(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
風除け用のスクリーン(20)が、上下に移動可能として操向ハンドル(12)の前方に配置される鞍乗り型車両において、前記スクリーン(20)の左右両側に設けられる支持部材(22)と、前記スクリーン(20)を上下に移動させるように手動操作することを可能として一対の前記支持部材(22)の少なくとも一方に連結される操作レバー(24)と、前記支持部材(22)の移動をガイドする左右一対の固定のレールブラケット(23)と、車幅方向に延びるとともに長手方向両端部が左右一対の前記レールブラケット(23)に回動可能に連結される連結部材(27)とを備え、前記操作レバー(24)の操作に応じて前記連結部材(27)が前記支持部材(22)を介して回動することを可能として、前記操作レバー(24)、前記支持部材(22)および前記連結部材(27)でリンク機構(33)が構成されることを特徴とする鞍乗り型車両におけるスクリーン可動装置。
曲線状に延びるガイド孔(35)が前記レールブラケット(23)に形成され、前記ガイド孔(35)と交差する方向に延びる長孔(45,65)が前記操作レバー(24)に形成され、前記支持部材(22)に突設されるガイド突部(46,66)が前記ガイド孔(35)および前記長孔(45,65)に挿通されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両におけるスクリーン可動装置。
前記スクリーン(20)を上方に向けて付勢するスクリーン付勢ばね(34)が前記レールブラケット(23)および前記連結部材(27)間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗り型車両におけるスクリーン可動装置。
前記操作レバー(24)が、左右一対の前記レールブラケット(23)のうち左側のレールブラケット(23)に回動可能に支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両におけるスクリーン可動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるものでは、リンク機構を構成する部品の点数が多く、したがってリンク機構が大型化かつ複雑化しており、レールおよびスクリーン間に生じるがたつきによる抵抗が大きくなり、スクリーンが移動し難くなっている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡素かつ小型化した構造でスクリーンを移動し易くした鞍乗り型車両におけるスクリーン可動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、風除け用のスクリーンが、上下に移動可能として操向ハンドルの前方に配置される鞍乗り型車両において、前記スクリーンの左右両側に設けられる支持部材と、前記スクリーンを上下に移動させるように手動操作することを可能として一対の前記支持部材の少なくとも一方に連結される操作レバーと、前記支持部材の移動をガイドする左右一対の固定のレールブラケットと、車幅方向に延びるとともに長手方向両端部が左右一対の前記レールブラケットに回動可能に連結される連結部材とを備え、前記操作レバーの操作に応じて前記連結部材が前記支持部材を介して回動することを可能として、前記操作レバー、前記支持部材および前記連結部材でリンク機構が構成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、曲線状に延びるガイド孔が前記レールブラケットに形成され、前記ガイド孔と交差する方向に延びる長孔が前記操作レバーに形成され、前記支持部材に突設されるガイド突部が前記ガイド孔および前記長孔に挿通されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記スクリーンを上方に向けて付勢するスクリーン付勢ばねが前記レールブラケットおよび前記連結部材間に設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記操作レバーが、左右一対の前記レールブラケットのうち左側のレールブラケットに回動可能に支持されることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、スクリーンの左右両側に設けられる支持部材の移動が左右一対の固定のレールブラケットでガイドされ、一対の支持部材の少なくとも一方に連結される操作レバーと、長手方向中間部が支持部材に連結される連結部材と、支持部材とで、操作レバーの操作に応じて前記連結部材が前記支持部材を介して回動するようにしたリンク機構が構成されるので、スクリーンの移動をガイドするようにしてスクリーンの両側に配設されるガイド機構ならびにスクリーンを動かすリンク機構の一部を共通な支持部材で構成するようにして、簡素かつ小型化した構造でスクリーンの上下移動を可能とすることができ、また簡素な構造であることから、がたつきによって生じる抵抗を抑え、スクリーンを移動し易くすることができる。
【0011】
また本発明の第2の特徴によれば、曲線状に延びてレールブラケットに形成されるガイド孔と、そのガイド孔と交差する方向に延びて操作レバーに形成される長孔とに、支持部材に突設されるガイド突部が挿通されるので、操作レバーを大きくすることなく、適切な軌道を描くようにスクリーンを動かすことができ、操作レバーの肥大化を抑制して可動装置の簡素化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば、レールブラケットおよび連結部材間に設けられるスクリーン付勢ばねでスクリーンが上方に向けてばね付勢されるので、スクリーンを上方に向けて移動させる際の操作力が小さくてすみ、少ない操作力でスクリーンを上方に容易に移動させることができる
さらに本発明の第4の特徴によれば、左側のレールブラケットに操作レバーが回動可能に支持されるので、駐車時にハンドルロックをするために操向ハンドルを左側に転舵した状態で操作レバーを操作しても操向ハンドルと干渉し難くすることができ、操作レバーの操作性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明するが、以下の説明で、前後、左右および上下は、自動二輪車に乗車した乗員から見た方向を言うものとする。
【0015】
先ず
図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の前部には、前輪WFを軸支するフロントフォーク11と、該フロントフォーク11に連なる操向ハンドル12とが操向可能に配置されており、フロントフォーク11および操向ハンドル12の前方には、ヘッドライト13と、ヘッドライト13を覆うヘッドライトカバー14とが配置される。
【0016】
図2を併せて参照して、ヘッドライトカバー14の両側には、フロントフォーク11の一部および操向ハンドル12の一部を側方から覆う左右一対のサイドカウル15が配置される。また図示しない車体フレームの前部に固定される左右一対のカウルサポートステー16が、左右一対のサイドカウル15の前部上端から上方に突出するようにして配置され、これらのカウルサポートステー16にウインカ17がそれぞれ取付けられる。
【0017】
図3〜
図7を併せて参照して、左右一対のカウルサポートステー16には、連結フレーム18の両端部が一対ずつの第1ねじ部材19でそれぞれ締結されており、ヘッドライト13は連結フレーム18で支持される。
【0018】
ヘッドライト13の上方かつ操向ハンドル12の前方には、上下に移動することを可能とした風除け用のスクリーン20が配置される。このスクリーン20の左右両側の下部には、左右対称である支持部材22がそれぞれ締結される。車両情報を表示するメータユニット21は、左右一対の支持部材22間で、スクリーン20および操向ハンドル12間に配置されるようにして連結フレーム18で支持され、連結フレーム18の上方にメータユニット21が配置される。
【0019】
支持部材22は、上下両端部がスクリーン20に締結されるようにして上下に延びる第1の縦枠部22aと、第1の縦枠部22aの車幅方向外側で上下に延びる第2の縦枠部22bと、第2の縦枠部22bの上端部および第1の縦枠部22aの上部間を連結する上横枠部22cと、第2の縦枠部22bの下端部および第1の縦枠部22aの下部間を連結する下横枠部22dとを一体に有するように形成される。
【0020】
スクリーン20の左右両側の支持部材22の上下移動は、左右対称に形成される左右一対の固定のレールブラケット23でガイドされるものであり、スクリーン20を上下に移動させるように手動操作することを可能とした操作レバー24が、左右一対の支持部材22の少なくとも一方、この実施の形態では左側の支持部材22に連結される。
【0021】
レールブラケット23は、カウルサポートステー16の車幅方向内方に配置され、カウルサポートステー16に、第1ボルト25と、第1ボルト25の後方斜め上方に配置される第2ボルト26とで締結される。左右一対の支持部材22における第2の縦枠部22bの下端部には、スクリーン20の下部後方を車幅方向に延びる連結部材27が第2ねじ部材28でそれぞれ回動可能に連結され、その連結部材27の長手方向両端部は、左右一対のレールブラケット23に回動可能に連結される。
【0022】
連結部材27は、レールブラケット23の車幅方向内方に配置されて前後方向に延びる左右一対の支持腕部27aと、スクリーン20の下部後方を車幅方向に延びて左右一対の支持腕部27aの前端部間を結ぶ架橋部27bとを一体に有するように形成され、この連結部材27の長手方向両端部すなわち支持腕部27aの後端部が、第1の回動軸線C1の軸線まわりに回動することを可能としてレールブラケット23に回動可能に連結され、連結部材27の長手方向中間部である支持腕部27aの前端部が、第1の回動軸線C1よりも前方に配置される第2の回動軸線C2すなわち第2ねじ部材28の軸線まわりに回動可能として支持部材22における第2の縦枠部22bの下端部に回動可能に連結される。
【0023】
図8を併せて参照して、第2ボルト26の下方でレールブラケット23には、第1の回動軸線C1と同軸に配置される円筒状の第1ボス部29が一体に突設される。一方、連結部材27における支持腕部27aの後端部には、第1ボス部29側に向けて突出する第1支持筒部30が一体に突設されており、第1ボス部29および第1支持筒部30間に第1ワッシャ31を介在させて連結部材27、第1支持筒部30および第1ワッシャ31に挿通される第3ねじ部材32が第1の回動軸線C1と同軸にして第1ボス部29に螺合される。この第3ねじ部材32は、第1ボス部29に螺合させるねじ軸部32aと、そのねじ軸部32aよりも大径に形成されるとともに第1ワッシャ31に一端部を当接させるようにしてねじ軸部32aに同軸に連なる棒状の大径軸部32bと、レールブラケット23とは反対側で連結部材27の端部外面に当接するようにして大径軸部32bの他端部に同軸に連なる拡径頭部32cを一体に有するように形成され、第1ボス部29に螺合される第3ねじ部材32の大径軸部32bで連結部材27の端部が回動可能に支持される。
【0024】
図9を併せて参照して、スクリーン20を上方に向けて付勢するスクリーン付勢ばねである第1ねじりばね34が、第1ボス部29および第1支持筒部30を囲繞するようにしてレールブラケット23および連結部材27間に設けられる。またレールブラケット23には、スクリーン20の移動軌跡に沿って支持部材22をガイドするガイド孔35が、曲線状に延びるようにして形成される。
【0025】
図10を併せて参照して、操作レバー24は、左右一対のレールブラケット23のうち左側のレールブラケット23に回動可能に支持されて左側の支持部材22に連結されるレバー主部36と、車両ユーザーが把持することを可能としてレバー主部36に連結されるグリップ37とで構成され、グリップ37は、レバー主部36から突出する突出位置(
図11の実線で示す位置)と、レバー主部36側に折り畳まれる収納位置(
図2〜
図9の実線で示す位置)との間での作動を可能としてレバー主部36に連結される。
【0026】
レバー主部36は、左側のレールブラケット23に回動可能に支持されるレバー本体38と、レバー本体38の一部を車幅方向内方から覆うようにしてレバー本体38に第4ねじ部材40で締結されるカバー部材39とから成る。
【0027】
第2ボルト26の上方で左側のレールブラケット23には、円筒状の第2ボス部41が一体に突設されるとともに、第2ボス部41の基端部を囲む環状の受け面42が形成される。一方、レバー本体38には、第2ボス部41を嵌合させる円筒状の第2支持筒部43が、その一端部を受け面42に摺接されるようにして一体に形成され、拡径頭部44aを有する第4ねじ部材44が、その拡径頭部44aおよび第2支持筒部43の他端部間に第2ワッシャ63を介在させるようにして第2ボス部41に螺合される。すなわちレバー本体38すなわちレバー主部36は、第2ボス部41の軸線まわりに回動することを可能として、左側のレールブラケット23に支持される。
【0028】
ところで第1の回動軸線C1まわりに回動することを可能としてレールブラケット23に回動可能に連結される連結部材27が、第1の回動軸C1よりも前方に配置される第2の回動軸線C2まわりに回動することを可能として支持部材22に連結されることで、操作レバー24、連結部材27および支持部材22は、操作レバー24の操作に応じて連結部材27が支持部材22を介して回動することを可能としたリンク機構33を構成する。
【0029】
またレバー本体38には、レールブラケット23に形成された曲線状のガイド孔35と交差する方向に直線状に延びる長孔45が形成される。一方、左側の支持部材22における第2の縦枠部22bの上端部には、第1および第2の回動軸線C1,C2を結ぶ直線Lよりも上方に配置されるガイド突部46が突設され、このガイド突部46がガイド孔35に摺動可能に嵌合して長孔45に挿通される。
【0030】
ガイド突部46は、この実施の形態では、ガイド孔35の長手方向に沿って長く形成されてガイド孔35内を摺動するスライド部分46aと、長孔45内を摺動するピン部分46bとを有するように形成されて支持部材22に締結されるが、それとは逆に、長孔45の長手方向に沿って長く形成されて長孔45内を摺動するスライド部分と、ガイド孔35内を摺動するピン部分とを有するように形成されていてもよい。
【0031】
ガイド孔35は、スクリーン20を上方に移動させる側への操作レバー24の操作に応じて連結部材27が第1の回動軸線C1まわりに上方に回動するのに伴ってガイド突部46を上方にガイドするように形成されるものであり、この実施の形態では、前方に向かって膨らむように湾曲しつつ上下に延びるようにガイド孔35が形成される。
【0032】
しかも
図4および
図6で明示するように、ガイド孔35の幅方向中心を通る中心線CLと、第2の回動軸線C2を中心としてガイド突部46の中心を通る円弧ACとが、ガイド孔45の前上方では鋭角αをなして交差するように、第2の回動軸線C2、ガイド突部46およびガイド孔35の相対位置が設定される。
【0033】
グリップ37の一端部は、第2ボス部41に関して第2ボルト26とは反対側のレバー本体38の端部に形成される一対のグリップ支持部47に、収納位置ではレバー主部36から車幅方向外側に折り畳まれるようにして、第1支持ピン48を介して回動可能に連結され、第1支持ピン48を囲繞する第2ねじりばね49が、グリップ37を収納位置側に付勢するばね力を発揮するようにして、レバー本体38およびグリップ37間に設けられる。
【0034】
しかもグリップ37には肉抜き孔50が形成されており、収納位置にあるグリップ37が、左側のレールブラケット23の後方に配置されるように、左側のレールブラケット23および操作レバー24の相対位置が設定される。またグリップ37には、その収納位置でレバー本体38に弾発的に当接する弾性部材51が貼着される。
【0035】
第2ボス部41よりも上方で左側のレールブラケット23には、スクリーン20の複数の上下位置に個別に対応した複数の係止凹部、この実施の形態では5個の係止凹部52,53,54,55,56が第2ボス部41の周方向に等間隔をあけて配置されるようにして設けられる。一方、レバー主部36内には、グリップ37を収納位置に折り畳むのに応じて複数の係止部52〜56に択一的に係合するように作動するロック部材57が収容される。
【0036】
第2ボス部41と、グリップ支持部47との間でレバー本体38には、一対のロック部材支持部58が一体に形成されており、ロック部材57は、ロック部材支持部58に第2支持ピン59を介して回動可能に支持される。
【0037】
このロック部材57は、第2支持ピン59と同軸の筒状であるロック部材主部57aと、左側のレールブラケット23側に突出するようにしてロック部材主部57aから突出する係合爪部57bと、グリップ37に一体に設けられた押圧突部37aに当接するようにしてロック部材主部57aから突出する受圧腕部57cとを一体に有するように形成される。
【0038】
係合爪部57bは、レバー本体38に形成された第1開口部60から左側のレールブラケット23側に先端部を突出させることができ、係止凹部52〜56に択一的に係合することが可能である。
【0039】
ここで、ロック部材57における係合爪部57bの先端部の各係止凹部52〜56側に臨む面、ならびにレールブラケット23のうち各係止凹部52〜56相互間に対応する部分の係合爪部57b側に臨む面の少なくとも一方が、係合爪部57bの係止凹部52〜56への択一的な係合を容易とするために外側に膨らんだ湾曲面となるように形成されていてもよい。
【0040】
またグリップ37の押圧腕部37aは、グリップ支持部47の近傍でレバー本体38およびカバー部材39間に形成される第2開口部61からレバー主部36内に先端部を突入させるものであり、この押圧腕部37aの先端部に受圧腕部57cが当接される。
【0041】
カバー部材39には、受圧腕部57cに押圧腕部37aとは反対側から当接して係合爪部57bを第1開口部60から左側のレールブラケット23側に突出させる側にロック部材57を付勢する弾発力を発揮する弾発腕部62aを有する板ばね62が装着される。
【0042】
図11で示すように、グリップ37を突出位置としたときには、ロック部材57は受圧腕部57cが押圧腕部37aで押されることにより、係合爪部57bの係止凹部52〜56への選択的な係合を解除する位置に板ばね62のばね力に抗して回動しており、この状態で操作レバー24を回動操作することで、スクリーン20を設定された範囲で上下に移動することが可能であり、左側の支持部材22のガイド突部46は、ガイド孔35および長孔45内を移動することになる。そして
図3、
図4および
図8で示すように、スクリーン20を最も下方位置に移動させてグリップ37を収納位置に折り畳むと、係合爪部57bが最上方の係止凹部56に係合してスクリーン20の最下方位置が維持され、
図5および
図6で示すように、スクリーン20を最も上方位置に移動させてグリップ37を収納位置に折り畳むと、係合爪部57bが最下方の係止凹部52に係合してスクリーン20の最上方位置が維持される。
【0043】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、風除け用のスクリーン20の左右両側に設けられる支持部材22の上下移動可能が左右一対の固定のレールブラケット23でガイドされ、スクリーン20を上下に移動させるように手動操作することを可能として一対の支持部材22の少なくとも一方に連結される操作レバー24が、一対のレールブラケット23の少なくとも一方に回動可能に支持されて少なくとも一方の支持部材22に連結されるレバー主部36と、車両ユーザーが把持することを可能としてレバー主部36に連結されるグリップ37とで構成され、グリップ37が、レバー主部36から突出する突出位置ならびにレバー主部36側に折り畳まれる収納位置との間での作動を可能としてレバー主部36に連結されるので、グリップ37を突出位置とした状態の長い操作レバー24を操作してスクリーン20を上下に移動することにより、操作レバー24を操作する力を小さくして操作性を高めることができる。またスクリーン20を移動するように操作した後に、グリップ37をレバー主部36側の収納位置に折り畳むことで操作レバー24を含む可動装置をコンパクト化することができ、この折り畳み状態ではスクリーン20の視認性を高めることができる。
【0044】
また操作レバー24が、左右一対のレールブラケット23のうち左側のレールブラケット23に回動可能に支持されるので、駐車時にハンドルロックをするために操向ハンドル12を左側に転舵した状態で、操作レバー24を操作しても操向ハンドル12と干渉し難くすることができ、操作レバー24の操作性を高めることができる。
【0045】
また車両情報を表示するメータユニット21が左右一対の支持部材22間に配置され、グリップ37が、その収納位置でレバー主部36から車幅方向外側に折り畳まれるようにしてレバー主部36に連結されるので、収納位置でのグリップ37をメータユニット21と重ならない位置に配置することでグリップ37を突出位置側に操作するときに、メータユニット21に配設されるボタンを誤って操作してしまう虞がなく、操作レバー24の操作性を高めることができるとともに、メータユニット21の視認性が向上する。
【0046】
また操作レバー24、支持部材22および連結部材27によって、操作レバー24の操作に応じて連結部材27が支持部材22を介して回動することを可能としたリンク機構33が構成されるので、スクリーン20の移動をガイドするようにしてスクリーン20の両側に配設されるガイド機構ならびにスクリーン20を動かすリンク機構33の一部を共通な支持部材22で構成するようにして、簡素かつ小型化した構造でスクリーン20の上下移動を可能とすることができ、また簡素な構造であることから、がたつきによって生じる抵抗を抑え、スクリーン20を移動し易くすることができる。
【0047】
しかも車幅方向に延びるとともに長手方向両端部が左右一対のレールブラケット23に第1の回動軸線C1まわりの回動を可能として連結される連結部材27が、支持部材22および連結部材27でリンク機構33が構成されるようにして、第1の回動軸線C1よりも前方に配置される第2の回動軸線C2まわりに回動することを可能として支持部材22に連結され、第1の回動軸線C1および第2の回動軸線C2を結ぶ直線Lよりも上方で支持部材22に突設されるガイド突部46が、ガイド孔35に摺動可能に嵌合されるので、スクリーン20を上下に離れた2箇所で後方から支持することが可能であり、走行中にスクリーン20のがたつきが生じることを抑制することができる。
【0048】
またガイド孔35が、スクリーン20を上方に移動させる側への操作レバー24の操作に応じて連結部材27が第1の回動軸線C1まわりに上方に回動するのに伴ってガイド突部46を上方にガイドするように形成されるので、スクリーン20が上方位置になるにつれてスクリーン20を後方からレールブラケット23で支持する上下2箇所の支持点間の距離が大きくなり、走行風の影響を受け易い状態であってもスクリーン20を強固に保持して、スクリーン20のがたつきが生じ難い構造とすることができる。
【0049】
またガイド孔35の幅方向中心を通る中心線CLと、第2の回動軸線C2を中心としてガイド突部46の中心を通る円弧ACとが、ガイド孔35の前上方では鋭角αをなして交差するように、第2の回動軸線C2、ガイド突部46およびガイド孔35の相対位置が設定されるので、第2の回動軸線C2まわりに回動可能である支持部材22のガイド突部46がガイド孔35の側面に摺接するように傾斜してスクリーン20が支持されることになり、スクリーン20のがたつきをより効果的に抑制することができる。
【0050】
またスクリーン20を上方に向けて付勢する第1ねじりばね34がレールブラケット23および連結部材27間に設けられるので、スクリーン20を上方に向けて移動させる際の操作力が小さくてすみ、少ない操作力でスクリーン20を上方に容易に移動させることができる。
【0051】
しかも左右一対の支持部材22を連結部材27で連結することで、スクリーン20の上下移動時の左右の支持部材22の上下位置を同じとしてスクリーン20の滑らかな移動を可能としてスクリーン20の操作性が向上するだけでなく、支持部材22の剛性を高めてスクリーン20の強固な支持が可能となる。またレールブラケット23に曲線状のガイド孔35が形成されることでレールブラケット23の軽量化を図り、車体の軽量化に寄与することができる。
【0052】
またレールブラケット23のガイド孔35が曲線状に延びるように形成され、そのガイド孔35と交差する方向に延びる長孔45がレバー主部36に形成され、支持部材22に突設されるガイド突部46がガイド孔35および長孔45に挿通されるので、操作レバー24を大きくすることなく、スクリーン20を適切な軌道を描くようにスクリーン20を動かすことができ、操作レバー24の肥大化を抑制して可動装置の簡素化を図ることができる。
【0053】
またグリップ37に肉抜き孔50が形成されるので、車両ユーザーがグリップ37を握り易くすることができ、それによって小さな力でスクリーン20を移動させることができるとともに、グリップ37を形成する樹脂量を少なくしてコスト低減を図るとともに、操作レバー24を軽量化して自動二輪車の軽量化に寄与することができる。しかもスクリーン20の周囲に発生する走行風の巻き込みを抑えて、自動二輪車の乗り心地向上に寄与することができる。
【0054】
また収納位置にあるグリップ37が、左側のレールブラケット23の後方に配置されるように、左側のレールブラケット23および操作レバー24の相対位置が設定されるので、操作レバー24を含む可動装置のコンパクト化および簡素化が可能となる。
【0055】
さらにスクリーン20の複数の上下位置に個別に対応した複数の係止凹部52〜56が一方のレールブラケット23に設けられ、グリップ37を収納位置に折り畳むのに応じて複数の係止部52〜56に択一的に係合するように作動するロック部材57が、レバー主部36の内部に収容されるので、部品点数の少ないコンパクトな構成で、スクリーン20を任意の上下位置で保持することができる。しかもラチェット機構ではないので、スクリーン20を所定の位置まで移動させることが不要であり、スクリーン20を自在に移動させることができるので、使い勝手のよい可動装置とすることができ、グリップ37を突出位置としたときだけスクリーン20が移動可能となるので、少ない力でスクリーン20を移動させることができる。
【0056】
本発明の第2の実施の形態について
図12および
図13を参照して説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0057】
操作レバー24におけるレバー主部36のレバー本体38には、レールブラケット23に形成された曲線状のガイド孔35と交差する方向に延びる長孔65が形成される。一方、支持部材22(第1の実施の形態参照)には、横断面円形であるピン状のガイド突部66が突設され、このガイド突部66がガイド孔35に摺動可能に嵌合して長孔65に挿通される。
【0058】
レバー本体38に形成される長孔65は、第1の実施の形態の長孔45が直線状に延びるよに形成されるのに対して、操作レバー24を下方に回動してスクリーン20(第1の実施の形態参照)を最上方に上げた
図12の状態で上下方向に延びる下部長孔部65aと、その下部長孔部65aの上端から屈曲してガイド孔35とほぼ直交する方向に延びる上部長孔部65bとを有するように形成される。
【0059】
このような長孔65を有する操作レバー24を上方に回動操作してスクリーン20を下方に下げると、その操作初期にはレバー本体38からガイド孔35に沿う方向でガイド突部66に力が作用するので、
図13の実線で示すように初期荷重の立ち上がりが緩やかとなり、操作フィーリングが向上する。それに対して第1の実施の形態で示したように長孔45が直線状に延びるものであった場合には、その操作初期にはレバー本体38からガイド孔35の側面に押しつける方向でガイド突部66に力が作用することになり、
図13の鎖線で示すように初期荷重が急激に立ち上がってしまい、操作フィーリングの悪化を招く可能性がある。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0061】
たとえば操作レバー24は、車幅方向右側に配設されるようにしてもよく、また車幅方向内側にグリップ37を折り畳むようにしてもよい。
【0062】
また操作レバー24が車幅方向左右両側に配設されるようにしてもよい。この場合、左右両側で支持された状態でスクリーン20を動かすことになり、片側からスクリーン20を動かす場合に比べてスクリーン20が左右のレールブラケット23に対して均等に移動することになり、レールブラケット23に対してスクリーン20ががたつくことを抑制することができる。
【0063】
また上述の実施の形態では、グリップ37が突出位置にある状態で操作レバー24を回動可能とし、グリップ37を収納位置に折り畳んだときにレールブラケット23に設けられる複数の係止凹部52〜56へのロック部材57の択一的な係合によって操作レバー24およびスクリーン20の上下位置を保持するようにしているが、それとは逆に、グリップ37が突出位置にある状態で操作レバー24の回動を不可とし、グリップ37を収納位置に折り畳んだときに操作レバー24の回動を許容するようにしてもよい。
【0064】
さらに本発明は、自動二輪車だけでなく、自動三輪車を含む鞍乗り型車両に広く適用可能である。