(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴム粒子は、高い粘弾性や、光散乱、透過性、また広い表面積に基づく吸油特性のため、化粧料、合成樹脂材料、合成ゴム材料などの工業分野において広く用いられている。
【0003】
皮膚に塗布する化粧料では、塗布後の触感改良や、外観の平滑性、更には皮脂を吸収し化粧崩れを防ぐため、シリコーン粉体を配合する方法が検討されている。これらの化粧料には、用途に応じて油型、油中水型、水中油型とさまざまな剤型があるが、近年塗布後の感触が優れる理由から、特に水中油型の剤型が好まれる傾向がある。しかしながら、シリコーン粉体はもともと疎水性であるため、水中油型の配合にうまく組み入れるためには、有機系のイオン性または非イオン性の界面活性剤などを用い、シリコーン粉体に親水性を付与する必要がある。例えば、特許文献1や特許文献2には、架橋シリコーン粒子、界面活性剤、および水からなる水分散型シリコーンゴム粒子が提案されている。
【0004】
これらの水分散型シリコーンゴム粒子では、皮膚刺激性などの観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類の非イオン性の界面活性剤を用いて分散されたものが広く用いられている。
【0005】
しかしながら、これらの界面活性剤の使用により作製された粒子の形状は必ずしも真球とは限らず、粒度分布もブロードであることが多く、また粒子の表面がうまく被覆されていない等の理由でブロッキングや二次凝集を起しがちであった。
また、従来のシリコーンゴム粒子は、柔らかくしたほうが、粒子の塗布後の肌への密着感に優れる。しかしながら、柔らかいシリコーンゴム粒子同士は、塗布時に変形し、接触面積が増え、粒子同士の摩擦抵抗が上がるため、伸展性が低下したり、粒子がまとまってカスが浮き出てしまうという問題があった。
【0006】
このため、従来のシリコーンゴム粒子では、シリコーンゴム粒子を応用する用途展開を図る場合に十分な粒子の特性を発揮することができず、用途が制限されていた、ないしは十分な要求に応えることができなかったという問題があった。
【0007】
また、主に界面活性剤成分に起因する粒子同士の凝集力は、粒子間の円滑な動きを妨げ、流動性の低下やほぐれにくい塊になるブロッキングといった、使用上好ましくない状態を引き起こす。このブロッキングを解決するために、シリカなどの無機フィラーをシリコーンゴム粒子製造後に混合するといった製品も市販されているが、シリカの添加工程を追加する必要があり、製造工程が煩雑であるという問題もあった。
【0008】
さらには、これらの界面活性剤には、皮膚への塗布後乾燥過程において、媒質中に余分に存在する界面活性剤が濃縮されることにより液晶層を発現し、増粘、ベタツキ感が出てしまうことが有り、本来ベタツキを低減させることを目的に配合されたシリコーンゴム粒子の効果を低減させるという問題もあった。
その他、粒子の水相への分散を行うために親水性の高い界面活性剤成分が使用されるため、汗や皮脂の混合物によって、皮膚上に積層された粒子層は界面活性剤の働きで乱れが生じ、化粧の外観が崩れやすくなるといった悪影響もあった。
【0009】
また、当該分野にて最も一般的に使用される界面活性剤成分としては、例えば、炭素数12 〜 1 5 のアルキル基を有するアルキルポリエーテルがあるが、これらの界面活性剤は環境への影響が懸念される化学物質として、P R T R (Pollutant Release and Transfer Register)の排出量等の義務付けおよび指定化学物質となっており、その選択にあたっては、制限が生じるようになってきている。
【0010】
また、特許文献3には従来の界面活性剤に代えてシリカ粒子を用いてシリコーン成分をエマルジョン化することによりシリコーン粒子を得る方法が開示されている。
しかし、粒子の形状や性状の具体的な記述がなく、また工業的にこれらを得るための具体的方法が開示されておらず、その応用にとって必要なシリコーン粒子の特性を得るための具体的な方法も開示されていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明によるシリカ被覆シリコーンゴム粒子の詳細を説明する。
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子と、このシリコーンゴム粒子の表面を被覆するシリカ粒子からなる被覆層とを有し、前記被覆層の被覆量は2.0×10
−9〜3.2×10
−6kg/m
2であり、真球度が0.8〜1.0であることを特徴とするシリカ被覆シリコーンゴム粒子である。
本発明の被覆は全面的な被覆に加えて、部分的な被覆を含む。被覆の程度を示す指標としてはシリカ層の厚さや形態的な観察による結果なども考えられるが、今回、この被覆量を採り入れることにより、より実際的な被覆の程度として特性を制御できることがわかったものである。例えば、シリコーンゴム粒子の表面が一部、シリカ粒子が存在せずに露出していても、この被覆量が満足していれば所望の特性を得られるなどがわかった。
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子のシリコーンゴム部分のゴム弾性は、ShoreAで5〜95の範囲である。
【0021】
表面に有するシリカ粒子の被覆層の量としては、シリコーンゴム粒子の表面の単位面積当たりのシリカ粒子の重量としてパラメータ化することができる。
本発明においては、このシリカ被覆層の量は、シリコーンゴム粒子の粒径から計算される表面積に対するシリカ粒子の処理量で制御できる。この量は好ましくは2.0×10
−9〜3.2×10
−6kg/m
2の範囲内である。2.0×10
−9kg/m
2未満だとシリカ被覆シリコーンゴム粒子のブロッキングが起きてしまい、3.2×10
−6kg/m
2を超えるとシリカ被覆シリコーンゴム粒子の摩擦が大きくなるなどの理由で、特定の用途では好ましくない現象、例えば化粧品でのきしみ感、ほか、エマルジョン中ないしは粒子単離後に余剰のシリカによる汚染等が起きてしまう。
【0022】
シリカ粒子によって被覆されたシリコーンゴム粒子表層では、シリカ粒子同士、またはシリコーンゴム粒子の硬化前の油性成分とシリカ粒子の間で働く凝集力によって、一定の界面張力が働き、結果として分散された油相の表面積が最小になろうとする力が働く。その結果、乳化されたシリコーンゴム粒子の形状はより真球に近い物となる。
【0023】
シリコーンゴム粒子がより真球に近くなるためには、硬化反応の速度が速すぎてはいけない。すなわち、乳化分散の際に、せん断力でゆがめられた油層が、表層の界面張力で球状に戻ろうとする間に硬化反応が進むと、目的とする真球性が得難いものとなる。
【0024】
シリカ被覆シリコーンゴム粒子の真球度とは一つの粒子の長軸の長さと短軸の長さの比率のことであり、これが1に近い方が真球に近く、小さいほど真球から外れる。真球度の平均値は好ましくは0.8以上である。0.8未満だとゴム物性はじめ必要なゴム粒子としての性質を十分に得ることができず、また化粧品等に応用した際にはさらさら感等の官能的性質は十分でない。
【0025】
シリコーンゴム粒子の硬度も重要である。各種化粧品や、プラスチックへ配合して特性を改良する場合や、各種シート間の摺動性を高めるような用途において、シリコーンゴム粒子には適度の硬度を有していることが求められる。また、シリコーンゴム粒子、すなわち、シリコーン成分が架橋して硬化したゴム部分の硬度もさることながら、ゴム粒子を覆うシリカ粒子による表面の硬度も、各種用途において大変重要となる。
従って、シリコーンゴム粒子の全表面積におけるシリカ粒子に覆われている面積の割合、すなわち被覆率は高い方が好ましい。具体的には被覆率は70%以上であることが好ましい。被覆率を高くするには乳化前に調製するシリカ分散液中で、シリカ粒子が良好な分散状態となっていることが好ましい。もし被覆率が70%に満たない場合、シリコーンゴム粒子の表面の十分な硬度が得られなく、また、シリコーンゴム粒子生成の過程でも球状や粒径ばらつきの均一な粒子ができなかったことも意味しており、上述した種々用途において十分な特性が得られない。乳化前のシリカの分散状態や乳化の状況が一定である中で、被覆率の調整を行うには、シリカ粒子の使用量を多くするほど被覆率が上がる。同じシリカ粒子の使用量の中では、乳化工程の時間を長くするほど被覆率が上がる。
【0026】
真球度が十分に高いことは、シリコーンゴム粒子の表面にシリカ粒子が、より均一に分散した状態になる。また、真球度が高いことは硬化時間を十分にとって硬化させた場合に達成しうる。よって、シリコーンゴム粒子の真球度が高いほど、シリコーンゴム粒子の硬度、特に表面の硬度は高くなる傾向にある。
また、硬化のための時間を十分に取る方がシリコーンゴム粒子の硬度、特に表面の硬度が高くなる傾向がある。
【0027】
本発明のシリコーンゴム粒子の粒径は、化粧品用途として用いる場合は、100μm以下であることが望ましい。100μmを超える粒子径では、粉体の大きさが触感で感じられる領域となるため、使用感の観点から好ましくない。
【0028】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子の製造方法は限定されないが、好ましくは次の方法で製造される。すなわち、
(A)シリカ粒子と
(B)下記(I)および(II)からなるオルガノポリシロキサンと、
(I)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
を水中で乳化させ、水中油型エマルジョンを作製した後に、この水中油型エマルジョンに、
(C)白金族系金属含有付加反応触媒
を添加して、前記成分(I)および(II)をヒドロシリル化反応させ、硬化させることにより、シリカ被覆シリコーンゴム粒子が分散したシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンを得、該エマルジョンから水分を除去して得られる。
【0029】
本発明のシリカ被覆ゴム粒子水分散体は、成分(A)シリカ粒子の存在下で成分(B)−(I)アルケニルシロキサン、成分(B)−(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサンを水中に分散させ、そのまま硬化反応させることにより得られるため、いわゆる界面活性剤成分を全く用いなくても分散安定性に優れる。
【0030】
上記の方法の範囲内であれば具体的な条件は規定されるものではないが、より工業的に安定で粒子の形状および性状をより有利に制御するためには、次の具体的方法が好ましい。
すなわち、
(A)シリカ粒子0.3〜10質量部と、
(B) 下記(I)のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと下記(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(I)19.95〜79.95質量部に対してオルガノハイドロジェンポリシロキサン(II)を0.05〜59.05質量部含むオルガノポリシロキサン20〜80質量部、
(I) 平均組成式が一般式(1)で表され、1分子中にケイ素原子と結合したアルケニル基を2個以上含有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
R
1aR
2bSiO
(4−a−b)/2 (1)
[式中、R
1は脂肪族不飽和基を含まない同一または異なる一価の炭化水素基、R
2はアルケニル基、aは0.999〜2.999、bは0.001〜2、a+bは1〜3である。]
(II) 平均組成式が一般式(2)で表され、1分子中にケイ素原子と結合した水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
R
3cH
dSiO
(4−c−d)/2 (2)
[式中、R
3は脂肪族不飽和基を含まない同一または異なる一価の炭化水素基、cは0.999〜2.999、dは0.001〜2、c+dは1〜3]
とからなり、前記シリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンは、前記水中油型エマルジョンに、前記成分(I)および(II)の合計量に対して(C) 白金族系金属含有付加触媒を1〜5000ppmを添加する。
【0031】
(成分(A))
本発明の成分(A)シリカ粒子は、その表面に疎水化された部分とシラノール基とを有し、エマルジョン水相中の成分(B)オルガノポリシロキサン油滴の油相/水相界面に配置することができるものである。このようなシリカ粒子は、その表面には、親水基であるシラノール基と疎水化処理されたシラノール基が所定の割合内で存在することにより、該粒子の親水性と疎水性のバランスがコントロールされ、成分(B)の(I)ならびに(II)のオルガノポリシロキサンで構成される油相/水相界面に配置して、従来の有機系界面活性剤が有するような乳化機能を発揮する。
【0032】
成分(A)シリカ粒子は、合成法によって製造される二酸化ケイ素の粒子であって、珪藻土や結晶石英のような鉱物系のシリカは含まれない。合成法によって製造される二酸化ケイ素として、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、溶融シリカ等の乾式法による微粉、湿式法による沈降性シリカまたはコロイダルシリカをあげることができる。これらは当業者には公知のものである。これらの中では、焼成シリカ、沈降性シリカあるいはコロイダルシリカを用いることが好ましい。本発明の(A)シリカ粒子は、表面のシラノール基が残留した親水性シリカであっても、表面のシラノール基をシリル化した疎水性シリカであってもよい。疎水性シリカは、親水性シリカを、メチルトリクロロシランのようなハロゲン化有機ケイ素やジメチルジアルコキシシランのようなアルコキシシラン類、シラザン、低分子量のメチルポリシロキサンで処理する公知の方法によって製造することができる。
【0033】
成分(A)シリカ粒子は、表面に疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカを用いると、シリカ粒子の表面張力が界面活性に必要な領域にあるため、通常の界面活性剤が存在しなくても油滴の油相/水相界面に配置して安定化させることができる。
シリル化前のシラノール基に対するシリル化後に残留するシラノールの率は50〜95モル%の範囲内が好ましい。シラノールの残留率が50モル%未満または95モル%を超えると、油相/水相界面での界面活性剤に相当する機能を発揮できない。シリル化、あるいはシラノールの残留率は、元素分析による炭素含有量の測定、またはシリカ表面の反応性シラノール基の残量の測定により決定できる。調製のために用いるシリカ粒子は、表面全体がシリル化された粒子または、表面全体がシリル化されていない粒子を含んでいても構わない。ただし、全体としてのシリル化の率が上記の範囲内にあり、かつ必要な乳化の機能を発現出来れば使用することができる。
【0034】
成分(A)として好適に使用される、疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカ粒子の炭素含有量は、界面活性剤として機能するという目的が達せられるものであれば限定されないが、0.1〜10%の範囲内が好ましい。0.1%未満でも10%を超えても安定的なエマルジョンを得ることができない。より好ましくは0.1〜10%の範囲内である。
【0035】
エマルジョン100質量部中における成分(A)の含有量は好ましくは0.3〜10質量部の範囲内である。0.3質量部未満では、水分散液の安定性が劣り、10質量部を超えるとゴム粒子の被覆が過剰になり、化粧品用途におけるきしみ感のような好ましくない現象が起きる。より好ましくは1〜7質量部の範囲内である。
【0036】
(成分(B))
(成分(I))
成分(I)は、平均組成式が一般式(1)で表され、1分子中にケイ素原子と結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサンである。成分(I)のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを、以下、アルケニルオルガノポリシロキサンともいう。
R
1aR
2bSiO
(4−a−b)/2 (1)
式(1)中、R
1は脂肪族不飽和基を含まない同一または異なる一価の炭化水素基、R
2はアルケニル基、aは0.999〜2.999、bは0.001〜2で、a+bは1〜3である。
式(1)中、R
1は、炭素原子1〜18個を有することが好ましい。また、R
1は、SiC−結合することが好ましい。さらに、R
1は、脂肪族炭素−炭素多重結合を有していない置換または非置換の炭化水素基であることが好ましい。
式(1)中、R
2は、炭素原子1〜18個を有することが好ましい。また、R
2は、脂肪族炭素−炭素多重結合を有する一価の炭化水素基であることが好ましい。
また、一般式(1)で表されるアルケニルオルガノポリシロキサンは、分子1個当たり平均して少なくとも2個以上のR
2が存在する。
【0037】
成分(I)中のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基等の炭素原子数2〜8のアルケニル基を例示することができ、好ましくはビニル基、アリル基であり、特に好ましくはビニル基である。これらのアルケニル基は、後記成分である成分(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応して網目構造を形成する。アルケニル基は、成分(I)の分子中に、好ましくは2個以上存在する。かかるアルケニル基は、分子鎖の末端のケイ素原子に結合していてもよいし、分子鎖の途中のケイ素原子に結合していてもよい。硬化反応速度の面からは、アルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子のみに結合したアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0038】
成分(I)中のケイ素原子に結合した他の有機基は、好ましくは炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない置換もしくは非置換の1価の炭化水素基である。上記他の有機基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基等によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基、β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、β−シアノプロピル基等の置換炭化水素基等が挙げられる。特に好ましい有機基はメチル基、フェニル基である。
【0039】
成分(I)は、直鎖状でも分岐状でもよく、また、これらの混合物であってもよいが、分岐状のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンを含有する場合、架橋密度が高くなるため、低速での剥離力が重くなり、目的の剥離力を達することが難しいため、直鎖状がより好ましい。このアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンは当業者に公知の方法によって製造される。
【0040】
成分(I)の、25℃における粘度は、好ましくは5〜2000000mPa・sであり、より好ましくは50〜100000mPa・s、特に好ましくは100〜50000mPa・sの範囲内である。5mPa・s未満の場合、および2000000mPa・sを超える場合、乳化が難しく、安定な水分散液が得られない。さらに、シリコーンゴム粒子を得る上で用いる成分(I)の好ましい含有量は、19.95〜79.95質量部の範囲内である。19.95質量部未満では十分な乳化精度が得られず、かつ収率も低下し、79.95質量部を超えると、水性エマルジョンの粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる。より好ましくは30〜70質量部の範囲内である。
【0041】
成分(I)のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンは当業者に公知の方法によって製造されるものであり、硫酸、塩酸、硝酸、活性白土、亜リン酸トリス(2−クロロエチル)等の酸触媒、または水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルホスホニウム、ナトリウムシラノレート、カリウムシラノレートなどの塩基触媒を用いた鎖状および/または環状低分子量シロキサンの縮合および/または開環重合によって製造できる。
【0042】
(成分(II))
成分(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(2)で示される。
R
3cH
dSiO
(4−c−d)/2 (2)
式(2)中、R
3は脂肪族不飽和基を含まない同一または異なる一価の炭化水素基、cは0.999〜2.999、dは0.001〜2、c+dは1〜3である。式(2)のR
3としては、前記のR
1に例示した炭化水素基が用いられ、好ましくはアルキル基、より好ましくはメチル基が用いられる。成分(II)のケイ素原子に結合した水素原子は、好ましくは1分子中に2個以上である。
成分(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子側鎖にケイ素原子と結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを5質量%以上含むことが好ましい。
【0043】
本発明の組成物中における成分(II)の配合量は、成分(I)中のアルケニル基の量に応じて配合されるものであり、成分(I)中のケイ素原子に結合したアルケニル基の数(NA)と成分(II)中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数(NH)との比(NH/NA)が0.8≦(NH/NA)≦2.0となる量、好ましくは0.9≦(NH/NA)≦1.7となる量に調節される。NH/NAが0.8未満では、組成物の硬化が十分に進行せず、ゴム粒子としてのさらさらとした感触を発現しにくい。また、NH/NAが2.0以上ではゴム粒子中に反応性の高いオルガノハイドロジェンポリシロキサンが残存するため、化粧品原料としての安全性に問題がある。
【0044】
成分(II)オルガノハイドロジェンポリシロキサンも当業者に公知の方法で製造される。
【0045】
成分(II)の粘度は特に規定されないが、25℃における粘度が1〜3000mPa・sの範囲内であることが好ましく、1〜1500mPa・sの範囲内であることがより好ましい。1mPa・s未満だと硬化性が高過ぎゴム弾性が十分でなく、3000mPa・sを超えると、反応性が落ちることから、硬化性が悪くなる。
【0046】
(成分(C))
成分(C)は、白金族系触媒である。これはヒドロシリル化触媒として用いることができるものである。白金族系触媒(C)は金属またはこの金属を含む化合物からなる。白金族系触媒(C)を構成する金属としては、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム等が挙げられ、好ましくは白金である。またはこれらの金属を含む化合物を用いることができる。これらの中で特に白金系触媒が反応性が高く、好適である。金属は微粒子状の担体材料(例えば、活性炭、酸化アルミニウム、酸化ケイ素)に固定してもよい。白金化合物としては、白金ハロゲン化物(例えば、PtCl
4、H
2PtCl
4・6H
2O、Na
2PtCl
4・4H
2O、H
2PtCl
4・6H
2Oとシクロヘキサンからなる反応生成物)、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、白金−1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)−白金ジクロライド、トリメチレンジピリジン−白金ジクロライド、ジシクロペンタジエン−白金ジクロライド、シクロオクタジエン−白金ジクロライド、シクロペンタジエン−白金ジクロライド)、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体、ビス(アルキニル)(シクロオクタジエン)白金錯体等が挙げられる。また、ヒドロシリル化触媒はマイクロカプセル化した形で用いることもできる。この場合触媒を含有し、かつポリオルガノシロキサン中に不溶の微粒子固体は、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル樹脂またはシリコーン樹脂)である。
また、白金系触媒は包接化合物の形で、例えば、シクロデキストリン内で用いることも可能である。
【0047】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンを得るには、成分(C)白金族系触媒を、成分(B)ジオルガノポリシロキサンとしての成分(I)と(II)の合計の重量に対して白金族系金属が1〜5000ppmとなる量、好ましくは5〜1000ppmとなる量、より好ましくは20〜500ppmとなる範囲の量で添加することが好ましい。含有量が1ppm未満では硬化に時間がかかり、生産効率が悪くなるおそれがある。5000ppmを超えると分散体が褐色に着色するなど、外観に問題が生じる。
また、500ppm以上では、分散されるオイル成分が流動できる時間が短くなり、触媒添加のためにせん断力を加えた際の粒子のゆがみが、そのまま粒子の形状となり、真球に近いために発揮される摺動性が得難いものとなる。
硬化に際しては、シリコーンゴム粒子の分散を完了させ、その後に粒子の形状を確定させ、その後に硬化を完了させることが好ましい。前述のように真球度が向上するほか、シリカ粒子による表面の被覆率が向上するために、表面の硬度が増すため、各種用途において好適な特性を得られる。
【0048】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子の分散エマルジョンの作製方法は、特に限定されないが公知の方法で作製することができ、エマルジョンの作製に適当な常用の混合機、例えばホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、高速ステーターローター攪拌装置等を用いて上記成分(A)、(B)および(C)を混合、乳化することにより作製することができる。
【0049】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンは、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステルなどのノニオン性界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム等の皮膚への刺激性が緩和なイオン性界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤量としては、エマルジョン100質量部中、0.1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.06質量部以下である。1質量部を超えると、環境に悪影響を与えるほか、粒子のブロッキング性が現れる等の問題が生じる。
【0050】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンが含有することができる溶媒としては水が好ましい。水は、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましく、好ましくはpH2〜12、より好ましくはpH4〜10の範囲内である。
【0051】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンは、本発明の目的を損なわない範囲で、水の他、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、2-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの親水性成分を含有していてもよい。
【0052】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンは、本発明の目的を損なわない範囲で、防腐剤として、サリチル酸,安息香酸ナトリウム,デヒドロ酢酸ナトリウム,ソルビン酸カリウム,フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチルを含んでもよい。また、用途に応じて、潤滑成分であるシリコーンオイル等の油剤、その他目的としての流動パラフィン、グリセリン、各種香料等を含んでもよい。
【0053】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子分散エマルジョンからシリコーンゴム粒子を単離させる方法は公知の方法であれば何でもよく制限がない。例えば、加熱および/または減圧による水分の除去、濃縮の工程、さらには含有する有機成分、微量成分等を加熱、乾燥させてシリコーンゴム粒子を得ることができる。あるいは、スプレードライ方式のような方法を用いることもできる。ただし、シリコーンゴム成分の熱分解を避ける意味では、高温、例えば200℃以上での長時間の加熱、乾燥は避けるのが好ましい。
【実施例】
【0054】
次に本発明を実施例によって説明する。なお、本発明はこれによって限定されるものではない。また、実施例および比較例におけるシリカ被覆またはシリカ非被覆のシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの作製およびエマルジョンよりシリコーンゴム粒子を単離させる方法は以下のようにして行った。また、得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの貯蔵安定性、水分散性、感触、シリコーンゴム粒子のシリカ層被覆率、真球度、ブロッキング性の測定方法、評価方法または算出方法、化粧品処方の作製方法は以下のようにして行った。化粧品処方の処方量を表1に、各実施例、比較例の処方量を表2に、エマルジョンとしての測定・評価結果を表3に、乾燥ゴム粒子としての測定・評価・算出結果を表4に示す。
【0055】
<貯蔵安定性試験>
作製したシリコーンゴム粒子分散エマルジョンを50mlスクリュー管に30g入れ、室温貯蔵1か月後に、クリーミング、沈降分離の有無を確認した。
評価基準;
○:クリーミング、沈降分離なし、△:クリーミング、沈降分離の傾向あり、×:クリーミング、沈降分離あり。
【0056】
<水への分散性試験>
作製したシリコーンゴム粒子分散エマルジョンを50mlスクリュー管に5g入れ、さらに脱イオン水20mlを加え、蓋を締めた後、20回手で振り混ぜる。振り混ぜた後の分散状態を観察し、水分散性を評価した。
評価基準;
○:均一に分散、△:一部分散、フロック残りが見られる、×:分散せず。
【0057】
<感触試験>
3名のパネルにて、作製したシリコーンゴム粒子分散エマルジョン(実施例1〜4、比較例1〜4)0.05g、並びに、シリコーンゴム粒子(実施例1〜4、比較例1〜3)0.03gを手の甲に載せ、人差し指で円を描きながら塗布する。
塗布する際の滑らかさ、塗布乾燥後のサラサラ感を評価する。
サラサラ感を一対比較法により評価し、各処方に対する評価点数の合計を比較した。一対比較法の評価にあたっては、よりサラサラ感の優れる方へ1点、サラサラ感の劣る方へは0点を付与し、同点の場合はともに0.5点を付与した。
3名の評価点数を各サンプルについて合計した点数に基づいて、以下のように評価した。
評価基準 ◎;15点以上、〇;9.0〜13.5点、△;4.5〜7.5点、×;3.0点未満
【0058】
<サンケアローション処方の作製>
水相にシリコーンゴム粒子分散エマルジョンを、または、油相に乾燥したシリコーンゴム粒子を投入し、油中水型サンケアローションを、表1に示す処方にて作製した。この処方を処方1とする。比較試験用に、ゴム粒子エマルジョン、乾燥ゴム粒子とも配合しないものも作製した。
水相、並びに油相はそれぞれ別容器にて、IKA社製、ULTRA TURRAX T 50 BASIC G45Mにて、3000rpmで撹拌しながら混合し、調製した油相に水相を3度に分けて添加しながらULTRA TURRAX T 50 BASIC G45Mにて、3000rpmで撹拌して混合した。
【0059】
<サンケアローション処方品での感触試験>
3名のパネルにて、作製した処方1の0.50gを手の甲に乗せ、人差し指で円を描きながら塗布する。
塗布する際の滑らかさ、塗布乾燥後のサラサラ感を評価する。
サラサラ感を一対比較法により評価し、各処方に対する評価点数の合計を比較した。一対比較法の評価にあたっては、よりサラサラ感の優れる方へ1点、サラサラ感の劣る方へは0点を付与し、同点の場合はともに0.5点を付与した。
3名の評価点数を各サンプルについて合計した点数に基づいて、以下のように評価した。
評価基準 ◎;15点以上、〇;9.0〜13.5点、△;4.5〜7.5点、×;3.0点未満
【0060】
【表1】
【0061】
<粒子表面のシリカ被覆率算出方法>
単離したシリコーンゴム粒子を電子顕微鏡または光学顕微鏡で粒子径を観察し、その平均値とシリコーンゴムの比重である0.9を用い表面積を計算する。シリコーンゴム粒子分散エマルジョンの作製に用いたシリカ粒子の量をシリコーンゴム粒子の表面積の値で除することにより、単位平方メートル当たりのシリカ粒子のkg数を計算する。
【0062】
<粒子の真球度測定方法>
単離したシリコーンゴム粒子試料を電子顕微鏡または光学顕微鏡で観察し、その短径および長径を測定し、その短径/長径の比をもって真球度とする。
短径及び長径の比は、得られた粒子試料を試料台にランダムに置き、写真撮影し、50個の球形顆粒についてその長軸の長さ(長径)と、長軸の中点に直交する短軸の長さ(短径)とを、各々測定し、各々について長径に対する短径の比を求め、50個の平均値で示す。
【0063】
<ブロッキング性試験>
単離したシリコーンゴム粒子分散エマルジョンを50℃/6時間乾燥させ、水分を蒸発させる。
得られたシリコーンゴム粒子を内径5mmのプラスチック製シリンジに入れ、500gの荷重で1分圧縮する。
シリンジから粉体を取り出した後の粉体の状態を観察する。
評価基準;
◎:塊無し、〇:一部に塊あり、△:塊が大半を占める、×:塊のみが認められる。
【0064】
<実施例1>
以下のようにして、水中油型シリコーンエマルジョン1を調製した。初めに、5質量部のシリカ粒子(A)を45質量部の水に、IKA製ウルトラタラックスT50ベーシックシャフトジェネレーターG45Mを用い4000rpmにて撹拌することにより分散させ、シリカ粒子水分散液を調整した。次いで、別容器にて、両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された粘度200mPa・s(25℃)であるビニル基含有ポリジメチルシロキサン(I)47.9質量部、ならびに側鎖にSiH基を有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度65mPa・s(25℃)であるメチルハイドロジェンポリシロキサン(II)2.1質量部を混合し、アルケニル基の数(NA)と、ケイ素原子に結合した水素原子の数(NH)が、NH/NA=1.2/1となる混合油を調整した。次いで、シリカ粒子の水分散液に、4000rpmの攪拌条件下、調製した混合油を加えることにより、水中油型シリコーンエマルジョン(水中油型シリコーンエマルジョン1)を得た。得られたシリコーンエマルジョン1をスリーワンモーター/プロペラ型攪拌羽根で200rpmにて攪拌しながら、白金原子含有量1質量%の白金−ビニルシロキサン錯体溶液(C)0.4質量部を加え、10分間攪拌し、白金触媒を乳化して、粒子内に行きわたらしめた。その後、10分をかけ粒子の形状を確定させ、さらに10分かけ硬化を完了させ、シリコーンゴム粒子分散エマルジョンを得た。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、測定液の調製の際の水希釈性(固形分約10質量%水溶液の調製)が容易であり、水分散性が良好であることが確認でき、中位径(d50)は、11μmで、粒度分布も狭いものあった。
得られたエマルジョンを150℃で1時間乾燥し、水を除去し、単離させることにより乾燥シリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
【0065】
<実施例2>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1において、粘度が1000mPa・s(25℃)であるビニル基含有ポリジメチルシロキサン(I)を49.0質量部、ならびにメチルハイドロジェンポリシロキサン(II)1.0質量部を混合し、アルケニル基の数(NA)と、ケイ素原子に結合した水素原子の数(NH)が、NH/NA=1.5/1となる混合油を調整した以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定する時したところ、中位径d50は、11μmであった。
【0066】
<実施例3>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中の成分シリカ粒子(A)を3.0質量部とし、残部を水とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、11μmであった。
【0067】
<実施例4>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中の成分シリカ粒子(A)を2.0質量部とし、残部を水とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、11μmであった。
【0068】
<比較例1>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中の成分シリカ粒子(A)を15.0質量部とし、水を37.0質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、5μmであった。
【0069】
<比較例2>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中の成分シリカ粒子(A)を0.2質量部とし、残部を水とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。得られたシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子とこの表面を全面または部分的に被覆するシリカ被覆層からなるものであった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、100μmであった。
【0070】
<比較例3>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中のビニル基含有ポリジメチルシロキサン(I)を67.1質量部とし、メチルハイドロジェンポリシロキサン(II)を2.9質量部、シリカ粒子(A)の代りにポリオキシエチレンセチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数13)を1.0質量部とし、残部を水とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、6μmであった。
【0071】
<比較例4>
実施例1におけるシリコーンエマルジョン1中のシリカ粒子(A)の代りにポリオキシエチレンセチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数13)を1.0質量部とし、残部を水とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム粒子分散エマルジョンおよびシリコーンゴム粒子を得た。比較例4での処方1の作製においては、エマルジョンとしてのみ配合し、乾燥粒子としての配合は行わなかった。
得られたシリコーンゴム粒子分散エマルジョンの粒子径をベックマン・コールターLS 230(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、中位径d50は、5μmであった。
【0072】
<比較例5>
処方1の作製において、ゴム粒子エマルジョンとしても、また乾燥ゴム粒子としても配合しないブランクの処方を作製し、感触試験に付した。これを比較例5とする。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
本発明のシリカ被覆シリコーンゴム粒子は、シリコーンゴム粒子と、このシリコーンゴム粒子の表面を被覆し、シリカ粒子からなる被覆層と、を有し、前記被覆層の被覆量は2.0×10