【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1乃至
図3に示すように樹脂成形品取出し機1は、樹脂成形機3における固定プラテン5の上面に架台7を設けて固定される。樹脂成形機3は、公知の構造で本体9の中間部に適宜の間隔をおいて相対する固定プラテン5及び可動プラテン11が設けられる。
【0014】
上記固定プラテン5及び可動プラテン11の各対角位置には、樹脂成形機3の中心軸線と一致する方向に軸線を有した4本のタイバー13が横架され、該タイバー13には、可動盤15が固定プラテン5に近づく方向及び遠ざかる方向へ移動するように支持される。
【0015】
上記固定プラテン5に設けられた固定側取付け盤17には、固定金型19が取り付けられると共に上記可動盤15に設けられた可動側取付け盤20には、可動金型21が上記固定金型19に相対して取り付けられる。また、上記可動盤15には、本体9に設けられた油圧シリンダや送りねじ往復部材等の型締め部材23の作動軸が連結され、該型締め部材23の作動に伴って可動盤15を移動し、固定金型19に対して可動金型21を型閉動作又は型開動作させる。
【0016】
固定プラテン5側の本体9には、樹脂射出ユニット25が設けられ、該射出ユニット25は、可動金型21が型閉された固定金型19の背面に圧接する射出シリンダ25aから溶融した合成樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。
【0017】
固定プラテン5及び可動プラテン11に応じた本体9の操作側及び反操作側には、扉枠(図示せず)が設けられ、該扉枠には、固定プラテン5及び可動プラテン11間の射出空間を開閉する安全扉(図示せず)が取り付けられる。
【0018】
樹脂成形品取出し機1の走行フレーム31は、上記中心軸線と直交する方向(軸線直交方向)へ延出して端部が樹脂成形機3の操作側外及び反操作側外に至る長さで、その上部には、第1走行体33が軸線直交方向へ移動するように支持される。第1走行体33は、数値制御可能なサーボモータ等の第1電動モータ35に連結された送りねじ機構、ベルト機構、ラックピニオン機構等(図示せず)により軸線直交方向へ往復移動される。
【0019】
第1走行体33には、中心軸線と一致する方向(軸線軸線方向)へ延出し、端部が型開した可動金型21に至る長さの前後フレーム37が設けられ、該前後フレーム37には、第2走行体39が軸線方向へ移動するように支持される。第2走行体39は、数値制御可能なサーボモータ等の第2電動モータ41に連結された送りねじ機構、ベルト機構、ラックピニオン機構等(図示せず)により軸線直交方向へ往復移動される。
【0020】
第2走行体39には、上下方向へ延出し、下降した際に下端部が型開した金型19・21間に至る長さの上下フレーム43が昇降するように支持される。上下フレーム43は、数値制御可能なサーボモータ等の第3電動モータ45に連結された送りねじ機構、ベルト機構、ラックピニオン機構等(図示せず)により上下方向へ往復移動される。
【0021】
上下フレーム43の下端部には、チャック47が、必要に応じて姿勢制御部材49を介して取り付けられる。該チャック47のチャック板47aには、複数個の吸着パッドや開閉する把持爪等の保持部材47bが樹脂成形品53の製品部53aに対応して取り付けられる。また、上記姿勢制御部材49は、エアーシリンダ等の作動部材に連結されたリンク機構や電動モータ等の反転作動部材と、該反転作動部材に連結された反転板(いずれも図示せず)とにより構成され、該反転板に取り付けられるチャック47を垂直位置及び水平位置の間で姿勢制御する。
【0022】
上記樹脂成形品取出し機1のチャック47を待機位置、下降位置、前進位置の各移動位置へ移動制御するデータは、上記樹脂成形機3、金型19・21、架台7、樹脂成形品取出し機1、チャック47の製作データ(寸法データ)に基づいて設定される。
【0023】
図4に示すように、樹脂成形品取出し機1の制御手段55を構成するCPU57には、プログラムデータ記憶手段59、作業データ記憶手段61が接続され、プログラム記憶手段59には、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品53の取出し動作を実行するプログラムデータ、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、架台7及びチャック47の各CADデータを組み合わせて樹脂成形システムのシステムCADデータを作成するシステム化プログラムデータ、チャック47をそれぞれの位置へ移動制御するための移動位置データを設定するデータ設定プログラムデータ等が記憶されている。
【0024】
上記作業データ記憶手段61には、成形機CADデータ記憶領域63、金型CADデータ記憶領域65、架台CADデータ記憶領域67、取出し機CADデータ記憶領域69、チャックCADデータ記憶領域71、樹脂成形システムのCADデータを記憶するシステムCADデータ記憶領域72、チャック47の移動位置データ記憶領域73が設けられる。
【0025】
成形機CADデータ記憶領域63には、樹脂成形品取出し機1が取り付けられる樹脂成形機3を製作する際に作製されるCADデータが記憶される。金型CADデータ記憶領域65には、樹脂成形機3に取り付けられる金型19・21を製作する際に作製されるCADデータが記憶される。架台CADデータ記憶領域67には、樹脂成形機3に樹脂成形品取出し機1を取り付ける際に使用する架台7を製作する際に作製されるCADデータが記憶される。取出し機CADデータ記憶領域69には、樹脂成形品取出し機1を製作する際に作製されるCADデータが記憶される。チャックCADデータ記憶領域71には、樹脂成形品取出し機1に取り付けられるチャック47を製作する際に作製されるCADデータが記憶される。
【0026】
上記システムデータ記憶領域72には、上記した各CADデータを組み合わせて作成された樹脂成形システムのシステムCADデータが記憶される。樹脂成形システムのシステムCADデータには、樹脂成形品取出し機1、金型19・21、架台7、樹脂成形品取出し機1及びチャック47に関する各種の寸法データが含まれる。
【0027】
上記したそれぞれのCADデータとしては、二次元座標データ、三次元座標データのいずれかで、三次元座標データの場合には、縮尺及び斜眼が一致するデータにする必要がある。
【0028】
また、移動位置データ記憶領域73には、樹脂成形品取出し機1におけるチャック47の原点位置HP、チャック47の待機位置、下降位置、前進位置及び開放位置に関する三次元の移動位置データがそれぞれ記憶される。
【0029】
その内、チャック47の待機位置を設定するのに必要な移動位置データとしては、チャック47の原点位置HPから樹脂成形機3の中心軸線に至る左右方向の距離、固定金型19寄りの上方に至る前後方向の距離及び固定金型19上方で、上方に位置するタイバー13に対して非干渉になる高さ等に基づいて演算された三次元位置データである。
【0030】
チャック47の下降位置を設定するのに必要な移動位置データは、上記原点位置HPまたは待機位置からチャック47の各保持部材47bが可動金型21のキャビィティ内に保持された樹脂成形品53の製品部53aに相対する高さに至る位置及び可動金型21寄りに至る前後方向の位置、チャック47の中心が射出シリンダ25aのノズル先端の延長線上に至る左右方向の距離に基づいて演算された三次元位置データである。
【0031】
チャック47の前進位置を設定するのに必要な移動位置データは、上記原点位置HPまたは下降位置からチャック47の各保持部材47bが可動金型21のパーティング面に対して突出しピンの突出幅分を隔てて近接する前後方向の位置に基づいて演算された三次元位置データである。
【0032】
なお、上記原点位置HPに付いては、チャック板47aの中心が固定金型19寄りで、走行フレーム31の
図1に示す左端側に位置し、かつ上下フレーム43が上昇限位置へ移動した三次元位置データとして移動位置データ記憶領域73に記憶される。また、上記前進位置における左右方向及び上下方向の位置は、上記した下降位置における左右方向及び上下方向の位置と一致した位置に設定される。
【0033】
但し、上記原点位置HPに付いては、任意に設定されるもので、例えば金型交換時の作業性を考慮する場合には、チャック板47aの中心が走行フレーム31の
図1に示す右端側(開放側)で、上下フレーム43が下昇限位置へ移動した三次元位置データとすればよい。
【0034】
上記CPU57には、駆動制御手段75が接続され、該駆動制御手段75には、第1乃至第3電動モータ35、41、45がそれぞれ接続される。該駆動制御手段75は、移動位置データ記憶領域73から読み出された移動位置データに基づいて対応する電動モータ35、41、45を駆動制御してチャック47をそれぞれの位置へ移動させる。
【0035】
なお、上記第1乃至第3電動モータ35、41、45には、ロータリーエンコーダ等の位置検知器(図示せず)がそれぞれ設けられ、駆動制御手段75は、第1乃至第3電動モータ35、41、45を駆動した際にそれぞれの位置検知器から出力される検知信号に基づいて第1乃至第3電動モータ35、41、45をそれぞれ閉ループ制御するように構成される。
【0036】
上記CPU57には、チャック駆動制御手段77が接続され、該チャック駆動制御手段75には、チャック47における各保持部材51を作動する負圧路を開閉する電磁バルブ、電磁ソレノイド等の作動部材(図示せず)が接続される。そしてチャック駆動制御手段77は、チャック47が型開した金型19・21間の前進位置へ移動した際に各保持部材51の作動部材を作動して樹脂成形品53の製品部53aを保持可能にさせると共に樹脂成形品53を保持したチャック47が開放位置へ移動した際に各作動部材の作動を停止して樹脂成形品53の保持を解除させる。
【0037】
なお、上記制御手段55には、樹脂成形機3から型開完了信号、突出し開始信号、突出し完了信号、型閉信号等や樹脂成形品取出し機1に設けられた各種の検知器からの検知信号が入出力手段79を介して入力される。また、制御手段55は、樹脂成形品53を保持したチャック47が樹脂成形機3から離脱した際に樹脂成形機3へ取出し完了信号を出力する。
【0038】
CPU57には、表示制御手段81が接続され、該表示制御手段81には、LCD等の表示部材83が接続される。該表示部材83は、表示された各種のスイッチ、ボタン、キー(カーソルキー、スクロールキー等を含む。いずれも図示せず。)等の押下またはタッチペンによる操作が可能なタッチパネルとして構成される。
【0039】
そして表示制御手段81は、表示部材83にシステム化プログラムにより成形機CADデータ記憶領域63、金型CADデータ記憶領域65、架台CADデータ記憶領域67、取出し機CADデータ記憶領域69、チャックCADデータ記憶領域71にそれぞれ記憶されたCADデータを表示したり、システム化プログラムデータに基づいてこれらのCADデータを組み合わせて作成された樹脂成形システム全体のシステムCADデータを表示したりする。
【0040】
また、表示部材83には、ポインタ83aが表示され、該ポインタ83aは、カーソルキーにより移動操作される。該ポインタ83aは、各CADデータを組み合わせて樹脂成形システムのシステムCADデータを生成する際に、樹脂成形機3に対する架台7の取り付け箇所、樹脂成形機3に対する金型19・21の取り付け箇所、該架台7に対する樹脂成形品取出し機1の取り付け箇所及び樹脂成形品取出し機1に対するチャック47の取り付け箇所を指定したり、作成された樹脂成形システムのシステムCADデータに基づいてチャック47の原点位置、待機位置、下降位置、前進位置、開放位置に関する三次元位置を指定したりする。
【0041】
次に、樹脂成形品取出し機1におけるチャック47の移動位置データの設定作用及び方法を説明する。なお、説明の便宜上、以下においては樹脂成形品取出し機1の移動動作に付き、チャック47を待機位置、下降位置、前進位置、下降位置(後退位置)、待機位置(上昇位置)、開放位置の順に移動して樹脂成形品53を取り出す基本的な動作に基づいて説明する。
【0042】
先ず、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品53の取出し概略を
図5に従って説明すると、樹脂成形品取出し機1のチャック47は、樹脂成形品取出し機1において予め設定された原点位置HPに対し、樹脂成形機3における中心軸線に一致する左右方向、可動金型21のパーティング面に近づく前後方向及びタイバー13より上方の上方位置へ移動して待機している。
【0043】
なお、チャック47の原点位置HPとしては、第1走行体33が走行フレーム31の
図1に示す左端側で、第2走行体39が前後フレーム37の可動金型21寄りで、かつ第2走行体39に対して上下フレーム43が上動限へ移動した位置に設定される。
【0044】
但し、上記チャック47の原点位置HPとしては、上記した位置以外に第1走行体33が走行フレーム31の
図1に示す右端側の開放位置側で、第2走行体39が前後フレーム37の固定金型19寄りで、かつ第2走行体39に対して上下フレーム43が下動限へ移動した位置としてもよい。
【0045】
上記待機状態にて樹脂成形動作が終了すると、型締め部材23を復動して固定金型19から可動金型21を型開し、型開動作の完了により樹脂成形機3から型開完了信号が制御手段55に入力されると、第3電動モータ45を駆動制御して上下フレーム43を下降してチャック47を型開した金型19・21間で可動金型21のパーティング面に相対する下降位置へ移動する。
【0046】
上記動作後、第2電動モータ41を駆動制御して第2走行体39を、チャック47が型開した可動金型21のパーティング面に近接する前進位置へ移動する。上記動作と並行して又は動作後に樹脂成形機3は、突出し部材を作動して可動金型21内の樹脂成形品53を突き出してチャック47に樹脂成形品53を保持させる。
【0047】
上記動作後、第2電動モータ41を逆転駆動制御してチャック47を、樹脂成形品53が可動金型21内から抜き出される上記下降位置(後退位置)へ戻した後、第3電動モータ45を逆転制御して上下フレーム43を上昇してチャック47を金型16・21間から離脱して待機位置へ戻す。
【0048】
上記動作後、第1電動モータ35を駆動制御して第1走行体33を、待機位置に戻ったチャック47が樹脂成形機3における操作側の外側又は反操作側の外側に設けられた開放位置へ移動した後、必要に応じて第2及び第3電動モータ41・45を駆動制御して樹脂成形品53を保持したチャック47を所定の高さ及び前進位置へ移動した後、該位置にてチャック47による樹脂成形品53の保持を解除して取出し動作を完了する。
【0049】
なお、樹脂成形品53を保持したチャック47を開放位置へ移動するタイミングとしては、上記の他に樹脂成形品53を保持したチャック47がタイバー13や安全扉の扉枠を乗り越え可能な位置へ上昇したタイミンクで第1電動モータ35を駆動制御してチャック47を開放位置へ移動開始してもよい。
【0050】
次に、チャック47の待機位置、下降位置、前進位置に関する移動位置データ設定方法を説明する。
先ず、樹脂成形システムのシステムシステムCADデータ生成に付いて説明すると、表示部材83に表示されたモード切換ボタン(図示せず)を押下(タッチ)操作して樹脂成形システムのシステムCADデータ生成モードに切換え、表示部材83に成形機CADデータ記憶領域63、金型CADデータ記憶領域65、架台CADデータ記憶領域67、取出し機CADデータ記憶領域69、チャックCADデータ記憶領域71にそれぞれ記憶された各CADデータ画像を分割表示する。(
図6参照)
【0051】
次に、
図7に示すように表示部材83に表示されたカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して分割表示されたCADデータ画像中から樹脂成形機3のCADデータ画像を選択すると、
図8に示すように該樹脂成形機3のCADデータ画像を表示部材83の中央部に大きく表示させる。
この状態にて表示された樹脂成形機3のCADデータ画像に対してカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して固定プラテン5の固定側取付け盤17及び可動盤15の可動側取付け盤20における各金型19・21の組み合わせ位置を指定する。
【0052】
この状態で組み合わせキー(図示せず)を操作して組み合わせモードに切換えた後、カーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して分割表示された各金型19・21のCADデータ画像を選択した後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して該CADデータ画像中における固定側取付け盤17及び可動側取付け盤20に対する各金型19・21の組み合わせ位置を指定すると、上記固定側取付け盤17及び可動側取付け盤20に対して各金型19・21を指定された個所相互が一致するように組み合わされたCADデータを作成して表示部材83の中央部に大きく表示させる。
【0053】
次に、
図9に示すように表示された各金型19・21が組み合わされた樹脂成形機3のCADデータ画像に対してカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して固定プラテン5の上面に対する架台7の組み合わせ位置を指定する。
【0054】
この状態で組み合わせキー(図示せず)を操作して組み合わせモードに切換えた後、カーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して分割表示された架台7のCADデータ画像を選択した後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して該CADデータ画像中における固定プラテン5の上面に対する架台7の組み合わせ位置を指定すると、上記固定プラテン5の上面に対して架台7を指定された個所相互が一致するように組み合わされたCADデータを作成して表示部材83の中央部に大きく表示させる。(
図10参照)
【0055】
次に、
図11に示すように架台7が組み合わされた樹脂成形機3のCADデータ画像に対してカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して架台7に対する樹脂成形品取出し機1の組み合わせ位置を指定する。
【0056】
この状態で組み合わせキー(図示せず)を操作して組み合わせモードに切換えた後、カーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して分割表示された樹脂成形品取出し機1のCADデータ画像を選択した後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して該CADデータ画像中における架台7に対する樹脂成形品取出し機1の組み合わせ位置を指定すると、上記架台7に対して樹脂成形品取出し機1を指定された個所相互が一致するように組み合わされたCADデータを作成して表示部材83の中央部に大きく表示させる(
図12参照)。
【0057】
次に、
図13に示すように樹脂成形品取出し機1が組み合わされた樹脂成形機3のCADデータ画像に対してカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して樹脂成形品取出し機1の姿勢制御部材49に対するチャック47の組み合わせ位置を指定する。
【0058】
この状態で組み合わせキー(図示せず)を操作して組み合わせモードに切換えた後、カーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して分割表示されたチャック47のCADデータ画像を選択した後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して該CADデータ画像中における姿勢制御部材49に対するチャック47の組み合わせ位置を指定すると、上記姿勢制御部材49に対してチャック47を指定された個所相互が一致するように組み合わされたCADデータを作成して表示部材83の中央部に大きく表示させる(
図14参照)。
【0059】
そして上記操作により作成された樹脂成形機3に架台7、各金型19・21、樹脂製池品取出し機1及びチャック47が組み合わされた樹脂成形システム全体のシステムCADデータが表示された状態で保存ボタン(図示せず)が操作されると、システムデータ記憶領域72にシステムCADデータを記憶させる。
【0060】
なお、分割表示された各金型19・21、架台7、樹脂成形品取出し機1及びチャック47のCADデータ画像中から対応する箇所への組み合わせ位置を指定する際には、拡大キー(図示せず)を操作してCADデータ画像を拡大表示するように制御してもよい。また、樹脂成形システム全体のシステムCADデータとしては、チャック47の各移動位置を指定することが可能な二次元データまたは三次元データとして生成される。
【0061】
次に、表示部材83に表示されたモード切換ボタン(図示せず)を押下操作(タッチ操作)してチャック47の移動位置設定モードに切換えられると、表示部材83に樹脂成形システム全体のシステムCADデータ画像が表示される。
【0062】
この状態にて待機位置設定モードが選択された後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して表示部材83に表示された樹脂成形システムのシステムCADデータ画像における待機位置を指定すると、待機位置の三次元位置データを読み取る。
【0063】
そして読み取った待機位置の三次元位置データと原点位置HPの三次元位置データとを比較して原点位置HPから待機位置に至る左右方向、前後歩行及び上下方向の距離を演算し、演算結果を待機位置に対するチャック47の移動位置データとして移動位置データ記憶領域73における待機位置に対応する記憶領域に記憶して設定する。
【0064】
なお、チャック47の待機位置としては、一般的には、
図15に示すようにチャック47における吸着面の中心が樹脂成形機1における中心軸線上の左右位置及び可動金型21の固定金型19寄りの前後位置で、かつタイバー13に対してチャック47の下端が干渉しない上方の高さ位置に設定される。
【0065】
次に、上記保存操作後に下降位置の移動位置データを設定するための下降位置設定モードが選択された後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して表示部材83に表示された樹脂成形システム全体のシステムCADデータ画像における下降位置が指定されると、下降位置の三次元位置データを読み取る。
【0066】
そして読み取った下降位置の三次元位置データと上記した待機位置又は原点位置HPの三次元位置データとを比較して待機位置又は原点位置HPから下降位置に至る左右方向、前後方向及び上下方向の距離を演算し、演算結果を下降位置に対するチャック47の移動位置データとして移動位置データ記憶領域73における下降位置に対応する記憶領域に記憶して設定する。
【0067】
チャック47の下降位置としては、一般的には、
図16に示すようにチャック47における吸着面の中心が樹脂成形機1における中心軸線上の左右位置で、かつ可動金型21のパーティング面に対して各保持部材47bが対応する各キャビィティに相対する高さ位置に設定される。
【0068】
次に、前進位置に関する移動位置データを設定するための前進位置設定モードが選択された後にカーソルキー等によりポインタ83aを移動操作して表示部材83に表示された樹脂成形システムのシステムCADデータ画像における前進位置が指定されると、前進位置の三次元位置データを読み取る。
【0069】
そして読み取った前進位置の三次元位置データと上記した下降位置又は原点位置HPの三次元位置データとを比較して下降位置又は原点位置HPから前進位置に至る左右方向、前後歩行及び上下方向の距離を演算し、演算結果を前進位置に対するチャック47の移動位置データとして移動位置データ記憶領域73における前進位置に対応する記憶領域に記憶して設定する。
【0070】
チャック47の前進位置としては、一般的には、
図17に示すようにチャック47における吸着面の中心が、各保持部材47bに対応するキャビィティが相対し、かつ可動金型21のパーティング面に対して突出しピンによる突出し幅分、離間した状態で近接する前後位置に設定される。
【0071】
なお、可動金型21の各キャビィティ内から樹脂成形品53を完全に抜き去るチャック47の後退位置に関しては上記した下降位置、またチャック47に保持された樹脂成形品53が上方に位置するタイバー13や安全扉に干渉しない上昇位置に付いては上記した待機位置にそれぞれ一致して設定される。
【0072】
また、樹脂成形機3における操作側又は反操作側の左右方向端部に設定される開放位置に付いての移動位置データは、走行フレーム31の左右方向端側に設定される開放位置に対応して数値入力または教示入力により設定される。
【0073】
本実施例は、樹脂成形機3、金型19・21、架台7、樹脂成形品取出し機1及びチャック47の各CADデータに基づいて作成された樹脂成形システムのシステムCADデータ画像に基づいてチャック47の各移動位置を指定して三次元の移動位置データを設定することができ、従来のように各移動位置データを直接数値入力する方法、チャック47をそれぞれの位置へ移動して教示入力する方法に比べてデータの設定作業を簡易化し、樹脂成形品取出し作業を効率化することができる。
【0074】
上記説明は、樹脂成形品53のみを取り出す樹脂成形品取出し機1に基づいて説明したが、前後フレーム37の固定プラテン5側に第3走行体(図示せず)を第2走行体39と独立して移動するように支持し、該第3走行体に、下部にスプル用チャック(図示せず)が設けられた上下フレームを昇降するように支持し、樹脂成形品53と共に固定金型19内のスプルを取り出す構成の樹脂成形品取出し機としても実施することができる。
【0075】
この場合においても、スプル用チャックを樹脂成形品用のチャック47と同様に、待機位置、下降位置、前進位置、開放位置へそれぞれ移動制御する必要があり、スプル用チャックの各移動位置に付いての移動位置データを設定する際に、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、架台7.金型19・21、チャック47を製作するCADデータから抽出されるそれぞれの寸法データに基づいて移動位置データを設定すればよい。
【0076】
上記説明において樹脂成形品取出し機1を、チャック47が左右方向、前後方向及び上下方向へ移動して樹脂成形品53を取り出す三次元直交型構造として説明したが、樹脂成形機3の操作側又は反操作側に取り付けられ、チャック47を樹脂成形機3の側方から進入させて樹脂成形品53を取り出す横走行型の樹脂成形品取出し機であっても本発明を実施することができる。
【0077】
上記説明において樹脂成形機3を、固定金型19に対して可動金型21を水平方向へ移動して樹脂成形する横型樹脂成形機により説明したが、固定金型に対して可動金型を上下方向へ移動して樹脂成形する縦型樹脂成形機としても実施することができる。