ポリマーとしては、スチレンアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、ポリカーボネード、ポリエステル及びポリカプロラクトンポリマーが挙げられる。粗い可剥性スキン層内で用いることができる2つの異なるポリマーの例としては、シンジオタクチックポリプロピレンと混合されたe−カプロラクトンポリマー、ポリエチレンオクテンコポリマーと混合されたポリプロピレンコポリマー、高密度ポリエチレンとのシンジオタクチックポリプロピレン、低密度コポリエチレンとのシンジオタクチックポリプロピレン、高密度ポリエチレンとのプロピレンとエチレンのランダムコポリマー、及び線状低密度ポリエチレンとのシンジオタクチックポリプロピレンが挙げられる。分散相として用いるのに適した粒子の例としては、シリカ、タルク、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ガラス球体、セラミック球体又はこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー粒子及び架橋ポリマー粒子も用いてよい。
【0056】
上層、コア層、及び下層を押出して光学物品を形成している間又はその後のいずれかに、粗い可剥性スキン層を光学物品の上に押出すことができる。粗い可剥性スキン層は、コーティング、キャスティング又はラミネーションによって塗布することができる。
【0057】
光学物品は、光を伝播する効率が高くなるように、光学的に透過性である。いくつかの実施形態では、偏光が所望に反して回転しないように、光学物品は、面内及び面外の双方で、約0.05未満、約0.01未満又は約0.005未満の複屈折を有する。
【0058】
本明細書に開示されている光学物品は、押出可能なポリマーを共押出することによって形成してよい。押出条件は、押出可能なポリマーを供給流及び溶解流として、連続的かつ安定した様式で、適切に供給、溶解、混合及びポンプ注入するように選択する。それぞれの溶解流を形成し、維持するために使用される温度は、下端での凝固、結晶化、又は過度の高圧力低下を低減し、上端での分解を低減する範囲内となるように選択される。好ましくは、第1の光学層、第2の光学層、及び任意の非光学層のポリマーは、流動を乱すことなく共押出できるように、同様のレオロジー特性(例えば溶融粘度)を有するように選択する。
【0059】
それぞれの供給流は、ポリマー流量を連続的かつ均一に調節するため使用されるギアポンプにネック管を通して搬送される。静的混合装置は、均一な溶解流温度でギアポンプからフィードブロックに溶解流を運ぶためにネック管の末端部に設置されてもよい。通常溶解流全体は、溶解流の均一流量を向上すること、及び溶解処理中の分解を低減することの両方を可能にするように均一に加熱される。
【0060】
上層及び下層が同一材料を含む場合、押出可能なポリマーを上層及び下層のそれぞれに1つずつ、2つの溶解流に分割するために、多層フィードブロックを使用してもよい。いずれの溶解流から生成される層は、主流路からフィードブロック多岐管の層スロットに続く側路管に連続的に溶解流の一部分を流出することによって生成される。層の流れは、多くの場合、個々の側路管及び層スロットの形状並びに物理寸法に加えて、機械装置を選択することによって制御される。
【0061】
フィードブロックの下流側多岐管は、多くの場合、一体化された多層積み重ね体の層を横方向に圧縮し、均一に塗布するように成形される。次いで、フィードブロック多岐管から出てくる多層積み重ね体を単一多岐管ダイ等の最終ユニットに入れてもよい。次いで結果として生じるウェブを、鋳造ホイール又は鋳造ドラムと称される冷却ロール上で鋳造してもよい。この鋳造は、多くの場合、ニップロールを使用することによって助長される。一般に、ウェブは、ウェブ全体にわたり均一の厚さに鋳造されるが、ダイの縁を制御することによって、ウェブの厚さの意図的なプロファイリングを行ってもよい。別の方法としては、鋳造前に層を塗布し、一体化するために、複多岐管押出成形ダイを使用してもよい。
【0062】
冷却後、続いて、切断して、積み重ねることのできるシート等として細分化する等によって、光学物品を処理することができる。
【0063】
上記の構造化面は、上層の表面を成形ツールと接触させることによって作製する。この工程は、上層を押出した直後、又は、しばらく経って別の工程内のいずれかで行ってよい。構造化面は、キャスティング、カレンダー加工、コーティング、ベルトキャスティングのようないずれかの接触技法、又は圧縮技法によって作製することができる。より具体的には、構造化面は、光学物品用に所望される構造化面と正反対のものである構造化面を有するツールによって、形成することができる。このツールのトポグラフィーは、そのツールの材料及び機構に応じて選択することのできるいずれかの数の技法によって形成することができる。実例的な技法としては、エッチング、例えば化学エッチング若しくは反応性イオンエッチング、又は、レーザアブレーション、エングレービング、ビードブラスト、サンドブラスト、フォトリソグラフィー、ステレオリソグラフィー、マイクロマシーニング、ナーリング、スコーリング、切断等のようなその他の手段が挙げられる。
【0064】
1つの実施形態では、光学物品を作製する方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第1、第2及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、第1の押出可能なポリマーで上層を、第2の押出可能なポリマーでコア層を、第3の押出可能なポリマーで下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定する工程と、成形ツールを用いて前記上層の上面を構造化し、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程とを含む。この上層も、粗い可剥性スキン層を上層に動作可能な状態で接合することによって構造化してもよい。
【0065】
別の態様では、上記の方法は、下層の下面を構造化して、光を拡散させる構造化下面を形成する工程を更に含んでもよく、この構造化工程は、前記下面を成形ツールに接触させるか、又は下面に粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合させることを含み、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0066】
別の態様では、光学物品を作製する方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、第2の押出可能なポリマーで上層を、第1の押出可能なポリマーでコア層を、第3の押出可能なポリマーで下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定する工程と、成形ツールを用いて前記上層の上面を構造化し、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程とを含んでよい。この上層も、粗い可剥性スキン層を上層に動作可能な状態で接合することによって構造化してもよい。
【0067】
別の態様では、上記の方法は、下層の下面を構造化して、光を拡散させる構造化下面を形成する工程を含んでもよく、この構造化工程は、下面を成形ツールに接触させるか、又は下面に粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合させることを含み、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0068】
図5は、本明細書に開示されている光学体50の断面図を示しており、光学フィルム42が、下層16の下面に固定されている。様々なタイプの光学フィルムを用いてよい。光学フィルムは、全複屈折光学層、部分複屈折光学層又は全等方光学層の何らかの組み合わせから構成される多層光学フィルムであってよい。光学フィルムは、10個以内の層、数百、又は更には数千の層を有することができる。多層光学フィルムは、様々な用途に幅広く使用される。例えば、反射偏光子及びミラーをLCD装置内で用いて、ディスプレイパネルにおける輝度を向上させるか及び/又はグレアを低減できる。光学フィルムは、サングラス内で用いて光強度及びグレアを低減できる偏光子であってもよい。光学フィルムは、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0069】
有用な光学フィルムとしては、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)デュアル輝度上昇フィルム(Dual Brightness Enhanced Film)(DBEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度上昇フィルム(Brightness Enhanced Film)(BEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)拡散反射偏光フィルム(Diffuse Reflective Polarizer Film)(DRPF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)増強正反射体(Enhanced Specular Reflector)(ESR)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)高度偏光フィルム(Advanced Polaring Film)(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれも3M社(3M Company)から入手可能である。有用な光学フィルムは、米国特許第5,825,543号、同第5,867,316号、同第5,882,774号、同第6,352,761 B1号、同第6,368,699 B1号、同第6,927,900 B2号、米国特許出願公開第2006/0084780 A1号、同第2001/0013668 A1号、米国特許出願第09/229724号、国際公開第95/17303号、同第95/17691号、同第95/17692号、同第95/17699号、同第96/19347号、同第97/01440号、同第99/36248号及び同第99/36262号にも記載されており、これらは全て参考として本明細書に組み込まれる。これらの光学フィルムは単に実例のためのものであり、用いることのできる好適な光学フィルムの完全なリストと意図されたものではない。
【0070】
光学フィルムは、1つ以上の非光学層、すなわち、光学フィルムの光学特性の決定にあまり関与しない層を有してよい。この非光学層を用いて、機械的特性、化学的特性、光学的特性等、上記の参考文献に記載されているいずれかの数の追加の特性、引裂き又は穿刺抵抗、耐候性、耐溶剤性を付与するか又は向上させてよい。
【0071】
1つの実施形態では、上記の光学体は、構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層を更に含んでもよく、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0072】
図5に示されている光学体は、本明細書に開示されている光学物品を準備し、光学フィルムを準備し、その光学フィルムをコア層の反対側で下層に固定して作製してよい。固定作業は、例えば、下層が結合層含む場合、又は、下層に固定されることになる光学フィルムの表面上に結合層が存在する場合には、ラミネートによって行ってよい。固定作業は、下層又は光学フィルムのいずれかに接着剤を塗布してから、光学物品及び光学フィルムを一緒にラミネートして光学体を形成することによっても行ってよい。この実施形態は図6に示されており、光学体60は、下層16と光学フィルム42との間に配置された接着層62を含む。接着層は、光学物品を形成する3つの層を共押出している間又はその後のいずれかに、下層の上に押出すことのできる透明なホットメルト接着剤を含むこともできる。透明なホットメルト接着剤も、光学フィルムの上に押出すか、又は光学フィルムと共押出することができる。この接着層は、感圧性接着剤、又は紫外線硬化接着剤のような硬化性接着剤も含むことができる。
【0073】
図5に示されている光学体も、光学物品を形成する3つの層を直接、光学フィルムの上に共押出することによって作製してよい。すなわち、この光学体を形成する方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第1、第2及び第3の押出可能なポリマーを光学フィルムの上に共押出して、第1の押出可能なポリマーで光学フィルム上の上層を、第2の押出可能なポリマーで光学フィルム上のコア層を、第3の押出可能なポリマーで光学フィルム上の下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定し、前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、前記上層を成形ツールと接触させ、それによって、光をコリメートする構造化面を形成する工程とを含んでよい。この上層も、粗い可剥性スキン層を上層に動作可能な状態で接合することによって、構造化してもよい。
【0074】
図5に示されている光学体も、光学物品を形成する3つの層を直接、光学フィルムの上に共押出することによって作製してよい。すなわち、この光学体を形成する方法は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを光学フィルムの上に共押出して、第2の押出可能なポリマーで光学フィルム上の上層を、第1の押出可能なポリマーで光学フィルム上のコア層を、第3の押出可能なポリマーで光学フィルム上の下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定し、前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、前記上層を成形ツールと接触させ、それによって、光をコリメートする構造化面を形成する工程とを含んでよい。この上層も、粗い可剥性スキン層を上層に動作可能な状態で接合することによって構造化してもよい。
【0075】
本明細書に開示されている別の実施形態は、図7に示されている光学体70の実施形態である。この実施形態では、光学フィルム42が、下層16の下面と第2の下層72に固定されている。第2の下層に隣接しているのは第2のコア層74であり、第2の上層76は、第2の構造化上面78を有する。この光学体は、光をコリメートする第1の構造化上面18と、第1の構造化上面の反対側で第1の上層に固定された第1のコア層14とを有する第1の上層12と、第1の上層の反対側で第1のコア層に固定された第1の下層16を含む第1の光学物品であって、第1の上層又は第1のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第2の押出可能なポリマーを含み、この第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、第1の下層が第3の押出可能なポリマーを含む、第1の光学物品と、光を拡散させる第2の構造化上面78を有する第2の上層76と、第2の構造化上層の反対側で第2の上層に固定された第2のコア層74と、第2の上層の反対側で第2のコア層に固定された第2の下層72とを含む第2の光学物品であって、第2の上層又は第2のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第4の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第5の押出可能なポリマーを含み、この第5の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、第2の下層が第6の押出可能なポリマーを含む、第2の光学物品と、第1及び第2の下層に固定された光学フィルム42であって、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む光学フィルム42とを含む。
【0076】
第1の構造化上面18に、粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合してよく、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0077】
図8に示されているように、粗い可剥性スキン層は第2の構造化上面76に、動作可能な状態で接合されてもよく、この粗い可剥性スキン層は連続相と分散相とを含み、この連続相は連続相ポリマーを含み、分散相は粒子又は分散相ポリマーを含み、分散相ポリマーは、前記連続相ポリマーと不混和性である。
【0078】
光学体が、第1の構造化上面に動作可能な状態で接合された第1の粗い可剥性スキン層であって、第1の粗い可剥性スキン層が第1の連続相と第1の分散相とを含み、第1の連続相が第1の連続相ポリマーを含み、第1の分散相が第1の粒子又は第1の分散相ポリマーを含み、第1の分散相ポリマーが前記第1の連続相ポリマーと不混和性である第1の粗い可剥性スキン層と、第2の構造化上面に動作可能な状態で接合された第2の粗い可剥性スキン層であって、第2の粗い可剥性スキン層が第2の連続相と第2の分散相とを含み、第2の連続相が第2の連続相ポリマーを含み、第2の分散相が第2の粒子又は第2の分散相ポリマーを含み、第2の分散相ポリマーが前記第2の連続相ポリマーと不混和性である第2の粗い可剥性スキン層とを含むように、粗い可剥性スキン層を、第1の構造化面18及び第2の構造化面78の双方に動作可能な状態で接合してよい。
【0079】
図9は、第2の上層76に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層92を含む代表的な光学体90を示している。第1の構造化上層18は、複数の凸状構造体を含む。粗い可剥性スキン層92は、複数の突出部を含む。図10は、代表的な光学体100を示しており、第2の構造化上面が複数の凹状構造体によって構造化されるように、粗い可剥性スキン層92が取り除かれている。
【0080】
本明細書に開示されている別の実施形態は、図11に示されている光学体110の実施形態である。この実施形態では、光学フィルム42が、下層16の下面と第2の下層72に固定されている。第2の下層に隣接しているのが、上記の第4又は第5の押出可能なポリマーのいずれかを含んでよい第2の上層76である。この光学体は、光をコリメートする第1の構造化上面を有する第1の上層12と、第1の構造化上面の反対側で第1の上層に固定された第1のコア層14と、第1の上層の反対側で第1のコア層に固定された第1の下層16とを含む第1の光学物品であって、第1の上層又は第1のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第2の押出可能なポリマーを含み、この第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、第1の下層が第3の押出可能なポリマーを含む、第1の光学物品と、光を拡散させる第2の構造化上面78を有する第2の上層76と、第2の構造化上層の反対側で第2の上層に固定された第2の下層72とを含む第2の光学物品であって、第2の上層が、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第4の押出可能なポリマー、又は、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第5の押出可能なポリマーのいずれかを含み、第2の下層が第6の押出可能なポリマーを含む、第2の光学物品と、第1の下層16と第2の下層72に固定された光学フィルム42であって、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む光学フィルム42とを含む。第1の構造化上面、第2の構造化上面、又はこの両方に、粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合してもよい。
【0081】
図11に示されている特定の実施形態では、代表的な光学体110は、第2の上層76に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層112を含み、第1の構造化上面18は、複数の凸状構造体を含む。粗い可剥性スキン層112も、複数の突出部を含む。図12は、代表的な光学体120を示しており、第2の構造化上面が複数の凹状構造体によって構造化されるように、粗い可剥性スキン層112が取り除かれている。
【0082】
2つの光学物品を含む光学体は、上記のように層のいずれかを光学フィルムの上に押出すか、又は、既に作製済みの光学物品を光学フィルムの上に固定することによって作製してよい。例えば、2つの光学物品を含む光学体は、第1及び第2の光学物品の層を光学フィルムの上に同時に押出すことによって作製してもよい。あるいは、所定の順序で、いずれかの層を押出してもよく、例えば、第1の光学物品を形成するのに用いる層を光学フィルムの上に押出し、いずれかの時間が経過してから、第2の光学物品を形成するのに用いる層を光学フィルムの別の側面に押出してよい。第1の光学物品を形成するのに用いる層を光学フィルムの上に押出し、いずれかの時間が経過してから、上記のように第2の光学物品を光学フィルムの別の側面に固定することも可能である。
【0083】
2つの光学物品を含む光学体においては、光学体は、いずれかの数の様式で非対称であってよい。すなわち、上層は様々な厚みを有してよく、コア層は様々な厚みを有してよく、及び/又は、下層は様々な厚みを有してよい。同様に、第1及び第4の押出可能なポリマーは異なっていてよく、第2及び第5の押出可能なポリマーは異なっていてよく、並びに/又は、第3及び第6の押出可能なポリマーは異なっていてよい。一般に、用いられる特定の組み合わせの層は、光学体用に意図された所望の特性、機能等に応じて選択してよい。例えば、光学体の反りを誘発するために、層の組み合わせを選択してよい。第4の押出可能なポリマーとして有用な材料としては、第1の押出可能なポリマー用として上記したもの、第5の押出可能なポリマーとして有用な材料としては、第2の押出可能なポリマー用として上記したもの、第6の押出可能なポリマーとして有用な材料としては、第3の押出可能なポリマー用として上記したものが挙げられる。前記構造化面は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、第2の構造化上面は、第1の構造化上面よりも大きい拡散をもたらしてもよい。構造化面が異なる場合には、それらの構造化面は、異なる方法で形成してよく、例えば、第1の構造化上面は、共押出直後に、かつ、ローラー形状の成形ツールを用いることによって構造化してよく、第2の構造化上面は、しばらく経ってから、ローラー又はスタンプによってエンボス加工することによって構造化してよい。
【0084】
本発明は、下記の実施例を鑑みれば、更に完全に理解することができる。
【実施例】
【0085】
試験方法
ヘイズ及び透明性
ヘイズガード(Hazeguard)(登録商標)プラスヘイズメーター(Plus Hazemeter)(BYK−ガードナーUSA(BYK-Gardner USA)製)を用いて、ヘイズと透明性について、フィルムを測定した。ヘイズはASTM D−1003に従って、透明性は、前記計器のマニュアルに記載の試験方法に従って測定した。
【0086】
利得
輝度上昇は、液晶ディスプレイの輝度上昇の測定値をシミュレートするように設計された「利得試験機」を用いて測定した。利得試験機は、スポット光度計と、バックライトからの1つの偏光のみが光度計によって測定されるように、スポット光度計との間に偏光子を備える好適なバックライトを用いて製作した。好適なスポット光度計としては、ミノルタ(Minolta)LS−100及びLS−110が挙げられる。バックライトは、ランドマーク(Landmark)から入手し、偏光子は、偏光子の通過軸がバックライトの長軸と揃うように配向した高コントラストディスプレイ偏光子であった。サンプルの通過軸が高コントラスト偏光子の通過軸と揃うように、サンプルフィルムを上記試験機に挿入した。バックライト全体を覆うほど十分に大きくサンプルを作製した。輝度上昇又は利得は、偏光フィルムを備える利得試験機の輝度の、偏光フィルムのない利得試験機の輝度に対する比率として測定した。
【0087】
反り試験
熱衝撃チャンバ(エンバイロトロニクス社(Envirotronics, Inc.)製のモデルSV4−2−2−15、環境試験チャンバ(Environmental Test Chamber))の中にフィルムを配置して、96回のサイクルを行うことによって、反りについて、フィルムを試験した。各サイクルは、85℃で1時間の後に−35℃で1時間という構成であった。その後、このフィルムをチャンバから除去し、しわを検査する。フィルムの表面全体に多くの深いしわが存在する場合には、反りは容認できないと考えられる。浅いしわが殆ど無い、又は、フィルムが滑らかに見える場合に、反りは一般に容認できると考えられる。
【0088】
比較例
PENが交互になっている層から反射偏光子(DBEF)を作製し、ゴムロールとマット仕上げのキャスティングホイールとの間のニップの直前に、CoPEN5545HD(ジカルボン酸コモノマーとして55モル%のナフタレンジカルボン酸と、45モル%のテレフタル酸ジメチル、及び、ヒドロキシルコモノマーとして95.8モル%のエチレングリコールと、4モル%の1,6ヘキサンジオールと、0.2モル%のトリメチロールプロパンを含む)を赤外線加熱で65℃まで予熱した。CoPEN5545HD接着層とスチレンアクリロニトリル(ダウケミカル(Dow Chemical)製のタイリル(TYRIL)880)の高弾性層をDBEFの上に共押出し、ニップの中に、毎分7.5フィートでコーティングした。これらのポリマーを、271℃で、CoPEN5545HD接着結合層の厚さ127μm(0.5ミル)、タイリル(TYRIL)880高弾性層の厚さ150μm(6ミル)で共押出した150rmsの表面粗さにビードブラストしたマット仕上げのキャスティングホイールにタイリル(TYRIL)880高弾性層を押し付けた。すなわち、タイリル(TYRIL)880ポリマー層を拡散表面でエンボス加工した。同様の共押出コーティングをDBEF反射偏光子の反対側に施した。この構造体は、米国特許第6,673,425号の実施例3に記載されているものと同じである。この構造体は、85℃に加熱してから−35℃に冷却したとき、反りをほとんど又は全く呈さなかった。しかし、この構造を、従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、構造体の縁部に沿って1mmを超える亀裂が形成された。
【0089】
(実施例1)
ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、SAN(ダウ(DOW)製のタイリル(TYRIL)880)のスキン層を有する3層フィルムを、260℃(500°F)未満のSAN押出プロセス温度で共押出し、ニップの中に、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、52℃(125°F)の温度でコーティングした。キャスティングライン速度は、0.38m/s(78フィート/分)で、フィルムの脆性によるウェブハンドリングの問題はなかった。この3層フィルムは、127μm(5ミル)の厚みを有し、スキン層:コア層:スキン層の厚さ比は2:1:2であった。このフィルムは、99%のヘイズと50%の透明性を有し、縁の亀裂なしで細かく切断された。このフィルムは、1.33の利得を呈すると共に、85℃に加熱してから−35℃に冷却したとき、反りをほとんど又は全く呈さなかった。このフィルムを、従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、フィルムの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されなかった。
【0090】
(実施例2)
約110℃のTgを有するポリカーボネート/コポリエステル混合物(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のSA115)のコア層と、SAN(ダウ(DOW)製のタイリル(TYRIL)880)のスキン層を有する3層フィルムを、260℃(500°F)未満のSAN押出プロセス温度で共押出し、半球様の複製表面を有するベルトキャスティングツールに対して892kg/m(50ポンド/直線インチ)の圧力、68℃(155°F)の温度で、ニップの中に入れた。キャスティングライン速度は、0.127m/秒(25フィート/分)で、フィルムの脆性によるウェブハンドリングの問題はなかった。この3層フィルムは、178μm(7ミル)の厚みを有し、スキン層:コア層:スキン層の厚さ比は2.5:2:2.5であった。このフィルムは、52%のヘイズと9.4%の透明性を有し、縁の亀裂なしに細かく切断された。このフィルムは1.11の利得を呈した。このフィルムに対して前記反り試験を行った後、反りはほどんと又は全く観察されなかった。
【0091】
このフィルムを切断して、紫外線硬化アクリル酸系接着剤を用いて、切断片を反射偏光フィルム(3M(商標)社製のビキュイティ(Vikuiti)(商標)DBEF)の反対側に付着させた。得られたラミネート反射偏光子は、1.64の利得を有すると共に、85℃に加熱してから−35℃に冷却したとき、反りをほとんど又は全く呈さなかった。このフィルムを、従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、フィルムの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されなかった。
【0092】
(実施例3)
ポリカーボネートと非晶質ポリエステルとの混合物(GE製のザイレックス(XYLEX)7200)のコア層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)のスキン層を有する3層フィルムを、実施例2で記載されているように共押出した。この3層フィルムは、178μm(7ミル)の厚みを有すると共に、スキン層:コア層:スキン層の厚さ比は2.5:2:2.5であった。このフィルムは、52%のヘイズと9.4%の透明性を有し、縁の亀裂なしに細かく切断された。このフィルムは、1.11の利得を呈すると共に、85℃に加熱してから−35℃に冷却したとき、反りをほとんど又は全く呈さなかった。
【0093】
このフィルムを切断して、紫外線硬化アクリル酸系接着剤を用いて、切断片を反射偏光フィルム(3M(商標)社製のビキュイティ(Vikuiti)(商標)DBEF)の反対側に付着させた。得られたラミネート反射偏光子は1.64の利得を有した。このフィルムに対して前記反り試験を行った後、反りはほとんど又は全く観察されなかった。このフィルムを、従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、フィルムの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されなかった。
【0094】
(実施例4)
CoPEN5545HDは、1,6−ヘキサンジオールを含むジオールの混合物と縮合されるナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸の酸及び/又はエステルを用いて作られたコポリエステルである。具体的には、55モル%の二酸部分が、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステルの使用によって得られ、45モル%の二酸部分が、テレフタル酸又はそのエステルの使用によって得られる。
【0095】
SAN(タイリル(TYRIL)880)の上部スキン層、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(3M(商標)社製のCoPEN5545HD)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを、反射偏光フィルム(3M(商標)社製のビキュイティ(Vikuiti)(商標)DBEF)の上に共押出し、同時に、細長い半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8070kg/m(452ポンド/直線インチ)の圧力、104℃(220°F)の温度で、ニップの中にコーティングした。キャスティングライン速度は、0.38m/秒(75フィート/分)で、フィルムの脆性によるウェブハンドリングの問題はなかった。この3層フィルムは、127μm(5ミル)の厚みを有すると共に、スキン層:コア層:結合層の厚さ比は2:2:1であった。このフィルムは、ガードナー(Gardner)ヘイズメーターで測定した場合において約97%のヘイズと約8%の透明性を有した。このフィルムは、実効伝送試験機を用いて割り出した場合において、1.82の利得係数を呈した(DBEFフィルムの利得係数は1.68であった)。このフィルムに対して前記反り試験を行った後、反りはほどんと又は全く観察されなかった。このフィルムを、従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、フィルムの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されなかった。
【0096】
追加の実施形態
以下の実施例は、作製することのできる追加の実施形態を示すものである。
【0097】
実施形態1
ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、スチレンアクリレートコポリマー(ノバケミカル(Nova Chemical)製のNAS36)のスキン層を有する3層フィルムを、実施例1で記載されているように作製する。
【0098】
実施形態2
約110℃のTgを有するポリカーボネート/コポリエステルの混合物(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のSA115)のコア層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)の中間スキン層と、中密度ポリエチレンとのプロピレン系ランダムコポリマーの混合物(トータルペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)製のトータルポリプロピレン(TOTAL POLYPROPYLENE)8650、60重量%/CPケミカルズ(CP Chemicals)製のTR130、40重量%)の外側スキン層を有する5層フィルムを、キャスティングホイールの表面に対して892kg/m(50ポンド/直線インチ)の圧力、32℃(90°F)の温度、0.127m/秒(25フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中に共押出することによって作製する。この5層フィルムは、178μm(7ミル)の厚みを有すると共に、外側スキン層:中間スキン層:コア層:中間スキン層:外側スキン層の厚さ比が1.5:2:1:2:1.5になるように作製する。続いて、外側スキン層を取り外し、得られた3層フィルムを細片に切断する。
【0099】
紫外線硬化アクリル酸系接着剤を用いて、3層フィルムの1つ以上の切断片を反射偏光フィルムに付着させる。様々な組み合わせの押出フィルムを反射偏光子に付着させる。例えば、図7に示されているように、この実施形態のフィルムを反射偏光子の下側に付着させ、実施例1のフィルムを上側に付着させる。
【0100】
実施形態3
スチレンアクリレートコポリマー(ノバケミカル(Nova Chemical)製のNAS36)の上部スキン層と、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを、反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、96℃(250°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この3層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、スキン層:コア層:結合層の厚さ比は、2:2:1である。所望に応じて、同じ3つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出する。スキン層は、構造化してもしなくてもよい。
【0101】
実施形態4
SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL))の上部スキン層と、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを、反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、96℃(250°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この3層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、スキン層:コア層:結合層の厚さ比は、2:2:1である。所望に応じて、同じ3つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出し、外側スキン層を任意で構造化する。
【0102】
実施形態5
CoPEN7525HDは、1,6−ヘキサンジオールを含むジオールの混合物と縮合されるナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸の酸及び/又はエステルを用いて作られたコポリエステルである。具体的には、75モル%の二酸部分が、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステルの使用によって得られ、25モル%の二酸部分が、テレフタル酸又はそのエステルの使用によって得られる。
【0103】
ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)の中間スキン層と、コポリエステル(CoPEN7525HD)の外側スキン層を有する5層フィルムを、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、52℃(125°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中に共押出することによって作製する。この5層フィルムは、178μm(7ミル)の厚みを有すると共に、外側スキン層:中間スキン層:コア層:中間スキン層:外側スキン層の厚さ比は、1:2:1:2:1である。得られたフィルムは、少なくとも1.3の利得と、90%を超えるヘイズを有する。
【0104】
実施形態6
ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)の中間スキン層と、コポリエステル(CoPEN7525HD)の外側スキン層を有する5層フィルムを、反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、52℃(125°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この5層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、外側スキン層:中間スキン層:コア層:中間スキン層:外側スキン層の厚さ比は、1:2:1:2:1である。所望に応じて、同じ5つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出し、外側スキン層を任意で構造化する。
【0105】
実施形態7
ケイ酸マグネシウムを有する有核結晶性コポリエチレンテレフタレートを以下のように調製する。バッチ反応器にテレフタル酸ジメチル(5,000kg)、エチレングリコール(3,002kg)、500kgのエチレングリコール中に事前に溶解させたケイ酸マグネシウム(33kg)、酢酸マンガン(II)(1.2kg)、及び酢酸アンチモン(III)(1.6kg)を入れる。この混合物を1520トール(2×10N/m)の圧力で254℃まで加熱しながら、エステル交換反応で副生されるメタノールを除去する。1,649kgのメタノールが除去された後、ホスホノ酢酸トリエチル(2.45kg)を反応器具に加え、圧力を1トール(131N/m)まで徐々に低下させながら、280℃まで加熱する。0.74の固有粘度(フェノール/ジクロロベンゼンの60/40混合物中で測定)を有するポリマーが生成されるまで、縮合による副生物であるエチレングリコールを継続的に除去する。
【0106】
有核結晶性コポリエステルの上部スキン層と、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の複製表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、24℃(75°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この3層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、外側スキン層:コア層:結合層の厚さ比は、2:2:1である。所望に応じて、同じ3つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出し、外側スキン層を任意で構造化する。
【0107】
実施形態8
ケイ酸マグネシウムを有するコポリエチレンテレフタレートを以下のように作製する。バッチ反応器に、1,4テレフタル酸ジメチル(4,866kg)、1,3,5ジメチルナトリウムスルホン化イソフタレート(230kg)、エチレングリコール(3,002kg)、500kgのエチレングリコール中に事前に溶解させた酢酸ナトリウム(33kg)、酢酸コバルト(0.5kg)、酢酸亜鉛(1.1)、及び酢酸アンチモン(III)(1.6kg)を入れる。この混合物を1520トール(2×10N/m)の圧力で254℃まで加熱しながら、エステル交換反応で副生されるメタノールを除去する。1,649kgのメタノールが除去された後、ホスホノ酢酸トリエチル(1.5kg)を反応器具に加え、圧力を1トール(131N/m)まで徐々に低下させながら、280℃まで加熱する。0.74の固有粘度(フェノール/ジクロロベンゼンの60/40混合物中で測定)を有するポリマーが生成されるまで、縮合による副生物であるエチレングリコールを継続的に除去する。
【0108】
有核結晶性コポリエステルの外側スキン層と、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の副生表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、24℃(75°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この3層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、外側スキン層:コア層:結合層の厚さ比は、2:2:1である。所望に応じて、同じ3つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出し、外側スキン層を任意で構造化する。
【0109】
実施形態9
PETを0.5重量%のメチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)酸リン酸ナトリウム(ユーテックケミカル(Eutec Chemical)製のユースタブ(EUSTAB)NA−11と混合することによって、有核結晶性コポリエステルを調製する。バッチ反応器に、テレフタル酸ジメチル(5,000kg)、エチレングリコール(3,502kg)、酢酸マンガン(II)(1.2kg)、及び酢酸アンチモン(III)(1.6kg)を入れるこの混合物を2気圧の圧力(1520トール、つまり2×10N/m)で254℃まで加熱しながら、エステル交換反応で副生されるメタノールを除去する。1,649kgのメタノールが除去された後、ホスホノ酢酸トリエチル(2.45kg)を反応器具に加え、圧力を1トール(131N/m)まで徐々に低下させながら、280℃まで加熱する。0.74の固有粘度(フェノール/ジクロロベンゼンの60/40混合物中で測定)を有するポリマーが生成されるまで、縮合による副生物であるエチレングリコールを継続的に除去する。
【0110】
有核結晶性コポリエステルの外側スキン層と、ポリカーボネート(バイエル(Bayer)製のマクロロン(MAKROLON)2207)のコア層と、コポリエステル(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のPETG 6763)の下部スキン層(結合層として)を有する3層フィルムを反射偏光フィルムの上に共押出し、同時に、半球様の副生表面を有するキャスティングツールに対して8927kg/m(500ポンド/直線インチ)の圧力、24℃(75°F)の温度、0.38m/秒(75フィート/分)のキャスティングライン速度で、ニップの中にコーティングする。この3層コーティング層は、127μm(5ミル)の総厚を有すると共に、外側スキン層:コア層:結合層の厚さ比は、2:2:1である。所望に応じて、同じ3つの材料を反射偏光フィルムの反対側の上に共押出し、外側スキン層を任意で構造化する。
【0111】
実施形態10
ポリカーボネート/コポリエステルブレンド(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)製のSA115)のスキン層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)のコア層を有する3層フィルムを、260℃(500°F)未満のSAN押出プロセス温度で共押出し、ニップの中に、半球様の複製表面を有するベルトキャスティングツールに対して892kg/m(50ポンド/直線インチ)の圧力、68℃(155°F)の温度で入れる。環境安定性の向上のために、2重量%の紫外線吸収剤(チヌビン(TINUVIN)1577)と0.2重量%の抗酸化剤(ウルトラノックス(ULTRANOX)626)をSA115のスキン層の中に押出混合する。このフィルムは、少なくとも毎分50メートルのキャスティングライン速度で作製し、フィルムの脆性によるウェブハンドリングの問題がないようにする。この3層フィルムは、150μm(6ミル)の厚みを有すると共に、スキン層:コア層:スキン層の厚みの厚さ比は、0.5:5:0.5である。このフィルムは、少なくとも1.26の利得と、52%のヘイズと、9.4%の透明性を有し、縁の亀裂なしに細かく切断される。
【0112】
この3層フィルムを、反射偏光フィルム(3M(商標)社製のビキュイティ(Vikuiti)(商標)DBEF)の反対側の上に共押出コーティングする。得られたラミネート反射偏光子は、少なくとも1.64の利得を有し、前記反り試験を用いて試験すると、ほとんど又は全く反りを呈さない。このラミネートを従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、ラミネートの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されなかった。
【0113】
実施形態11
ポリカーボネート/コポリエステルブレンド(GE製のザイレックス(XYLEX)7200)のスキン層と、SAN(ダウ(Dow)製のタイリル(TYRIL)880)のコア層を有する3層フィルムを、半球様構造体を有するベルトキャスティングツールの上に共押出する。環境安定性の向上のために、2重量%の紫外線吸収剤(チヌビン(TINUVIN)1577)と0.2重量%の抗酸化剤(ウルトラノックス(ULTRANOX)626)をザイレックス(XYLEX)7200のスキン層の中に押出混合する。このフィルムは、少なくとも毎分50メートルのキャスティングライン速度で作製し、フィルムの脆性によるウェブハンドリングの問題がないようにする。この3層フィルムは、150μm(6ミル)の厚みを有すると共に、スキン層:コア層:スキン層の厚みの厚さ比は、0.5:5:0.5である。このフィルムは、少なくとも1.26の利得と、52%のヘイズと、9.4%の透明性を有し、縁の亀裂なしで細片に切断される。
【0114】
この3層フィルムを、反射偏光フィルム(3M(商標)社製のビキュイティ(Vikuiti)(商標)DBEF)の反対側の上に共押出コーティングする。得られたラミネート反射偏光子は、少なくとも1.64の利得を有すると共に、85℃に加熱してから−35℃に冷却するとき、反りをほとんど又は全く呈さない。このラミネートを従来のダイカットプロセス(軟質ゴムパッドに均一に押し当てられた軟質ゴム裏張りを有するスチールルールダイ)によって、液晶ディスプレイ内で用いるのに適した部品寸法に変換したところ、ラミネートの縁部に沿って0.5mmを超える亀裂は形成されない。
(態様)
(態様1)
光をコリメートする構造化上面を有する上層と、
前記構造化上面の反対側で前記上面に固定されたコア層と、
前記上層の反対側で前記コア層に固定された下層と、
を含む光学物品であって、
前記上層又は前記コア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第2の押出可能なポリマーを含み、前記第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、
前記下層が第3の押出可能なポリマーを含む光学物品。
(態様2)
前記構造化上面が、光を拡散させる、態様1に記載の光学物品。
(態様3)
前記構造化上面が、レンズ形若しくはプリズム形、又はこれらの組み合わせを有する複数の構造体を含む、態様1に記載の光学物品。
(態様4)
前記構造体が、不揃いの形及び寸法を有する、態様3に記載の光学物品。
(態様5)
前記構造化上面が、半球形、長円形、円錐形、放物線形、若しくは角錘形、又はこれらの組み合わせを有する複数の構造体を含む、態様1に記載の光学物品。
(態様6)
前記構造体が、不揃いの形及び寸法を有する、態様5に記載の光学物品。
(態様7)
前記構造化上面が、不揃いの形及び寸法を有する複数の構造体を含む、態様1に記載の光学物品。
(態様8)
前記構造化上面が、複数の構造体を含み、各構造体が、約1〜約100μmの寸法を有する、態様1に記載の光学物品。
(態様9)
前記第1の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において約3GPaを超える曲げ弾性率を有する、態様1に記載の光学物品。
(態様10)
前記上層が、第1の押出可能なポリマーを含み、前記第1の押出可能なポリマーが、約140℃未満のTgを有する、態様1に記載の光学物品。
(態様11)
前記第1の押出可能なポリマーが、約85〜約120℃のTgを有する、態様10に記載の光学物品。
(態様12)
前記第1の押出可能なポリマーが、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリメチルメタクリレート、スチレン無水マレイン酸コポリマー、有核半結晶性ポリエステル、ポリエチレンナフタレートのコポリマー、ポリイミド、ポリイミドコポリマー、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、シンジオクタクチック(syndiodactic)ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、及びアクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、態様1に記載の光学物品。
(態様13)
前記上層が、繊維、球体、ナノ粒子、又はこれらの組み合わせを含む、態様1に記載の光学物品。
(態様14)
前記第2の押出可能なポリマーが、ASTM D638に従って測定した場合において約10%を超える引張破断伸度を有する、態様1に記載の光学物品。
(態様15)
前記上層が、前記第2の押出可能なポリマーを含み、前記第2の押出可能なポリマーが、約140℃未満のTgを有する、態様1に記載の光学物品。
(態様16)
前記第2の押出可能なポリマーが、約85〜約120℃のTgを有する、態様15に記載の光学物品。
(態様17)
前記第2の押出可能なポリマーが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリカーボネートとポリエステルとの混合物、スチレンのコポリマー、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマー、スチレンのアルケン重合中間ブロックとのブロックコポリマー、酸及び/又は無水物の官能基を有するポリオレフィン、並びにポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、態様1に記載の光学物品。
(態様18)
前記コア層が、繊維、球体、ナノ粒子、又はこれらの組み合わせを含む、態様1に記載の光学物品。
(態様19)
前記上層が、前記第1の押出可能なポリマーを含み、前記第1及び前記第3の押出可能なポリマーが同じである、態様1に記載の光学物品。
(態様20)
前記第3の押出可能なポリマーが、ポリエステル、官能基変性ポリオレフィン及びポリウレタンからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、態様1に記載の光学物品。
(態様21)
前記下層が、前記コア層の反対側に構造化下面を含み、前記構造化下面が光を拡散させる、態様1に記載の光学物品。
(態様22)
前記下層が、前記コア層の反対側に構造化下面を含み、前記構造化上面が光をコリメートするよりも少なく、前記構造化下面が光をデコリメートする、態様1に記載の光学物品。
(態様23)
前記構造化上面が、複数の凸状構造体を含み、
前記下層が、前記コア層の反対側に構造化下面を含み、前記構造化下面が複数の状構造体を含む、態様1に記載の光学物品。
(態様24)
前記構造化面が、複数の凹状構造体を含み、
前記下層が、前記コア層の反対側に構造化下面を含み、前記構造化下面が複数の状構造体を含む、態様1に記載の光学物品。
(態様25)
前記構造化下面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様23に記載の光学物品。
(態様26)
前記構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様1に記載の光学物品。
(態様27)
前記構造化上面に動作可能な状態で接合された第1の粗い可剥性スキン層であって、前記第1の可剥性スキン層が第1の連続相と第1の分散相とを含み、前記第1の連続相が第1の連続相ポリマーを含み、前記第1の分散相が第1の粒子又は第1の分散相ポリマーを含み、前記第1の分散相ポリマーが前記第1の連続相ポリマーと不混和性である、第1の粗い可剥性スキン層と、
前記構造化下面に動作可能な状態で接合された第2の粗い可剥性スキン層であって、前記第2の可剥性スキン層が第2の連続相と第2の分散相とを含み、前記第2の連続相が第2の連続相ポリマーを含み、前記第2の分散相が第2の粒子又は第2の分散相ポリマーを含み、前記第2の分散相ポリマーが前記第2の連続相ポリマーと不混和性である、第2の粗い可剥性スキン層と、を更に含む、態様1に記載の光学物品。
(態様28)
前記光学物品が、約0.01未満の複屈折性を有する、態様1に記載の光学物品。
(態様29)
光学物品を作製する方法であって、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、
前記の第1、第2及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、前記第1の押出可能なポリマーで上層を、前記第2の押出可能なポリマーでコア層を、前記第3の押出可能なポリマーで下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定する工程と、
成形ツールを用いて前記上層の上面を構造化し、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程と、を含む方法。
(態様30)
前記下層の下面を構造化して、光を拡散させる構造化下面を形成する工程であって、前記構造化工程が、
前記下面を成形ツールに接触させる工程、又は、
前記下面に粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合させる工程を含み、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが、前記連続相ポリマーと不混和性である、工程を更に含む、態様29に記載の方法。
(態様31)
光学物品を作製する方法であって、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、
前記の第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを共押出して、前記第2の押出可能なポリマーで上層を、前記第1の押出可能なポリマーでコア層を、前記第3の押出可能なポリマーで下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定する工程と、
成形ツールを用いて前記上層の上面を構造化し、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程と、を含む方法。
(態様32)
前記下層の下面を構造化して、光を拡散させる構造化下面を形成する工程であって、前記構造化工程が、
前記下面を成形ツールに接触させるか、又は、
前記下面に粗い可剥性スキン層を動作可能な状態で接合させることを含み、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが、前記連続相ポリマーと不混和性である工程を更に含む、態様31に記載の方法。
(態様33)
態様1の光学物品と、
前記コア層の反対側で前記下層に固定された光学フィルムであって、前記光学フィルムが、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含む光学フィルムと、を含む光学体。
(態様34)
前記構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層と、を更に含む、態様33に記載の光学体。
(態様35)
光をコリメートする第1の構造化上面を有する第1の上層と、
前記第1の構造化上面の反対側で前記第1の上層に固定された第1のコア層と、
前記第1の上層の反対側で前記第1のコア層に固定された第1の下層と、
を含む第1の光学物品であって、
前記第1の上層又は前記第1のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第2の押出可能なポリマーを含み、前記第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、
前記第1の下層が第3の押出可能なポリマーを含む、第1の光学物品と、
光を拡散させる第2の構造化上面を有する第2の上層と、
前記第2の構造化上面の反対側で前記第2の上層に固定された第2のコア層と、
前記第2の上層の反対側で前記第1のコア層に固定された第2の下層と、
を含む第2の光学物品であって、
前記第2の上層又は前記第2のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第4の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第5の押出可能なポリマーを含み、前記第5の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、
前記第2の下層が第6の押出可能なポリマーを含む、第2の光学物品と、
前記第1及び前記第2の下層に固定された光学フィルムであって、前記光学フィルムが、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む光学フィルムと、を含む光学体。
(態様36)
前記第1の構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様35に記載の光学体。
(態様37)
前記第2の構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様35に記載の光学体。
(態様38)
前記第1の構造化上面に動作可能な状態で接合された第1の粗い可剥性スキン層であって、前記第1の粗い可剥性スキン層が第1の連続相と第1の分散相とを含み、前記第1の連続相が第1の連続相ポリマーを含み、前記第1の分散相が第1の粒子又は第1の分散相ポリマーを含み、前記第1の分散相ポリマーが前記第1の連続相ポリマーと不混和性である第1の粗い可剥性スキン層と、
前記第2の構造化上面に動作可能な状態で接合された第2の粗い可剥性スキン層であって、前記第2の可剥性スキン層が第2の連続相と第2の分散相とを含み、前記第2の連続相が第2の連続相ポリマーを含み、前記第2の分散相が第2の粒子又は第2の分散相ポリマーを含み、前記第2の分散相ポリマーが前記第2の連続相ポリマーと不混和性である粗い可剥性スキン層と、を更に含む、態様35に記載の光学体。
(態様39)
光をコリメートする第1の構造化上面を有する第1の上層と、
前記第1の構造化上面の反対側で前記第1の上層に固定された第1のコア層と、
前記第1の上層の反対側で前記第1のコア層に固定された第1の下層と、
を含む第1の光学物品であって、
前記第1の上層又は前記第1のコア層のいずれかが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを含み、もう一方の層が第2の押出可能なポリマーを含み、前記第2の押出可能なポリマーが、ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有し、
前記第1の下層が第3の押出可能なポリマーを含む、第1の光学物品と、
光を拡散させる第2の構造化上面を有する第2の上層と、
前記第2の構造化上面の反対側で前記第2の上層に固定された第2の下層と、
を含む第2の光学物品であって、
前記第2の上層が、
ASTMD790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第4の押出可能なポリマー、又は、
ASTMD790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第5の押出可能なポリマーのいずれかを含み、
前記第2の下層が第6の押出可能なポリマーを含む、第2の光学物品と、
前記第1及び前記第2の下層に固定された光学フィルムであって、前記光学フィルムが、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含む光学フィルムと、を含む光学体。
(態様40)
前記第1の構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様39に記載の光学体。
(態様41)
前記第2の構造化上面に動作可能な状態で接合された粗い可剥性スキン層であって、前記粗い可剥性スキン層が連続相と分散相とを含み、前記連続相が連続相ポリマーを含み、前記分散相が粒子又は分散相ポリマーを含み、前記分散相ポリマーが前記連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層を更に含む、態様39に記載の光学体。
(態様42)
前記第1の構造化上面に動作可能な状態で接合された第1の粗い可剥性スキン層であって、前記第1の粗い可剥性スキン層が第1の連続相と第1の分散相とを含み、前記第1の連続相が第1の連続相ポリマーを含み、前記第1の分散相が第1の粒子又は第1の分散相ポリマーを含み、前記第1の分散相ポリマーが前記第1の連続相ポリマーと不混和性である、第1の粗い可剥性スキン層と、
前記第2の構造化上面に動作可能な状態で接合された第2の粗い可剥性スキン層であって、前記第2の可剥性スキン層が第2の連続相と第2の分散相とを含み、前記第2の連続相が第2の連続相ポリマーを含み、前記第2の分散相が第2の粒子又は第2の分散相ポリマーを含み、前記第2の分散相ポリマーが前記第2の連続相ポリマーと不混和性である、粗い可剥性スキン層と、を更に含む、態様39に記載の光学体。
(態様43)
光学体を作製する方法であって、
態様1に記載の光学物品を準備する工程と、
偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む光学フィルムを準備する工程と、
前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、を含む方法。
(態様44)
光学体を作製する方法であって、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第1、第2及び第3の押出可能なポリマーを光学フィルムの上に共押出して、前記第1の押出可能なポリマーで光学フィルム上の上層を、前記第2の押出可能なポリマーで光学フィルム上のコア層を、前記第3の押出可能なポリマーで光学フィルム上の下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定し、前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、
前記上層を成形ツールと接触させ、それによって、光をコリメートする構造化上面を形成する工程と、を含む方法。
(態様45)
光学体を作製する方法であって、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPaを超える曲げ弾性率を有する第1の押出可能なポリマーを準備する工程と、
ASTM D790に従って測定した場合において2.5GPa以下の曲げ弾性率と、ASTM D256に従って測定した場合において約40J/mを超える衝撃強度と、ASTM D638に従って測定した場合において約5%を超える引張破断伸度とを有する第2の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第3の押出可能なポリマーを準備する工程と、
第2、第1及び第3の押出可能なポリマーを光学フィルムの上に共押出して、前記第2の押出可能なポリマーで光学フィルム上の上層を、前記第1の押出可能なポリマーで光学フィルム上のコア層を、前記第3の押出可能なポリマーで光学フィルム上の下層を形成する工程であって、前記コア層を前記上層及び前記下層に固定し、前記光学フィルムを、前記コア層の反対側で前記下層に固定する工程と、
前記上層を成形ツールと接触させ、それによって、光をコリメートする構造化面を形成する工程と、を含む方法。
(態様46)
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
前記ディスプレイパネルと前記1つ以上の光源との間に配置された、態様1に記載の光学物品と、を含むディスプレイ装置。
(態様47)
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
前記ディスプレイパネルと前記1つ以上の光源との間に配置された、態様33に記載の光学体と、を含むディスプレイ装置。
(態様48)
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
前記ディスプレイパネルと前記1つ以上の光源との間に配置された、態様35に記載の光学体と、を含むディスプレイ装置。
(態様49)
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
粗い可剥性スキン層が取り除かれた状態の態様39に記載の光学体であって、前記光学体が前記ディスプレイパネルと前記1つ以上の光源との間に配置された光学体と、を含むディスプレイ装置。
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