(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、インプリント用樹脂モールド、光インプリント方法、半導体集積回路の製造方法及び微細光学素子の製造方法並びにフッ素化ウレタン(メタ)アクリレート
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記式(1)で表されるフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートを含有する。
ここで、式中、R
1,R
2,R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、x及びyはそれぞれ独立して1又は2を表し、nは1から10の整数を表す。ただし、x及びyが共に1の場合はR
3及びR
4はそれぞれ水素原子を表し、xが1でyが2の場合はR
3は水素原子を表しR
4はメチル基を表し、xが2でyが1の場合はR
3はメチル基を表しR
4は水素原子を表し、x及びyが共に2の場合はR
3及びR
4はそれぞれメチル基を表す。
【0025】
nが0では、分子中のフッ素の含量が少なく、その硬化性樹脂組成物を用いて得られる樹脂モールドの被転写材層に対する離型性が悪化する傾向となる。nが10より大きいと必要に応じて添加する重合開始剤等を混ぜて使用する場合に親和性が悪く、白濁し易くなり、好ましくない傾向となる。
【0026】
上記式(1)で表される本発明のフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートを含有する硬化樹脂組成物を用いて製造した樹脂モールドは、後述する実施例、比較例から明らかなように、非特許文献1のフッ素化ウレタンメタクリレートを用いた光硬化樹脂組成物を用いた樹脂モールドと比較して、被転写材層との離型性に著しく優れ、かつ樹脂モールド自体の耐久性に優れたものとなる。これは、硬化性樹脂組成物に含有される本発明のフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートがフッ素化ポリテトラメチレングリコールの繰り返し構造を具備することに起因すると推定される。
【0027】
上記式(1)で表される本発明のフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は特に制限されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0028】
(メタ)アクロイル基を含有するイソシアネートと下記式(2)で表されるフッ素化ポリテトラメチレングリコールとを、必要に応じて触媒の存在下で反応させてフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートを得る。なお、本明細書において、(メタ)アクロイル基は、アクロイル基、メタクロイル基又は両者を含む意味で使用される。
【0030】
ここで、式中、nは1から10の整数を表す。また、(メタ)アクロイル基を含有するイソシアネートとしては、例えば、昭和電工(株)製の「カレンズ」(例えば、カレンズAOI、MOI、BEI、MOI−EG)が挙げられる。
【0031】
上記式(2)で表されるフッ素化ポリテトラメチレングリコールとしては、例えば、Exfluor Research 社製の「Fluorinated PTMG250 DIOL」や「Fluorinated PTMG650 DIOL」等が挙げられ、これらの商品は、上記式(2)中のnが1から10の整数となっているものが主体であるものの混合物である。
【0032】
(メタ)アクロイル基を含有するイソシアネートとフッ素化ポリテトラメチレングリコールとを反応させる割合は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクロイル基を含有するイソシアネート:フッ素化ポリテトラメチレングリコール=1:0.8〜1.2(モル比)である。無溶媒下で反応させても、溶媒存在下で反応させてもよい。反応溶媒を用いる場合、反応溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、フッ素化エーテル(例えば、住友スリーエム(株)製の「Novec」(例えば、Novec7100、7200、7300)やソルベイスペシャルティポリマーズジャパン(株)製の「GALDEN」(例えば、GALDEN SV70、SV90、SV110))等が挙げられる。また、触媒としては、通常のウレタン合成用の触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート等が挙げられる。反応条件は、例えば、反応温度は40〜80℃で、反応時間は2〜5時間である。
【0033】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、光硬化又は熱硬化により樹脂硬化物となるものであるが、インプリント用樹脂モールドを製造する用途では、光硬化性樹脂組成物であるものが好ましく、上記式(1)で表されるフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートと共に光重合開始剤を含有するのが好ましい。
【0034】
光硬化性樹脂組成物における上記式(1)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、光硬化性樹脂組成物中に好ましくは10〜99.9質量%、より好ましくは50〜99.9質量%である。10質量%未満になると光硬化性樹脂組成物中のフッ素含有量が少なく、得られる光硬化物の離型性が低いものとなり耐久性も低いものとなる。また、99.9質量%よりも大きくなると光重合開始剤の配合割合が低くなり、光硬化性樹脂組成物の硬化性が低下する。
【0035】
光硬化性樹脂組成物に含有されていると好ましい光重合開始剤としては、例えば下記の公知慣用の光重合開始剤が挙げられる。
【0036】
アセトフェノン系の光重合開始剤:アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等。
ベンゾイン系の光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等。
ベンゾフェノン系の光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン等。
チオキサントン系の光重合開始剤:チオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等。
アントラキノン系の光重合開始剤:アントラキノン、2−エチルアントラキノン等。
ケタール系の光重合開始剤:アセトフェノンベンジルケタール、ベンジルジメチルケタール等。
その他の光重合開始剤:ジフェニル−2,4,6−トリメチルシベンゾイルフォスフィンオキサイド、α−アシルオキシムエステル、カンファーキノン等。
【0037】
市販されている光重合開始剤としては、例えば、BASF社製の「IRGACURE」(例えば、IRGACURE 184、127、369、651、500、819、907、784、2959、OXE01、OXE02、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61)、「Darocur」(例えば、Darocur 1116、1173)、「Lucirin」(例えば、Lucirin TPO、LR8893、LR8970)、UCB社製の「ユベクリル」(例えば、ユベクリル P36)、及びLAMBERTI S.p.A製の「ESACURE」(例えば、ESACURE KIP150、ONE)等が挙げられる。
【0038】
また、光重合開始剤に、更に、必要に応じて増感剤を添加することができる。増感剤としては、例えば、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クマリン系色素、ベンジリデンケトン系色素、(チオ)キサンテン系色素、スクアリウム系色素、(チア)ピリリウム系色素、ポルホリン類、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販されている増感剤としては、例えば日本化薬(株)製の「KAYACURE」(例えば、KAYACURE ITX、QTX、CPTX、DETX−S)、及びUCB社製の「ユベクリル」(例えば、ユベクリル P102、103、104、105、)等が挙げられる。
【0039】
本発明の光硬化性樹脂組成物に配合する光重合開始剤の配合量は特に制限はないが、光硬化性樹脂組成物中に、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%である。10質量%以下であれば、光硬化性樹脂組成物の硬化特性や光硬化物の力学特性及び光学特性、取り扱い等が良好であり、また、0.01質量%以上であれば、光硬化性樹脂組成物の硬化速度が良好だからである。
【0040】
その他、本発明の硬化性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲内で、他の(メタ)アクリレートを含有していてもよい。
【0041】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有してもよい。熱重合開始剤としては、例えば過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、ジアゾ化合物、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アジドベンズアルデヒド、アジドベンザルメチルシクロヘキサノン類、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾビス化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ナフトキノンジアジド化合物等が挙げられる。
【0042】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、よりよい離型性を有する硬化物が得られるようにする添加剤(離型剤)を含有してもよい。添加剤としては、特にフッ素系の添加剤がよく、例えば住友スリーエム(株)製の「Novec」(例えば、Novec FC−4430、FC−4432)、ダイキン工業(株)製の「DSN−403N」、及びDIC(株)製の「メガファック」(例えば、メガファック F−470、F−475、F−477、RS−72−K、RS−75、EXP.TF−1540、EXP.TF−1760)が挙げられる。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物は、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤等が挙げられる。
【0044】
酸化防止剤としては、例えばBASF社製の「Irganox」(例えば、Irganox 1010、1035、1076、1222、1520L)、住友化学工業(株)製の「Antigen」(例えば、Antigen P、3C、FR、GA−80)、及び(株)ADEKA製の「アデカスタブ」(例えば、アデカスタブ AO−50、AO−60、HP−10、AO−412S)等が挙げられる。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えばBASF社製の「Tinuvin」(例えば、Tinuvin P、234、320、326、327、328、329、213)、及びシプロ化成(株)製の「Seesorb」(例えば、Seesorb 102、103、110、501、202、712、704)等が挙げられる。
【0046】
市販されている光安定剤としては、例えばBASF社製の「Tinuvin」(例えば、Tinuvin 292、144、622LD)、三共(株)製の「サノール」(例えば、サノール LS770)、住友化学工業(株)製の「Sumisorb TM−061」、日立化成(株)製の「FA−711MM」、及び(株)ADEKA製の「アデカスタブ」(例えば、アデカスタブ LA−72、LA−81、LA−82)等が挙げられる。
【0047】
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ、市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)製の「SH6062」、「SH6030」、及び信越化学工業(株)製の「KBM」(例えば、KMB 903、603、503、403、)等が挙げられる。
【0048】
微細パターンに対応する凹凸を有するマスターモールドを、基板表面に形成された本発明の硬化性樹脂組成物層に押し付けるという工程を行うことにより、又は、微細パターンに対応する凹凸を有するマスターモールドの上に本発明の硬化性樹脂組成物を滴下・塗布等の方法で載せその上に基板を載せて基板とマスターモールドとにより硬化性樹脂組成物層を挟持し押圧するという工程を行うことにより、硬化性樹脂組成物層に微細なパターンを転写し、光を照射して硬化させることにより、インプリント用樹脂モールドを得ることができる。そして、本発明のインプリント用樹脂モールドは、上記の式(1)で表されるフッ素化ウレタン(メタ)アクリレートを含有しているため、インプリント法において、被転写材に対する離型性が良好で繰り返し使用・転写上の耐久性に優れたモールドである。
【0049】
本発明における本発明の光インプリント用樹脂モールドの作製方法及び本発明の光インプリント用樹脂モールドを用いた光インプリント方法について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0050】
具体的には、まず、
図1(a)に示すように、透明な基板1及び凹凸パターンが形成されたマスターモールド3を用意し、本発明の光硬化性樹脂組成物からなる本発明の光硬化性樹脂層2を基板1上に形成すると共に、
図1(b)に示すように基板1とマスターモールド3とで本発明の光硬化性樹脂層2を挟み込んでマスターモールド3の凹凸パターンに本発明の光硬化性樹脂組成物を充填する(充填工程)。なお、
図1では基板1上に本発明の光硬化性樹脂層2を形成したものを記載したが、本発明の光硬化性樹脂層2はマスターモールド3上に設けてもよく、また、基板1とマスターモールド3との両方に設けてもよい。
【0051】
基板1は、本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布や滴下等することによって本発明の光硬化性樹脂層2を設けることができるものであればよく、紫外線を透過する基板が適している。
【0052】
例えば、ガラス、石英、サファイア等の透明無機基板、セラミック基板、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタラート)、トリアセチルセルロース等の合成樹脂基板が挙げられる。そして、基板1の表面は、本発明の光硬化性樹脂層2との接着性の向上やその本発明の光硬化性樹脂層2の塗布状態改良等のために、前処理が施されていてもよい。前処理の具体例としては、湿式の表面洗浄やプラズマ、オゾン洗浄等による表面改質、シランカップリング剤のような接着性向上剤による処理等が挙げられる。
【0053】
基板1又はマスターモールド3に本発明の光硬化性樹脂層2を形成する方法は特に限定されず、例えば、必要に応じ溶剤等で希釈した本発明の光硬化性樹脂組成物の塗布や滴下、具体的には、スピンコート、ロールコート、ディップコート、グラビアコート、ダイコート、カーテンコート、インクジェット塗布及びディスペンサー塗布等が挙げられる。
【0054】
本発明の光硬化性樹脂層2の厚さは、マスターモールド3に形成された凹凸パターンの凹部に充填される光硬化性樹脂組成物の量、例えば凹凸パターンの凹部の深さ等を考慮して設定すればよい。また、マスターモールド3や基板1の全面を覆うように本発明の光硬化性樹脂層2を設けてもよく、一部のみを覆うように設けてもよい。
【0055】
マスターモールド3は、表面に所望の凹凸パターンが形成されていればよい。マスターモールド3の材質の例としては、石英ガラス、PDMS(ポリジメチルシロキサン)のような合成樹脂等の透明なものの他、シリコン、シリコンカーバイド、酸化シリコン、ニッケル等の金属や金属酸化物等の光を透過しないものも挙げられる。マスターモールド3の外観は、通常の光インプリント法において用いられているモールドの外観と同様のものでよく、例えば外観が直方体状又はロール状であってよい。
【0056】
また、マスターモールド3は、離型性を良好にするために、マスターモールド3の表面に、離型処理が施されていてもよい。離型処理は気相法や液相法等により、パーフルオロ系又は炭化水素系の高分子化合物、アルコキシシラン化合物又はトリクロロシラン化合物、ダイヤモンドライクカーボン等に例示される公知の離型処理剤を用いて行うことができる。市販されているフッ素系離型処理剤としては、例えば、ダイキン工業(株)製の「オプツール」(例えば、オプツール DSX、HD1100Z、HD2100Z)等が挙げられる。
【0057】
また、マスターモールド3表面に形成されている凹凸パターンは、通常の光インプリント法において用いられているモールドの表面に形成されている凹凸パターンと同様のものであってよいが、それに限定されるものでない。例えば、マスターモールド3の材料の表面に窪みを形成することにより凹部を形成したマスターモールド3としてもよく、この場合、相対的に表面側に突出した部分が凸部となる。また、マスターモールド3の材料の表面に突起を設けることにより凸部を形成したマスターモールド3としてもよく、この場合、相対的に内側に窪んだ部分が凹部となる。さらに、原盤の材料の表面に窪みまたは突起を設けることにより形成した凹凸パターンを有する原盤を用い、この原盤を鋳型として形成したマスターモールド3としてもよい。凹凸パターンの各凹部の断面の形状は、正方形、長方形、三角形、半月形、またはそれら形状に類似した形状等でもよく、各凹部は、例えば、深さが0.00001〜3mm程度、開口部の直径が0.00001〜5mm程度のものであってよい。
【0058】
このように、基板1又はマスターモールド3に本発明の光硬化性樹脂組成物からなる本発明の光硬化性樹脂層2を形成した後、基板1とマスターモールド3とを対向させて、
図1(b)に示すように、光硬化性樹脂層2とマスターモールド3の凹凸パターンが形成された面を接触させて、マスターモールド3の凹凸パターンに光硬化性樹脂層(本発明の光硬化性樹脂組成物)を充填する。本発明の光硬化性樹脂層2をマスターモールド3に充填させる際に、必要に応じて、0.01〜10MPa程度の力をかけてもよい。なお、従来の光インプリント法におけるインプリント装置を用いることができる。
【0059】
次いで、
図1(c)に示すように本発明の光硬化性樹脂層2とマスターモールド3とを接触させてマスターモールド3の凹凸パターンに本発明の光硬化性樹脂層2を充填させた状態で光硬化性樹脂層2を露光し、硬化させて樹脂モールド4とする(光硬化工程)。
【0060】
露光に用いる光源は、光硬化性樹脂組成物が硬化する波長の光、例えば波長200〜500nmの光を照射できるものであればよいが、基板1又はマスターモールド3を通過する波長の光であることが必要である。光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、水銀キセノンランプ、XeClや、KrF等のエキシマーレーザ、紫外あるいは可視光レーザー、及び紫外あるいは可視光LED等が挙げられる。光の照射量は、光硬化性樹脂層を硬化させることができる量であればよい。本発明を実施する際には、通常、10mJ/cm
2〜500J/cm
2の範囲内で照射量を選定するとよいが、作製する本発明の光硬化性樹脂組成物の組成、あるいは層の厚さ等により異なる。なお、基板1及びマスターモールド3のうち、照射する光に対して実質的に透明である部材の側から本発明の光硬化性樹脂層2に光を照射する。
【0061】
次いで、
図1(d)に示すように、本発明の樹脂モールド4からマスターモールド3を離型し、必要に応じて本発明の樹脂モールド4を基板1から剥離することにより、マスターモールド3の凹凸パターンが反転して転写された本発明の樹脂モールド4を形成することができる。
【0062】
得られた本発明の樹脂モールド4の使用方法としては、特に限定されないが、例えば、光ナノインプリント法において、本発明の樹脂モールドとパターン形成用光硬化性樹脂組成物とを用いて光硬化物を製造する方法に用いることができる。
【0063】
具体的には、まず、
図2(a)に示すように、基板5及び凹凸パターンが形成された本発明の樹脂モールド4を用意し、パターン形成用光硬化性樹脂組成物からなるパターン形成用硬化性樹脂層(被転写材層)6を基板5上に形成すると共に、
図2(b)に示すように基板5と本発明の樹脂モールド4とでパターン形成用光硬化性樹脂層6を挟み込んで本発明の樹脂モールド4の凹凸パターンにパターン形成用光硬化性樹脂組成物を充填する(充填工程)。なお、
図2(b)では基板5上にパターン形成用光硬化性樹脂層6を形成したものを記載したが、パターン形成用光硬化性樹脂層6は本発明の樹脂モールド4上に設けてもよく、また、基板5と本発明の樹脂モールド4との両方に設けてもよい。
【0064】
基板5は、光硬化性樹脂組成物を塗布や滴下等することによってパターン形成用光硬化性樹脂層6を設けることができるものであればよく、例えば、通常の光インプリント法で用いられている基板でよい。具体例としては、シリコンウェハ等の半導体基板、GaAs、InAs、GaN等の化合物半導体、ガラス、石英、サファイア等の透明無機基板、セラミック基板、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタラート)、トリアセチルセルロース等の合成樹脂基板、金属又は金属酸化物等が挙げられる。また、透明な基板5としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、透明合成樹脂基板等が挙げられる。そして、基板5の表面は、パターン形成用光硬化性樹脂層6との接着性の向上やそのパターン形成用光硬化性樹脂層6の塗布状態改良等のために、前処理が施されていてもよい。前処理の具体例としては、湿式の表面洗浄やプラズマ、オゾン洗浄等による表面改質、シランカップリング剤のような接着性向上剤による処理等が挙げられる。
【0065】
基板5又は樹脂モールド4にパターン形成用光硬化性樹脂層6を形成する方法は特に限定されず、例えば、必要に応じ溶剤等で希釈した本発明の光硬化性樹脂組成物の塗布や滴下、具体的には、スピンコート、ロールコート、ディップコート、グラビアコート、ダイコート、カーテンコート、インクジェット塗布及びディスペンサー塗布等が挙げられる。
【0066】
パターン形成用光硬化性樹脂層6の厚さは、樹脂モールド4に形成された凹凸のパターンの凹部に充填される光硬化性樹脂組成物の量、例えば凹凸のパターンの凹部の深さ等を考慮して設定すればよい。また、樹脂モールド4や基板5の全面を覆うようにパターン形成用光硬化性樹脂層6を設けてもよく、一部のみを覆うように設けてもよい。
【0067】
樹脂モールド4の外観は、通常の光インプリント法において用いられているマスターモールド3の外観と同様のものでよく、例えば外観が直方体状又はロール状であってよい。
【0068】
また、樹脂モールド4表面に形成されている凹凸パターンは、マスターモールド3の反転した凹凸パターンが形成されている。
【0069】
このように、基板5又は樹脂モールド4にパターン形成用光硬化性樹脂組成物からなるパターン形成用光硬化性樹脂層6を形成した後、基板5と樹脂モールド4とを対向させて、
図2(b)に示すように、パターン形成用光硬化性樹脂層6と樹脂モールド4の凹凸パターンが形成された面を接触させて、樹脂モールド4の凹凸パターンにパターン形成用光硬化性樹脂層(感光性樹脂組成物)を充填する。パターン形成用光硬化性樹脂層6を樹脂モールド4に充填させる際に、必要に応じて、0.01〜10MPa程度の力をかけてもよい。なお、従来の光インプリント法におけるインプリント装置を用いることができる。
【0070】
次いで、
図2(c)に示すようにパターン形成用光硬化性樹脂層6と樹脂モールド4とを接触させて樹脂モールド4の凹凸パターンにパターン形成用光硬化性樹脂層6を充填させた状態でパターン形成用光硬化性樹脂層6を露光し、硬化させて光硬化層7とする(光硬化工程)。
【0071】
露光に用いる光源の例としては、前記の樹脂モールド4を作製する際の光硬化工程で用いたものと同様のものが挙げられる。光の照射量は、光硬化性樹脂層を硬化させることができる量であればよい。本発明を実施する際には、硬化させる光硬化性樹脂層の組成、あるいは層の厚さ等により異なるが、通常、10mJ/cm
2〜10J/cm
2の範囲内で照射量を選定するとよい。なお、基板5及び樹脂モールド4のうち、照射する光に対して実質的に透明である部材の側からパターン形成用光硬化性樹脂層6に光を照射する。
【0072】
次いで、
図2(d)に示すように、光硬化層7から樹脂モールド4を離型し、必要に応じて光硬化層7を基板5から剥離することにより、樹脂モールド4の凹凸パターンが転写された光硬化層7を形成することができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
<下記の式(3)で表されるフッ素化ウレタンメタクリレートAの合成>
【0075】
【化4】
【0076】
水冷コンデンサーを備えた三つ口フラスコに、前記の式(2)で表されるフッ素化ポリテトラメチレングリコール(Exfluor Research Corp社製の「Fluorinated PTMG650 DIOL」)51.2g(0.028mol)、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製の「カレンズMOI」)7.18g(0.046mol)、及び触媒であるジブチルスズジラウレート8mgを加え、溶解させ溶液を得た。
【0077】
前記の式(2)で表されるフッ素化ポリテトラメチレングリコールの分子量について、非特許文献(Macromol.Chem.Phys.198,1893−1907(1997))の方法を参考に
19F NMRより算出した。フッ素ポリテトラメチレングリコールについてNMRの結果は下記のとおりであった。
【0078】
19F NMR(376MHz,C
6F
6/DMSO−d,25℃,ppm)
σ:−110.725(m,−CF
2CF
2CF
2CH
2OH),σ:−108.885(m,−OCF
2CF
2CF
2CF
2O−),σ:−106.075(m,−CF
2CH
2OH),σ:−66.655(m,−OCF
2CF
2CF
2CF
2O−および−OCF
2CF
2CF
2CH
2OH)
【0079】
フッ素化ポリテトラメチレングリコールの繰り返し構造(−CF
2CF
2CF
2CF
2O−)の数nは、
19F NMRにより求められる(−CF
2CH
2OH)のフッ素の積分値を1とし、(−CF
2CF
2CF
2CF
2O−)のフッ素の積分値をSとすると、n=S/2で表される。
【0080】
19F NMRの結果からσ:−106.075(m,−CF
2CH
2OH)のフッ素の積分値を1.0とすると、σ:−110.725(m,−CF
2CF
2CF
2CH
2OH)のフッ素の積分値は1.0、σ:−108.885(m,−OCF
2CF
2CF
2CF
2O−)のフッ素の積分値は8.3,σ:−66.655(m,−OCF
2CF
2CF
2CF
2O−および−OCF
2CF
2CF
2CH
2OH)のフッ素の積分値は10.0であった。これらの積分値の比から、(−OCF
2CF
2CF
2CH
2OH)の部位のフッ素の積分値は3.0、フッ素化ポリテトラメチレングリコールのフッ素の積分値の総和は20.3(平均値)と算出できる。フッ素化ポリテトラメチレングリコールの積分値の総和と(−OCF
2CF
2CF
2CH
2OH)の部位のフッ素の積分値の差は、フッ素化ポリテトラメチレングリコールの繰り返し構造部分(−CF
2CF
2CF
2CF
2O−)のフッ素の積分値Sの値であり、S=17.3(平均値)であった。フッ素化ポリテトラメチレングリコールの繰り返し構造部分のnの値を上記式より算出した結果、n=8.65(平均値)であり、フッ素化ポリテトラメチレングリコールの分子量は2246(平均値)であった。
【0081】
そして、上記の得られた溶液を70℃で4時間攪拌し、フッ素化ウレタンメタクリレートAを得た。得られたフッ素化ウレタンメタクリレートAの構造をNMRスペクトルで確認した。結果は下記のとおりであった。
【0082】
1H NMR(400MHz,CD
3COCD
3,25℃、ppm)
σ:1.893(s,−CH
3),σ:3.496−3.509(m,CH
2NHCO),σ:4.204−4.230(m,CH
2OCO),σ:4.720(m,CF
2−CH
2O),σ:5.595−5.599(m,CCH
3−CH
2),σ:6.084(s,CCH
3−CH
2),σ:6.984(s,NHCH
2)
19F NMR(376MHz,C
6F
6/DMSO−d,25℃、ppm)
σ:−110.691,σ:−109.066,σ:−104.299,σ:−97.946,σ:−66.641
【0083】
<光硬化性樹脂組成物A1の調製>
フッ素化ウレタンメタクリレートA 98質量%、及び光重合開始剤として(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン2質量%(BASF社製の「IRGACURE 184」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物A1を調製した。
【0084】
<樹脂モールドMA1の作製>
まず市販のフッ素系離型処理剤(ダイキン工業(株)製の「オプツールHD1100Z」)で離型処理され、かつ微細な凹凸パターンが形成された石英モールド(縦50mm、横50mm、厚さ1mm)の上に、光硬化性樹脂組成物A1をスポイトで滴下した。次に、上から無アルカリガラス基板(縦50mm、横50mm、厚さ1mm)を光硬化性樹脂組成物A1に押し付けた。この状態でインプリント装置(東芝機械(株)製ST02)を用いて、均一な圧力0.05kNの荷重をかけ、加圧状態で60秒間保持した後、窒素雰囲気下にて、波長365nmの光を照射するLED光源を用いて無アルカリガラス基板側から露光し、光硬化性樹脂組成物A1の光硬化を行った。このとき、石英モールドと無アルカリガラス基板との間には、光硬化性樹脂組成物A1に触れることの無いように、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)5枚を入れることにより、石英モールドと無アルカリガラスとの間隔が500μmとなるようにギャップ制御した。露光量は3000mJ/cm
2であった。光硬化後に石英モールドを剥がすことにより、無アルカリガラス基板上に形成されており、かつ、微細な凹凸パターンを有する厚さ500μmの樹脂モールドMA1を得た。
【0085】
<被転写用光硬化性樹脂組成物Qの調製>
光重合性化合物として2−エチルヘキシアクリレート(共栄社化学(株)製)86質量%、トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製)10質量%、及び光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(BASF社製の「DAROCUR 1173」)4質量%を室温で撹拌、混合して被転写用光硬化性樹脂組成物Qを調製した。
【0086】
<樹脂モールドMA1の転写耐久性評価>
上記のように作製された、無アルカリガラス基板上の樹脂モールドMA1に被転写用光硬化性樹脂組成物Qを滴下し、次に上からPETフィルムを被転写用光硬化性樹脂組成物Qに載せ、PETフィルムと上記樹脂モールドMA1とで被転写用光硬化性樹脂組成物Qを挟み込み、PETフィルム面側から超高圧水銀ランプを用いて紫外線を1J/cm
2露光して被転写用光硬化性樹脂組成物Qを硬化させ、被転写材層を形成した後、樹脂モールドMA1から被転写材層を剥離した。
【0087】
上記の光硬化性樹脂組成物Qの滴下・露光・剥離からなる一連の操作(耐久性試験)を繰り返し、樹脂モールドMA1の表面に荒れが見られるかどうかを目視で観察し、その結果から樹脂モールドの転写耐久性を次のように評価付けした。
【0088】
なお、モールド表面の荒れ発生はモールドの劣化に基づくモールドの離型性の低下等によるものである。モールド表面に荒れが見られると、得られる被転写材層はその表面に荒れが見られ、良好な凹凸パターンを有する被転写材層とはいえない。
◎(良好); 耐久性試験200回でモールドの表面に荒れ無し。
○(やや良好);耐久性試験51〜200回でモールドの表面に荒れ発生。
▲(不良); 耐久性試験10〜50回でモールドの表面に荒れ発生。
×(著しく不良);耐久性試験2〜9回でモールドの表面に荒れ発生。
【0089】
光硬化性樹脂組成物A1から作製した樹脂モールドMA1を用いた場合、耐久性試験200回を行った段階でも、樹脂モールドMA1の表面に荒れが見られず、光硬化性樹脂組成物A1から作製された樹脂モールドMA1は良好な転写耐久性(◎)を示した(表1参照)。
【0090】
(実施例2)
<光硬化性樹脂組成物A2の調製>
フッ素化ウレタンメタクリレートA 98質量%、及び光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン2質量%(BASF社製の「DAROCUR 1173」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物A2を調製した。
【0091】
<樹脂モールドMA2の作製>
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂モールドMA2を作製した。
【0092】
<樹脂モールドMA2の転写耐久性評価>
実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物A2から作製した樹脂モールドMA2及び被転写材としての光硬化性樹脂組成物Qを用いて、樹脂モールドMA2についての耐久性試験200回を行った段階でも、樹脂モールドMA2の表面には表面に荒れが見られず、光硬化性樹脂組成物A2から作製された樹脂モールドMA2は良好な転写耐久性(◎)を示した(表1参照)。
【0093】
(実施例3)
<光硬化性樹脂組成物A3の調製>
フッ素化ウレタンメタクリレートA 98質量%、及び光重合開始剤としてジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド(BASF社製の「Lucirin TPO」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物A3を調製した。
【0094】
<樹脂モールドMA3の作製>
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂モールドMA3を作製した。
【0095】
<樹脂モールドMA3の転写耐久性評価>
実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物A3から作製した樹脂モールドMA3及び被転写材としての光硬化性樹脂組成物Qを用いて、樹脂モールドMA3についての耐久性試験200回を行った段階でも、樹脂モールドMA3の表面に荒れが見られず、光硬化性樹脂組成物A3から作製された樹脂モールドMA3は良好な転写耐久性(◎)を示した(表1参照)。
【0096】
(実施例4)
<下記の式(4)で表されるフッ素化ウレタンアクリレートBの合成>
【0097】
【化5】
【0098】
水冷コンデンサーを備えた三つ口フラスコに、前記の式(2)で表されるフッ素化ポリテトラメチレングリコール(Exfluor Research Corp社製の「Fluorinated PTMG650 DIOL」)3.76g(0.00208mol)、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工(株)製の「カレンズBEI」)0.813g(0.00340mol)、及び触媒であるジブチルスズジラウレート4mgを加え、溶解させた。そして、この溶液を70℃で8時間攪拌し、フッ素化ウレタンアクリレートBを得た。得られたフッ素化ウレタンアクリレートBの構造をNMRスペクトルで確認した。結果は下記のとおりであった。
【0099】
1H NMR(400MHz,CD
3COCD
3,25℃、ppm)
σ:1.461(s,CH
3),σ:4.389(m,CH
2NHCO),σ:4.700(m,CF
2−CH
2O),σ:5.900(m,CH−CH
2),σ:6.180(m,CH−CH
2),σ:6.366(m,CH−CH
2),σ:6.994(s,NHCH
2)
19F NMR(376MHz,C6F6/DMSO−d,25℃、ppm)
σ:−110.730,σ:−109.081,σ:−104.601,σ:−97.917,σ:−66.651
【0100】
<光硬化性樹脂組成物Bの調製>
フッ素化ウレタンメタクリレートA 68質量%、フッ素化ウレタンアクリレートB 30質量%、及び光重合開始剤として(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン2質量%(BASF社製の「IRGACURE 184」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物Bを調製した。
【0101】
<樹脂モールドMBの作製>
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂モールドMBを作製した。
【0102】
<樹脂モールドMBの転写耐久性評価>
実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物Bから作製した樹脂モールドMB及び被転写材としての光硬化性樹脂組成物Qを用いて、樹脂モールドMBについての耐久性試験200回を行った段階でも、樹脂モールドMBの表面に荒れが見られず、光硬化性樹脂組成物Bから作製された樹脂モールドMBは良好な転写耐久性(◎)を示した(表1参照)。
【0103】
(比較例1)
<光硬化性樹脂組成物Yの調製>
下記の式(5)で表されるフッ素化ウレタンメタクリレート Y(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン(株)製の「FLUOROLINK MD700」:分子量1500)98質量%、及び光重合開始剤として(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン2質量%(BASF社製の「IRGACURE 184」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物Yを調製した。
【0104】
【化6】
【0105】
<樹脂モールドMYの作製>
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂モールドMYを作製した。
【0106】
<樹脂モールドMYの転写耐久性評価>
実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物Yから作製した樹脂モールドMY及び被転写材としての光硬化性樹脂組成物Qを用いて、樹脂モールドMYについての耐久性試験を繰り返したところ、耐久性試験10〜50回で樹脂モールドMYの表面に荒れが発生し、樹脂モールドMYはその転写耐久性が不良(▲)であった(表1参照)。
【0107】
(比較例2)
<光硬化性樹脂組成物Zの調製>
下記の式(6)で表されるフッ素化ウレタンメタクリレート Z(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン(株)製の「FOMBLIN MD40」:分子量4000)98質量%、及び光重合開始剤として(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン2質量%(BASF社製の「IRGACERE 184」)を室温で撹拌、混合して光硬化性樹脂組成物Zを調製した。
【0108】
【化7】
【0109】
<樹脂モールドMZの作製>
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂モールドMZを作製した。
【0110】
<樹脂モールドMZの転写耐久性評価>
実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物Zから作製した樹脂モールドMZ及び被転写材としての光硬化性樹脂組成物Qを用いて、樹脂モールドMZについての耐久性試験を繰り返したところ、耐久性試験2〜9回で樹脂モールドMZの表面に荒れが発生し、樹脂モールドMZはその転写耐久性が著しく不良(×)であった(表1参照)。
【0111】
【表1】