特許第6230168号(P6230168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62301682つのばねによる快適機能を有するシートベルトリトラクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230168
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】2つのばねによる快適機能を有するシートベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/44 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B60R22/44 126
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-555664(P2015-555664)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-508913(P2016-508913A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2014051490
(87)【国際公開番号】WO2014122039
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】102013201849.5
(32)【優先日】2013年2月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510136301
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ジャブッシュ、ロナルド
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−052656(JP,U)
【文献】 特開昭54−001526(JP,A)
【文献】 特開昭56−003069(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第02232062(GB,A)
【文献】 実開昭54−166620(JP,U)
【文献】 実開昭63−122160(JP,U)
【文献】 特開2006−281835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのばねによる快適機能を有するシートベルトリトラクタであって、
ハウジング(1)と;
前記ハウジング(1)に回転可能に支持され、シートベルトが巻き付け可能であるベルトシャフト(2)と;
前記ベルトシャフト(2)に連結され、前記シートベルトの巻き取り方向にばね予備荷重が加えられた第1及び第2の引き込みばね(6、7)と;
前記シートベルトの引き出し長さに応じて、前記ベルトシャフト(2)と前記第2の引き込みばね()との連結を切り替える切り替え装置(33)と;
前記第2の引き込みばね(7)の一端(17)を保持する結合部品(8)と;
前記ベルトシャフト(2)に回転不能に連結され、前記第1の引き込みばね(6)の一端(19)を保持する駆動スリーブ(12)と;
前記結合部品(8)と前記駆動スリーブ(12)とに連結可能であり、前記切り替え装置(33)によって制御されるロック部品(11)とを備え、
前記シートベルトの引き出し動作開始時には、前記ロック部品(11)によって前記駆動スリーブ(12)と前記結合部品(8)とが連結され、これによって前記第1及び第2の引き込みばね(6,7)の両方の力が前記ベルトシャフト(2)に作用し、
前記シートベルトを所定長さ以上引き出したときには、前記ロック部品(11)による前記駆動スリーブ(12)と前記結合部品(8)との連結が解除され、これによって前記第1の引き込みばね(6)の力のみが前記ベルトシャフト(2)に作用するとともに、前記第2の引き込みばね(7)はその弾発力を維持し、
その状態から前記シートベルトの巻き取り動作が開始すると、前記第1の引き込みばね(6)の力のみがベルトシャフト(2)に作用し、所定の巻き取り量に達すると、第1の引き込みばね(6)に加えて第2の引き込みばね(7)の弾発力が前記ベルトシャフト(2)に作用するように構成されたことを特徴とするシートベルトリトラクタ。
【請求項2】
前記切り替え装置(33)が、前記ロック部品(11)の動作を制御するための直線変位可能な切り替え部品(10)を備えること、および、前記切り替え部品(10)の動作が、前記シートベルトの引き出し長さに応じて前記切り替え装置(33)によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項3】
前記第1及び第2の引き込みばね(6、7)を収容するカートリッジ(3)を更に備え、
前記切り替え部品(10)が、前記カートリッジ(3)に回転不能に取り付けられており、前記ロック部品(11)が当接するカム輪郭部(30)を含むことを特徴とする請求項2に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項4】
2つの突起(28、29)が、前記ロック部品(11)に設けられており、前記2つの突起(28、29)がそれぞれ、前記切り替え部品(10)の位置に応じて前記カム輪郭部(30)に当接し、前記カム輪郭部(30)に当接しているときに、前記切り替え部品(10)に対する前記ロック部品(11)の相対動作の実行中の前記ロック部品(11)の動作を制御することを特徴とする請求項3に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項5】
前記ロック部品(11)の動作は、前記ロック部品(11)が、前記結合部品(8)と前記ベルトシャフト(2)との連結及び解除の両方、又は何れか一方のための準備位置に動かされるように制御され、前記準備位置から、前記ロック部品(11)は、前記結合部品(8)に連結された前記引き込みばね(7)のばね力によって支えられて、前記結合部品(8)と前記ベルトシャフト(2)とを連結するか、または連結しない最終位置まで可動であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項6】
前記引き込みばね(6、7)が、互いに平行に配置された2つのコイルばねによって形成されており、前記結合部品(8)が、前記コイルばね間に配置された結合ディスクによって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項7】
前記ロック部品(11)が、揺動可能なロック爪によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項8】
前記切り替え装置(33)が、前記ベルトシャフト(2)によって駆動される機械的な計数機構を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項9】
前記計数機構が、偏心器を介して前記ベルトシャフト(2)によって駆動されるウォッブルディスク(9)を含み、該ウォッブルディスク(9)が、ギヤリング(36)においてウォッブルし、前記ハウジング(35)に対して固定されており、前記ベルトシャフト(2)を介して前記偏心器により駆動され、
2つの突起(24、25、26、27)が、前記ウォッブルディスク(9)および前記切り替え部品(10)の両方に設けられており、前記2つの突起(24、25、26、27)がそれぞれ、対をなしてある位置で互いに当接し、その結果、前記切り替え部品(10)の直線切り替え動作を行うことを特徴とする請求項8に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項10】
前記切り替え装置(33)が、電気的に操作可能なアクチュエータを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項11】
前記切り替え装置(33)が、前記引き込みばね(6、7)の一方の最も内側の巻き部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜10に記載のシートベルトリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の特徴を有する、2つのばねによる快適機能(two−spring comfort function)を有するシートベルトリトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
2つのばねによる快適機能を有するシートベルトリトラクタは、原理に関して、独国特許出願公開第4315886号明細書、独国特許第19611748号明細書、独国特許第19952371号明細書、独国特許第10162374号明細書、および独国特許出願公開第10338865号明細書から知られており、取り外す場合に、着用している場合よりも強いばね力でシートベルトを巻き取る役割を果たし、これによって、向上した快適さの感覚が、着用時のシートベルトの低減された引き込み力によって乗員に伝えられる。これらの解決策において、シートベルトに作用する異なるばね力は、異なるばね力を有する2つの引き込みばねによって実現される。より強い引き込みばね(巻き取りばねとしても知られている)は、その外端によってハウジングに対する固定的方法で張力を加えられ、その内端によってラチェットホイールに取り付けられる。より弱い引き込みばね(快適ばねとも呼ばれている)は、その外端によってラチェットホイールにおいて、およびその内端によってベルトシャフトにこれと共に回転するように連結された持ち上げスリーブ(take−up sleeve)において保持される。このように、引き込みばねは、直列に連結される。原理的に、この場合、巻き取りばねは、ラチェットホイールを介して機能し、密巻きされた(close−wound)快適ばねは、ベルトシャフトに作用する。快適ばねは、ラチェットホイールがハウジングに対して固定された場合にのみ機能する。これにより、ラチェットホイールは、この場合、快適ばねのための支持体として機能し、この支持体は、ハウジングに対して固定される。この場合、巻き取りばねは、ラチェットホイールの固定によって働かなくなる。このように、快適ばねおよび巻き取りばねのいずれかが、ラチェットホイールが固定されているか否かに応じて機能する。ラチェットホイールは、ロック爪であって、その動作が、ベルトシャフトに配置される機械的な計数機構またはアクチュエータによって制御されるロック爪を用いて、シートベルトの引き出し長さに応じて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第4315886号明細書
【特許文献2】独国特許第19611748号明細書
【特許文献3】独国特許第19952371号明細書
【特許文献4】独国特許第10162374号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10338865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この解決策の欠点は、切り替え中に、すなわち、ラチェットホイールの解放中に、快適ばねが、突然完全に跳ね返ること、特に、突然の制動によって、ロック位置において、比較的強い力が、快適ばねおよびラチェットホイールに作用することである。切り替え中に快適ばねに作用する力を低減するために、例えば、独国特許第19611748号明細書において、ラチェットホイールと快適ばねの端部との間に追加のばね要素を設ける(その端部はラチェットホイールにおいて保持される)ことが提案されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この背景に対して、本発明の目的は、改善された、2つのばねによる快適機能を有するシートベルトリトラクタを提供することである。
【0006】
この目的を達成するために、本発明によれば、請求項1の特徴を有するシートベルトリトラクタが提案される。さらに好ましいさらなる発展形態は、従属請求項、本説明、および添付図面において明示される。
【0007】
本発明の基本原理によれば、引き込みばねが、ベルトシャフトとハウジングとの間に平行に配置され、引き込みばねの少なくとも一方が、シートベルトの引き出し長さに応じて切り替わる切り替え装置を介して1つの端部によってベルトシャフトまたはハウジングに連結可能であることが提案される。提案されている解決策を用いれば、2つの引き込みばねのいずれも、引き込みばねのそれぞれが、他の引き込みばねから独立してベルトシャフトとハウジングとの間で機能するため、切り替え工程中に完全に跳ね返される必要がもはやなくなる。結果として、従来技術において知られている問題はもはや生じ得なくなり、さらに、引き込みばねの働きは、他の引き込みばねの働きに依存しなくなる。加えて、引き込みばねの1つは、ベルトシャフトとハウジングとの間で事実上常時機能することができ、これにより、それは、ある種の基本的な引き込み力を加える一方で、シートベルトを収納位置に引き込む引き込み力の増加は、他の引き込みばねの連結によってもたらされる。引き込みばねは平行して機能するため、ばね力は合わせて加えられ、引き込みばねのいずれも、シートベルトを収納位置に巻き取るために必要とされる引き込み力のすべてを加えるように設計される必要がない。ここでは、ばね特性曲線は、多数の引き込みばねを用意し、引き込みばねの端部とベルトシャフトまたはハウジングのいずれかとの随意の連結を、切り替え装置を介する単純な構成手段によって形成することによって特定の特性曲線に一致されてもよい。
【0008】
引き込みばねの端部の1つが、結合部品において保持され、該結合部品に、可動のロック部品が設けられ、該ロック部品が、一位置で結合部品とベルトシャフトとを連結することおよびロック部品の動作が切り替え装置によって制御可能であることがさらに提案される。結合部品およびロック部品は、引き込みばねの端部とベルトシャフトまたはハウジングとを連結する役割を果たし、その場合、結合部品は、引き込みばねの端部を保持する役割を果たし、ロック部品は、結合部品とベルトシャフトまたはハウジングとの連結を行う役割を果たす。
【0009】
ベルトシャフトに回転不可能に連結される持ち上げスリーブが設けられ、持ち上げスリーブにおいて、引き込みばねの第2の端部が回転不可能に保持され、持ち上げスリーブに、ロック部品が、結合部品とベルトシャフトとを連結する位置で安全ベルトの引き込み方向に対してロックして係合することがさらに提案される。したがって、持ち上げスリーブは、引き込みばねの2つの端部とベルトシャフトとを連結するために使用される。
【0010】
切り替え装置が、ロック部品の動作を制御するための直線変位可能な切り替え部品を備えることおよび切り替え部品の動作が、シートベルトの引き出し長さに応じて切り替え装置によって制御されることがさらに提案される。
【0011】
この場合、切り替え部品が、ハウジングに回転不可能に固定され、ロック部品が当接するカム輪郭部(cam contour)を有することがさらに提案される。ロック部品は、結合部品に配置され、ロック部品は、結合ディスクとベルトシャフトとを連結する位置で結合ディスクと共にベルトシャフトの回転動作を実行する。しかしながら、切り替え部品は、ハウジングに回転不可能に固定され、これにより、ロック部品は、切り替え部品に対する相対回転動作を実行するようになっている。この場合、ロック部品の動作は、カム輪郭部へのロック部品の当接によって極めて単純に行われ得る。なお、この動作は、カム輪郭部の形状によって規定される。ここでは、カム輪郭部を有する切り替え部品は、直線切り替え動作によって様々な位置に動かされてもよい。引き出し動作の開始時、切り替え部品は、例えば、ロック部品を有する結合部品がロック部品が動かされることなく(すなわち、ロック部品がカム輪郭部に当接しないで、または、カム輪郭部が、ロック部品がカム輪郭部に当接してもロック部品が動かされない経路をとって)回転し得る位置に配置されてもよい。切り替え部品の切り替えにより、カム輪郭部は、第2の位置に直線変位され、その場合、ロック部品は、例えば、結合部品とベルトシャフトとの連結が解除されることに起因して揺動動作される。次に、ロック部品の逆動が、元の位置への切り替え部品の戻り動作および他の方向へのベルトシャフトの回転によって行われる。
【0012】
2つの突起が、ロック部品に設けられ、これらの突起がそれぞれ、切り替え部品の位置に応じてカム輪郭部に当接し、カム輪郭部に当接しているとき切り替え部品に対するロック部品の相対動作の実行によってロック部品の動作を制御することがさらに提案される。結合部品とベルトシャフトとを連結する位置から解除位置へのロック部品の動作の場合、ロック部品の相対動作は、この段階においてロック部品はベルトシャフトに連結されているため、切り替え部品に対するベルトシャフトの回転動作によって行われる。この場合、ロック部品の解放後、逆動を行うためのロック部品の相対動作が、切り替え部品に対する結合部品の、ばね力に支えられた動作によってもたらされる。
【0013】
ここでは、ロック部品の動作は、ベルトシャフトに対する結合部品の連結および/または結合部品の連結の解除のためにロック部品が準備位置に動かされるように制御され、準備位置から、結合部品に連結された引き込みばねのばね力によって支えられて、ロック部品は、結合部品とベルトシャフトとを連結するか、または連結しない最終位置に動かされ得ることが好ましい。したがって、準備位置は、ある種の予備位置合わせと見なされ、そこから、ロック部品は、ばね力に支えられたさらなる回転動作によってのみ最終位置に回転されてもよい。このような準備位置は、この動作シーケンス中のロック部品の動作方向は、最終段階でロック部品の後ろでの単なる後部係合のために反転されなければならないため、特に結合部品とベルトシャフトとの連結を解除するために有用である。
【0014】
引き込みばねが、互いに平行に配置される2つのコイルばねによって形成され、結合部品が、コイルばね間に配置される結合ディスクによって形成されることがさらに提案される。提案されている解決策を用いれば、構成的により単純な設計が得られ、結合部品は、そのディスク形状に起因して引き込みばねの少なくとも1つのための横方向の当接面としての役割をさらに果たす。
【0015】
特に、ロック部品は、揺動可能なロック爪によって形成されてもよい。ここでは、ロック爪は、結合部品において支持されることが好ましい。
【0016】
したがって、切り替え装置の極めて費用効率が高く、純粋に機械的な解決策が、ベルトシャフトによって駆動される機械的な計数機構を備える切り替え装置によって実現され得る。ここでは、計数機構は、シートベルトの引き出し長さを検出するための装置としての役割を果たし、この引き出し長さは、計数機構の設計によって規定される。
【0017】
ここでは、計数機構の考えられる、実績のある実施形態は、複数の互いに噛み合う歯車および対応する切り替えカムまたは減速ギヤボックスを介して駆動される制御ディスクを含むウォッブルトランスミッション(wobble transmission)または減速ギヤボックスである。
【0018】
計数機構の特に構成的に単純な実施形態は、計数機構が、偏心器(eccentric)を介してベルトシャフトによって駆動されるウォッブルディスク(wobble disc)を有し、ウォッブルディスクが、ハウジングの高速ギヤリングにおいてギヤリングによりベルトシャフトを行き来すること、および、2つの突起が、ウォッブルディスクおよび切り替え部品の両方に設けられ、これらの突起がそれぞれ、対をなして一位置で互いに当接し、その結果、切り替え部品の直線切り替え動作を行うことで実現されてもよい。この場合、計数機構は、射出成形部品として大量に費用効率よく製造可能な2つの付加的な部品、すなわち、偏心器およびウォッブルディスクによってのみ実現される。
【0019】
あるいは、切り替え装置はまた、電気的に操作可能なアクチュエータを含んでもよく、この場合、電気的に操作可能なアクチュエータは、特に、切り替え動作の正確な制御を可能にする。ここでは、ロック部品の動作が直接制御され得るか、または、切り替え部品の動作が制御され得るかのいずれかである。
【0020】
さらに、同じ引き込みばねが使用されてもよく、これにより、製造コストがさらに低減され得ることが好ましい。
【0021】
切り替え装置が、引き込みばねが延在する少なくとも1つの平面と交差するように配置され、切り替え装置が、特に好ましくは、引き込みばねの一方の最も内側の巻き部の内側に配置されることがさらに提案される。提案されている解決策を用いれば、必要な組み込み空間要件を低くすることができ、特に、コンパクトなシートベルトリトラクタを提供することができる。さらに、その結果もはや、切り替え装置は、引き込みばねの端部の1つに対して空間的に極めて近く配置され、これにより、切り替え動作が、非常に単純にこの端部に伝達され得る。
【0022】
本発明は、以下において、添付の図面を参照しながら好ましい実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】シートベルトリトラクタを斜視図で示している。
図2】ばねカートリッジを分解図で示している。
図3】予備組付けされた部分組立品を含むばねカートリッジを示している。
図4】ウォッブルドライブ(wobble drive)を含む切り替え装置を側面図で示している。
図5】個々の部品を含む切り替え装置を示している。
図6】シートベルトの引き込みおよび引き出し中のある位置にある切り替え装置を示している。
図7】シートベルトの引き込みおよび引き出し中の別の位置にある切り替え装置を示している。
図8】シートベルトの引き込みおよび引き出し中のさらに別の位置にある切り替え装置を示している。
図9】シートベルトの引き込みおよび引き出し中のさらに別の位置にある切り替え装置を示している。
図10】シートベルトの引き込みおよび引き出し中の別の位置にある切り替え装置を示している。
図11】シートベルトリトラクタの本発明の、2つのばねによる快適機能のばね特性曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ハウジング1において回転可能に支持されているベルトシャフト2を含む、本発明のシートベルトリトラクタを、図1に見ることができる。ばねカートリッジ3は、ハウジング1上に回転不可能に保持されており、ばねカートリッジ3には、本発明の、2つのばねによる快適機能の部分組立品が配置されている。シートベルト(現在示されている)は、ベルトシャフト2上に巻き付け可能である。さらに、ロック装置を用いて、ベルトシャフト2は、シートベルトの引き出し加速度および引き出し方向における車両の減速度に応じて周知の方法でロック可能である。用語「軸方向の」および「半径方向の」は、本発明の説明のために使用される場合、ベルトシャフト2の回転の軸線に関するものであることが理解されるべきである。
【0025】
図2では、個々の部品を含むばねカートリッジ3を、分解図において見ることができる。ばねカートリッジ3は、ハウジング4を備え、ハウジング4によって、ばねカートリッジ3は、例えばリベット連結により、シートベルトリトラクタのハウジング1に連結可能である。
【0026】
ハウジング4は、ポット状に形作られており、ハウジング4に回転不可能に連結可能なカバー5によって閉鎖可能である。ばねカートリッジ3は、コイルばねの形態の2つの引き込みばね6および7(平行に配置されて機能する)、結合ディスクの形態の結合部品8、ならびに切り替え装置33をさらに備える。
【0027】
ベルトシャフト2は、ピン(図示せず)を備え、該ピンには、持ち上げスリーブ12が回転不可能に取り付けられている。第1の引き込みばね6は、その第1の外端15によってカバー5のウェブ20に固定して引っ掛けられており、第2の内端19によって持ち上げスリーブ12の持ち上げ輪郭部(take−up contour)21に、それと共に回転するように固定されている。これにより、第1の引き込みばねは、カバー5と持ち上げスリーブ12との間で事実上常時機能するようになっている。持ち上げスリーブ12が、ベルトシャフト2に回転不可能に連結され、さらにカバー5が、ハウジング4との回転不可能な連結を介してシートベルトリトラクタのハウジング1に回転不可能に連結されているため、引き込みばね6は、ベルトシャフト2に対して引き込みばね6によって巻き取り方向にばね荷重を常に加えるようにベルトシャフト2とシートベルトリトラクタのハウジング1との間でも機能する。したがって、シートベルトは、第2の引き込みばね7または切り替え装置33が動作不可能な場合であってもベルトシャフト2上に巻き付けられるようになっている。このように、第1の引き込みばね6は、ある種の基本的な引き込み力を生成する。
【0028】
第2の引き込みばね7は、平行して機能するように配置され、さらに、第1の引き込みばね6と幾何学的に平行であり、ハウジング4のラグ(図示せず)において固定して保持されている。
【0029】
第2の引き込みばねは、第2の内端17によって結合部品8において保持されている。結合部品8は、ディスク形状の基体18および基体18から突出している軸方向リング14を含む結合ディスクとして構成されており、軸方向リング14には、第2の引き込みばね7の第2の端部17が引っ掛けられている。ここでは、軸方向リング14は、第2の引き込みばね7の第2の端部17を固定する役割だけでなく、さらに、第2の引き込みばね7の最も内側の巻き部のための当接面としての役割も果たす。また、ディスク形状の基体18は、第2の引き込みばね7を案内し、2つの引き込みばね6および7を分離している。さらに、軸方向に突出している軸受ピン13が、基体上に設けられており、軸受ピン13において、ロック爪の形態のロック部品11が揺動可能に支持されている。
【0030】
ロック輪郭部(locking contour)43および偏心器42が、持ち上げ輪郭部21に隣接して持ち上げスリーブ12上に設けられており、加えて、軸受開口23が、偏心器42に設けられている。
【0031】
さらに切り替え装置33は、互いに平行な直線スロット44および中央楕円開口47を含む切り替えディスクの形態の切り替え部品10ならびに外側ギヤリング36を含むウォッブルディスク9を備える。
【0032】
ばねカートリッジ3は、最初に、図3に見られ得る様々な部品を予備組立てされた部分組立品として組み立てることによって組み立てられる。
【0033】
第1の引き込みばね6は、カバー6に挿入され、ここでは外端15によってカバー5のウェブ20に取り付けられる。
【0034】
第2の引き込みばね7は、結合部品8に配置され、内側の第2の端部17によって軸方向リング14に引っ掛けられる。加えて、ロック部品11が、軸受ピン13に配置され、持ち上げ輪郭部を含む持ち上げスリーブ12が、結合部品8の中央開口内に案内される。切り替え部品10は、ウォッブルディスク9と共にばねカートリッジ3のハウジング4内に案内される。この目的のために、ハウジング4において、レセプタクル45は、図6に見られ得る内側ギヤリング35および互いに平行なウェブ46を備え、その中に、ウォッブルディスク9が、切り替え部品10と共に案内される。このとき、ウォッブルディスク9は、内側ギヤリング35の平面に配置され、ウェブ46は、スロット44と係合する。
【0035】
切り替え部品10は、レセプタクル45よりも小さく、スロット44は、ウェブ46よりも長くなっており、このため、切り替え部品10は、ウェブ46の方向に向かって直線変位可能な仕方でレセプタクル45内に案内されるようになっている。
【0036】
軸方向を向いた中央の軸受ピン22が、ハウジング4に設けられており、次いで、この軸受ピンに、結合部品8、第2の引き込みばね7、および軸受開口23を含む持ち上げスリーブ12から構成される予備組立てされた部分組立品が配置される。軸受ピン22は、ベルトシャフト2の回転の軸線と同軸に配置されており、このため、軸受開口23を含む持ち上げスリーブ12は、ベルトシャフトと同軸に配置されて支持される。持ち上げスリーブ12は、ハウジングに面する側に偏心器42を備え、この偏心器42において、ウォッブルディスク9は回転可能に支持される。持ち上げスリーブ12は、ベルトシャフト2に回転不可能に連結されており、このため、偏心器42は、ベルトシャフト2の回転動作中に回転し、レセプタクル45のギヤリング35への、ギヤリング36を有するウォッブルディスク9の部分係合により、ベルトシャフト2の回転の方向とは反対のウォッブル動作が行われ、このウォッブル動作中に、ギヤリング36を含むウォッブルディスク9は、レセプタクル45の内側ギヤリング35において回転する。
【0037】
図4および図5では、ウォッブルディスク9、切り替え部品10、およびロック部品11を、拡大して、組み立てて、および個々の部品として見ることができる。同じ側に配置された、軸方向に突出する2つの突起28および29ならびに軸受ピン13における支持のための軸受開口34が、ロック部品11に設けられている。ロック部品11は、突起28および29が偏心器42に向かって突出するような方向おいて、半径方向内側で持ち上げスリーブ12のロック輪郭部43に当接する。
【0038】
ウォッブルディスク9は、切り替え部品10と共に偏心器42に配置されるが、その場合、切り替え部品10は、楕円開口47のおかげで偏心器42において直線変位可能である。カム輪郭部30は、ロック部品11に面する、切り替え部品10の側に配置されており、部品の組み立てられた位置では、このカム輪郭部30の半径方向外側において、ロック部品11の突起28および29が突出する。
【0039】
さらに、2つの突起24および25ならびに26および27が、切り替え部品10およびウォッブルディスク9の両方の、互いに対向する側面にそれぞれ設けられており、これらの突起24および25ならびに26および27の長さは、共通の切り替え平面48まで突出する寸法になっている。
【0040】
図6図10では、切り替え装置33の機能が、部品の様々な位置を用いてより詳細に説明されており、図11に描かれているグラフでは、様々な位置でそれぞれに作用するばね力が、シートベルトの引き出し長さに関してプロットされている。
【0041】
図6では、ロック部品は、ロックエッジ38によってロック輪郭部のロックラグ37に当接する位置に配置されており、その結果、矢印によって示されているような、ベルトシャフト2の回転の方向(シートベルトの引き出し方向に対応する)において結合部品8と持ち上げスリーブ12とを連結している。部品のこの位置は、図11のグラフではS2によって示されている、収納位置からの、シートベルトの引き出し動作の開始地点にある。結合部品8に対する持ち上げスリーブ12の連結のおかげで、この位置では、ベルト引き出し動作の開始時に、引き込みばね6および7の両方は、力F1およびF2の間に描かれている特性曲線の全体のばね力で作用する。切り替え部品10のカム輪郭部30は、部品のこの位置では、ロック部品11が、突起28および29がカム輪郭部に当接することなく突起28および29と共に回転することができるような位置に配置される。引き出し方向へのベルトシャフト2のさらなる回転によって、引き出し長さS1に達する直前で、ウォッブルディスク9の突起27が、切り替え部品10の突起25に当接し、これにより、切り替え部品10は、図7に示されている矢印の方向に向かって上方に直線変位される。切り替え部品10の変位により、カム輪郭部30は、ベルト引き出し方向へのベルトシャフト2のさらなる回転動作によって突起29が、カム輪郭部30の半径方向外側に当接するまで図の上方に変位される。ここでは、ロック部品11は、突起28が、カム輪郭部30のロックエッジ39の後ろにおいてある距離で静止するまで、図7の右図の矢印によって示されているように軸受ピン13を中心に揺動動作される。次いで、ロック部品11は、ロックエッジ38が、ロックラグ37に接触しなくなり、持ち上げスリーブ12と結合部品8との連結が解除されるまでさらに揺動される。連結が解除された後、ロック部品11は、持ち上げスリーブ12のロック輪郭部においてもはや支持され得ず、このため、第2の引き込みばね7によって加えられるばね力により、ロック部品11は、図8に示されている位置に動かされる。その場合、突起28が、ロックエッジ39に当接する。連結の解除により、第2の引き込みばね7のばね力は、ハウジング1とシートベルトリトラクタのベルトシャフト2との間でもはや作用せず、ベルトシャフト2に作用する全体のばね力は、F2からF3によって指定された値まで低下する。
【0042】
切り替え動作にとって、突起28を含むロック部品11が最初に、ロックエッジ38がロックラグ37に接触しなくなる前にロックエッジ39の後ろに揺動されることが重要である。部品の正しい設計によって、20〜30度の、ベルトシャフト2の逆回転が必要とされ、その場合、引き出し長さS1は、ロックエッジ38がロックラグ37に接触しなくなる、部品の位置に正確に対応する
【0043】
部品の、図8に示されている位置は、シートベルトの通常使用中にある。第1の引き込みばね6のばね力のみが、F3、F4、F5、およびF6の間のヒステリシスループに従って作用する。その場合、引き出し長さS1は、シートベルトの通常の引き出し動作および引き込み動作中には実際に決して達しない切り替え点を示している。
【0044】
シートベルトを取り外すと、図9の左図において、ベルトシャフト2は、ウォッブルディスク9の突起26が切り替え部品10の突起24に衝突し、切り替え部品が図9の右図に見ることができるように矢印の方向に向かって下方に変位するまで矢印の方向に向かって反時計回りに回転する。切り替え部品10の変位により、ロックエッジ39は、突起28の端面に接触しなくなるように移動し、その結果、第2の引き込みばねの作用するばね力により、ロック部品11は、図10に見ることができるようにロック部品10に対して反時計回りに回転される。突起28は、その半径方向内側に制御面41を含み、制御面41によって、突起28は、ロックエッジ上を摺動し、これにより、この逆回転動作中に、ロック部品11は、ロック部品が最終的に、図6に見ることができるように持ち上げスリーブ12のロック輪郭部のロックラグ37にロックエッジ38で再び当接し、結合部品8が、持ち上げスリーブ12に連結されるまで軸受ピン13を中心に反時計回りに揺動される。この切り替え工程により、ベルトシャフト2に作用する全体のばね力は、ばね力F6からばね力F7に増加し、さらなる引き込み動作中に、シートベルトは、F7からF8まで増加するばね力の曲線に沿って引き込まれる。
【0045】
切り替え装置33は、第2の引き込みばね7の最も内側の巻き部の内側に組み込み空間を節約する仕方で配置される。この目的のために、特に、軸方向リング14によって設けられる(したがって、第2の端部17が軸方向リング14の半径方向外側に固定して引っ掛けられることによって設けられる)自由空間が使用される。このように、第2の引き込みばね7は、明らかに、軸方向リング14とハウジング4の内壁との間の環状空間に保持され、これにより、最も内側の巻き部または軸方向リング14の半径方向内側の組み込み空間が意図的に自由にしておかれる。
【0046】
したがって、切り替え装置33は、第2の引き込みばね7が延在する平面と交差するように配置される。このため、持ち上げ輪郭部21を含む持ち上げスリーブ12の一部を除いて、すべての部品が、第2の引き込みばね7の幅によって形成される、ディスク形状の組み込み空間の内側に配置される。このように、本発明の、2つのばねによる快適機能は、第2の引き込みばねの幅よりもわずかに大きな組み込み空間しか必要としない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11