(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231015
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】繊維強化された成形部材の製造中に繊維スクリムから三次元のプリフォームを製造する方法並びに装置
(51)【国際特許分類】
B29B 11/12 20060101AFI20171106BHJP
B29C 39/18 20060101ALI20171106BHJP
B29C 31/08 20060101ALI20171106BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
B29B11/12
B29C39/18
B29C31/08
B29K105:08
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-552630(P2014-552630)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公表番号】特表2015-509055(P2015-509055A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2013050912
(87)【国際公開番号】WO2013107849
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2016年1月13日
(31)【優先権主張番号】102012200699.0
(32)【優先日】2012年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512024314
【氏名又は名称】ディーフェンバッハー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング マシーネン− ウント アンラーゲンバウ
【氏名又は名称原語表記】Dieffenbacher GmbH Maschinen− und Anlagenbau
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス グラーフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス フュアスト
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン メアティエンス
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−168009(JP,A)
【文献】
特開平06−270149(JP,A)
【文献】
特開2004−276355(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/104980(WO,A1)
【文献】
特開昭53−090414(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02156729(GB,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00473422(EP,A1)
【文献】
特開平04−234611(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/062825(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/062828(WO,A1)
【文献】
特開平08−300379(JP,A)
【文献】
特表2015−509868(JP,A)
【文献】
特開昭56−082220(JP,A)
【文献】
米国特許第05882462(US,A)
【文献】
特表2015−505337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/00−11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維スクリム(1)のための賦形装置(3)及び搬送装置(21)を用いて、繊維強化された成形部材(19)の製造中に前記繊維スクリム(1)から三次元のプリフォーム(17)を製造する方法であって、
前記賦形装置(3)は少なくとも、前記繊維スクリム(1)のための賦形型(18)と、該賦形型(18)に対して移動可能で前記賦形型(18)の輪郭に相応して前記繊維スクリム(1)を成形加工し且つ前記賦形型(18)に対して前記繊維スクリム(1)を固定するための複数の賦形パンチ(5)と、を有している、又は、
前記賦形装置(3)は、前記賦形型(18)と、前記賦形パンチ(5)と、前記賦形型(18)に対して前記繊維スクリム(1)を固定するための固定パンチ(4)と、を有している、方法において、
前記搬送装置(21)によって前記繊維スクリム(1)を前記賦形型(18)内に供給し、
前記賦形装置(3)が前記賦形型(18)及び前記賦形パンチ(5)だけを有している場合には、前記搬送装置(21)を前記繊維スクリム(1)の一部との係合外に移動することにより自由になった前記繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において固定し且つ賦形し、又は、
前記賦形装置(3)が前記賦形型(18)と前記賦形パンチ(5)と固定パンチ(4)とを有している場合には、前記自由になった繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、前記固定パンチ(4)を用いて前記賦形型(18)において固定し、且つ前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において賦形することを特徴とする、繊維スクリムから三次元のプリフォームを製造する方法。
【請求項2】
前記自由になった繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において次々と連続的に賦形する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記繊維スクリム(1)を前記搬送装置(21)において加熱する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
既に温度調整された繊維スクリム(1)の温度を、前記搬送装置(21)において設定された最低温度に調節する及び/又は保ち、最低温度は、繊維スクリム(1)の内部における固着剤の融点に相当する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記賦形パンチ(5)又は前記固定パンチ(4)及び前記搬送装置(21)によって、前記繊維スクリム(1)を応力下に保つ、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
応力を発生させるために、押さえ装置(6)を前記搬送装置(21)において又は該搬送装置(21)内において使用する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記搬送装置(21)として、単数又は複数のベルトトレイ(8)及び単数又は複数のトレイ(7)から成る組合せを使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
繊維強化された成形部材(19)の製造中に繊維スクリム(1)から三次元のプリフォーム(17)を製造する装置であって、当該装置は、前記繊維スクリム(1)のための賦形装置(3)及び搬送装置(21)を有していて、
前記賦形装置(3)は少なくとも、前記繊維スクリム(1)のための賦形型(18)と、該賦形型(18)に対して移動可能で前記賦形型(18)の輪郭に相応して前記繊維スクリム(1)を成形加工し且つ前記賦形型(18)に対して前記繊維スクリム(1)を固定するための複数の賦形パンチ(5)と、を有している、又は、
前記賦形装置(3)は、前記賦形型(18)と、前記賦形パンチ(5)と、前記賦形型(18)に対して前記繊維スクリム(1)を固定するための固定パンチ(4)と、を有している、装置において、
前記搬送装置(21)に又は前記搬送装置(21)として、前記繊維スクリム(1)を前記賦形型(18)内に供給する手段が配置されており、
前記賦形装置(3)が前記賦形型(18)及び前記賦形パンチ(5)だけを有している場合には、前記搬送装置(21)を前記繊維スクリム(1)の一部との係合外に移動することにより自由になった前記繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、移動可能な前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において固定し且つ賦形するのに適した装置が、前記賦形装置(3)に配置されており、又は、
前記賦形装置(3)が前記賦形型(18)と前記賦形パンチ(5)と固定パンチ(4)とを有している場合には、前記自由になった繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、移動可能な前記固定パンチ(4)を用いて前記賦形型(18)において固定し、且つ移動可能な前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において賦形するのに適した装置が、前記賦形装置(3)に配置されていることを特徴とする、繊維スクリムから三次元のプリフォームを製造する装置。
【請求項9】
前記自由になった繊維スクリム(1)の前記一部の領域を、前記賦形パンチ(5)を用いて前記賦形型(18)において次々と連続的に賦形するのに適した装置が、前記賦形装置(3)に配置されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記搬送装置(21)に温度調整装置が、少なくとも、予加熱された繊維スクリム(1)の温度を保つため及び/又は、前記繊維スクリム(1)の内部における固着剤の融点を超える温度に前記繊維スクリム(1)を加熱するために配置されている、請求項8又は9記載の装置。
【請求項11】
前記搬送装置(21)として少なくとも、2部分から成るトレイ(7)及びベルトトレイ(8)が配置されている、請求項8から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記搬送装置(21)の前記繊維スクリム(1)に応力を加えるために、該繊維スクリム(1)のための押さえ装置(6)が前記搬送装置(21)に対して又は該搬送装置(21)に配置されている、請求項8から11までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載した、繊維強化された成形部材の製造中に繊維スクリムから三次元のプリフォームを製造する方法、並びに、請求項8の前段部に記載した、繊維強化された成形部材の製造中に繊維スクリムから三次元のプリフォームを製造する装置に関する。
【0002】
繊維複合構成部材とも呼ばれる、繊維強化されたプラスチック構成部材の製造中には、特にレジントランスファモールディング法(以下、略してRTM法と呼ぶ)が特に産業的に使用されている。使用可能なプラスチック構成部材を得るまでの全ての製造プロセスは、連続的に実行される複数の個別プロセスから成っている。第1の方法ステップにおいて、最終輪郭に似たプリフォーム/繊維半製品が製造される。このプリフォームプロセスでは、一般的に多層の織布又は繊維スクリム(Fasergelege)が、通常、二次元形状で、積み重ねられるか又は場合によっては接合(縫合、溶接、接着)され、その結果繊維織布積層体はほぼ既に、必要な外輪郭を有していて、部分的にはまた既に特別な層又は層厚さをも有している。好ましくは、スクリムの分離平面に固着剤が挿入される。この固着剤によって、成形加工された三次元形状が得られた後で、かつ固着剤の活性及び硬化の後で、層同士がセットされ、立体賦形(drapieren)(以下、単に賦形と呼ぶ)された三次元輪郭が得られる。プリフォームプロセスのために、織布積層体は次いで成形加工型内に移動させられ、多くの場合成形加工型の型締めによる圧力下で、後の成形部材の輪郭にまで近づけられ、固着剤の活性化(加熱及び冷却)によって硬化させられ、これによって、繊維半製品を、最終輪郭に近づけた状態で、RTM法自体を実施するためのプレス型内に装入することができる。必要に応じて、繊維半製品はさらに後切断されるか又は設定された箇所で打抜き加工され、これによって、さらに正確な輪郭が得られる。型内への繊維半製品の装入後、型半部が型締めされ、必要な樹脂が型のキャビティ内に注入される。この際に樹脂は、繊維半製品の繊維組織に含浸し、繊維を封じ込めて、樹脂マトリックス内に固く結合させる。樹脂の硬化後、繊維強化されたプラスチック構成部材を離型することができる。RTM法それ自体と並んで、既に繊維半製品の製造は、プラスチック構成部材を製造する際の成否を決める礎となっている。公知先行技術には、プリフォームを製造するための多数の可能性が記載されていることが分かっている。しかしながら、これらの可能性は、一般的に、可能な限り平らな繊維織布積層体を手で製造するか又は自動化して製造することで限界に達している。この繊維織布積層体はプレス内で最終的に二次元形状から三次元形状に変換される。このことは、予め固定された(例えば縫合された)状態又はまだフレキシブルな状態で実施することができる。目的は、形状付与後、RTMプレスの型内に完全に自動化してプロセス確実に装入することができるか又は更なる使用のために搬送しかつ積層することもできるようにするのに、十分な曲げ剛性を有するプリフォームを得ることである。プリフォームの製造、成形加工及びセットについては、関連した先行技術において多数の可能性が存在している。
【0003】
RTM法それ自体と並んで、既に繊維半製品の製造は、プラスチック構成部材を製造する際の成否を決める礎となっている。目的は、曲がりやすい材料からのプリフォームの形状付与後に、RTMプレスの型内に完全に自動化してプロセス確実に装入することができるか又は更なる使用のために搬送しかつ積層することもできるようにするのに、十分な曲げ剛性を有するプリフォームを得ることである。プリフォームの製造、成形加工及びセットについては、関連した先行技術において多数の可能性が存在している。
【0004】
繊維織布から成る多層の二次元の断裁を三次元に成形加工するためには、以下の方法ステップが公知である。すなわち、繊維織物又は繊維スクリムはロールから繰り出され、必要に応じて、複数の異なった織布又はスクリム、形状及び寸法から、繊維積層体にまとめられる。この場合、外輪郭及び場合によっては内輪郭をプリフォームもしくはプラスチック成形部材の型紙に相応して加工又は裁断することが、必要なことがある。型紙はこの場合、プリフォーム又は最終構成部材の展開図から生ぜしめられる。好ましくは次いで、得られたほぼ平らな繊維積層体が賦形装置を用いて賦形される、もしくは三次元のプリフォームに成形加工される。曲がりやすい繊維織布から、著しく高剛性のプリフォームを得るために、大抵は、個々の層の間に固着剤を装入し、次いで硬化させることが必要である。
【0005】
そのために従来の技術では、繊維織布もしくは繊維積層体は、適宜な加熱装置を用いて加熱され、比較的低温又は低温の賦形型に装入される。次いで素早く賦形型を型締めし又は相応に賦形し、これによって固着剤を硬化させることができる。特に、複雑な幾何学形状又は大面積の繊維スクリムでは、部分的に良好な熱伝達によって冷却がなされると、繊維スクリム内における固着剤の予備凝固が発生し得ることが分かっている。そして型の型締めは、成形加工時における問題を生ぜしめる。それというのは、剛性の又は硬化した領域はブレーキとして働き、例えば繊維スクリムの個々の層に対する不本意なストレスとして作用するからである。そしてその結果、ずれ、皺(Knitterfalten)又は同様な問題が、繊維スクリムの複雑な構造において発生し、これによって後の構成部材の首尾一貫性及び価値を維持することが危険にさらされる。このことを回避するために、通常、固着剤の溶融温度又は活性化温度を明らかに超えた温度に加熱され、これによって、繊維スクリムにおいて極めて不都合なゆがみが生じることがあり、かつそれと共に不要なエネルギ消費も生じることになる。また、強く加熱された繊維スクリムはもはや良好に取り扱うことができない。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、特に大面積の及び/又は複雑な幾何学形状の、素早い成形加工にも拘わらず、プリフォームの高価値の成形加工を保証することができる方法及び装置を提供することである。
【0007】
この課題を解決するために、本発明による方法では、搬送装置は繊維スクリムを次々と賦形型に向かって供給し、繊維スクリムが供給された領域を、固定パンチ及び/又は賦形パンチを用いて賦形型において固定及び/又は賦形する。
【0008】
この場合繊維スクリムを搬送装置において加熱すると好適である。この場合、既に温度調整された繊維スクリムの温度は、搬送装置において、設定された最低温度に調節されかつ/又は保たれる。この場合この最低温度は好ましくは繊維スクリムの内部における固着剤の融点に相当することができる。賦形パンチ又は固定パンチ及び搬送装置によって、賦形工程中に繊維スクリムを応力下に保つ。応力を発生させるために、押さえ装置を搬送装置において又は該搬送装置内において使用することができる。特に、搬送装置として、単数又は複数のベルトトレイ及び単数又は複数のトレイから成る組合せを使用する。
【0009】
前記課題を解決するために、本発明による装置では、搬送装置に又は搬送装置として、繊維スクリムを次々と賦形型に向かって供給する手段が配置されており、搬送装置からの繊維スクリムの供給に相応して、移動可能な固定パンチ及び/又は賦形パンチを用いて賦形型において繊維スクリムを固定又は賦形するのに適した装置が、賦形装置に配置されている。
【0010】
本発明による装置の特別な態様では、搬送装置に温度調整装置が、少なくとも、予加熱された繊維スクリムの温度を保つため及び/又は、繊維スクリムの内部における固着剤の融点を超える温度に繊維スクリムを加熱するために配置されている。
【0011】
このような簡単な手段によって、特に繊維スクリムを常に最適な温度で、しかしながら次々と賦形することが可能である。賦形装置内への繊維スクリムの簡単な搬送及び、次いで行われるもはや再現可能ではない賦形は、もはや必要ではない。そして所望のように、複雑な形状を賦形すること、及び設定されたプロセスが可能にするような数の繊維スクリムを供給もしくは賦形することできる。
【0012】
本発明による装置は、特に本発明による方法を実施するのに適しているが、しかしながらまた、方法とは無関係に独立して運転することも可能である。
【0013】
本発明の対象の別の好適な処置及び構成は、従属請求項及び図面を参照した下記の説明に記載されている。
【0014】
図面に示された組合せの可能性はすべて、それ自体単独で独立して使用することも、如何なる組合せにおいても利用可能である。特に個々の文は、独立した特徴としても評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】予備成形されたプリフォームを使用してプレス内において、繊維強化された構成部材を製造する、大規模工業で使用される設備を概略的に示す側面図である。
【
図2】賦形装置における繊維スクリムのための搬送装置として分割されたトレイを使用する実施形態の、賦形型内に繊維スクリムを歩進的に又は連続的に下ろす際の第1段階を示す図である。
【
図3】
図2に示した実施形態の第2段階を示す図である。
【
図4】
図2に示した実施形態の第3段階を示す図である。
【
図5】
図2に示した実施形態の第4段階を示す図である。
【
図6】
図2に示した実施形態の第5段階を示す図である。
【
図7】
図2に示した実施形態の第6段階を示す図である。
【
図8】賦形装置における繊維スクリムのための搬送装置としてベルトトレイを使用する実施形態の、賦形型内に繊維スクリムを歩進的に又は連続的に下ろす際の第1段階を示す図である。
【
図9】
図8に示した実施形態の第2段階を示す図である。
【
図10】
図8に示した実施形態の第3段階を示す図である。
【
図11】
図8に示した実施形態の第4段階を示す図である。
【
図12】
図8に示した実施形態の第5段階を示す図である。
【
図13】
図8に示した実施形態の第6段階を示す図である。
【0016】
図1には、予備成形されたプリフォーム17を使用してRTMプレス15において繊維強化された成形部材19を製造する、大規模工業で使用される設備が、概略的に側面図で示されている。プリフォーム17を製造するために、初めに、単数又は複数の種々異なった繊維マット10が、好ましくは巻成品(Rollenware)として準備され、切断装置11を備えた切断テーブル12において個別の繊維マット断裁(図示せず)に切断される。繊維マット断裁の輪郭は、ほぼプリフォーム17又は成形部材19の輪郭と一致していてよく、しかしながら、そのうちの設定された部分幾何学形状が製造されても良い。次いで繊維マット断裁は、適宜な搬送装置(これは
図1において湾曲した方向矢印によって示されている)を用いて、ワニス塗布装置13を通して移動させられ、そこで固着剤(Bindemittel)を供給され、その後で繊維マット断裁は1つの繊維スクリム(Fasergelege)1にまとめられる。設備に応じて、次いで完成した繊維スクリム1は、加熱装置2によって温度調整され、好ましくは、少なくとも固着剤の溶融温度に相当する温度に高められる。次に繊維スクリム1は賦形装置3内にもたらされ、そこで適宜な手段を用いて賦形型18の輪郭に沿って成形加工される。賦形装置3の賦形型18によって、繊維スクリム1は冷却され、プリフォーム17に凝固され、このプリフォーム17は、多くの場合問題なく積層体16に積み重ねることができ、プリフォーム17はその後で、RTMプレス15において強化された成形部材19にプレスされる。
【0017】
図2〜
図7には、ここでは2分割されたトレイ(Tablett)7として形成された、可能な搬送装置21が示されている。図面を見易くするために、任意の温度調整装置を特別に図示することは省かれている。繊維スクリム1が予加熱されて、又は常温で搬送装置21上に載置されると、搬送装置21は繊維スクリム1を、例えばトレイ7内に配置された又は一緒に移動するようにトレイ7の上に配置された温度調整装置によって、加熱することができるか、又は繊維スクリム1に既に存在する温度を少なくとも固着剤の融点以上に保つことができる。
【0018】
搬送装置21が賦形装置3内に走入すると、2分割されたトレイ7ではトレイ7の第1の部分は、繊維スクリム1の一部との係合外に移動することができる。この場合、どのようにトレイ7の第1の部分がトレイ7の第2の部分自体の中に折り込まれるか、進入するか又はこれに類した動作を行うか、又はどのようにトレイ7の第1の部分が賦形装置3から走出するかに関しては、種々様々な可能性が考えられる。この場合、トレイ7の部分の必要な数は複数であり、これらの部分のうちの少なくとも1つは、好ましくはすべては、温度調整の可能性を、つまり温度調整装置を有していることが可能である。好ましくは、しかしながら必ずしも必要なことではないが、第1の固定パンチ4又は賦形パンチ5は、繊維スクリム1の自由になった領域を賦形型18において相応に固定し、この際に場合によっては成形加工をも実施することができる。そして個々の機械エレメントの摩擦抵抗に応じて、トレイ7の第2の部分が賦形装置3から外に、必要に応じて歩進的に又は連続的に移動し始めることができる。
図3〜
図7に示されているように、賦形方向20に進入する賦形パンチ5は、繊維スクリム1の「自由に」なった領域(これはもはや搬送装置に載置されていない領域)に相応して、繊維スクリム1を賦形型18の輪郭に相応して成形加工する。このことは図示の実施形態では、4つの賦形パンチ5が賦形方向20で連続的に移動することによって行われる。これによって、賦形型18のすべての領域において、均一に予加熱されたもしくは温度調整された繊維スクリム1が、プリフォーム17へと成形加工される。
【0019】
図8〜
図13では、トレイ7の代わりに搬送装置21としてベルトトレイ(Bandtablett)8が配置されている。このベルトトレイ8は、本発明によれば同様に2分割されている(図示せず)か、又は、繊維スクリム1の少なくとも一部を支持するトレイ7が支持のために配置されていてよい。
図8〜
図13においても、温度調整装置は図示されていないが、ベルトトレイ8に載置された繊維スクリム1を相応に温度調節するため又は繊維スクリム1の温度を保つためには、設けられていると効果的であると言える。ベルトトレイ8の循環するベルト9と同時に行われるベルトトレイ8の相対運動とによって、繊維スクリム1は優しく賦形型18内に下ろすことができる。固定パンチ4を用いた繊維スクリム1の第1の部分の固定は、特に複雑な幾何学形状の場合に、用心のために行うことができるが、しかしながら賦形型18が単純な幾何学形状を有する場合には不要である。
【0020】
賦形パンチ5の代わりに、他の適宜な手段を賦形のために設けることも可能である。
【0021】
温度調整装置は、対流放熱器として形成されていても、又は、搬送装置21のための(抵抗)加熱装置として構成されていてもよい。好ましくは前記トレイ7は相応な温度、つまりトレイ7から放射される放射熱を用いて繊維スクリム1を相応に加熱するのに十分な温度、又は場合によってはトレイ7が有する少なくとも固着剤の融点を上回る十分な温度を保つのに十分な温度に加熱される。
【0022】
使用例に応じて搬送装置21は、複数に分割されていてよく、個々に退出することによって又は前記可能性の組合せによって、繊維スクリム1を規定に相応して下ろすことができる。特に、例えば中央又は縁部領域において又は2つ以上のポイントにおいて、繊維スクリム1の下ろしと同時に賦形が開始されねばならないような態様も可能である。しかしながら例えば時間のかかる賦形時には、まだ賦形されていない、賦形型18に下ろされた繊維スクリム1が十分な温度に加熱されるという態様も可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 繊維スクリム
2 加熱装置
3 賦形装置
4 固定パンチ
5 賦形パンチ
6 押さえ装置
7 トレイ
8 ベルトトレイ
9 ベルト
10 繊維マット
11 切断装置
12 切断テーブル
13 ワニス塗布装置
14 プリフォーム
15 RTMプレス
16 積層体
17 プリフォーム
18 賦形型
19 成形部材
20 賦形方向
21 搬送装置