特許第6230805号(P6230805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6230805
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20171106BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20171106BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   A61K8/39
   A61K8/92
   A61Q5/06
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-81994(P2013-81994)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-201584(P2014-201584A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】今藤 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】倉島 巧
(72)【発明者】
【氏名】豊田 智規
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−151509(JP,A)
【文献】 特開2006−096670(JP,A)
【文献】 特開2010−254677(JP,A)
【文献】 特開2014−185142(JP,A)
【文献】 特開2001−072551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水系分散媒、
(b)ワックス、及び
(c)HLBが10より高く15未満である非イオン性界面活性剤(但し、分岐非イオン活性剤及びセチルエーテル系ノニオン界面活性剤を除く)
を含み、(c)非イオン性界面活性剤/(b)ワックスの配合比率(質量比)が1.0以上であり、かつ、イオン性界面活性剤を実質的に含有しない、透明(L値70以上)な毛髪化粧料。
【請求項2】
(d)保湿剤、(e)セット剤、(f)糖アルコールからなる群から選択される一種以上をさらに含む請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(c)非イオン性界面活性剤が、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油またはPOE硬化ヒマシ油およびその誘導体からなる群から選択される一種又は二種以上である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
(b)ワックスがキャンデリラロウ及びカルナバロウから選択される一種又は二種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セット力やアレンジ力に優れるとともに、高い透明性を有し、なおかつ頭皮への刺激性が低い毛髪化粧料に関する。より詳しくは、特定の非イオン性界面活性剤を特定の比率で用いてワックスを安定かつ透明に可溶化することにより、イオン性界面活性剤の配合を実質的に不要とすることができる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、毛髪化粧料に整髪力を付与する目的で、ワックスが配合されることがある。ワックスはワックス被膜の粘性で整髪させているため、毛髪を固めるタイプの整髪料と異なり、バリバリした感触を与えることなく、ナチュラルな質感を得ることができる。
【0003】
ワックスを化粧品に用いる場合、ワックス自体をベースとして用いることもあるが、ワックスが固形あるいは半固形であるため毛髪への均一な塗布が極めて困難であり、ムラ付き、厚付きとなりやすい。このため、ワックスをエマルジョン形態で用いることが一般的である。
【0004】
例えば、特許文献1には、両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、非イオン界面活性剤とを用いてワックスの微細分散組成物を得ることが提案されている。当該文献1には、非イオン界面活性剤単独では皮膚刺激等安全性は良好なものの、温度により系のHLBが変化し経時安定性が損なわれる欠点があることから、HLBが6〜12の非イオン界面活性剤のほか、両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤を用いることにより、安定かつ安全な毛髪化粧料が得られるとされている。
【0005】
また、特許文献2には、特定のアミドアミン化合物又は特定の塩基性アミノ酸誘導体から選択される擬カチオン性化合物を用いてワックスの微細分散組成物を得ることが提案されている。当該文献2には、擬カチオン性化合物でワックスを可溶化することにより、リンス剤とした場合に、すすぎ時や乾燥時における手触り感が優れるとされている。
【0006】
しかしながら、界面活性剤は少なからずタンパク質変性作用と皮膚からの浸透力とを有するため、頭皮細胞や頭髪を傷つけたり、炎症、湿疹、かぶれ等を引き起こすことがある。この刺激性は、一般に、イオン性界面活性剤で高く、非イオン性界面活性剤で低い傾向がある。毛髪化粧料の中でも、シャンプー、リンス、トリートメント等であればすぐに洗い流すことができるが、スタイリング剤では塗布時間が長いため、皮膚への影響は特に重視すべきである。このため、スタイリングを目的とした毛髪化粧料において両性界面活性剤や半極性界面活性剤、あるいは擬カチオン性化合物を用いることには、依然として安全性の点で問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−324617号公報
【特許文献2】特開2002−179536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、皮膚刺激性のあるイオン性界面活性剤を用いることなく、常温で固体〜半固体のワックス(特に、カルナバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックス)を水系分散媒中に微細分散させることにより、ワックスによるセット力やアレンジ力に優れるとともに、安定で透明性が高く、頭皮への刺激性も低い毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲のHLBを有する非イオン性界面活性剤を用い、ワックスと非イオン性界面活性剤との配合比を特定範囲のものとすることにより、セット力やアレンジ力に優れるとともに、ワックスを安定かつ透明に溶解することができ、頭皮への刺激性も低い毛髪化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(a)水系分散媒、
(b)ワックス、及び
(c)HLBが10より高く15未満である非イオン性界面活性剤
を含み、(c)非イオン性界面活性剤/(b)ワックスの配合比率(質量比)が1.0以上であり、かつ、イオン性界面活性剤を実質的に含有しない、透明(L値70以上)な毛髪化粧料を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る毛髪化粧料は、皮膚刺激性のあるイオン性界面活性剤に依らずにワックスを水系分散媒中に安定かつ透明に微細分散させることができるため、ワックスによるセット力やアレンジ力に優れる一方で、皮膚刺激性の低い、安全性の良好な毛髪化粧料を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の毛髪化粧料は、(a)水系分散媒と、(b)ワックスと、(c)非イオン性界面活性剤とを必須に含むことを特徴とする。以下、本発明について詳述する。なお以下の記載において、POEはポリオキシエチレンを、POPはポリオキシプロピレンを、それぞれ意味する。
【0013】
<(a)水系分散媒>
本発明で用いられる(a)水系分散媒としては、水を単独で用いてもよく、あるいは、水とエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出液、セイヨウノコギリソウ抽出液、メリロート抽出液等の水性成分との混合液として用いてもよい。
【0014】
(a)水系分散媒の配合量は、製品形態に応じて変化しうるが、一般的には毛髪化粧料全量に対して、5〜95質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80質量%である。水系分散媒の配合量が上記範囲外であると、使用性等が低下する場合がある。
【0015】
<(b)ワックス>
本発明で用いられる(b)ワックスは、一般に化粧料に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、通常は常温で固体〜半固体の性状をなす。具体例としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ(=ライスロウ)、カポックロウ、モウロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョショバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸グリセリド、硬化ヒマシ油、ワセリン、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。中でもカルナバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックスや、比較的高融点(80℃程度以上)のワックス等が、長期間の保存安定性の点から好ましく用いられる。
【0016】
なお、これらの(b)ワックスは混合して用いることが可能であり、他の固形状あるいは液状油分などを混合しても、常温において固体〜半固体状である範囲で使用可能である。
【0017】
このような他の油分としては、次のようなものが挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。液体油脂としては、アボガド油、椿油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、トリイソパルミチン酸グリセリン等がある。固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油等がある。炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、スクワラン等がある。
【0018】
本発明における(b)ワックスの配合量は、毛髪化粧料全量に対して、0.01〜25質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜15質量%である。0.01質量%未満では、十分な固定力、粘着力、耐湿性(べたつきのなさ)を得ることが難しく、一方、25質量%を超えて配合した場合、製剤の調製が困難となる。
【0019】
<(c)非イオン性界面活性剤>
本発明で用いられる(c)非イオン性界面活性剤としては、毛髪化粧料に配合される全非イオン性界面活性剤の加重平均したHLBが10より高く15未満、より好ましくは11〜14、特に好ましくは12〜13となるものであれば、一般に化粧料に用いられ得るものを一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。HLBが上記範囲の非イオン性界面活性剤を用いることで、ワックスを安定かつ透明に可溶化することができる。各非イオン性界面活性剤のHLBは、式:
HLB=7+11.7・log(MW/MO)
[式中、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す]
で表される川上式により算出される。
【0020】
本発明では非イオン性界面活性剤として特に、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類、並びにPOEヒマシ油またはPOE硬化ヒマシ油およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。中でもPOEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類を用いると、調製された毛髪化粧料の経時安定性がよく、経時で微細粒子の凝集などによる外観の変化(透明性の低下)や分散粒子のクリーミングが改善されるのでより好適である。
【0021】
上記POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類として、下記式(I)および/または下記式(II)で表される化合物の中から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
[式(I)、(II)中、Rは炭素原子数12〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、mは5〜30の数を表し、nは0〜5の数を表す。]
このようなPOEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類としては、例えばPOEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEデシルテトラデシルエーテル、POEモノブチルエーテル、POE2−デシルテトラデシルエーテル、POE水添ラノリン、POEグリセリンエーテル、POE・POPラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPステアリルエーテル、POE・POPオレイルエーテル、POE・POPベヘニルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等が挙げられる。
【0025】
上記POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類としては、例えばPOEグリセリルエーテルモノステアリン酸エステル、POEグリセリルエーテルモノイソステアリン酸エステル、POEグリセリルエーテルトリイソステリン酸エステル等が挙げられる。
【0026】
上記POEヒマシ油またはPOE硬化ヒマシ油およびその誘導体としては、例えばPOEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等が挙げられる。
【0027】
本発明では上記以外の非イオン性界面活性剤も任意に用いることができ、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットPOEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;プルロニック等のプルロニック類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸などが挙げられる。
【0028】
本発明における(c)非イオン性界面活性剤/(b)ワックスの配合比率(質量比)は、1.0以上であり、より好ましくは1.1以上である。この質量比が1.0未満では(b)ワックスを十分に可溶化できず、透明かつ安定性のよい組成物を得ることが難しい。なお、上記質量比の上限は特に限定されるものでないが、5.0程度以下とするのが好ましく、より好ましくは3.0程度以下である。この質量比の値が大き過ぎると使用感触が悪くなる傾向がある。
【0029】
本発明において「透明」とは、透明性の指標であるL値が70以上であるものをいう。L値は、一般的な方法で測定することができ、色差計[例えば、COLOR-EYE 7000A(Gretag Macbeth社製)]等で測定することができる。
【0030】
なお本発明ではイオン性界面活性剤、すなわちアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を実質的に含有しない。ここで「実質的に含有しない」とは、これらイオン性界面活性剤が、その活性剤としての効力を発揮し得る程度の配合量で含まれることを排除することを意味する。これらイオン性界面活性剤を配合しないことにより、頭皮刺激性等の安全性の問題を回避することができる。
【0031】
<(d)保湿剤>
本発明の毛髪化粧料は、さらに保湿剤を含有することが好ましい。保湿剤を配合することにより、(b)ワックスの可溶化を更に向上させることができる。
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0032】
<(e)セット樹脂>
本発明の毛髪化粧料は、毛髪を固定するためのセット樹脂をさらに含有することが好ましい。セット樹脂を配合することにより、毛髪のセット力をさらに向上させることができる。
本発明の毛髪化粧料に配合することができるセット樹脂は、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性の皮膜形成高分子であり、従来からヘアスタイリング剤に配合されているものでよい。具体例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0033】
アクリル系及びビニル系毛髪セット樹脂:
アニオン性のものとして、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL−53P、プラスサイズL−9909B、プラスサイズL−9948B等(いずれも互応化学工業株式会社製))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl 79(日本エヌエスシー株式会社製))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社製))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社製))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF−1000,アニセットHS−3000など(大阪有機化学工業株式会社製))等。
【0034】
両性毛髪セット樹脂:
アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV−71(日本エヌエスシー株式会社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(三菱化学株式会社製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(ナルコ社製))等。
【0035】
カチオン性毛髪セット樹脂:
ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(大阪有機化学工業株式会社製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW−20(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467,コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ナルコ社製))、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体等。
【0036】
ノニオン性毛髪セット樹脂:
ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業株式会社製))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA−425、ガントレッツES−225、ガントレッツES−335など(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))等。
【0037】
ウレタン系毛髪セット樹脂:
ヨドゾールPUD(日本エヌエスシー株式会社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006−213706号公報に記載されたポリマー等、アクリル−ウレタン系として、DynamX(日本エヌエスシー株式会社製)、特願2006−183144号公報に記載されたポリマー等。
【0038】
多糖類系毛髪セット樹脂:
アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等。
【0039】
本発明の整髪用化粧料に配合される毛髪セット樹脂は特に限定されず、上記に列挙したような毛髪セット樹脂の1種又は2種以上を適宜選択して用いることができるが、アクリル系、ビニル系、又はウレタン系の毛髪セット樹脂が特に好ましい。
【0040】
<(f)糖アルコール>
本発明の毛髪化粧料は、さらに糖アルコールを含有することが好ましい。糖アルコールを配合することにより、アレンジ力を更に向上させることができる。
本発明の毛髪化粧料に配合することができる糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、ソルビトール、マルチトール、イノシトール等が挙げられる。また、これらの誘導体(POE及び又はPOP付加物、アルキル基付加物、カチオン化物、アニオン化物、シリル化物)なども用いることができる。中でも、特にマルチトール、ソルビトールが最適である。
【0041】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアワックス等の様々な態様で提供することができる。
【0042】
本発明の毛髪化粧料は、例えば、その形態に応じて、従来から毛髪化粧料に使用されている他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。例えば、コンディショニング剤、増粘剤、粘度調整剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、粉末成分、抗フケ用薬剤、育毛薬剤、pH調整剤、色素、香料等の1種または2種以上を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【実施例】
【0043】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0044】
<非イオン性界面活性剤の至適HLB>
下記基本処方において、非イオン性界面活性剤のHLBを下記表1に示すように変化させてその分散状態(外観)を調べ、非イオン性界面活性剤の至適HLBについて検討した。
【0045】
(基本処方)
カルナバロウ 10質量%
非イオン性界面活性剤(表1に示す各非イオン性界面活性剤) 13.5質量%
イオン交換水 残部
ジプロピレングリコール 5質量%
合計 100質量%
(試験方法)
上記基本処方に示す試料組成物を調製した。具体的には、イオン交換水に非イオン性界面活性剤(表1)及びジプロピレングリコールを溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバロウを添加し、約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷し、試料組成物を得た。これら試料組成物を室温にて1時間静置した後に、目視で外観(分散状態)を観察した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から明らかなように、非イオン性界面活性剤のHLBが10〜15の範囲で均一な分散系の形成が可能であることがわかる。また非イオン性界面活性剤のHLBが11〜14の範囲で透明〜半透明な一液相の系が得られ、特に透明性に優れた系を得るためにはHLBが12〜13の範囲であることが確認された。
【0048】
<実施例及び比較例>
上記HLBの範囲を満たす非イオン性界面活性剤を用いて試料を調製し、当該試料の溶解性(透明性)、頭皮への刺激性、べたつきの無さ(耐湿性)、アレンジ力、セット力について評価した。各特性の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
【0049】
1.溶解性(透明性)
試料のL値を色差計COLOR-EYE 7000A(Gretag Macbeth社製)で測定し、L値をもとに以下の基準により溶解性を評価した。
【0050】
<評価基準>
◎:L値が90以上
○:L値が70以上90未満
△:L値が50以上70未満
×:L値が50未満
【0051】
2.刺激性
試料を塗布した際に頭皮に感じる刺激の有無を、10名の女性専門パネラーによる官能試験にて評価した。
【0052】
<評価点基準>
5点:全く刺激を感じない
4点:殆ど刺激を感じない
3点:普通
2点:やや刺激を感じる
1点:刺激を感じる
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30点以上40点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
【0053】
3.べたつきのなさ(耐湿性)
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、べたつきの有無を10名の女性専門パネラーによる官能試験にて評価した。
【0054】
<評価点基準>
5点:全くべたつきを感じない
4点:殆どべたつきを感じない
3点:普通
2点:ややべたつきを感じる
1点:べたつきを感じる
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30点以上40点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
【0055】
4.アレンジ力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、アレンジのしやすさを10名の女性専門パネラーによる官能試験にて評価した。
【0056】
<評価点基準>
5点:かなりアレンジしやすい
4点:ややアレンジしやすい
3点:普通
2点:ややアレンジしにくい
1点:アレンジしにくい
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が25点以上40点未満
△:合計点が20点以上25点未満
×:合計点が20点未満
【0057】
5.セット力
黒色バージンヘア(長さ15cm、重さ1g)に、試料を0.4g塗布し、くしを使いなじませ、まっすぐになるよう形を整え、1試料あたり5本のストランドを作製した。これを50℃で1時間乾燥させた後目盛りの付いたボードに吊り下げ、温度30℃、湿度90%RHの恒温恒湿器にてストランドの撓んだ長さ(a)を測定した。試料未塗布時にあらかじめ測定しておいた、撓んだストランドの長さ(b)を用い、次式に従い固定力(キープ力)を求めた。数値が100%に近いほど固定力が高く、耐湿性に優れることを示している。
ヘアスタイルキープ力(%)={(a−b)/a}×100
【0058】
<評価基準>
◎:値が90%以上
○:値が70〜90%未満
△:値が50〜70%未満
×:値が50%未満
【0059】
下記表2に掲げる組成にて、イオン交換水に非イオン性界面活性剤及びジプロピレングリコールを溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバロウを添加し、約2時間プロペラ撹拌し、その後氷冷して、試料組成物を調製した。次いで、前記の基準に従って各組成物の特性を評価した。それらの結果を表2に併せて示す。
【0060】
【表2】
【0061】
表2から明らかなように、HLBが10より高く15未満である非イオン性界面活性剤を、ワックスに対して配合比率(質量比)が1.0以上となるように配合することにより、全ての評価項目において優れた結果を示した(実施例1〜4)。一方、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤とを併用した場合には、頭皮への刺激が強くなり、セット力も劣る結果となった(比較例1)。
【0062】
上記実施例1と同じ製造方法で下記表3に掲げる組成物を調製した。各組成物の特性を上記評価基準に従って評価した。それらの結果を表3に併せて示す。
【0063】
【表3】
【0064】
表3から明らかなように、非イオン性界面活性剤/ワックスの配合比率(質量比)が1.0以上であれば、ワックスを透明かつ安定に可溶化することができた(実施例1及び5)。一方、当該配合比率が1.0未満の場合には透明性が劣る結果となった(比較例2、3)。
【0065】
上記実施例1と同じ製造方法で下記表4に掲げる組成物を調製した。各組成物の特性を上記評価基準に従って評価した。それらの結果を表4に併せて示す。
【0066】
【表4】
【0067】
表4から明らかなように、保湿剤を配合しなくても全ての評価項目で優れた結果が得られたが(実施例6)、保湿剤を配合することにより溶解性を一層向上させることができた(実施例1)。また、セット樹脂を配合することによりセット力をさらに向上させることができ(実施例7、8)、糖アルコールを配合することによりアレンジ力をさらに向上させることができ(実施例9、10)、そしてこれら両方を配合することによりセット力とアレンジ力の両方をさらに向上させることができた(実施例11)。