(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生産した成形品における、良品数をカウントする良品カウンタ機能及び/又は不良品数をカウントする不良品カウンタ機能を備えるとともに、前記良品カウンタ機能に基づく良品カウント値及び/又は前記不良品カウンタ機能に基づく不良品カウント値を、ディスプレイの生産管理画面に表示する生産データ表示機能を有する成形機コントローラを備える射出成形機の生産管理装置であって、前記生産管理画面に表示する修正選択キーにより前記良品カウント値及び/又は前記不良品カウント値の修正許可を選択可能な修正選択手段と、前記修正選択手段により修正許可が選択されたなら、前記ディスプレイに、前記生産管理画面に対して別画面となる修正入力画面をウィンドウ表示するとともに、この修正入力画面による入力を許可し、修正に用いる良品修正値及び/又は不良品修正値を入力可能にする修正入力手段と、前記修正入力画面に入力し、かつ確定させた良品修正値及び/又は不良品修正値を、少なくとも前記良品カウンタ機能及び/又は前記不良品カウンタ機能に反映し、前記良品修正値及び/又は前記不良品修正値の加算又は減算により前記良品カウント値及び/又は前記不良品カウント値を修正処理するデータ修正処理手段と、前記良品修正値及び/又は前記不良品修正値を、履歴データとして記憶するデータ記憶手段とを備えることを特徴とする射出成形機の生産管理装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、射出成形機によるプラスチック製品(成形品)の生産稼働では大量生産する場合が多いため、生産数量等を正確に把握する生産管理が重要になる。特に、成形品の場合、良品に加えて成形不良に基づく不良品が発生するとともに、良品と不良品の境界、即ち、成形品の良否判別が容易でなく、良品/不良品に対する生産管理が煩雑化しやすい。このため、射出成形機の分野では、生産管理の正確性或いは容易性等を高める観点から各種生産管理手法も提案されている。
【0003】
従来、このような生産管理手法としては、特許文献1で開示される生産管理システム,特許文献2で開示されるデータ処理方法及び特許文献3で開示される成形システムが知られている。
【0004】
特許文献1で開示される生産管理システムは、生産予定ショット数を入力する設定部と、生産予定ショット数から1ショット成形するごとに1を減算する減算カウンタと、生産終了の何ショット前で生産終了予告信号を出力するかを定める生産終了予告信号出力用ショット数設定部と、減算カウンタの値と生産終了予告信号出力用ショット数の値を比較する比較部と、を有し減算カウンタの値が生産終了予告信号出力用ショット数より等しいか小さくなったとき生産終了予告信号を出力するように構成したものである。
【0005】
また、特許文献2で開示される成形機のデータ処理方法は、無駄な生産を排し、生産性及び経済性の向上、更には資材節減及びエネルギ節減に貢献するとともに、データ管理を能率的に行うことにより的確な集計データ等を速やかに得るようにすることを目的とし、具体的には、成形機本体に備える成形機コントローラから得る成形に伴う成形データを処理するに際し、成形機本体に付設した成形品取出装置に備える取出装置コントローラから得る成形品の取出しに伴う取出データを、成形機コントローラに送信し、少なくとも取出データにより成形データを補正処理するようにしたものである。
【0006】
さらに、特許文献3で開示される成形システムは、成形品回収装置で回収した成形品の数に基づいて生産管理を行い、簡単で安価で、かつ操作性よく管理できる成形システムを得ることを目的としたものであり、具体的には、射出成形機の制御装置のPLC内に、生産管理機能を組み込み、成形品回収装置内のPLCに、成形品が正常に回収したことを確認し、成形品回収完了信号を射出成形機の制御装置に送信するとともに、射出成形機の制御装置のPLCがこの成形品回収完了信号をカウンタで計数し、設定コンテナ収容数に達する毎にコンベア送り信号を送出して、コンテナを新たなものに交換し、又計数値が設定総生産数に達すると成形を停止するようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した特許文献1〜3に開示される従来の生産管理手法は、次のような解決すべき課題も存在した。
【0009】
即ち、成形品の良品/不良品の判別は、通常、成形機側の良否判別処理により行い、この判別信号を周辺機器である成形品取出機に送信することにより、取出時における良品/不良品の振り分けを行なうとともに、最終的に、オペレータが成形品の外観等をチェックし、良品/不良品の確認を行っている。
【0010】
一方、生産管理に係わる初期設定項目としては、生産予定数の設定が必須となるが、生産途中で成形機側の良否判別処理とは異なる良品/不良品が発生した場合、最終的な生産予定数を不良品の数量に見合う数量だけ増加させる必要があり、通常、生産予定数の再設定を行っているが、不良品の数量には、上述したオペレータによるチェック結果も含まれるため、生産予定数の再設定を自動で行うことはできない。
【0011】
したがって、生産予定数の再設定はオペレータのマニュアル入力により行っているが、この際、オペレータによる入力ミスが生じた場合、成形機が運転を停止する問題を生じる。即ち、オペレータが誤って入力した数値に対して、成形機コントローラが生産予定数に達したものと判断した場合、その時点で成形機は運転を停止する事態を生じる。結局、このような事態が生じた場合、生産の無用な中断を余儀なくされることになり、中断による成形品への悪影響、更には生産効率の無視できない低下要因となる。
【0012】
しかも、成形機側の良否判別結果は、良品カウンタ及び不良品カウンタに反映させ、良品/不良品の数量表示等を行っているが、オペレータが最終確認した段階で良品と不良品の数量に変更が生じても、良品カウンタ及び不良品カウンタは、通常、セキュリティ等の観点から容易に変更できないのが実情である。
【0013】
このように、射出成形機における実際の生産管理では、カウントに変動を生じやすいとともに、ミスカウントや入力ミスも生じやすい。結局、生産管理が煩雑になりやすく、生産管理の正確性及び確実性、更には容易性を確保する観点からは更なる改善の余地があった。
【0014】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出成形機の生産管理装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述した課題を解決するため、生産した成形品における、良品数をカウントする良品カウンタ機能Fmp及び/又は不良品数をカウントする不良品カウンタ機能Fmnを備えるとともに、良品カウンタ機能Fmpに基づく良品カウント値Np及び/又は不良品カウンタ機能Fmnに基づく不良品カウント値Nnを、ディスプレイ2の生産管理画面Vcに表示する生産データ表示機能Fdを有する成形機コントローラ3を備える射出成形機Mの生産管理装置1を構成するに際して、生産管理画面Vcに表示する修正選択キーKmにより良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnに対する修正許可を選択可能な修正選択手段Rcと、修正選択手段Rcにより修正許可が選択されたなら、ディスプレイ2に、生産管理画面Vcに対して別画面となる修正入力画面Viをウィンドウ表示するとともに、この修正入力画面Viによる入力を許可し、修正に用いる良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを入力可能にする修正入力手段Riと、修正入力画面Viに入力し、かつ確定させた良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを、少なくとも良品カウンタ機能Fmp及び/又は不良品カウンタ機能Fmnに反映し、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmの加算又は減算により良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnを修正処理するデータ修正処理手段Rmと、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを、履歴データとして記憶するデータ記憶手段Rrとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような構成を有する本発明に係る射出成形機Mの生産管理装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0017】
(1) 良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnに対する修正許可の選択により生産管理画面Vcに対して別画面となる修正入力画面Viによる入力を許可し、この修正入力画面Viに入力し、かつ確定させた良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmの加算又は減算により良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnを修正するようにしたため、最終的に良品/不良品となる成形品の数量を正確に設定し、かつ管理できる。したがって、初期設定項目として設定した生産予定数の再設定は不要になるため、生産予定数を誤って再設定した際に生じる不具合、即ち、生産の無用な中断による成形品への悪影響や生産効率の無視できない低下要因を排除できる。
【0018】
(2) 良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnの修正許可を選択可能な修正選択手段Rcと、この修正選択手段Rcによる修正許可の選択により修正入力画面Viによる入力を許可し、修正に用いる良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを入力可能にする修正入力手段Riと、修正入力画面Viに入力し、かつ確定させた良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを、少なくとも良品カウンタ機能Fp及び/又は不良品カウンタ機能Fnに反映し、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmにより良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnを修正処理するデータ修正処理手段Rmを備えるため、最終的に、オペレータが成形品の外観等をチェックし、良品/不良品の確認を行うことにより、良品/不良品の数量変更が生じた場合であっても、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを入力する修正入力画面Viを用いて入力し、オペレータは、変更設定を行う前に、一旦、修正入力画面Viにより良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを確認できる。この結果、オペレータによる入力ミスを回避できるとともに、生産管理の正確性,確実性及び容易性の向上に寄与できる。
【0019】
(3) 修正選択手段Rcとして、生産管理画面Vcに表示する修正選択キーKmを用いるようにしたため、生産管理画面Vcに表示した状態において修正選択キーKmをONにでき、容易に修正許可を選択することができる。
【0020】
(4) 修正入力手段Riを構成するに際し、修正選択手段Rcにより修正許可が選択されたなら、ディスプレイ2に、生産管理画面Vcに対して別画面となる修正入力画面Viをウィンドウ表示するようにしたため、別画面として表示される修正入力画面Viを利用できる。したがって、生産管理画面Vc上で良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを誤って入力してしまうミスを回避し、確実かつ容易な入力を実現できるとともに、生産管理画面Vcの情報と併せて的確な修正(再設定)を行うことができる。
【0021】
(5) 生産管理装置1に、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを履歴データとして記憶するデータ記憶手段Rrを設けたため、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmの大きさや修正時期等の各種情報を履歴データとして残すことができ、特に不良品の発生状況等を解析する上での生産情報として有効に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係る生産管理装置1を適用できる射出成形機Mの概要について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0025】
図1中、仮想線で示すMは射出成形機であり、機台Mbと、この機台Mb上に設置された射出装置Mi及び型締装置Mcを備える。射出装置Miは、加熱筒11を備え、この加熱筒11の前端に図に現れない射出ノズルを有するとともに、加熱筒11の後部には材料を供給するホッパ12を備える。一方、型締装置Mcには可動型と固定型からなる金型13を備える。また、機台Mb上には、起設した側面パネル14を利用してディスプレイ2を配設する。さらに、射出成形機Mには、
図2に示す成形機コントローラ3を内蔵し、ディスプレイ2は成形機コントローラ3に接続する。このディスプレイ2及び成形機コントローラ3は、本実施形態に係る生産管理装置1の要部として機能する。
【0026】
次に、本実施形態に係る生産管理装置1として機能する成形機コントローラ3の構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0027】
図2は、成形機コントローラ3のブロック系統を示す。成形機コントローラ3は、基本的に、CPU等のハードウェアを内蔵するコントローラ本体21を備えるとともに、このコントローラ本体21に管理されるハードディスク等の内部メモリ22を備える。したがって、成形機コントローラ3は、コンピュータシステムとして構成し、射出成形機Mにおける全体の制御を司る機能を備える。
【0028】
この場合、内部メモリ22は、各種データを書込み可能なデータエリア22dを有するとともに、各種プログラムを格納可能なプログラムエリア22pを有する。このプログラムエリア22pには、PLCプログラムとHMIプログラムを格納するとともに、各種演算処理及び各種制御処理(シーケンス制御)を実行するための各種処理プログラムを格納する。したがって、格納する処理プログラムには、本実施形態に係る生産管理装置1を機能させるための生産管理に係わるプログラムが含まれる。なお、PLCプログラムは、射出成形機Mにおける各種工程のシーケンス動作や射出成形機Mの監視等を実現するためのソフトウェアであり、HMIプログラムは、射出成形機Mの動作パラメータの設定及び表示,射出成形機Mの動作監視データの表示等を実現するためのソフトウェアである。
【0029】
一方、成形機コントローラ3には、表示インタフェース23を介して前述したディスプレイ2を接続する。ディスプレイ2は、
図2に示すように、各種表示を行うディスプレイ本体部2dとこのディスプレイ本体部2dに付設して各種入力等を行うタッチパネル部2tにより構成する。さらに、25は成形機本体を示しており、コントローラ本体21から成形機本体25の駆動系に対して各種制御信号を付与するとともに、成形機本体25の動作状態を検出した各種検出信号はコントローラ本体21に付与される。
【0030】
他方、60は周辺機器である成形品取出機を示す。この成形品取出機60は、取出機本体62と取出機コントローラ61を備え、この取出機コントローラ61は射出成形機Mにおけるコントローラ本体21に接続する。これにより、コントローラ本体21から取出機コントローラ61に対して取出機本体62を制御するための制御信号、即ち、良否判定結果に基づく判別信号を送信するとともに、コントローラ本体21は取出機コントローラ61のデータを受信する。
【0031】
このような基本的な構成を備える成形機コントローラ3は、本実施形態に係る生産管理装置1として、次のような構成(手段,機能)を備えている。
【0032】
まず、ディスプレイ2に、
図2及び
図3に示す生産管理画面Vcを表示する機能を備える。なお、
図3に示す生産管理画面Vcは、主に本実施形態に係る生産管理装置1に関連する部分のみを示している。
【0033】
生産管理画面Vcの表示要素において、Kmは修正選択キーであり、修正選択手段Rcを構成する。修正選択キーKmは、通常、OFFポジションにあるが、タッチによりONポジションに切換えることができる。ONポジションでは、後述する良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnの修正を許可する。即ち、この修正選択キーKmにより修正許可を選択できる。修正選択手段Rcとして、このような生産管理画面Vcに表示する修正選択キーKmを用いれば、生産管理画面Vcに表示した状態において修正選択キーKmをONにできるため、修正許可を容易に選択できる利点がある。
【0034】
修正選択キーKmをONにした場合、
図1に示す修正入力画面Viを生産管理画面Vc(ディスプレイ2)上にウィンドウ表示できる。即ち、修正入力画面Viによる入力が許可され、修正に用いる良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを入力可能になる。この修正入力画面Viは修正入力手段Riを構成する。このような修正入力手段Riを設ければ、別画面として表示される修正入力画面Viを利用できるため、生産管理画面Vc上で良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを誤って入力してしまうミスを回避し、確実かつ容易な入力を実現できるとともに、生産管理画面Vcの情報と併せて的確な修正(再設定)を行える利点がある。
【0035】
この修正入力画面Viには、後述する、良品数をカウントする良品カウンタ機能Fmpに基づく良品カウント値Npを修正する良品修正値Npmを表示する良品修正値表示部31と、不良品数をカウントする不良品カウンタ機能Fmnに基づく不良品カウント値Nnを修正する不良品修正値Nnmを表示する不良品修正値表示部32とを備えるとともに、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを設定するための増減キー部Kiを備えている。この増減キー部Kiは、四つのキーKpu…、即ち、良品修正値Npmを増加させる「+」キーKpu,良品修正値Npmを低減させる「−」キーKpd,不良品修正値Nnmを増加させる「+」キーKnu,及び不良品修正値Nnmを低減させる「−」キーKndを備える。
【0036】
良品修正値表示部31及び不良品修正値表示部32の初期画面は、リセットされた状態にあり、「0」が表示されているが、良品修正値表示部31のタッチにより、テンキー入力画面を表示できる。これにより、このテンキー入力画面を用いて良品修正値Npmを入力できる。また、入力した良品修正値Npmを増加させる方向に用いる場合には、「+」キーKpuをタッチする、これにより、エンタキーが表示されるため、このエンタキーをタッチすることにより、加算する良品修正値Npmとして入力を確定できる。他方、入力した良品修正値Npmを低減させる方向に用いる場合には、「−」キーKpdをタッチする。これにより、エンタキーが表示されるため、このエンタキーをタッチすることにより、減算する良品修正値Npmとして入力を確定できる。以上は、良品修正値表示部31について説明したが、不良品修正値表示部32についても、同様に不良品修正値Nnmの入力を行うことができる。
【0037】
一方、エンタキーのタッチにより、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmの入力を確定すれば、データ修正処理手段Rmにより、良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnの修正処理が行われる。具体的には、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmが、それぞれ良品カウンタ機能Fmp及び不良品カウンタ機能Fmnに反映され、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmにより、良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnが修正される。即ち、良品カウント値Npに対して良品修正値Npmが加算又は減算されるとともに、不良品カウント値Nnに対して不良品修正値Nnmが加算又は減算される。
【0038】
この結果、後述する良品数表示部47に表示されている良品カウント値Npの表示が良品修正値Npmにより修正された新しい良品カウント値Npに変更されるとともに、不良品数表示部48に表示されている不良品カウント値Nnの表示が不良品修正値Nnmにより修正された新しい不良品カウント値Npに変更される。
【0039】
なお、増減キー部Kiは、その他の使用方法も可能であり、通常のアップダウンキーとして用いることができる。即ち、「+」キーKpu…を一回タッチすることにより「1」を加算した数値表示を行うことができるとともに、「−」キーKpd…を一回タッチすることにより「1」を減算した数値表示を行うことができる。そして、閉ボタン33(又は終了キー)のタッチにより、修正入力画面Viを閉じるとともに、入力を確定させることができる。
【0040】
また、生産管理画面Vcには、カウンタ機能のON/OFFを切換える切換キー42、生産予定数を設定する生産予定数設定部43、入数予定数を設定する入数予定数設定部44、入数完了警報のON/OFFを切換える切換キー45を備えるとともに、カウント値を表示するカウント値表示部46を備える。そして、このカウント値表示部46には、生産した成形品における良品数をカウントする良品カウンタ機能Fmpに基づく良品カウント値Npを表示する良品数表示部47、生産した成形品における不良品数をカウントする不良品カウンタ機能Fmnに基づく不良品カウント値Nnを表示する不良品数表示部48、製品の入数を表示する製品入数表示部49、良品を得たショット数のカウント値を表示する良品ショット数表示部50、不良品となったショット数のカウント値を表示する不良品ショット数表示部51、ショットの入数を表示するショット入数表示部52を備える。その他、良品と不良品を合わせたショット数を表示する良否ショット数表示部53、生産進捗度をパーセンテージで示すイメージ表示部41、良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnをクリア(リセット)するクリアキー54、入数の表示をクリア(リセット)する入数クリアキー55を備える。
【0041】
さらに、成形機コントローラ3は、本実施形態に係る生産管理装置1を実現するため、
図2に示すように、少なくとも、良否判別機能Fc,生産管理機能Fm,生産データ表示機能Fdを備えている。例示の良否判別機能Fcは、成形工程の動作状態に係わる物理量の大きさや変化状態に基づいて判別する。即ち、通常、成形工程の動作状態に係わる物理量の大きさや変化状態はトレンドデータとしてモニタリングするため、各トレンドデータが予め設定した判別用閾値に入っている場合には良品と判断し、判別用閾値を外れた場合には不良品として判断する。そして、この判別結果に基づく制御信号(判別信号)は取出機コントローラ61に送信されるため、成形品取出機60では、この判別信号に従って、成形品を良品シュータ又は不良品シュータに振り分けて取出すことができる。
【0042】
生産管理機能Fmには、少なくとも、生産した成形品における、良品数をカウントする良品カウンタ機能Fmpと不良品数をカウントする不良品カウンタ機能Fmnを備える。この良品カウンタ機能Fmpと不良品カウンタ機能Fmnには、上述した良否判別機能Fcの判別結果を利用できる。即ち、良否判別機能Fcにより得られる判別信号を直接利用し、良品の場合には良品カウンタ機能Fmpによりカウントを行い、不良品の場合には不良品カウンタ機能Fmnによりカウントを行う。なお、良否判別機能Fcの判別信号を利用した例を挙げたが、他の各種判別機能を利用可能である。通常、成形工程の各工程では正常又は異常(非正常)の監視が行われ、これらの監視結果に基づいて判定が行われるとともに、これらの判定結果を含めた最終的な判定信号が取出機コントローラ61に送られる場合もある。したがって、良品/不良品のカウントには、取出機コントローラ61から受信する最終的な判別信号を利用してもよい。
【0043】
生産データ表示機能Fdは、良品カウンタ機能Fmpに基づく良品カウント値Npと不良品カウンタ機能Fmnに基づく不良品カウント値Nnを、ディスプレイ2の生産管理画面Vcに表示する機能である。例示の場合、上述したカウント値表示部46に表示される。即ち、良品カウンタ機能Fmpに基づく良品カウント値Npは良品数表示部47により表示されるとともに、不良品カウンタ機能Fmnに基づく不良品カウント値Nnは、不良品数表示部48により表示される。
【0044】
その他、成形機コントローラ3には、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを履歴データとして記憶するデータ記憶手段Rrを設けており、このデータ記憶手段Rrには、コントローラ本体21と内部メモリ22を用いることができる。このように、生産管理装置1に、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを履歴データとして記憶するデータ記憶手段Rrを設ければ、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmの大きさや修正時期等の各種情報を履歴データとして残すことができるため、特に不良品の発生状況等を解析する上での生産情報として有効に利用できる利点がある。
【0045】
次に、本実施形態に係る生産管理装置1の使用方法及び機能について、
図1〜
図5を参照して説明する。
【0046】
図4は、生産管理装置1を用いたカウント値の修正方法を説明するためのフローチャートを示すとともに、
図5は、
図4に示したフローチャートにおける修正処理ステップの処理手順をより具体化したフローチャートを示す。以下、各フローチャートに従って、カウント値の修正方法を含む生産管理装置1の使用方法について説明する。
【0047】
最初に、生産に際しての生産計画の設定を行う(ステップS1)。この場合、ディスプレイ2には、
図3に示す生産管理画面Vcを表示させる。まず、生産予定数設定部43に生産予定数を設定する。この場合、生産予定数設定部43をタッチすれば、テンキー入力画面が表示されるため、このテンキー入力画面を用いて、目標とする生産予定数(例示は「10000」)を入力することができる。その他、必要な設定、例えば、切換キー42によるカウンタ機能のON/OFF切換、入数予定数設定部44による入数予定数の設定、切換キー45による入数完了警報のON/OFF切換等の、必要な設定(選定)を行う。なお、良品数表示部47及び不良品数表示部48は、共にリセットされた「0」が表示されている。
【0048】
生産計画の設定が終了したなら、所定のスタートボタンをONすることにより生産を開始する(ステップS2)。これにより、例えば、自動モードによる生産稼働が行われる(ステップS3)。生産稼働では、成形機コントローラ3のシーケンス制御に基づく成形サイクル(成形工程)が実行され、成形品の生産が行われるとともに、成形された成形品は成形品取出機60により取出される。また、生産稼働中は、成形品に対して、良否判別機能Fcによる良否判別処理が行われる(ステップS4)。例示の場合、成形機コントローラ3の良否判別機能Fcを用いるため、この良否判別機能Fcに基づく判定信号(制御信号)が取出機コントローラ61に送信され、取出時における良品又は不良品の振り分けが行われるとともに、この判定信号が生産管理機能Fmにおける、特に、良品カウンタ機能Fmp及び不良品カウンタ機能Fmnに反映(供給)される。
【0049】
この場合、良品に係わる判別信号が供給されれば、良品カウンタ機能Fmpにより良品カウント値Npに「1」が加算される(ステップS5,S6)。そして、この良品カウント値Npはリアルタイムで良品数表示部47に表示される(ステップS7)。一方、不良品に係わる判別信号が供給されれば、不良品カウンタ機能Fmnにより不良品カウント値Nnに「1」が加算される(ステップS5,S8)。そして、この不良品カウント値Nnはリアルタイムで不良品数表示部48に表示される(ステップS9)。
【0050】
他方、所定数量の生産が行われた際には、オペレータにより成形品に対する外観チェック等の最終的な良否確認が行われる。この際、不良品であっても良品に変更されたり、良品であっても不良品に変更される場合が発生するため、オペレータは本実施形態に係る生産管理装置1の機能を利用し、良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnを修正することができる(ステップS10,S11)。
【0051】
以下、この修正方法について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。修正する際には、まず、
図3に示す修正選択キーKmをタッチし、ONに切換える(ステップS111)。これにより、
図1に示す修正入力画面Viが生産管理画面Vc上にウィンドウ表示される(ステップS112)。即ち、修正入力画面Viによる入力が許可されるため、修正に用いる良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを入力可能となる。なお、修正入力画面Viの初期画面は、良品修正値表示部31及び不良品修正値表示部32が共に「0」にリセットされている。
【0052】
そして、良品カウント値Npの修正を行う場合には、良品修正値表示部31をタッチする。これにより、テンキー入力画面を表示されるため、このテンキー入力画面を用いて良品修正値Npmを入力する。
図1は、「18」を入力した場合を示している。オペレータは良品修正値Npmが正しいか否かを確認し、良品カウント値Npを増加させる場合には、「+」キーKpuをタッチする。これにより、エンタキーが表示されるため、表示されたエンタキーをタッチして入力を確定させる。他方、良品カウント値Npを低減させる場合には、「−」キーKpdをタッチする。これにより、エンタキーが表示されるため、表示されたエンタキーをタッチして入力を確定させる(ステップS113,S114,S115)。この結果、良品修正値Npmは、良品カウンタ機能Fmpに反映される。即ち、データ修正処理手段Rmにより、良品カウント値Npに対して良品修正値Npmが加算又は減算されることにより、新しい良品カウント値Npに修正される。そして、良品数表示部47には修正された新しい良品カウント値Npが表示される。
【0053】
また、不良品カウント値Nnの修正を行う場合には、不良品修正値表示部32をタッチする。これにより、テンキー入力画面が表示されるため、このテンキー入力画面を用いて不良品修正値Nnmを入力する。
図1は、「7」を入力した場合を示している。オペレータは不良品修正値Nnmが正しいか否かを確認し、不良品カウント値Nnを増加させる場合には、「+」キーKnuをタッチする。これにより、エンタキーが表示されるため、表示されたエンタキーをタッチして入力を確定させる。他方、不良品カウント値Nnを低減させる場合には、「−」キーKndをタッチする。これにより、エンタキーが表示されるため、表示されたエンタキーをタッチして入力を確定させる(ステップS116,S117,S118)。この結果、不良品修正値Nnmは、不良品カウンタ機能Fmnに反映される。即ち、データ修正処理手段Rmにより、不良品カウント値Nnに対して不良品修正値Nnmが加算又は減算されることにより、新しい不良品カウント値Nnに修正される。そして、不良品数表示部47には修正された新しい不良品カウント値Nnが表示される。なお、良品カウント値Npと不良品修正値Nnmの双方を修正する場合を示したが、修正はいずれか一方のみでも可能である。
【0054】
以上により、良品修正値Npmと不良品修正値Nnmによる修正が終了するため、オペレータは、閉ボタン33をタッチし、修正入力画面Viを閉じる。これにより、修正処理が終了する(ステップS119)。修正入力画面Viが閉じられることにより、修正入力画面Vi上の良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmはリセットされる。この際、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmによる良品カウント値Np及び不良品カウント値Nnの修正処理に伴い、他の関連する修正個所がある場合には同時に修正が行われる。ただし、生産予定数設定部43に表示される生産予定数の変更は行われない。さらに、データ記憶手段Rrにより、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmに係わるデータが履歴データとして記憶される。一方、生産稼働が進行し、目標の生産予定数に達したなら、生産終了処理を行い、生産を終了させる(ステップS12,S13)。なお、生産終了処理には、パージ処理等が含まれる。
【0055】
よって、このような本実施形態に係る生産管理装置1によれば、良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnに対する修正許可の選択により生産管理画面Vcに対して別画面となる修正入力画面Viによる入力を許可し、この修正入力画面Viに入力し、かつ確定させた良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmの加算又は減算により良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnを修正するようにしたため、最終的に良品/不良品となる成形品の数量を正確に設定し、かつ管理できる。したがって、初期設定項目として設定した生産予定数の再設定は不要になるため、生産予定数を誤って再設定した際に生じる不具合、即ち、生産の無用な中断による成形品への悪影響や生産効率の無視できない低下要因を排除できる。
【0056】
しかも、良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnの修正許可を選択可能な修正選択手段Rcと、この修正選択手段Rcによる修正許可の選択により生産管理画面Vcに対して別画面となる修正入力画面Viによる入力を許可し、修正に用いる良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを入力可能にする修正入力手段Riと、修正入力画面Viに入力し、かつ確定させた良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmを、少なくとも良品カウンタ機能Fp及び/又は不良品カウンタ機能Fnに反映し、良品修正値Npm及び/又は不良品修正値Nnmにより良品カウント値Np及び/又は不良品カウント値Nnを修正処理するデータ修正処理手段Rmを備えるため、最終的に、オペレータが成形品の外観等をチェックし、良品/不良品の確認を行うことにより、良品/不良品の数量変更が生じた場合であっても、良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを入力する修正入力画面Viを用いて入力し、オペレータは、変更設定を行う前に、一旦、修正入力画面Viにより良品修正値Npm及び不良品修正値Nnmを確認できる。この結果、オペレータによる入力ミスを回避できるとともに、生産管理の正確性,確実性及び容易性の向上に寄与できる。
【0057】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0058】
例えば、例示の実施形態では、良品カウンタ機能Fmpと不良品カウンタ機能Fmnの双方を備える場合について説明したが、いずれか一方の機能のみに適用する場合を排除するものではない。また、本発明における生産管理画面Vcは、例示のような統括的に生産管理を行う画面のみならず、良品数表示部47及び/又は不良品数表示部48のみを表示する画面又は他の表示画面の一部に表示される場合も含む概念である。