(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3−ヒドロキシアルク−4−エノエートが3−ヒドロキシペント−4−エノエートであり、そして産生される1,3−ジエン化合物が1,3−ブタジエンである、請求項1の方法。
3−ヒドロキシアルク−4−エノエートが3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエートであり、そして産生される1,3−ジエン化合物がイソプレンである、請求項1の方法。
ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有する酵素が、配列番号6、16、17、18または19のアミノ酸配列を含むか、あるいは配列番号6、16、17、18または19のアミノ酸配列に少なくとも90%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の酵素活性を示す、請求項1〜3のいずれか一項の方法。
前記テルペン・シンターゼが、イソプレン・シンターゼ(EC 4.2.3.27)、モノテルペン・シンターゼ、アルファ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.46)、ベータ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.47)、ミルセン/(E)−ベータ−オシメン・シンターゼ(EC 4.2.3.15)およびピネン・シンターゼ(EC 4.2.3.14)からなる群より選択される、請求項6の方法。
脱炭酸および脱リン酸化を通じた変換を触媒可能な酵素を使用することによって、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを、対応する1,3−ジエン化合物に酵素的に変換する工程を含む、1,3−ジエン化合物を産生するための方法であって、
前記酵素がテルペン・シンターゼまたは、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素(EC 4.1.1.33)の活性を有する酵素であって、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有する酵素が、配列番号4〜12、14〜19および22〜29に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号4〜12、14〜19および22〜29に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の酵素活性を示す酵素である、前記方法。
前記テルペン・シンターゼが、イソプレン・シンターゼ(EC 4.2.3.27)、モノテルペン・シンターゼ、アルファ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.46)、ベータ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.47)、ミルセン/(E)−ベータ−オシメン・シンターゼ(EC 4.2.3.15)およびピネン・シンターゼ(EC 4.2.3.14)からなる群より選択される、請求項8の方法。
3−ホスホノキシアルク−4−エノエートが3−ホスホノキシペント−4−エノエートであり、そして産生される1,3−ジエンが1,3−ブタジエンである、請求項8または9の方法。
3−ホスホノキシアルク−4−エノエートが3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエートであり、そして産生される1,3−ジエンがイソプレンである、請求項8または9の方法。
3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの脱リン酸化−脱炭酸によって3−ヒドロキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するための、脱炭酸酵素の活性を有する酵素の使用であって、前記酵素がジホスホメバロン酸脱炭酸酵素(EC 4.1.1.33)の活性を有する酵素であって、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有する酵素が、配列番号4〜12、14〜19および22〜29に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号4〜12、14〜19および22〜29に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の酵素活性を示す酵素である、前記使用。
3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの脱リン酸化−脱炭酸によって3−ヒドロキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するための、テルペン・シンターゼの使用。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「3−ヒドロキシアルク−4−エノエート」は、本明細書において、以下の一般式:
C
n+1H
2nO
3
式中、3<n<7
に対応する分子を意味し、そして共通のモチーフとして3−ヒドロキシペント−4−エノエートを含み(
図1B)、そして場合によって、炭素3および炭素4上にメチル置換を含む。
【0013】
好ましい態様において、「3−ヒドロキシアルク−4−エノエート」は、本明細書において、以下の構造式:
HO−CO−CH
2−C(R
1)(OH)−C(R
2)=CH
2またはO
−−CO−CH
2−C(R
1)(OH)−C(R
2)=CH
2
式中、R
1およびR
2は独立に、水素原子およびメチル基からなる群より選択される
に対応する分子を意味する。
【0014】
炭素3はキラル(不斉)中心である。この定義は、2つの型の一方、例えばR型が天然に産生される主要な型であったとしても、2つのキラル型を含む。接尾辞「オエート(oate)」は、本明細書において、炭酸イオン(COO−)または炭酸(COOH)のいずれかを交換可能に意味しうる。これはエステルを意味するようには用いられない。
【0015】
用語「ジエン」(またはジオレフィン)は、本明細書において、一般式、C
nH
2n−2、式中、nは3<n<7の整数である、すなわちnは4、5または6であることも可能である、を持つ、2つのコンジュゲート化炭素二重結合を含有する炭化水素を意味する。
【0016】
用語「1,3−ジエン」は、本明細書において、以下の構造式、H
2C=C(R
1)−C(R
2)=CH
2、式中、R
1およびR
2は独立に、水素原子およびメチル基からなる群より選択される、に対応する分子を意味する。
【0017】
1つの特定の態様において、本発明の方法にしたがって変換される3−ヒドロキシアルク−4−エノエートは3−ヒドロキシペント−4−エノエートであり、そして生じる1,3−ジエン化合物は1,3−ブタジエンである。
【0018】
別の態様において、本発明の方法にしたがって変換される3−ヒドロキシアルク−4−エノエートは、3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエートであり、そして生じる1,3−ジエン化合物はイソプレンである。
【0019】
用語「脱炭酸酵素活性を有する酵素」は、本発明の背景において、1,3−ジエン化合物を導くように、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを脱炭酸することが可能である酵素を指す。
【0020】
1つの態様において、脱炭酸酵素の活性を有する酵素は、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素と分類可能であるかまたは分類される酵素であるか、あるいはこうした酵素に由来し、そして1,3−ジエン化合物を産生するように、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを脱炭酸する能力を有する酵素である。ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、EC番号EC4.1.1.33と分類される。ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、天然に、メバロン酸二リン酸の脱炭酸を触媒可能である。この反応において、ATPおよび5−ジホスホメバロン酸を、ADP、リン酸、イソペンテニル二リン酸およびCO
2に変換する。ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素によって触媒される反応を
図1Aに示す。当該技術分野に知られる方法、例えばReardonら(Biochemistry 26(1987), 4717−4722)における方法にしたがって、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を測定することができる。好ましくは、活性は、CardemilおよびJabalquinto(Methods Enzymol. 110(1985), 86−92)に記載されるような分光測定アッセイによって測定される。この場合、反応混合物(1ml最終体積)は、0.1M Tris−HCl緩衝液、pH7.0、0.1M KCl、5mM ATP、6mM MgCl
2、0.5mMホスホエノールピルビン酸、0.23mM NADH、6.5単位のピルビン酸キナーゼ、11.8単位の乳酸デヒドロゲナーゼ、メバロン酸5−二リン酸脱炭酸酵素を含有し、そして反応を開始するため、0.15mMのメバロン酸を添加する。恒温分光光度計において、30℃で、アッセイを行う。
【0021】
少なくともいくつかの場合、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素によって触媒される反応は、二価カチオン依存性であると報告されてきている(例えば、Krepkiyら, Protein Science 13(2004), 1875−1881; Michiharaら, Biol. Pharm. Bull. 25(2002), 302−306を参照されたい)。
【0022】
ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、天然の機能において、細菌におけるイソプレノイド合成のためのメバロン酸経路の一部の酵素、そして真核生物におけるステロール生合成経路の一部の酵素である。該酵素は、動物、真菌、酵母および細菌などの多様な生物で同定され、そして単離されてきている。該酵素はまた、特定の植物によっても発現される。
【0023】
いくつかのジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の三次元構造は、すでに決定されてきており(例えば、Byresら(J. Mol. Biol. 371(2007), 540−553); Bonannoら(Proc. Natl Acad. Sci. USA 98(2001), 12896−12901); Voynovaら, Archives of Biochemistry and Biophysics 480(2008), 58−67))、そしてその活性部位、触媒反応に非常に重要なアミノ酸残基、および実際の酵素反応に関して、かなりの知識が入手可能である(例えば、Byresら(J. Mol. Biol. 371(2007), 540−553); Bonannoら(Proc. Natl Acad. Sci. USA 98(2001), 12896−12901)を参照されたい)。大部分の場合、該酵素は、約300〜400アミノ酸で構成され、そして補助基質としてATPを用い、ATPは脱炭酸反応中にADPおよび無機リン酸に変換される。
【0024】
ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、多様な生物に関して記載されてきており、そしてまた、これらをコードするアミノ酸およびヌクレオチド配列もまた、多くの供給源から入手可能である。
【0025】
原則として、本発明の背景において、いかなるジホスホメバロン酸脱炭酸酵素も使用可能であり、特に原核または真核生物由来のものが使用可能である。真核ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、例えば、動物に関して、例えば、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、セキショクヤケイ(Gallus gallus)、ヒト(Homo sapiens)、マウス(Mus musculus)、イノシシ(Sus scrofa)、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)、線虫(C. elegans)およびブルセイトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、植物に関して、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、イチョウ(Ginko biloba)、イネ(Oryza sativa)、エンドウマメ(Pisum sativum)、酵母に関して、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が記載される。また、多くの原核ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素も記載されてきており、いくつかのみを挙げると、例えばヘリコバクター属(Helicobacter)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、リステリア菌(Listeria monocytgenes)、リューコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)がある。表1は、異なる生物由来のジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の配列リストであり、それぞれのデータベースから回収可能である寄託番号を示す。
【0027】
表1に言及した配列は、UniProtリリース2011_12において入手可能なものである(http://uniprot.org/downloadsから)。
【0028】
異なる生物由来のジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の例を、配列番号1〜19および22〜29に提供する。本発明の好ましい態様において、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素は、配列番号1〜19および22〜29からなる群より選択されるアミノ酸配列、または配列番号1〜19および22〜29のいずれかに少なくともn%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有し、nが10〜100の間の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98または99である配列を含む、酵素である。特に好ましいのは、サーモプラズマ属(Thermoplasma)、ピクロフィルス属(Picrophilus)、フェロプラズマ属(Ferroplasma)または連鎖球菌属(Streptococcus)の細菌由来の配列であり、そして最も好ましいのはサーモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)(例えば配列番号18を参照されたい)、サーモプラズマ・ボルカニクム(Thermoplasma volcanicum)(例えば配列番号17を参照されたい)、ピクロフィルス・トリドゥス(Picrophilus torridus)(例えばDSM 9790株;例えば配列番号6、16、20および21を参照されたい)、フェロプラズマ・アシダルマヌス(Ferroplasma acidarmanus)(例えばF.アシダルマヌスfer1;例えば配列番号19を参照されたい)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)(例えばB6株;例えば配列番号24を参照されたい)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)(例えばS インファンタリウス亜種インファンタリウス(S infantarius subsp infantarius)ATCC BA−201;例えば配列番号23を参照されたい)、S.ガロリティクス(S. gallolyticus)(例えば配列番号25を参照されたい)、連鎖球菌属種M134(例えば配列番号27を参照されたい)、S.サリバリウス(S. salivarius)(例えばSK126;例えば配列番号29を参照されたい)、S.スイス(S. suis)(例えばS.スイス89/1591;例えば配列番号28を参照されたい)、S.サングイニス(S. sanguinis)(例えばSK36;例えば配列番号26を参照されたい)またはS.ゴルドニー(S. gordonii)(例えば配列番号12を参照されたい)種の配列である。
【0029】
好ましくは、上述の配列番号のいずれか1つのアミノ酸配列とそれぞれの配列を比較することによって、同一性の度合いを決定する。比較する配列が同じ長さを持たない場合、同一性の度合いは、好ましくは、より長い配列中のアミノ酸残基に同一である、より短い配列中のアミノ酸残基の割合、またはより短い配列中のアミノ酸残基に同一である、より長い配列中のアミノ酸残基の割合を指す。好ましくはCLUSTALなどの適切なコンピュータアルゴリズムを用い、当該技術分野に周知の方法にしたがって、配列同一性の度合いを決定してもよい。
【0030】
Clustal分析法を用いて、特定の配列が、参照配列に例えば80%同一であるかどうかを決定する際、デフォルト設定を用いてもよいし、または設定は好ましくは以下の通りである:アミノ酸配列の比較に関して、マトリックス:blosum30;オープンギャップペナルティ:10.0;伸長ギャップペナルティ:0.05;遅延発散:40;ギャップ分離距離:8。ヌクレオチド配列比較に関しては、伸長ギャップペナルティは好ましくは5.0に設定される。
【0031】
好ましくは、配列全長に渡って、同一性の度合いを計算する。
【0032】
さらに、用語「相同性」を本発明の背景において用いる場合、この用語は、好ましくは「配列同一性」を意味する。
【0033】
好ましい態様において、本発明記載の方法で使用される脱炭酸酵素は、ピクロフィルス・トリドゥスまたはピクロフィルス・トリドゥスに進化的に緊密に関連する生物由来のジホスホメバロン酸脱炭酸酵素である。さらなる好ましい態様において、脱炭酸酵素は、ピクロフィルス属、サーモプラズマ属またはフェロプラズマ属の生物、より好ましくは、ピクロフィルス・トリドゥス、ピクロフィルス・オシマエ(Picrophilus oshimae)、サーモプラズマ・ボルカニクム、サーモプラズマ・アシドフィルム、フェロプラズマ・アシダルマヌスまたはフェロプラズマ・クプリクムランス(Ferroplasma cupricumulans)種の生物から生じる。別の態様において、脱炭酸酵素は、連鎖球菌属の生物、好ましくはストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・インファンタリウス、S.ガロリティクス、ストレプトコッカス属種M134、S.サリバリウス、S.スイス、S.サングイニスまたはS.ゴルドニー種の生物から生じる。
【0034】
特に好ましいのは、サーモプラズマ・アシドフィルム由来の、そしてストレプトコッカス・ミティス由来の脱炭酸酵素である。
【0035】
特に好ましい態様において、本発明記載の方法で使用される脱炭酸酵素は、配列番号6、16、17、18または19に示すようなアミノ酸配列を含むか、あるいは配列番号6、16、17、18または19のいずれかに少なくともn%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有し、nが10〜100の間の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98または99であるアミノ酸配列を含む、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素である。配列番号6および16に示すようなアミノ酸配列を示す酵素は、ピクロフィルス・トリドゥスから生じる。本発明記載の方法に使用される、さらに好ましい脱炭酸酵素は、ピクロフィルス・トリドゥスに系統的に緊密に関連する生物、例えばピクロフィルス属の他の細菌、例えばピクロフィルス・オシマエ、フェロプラズマ属の細菌、例えばフェロプラズマ・アシダルマヌス(配列番号19)、またはサーモプラズマ属、例えばサーモプラズマ・アシドフィルム(配列番号18)およびサーモプラズマ・ボルカニウム(配列番号17)から生じる、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素である。サーモプラズマ・アシドフィルムのジホスホメバロン酸脱炭酸酵素(AC番号Q9HIN1)は、配列番号6に38%の相同性を示し、そしてサーモプラズマ・ボルカニウムのもの(AC番号Q97BY2)は、配列番号6に約42%の相同性を示す。
【0036】
配列番号18に示す配列は、サーモプラズマ・アシドフィルムに同定する酵素に相当する。Genbankにおいて、この酵素は、メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素と分類される。しかし、ChenおよびPoulter(Biochemistry 49(2010), 207−217)から、Th.アシドフィルムにおいて、メバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素の作用を伴う代替メバロン酸経路が存在することが知られる。したがって、配列番号18によって示される酵素は、実際にメバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素に相当する可能性がある。
【0037】
他の古細菌に関しても、同じことが当てはまりうる。したがって、別の好ましい態様において、本発明記載の方法で使用される脱炭酸酵素は、メバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素である。こうした酵素は、メバロン酸−5−一リン酸をイソペンテニル一リン酸に変換することが可能である。メバロン酸−5−一リン酸を基質として用いる点を例外として、この活性を上述のメバロン酸二リン酸脱炭酸酵素の活性と同じ方式で測定可能である。
【0038】
さらに特定の好ましい態様において、本発明記載の方法において使用される脱炭酸酵素は、配列番号20または21に示すようなヌクレオチド配列によって、あるいは配列番号20または21のいずれかに少なくともn%同一であり、そしてジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有する酵素をコードするヌクレオチド配列によってコードされ、nが10〜100の間の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98または99である、ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素である。配列番号20は、N末端にHisタグを含む、P.トリドゥス由来のMDP脱炭酸酵素をコードする天然ヌクレオチド配列である。配列番号21は、N末端にHisタグを含む、P.トリドゥス由来のMDP脱炭酸酵素をコードする、コドン最適化ヌクレオチド配列である。
【0039】
本発明記載のプロセスにおいて使用される脱炭酸酵素、好ましくはジホスホメバロン酸脱炭酸酵素またはメバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素は、天然に存在する脱炭酸酵素であってもよいし、あるいは例えば酵素活性、安定性等を改変するかまたは改善する突然変異または他の改変の導入によって、天然に存在する脱炭酸酵素に由来する脱炭酸酵素であってもよい。
【0040】
本出願との関係において、用語「脱炭酸酵素」、「ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素」、「メバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素」、「脱炭酸酵素の活性を有するタンパク質/酵素」または「ジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の活性を有するタンパク質/酵素」はまた、脱炭酸酵素、好ましくはジホスホメバロン酸脱炭酸酵素またはメバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素に由来し、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの脱炭酸を触媒可能であるが、その天然基質、例えばメバロン酸二リン酸またはメバロン酸−5−一リン酸に低いアフィニティしか持たないか、あるいは天然基質をもはや受容しない、酵素も含む。好ましい基質のこうした修飾によって、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエン化合物への変換を改善し、そして発生するおそれのある副産物イソプレニルピロリン酸の産生を減少させることが可能になる。タンパク質の所望の酵素活性を修飾し、そして/または改善するための方法が、当業者に周知であり、そしてこれには、例えばランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発、そしてそれに続く所望の特性を有する酵素の選択、あるいはいわゆる「定向進化」、DNAシャフリングまたはin vivo進化のアプローチが含まれる。
【0041】
例えば、原核細胞における遺伝子操作のため、脱炭酸酵素をコードする核酸を、突然変異誘発またはDNA配列の組換えによる配列修飾を可能にするプラスミド内に導入してもよい。標準法(SambrookおよびRussell(2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, 米国ニューヨーク州を参照されたい)によって、塩基交換を行うか、あるいは天然または合成配列を付加することが可能になる。断片にアダプターおよびリンカーを適用することによって、DNA断片を互いに連結してもよい。さらに、適切な制限部位を提供するか、あるいは過剰なDNAまたは制限部位を除去する操作手段を使用してもよい。挿入、欠失または置換が可能なこれらの場合、in vitro突然変異誘発、「プライマー修復」、制限処理または連結を用いてもよい。一般的に、配列分析、制限分析、ならびに生化学および分子生物学の他の方法を分析法として実行する。次いで、生じる脱炭酸酵素変異体をその酵素活性に関して、そして特に、例えばメバロン酸二リン酸またはメバロン酸−5−一リン酸よりも、基質として3−ヒドロキシ−4−エノエートを好む能力に関して、試験する。
【0042】
1,3−ジエン化合物の産生に関して、酵素特性が改善された変異体を同定するためのこうした方法はまた、3−ヒドロキシアルク−4−エノエート基質が、天然基質、例えばジホスホメバロン酸脱炭酸酵素の場合はメバロン酸二リン酸よりも短い可能性もあるという事実のため、酵素の触媒部位における立体および/または電気的補完を可能にする、補因子の存在下で実行可能である。こうした補因子の例は、ホスホノリン酸またはホスホンアミドリン酸またはオルトリン酸であってもよい。
【0043】
基質として3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを受容するかまたは好むが、その天然基質に対して低いアフィニティを有するかまたはもはや天然気質を受容しない、脱炭酸酵素の修飾型は、天然存在脱炭酸酵素の由来であってもよく、あるいはすでに修飾された、最適化されたまたは合成的に合成された脱炭酸酵素に由来してもよい。
【0044】
メバロン酸二リン酸(MDP)脱炭酸酵素(E.C. 4.1.1.33)による、メバロン酸二リン酸のイソペンテニル二リン酸への変換は、MDPの対応する3−ホスホノキシ化合物への変換によって行われることが知られており、それは次いで脱炭酸処理され、イソペンテニル二リン酸を導く。MDPを基質として用いて、MDP脱炭酸酵素によって実行される反応を
図1Aに示す。
【0045】
図1Bは、メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を用いた、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエン化合物への変換を示すスキームを示す。この場合の中間体は3−ホスホノキシアルク−4−エノエートである。
図2は、メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を用いた、3−ヒドロキシペント−4−エノエートの1,3−ブタジエンへの変換を示す。この場合の中間体は、3−ホスホノキシペント−4−エノエートである。
図3は、メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を用いた、3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートおよび3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートのイソプレンへの変換を示す。この場合の中間体は、それぞれ、3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエートである。
【0046】
様々な脱炭酸酵素(特にメバロン酸二リン酸脱炭酸酵素)は、2つの上述の工程を異なる効率で触媒すること、すなわちいくつかの脱炭酸酵素は第一の工程を他の脱炭酸酵素より高い効率で触媒し、そしていくつかの脱炭酸酵素は第二の工程(すなわち脱炭酸工程)に関する優先性を示すこと、そしてしたがって、全反応の効率が、対応する酵素を組み合わせることによって有意に高められることが見出されてきている。
【0047】
したがって、別の態様において、本発明記載の方法は、産生速度の効率を増加させるため、2つのタイプの酵素を組み合わせる点で特徴付けられる。より具体的には、本発明は、1,3−ジエン化合物を産生するための方法に関し、それは、
(i)3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を有する、第一の酵素;および
(ii)第一の酵素と異なり、そして脱炭酸反応によって、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する第二の酵素
によって、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの前記1,3−ジエン化合物への変換を含む点で特徴付けられる。
【0048】
用語「3−ヒドロキシアルク−4−エノエート」は、本明細書において、上に定義するような化合物を指す。
【0049】
用語「3−ホスホノキシアルク−4−エノエート」は、以下の一般式:
に対応する分子を意味する。
【0050】
用語「3−ホスホノキシアルク−4−エノエート」は、以下の一般式:
C
n+1H
2n+1O
6P
式中、3<n<7
に対応する分子を意味し、そして共通のモチーフとして3−ホスホノキシペント−4−エノエートを含み(
図1B)、そして場合によって、炭素3および炭素4上にメチル置換を含む。
【0051】
好ましい態様において、「3−ホスホノキシアルク−4−エノエート」は、本明細書において、以下の構造式:
HO−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
2)−C(R
2)=CH
2またはO
−−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
2)−C(R
2)=CH
2
式中、R
1およびR
2は独立に、水素原子およびメチル基からなる群より選択される
に対応する分子を意味する。
【0052】
3−ホスホノキシアルク−4−エノエートは、先に記載するように、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートにおけるアルコール基のリン酸エステルに対応する。このリン酸基は、以下の式におけるように、完全にプロトン化されていてもよいし、あるいは1または2の負荷電を所持してもよい:
HO−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
2)−C(R
2)=CH
2
HO−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
−)−C(R
2)=CH
2
HO−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
32−)−C(R
2)=CH
2
O
−−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
2)−C(R
2)=CH
2
O
−−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
3H
−)−C(R
2)=CH
2
O
−−CO−CH
2−C(R
1)(O−PO
32−)−C(R
2)=CH
2
炭素3はキラル(不斉)中心である。この定義は、2つの型の一方、例えばR型が天然に産生される主要な型であったとしても、2つのキラル型を含む。接尾辞「オエート(oate)」は、本明細書において、炭酸イオン(COO−)または炭酸(COOH)のいずれかを交換可能に意味しうる。これはエステルを意味するようには用いられない。
【0053】
用語「1,3−ジエン」は、本明細書において、上に定義するような化合物を指す。
【0054】
用語「3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を有する酵素」は、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートをリン酸化して、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートにすることが可能な酵素を意味する。リン酸基は、好ましくは、ATP分子に由来する。
【0055】
この活性は、例えば付随する実施例、特に実施例2、3、7および8に記載するように測定可能である。1つの可能性は、例えば、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートとそれぞれの酵素をインキュベーションし、そしてADPの産生(これは、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの産生を反映する)を測定することである。ADPの産生を測定するためのアッセイは、当業者に周知である。これらの方法の1つは、周知のピルビン酸キナーゼ/乳酸脱水素酵素アッセイである。この場合、アッセイは、ADP量に比例するNADH吸光度減少速度を340nmで測定する。好ましい態様において、用語「3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を有する酵素」は、3−ヒドロキシペント−4−エノエートおよびATPを変換して3−ホスホノキシペント−4−エノエートを生じうる酵素、あるいは3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートおよびATPを変換して、それぞれ、3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエート、およびADPを生じうる酵素を意味する。さらにより好ましくは、こうした酵素は、10mMまたはそれより低いK
Mで、例えば5mMまたはそれより低いK
Mで、好ましくは1mMまたはそれより低く、そしてさらにより好ましくは0.1mMまたはそれより低いK
Mで、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する反応を触媒可能である。特に好ましい態様において、こうした酵素は、少なくとも0.05s
−1のk
cat、好ましくは少なくとも0.09s
−1のk
cat、特に好ましくは少なくとも0.1s
−1のk
cat、より好ましくは少なくとも0.2s
−1のk
cat、そしてさらにより好ましくは少なくとも1.0s
−1のk
catで、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する反応を触媒可能である。
【0056】
特に好ましい態様において、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに、例えば3−ヒドロキシペント−4−エノエートおよびATPを、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートおよびADPに変換する能力を、実施例2、3、7または8に記載するようなアッセイで測定する。
【0057】
用語「脱炭酸反応によって、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する酵素」は、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの脱炭酸および脱リン酸化があり、それによって対応する1,3−ジエン化合物を導く反応を触媒可能な酵素を意味する。
【0058】
この活性は、例えば、付随する実施例、特に実施例6および11に記載されるように測定可能である。したがって、1つの可能性は、それぞれの酵素を、原理的に、脱炭酸および脱リン酸化を可能にする条件下で、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートとインキュベーションし、そして対応する1,3−ジエン化合物の産生を、例えばガスクロマトグラフィによって検出することである。好ましい態様において、用語「前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する酵素」は、3−ホスホノキシペント−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換可能である酵素、あるいは3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエートを、好ましくは実施例6に記載する条件下でイソプレンに変換可能である酵素を意味し、ここでイソプレンの合成の場合には、3−ホスホノキシペント−4−エノエートの代わりに3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエートが用いられる。さらにより好ましくは、こうした酵素は、100mMまたはそれより低いK
Mで、例えば75mMまたはそれより低いK
Mで、あるいは50mMまたはそれより低いK
Mで、好ましくは10mMまたはそれより低く、あるいは5mMまたはそれより低く、あるいは1mMまたはそれより低く、そしてさらにより好ましくは0.1mMまたはそれより低いK
Mで、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを、対応する1,3−ジエン化合物に変換する反応(脱炭酸および脱リン酸化を通じる)を触媒可能である。特に好ましい態様において、こうした酵素は、少なくとも10
−6s
−1のk
cat、好ましくは少なくとも10
−4s
−1のk
cat、例えば少なくとも10
−3s
−1のk
cat、または少なくとも10
−2s
−1のk
cat、例えば少なくとも10
−1s
−1のk
cat、例えば少なくとも0.2s
−1のk
cat、好ましくは少なくとも0.5s
−1のk
cat、特に好ましくは少なくとも1.0s
−1のk
cat、より好ましくは少なくとも2.0s
−1のk
cat、そしてさらにより好ましくは少なくとも5.0s
−1のk
catで、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを、対応する1,3−ジエン化合物に変換する反応を触媒可能である。
【0059】
特に好ましい態様において、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを1,3−ジエン化合物に変換する能力を、実施例6または実施例11に記載するようなアッセイにおいて測定する。
【0060】
1つの好ましい態様において、上記(i)および(ii)に言及する酵素は、NCBIまたは同等のエンジンによって、COG3407ドメインを有すると見なされる酵素である。
【0061】
本発明記載の方法の好ましい態様において、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を有する第一の酵素(i)は
(A)配列番号16に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号16に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号16に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を示すタンパク質;
(B)配列番号17に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号17に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号17に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を示すタンパク質;
(C)配列番号18に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号18に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号18に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を示すタンパク質;および
(D)配列番号19に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号19に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号19に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに変換する活性を示すタンパク質
からなる群より選択される。
【0062】
配列番号16は、ピクロフィルス・トリドゥスDSM 9790由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAT43941; Swissprot/TrEMBL寄託番号Q6KZB1)を示す。
【0063】
配列番号17は、サーモプラズマ・ボルカニウム由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号BAB59465; Swissprot/TrEMBL寄託番号Q97BY2)を示す。
【0064】
配列番号18は、サーモプラズマ・アシドフィルム由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号CAC12426; Swissprot/TrEMBL寄託番号Q9HIN1)を示す。
【0065】
配列番号19は、フェロプラズマ・アシダルマヌスfer1由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号ZP_05571615)を示す。
【0066】
本発明記載の方法のさらに好ましい態様において、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する第二の酵素(ii)は
(a)配列番号12に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号12に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号12に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(b)配列番号22に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号22に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号22に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(c)配列番号23に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号23に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号23に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(d)配列番号1に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号1に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(e)配列番号7に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号7に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号7に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(f)配列番号24に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号24に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号24に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(g)配列番号25に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号25に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号25に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(h)配列番号26に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号26に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号26に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(i)配列番号27に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号27に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号27に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;
(j)配列番号28に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号28に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号28に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質;および
(k)配列番号29に示すようなアミノ酸配列を含むタンパク質、または配列番号29に示すアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして配列番号29に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質
からなる群より選択される。
【0067】
配列番号12は、ストレプトコッカス・ゴルドニー(Streptococcus gordonii)よりクローニングされた酵素のアミノ酸配列を示す。配列番号22は、ストレプトコッカス・ゴルドニー・チャリス(Challis)株CH1亜株由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAT43941; Swissprot/TrEMBL寄託番号A8UU9)を示す。配列番号23は、ストレプトコッカス・インファンタリウス亜種インファンタリウスATCC BAA−102由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号EDT48420.1; Swissprot/TrEMBL寄託番号B1SCG0)を示す。配列番号1は、ヒト由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAC50440.1; Swissprot/TrEMBL寄託番号P53602.1)を示す。配列番号7は、ラクトバチルス・デルブルエッキー(Lactobacillus delbrueckii)由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号CAI97800.1; Swissprot/TrEMBL寄託番号Q1GAB2)を示す。配列番号24は、ストレプトコッカス・ミティス(B6株)由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号CBJ22986.1)を示す。配列番号25は、ストレプトコッカス・ガロリティクスUCN34由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号CBI13757.1)を示す。配列番号26は、ストレプトコッカス・サングイニスSK36由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号ABN43791.1)を示す。配列番号27は、ストレプトコッカス属種M143由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号EFA24040.1)を示す。配列番号28は、ストレプトコッカス・スイス89/1591由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号EEF63672.1)を示す。配列番号29は、ストレプトコッカス・サリバリウスSK126由来の酵素のアミノ酸配列(GenBank寄託番号EEK09252)を示す。
【0068】
本発明記載の方法の好ましい態様において、第一の酵素(i)は上記(A)に定義する通りであり、そして第二の酵素(ii)は上述の(a)または(b)に定義する通りであり、さらにより好ましくは、第二の酵素は、上述の(f)、(g)、(h)、(i)、(j)または(k)に定義する通りである。
【0069】
本発明記載の方法の別の好ましい態様において、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する第二の酵素(ii)は、以下の表に列挙するタンパク質の任意の1つより選択されるか、あるいはこうしたタンパク質のアミノ酸配列に少なくとも15%同一であるアミノ酸配列を含み、そして前記タンパク質の対応する活性と少なくとも同程度に高い、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を示すタンパク質より選択される。
【0073】
表2に言及する配列は、146413798の報告される配列から:Genetic Sequence Data Bank, December 15, 2011, NCBI−GenBank Flat File Release 187.0, Distribution Release Notes 146413798 loci, 135117731375 basesにおいて入手可能である(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/genbank/gbrel.txtを参照されたい)。
【0074】
上述のように、それぞれの配列番号において、または表2において列挙する、特に言及するアミノ酸配列を有するタンパク質だけでなく、NCBIまたは同等のエンジンによって、COG3407ドメインを有すると見なされるタンパク質、そしてより好ましくは、特に言及するアミノ酸配列に少なくとも15%の相同性を示し、そして特に言及するアミノ酸配列を有するタンパク質の活性と、少なくとも同程度に高いそれぞれの酵素活性を有するタンパク質も使用可能である。好ましい酵素は、好適に、少なくともx%の相同性を有し、ここで、xは、20、25、20、35、40、45、50、55および60からなる群より選択される。さらなる好ましい態様において、酵素は、配列番号1〜19および22〜29、特に配列番号1、7、12、16、17、18、19、22、23、24、25、26、27、28または29、あるいは表1に示す配列の1つに、少なくとも65%配列相同性、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは、少なくとも80、85、90、95、96、97、98または99%の相同性を有する。配列相同性パーセントは、異なる方法によって、そして当業者に知られるソフトウェアプログラム、例えばCLUSTAL法またはBLAST、および派生するソフトウェアによって、あるいはNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol., 1970, 48:443)またはSmithおよびWaterman (J. Mol. Biol., 1981, 147:195)に記載されるような配列比較アルゴリズムを用いることによって、決定可能である。
【0075】
提示された程度の相同性を示すこうしたタンパク質は、例えば、天然に存在するかまたは合成的に調製されている他の酵素であってもよい。これらには、特に、本発明記載のアルケンを産生する能力に関して選択可能な酵素が含まれる。したがって、選択試験は、精製酵素、または該酵素を産生する微生物と、反応基質を接触させ、そしてそれぞれの化合物、すなわち3−ホスホノキシアルク−4−エノエートまたは1,3−ジエン化合物の産生を測定する工程を含む。こうした選択試験はまた、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートまたは1,3−ジエン化合物に変換される基質に対する最適化された酵素活性を有する、すなわち、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートまたは3−ホスホノキシアルク−4−エノエートに関して最適化された活性を有する酵素に関してスクリーニングするために使用可能である。
【0076】
こうしたスクリーニング法は当該技術分野に周知であり、そしてこれには、例えばタンパク質操作技術、例えばランダム突然変異誘発、大規模突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、DNAシャフリング、合成シャフリング、in vivo進化、または遺伝子の完全合成そして続く所望の酵素活性に関するスクリーニングが含まれる。
【0077】
本発明で用いられる酵素は、したがって、天然または合成であってもよく、そして化学的、生物学的または遺伝学的手段によって産生されてもよい。該酵素はまた、例えばその活性、耐性、特異性、精製を改善するため、あるいは支持体上に固定するため、化学的に修飾されていてもよい。
【0078】
3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを通じて、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを1,3−ジエン化合物に変換するための上述の反応を触媒可能な酵素は、しばしば、メバロン酸二リン酸(MDP)脱炭酸酵素(酵素命名EC 4.1.1.33)の系統学的スーパーファミリーに分類可能な酵素である。
【0079】
したがって、好ましい態様において、上記(i)または(ii)に定義される酵素は、MDP脱炭酸酵素である。本発明との関係において、MDP脱炭酸酵素は、5−ジホスホ−3−ホスホメバロン酸のイソペンテニル−5−二リン酸およびCO
2への変換を少なくとも触媒可能であるか、またはメバロン酸二リン酸およびATPを5−ジホスホ−3−ホスホメバロン酸およびADPに変換する反応を少なくとも触媒可能である酵素と定義される。好ましくは、こうした酵素は両方の反応を触媒可能である。
【0080】
別の好ましい態様において、上記(i)で定義する酵素は、(i)(C)で定義するような酵素である。配列番号18に示す配列は、サーモプラズマ・アシドフィルムにおいて同定される酵素に相当する。Genbankにおいて、この酵素は、メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素として分類される。しかし、ChenおよびPoulter(Biochemistry 49(2010), 207−217)により、Th.アシドフィルムにおいて、メバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素の作用を伴う代替メバロン酸経路が存在することが知られる。したがって、配列番号18によって示される酵素は、実際にメバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素に相当する可能性がある。他の古細菌に関しても、同じことが当てはまりうる。したがって、別の好ましい態様において、上記(i)または(ii)で定義する酵素は、メバロン酸−5−一リン酸脱炭酸酵素である。こうした酵素は、メバロン酸−5−一リン酸をイソペンテニル一リン酸に変換可能である。
【0081】
さらなる態様において、前述の態様のいずれかの(ii)に定義するような酵素は、テルペン・シンターゼとして分類可能な酵素である。本発明者らは、テルペン・シンターゼが、驚くべきことに、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエンへの変換、特に、3−ホスホノキシペント−4−エノエートの1,3−ブタジエンへの変換を触媒可能であることを示すことができた(実施例11および
図8を参照されたい)。
【0082】
テルペン・シンターゼは、常に炭素および水素で構成される多くの天然産物(テルペン)の、そしてときにはまた、酸素または他の要素でもまた構成される産物(テルペノイド)の形成を触媒する酵素を含む、酵素ファミリーを構成する。テルペノイドは、構造的に多様であり、そして30000をはるかに超えて全生物界から同定されている確定された天然化合物に対応する、広く分布した分子である。植物において、テルペン・シンターゼのメンバーは、5炭素イソプレン、10炭素モノテルペン、15炭素セスキテルペン、および20炭素ジテルペンを導く、2つの異性体5炭素前駆体「構築ブロック」、イソプレニル二リン酸およびプレニル二リン酸由来の多様なテルペン分子の合成に関与している(Chenら; The Plant Journal 66(2011), 212−229)。
【0083】
テルペン・シンターゼが、プレニル二リン酸含有基質を、異なる反応周期中に、多様な産物に変換する能力は、この酵素クラスの最もユニークな特質の1つである。すべてのテルペンの生合成のための共通の重要な工程は、対応する二リン酸エステルに対するテルペン・シンターゼの反応である。この酵素クラスの一般的な機構は、第一の工程として、二リン酸基の除去およびカルボカチオンを含む中間体の生成を誘導する。多様なテルペン・シンターゼにおいて、こうした中間体は、さらに、天然に観察される多数のテルペン骨格を生成するようさらに再編成する。特に、生じたカチオン性中間体は、プロトン喪失または求核試薬、特にテルペノイドアルコールを形成するための水の添加によって反応が終結するまで、一連の環化、ヒドリドシフトまたは他の再編成を経る(Degenhardtら, Phytochemistry 70(2009), 1621−1637)。
【0084】
テルペン・シンターゼは、ピロリン酸脱離基の除去によるアリル性カルボカチオンの形成を伴う一般的な触媒機構を示し、該化合物は、次いで、多様な産物に発展する(以下のスキームを参照されたい; Croteau, Chem. Rev. 87(1987), 929−954; Croteau, Topics Curr. Chem. 209(2000)。
【0085】
異なるテルペン・シンターゼはまた、多様な構造的特徴も共有する。これらには、触媒部位、およびこれらの酵素において基質結合を補助する二価金属イオン(典型的にはMg2+またはMn2+)に必須のアスパラギン酸リッチDDXXDモチーフを含有する、高度に保存されたC末端ドメインが含まれる(Greenら Journal of biological chemistry, 284, 13, 8661−8669)。原理的には、EC 4.2.3酵素スーパーファミリーに属するとして分類可能な任意の既知の酵素が使用可能である。
【0086】
本発明の1つの態様において、イソプレン・シンターゼ(EC 4.2.3.27)は、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエンへの直接酵素変換のために用いられる。イソプレン・シンターゼは、以下の反応:
ジメチルアリル二リン酸→イソプレン+二リン酸
を触媒する酵素である。
【0087】
この酵素は、多くの微生物に存在し、特に植物およびいくつかの細菌に存在する。この酵素の存在は、例えば、シロイヌナズナ、P.アルバ(P. alba)(UniProt寄託番号Q50L36、A9Q7C9、D8UY75およびD8UY76)、P.ニグラ(P. nigra)(UniProt寄託番号A0PFK2)、P.カネセンス(P. canescence)(UniProt寄託番号Q9AR86;また、Koeksalら, J. Mol. Biol. 402(2010), 363−373)、P.トレムロイデス(P. tremuloides)、P.トリコカルパ(P. trichocarpa)のようなポプラ属(Populus)のいくつかの種、フユナラ(Quercus petraea)、ヨーロッパナラ(Quercus robur)、サリクス・ディスコロウア(Salix discolour)、プエラリア・モンタナ(Pueraria montana)(UniProt寄託番号Q6EJ97)、クズ(配列番号30)、ムクナ・プルリエンス(Mucuna pruriens)、ビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)、エンブリオフィタ属(Embryophyta)および枯草菌(Bacillus subtilis)に関して記載されている。原理的には、任意の既知のイソプレン・シンターゼが、本発明記載の方法において使用可能である。好ましい態様において、本発明記載の方法で使用するイソプレン・シンターゼは、ポプラ属、より好ましくは、ポプラス・トリコカルパまたはポプラス・アルバの植物由来のイソプレン・シンターゼである。別の好ましい態様において、本発明記載の方法で使用するイソプレン・シンターゼは、プエラリア・モンタナ、好ましくはクズ(UNIPROT: Q6EJ97)由来、またはビティス・ビニフェラ由来のイソプレン・シンターゼである。本発明との関係で使用が好ましいイソプレン・シンターゼは、ポプラス・アルバのイソプレン・シンターゼ(Sasakiら; FEBS Letters 579(2005), 2514−2518)またはポプラス・アルバ由来のイソプレン・シンターゼに非常に高い配列相同性を示すポプラス・トリコカルパおよびポプラス・トレムロイデス由来のイソプレン・シンターゼである。別の好ましいイソプレン・シンターゼは、クズ由来のイソプレン・シンターゼ(Sharkeyら; Plant Physiol. 137(2005), 700−712; UNIPROT: Q6EJ97;配列番号30)である。
【0088】
本発明の好ましい態様において、イソプレン・シンターゼは、配列番号30に示すアミノ酸配列、または配列番号30に少なくともn%同一であり、そしてイソプレン・シンターゼの活性を有し、nが10〜100の間の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98または99である配列を含む、酵素である。
【0089】
イソプレン・シンターゼの活性は、当該技術分野に知られる、例えばSilverおよびFall(Plant Physiol(1991) 97, 1588−1591)に記載されるような方法にしたがって、測定可能である。典型的なアッセイでは、酵素を、必要な補因子、Mg
2+またはMn
2+およびK
+の存在下、密封バイアル中で、ジメチルアリル二リン酸とインキュベーションする。適切な時点で、ヘッドスペース中の揮発性化合物を気密シリンジで収集し、そしてガスクロマトグラフィ(GC)によって、イソプレン産生に関して分析する。
【0090】
さらに、上に示すスキームにしたがって、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを1,3−ジエンに変換するために、イソプレン・シンターゼを用いることが可能であるだけでなく、モノテルペン・シンターゼのファミリー由来の他の酵素を用いることもまた可能である。モノテルペン・シンターゼは、特定のEC番号が割り当てられる、いくつかのファミリーを含む。しかし、これらにはまた、単にモノテルペン・シンターゼと称され、そして特定のEC番号に分類されない、いくつかの酵素も含まれる。後者の群には、例えばユーカリプトゥス・グロブルス(Eucalyptus globulus)(UniProt寄託番号Q0PCI4)およびSheltonら(Plant Physiol. Biochem. 42(2004), 875−882)に記載されるメラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)のモノテルペン・シンターゼが属する。本発明の特に好ましい態様において、ユーカリプトゥス・グロブルスまたはメラレウカ・アルテルニフォリアのモノテルペン・シンターゼが用いられる。
【0091】
本発明記載の方法の他の好ましい態様において、上に示すスキームにしたがった、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエンへの変換は、以下のファミリー:アルファ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.46)およびベータ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.47)、ミルセン/(E)−ベータ−オシメン・シンターゼ(EC 4.2.3.15)およびピネン・シンターゼ(EC 4.2.3.14)の1つに属するテルペン・シンターゼによって達成される。
【0092】
ファルネセン・シンターゼは、一般的に、2つの異なる群、すなわちアルファ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.46)およびベータ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.47)に分類される。アルファ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.46)は、天然に、以下の反応:
(2E,6E)−ファルネシル二リン酸→(3E,6E)−アルファ−ファルネセン+二リン酸
を触媒する。
【0093】
この酵素は、多くの生物に、特に植物に、例えば、リンゴ(Malus x domestica)(UniProt寄託番号Q84LB2、B2ZZ11、Q6Q2J2、Q6QWJ1およびQ32WI2)、ポプラス・トリコカルパ、シロイヌナズナ(UniProt寄託番号A4FVP2およびP0CJ43)、メロン(Cucumis melo)(UniProt寄託番号B2KSJ5)およびキウイ・フルーツ(Actinidia deliciosa)(UniProt寄託番号C7SHN9)に存在する。原理的に、任意の既知のアルファ−ファルネセン・シンターゼが、本発明記載の方法において使用可能である。好ましい態様において、本発明記載の方法において使用されるアルファ−ファルネセン・シンターゼは、リンゴ由来のアルファ−ファルネセン・シンターゼ(例えば配列番号8)、UniProt寄託番号Q84LB2、B2ZZ11、Q6Q2J2、Q6QWJ1およびQ32WI2; Greenら; Photochemistry 68(2007), 176−188もまた参照されたい)である。
【0094】
ベータ−ファルネセン・シンターゼ(EC 4.2.3.47)は、天然に、以下の反応:
(2E,6E)−ファルネシル二リン酸→(E)ベータ−ファルネセン+二リン酸
を触媒する。
【0095】
この酵素は、多くの生物、特に植物および細菌に、例えばクソニンジン(Artemisia annua)(UniProt寄託番号Q4VM12)、ユズ(Citrus junos)(UniProt寄託番号Q94JS8)、イネ(Oryza sativa)(UniProt寄託番号Q0J7R9)、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)(UniProt寄託番号D7PCH9)、ゼア・ディプロペレニス(Zea diploperennis)(UniProt寄託番号C7E5V9)、トウモロコシ(Zea mays)(UniProt寄託番号Q2NM15、C7E5V8およびC7E5V7)、ゼア・ペレニス(Zea perennis)(UniProt寄託番号C7E5W0)およびストレプトコッカス・コエリコロル(Streptococcus coelicolor)(Zhaoら, J. Biol. Chem. 284(2009), 36711−36719)に存在する。原理的に、任意の既知のベータ−ファルネセン・シンターゼは、本発明記載の方法において使用可能である。好ましい態様において、本発明記載の方法において使用されるベータ−ファルネセン・シンターゼは、ペパーミント(Mentha piperita)由来のベータ−ファルネセン・シンターゼである(Crockら; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94(1997), 12833−12838)。
【0096】
ファルネセン・シンターゼ活性決定のための方法は、当該技術分野において知られており、例えばGreenら(Phytochemistry 68(2007), 176−188)に記載されている。典型的なアッセイでは、ファルネセン・シンターゼを、50 mM BisTrisプロパン(BTP)(pH 7.5)、10%(v/v)グリセロール、5mM DTTを含有するアッセイ緩衝液に添加する。トリチウム標識したファルネシル二リン酸および金属イオンを添加する。タンパク質を含有するアッセイに0.5mlペンタンを重層し、そして穏やかに振盪しながら30℃で1時間インキュベーションする。20mM EDTA(最終濃度)を添加して、酵素活性を停止させた後、ペンタンのアリコットをシンチレーション分析のために取り除く。オレフィン産物もまた、GC−MSによって分析する。
【0097】
ミルセン/(E)−ベータ−オシメン・シンターゼ(EC 4.2.3.15)は、以下の反応:
ゲラニル二リン酸→(E)−ベータ−オシメン+二リン酸
または
ゲラニル二リン酸→ミルセン+二リン酸
を天然に触媒する酵素である。
【0098】
これらの酵素は、多くの生物に、特に植物および動物に、例えばミヤコグサ(Lotus japanicus)(Arimuraら; Plant Physiol. 135(2004), 1976−1983)、ライマメ(Phaseolus lunatus)(UniProt寄託番号B1P189)、アメリカオオモミ(Abies grandis)、シロイヌナズナ(UniProt寄託番号Q9ZUH4)、キウイフルーツ(Actinidia chinensis)、ビティス・ビニフェラ(E5GAG5)、シソ(Perilla fructescens)、オクトデス・セクンジラメア(Ochtodes secundiramea)、およびキクイムシ(Ips pini)(UniProt寄託番号Q58GE8)に存在する。原理的には、任意の既知のミルセン/オシメン・シンターゼが、本発明記載の方法において使用可能である。好ましい態様において、本発明記載の方法において使用されるミルセン/オシメン・シンターゼはビティス・ビニフェラ由来の(E)−ベータ−オシメン・シンターゼである。
【0099】
オシメン/ミルセン・シンターゼの活性は、例えば、Arimuraら(Plant Physiology 135(2004), 1976−1983)に記載されるように測定可能である。活性を測定するための典型的なアッセイでは、二価金属イオン、例えばMg
2+および/またはMn
2+、および基質、すなわちゲラニル二リン酸を含有するスクリューキャップのガラス試験管に酵素を入れる。水性層にペンタンを重層し、揮発性化合物をトラップする。インキュベーション後、アッセイ混合物をペンタンで2回抽出し、両方のペンタン分画をプールし、濃縮し、そしてガスクロマトグラフィによって分析して、オシメン/ミルセン産生を定量化する。
【0100】
ピネン・シンターゼ(EC 4.2.3.14)は、以下の反応:
ゲラニル二リン酸→アルファ−ピネン+二リン酸
を天然に触媒する酵素である。
【0101】
この酵素は、多くの生物に、特に植物に、例えばアメリカオオモミ(UniProt寄託番号O244475)、クソニンジン、タイワンベニヒノキ(Chamaecyparis formosensis)(UniProt寄託番号C3RSF5)、セージ(Salvia officinalis)およびトウヒ(Picea sitchensis)(UniProt寄託番号Q6XDB5)に存在する。
【0102】
アメリカオオモミ由来の酵素に関しては、特定の反応もまた観察され(Schwabら, Arch. Biochem. Biophys. 392(2001), 123−136)、すなわち以下の通り:
6,7−ジヒドロゲラニル二リン酸←→6,7−ジヒドロミルセン+二リン酸
である。
【0103】
原理的には、任意の既知のピネン・シンターゼが、本発明記載の方法において使用可能である。好ましい態様において、本発明記載の方法で使用されるピネン・シンターゼは、アメリカオオモミ由来のピネン・シンターゼ(UniProt寄託番号O244475; Schwabら, Arch. Biochem. Biophys. 392(2001), 123−136)である。
【0104】
ピネン・シンターゼ活性の決定のための方法は当該技術分野において知られており、例えば、Schwabら(Archives of Biochemistry and Biophysics 392(2001), 123−136)に記載されている。典型的なアッセイでは、ピネン・シンターゼのためのアッセイ混合物は、1mgの精製タンパク質を含有する2mlアッセイ緩衝液(50mM Tris/HCl、pH 7.5、500mM KCl、1mM MnCl
2、5mMジチオスレイトール、0.05% NaHSO
3および10%グリセロール)からなる。300mMの基質を添加することによって、テフロン(登録商標)密封スクリューキャップバイアル中で反応を開始する。変更可能な時間(0.5〜24時間)、25℃でインキュベーションした後、1mlのジエチルエーテルで混合物を抽出する。二相性混合物を激しく混合し、そして次いで、遠心分離して相分離させる。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)そしてGC−MSおよびMDGC分析に供する。
【0105】
本発明にしたがって、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートの対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートへの変換を触媒する際に特に効率的である、上記(i)に定義するような酵素を、脱炭酸反応によって前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの前記1,3−ジエン化合物への変換を触媒する際に特に効率的である、上記(ii)に定義するような酵素と、物理的に組み合わせることによって、構築されている酵素を本発明において使用することも可能である。これは、例えば、融合タンパク質を産生するため、それぞれの酵素をコードする、対応する核酸を融合させることによって、または両方の触媒活性に関して高い効率を獲得するように、1つの酵素を突然変異させることによって、達成可能である。
【0106】
本発明はまた、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するため、少なくとも2つの酵素であって、一方の酵素が上に明記するような(i)より選択され、そして他方の酵素が上に明記するような(ii)より選択される、前記酵素の使用、あるいは酵素の前記組み合わせを産生する微生物の使用にも関する。
【0107】
本発明はまた、一方の酵素が上に明記するような(i)より選択され、そして他方の酵素が上に明記するような(ii)より選択される、少なくとも2つの酵素を産生する生物、好ましくは微生物も開示する。
【0108】
本発明記載の方法を、単離酵素(あるいはさらに1またはそれより多い補因子を含む酵素系)の存在下で、in vitroで実行してもよい。in vitroは好ましくは細胞不含系を意味する。
【0109】
1つの態様において、該方法で使用する酵素は、精製型で用いられ、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートまたは3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを1,3−ジエン化合物に変換する。しかし、こうした方法は、酵素および基質の製造コストおよび精製コストが高いため、費用が高くなる可能性もある。
【0110】
したがって、別の好ましい態様において、方法で使用される酵素は、タンパク質精製コストを節約するため、非精製抽出物として反応中に存在するか、またはそうでなければ非溶解細菌の形で存在する。しかし、こうした方法に関連するコストは、なお、基質を製造し、そして精製するコストのため、かなり高い可能性もある。
【0111】
したがって、1つの好ましい態様において、天然または組換え、精製または非精製の酵素を用いて、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートまたは3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを1,3−ジエン化合物に変換する。これを行うため、酵素を活性化させる物理化学的な条件下で、基質が存在する中で、酵素をインキュベーションし、そしてインキュベーションを十分な時間、進行させる。インキュベーション終了時、場合によって、1,3−ジエン産物の形成または遊離リン酸の形成を測定するための、あるいはそうでなければ、3−ヒドロキシアルク−4−エノエート基質またはATPまたは3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの消失を測定するための、当業者に知られる任意の検出系、例えばガスクロマトグラフィまたは比色分析試験を用いることによって、1,3−ジエン化合物の存在を測定する。
【0112】
好ましい態様において、天然反応を最適に模倣するため、あるいは触媒クレフト(catalytic cleft)中の静電または電気的補完を提供するため、補因子を添加する。例えば、本発明記載の方法で用いられる酵素の1つが、基質としてメバロン酸二リン酸(MDP)を天然に用いる酵素である場合、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートは、酵素−基質結合中、触媒クレフトにおいて大きな空間を空のまま残すが、これは、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートが一般的にMDPの断片に対応するためである。この空間を補因子で充填して、基質の失われた部分を置換することは、MDP分子を最も緊密に模倣する目的を有する。補因子は反応中に修飾されないため、したがって、触媒性の量でしか添加されないであろう。偶然、反応の補完的補因子が、別の基質の反応に対して陽性の効果を有する可能性もある。一般的に、補因子は、ホスホ無水物(phosphoanhydride)を含む任意の分子であってよく、そしてしたがって、一般包括式R−PO
2H−O−PO
3H
2(式中、Rは、特にH、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル基(好ましくは、1〜10または1〜5の炭素原子を有する)、または任意の他の一価有機基である)を有する任意の分子であってもよい。一般式R−O−PO
2H−CH
2−PO
3H
2(ホスホ無水物が、加水分解されない利点を有するメチレン架橋によって置換されている)を有する、メチレンジホスホン酸モノエステルに対応する類似のモチーフもまた、本発明の一部である。より一般的には、補因子は、一リン酸であってよく、またはさらにリン酸不含、前述の分子の類似体、あるいは酵素触媒部位において静電または電気的補完を提供することによって反応収率を改善可能である任意の他の分子であってもよい。補因子は、好適には、ピロリン酸イオンまたはメチル二リン酸の間で選択される。
【0113】
好ましい態様において、変換は、補助基質の存在下で起こり、前記補助基質は、好ましくは、ホスホ無水物を含有する化合物であり、そして好ましくはATP、rNTP、dNTPまたはこれらの分子のいくつかの混合物、ポリリン酸またはピロリン酸である。補助基質は、一般的に、宿主において存在する。しかし、別の特定の態様において、好ましくはATP、rNTP、dNTP、いくつかのrNTPまたはdNTPの混合物、ポリリン酸、および好ましくはピロリン酸、またはホスホ無水物を含有する化合物(一般式X−PO
3H
2に示されるようなもの)を反応に添加してもよい。
【0114】
脱炭酸工程、すなわち本明細書において、上に(ii)として定義する反応は、ATP消費を必要としないが、反応におけるATPの存在は有益でありうることが示されうる。ATPは、ATPがジホスホメバロン酸脱炭酸酵素のATP結合部位に結合することによって、タンパク質のフォールディングに影響を有しうると仮定される。実際、これは視覚的に観察可能である:精製酵素は沈殿する傾向があり、そしてATPの添加はこの効果を抑制する。ATPだけでなく、dATP、ADP、AMPあるいは他のNTPまたはdNTPのような他の類似の化合物もまたこの効果を有すると見なされる。したがって、好ましい態様において、本発明記載の方法は、補助基質としてATP、dATP、ADP、AMPまたはATP以外のNTPあるいはdNTPを用いて実行される。
【0115】
別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、培養中、酵素を産生する生物、好ましくは微生物の存在下で、実行される。したがって、本発明のこうした態様において、それぞれの酵素(単数または複数)を産生する生物、好ましくは微生物を用いる。好ましい態様において、(微)生物は、宿主によって産生される酵素(単数または複数)が産生宿主に対して異種性である点で組換え体である。該方法は、したがって、酵素を分離するかまたは精製する必要を伴わずに、培地中で直接実行可能である。特に好適な方式において、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートおよび/または3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを内因性に産生する天然または人工的特性を有し、そしてまた溶液中に存在する炭素供給源から直接1,3−ジエン化合物を産生するように、上に明記するような天然または修飾酵素(単数または複数)を過剰発現する(微)生物を用いる。
【0116】
例えば、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生する微生物を用いることによって、本発明記載の方法を実行してもよい。例えば、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)が、4−ペンテン酸上でまたは4−ペンテン酸およびペンタン酸の等モル混合物上で増殖させた際、3−ヒドロキシペント−4−エノエートからなるポリマーを産生可能であることが、Ulmerら(Macromolecules 27(1994), 1675−1679)に記載されている。
【0117】
さらに、Rodriguesら(Appl. Micobiol. Biotechnol. 43(1995), 880−886およびAppl. Microbiol. Biotechnol. 53(2000), 453−460)によって、ブルクホルデリア属(Burkholderia)種の特定の株が、単独の炭素およびエネルギー供給源として、グルコースまたはグルコネートを供給された際、3−ヒドロキシペント−4−エン酸を集積する能力を示すことが報告されている。したがって、本発明記載の1,3−ブタジエンの産生の1つの態様において、ロドスピリラム・ラブラムまたはブルクホルデリア属種などの、3−ヒドロキシ−ペンテン酸を産生可能であり、そして脱炭酸酵素(単数または複数)を過剰発現するように遺伝子操作されており、前記酵素(単数または複数)が好ましくは宿主微生物とは異なる生物に由来する、微生物を使用することが好ましい。遺伝子修飾は、例えば、酵素(単数または複数)をコードする、対応する遺伝子(単数または複数)の染色体内への組み込み、酵素をコードする配列の上流にあるプロモーターを含有するプラスミドからの酵素(単数または複数)の発現(プロモーターおよびコード配列は、好ましくは、異なる生物に由来する)、または当業者に知られる任意の他の方法にあってもよい。あるいは、他の細菌または酵母が特定の利点を有する可能性もあり、そしてこれらを選択してもよい。例えば、サッカロミセス・セレビシエのような酵母、サーマス・サーモフィルスのような好極限性細菌、あるいはクロストリジウム科(Clostridiae)、微細藻類、または光合成細菌などの嫌気性細菌を用いてもよい。
【0118】
例えばロドスピリラム・ラブラムまたはブルクホルデリア属種由来の3−ヒドロキシペント−4−エン酸型の合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子を単離すること、そして別の生物、特に微生物、例えば大腸菌(E. coli)またはサッカロミセス属、サーマス・サーモフィルスのような好極限性細菌、あるいはクロストリジウム科、微細藻類、または光合成細菌などの嫌気性細菌に、これらの遺伝子を導入することも考えられうる。
【0119】
本発明において用いられる生物は、原核生物または真核生物であってもよく、好ましくは、これらは、微生物、例えば細菌、酵母、真菌またはカビ、あるいは植物細胞または動物細胞である。特定の態様において、微生物は、細菌、好ましくはエシェリキア属(Escherichia)、さらにより好ましくは大腸菌種のものである。
【0120】
別の好ましい態様において、微生物は、エシェリキア属、好ましくは大腸菌種の組換え細菌であり、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを内因性に産生し、そしてこれらを1,3−ジエン化合物に変換するように修飾されている。
【0121】
さらなる好ましい態様において、微生物は真菌、より好ましくはサッカロミセス属、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)またはトリコデルマ属(Trichoderma)の真菌、そしてさらにより好ましくは、サッカロミセス・セレビシエ種、シゾサッカロミセス・ポンベ種、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)種またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)種である。特に好ましい態様において、微生物は、上に明記する酵素の発現のため、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生し、そしてこれらを1,3−ジエン化合物に変換する組換え酵母である。
【0122】
別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、上に明記するような酵素を発現する光合成微生物を利用する。好ましくは、微生物は光合成細菌または微細藻類である。さらにより好ましくは、こうした微生物は、1またはそれより多くの3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを内因性に産生する天然または人工的特性を有する。この場合、微生物は、溶液中に存在するCO
2から直接1,3−ジエン化合物を産生可能であるであろう。
【0123】
本発明記載の方法において、上記(i)に定義するような酵素を産生する1つの微生物および上記(ii)に定義するような酵素を産生する別の微生物を使用することもまた考えられうる。さらに、さらなる態様において、微生物の少なくとも1つは、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生可能であるか、または別の態様において、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生可能な方法においてさらなる微生物を用いる。
【0124】
別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、上に定義するような酵素を発現する多細胞生物を利用する。こうした生物の例は植物または動物である。
【0125】
特定の態様において、方法は、標準的培養条件(1気圧で30〜37℃、細菌の好気性増殖を可能にする発酵装置中)または非標準条件(例えば、高熱性生物の培養条件に対応するより高い温度)中で微生物を培養する工程を伴う。
【0126】
さらに好ましい態様において、本発明の方法は、微好気性条件で行われる。これは、注入した空気の量が、1,3−ジエン化合物を含有する気体流出物中の残渣酸素濃度を最小限にするように限定することを意味する。
【0127】
別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、さらに、反応を脱気して、気体1,3−ジエン化合物を収集する、すなわち例えば培養から脱気して産物を回収する工程を含む。したがって、好ましい態様において、反応中、気体型にある1,3−ジエン化合物を収集するための系の存在下で、方法を実行する。
【0128】
実際、短い1,3−ジエン化合物、および特にブタジエンは、室温および大気圧で、気体状態を採用する。本発明記載の方法は、したがって、液体培地からの産物の抽出を必要とせず、この工程は産業規模で行う場合には、常に非常にコストが掛かる。気体炭化水素の排除および貯蔵、ならびにそれらのありうる続く物理的分離および化学的変換は、当業者に知られる任意の方法にしたがって実行可能である。
【0129】
特定の態様において、方法はまた、気相に存在する1,3−ジエン化合物(例えばブタジエンまたはイソプレン)を検出する工程も含む。空気または別の気体の環境において産生される化合物の存在は、少量であっても、多様な技術を用いることによって、そして特に赤外または水素炎イオウ化検出を伴うガスクロマトグラフィ系を用いることによって、あるいは質量分析とカップリングすることによって、検出可能である。
【0130】
本発明はまた、1,3−ジエン化合物を産生するための方法であって、脱炭酸および脱リン酸化を通じて変換を触媒可能な酵素を用いることによって、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを、対応する1,3−ジエン化合物に酵素的に変換する工程を含む、前記方法にも関する。
【0131】
こうした方法で使用するのに好ましい酵素に関しては、上述のような、本発明記載の方法の(ii)と関連して上に示すような同じことが当てはまる。
【0132】
さらに、本発明記載の方法に関して、上述する他の好ましい態様に関しても、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するための方法に同じことが当てはまる。
【0133】
したがって、本発明は特にまた、テルペン・シンターゼの活性を有する酵素で、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを、1,3−ジエン化合物に変換する工程を含む点で特徴付けられる、1,3−ジエン化合物の産生のための方法にも関する。
【0134】
上述のように、本発明者らは、驚くべきことに、テルペン・シンターゼが、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの1,3−ジエン化合物への変換を触媒可能であることを見出した(実施例11および
図8を参照されたい)。用語「3−ホスホノキシアルク−4−エノエート」および「1,3−ジエン」は、本明細書に上述するものと同じ意味を有し、そして好ましい態様に関連して、上に記載しているものと同じことが当てはまる。したがって、1つの好ましい態様において、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートは3−ホスホノキシペント−4−エノエートであり、そして産生される1,3−ジエンは1,3−ブタジエンである。別の好ましい態様において、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートは、3−ホスホノキシ−4−メチルペント−4−エノエートまたは3−ホスホノキシ−3−メチルペント−4−エノエートであり、そして1,3−ジエンはイソプレンである。
【0135】
こうした方法において使用されるテルペン・シンターゼおよび対応する好ましい態様に関して、上に記載してきたものと同じことが当てはまる。
【0136】
本発明はまた、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するため、上記酵素、好ましくは少なくとも2つの酵素であって、一方の酵素が上に明記するような(i)より選択され、そして他方の酵素が上に明記するような(ii)より選択される、前記酵素を産生する、生物、好ましくは微生物の使用にも関する。好ましい態様において、こうした生物は、上記酵素の少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子の導入のため、遺伝子修飾されているという意味で、組換え生物である。好ましくは、こうした核酸分子は、生物に対して異種性であり、これは、前記生物において、該分子が天然には存在しないことを意味する。
【0137】
好ましい態様において、こうした生物は、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生する生物である。ロドスピリラム・ラブラムは、例えば、4−ペンテン酸上でまたは4−ペンテン酸およびペンタン酸の等モル混合物上で増殖させた際、3−ヒドロキシペント−4−エノエートからなるポリマーを産生可能である。さらに、ブルクホルデリア属種の特定の株は、単独の炭素およびエネルギー供給源として、グルコースまたはグルコネートを供給された際、3−ヒドロキシペント−4−エン酸を集積する能力を示す。
【0138】
したがって、1つの態様において、ロドスピリラム・ラブラムまたはブルクホルデリア属種のように3−ヒドロキシ−ペンテン酸を産生可能であり、そして脱炭酸酵素(単数または複数)を過剰発現するように遺伝子操作されており、前記酵素(単数または複数)が好ましくは宿主微生物とは異なる生物に由来する、微生物を使用する。また、例えばロドスピリラム・ラブラムまたはブルクホルデリア属種由来の3−ヒドロキシペント−4−エン酸型の合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子を単離すること、そして別の生物、特に微生物、例えば大腸菌またはサッカロミセス属、サーマス・サーモフィルスのような好極限性細菌、あるいはクロストリジウム科、微細藻類、または光合成細菌などの嫌気性細菌に、これらの遺伝子を導入することも考えられうる。
【0139】
したがって、本発明はまた、3−ヒドロキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するため、上記(i)に定義するような酵素をコードする核酸分子を含み、そして上記(ii)に定義するような酵素をコードする核酸分子を含む、生物、好ましくは微生物の使用にも関する。好ましい態様において、核酸分子の少なくとも1つは、生物に対して異種性であり、これは、前記生物において、該分子が天然には存在しないことを意味する。微生物は、好ましくは細菌、酵母または真菌である。別の好ましい態様において、生物は植物または非ヒト動物である。さらに好ましい態様において、生物は、1またはそれより多い3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを産生する生物である。他の好ましい態様に関して、本発明記載の方法と関連して上に記載するものと同じことが当てはまる。
【0140】
さらに、本発明はまた、上に定義するような微生物、適切な培地、および3−ヒドロキシアルク−4−エノエート化合物、または微生物によって3−ヒドロキシアルク−4−エノエート化合物に変換可能な炭素供給源にも関する。
【0141】
本発明はまた、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するため、上記のような脱炭酸酵素活性を有する酵素の使用、または少なくとも2つの酵素であって、一方の酵素が以下の(i)より選択され、そしてもう一方の酵素が以下の(ii)より選択される組み合わせの使用、あるいは生物、好ましくは微生物の使用、あるいは本発明による組成物の使用に関し、ここで(i)および(ii)は以下の通りである:
(i)3−ヒドロキシアルク−4−エノエートを、対応する3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを変換する活性を有する第一の酵素;および
(ii)第一の酵素とは異なり、そして脱炭酸反応によって、前記3−ホスホノキシアルク−4−エノエートを前記1,3−ジエン化合物に変換する活性を有する、第二の酵素。
【0142】
引用する異なる構成要素の好ましい態様に関して、本発明記載の方法と関連させて上述してきたものと同じことが当てはまる。
【0143】
本発明はまた、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートの脱リン酸化−脱炭酸によって、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン化合物を産生するためのテルペン・シンターゼの使用にも関する。
【0144】
本発明の他の側面および利点は、以下の実施例に記載され、これらは、例示目的のために提供され、そしていかなる意味でも限定の目的のためには提供されない。
【実施例】
【0145】
実施例1: 酵素のクローニング、発現および精製
クローニング、細菌培養およびタンパク質発現
研究する酵素をコードする遺伝子をpET 25bまたはpET 22bベクター(Novagen)中にクローニングした。一続きの6ヒスチジンコドンを、メチオニン開始コドン後に挿入して、精製用のアフィニティタグを提供した。熱ショック法にしたがって、コンピテント大腸菌BL21(DE3)細胞(Novagen)をこれらのベクターで形質転換した。形質転換細胞をZYM−5052自己誘導培地(Studier FW, Prot.Exp.Pur. 41, (2005), 207−234)上、振盪しながら(160rpm)37℃で6時間増殖させ、そしてタンパク質発現を28℃で一晩(およそ16時間)続けた。4℃、10,000rpmで20分間遠心分離することによって細胞を収集し、そしてペレットを−80℃で凍結した。
【0146】
タンパク質精製および濃縮。
【0147】
200mlの培養細胞由来のペレットを氷上で融解し、そして300mM NaCl、5ml MgCl
2および1mM DTTを含有する5mlのNa
2HPO
4 pH8中に再懸濁した。20マイクロリットルのリゾナーゼ(lysonase)(Novagen)を添加した。細胞を室温で10分間インキュベーションし、そして次いで氷上に20分間戻した。3x15秒間の超音波処理によって、細胞溶解を完了した。次いで、4℃、10,000rpmで20分間遠心分離することによって、細菌抽出物を清澄化した。清澄化した細菌溶解物をPROTINO−1000 Ni−TEDカラム(Macherey−Nagel)上に装填し、6−Hisタグ化タンパク質の吸着を可能にした。カラムを洗浄し、そして300mM NaCl、5mM MgCl
2、1mM DTT、250mMイミダゾールを含有する4mlの50mM Na
2HPO
4で、関心対照の酵素を溶出させた。次いで、溶出物を濃縮し、そしてAmicon Ultra−4 10kDa濾過装置(Millipore)上で脱塩し、そして0.5mM DTTおよび5mM MgCl
2を含有する0.25mlの50mM Tris−HCl pH7.5中に再懸濁した。NanoDrop 1000分光光度計(Thermo Scientific)上で直接UV280nm測定によってタンパク質濃度を定量化した。タンパク質純度は、70%〜90%で多様であった。
【0148】
実施例2: 3−ヒドロキシペント−4−エノエート・リン酸化活性の性質決定
3−ヒドロキシペント−4−エノエートからの1,3−ブタジエン産生に関連するADPの放出を、ピルビン酸キナーゼ/乳酸脱水素酵素カップリングアッセイを用いて定量化した(
図4)。Th.アシドフィルム、Th.ボルカニウムおよびS.ミティス由来の精製メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を、これらが3−ヒドロキシペント−4−エノエートをリン酸化し、ADPを放出する能力に関して評価した。
【0149】
研究する酵素反応を、37℃、以下の条件下で実施した:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
100mM KCl
5mM ATP
0.4mM NADH
1mM ホスホエノールピルビン酸
3U/ml 乳酸脱水素酵素
1.5U/ml ピルビン酸キナーゼ
50mM 3−ヒドロキシペント−4−エノエート
pHを7.5に調整した。
【0150】
特定の酵素(0.05〜1mg/mlの濃度)の添加によって各アッセイを開始し、そして340nmでの吸光度を追うことによって、NADHの消失を監視した。メバロン酸二リン酸(MDP)脱炭酸酵素でのアッセイは、3−ヒドロキシペント−4−エノエートの存在下で、ADP産生の再現可能な増加を生じさせた。サーモプラズマ・フィルム(Thermoplasma phylum)由来の酵素は、S.ミティス由来の脱炭酸酵素よりも高いホスホトランスフェラーゼ活性を示した(表3)。
【0151】
【表3】
【0152】
次いで、質量分析を適用して、Th.アシドフィルム由来のMDP脱炭酸酵素の突然変異体L200Eを用いたアッセイにおいて、3−ホスホノキシペント−4−エノエートの形成を確認した。
【0153】
実施例3: リン酸化反応の質量分析
以下の条件下で、望ましい酵素反応を実行した:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
10mM KCl
20mM 3−ヒドロキシペント−4−エノエート
20mM ATP
0.2mg/mlのTh.アシドフィルム(突然変異体L200E)由来の精製MDP脱炭酸酵素
酵素を含まない、基質を含まない、およびATPを含まない対照反応を平行して実行した。アッセイを振盪せずに37℃で一晩インキュベーションした。典型的には、200μl反応のアリコットを取り除き、遠心分離し、そして上清を清潔なバイアル中に移した。陰イオンモードで、エレクトロスプレーイオン化インターフェースを伴うEsquire 3000(Bruker)イオン捕捉質量分析装置上で、MSスペクトルを得た。3−ホスホノキシペント−4−エノエートの存在を評価した。MS分析は、酵素を含有する試料から、対応する3−ホスホノキシペント−4−エノエートに対応するm/z 194,9での[M−H]
−イオンを示したが、陰性対照からは示さなかった(
図5、6)。
【0154】
実施例4: 3−ヒドロキシペント−4−エノエート・リン酸化の反応の動力学的パラメータ
実施例2に記載するアッセイ条件下で、0〜30mMの間で基質濃度を変化させることによって、動力学的パラメータを決定した。
【0155】
図7は、Th.アシドフィルム由来のMDP脱炭酸酵素の突然変異体L200Eに関して収集したデータに対応するミカエリス・メンテン・プロットの例を示す。この酵素は、3.7mMのK
Mおよび0.09秒
−1のk
catを有することが見出された。
【0156】
実施例5: 3−ヒドロキシペント−4−エノエート由来のブタジエン産生
所望の酵素反応を、以下の条件下で行った:
50mM Tris HCl pH7.5
10mM MgCl
2
20mM KCl
50mM ATP
200mM 3−ヒドロキシペント−4−エノエート
pHを7.5に調整した。
【0157】
0.5mlの反応混合物に特定の酵素を添加することによって各アッセイを開始した。次いで、2mlの密封バイアル(Interchim)中、37℃で振盪しながらアッセイをインキュベーションした。対照反応を平行して実行した。48時間のインキュベーション後、反応混合物を以下のように分析した。0.5mLの各試料に、0.125mlのヘプタンを添加し、そして試料を25℃で1時間、振盪しながらインキュベーションした。FID検出装置を備えたVarian 430−GCクロマトグラフ上のガスクロマトグラフィ(GC)によって、上部ヘプタン相を分析した。Rt−アルミナBOND/Na
2SO
4カラム(Restek)および窒素キャリアーガスを用いて、GC上で1μL試料を分離した。各試料に関するオーブン周期は、130℃10分間、200℃の温度まで20℃/分で温度を増加させ、そして200℃で10分間維持するものであった。総実行時間は23.5分であった。市販の1,3−ブタジエン(Sigma)と比較することによって、酵素反応産物を同定した。ブタジエン産生の結果を表4に提示する。
【0158】
【表4】
【0159】
酵素を含まないアッセイにおいて観察される1,3−ブタジエン形成は、おそらく、3−ヒドロキシペント−4−エノエートの自発的分解のためである。S.ミティス由来のMDP脱炭酸酵素を添加すると、インキュベーション48時間後、ブタジエン産生の1.25倍の増加が導かれた。Th.アシドフィルム由来のMDP脱炭酸酵素およびS.ミティス由来のMDP脱炭酸酵素を組み合わせたアッセイにおいて、イソブテンの最高の産生が観察された。これは、アッセイ中に存在する2つの酵素が、3−ヒドロキシペント−4−エノエートからブタジエンを産生する反応の2つの工程:ATPから3−ヒドロキシペント−4−エノエートのC3−酸素への末端ホスホリル基のトランスファー、その後、中間体3−ホスホノキシペント−4−エノエートの脱リン酸化−脱炭酸の組み合わせを相補的に実行することを示した。
【0160】
実施例6: 3−ホスホノキシペント−4−エノエートからのブタジエン産生
3−ホスホノキシペント−4−エノエートは、カスタム合成に特化した企業、Syntheval(フランス)によって合成される。
【0161】
研究酵素反応を、37℃、以下の条件下で実行する:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
0〜20mM KCl
5mM ATP
0〜250mM 3−ホスホノキシペント−4−エノエート
pHを7.5に調整する。
【0162】
0.5mlの反応混合物に特定の酵素を添加することによって、反応を開始する。酵素不含対照反応を平行して行う。2ml密封バイアル(Interchim)中、37℃で振盪しながら、アッセイをインキュベーションする。72時間インキュベーション期間に渡ってサンプリングしたアリコットを分析することによって、ブタジエンの産生を測定する。反応混合物のヘッドスペース中の揮発性化合物を収集し、そして水素炎イオン化検出装置およびRt−アルミナBOND/Na
2SO
4カラム(Restek)を装備したVarian 430−GCクロマトグラフ内に直接注入する。さらに、実施例5に記載するようなガスクロマトグラフィを用いて、反応混合物の分析によって、1,3−ブタジエン産生を監視する。市販の1,3−ブタジエンを参照として用いる。
【0163】
実施例7: 3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエート・リン酸化活性の性質決定
3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエートからのイソプレン産生に関連するADPの放出を、ピルビン酸キナーゼ/乳酸脱水素酵素カップリングアッセイを用いて定量化する(
図4)。精製メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を、これらがこの基質をリン酸化し、ADPを放出する能力に関して評価する。
【0164】
研究する酵素反応を、37℃、以下の条件下で実施する:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
100mM KCl
5mM ATP
0.4mM NADH
1mM ホスホエノールピルビン酸
3U/ml 乳酸脱水素酵素
1.5U/ml ピルビン酸キナーゼ
50mM 3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエート
特定の酵素(0.05〜1mg/mlの濃度)の添加によって各アッセイを開始し、そして340nmでの吸光度を追うことによって、NADHの消失を監視する。
【0165】
実施例8: 3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエート・リン酸化活性の性質決定
3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートからのイソプレン産生に関連するADPの放出を、ピルビン酸キナーゼ/乳酸脱水素酵素カップリングアッセイを用いて定量化する(
図4)。精製メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素を、これらがこの基質をリン酸化し、ADPを放出する能力に関して評価する。
【0166】
研究する酵素反応を、37℃、以下の条件下で実施する:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
100mM KCl
5mM ATP
0.4mM NADH
1mM ホスホエノールピルビン酸
3U/ml 乳酸脱水素酵素
1.5U/ml ピルビン酸キナーゼ
50mM 3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエート
特定の酵素(0.05〜1mg/mlの濃度)の添加によって各アッセイを開始し、そして340nmでの吸光度を追うことによって、NADHの消失を監視する。
【0167】
実施例9: 3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエートからのイソプレン産生
研究する酵素反応を、37℃、以下の条件下で実施する:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
20mM KCl
5mM ATP
0〜200mM 3−ヒドロキシ−3−メチルペント−4−エノエート
pHを7.5に調整する。
【0168】
0.5mlの反応混合物への1つまたは2つの特定の酵素(単数または複数)の添加によって反応を開始する。酵素不含対照反応を平行して実行する。2mlの密封バイアル(Interchim)中、37℃で振盪しながらアッセイをインキュベーションする。ヘッドスペース中に存在するガスを収集し、そして水素炎イオン化検出装置とカップリングさせたガスクロマトグラフィによって分析する。市販のイソプレン(Sigma)と比較することによって、酵素反応産物を同定する。
【0169】
実施例10: 3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエートからのイソプレン産生
研究する酵素反応を、37℃、以下の条件下で実施する:
50mM Tris−HCl pH7.5
10mM MgCl
2
20mM KCl
5mM ATP
0〜200mM 3−ヒドロキシ−4−メチルペント−4−エノエート
pHを7.5に調整する。
【0170】
0.5mlの反応混合物への1つまたは2つの特定の酵素の添加によって反応を開始する。酵素不含対照反応を平行して実行する。2mlの密封バイアル(Interchim)中、37℃で振盪しながらアッセイをインキュベーションする。ヘッドスペース中に存在するガスを収集し、そして水素炎イオン化検出装置とカップリングさせたガスクロマトグラフィによって分析する。市販のイソプレン(Sigma)と比較することによって、酵素反応産物を同定する。
【0171】
実施例11: テルペン・シンターゼを用いることによる、3−ホスホノキシペント−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの産生
クズ由来のゲノムから推測されるイソプレン・シンターゼの配列(Uniprot Q6EJ97)を、大腸菌のコドン用法に適合するオリゴヌクレオチド連結によって生成した。酵素のアミノ酸配列を配列番号30に示す。一続きの6ヒスチジンコドンを、メチオニン開始コドン後に挿入して、精製用のアフィニティタグを提供した。こうして合成した遺伝子をpET 25b(+)発現ベクター中にクローニングした(該ベクターはGeneArt AGによって構築された)。対応する酵素を大腸菌中で発現させ、そして実施例1に記載するように精製した。
【0172】
反応を密封バイアル中で行った。総体積は0.5mlであった。最終濃度は、5mg/ml酵素、50mM 3−ホスホノキシペント−4−エノエート、4mM DTT、50mM MgCl
2、50mM KCl、50mM Tris−HCl緩衝液pH7.5であった。インキュベーションを37℃で24時間行った。酵素を含まないまたは基質を含まない対照反応を同じ条件下で平行して行った。
【0173】
反応の気体相1mlを収集し、そして1.5ml/分の流速で、130℃でのイソクラチック溶出およびキャリアーガスとしての窒素とともに、RTX−アルミナカラム(Varian)を用いる、水素炎イオン化検出装置(GC−FID)を伴うガスクロマトグラフィ(Brucker GC 450)によって分析した。これらの条件において、市販の1,3−ブタジエンの保持は、7.4分であった。
【0174】
結果:基質を含まない場合、1,3−ブタジエンの形成は観察されなかった。酵素を含まないおよび適切でない酵素を含む反応のGC分析によって、3−ホスホノキシペント−4−エノエートの熱分解から生じるわずかな痕跡のブタジエンしか示されなかった。触媒試験によって、クズ由来の精製イソプレン・シンターゼの存在下で、ブタジエン産生の有意な増加が示された。酵素の非存在下で産生されるブタジエンに対して、イソプレン・シンターゼの存在下で24時間インキュベーションした後に産生されるブタジエンの比は、ブタジエンピーク面積から判断すると約5倍である(
図8)。これらの結果は、明らかに、イソプレン・シンターゼなどのテルペン・シンターゼが、3−ホスホノキシアルク−4−エノエートから1,3−ジエン、特に3−ホスホノキシペント−4−エノエートから1,3−ブタジエンの変換を触媒することを示す。