特許第6230164号(P6230164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230164
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/232 20060101AFI20171106BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01G4/12 352
   H01G4/12 361
   H01G4/30 301B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-145002(P2015-145002)
(22)【出願日】2015年7月22日
(62)【分割の表示】特願2013-3475(P2013-3475)の分割
【原出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2015-228506(P2015-228506A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2015年8月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145517
【弁理士】
【氏名又は名称】宮原 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】加茂部 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 勝之助
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−086718(JP,A)
【文献】 実開昭55−120141(JP,U)
【文献】 特開平11−251177(JP,A)
【文献】 特開2002−359103(JP,A)
【文献】 特開平06−084687(JP,A)
【文献】 実開平05−062003(JP,U)
【文献】 実開平02−137023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G4/00−4/015
4/02−4/224
4/232
4/255−4/40
13/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ、幅及び高さを有する略直方体形状の誘電体チップの長さ方向の端部それぞれに外部電極を有し、前記誘電体チップに相互非接触で内蔵されている複数の内部電極層の一部の端が前記外部電極の一方に接続され他部の端が前記外部電極の他方に接続されている積層セラミックコンデンサにおいて、
前記各外部電極は、前記誘電体チップの長さ方向の端面を覆う略矩形状の端面部と、前記誘電体チップの幅方向及び高さ方向の4側面それぞれの一部を覆う略4角筒状の側面部と、前記端面部と前記側面部の前記4側面それぞれに対応する部分との間に介在する断面略円弧状で環状の曲面部を有しており、
前記各外部電極には、前記端面部の表面全体と前記曲面部の表面の前記4側面それぞれに対応する部分の少なくとも一部を連続して覆うように、ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜が設けられており、
前記各外部電極に設けられた前記ハンダ非付着膜の内側端の間隔は、前記誘電体チップの長さよりも狭く、
前記各外部電極に設けられた前記ハンダ非付着膜の高さ方向の寸法は前記各外部電極の前記側面部の高さ方向の寸法以下であり、且つ、前記ハンダ非付着膜の幅方向の寸法は前記各外部電極の前記側面部の幅方向の寸法以下である、
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記ハンダが付着しない材料は、金属成分を含まない絶縁材料である、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記誘電体チップは、ε>1000又はクラス2の誘電体セラミックスから成る、
請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記複数の内部電極層の総数は、100以上である、
請求項1〜3の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の積層セラミックコンデンサ100を基板201に実装した状態を示す図である。
【0003】
積層セラミックコンデンサ100(以下、単にコンデンサ100と言う)は、誘電体セラミックスから成る略直方体形状の誘電体チップ101の相対する端部それぞれに外部電極102を有しており、全体として略直方体形状を成している。誘電体チップ101は複数の内部電極層(図示省略)を相互非接触で内蔵しており、該複数の内部電極層11aの一部(上から奇数番目)の端は一方の外部電極12に接続され他部(上から偶数番目)の端は他方の外部電極12に接続されている。
【0004】
このコンデンサ100を基板201に実装するときには、基板201のパッド202上に塗布されたクリームハンダに各外部電極102の一側面(略矩形状の被接続面)が接するようにコンデンサ100を搭載した後、リフローハンダ付け法等の熱処理によってクリームハンダを一旦溶融してから硬化させ、各外部電極102をハンダ301を介してパッド202に接合する。因みに、基板201のパッド202は、各外部電極102の被接続面よりも僅かに大きな略矩形状輪郭を有している。
【0005】
前記熱処理時には、溶融したクリームハンダが各外部電極102の端面及び側面を上昇するような挙動を生じるため、図1に示したように、実装後のコンデンサ100の各外部電極102の端面側には所定高さのハンダフィレット301aが形成される。
【0006】
ところで、図1に示した実装状態においてコンデンサ100への電圧印加、特に交流電圧印加によって誘電体チップ101に電歪現象(誘電体チップ101の図1における左右方向寸法の減少及び上下方向寸法の増加(太線矢印を参照)とその復元の繰り返し)を生じたときに、該電歪現象に伴う反り(2点鎖線を参照)とその復元が基板201に生じて振動が発生し、該振動によって所謂音鳴きが発生することがある。
【0007】
特に、図1に示したように、実装後のコンデンサ100の各外部電極102の端面側にハンダフィレット301aが形成されている場合には、該ハンダフィレット301aに基づく引張力TE(白抜き矢印を参照)が基板201に作用するために、該基板201の反り(2点鎖線を参照)が増加して音鳴きが発生し易くなる。
【0008】
下記特許文献1には、前記電歪現象に伴う音鳴きを抑制するために、前記外部電極102のそれぞれに脚状端子を設けた積層セラミックコンデンサが記載されているが、実装後の各脚状端子の端面側に図1と同様のハンダフィレット301aが形成される場合には、該各脚状端子それ自体によって基板201への応力伝達を緩和できる作用は得られるものの、該ハンダフィレット301aに基づく引張力TE(図1の白抜き矢印を参照)が基板201に作用してしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−273935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電歪現象に伴う音鳴きを確実に抑制できる積層セラミックコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミックスから成る略直方体形状の誘電体チップの長さ方向の端部それぞれに外部電極を有し、該誘電体チップに相互非接触で内蔵されている複数の内部電極層の一部の端が一方の外部電極に接続され他部の端が他方の外部電極に接続されている積層セラミックコンデンサにおいて、前記各外部電極は、前記誘電体チップの端面を覆う略矩形状の端面部と、前記誘電体チップの4側面の一部を覆う略4角筒状の側面部と、端面部と側面部との間に介在する断面略円弧状の曲面部を有しており、前記各外部電極には、前記端面部の表面全体と前記曲面部の表面の少なくとも一部を連続して覆うように、ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜が設けられており、前記各外部電極に設けられた前記ハンダ非付着膜の内側端の間隔は、前記誘電体チップの長さよりも狭い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電歪現象に伴う音鳴きを確実に抑制できる積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【0013】
本発明の前記目的及び他の目的と、各目的に応じた特徴と効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は従来の積層セラミックコンデンサを基板に実装した状態を示す図であ る。
図2図2は本発明の第1実施形態である積層セラミックコンデンサの上面図であ る。
図3図3図2に示した積層セラミックコンデンサの縦断面図である。
図4図4図2に示した積層セラミックコンデンサを基板に実装した状態を示す 図である。
図5図5は本発明の第2実施形態である積層セラミックコンデンサの上面図であ る。
図6図6図5に示した積層セラミックコンデンサの縦断面図である。
図7図7図5に示した積層セラミックコンデンサを基板に実装した状態を示す 図である。
図8図8は本発明の参考形態である積層セラミックコンデンサの上面図である。
図9図9図8に示した積層セラミックコンデンサの縦断面図である。
図10図10図8に示した積層セラミックコンデンサを基板に実装した状態を 示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態(図2図4)]
図2は積層セラミックコンデンサ10-1の上面図、図3図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1の縦断面図、図4図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1を基板21に実装した状態を示す図である。
【0016】
本欄の説明では、記述の便宜上、積層セラミックコンデンサ10-1の図2及び図3における左右方向寸法を長さと言い、図2における上下方向寸法を幅と言い、図3における上下方向寸法を高さと言う。
【0017】
図2に示したように、積層セラミックコンデンサ10-1(以下、単にコンデンサ10-1と言う)は、誘電体セラミックスから成る略直方体形状の誘電体チップ11の長さ方向の端部(誘電体チップ11の相対する端部)それぞれに外部電極12を有しており、全体として長さ>幅=高さ、或いは、長さ>幅>高さの基準寸法を有する略直方体形状を成している。
【0018】
図3に示したように、誘電体チップ11は複数(図3では計20)の内部電極層11aを相互非接触で内蔵しており、該複数の内部電極層11aの一部(上から奇数番目)の端は一方(左側)の外部電極12に接続され他部(上から偶数番目)の端は他方(右側)の外部電極12に接続されている。図3には、図示の便宜上、内部電極層11aの総数を20としてあるが、実際の総数は100以上である。誘電体チップ11はチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体セラミックス、好ましくはε>1000又はクラス2(高誘電率系)の誘電体セラミックスから成り、内部電極層11aの間それぞれに存在する層状部分は略同じ厚さを有している。各内部電極層11aはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属から成り、略同じ厚さ及び上面視形状(略矩形)を有している。
【0019】
各外部電極12は、誘電体チップ11に密着した下地層(図示省略)と該下地層の表面に形成された表面層(図示省略)との2層構造、或いは、下地層と表面層との間に少なくとも1つの中間層(図示省略)を有する多層構造を有している。下地層はニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属から成り、表面層はスズ、パラジウム、金、亜鉛等の金属から成り、中間層は白金、パラジウム、金、銅、ニッケル等の金属から成る。
【0020】
また、各外部電極12は、図3に示した破線を境として3つの区域、即ち、誘電体チップ11の端面を覆う略矩形状の端面部12aと、誘電体チップ11の4側面の一部を覆う略4角筒状の側面部12bと、端面部12aと側面部12bとの間に介在する断面略円弧状の曲面部12cを有している。補足すれば、端面部12aは誘電体チップ11の長さを規定する面を覆う部分を指し、側面部12bは所謂回り込み部と称される部分を指し、曲面部12cは端面部12a及び側面部12bに該当しない部分で表面が曲面から成る部分を指す。
【0021】
符号13-1はハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜であり、各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面全体を連続して覆うように設けられている。図3には端面部12a上の部分の厚さが略一定で、且つ、曲面部12c上の部分の厚さがその端に向かって徐々に薄くなる態様のハンダ非付着膜13-1を示してあるが、後述する該ハンダ非付着膜13-1の役割からして、端面部12a上の部分の厚さは略一定でなくても良いし、曲面部12c上の部分の厚さはその端に向かって徐々に薄くなっていなくても良い。
【0022】
前記のハンダが付着しない材料としては、(1)周知のソルダレジスト、(2)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性プラスチック、又は(3)二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機絶縁材、即ち、金属成分を含まない絶縁材料が好適に使用できる。
【0023】
材料(1)及び(2)の場合には、例えば硬化前ペーストを塗布して熱硬化させる方法によってハンダ非付着膜13-1を作製でき、同方法によれば高温焼付けに比べて低温度下で硬化処理を行える。材料(3)の場合には、例えばスパッタリング法や蒸着法等の薄膜形成手法による成膜によってハンダ非付着膜13-1を作製できる。
【0024】
図2及び図3に示したコンデンサ10-1を基板21に実装するときには、図4に示したように、基板21のパッド22上に塗布されたクリームハンダに各外部電極12の側面部12bの一面(略矩形状の被接続面)が接するようにコンデンサ10-1を搭載した後、リフローハンダ付け法等の熱処理によってクリームハンダを一旦溶融してから硬化させ、各外部電極12をハンダ31を介してパッド22に接合する。因みに、基板21のパッド22は、各外部電極12の被接続面よりも僅かに大きな略矩形状輪郭を有している。
【0025】
前記熱処理時には、溶融したクリームハンダが各外部電極12の端面部12aの表面及び側面部12bの表面(幅方向側面)を上昇する挙動を生じるが、ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜13-1が各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面全体を連続して覆うように設けられているため、図4に示したように、実装後のコンデンサ10-1の各外部電極12の端面部12a側にはハンダフィレット(図1の符号301aを参照)は形成されない。
【0026】
依って、図4に示した実装状態においてコンデンサ10-1への電圧印加、特に交流電圧印加により誘電体チップ11に電歪現象(誘電体チップ11の長さの減少及び高さの増加(太線矢印を参照)とその復元の繰り返し)を生じた場合でも、ハンダフィレットに基づく引張力TE(図1の白抜き矢印を参照)が基板21に作用することを防止して該基板21の反り(2点鎖線を参照)を低減でき、該反り低減により基板21に生じる振動を軽減して電歪現象に伴う音鳴きを確実に抑制できる。
【0027】
また、各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面全体を連続して覆うように設けられているハンダ非付着膜13-1にハンダ31が付着することはないため、図4に示した実装状態において各外部電極12に付着したハンダ31の外側端間距離L1をコンデンサ10-1の長さよりも短くなるように短縮でき、該外側端間距離L1の短縮により基板21の反り(2点鎖線を参照)をより一層低減でき、該反り低減により基板21に生じる振動をより一層軽減して電歪現象に伴う音鳴きをより一層確実に抑制できる。
【0028】
[第2実施形態(図5図7)]
図5は積層セラミックコンデンサ10-2の上面図、図6図5に示した積層セラミックコンデンサ10-2の縦断面図、図7図5に示した積層セラミックコンデンサ10-2を基板21に実装した状態を示す図である。
【0029】
本欄の説明では、[第1実施形態]と同様、記述の便宜上、積層セラミックコンデンサ10-2の図5及び図6における左右方向寸法を長さと言い、図5における上下方向寸法を幅と言い、図6における上下方向寸法を高さと言う。
【0030】
図5及び図6に示した積層セラミックコンデンサ10-2(以下、単にコンデンサ10-2と言う)が、第1実施形態であるコンデンサ10-1と構成を異にするところは、
・ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜13-2を、各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面一部(図6にあっては略半分)を連続して覆うように設けた点
にある。
【0031】
図6には端面部12a上の部分の厚さが略一定で、且つ、曲面部12c上の部分の厚さがその端に向かって徐々に薄くなる態様のハンダ非付着膜13-2を示してあるが、後述する該ハンダ非付着膜13-2の役割からして、端面部12a上の部分の厚さは略一定でなくても良いし、曲面部12c上の部分の厚さはその端に向かって徐々に薄くなっていなくても良い。
【0032】
図5及び図6に示したコンデンサ10-2を基板21に実装するときには、図7に示したように、基板21のパッド22上に塗布されたクリームハンダに各外部電極12の側面部12bの一面(略矩形状の被接続面)が接するようにコンデンサ10-2を搭載した後、リフローハンダ付け法等の熱処理によってクリームハンダを一旦溶融してから硬化させ、各外部電極12をハンダ31を介してパッド22に接合する。因みに、基板21のパッド22は、各外部電極12の被接続面よりも僅かに大きな略矩形状輪郭を有している。
【0033】
前記熱処理時には、溶融したクリームハンダが各外部電極12の端面部12aの表面及び側面部12bの表面(幅方向側面)を上昇する挙動を生じるが、ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜13-2が各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面一部を連続して覆うように設けられているため、図7に示したように、実装後のコンデンサ10-2の各外部電極12の端面部12a側にはハンダフィレット(図1の符号301aを参照)は形成されない。
【0034】
依って、図7に示した実装状態においてコンデンサ10-2への電圧印加、特に交流電圧印加により誘電体チップ11に電歪現象(誘電体チップ11の長さの減少及び高さの増加(太線矢印を参照)とその復元の繰り返し)を生じた場合でも、ハンダフィレットに基づく引張力TE(図1の白抜き矢印を参照)が基板21に作用することを防止して該基板21の反り(2点鎖線を参照)を低減でき、該反り低減により基板21に生じる振動を軽減して電歪現象に伴う音鳴きを確実に抑制できる。
【0035】
また、各外部電極12の端面部12aの表面全体と曲面部12cの表面一部を連続して覆うように設けられているハンダ非付着膜13-2にハンダ31が付着することはないため、図7に示した実装状態において各外部電極12に付着したハンダ31の外側端間距離L2をコンデンサ10-2の長さよりも短くなるように短縮でき、該外側端間距離L2の短縮により基板21の反り(2点鎖線を参照)をより一層低減でき、該反り低減により基板21に生じる振動をより一層軽減して電歪現象に伴う音鳴きをより一層確実に抑制できる。
【0036】
さらに、各外部電極12の曲面部12cの表面他部には側面部12bと連続してハンダ31が付着するため、該曲面部12cの表面他部にハンダ31が付着することを利用したセルフアライメント効果が期待できる。
【0037】
[参考形態(図8図10)]
図8は積層セラミックコンデンサ10-3の上面図、図9図8に示した積層セラミックコンデンサ10-3の縦断面図、図10図8に示した積層セラミックコンデンサ10-3を基板21に実装した状態を示す図である。
【0038】
本欄の説明では、[第1実施形態]と同様、記述の便宜上、積層セラミックコンデンサ10-3の図8及び図9における左右方向寸法を長さと言い、図8における上下方向寸法を幅と言い、図9における上下方向寸法を高さと言う。
【0039】
図8及び図9に示した積層セラミックコンデンサ10-3(以下、単にコンデンサ10-3と言う)が、第1実施形態であるコンデンサ10-1と構成を異にするところは、
・ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜13-3を、各外部電極12の端面部12aの表面全体を覆うように設けた点
にある。
【0040】
図9には端面部12a上の外周部分を除く部分の厚さが略一定で、且つ、外周部分の厚さがその端に向かって徐々に薄くなる態様のハンダ非付着膜13-3を示してあるが、後述する該ハンダ非付着膜13-3の役割からして、端面部12a上の外周部分を除く部分の厚さは略一定でなくても良いし、外周部分の厚さはその端に向かって徐々に薄くなっていなくても良い。
【0041】
図8及び図9に示したコンデンサ10-3を基板21に実装するときには、図10に示したように、基板21のパッド22上に塗布されたクリームハンダに各外部電極12の側面部12bの一面(略矩形状の被接続面)が接するようにコンデンサ10-3を搭載した後、リフローハンダ付け法等の熱処理によってクリームハンダを一旦溶融してから硬化させ、各外部電極12をハンダ31を介してパッド22に接合する。因みに、基板21のパッド22は、各外部電極12の被接続面よりも僅かに大きな略矩形状輪郭を有している。
【0042】
前記熱処理時には、溶融したクリームハンダが各外部電極12の端面部12aの表面及び側面部12bの表面(幅方向側面)を上昇する挙動を生じるが、ハンダが付着しない材料から成るハンダ非付着膜13-2が各外部電極12の端面部12aの表面全体を覆うように設けられているため、図10に示したように、実装後のコンデンサ10-3の各外部電極12の端面部12a側にはハンダフィレット(図1の符号301aを参照)は形成されない。
【0043】
依って、図10に示した実装状態においてコンデンサ10-3への電圧印加、特に交流電圧印加により誘電体チップ11に電歪現象(誘電体チップ11の長さの減少及び高さの増加(太線矢印を参照)とその復元の繰り返し)を生じた場合でも、ハンダフィレットに基づく引張力TE(図1の白抜き矢印を参照)が基板21に作用することを防止して該基板21の反り(2点鎖線を参照)を低減でき、該反り低減により基板21に生じる振動を軽減して電歪現象に伴う音鳴きを確実に抑制できる。
【0044】
また、各外部電極12の端面部12aの表面全体を覆うように設けられているハンダ非付着膜13-3にハンダ31が付着することはないため、図10に示した実装状態において各外部電極12に付着したハンダ31の外側端間距離L3をコンデンサ10-3の長さと略同じに短縮でき、該外側端間距離L3の短縮により基板21の反り(2点鎖線を参照)をより一層低減し、該反り低減により基板21に生じる振動をより一層軽減して電歪現象に伴う音鳴きをより一層確実に抑制できる。
【0045】
さらに、各外部電極12の曲面部12cの表面全体には側面部12bと連続してハンダ31が付着するため、該曲面部12cの表面全体にハンダ31が付着することを利用したセルフアライメント効果が期待できる。
【符号の説明】
【0046】
10-1,10-2,10-3…積層セラミックコンデンサ、11…誘電体チップ、11a…内部電極層、12…外部電極、12a…端面部、12b…側面部、12c…曲面部、13-1,13-2,13-3…ハンダ非付着膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10