(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された低融点金属を用いた逆火防止弁では、溶融された金属が、逆火防止器内のいずれかに流れて凝固することとなり、逆火防止器を作動可能に復帰するためには、スピンドル内に遮断弁本体を挿入して、ハンダを溶融するか、新しいスピンドルに交換する必要があり、容易に修復することが困難であるという問題がある。
【0008】
また、上述のように、逆火防止器内が、逆火の熱により昇温した状態で、内部に可燃性ガスが導入されて燃焼して高温になった場合に、ガス導入路を安定して遮断するとともに、容易に修復可能な逆火防止弁が要請されている。
【0009】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、水素ガスをはじめとする可燃性ガスに適用される逆火防止弁において逆火等により逆火防止器内が昇温した場合に、ガス導入路を安定して遮断するとともに、容易に修復することが可能な逆火防止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、可燃性ガスが供給されるガス導入路及び前記可燃性ガスが導出されるガス導出路を接続する中空部が内部に形成されたケース部材と、前記中空部に配置され、前記ガス導入路に導入される可燃性ガスの圧力に基づいて、前記ガス導入路の弁座に対して進退自在とされた逆止弁体と、前記逆止弁体を前記弁座に向かって付勢する逆止弁体付勢バネと、前記中空部に配置され、逆火の熱によって、前記ガス導入路から可燃性ガスが流通するのを遮断する感熱逆火防止機構とを備え、前記感熱逆火防止機構は、前記逆止弁体を前記弁座に向かって付勢し、前記
逆止弁体を前記可燃性ガスの遮断位置に移動することで前記可燃性ガスの流通を遮断する感熱遮断バネと、前記感熱遮断バネを、前記
逆止弁体が前記可燃性ガスを流通可能な状態に係止する感熱遮断バネ係止手段とを備え、前記感熱遮断バネ係止手段は、熱可塑性樹脂を含むとともに、前記逆止弁体が進退自在とされる状態で係止し、前記熱可塑性樹脂が熱変形されることにより、前記感熱遮断バネの係止が解除されて、前記逆止弁体を移動するとともに前記弁座に押圧して、前記可燃性ガスの流通が遮断されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る逆火防止器によれば、感熱逆火防止機構は、逆止弁体を弁座に向かって付勢し、
逆止弁体を可燃性ガスの遮断位置に移動することで可燃性ガスの流通を遮断する感熱遮断バネと、感熱遮断バネを、逆止弁体が可燃性ガスを流通可能な状態に係止する感熱遮断バネ係止手段とを備え、感熱遮断バネ係止手段は、熱可塑性樹脂を含む構成とされ、逆止弁体を進退自在とされる状態で係止し、熱可塑性樹脂が熱変形されることにより、感熱遮断バネの係止が解除されて、逆止弁体を弁座に移動、押圧してガス導入路からの可燃性ガスの流入が遮断される。
【0012】
また、感熱遮断バネ係止手段が熱可塑性樹脂を含む構成とされ、熱可塑性樹脂が熱変形されることで感熱遮断バネの係止が解除されるので、感熱遮断バネ係止手段において溶融された金属が固化されることがない。その結果、可燃性ガスに適用される逆火防止弁において、逆火により内部が昇温した場合に、ガス導入路が安定して遮断される。また、逆止弁体を通常に進退する状態に容易に修復することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の逆火防止器であって、前記感熱遮断バネ係止手段は、前記
感熱遮断バネと前記
逆止弁体の間に配置される遮断力伝達部材と、前記遮断力伝達部材に形成された係合部と係合して、前記遮断力伝達部材を係止する逆止弁係止部材と、前記遮断力伝達部材の係合部に向かって、前記逆止弁係止部材を押圧する押圧部材と、熱可塑性樹脂からなり、前記係合部に前記押圧部材を押圧した状態で保持する樹脂リングとを備え、前記樹脂リングが熱変形して、前記押圧部材による前記逆止弁係止部材の押圧が解除されて、前記遮断力伝達部材が前記
感熱遮断バネの付勢力を前記逆止弁体に伝達するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る逆火防止器によれば、感熱遮断バネ係止手段は、
感熱遮断バネと
逆止弁体の間に配置される遮断力伝達部材と、遮断力伝達部材に形成された係合部と係合して、遮断力伝達部材を係止する逆止弁係止部材と、遮断力伝達部材の係合部に向かって、逆止弁係止部材を押圧する押圧部材と、熱可塑性樹脂からなり、係合部に押圧部材を押圧した状態で保持する樹脂リングとを備えていて、樹脂リングが熱変形して、押圧部材による逆止弁係止部材の押圧が解除されることで、遮断力伝達部材が
感熱遮断バネの付勢力を逆止弁体に伝達するので、簡単な構成によって、逆止弁体を効率的に弁座に押圧することができる。また、樹脂リングを取り換えることにより、逆止弁を容易に修復することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の逆火防止器であって、前記熱可塑性樹脂は、ポリアセタールであることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る逆火防止器によれば、熱可塑性樹脂が、ポリアセタールであるので、可燃性ガスの燃焼に対して、逆止弁体を確実に作動することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る逆火防止器によれば、可燃性ガスに適用される逆火防止弁において、内部が逆火により昇温した場合に、ガス導入路を安定して遮断され、逆火防止器の内部が焼損するのを抑制することができる。また、逆止弁体が通常に進退する状態に容易に修復することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る逆火防止器の概略構成について説明する。
図1において、符号1は、逆火防止器を示している。
逆火防止器1は、
図1に示すように、逆止弁2と、内部が昇温した場合にガス導入路から可燃性ガスが流入するのを遮断する感熱逆火防止機構3と、逆火の圧力を検知してガス導出路から侵入する逆火を遮断する感圧逆火防止機構5と、導出路遮断表示機構7と、感圧遮断部復帰機構8とを備えている。
【0020】
逆止弁2は、
図2に示すように、ケーシング20と、ケーシング20内の中空部からなり可燃性ガスGが流通可能とされた流路21と、機構保持部材22と、逆止弁体25と、逆止弁バネ(逆止弁体付勢部材)27と、消炎のための焼結金属エレメント28とを備え、ケーシング20の第1端側Fに導入流路21Aが、第2端側Rに第1導出流路21B、第2導出流路21Cが形成され、導入流路21Aの内方にはすり鉢状の逆止弁座(弁座)20Dが形成されている。
【0021】
ケーシング20は、第2端側Fにガス導出路1Bが形成されたケーシング本体20Aと、第1端側Fにガス導入路1Aが形成されたキャップ部材20Bとを備え、外形略円筒形状とされている。
【0022】
また、ケーシング20は、ケーシング本体20Aとキャップ部材20Bの間にOリングが装着されてケーシング本体20Aとキャップ部材20Bの間から可燃性ガスGが流出しないように構成されている。
【0023】
機構保持部材22は、例えば、多段円筒状の感圧機構保持部材22Aと、感熱機構保持部材22Bとを備え、感圧機構保持部材22Aの第1端側Fに形成された凹部に感熱機構保持部材22Bが挿入されてネジにより一体化されるとともに、ケーシング本体20Aの底部に形成された凹部に取付けられることで、感熱逆火防止機構3及び感圧逆火防止機構5をケーシング20に保持するようになっている。
【0024】
また、機構保持部材22には、第1端側Fに向かって伸びるガイド部22G、ガイド部22Hが形成されていて、ガイド部22Gには逆止弁バネ27が、ガイド部22Gには逆止弁体25のガイド凹部25Aが配置されている。
【0025】
逆止弁体25は、弁本体部26と、ガイド凹部25Aと、逆止弁ばね座25Bと、Oリング25Cとを備えている。
弁本体部26は、第1端側Fに向かって突出する円錐形の押圧形状部26Aと、押圧形状部26Aから第1端側Fに伸び筒状に形成された円筒遮断部26Bとを有し、円筒遮断部26Bは基端側に導入流路孔26Cが形成されるとともに、押圧形状部26Aの円筒遮断部26Bの内方側には、第2端側Rに向かってくぼむ円錐形凹部が形成されている。
【0026】
また、押圧形状部26Aには、逆止弁体25の軸線O1と同心とされた周溝が形成されていて、この周溝にOリング25Cが装着されている。
【0027】
ガイド凹部25Aは、逆止弁体25の第2端側Rに開口する凹部からなり、感熱機構保持部材22Bの第1端側Fのガイド部22Hが挿入されて、軸線O1方向に摺動可能とされている。
【0028】
逆止弁バネ(逆止弁体付勢バネ)27は、機構保持部材22のガイド部22Gの周囲に配置され、逆止弁体25のばね座25Bに当接して、逆止弁体25をガス導入路1A側に付勢するように構成されている。
【0029】
焼結金属エレメント28は、例えば、円筒形の焼結金属からなり、第2端側Rの内周面が感圧機構保持部材22Aの外周に装着されるとともに、第1端側Fの内周面がキャップ部材20B内の第1端側Fの底部から第2端側Rに延在する環状凸部の外周に装着することでケーシング20内に配置されていて、ガス導入路1Aからガス導出路1Bに流通する可燃性ガスGが必ず通過するように構成されている。
【0030】
また、設定された圧力以上の可燃性ガスGがガス導入路1Aに付加された場合は、逆止弁体25が逆止弁座20Dから離間するとともに、導入流路孔26Cが流通可能となり、可燃性ガスGが導入流路21Aから流路21に流入するようになっている。
【0031】
感熱逆火防止機構3は、
図2、
図3に示すように、保持部材31と、感熱遮断バネ(導入路遮断バネ)33と、遮断力伝達部材35と、ステンレスボール(逆止弁係止部材)37と、ステンレスボール37を軸線O1側を中心とする径方向位置を変位可能に保持する押圧部材39と、押圧部材39を押圧して所定の直径に保持する樹脂リング41とを備えている。
【0032】
感熱逆火防止機構3は、ガス導出路1Bの側から伝播した逆火が、焼結金属エレメント28を通過しても温度が充分に低下せずに逆止弁体25近傍が昇温した場合や、逆火が消火された後に内部が昇温した場合に、ガス導入路を安定して遮断するものである。
【0033】
保持部材31は、
図3に示すように、略円筒状に形成され、可燃性ガスGが流通する流路孔31Aとボール収納孔31Bが周方向に間隔をあけて複数形成されていて、キャップ部材20Bの底部に形成された凹部に嵌挿して固定されている。
【0034】
感熱遮断バネ(導入路遮断バネ)33は、保持部材31の内方に配置され、感熱逆火防止機構3が作動していない状態では第1端側Fに付勢された状態で保持され、感熱逆火防止機構3が作動した場合は、付勢力によって逆止弁体25を第1端側Fに移動するようになっている。
ここで、感熱遮断バネ33の付勢力>可燃性ガスGの圧力による力 とされ、ガス導出路1B側で生じた逆火が導入側に流入するのを安定して抑止するうえでは、F33>可燃性ガスGのF(IN)×2.5 とすることが好適である。
【0035】
遮断力伝達部材35は、リング状に形成され、第1端側Fに外周が縮径された段差部35Aが形成されていて、保持部材31の内方に軸線O1方向に移動可能に収納されている。
ステンレスボール37は、保持部材31のボール収納孔31Bにそれぞれ配置されていて、遮断力伝達部材35の段差部35Aと係合することで、感熱逆火防止機構3が作動するのを阻止する構成とされている。
【0036】
押圧部材39は、例えば、周方向の一部が分断された分断部39Aとされ、自由状態で外側に拡がる弾性を有して分断部39Aが離間するCリング等の金属部材からなり、保持部材31のボール収納孔31Bの外周に配置されて、樹脂リング41が外周側を保持することにより軸線O1側に向かって弾性変形されるとともに、ステンレスボール37を軸線O1側に押圧し段差部35Aと係合するようになっている。
【0037】
樹脂リング41は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリアセタール樹脂を薄いリング状に形成して構成されており、押圧部材39の外周に配置されて押圧部材39を軸線O1側に押圧することで、押圧部材39を介してステンレスボール37が遮断力伝達部材35の段差部35Aと係合して、感熱遮断バネ33が伸長するのを抑止するようになっている。そして、内部が昇温して樹脂リング41が塑性変形すると、ステンレスボール37の径方向位置が外方に移動するようになっている。
【0038】
かかる構成により、逆止弁2は、ガス導入路1Aに設定圧以上の圧力が付加された場合には、
図4(A)に示すように、逆止弁体25が逆止弁座20Dから離間してガス導入路1Aが流通可能とされ、ガス導入路1A側の可燃性ガスGの圧力が予め設定圧力未満の場合には、
図4(B)に示すように、逆止弁体25のOリング25Cが逆止弁座20Dを押圧して逆止弁座20Dを閉塞するとともに、円筒遮断部26Bの導入流路孔26Cが導入流路21Aの内周面と重なって導入流路21Aから流路21への可燃性ガスGの流入を遮断するように構成されている。
【0039】
次に、
図5を参照して、逆火防止器1に逆火が侵入したした場合の感熱逆火防止機構3の動作について説明する。
図5は、感熱逆火防止機構3の動作を説明する図であり、逆火が生じていないときには、
図5(A)は、逆止弁体25は可燃性ガスGが流通可能な状態を、
図5(B)は、逆火により作動して逆止弁体25が矢印F12側に移動した状態を、
図5(C)は、
図5(B)における詳細を示している。
【0040】
(1)まず、逆火が感熱逆火防止機構3に侵入してケーシング20内が逆火の熱により昇温されると、ポリアセタール樹脂で形成された樹脂リング41が軟化して熱変形する。(逆火が消火した後に、可燃性ガスが流入することによりケーシング20内が昇温した場合においても同様である。)。なお、樹脂リング41については、熱変形に加えて、一部又は全部が焼損してもよい。
(2)樹脂リング41が熱変形すると、
図5(C)に示すように、押圧部材39によって軸線O1側に押圧されていたステンレスボール37が、軸線O1から離間する方向に移動可能となる。2点鎖線で示す樹脂リング41は、熱変形したことを示している。
(3)ステンレスボール37が、矢印F11方向(軸線O1から離間する側)に移動すると、ステンレスボール37が段差部35Aと係合して係止されていた遮断力伝達部材35が軸線O1方向に移動可能となる。
(4)遮断力伝達部材35が軸線O1方向に移動可能となると、感熱遮断バネ33の付勢力によって遮断力伝達部材35及び逆止弁体25がガス導入路1A側に移動し、逆止弁座20Dを押圧するとともに、円筒遮断部26Bの導入流路孔26Cが導入流路21Aの内周面と重なり導入流路21Aを閉塞する。その結果、可燃性ガスGがガス導入路1Aから流入するのが遮断される。
【0041】
次に、
図1、
図6〜
図11を参照して、感圧逆火防止機構5、導出路遮断表示機構7及び感圧遮断部復帰機構8について説明する。
図6は、逆火防止器1の感圧逆火防止機構5、
図7は、導出路遮断表示機構7及び感圧遮断部復帰機構8の詳細構成を説明する図である。
【0042】
感圧逆火防止機構5は、
図6に示すように、可燃性ガスGがガス導出路1Bに流通する位置に配置され、ガス導出路1Bを遮断する感圧遮断弁体51と、感圧遮断弁体51をガス導出路1B側に付勢する感圧遮断バネ53と、感圧遮断弁体51内に配置されて逆火の圧力を受ける受圧部材57と、受圧部材57を所定圧力で付勢する制御バネ59と、受圧部材57に形成された凹部(係合部)57Sと係合するステンレスボール55とを備え、機構保持部材22の凹部22Cに収納されている。
【0043】
感圧遮断弁体51は、流通孔51Hが形成されたノーズ51Aと、ガイド部51Cと、受圧部材収容部51Dとを有する多段筒状とされ、感圧機構保持部材22Aの凹部22C内のガイド孔22D、ガイド孔22Eに摺動可能に挿入されており、感圧遮断バネ53により、ステンレスボール55、押圧部材56を介して第2端側Rに付勢可能とされている。
【0044】
次に、
図7を参照して、導出路遮断表示機構7及び感圧遮断部復帰機構8について説明する。
導出路遮断表示機構7は、ガス導出路1Bの遮断を表示する表示部材71と、感圧遮断弁体51の移動を検出する検出部材72と、表示部材71を軸線O1側に押圧保持する検出部材押えバネ73と、表示部材71を非表示位置から表示位置に向かって付勢する表示部材付勢バネ74と、ボール挿入孔71C内に収納されて表示部材付勢バネ74が検出部材72を介して表示部材71を表示位置に向かって付勢、移動するのを抑止するステンレスボール75とを備えている。
【0045】
また、感圧遮断部復帰機構8は、リセットシリンダ81と、押え部材82と、リセットローラ83と、ローラピン84と、下部支持部材85と、取付部材86とを備え、感圧逆火防止機構5が作動して移動された感圧遮断弁体51を所定位置に復帰するように構成されている。
そして、表示部材71、検出部材72、検出部材押えバネ73、表示部材付勢バネ74は、リセットシリンダ81の凹部81Aに配置されるとともに、リセットシリンダ81とともに軸線O2周りに回動可能とされ、検出部材72は軸線O1側に突出している。
【0046】
表示部材71は、小径部71A、大径部71Bを有する略二段円筒状に形成され、先端側には凹部71Hが形成されている。また、大径部71Bには、凹部71Hに貫通しステンレスボール75が収容されるボール挿入孔71Cが形成され、ボール挿入孔71Cはステンレスボール75の直径よりわずかに薄肉に形成されている。
【0047】
検出部材72は、基端側に周方向に凹部72Aが形成され、検出部材押えバネ73により軸線O1側に付勢されて基端側が表示部材71の凹部71Hに摺動可能に配置されており、感圧遮断弁体51のノーズ51Aが接触して感圧遮断弁体51がガス導出路1B側に移動したのを検出するようになっている。
【0048】
表示部材付勢バネ74は、凹部81Aに収容され、表示部材71を軸線O1から離間する側に付勢するようになっている。
ステンレスボール75は、表示部材71のボール挿入孔71Cに配置されて、検出部材72の基端部72Bと接触する場合は、リセットシリンダ81内の係合凹部81Bと係合して、表示部材71が表示部材付勢バネ74により付勢されるのを抑止し、検出部材72が感圧遮断弁体51のノーズ51Aと接触してケーシング20の外方(軸線O1から離間する側)に移動することで凹部(係合部)72Aに移動して係合凹部81Bとの係合が解除されるようになっている。
【0049】
リセットシリンダ81は、ケーシング20の外周から軸線O1に向かって形成された収納孔に配置され、押え部材82及び取付部材86によりケーシング20に固定されている。
押え部材82は、リセットシリンダ81の上部に連結されていて、押え部材82のねじ溝を回動することでリセットシリンダ81を回動可能とされている。
【0050】
ローラピン84は、リセットローラ83の孔に挿入されるとともに、下端が下部支持部材85に支持されて、リセットシリンダ81が回動されと、ローラピン84及びリセットローラ83が軸線O2周りに安定して公転するようになっている。
また、リセットローラ83を介して感圧遮断弁体51のノーズ51Aと接触し、リセットシリンダ81を回転させることで感圧遮断弁体51を第1端側Fに移動して感圧逆火防止機構5を復帰するようになっている。
【0051】
かかる構成により、感圧逆火防止機構5は、ステンレスボール55が凹部22Cの内周に周方向に形成された係止段部22Jと係合している場合は、感圧遮断バネ53の伸長が抑止されて、感圧遮断弁体51は係止され、可燃性ガスGがガス導出路1Bを流通可能とされている(
図6参照。)。
【0052】
一方、感圧逆火防止機構5は、
図8に示すように、逆火により感圧遮断弁体51の受圧部材収容部51Dに摺動可能に収容された受圧部材57が所定以上の圧力P1を受けると、ステンレスボール55と係止段部22Jとの係合が解除されるようになっている。
そして、ステンレスボール55と係止段部22Jの係合が解除されると、
図9に示すように、感圧遮断弁体51のノーズ51Aの流通孔51Hが第1導出流路21Bの内周面と重なって可燃性ガスGの流通が遮断されるようになっている。
【0053】
次に、
図10を参照して、感圧逆火防止機構5の動作を説明する。
まず、
図10(A)に示すように、逆火により感圧遮断弁体51の受圧部材収容部51Dに収容された受圧部材57が所定以上の圧力P1を受けると、
図10(B)に示すように、連結ロッド58を第2端側Rに付勢している制御バネ59が収縮して、受圧部材57及び連結ロッド58が第1端側Fに移動し、連結ロッド58の大径部58Aに位置されていたステンレスボール55が小径部57Sに移動して、ステンレスボール55と係止段部22Jの係合が解除される。
そして、
図10(C)に示すように、ステンレスボール55と係止段部22Jの係合が解除されると、感圧遮断バネ53が伸長して、感圧遮断弁体51を第2端側Rに移動させるとともに、ノーズ51Aの流通孔51Hが第1導出流路21Bの内周面と重なって可燃性ガスGの流通が遮断される。
【0054】
以下、
図11を参照して、導出路遮断表示機構7及び感圧遮断部復帰機構8の動作について説明する。
まず、感圧逆火防止機構5が作動すると、
図11(A)に示すように、感圧遮断弁体51のノーズ51Aが矢印F22方向に移動する。
導出路遮断表示機構7は、
図11(B)に示すように、検出部材72が、矢印F22方向に移動した感圧遮断弁体51のノーズ51Aを検出すると、検出部材72が矢印F31方向に移動して、検出部材72の基端部72Bと係合して大径部71Bから外周に突出して係合凹部81Bと係合していたステンレスボール75が矢印F32方向に凹部72Aに移動(落下)し、表示部材付勢バネ74に対する係止が解除される。
表示部材付勢バネ74に対する係止が解除されると、
図11(C)に示すように、表示部材71が表示位置に突出して導出路遮断表示機構7を作動する。
感圧遮断部復帰機構8による感圧逆火防止機構5及び導出路遮断表示機構7の復帰は、
図11(D)に示すように、表示部材71を内方(軸線O1側)に押し込んで非表示位置に移動し、ステンレスボール75が検出部材72の凹部72Aに係合して、表示部材付勢バネ74による表示部材71の付勢を係止する。そして、非表示位置で表示部材71を矢印F42A側に回動すると、感圧遮断弁体51が原点位置に復帰されるとともに、ステンレスボール55が受圧部材57の小径部57Sと係合して、感圧遮断弁体51を可燃性ガスGが流通可能な位置に係止する(
図8〜
図10参照。)。
次いで、非表示位置で表示部材71を矢印F42B側に回動して、感圧遮断部復帰機構8をもとの状態に戻す。
【0055】
一実施形態に係る逆火防止器1によれば、感熱逆火防止機構3が感熱遮断バネ係止手段を備え、熱可塑性樹脂を含む樹脂リング41により逆止弁体25を進退自在とされる状態で係止し、樹脂リング41が熱変形されて感熱遮断バネ33の係止が解除されると、感熱遮断バネ33が作動して逆止弁座20D及び導入流路孔26Cを閉塞するので、可燃性ガスGがガス導入路1Aから流入するのを確実に抑止することができる。その結果、逆流圧がほとんど発生しない逆火による火炎が逆火防止器内に侵入した場合や、火災等が発生した場合に、逆火防止器内が可燃性ガスの発火点以上に昇温しても、逆火防止器内で可燃性ガスが燃焼して高温となることに起因して逆火防止器が焼損するのを抑制することができる。
【0056】
一実施形態に係る逆火防止器1によれば、樹脂リング41が、ポリアセタールであるので、可燃性ガスの燃焼に対して、逆止弁体を確実に作動することができる。
【0057】
また、一実施形態に係る逆火防止器1によれば、樹脂リング41が熱変形して、押圧部材39によるステンレスボール37の押圧が解除されるので、溶融金属がケーシング内で固化することがなく、樹脂リング41の取り換えにより、逆止弁2を容易に修復することができる。
【0058】
また、感圧逆火防止機構5が、ガス導出路1Bから侵入した逆火の圧力により作動するので、逆火がガス導出路1Bから侵入するのを抑止することができる。
また、導出路遮断表示機構7を有しているので、感圧逆火防止機構5が作動したことを容易に確認することができる。
また、感圧遮断部復帰機構8を有しているので、感圧逆火防止機構5が作動した場合に、感圧逆火防止機構5及び導出路遮断表示機構7を効率的に復帰することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態においては、熱可塑性樹脂として、ポリアセタールである場合について説明したが、熱可塑性樹脂については、使用目的に応じて任意に設定することができる。
また、熱可塑性樹脂を樹脂リング41に形成して適用する場合について説明したが、樹脂リング41以外の形態で用いてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態においては、逆火防止器1が、感熱逆火防止機構3と、感圧逆火防止機構5と、導出路遮断表示機構7と、感圧遮断部復帰機構8とを備える場合について説明したが、逆火防止器1が、感圧逆火防止機構5、導出路遮断表示機構7、感圧遮断部復帰機構8のいずれを備えるかは、任意に設定することができる。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、逆火防止器1が、感熱逆火防止機構3と、感圧逆火防止機構5と、導出路遮断表示機構7と、感圧遮断部復帰機構8とを備える場合について説明したが、逆火防止器1が、感圧逆火防止機構5、導出路遮断表示機構7、感圧遮断部復帰機構8のいずれを備えるかは、任意に設定することができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、感熱逆火防止機構3を構成する係止部材として、ステンレスボール37を用いる場合について説明したが、逆火発生前に遮断力伝達部材35を係止して遮断ばね33の伸長を抑止し、逆火発生時に、ステンレスボール37が遮断力伝達部材35から離間して樹脂リング41側に移動し、感熱遮断バネ33が伸長する程度に遮断力伝達部材35との係止が解消されるものであれば、ステンレスボール37に限られるものではなく、例えば、多面体を用いてもよい。また、係止部材の材質として、ステンレスに限定されるものではなく、セラミックス等、他の材質を適用できることはいうまでもない。このことは、ステンレスボール55、75についても同様である。
【0064】
また、上記実施の形態においては、可燃性ガスとして、水素ガスに用いる場合について説明したが、例えば、水素とプロパン等の炭化水素とを混合した混合ガスや、水素と酸素等の支燃性ガスとを混合した混合ガス、水素、炭化水素、支燃性ガスとを混合した混合ガスのほか、アセチレン等の炭化水素単体のガスに適用してもよい。