特許第6231025号(P6231025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231025非規則的な電極による容量の測定方法及びかかる方法を実装する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231025
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】非規則的な電極による容量の測定方法及びかかる方法を実装する装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171106BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/041 422
   G06F3/041 512
   G06F3/044 124
【請求項の数】25
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-561377(P2014-561377)
(86)(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公表番号】特表2015-510210(P2015-510210A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2013054729
(87)【国際公開番号】WO2013135575
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】1252271
(32)【優先日】2012年3月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516026309
【氏名又は名称】クイックステップ テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ルオン ブリュノ
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/005977(WO,A2)
【文献】 特表2012−533122(JP,A)
【文献】 特開2012−014500(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02381344(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R27/00−27/32
G06F 3/01
3/03−3/0489
H03K17/74−17/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の検出のためにヒューマンマシンインターフェースデバイスに組み込まれた少なくとも2つの独立電極に対する前記物体の絶対容量の測定方法であって、
a)各電極について、電極と物体との間の絶対静電容量の値測定することと、
a’)絶対静電容量の実際値に多変数非線形予測モデルを適用することによって予測が行われて確率密度のイメージを得ること
を含むことを特徴とし、前記確率密度は前記ヒューマンマシンインターフェースデバイスに関連する前記物体の位置及び距離の一以上の検出に用いられる補正された絶対静電容量値とみなされるものである、測定方法。
【請求項2】
多変数非線形予測モデルが、
−前記少なくとも2つの電極に対する複数の物体位置について得られる絶対静電容量の実際値と、
−理想化された電極に対する複数の物体位置について得られる確率密度のイメージと
に基づく非線形回帰によって得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)において、測定された絶対静電容量の値からベクトルVrawが構成され、そしてa’)における予測が、
b)少なくともベクトルVrawに第一の非線形変換F2を適用してベクトルX2を得ることと
c)アフィン変換を適用してベクトルX2に行列M2を乗じ翻訳ベクトルY02を加算することによってベクトルY2を得ることであって、前記行列M2は物体の存在下に非規則的な表面の電極上で得られる絶対静電容量の実際値のベクトルと物体の存在下に理想化された電極に対して得られる仮想値のベクトルとの間の転送行列である、ベクトルY2を得ることと
d)少なくともベクトルY2に第一の非線形変換F2の逆である第二の非線形変換を適用して補正ベクトルV_corrを得ることと、及び
e)前記物体の検出に絶対静電容量の値として補正ベクトルV_corrを使用することと
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
関数F2がF2(Vraw)=1/Vrawであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
関数F2がF2(Vraw)=1/(Vraw/Vmax+β)[式中、Vmaxは所定の最大電圧であり、βは正の数である]であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
関数F2がF2(Vraw)=Vraw/Vmax[式中、Vmaxは所定の最大電圧である]であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、a)の後、更に
−ベクトルVrawの値をフィルタリングしてベクトルVinf_rawを得ることと
−ベクトルVinf_rawに非線形変換F1を適用してベクトルX1を得ることと
−アフィン変換を適用してベクトルX1に行列M1を乗じ翻訳ベクトルY01を加算することによってベクトルY1を得ることであって、前記行列M1は、検出物体の非存在下に非規則的な表面の電極上で得られる絶対静電容量の実際値のベクトルと検出物体の非存在下における仮想値のベクトルとの間の転送行列である、ベクトルY1を得ることと
−ベクトルY1に非線形変換F1の逆である非線形変換を適用して補正ベクトルVinf_corrを得ることと
−次いで、b)〜e)を実行することであって、b)において、非線形変換F2をベクトルVraw及びVinf_rawに適用してVraw及びVinf_rawの関数であるベクトルX2を得;そしてd)において、第一の非線形変換F2の逆である第二の非線形変換をベクトルY2及びVinf_corrに適用してY2及びVinf_corrの関数である補正ベクトルV_corrを得る、b)〜e)を実行することと
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
関数F1がF1(Vraw)=1/Vrawであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
関数F1がF1(Vraw)=1/(Vraw/Vmax+β)[式中、Vmaxは所定の最大電圧であり、βは正の数である]であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
関数F1がF1(Vraw)=Vraw/Vmax[式中、Vmaxは所定の最大電圧である]であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
関数F2がF2(Vraw,Vinf*)=Vraw/Vinf*;Vinf*は、b)における非線形変換のときにVinf_rawに等しく、そしてd)における逆非線形変換のときにVinf_corrに等しい、であることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
関数F2がF2(Vraw,Vinf*)=1−(Vraw/Vinf*);Vinf*はb)における非線形変換のときにVinf_rawに等しく、そしてd)における逆非線形変換のときにVinf_corrに等しい、であることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
e)の間に補正ベクトルV_corrの正規化をさらに含み、前記正規化は
−補正ベクトルV_corrをフィルタリングしてフィルタリングされたベクトルV_corr_fを得ることと、
−該フィルタリングされたベクトルV_corr_fを用いて補正ベクトルを正規化して正規化されたベクトルV_corr_norを得ること
を含むことを特徴とする、請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
フィルタリングが以下の式:
V(t0)=max{V(t):t∈(−∞,t0)};t0は測定の瞬間であり、V(t)はフィルタリングが適用されるベクトルであり、tは時間インデックスである、
に従って得られることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
フィルタリングが以下の式:
V(t0)=max{V(t):t∈(t0−ウィンドウサイズ,t0)}[式中、ウィンドウズサイズは自動キャリブレーション窓の時間期間であり、t0は測定の瞬間であり、V(t)はフィルタリングが適用されるベクトルであり、tは時間インデックスである]に従って得られることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
フィルタリングが、フィルタリングが適用されるベクトルを所定のベクトルに置き換えることによって得られることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
行列Mが部分最小二乗法によって得られ、仮想値のベクトルが理想化された電極に対して得られる値のベクトルであることを特徴とする、請求項3〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
電極に対する多数の正確な物体の位置から生じる確率密度関数のサンプリングから行列Mが得られ、仮想値のベクトルがその値が存在確率であるベクトルであることを特徴とする、請求項3〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
確率密度関数が物体の各水平位置に中心を持った2Dガウス分布であり、その幅が物体の垂直位置に依存しており、このガウス分布が下記式:
Gj(t)=A(z0)*exp[−((xj−xo)2+(yj−yo)2)/σ(zo)2
[上式中、(xj,yj)は電極を含む検出表面上の規則的なグリッドの座標であり;(xo(t),yo(t),zo(t))は検出表面に最も近い物体のエッジの3D座標であり;A(zo)及びσ(zo)は単調に距離z0に依存する2つの所定の関数であり、A(z)は減少しかつσ(zo)は増加する]
によって定義されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
電極が非規則的な表面を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
−ヒューマンマシンインターフェースデバイスに組み込まれた2つの独立電極と
−電極に対する物体の絶対静電容量を測定することによって該物体の位置を検出するための処理ユニットと
を含む電子装置であって、前記処理ユニットが
a)各電極について、電極と物体との間の絶対静電容量の値が測定されることと
a’)絶対静電容量の実際値に多変数非線形予測モデルを適用することによって予測が行われて確率密度のイメージを得ることと
含む方法を実行するように構成されていることを特徴とし、前記確率密度は前記ヒューマンマシンインターフェースデバイスに関連する前記物体の位置及び距離の一以上の検出に用いられる補正された実際値とみなされるものとする、電子装置。
【請求項22】
多変数非線形予測モデルが、
−前記少なくとも2つの電極に対する複数の物体位置について得られる絶対静電容量の実際値と、
−理想化された電極に対する複数の物体位置について得られる確率密度のイメージと
に基づく非線形回帰によって得られることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記方法が更に、
a)において、測定された絶対静電容量の値からベクトルVrawが構成され、そしてa’)における予測が、
b)少なくともベクトルVrawに第一の非線形変換F2を適用してベクトルX2を得ることと
c)アフィン変換を適用してベクトルX2に行列M2を乗じ翻訳ベクトルY02を加算することによってベクトルY2を得ることであって、行列M2は物体の存在下に非規則的な表面の電極上で得られる絶対静電容量の実際値のベクトルと物体の存在下に理想化された電極に対して得られる仮想値のベクトルとの間の転送行列である、ベクトルY2を得ることと
d)少なくともベクトルY2に第一の非線形変換F2の逆である第二の非線形変換を適用して補正ベクトルV_corrを得ることと、及び
e)前記物体の検出に絶対静電容量の値として補正ベクトルV_corrを使用することと
を含む、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
電極が錫ドープ酸化インジウムに基づいて設計されることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
電極が非規則的な表面を有することを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の独立電極に近接した物体の絶対容量(capacitive absolue)(自己容量(self capacitance))の測定方法に関し、これらの電極は非規則的な表面(surfaces non-regulieres)を有している。本発明は、この方法を実装するジェスチャインターフェース電子装置にも関する。
【0002】
本発明の分野はさらに詳細には、ヒューマンマシンインターフェース制御に用いられる接触感知式(tactiles)で3D容量性の表面の分野であるが、それに限定されるわけではない。
【0003】
通信装置及び作業装置に、パッド又は画面などの接触感知式制御インターフェースがますます多用されるようになってきている。例えば、携帯電話、スマートフォン、接触感知画面を用いたコンピュータ、パッド、PC、マウスデバイス、タッチパッド、ワイドスクリーン等を挙げることができる。
【0004】
これらのインターフェースの多くは容量性技術を用いている。
【0005】
接触感知表面は、電極と検出されるべき物体との間に現れる静電容量(capacites)の変化を測定してコマンドを与えることができる電子手段に接続された導電性電極を備えている。
【0006】
接触感知式インターフェースに現在用いられている容量性技術は、たいていの場合、行と列の形態の2層の導電性電極を用いている。もっとも広く用いられる幾何学的トポロジーは、各行及び各列が垂直方向に接続されて行を形成しかつ水平方向に接続されて列を形成する菱形からなるものである。
【0007】
この幾何学的トポロジーに基づいて、表面の前の物体の存在を検出するための2つの動作モードが生成されることができる:
【0008】
1.電子機器(electronique)はこれらの行と列との間に存在する結合静電容量を測定する。指がアクティブ表面にごく近いときに、指の近傍の結合静電容量が変更され、このようにして電子機器はアクティブ表面の面における2D位置(XY)を捕捉することができる。これらの技術は、誘電体を通して指の存在及び位置を検出することを可能にする。これらの技術は、感知性表面(surface sensible)の面(XY)内で1又は2以上の指の位置の大変に良好な分解を可能にする利点を有する。しかしながら、これらの技術は、電極及び電子機器のレベルで大きな漏洩静電容量(capacites de fuite)を生じさせるという不都合を有している。これらの漏洩静電容量はさらに経時的に、エージング(vieillissement)、材料の変形又は環境温度の変化の影響によってドリフトすることがある。これらの変化は電極の感度を低下させることがあり、又はずれたタイミングで(intempestivement)コマンドをトリガーすることさえある。この技術の別の不都合は、行と列との間に生じた電界がとりわけ表面の周囲に集中したままであること及び結合静電容量の変化が表面に非常に近い又は接触さえしている物体に対してのみ生じることである。このことがこの技術を接触感知式で2Dの用途だけに限定している。
【0009】
2.電子機器は−電極の各行と各列について−物体と問題の電極との間に現れる絶対静電容量を測定する。この方法の利点は、電界が表面からさらに遠くへ放射されることによって、画面上数センチメートルの位置にある物体を測定することを可能にすることである。この方法の不都合は、2つの物体の位置の曖昧さのため複数の物体を検出することに限界があることであり、実際にこれらの物体のX座標又はY座標が置き換えられると、測定される容量は同じになるであろう。この現象は当業者に幻影(fantomes)の検出「ゴースト(fantomes)」と呼ばれている。
【0010】
電極と検出されるべき物体との間に現れる絶対静電容量を測定することを可能にする技術も知られている。例えば、ロジエール(Roziere)によるフランス国特許FR2844349号が公知であり、当該公報は独立して励起されて測定される複数の電極を含む容量性近接検出器(detecteur capacitif de proximite)を開示している。この検出器は電極と近接した物体との間の絶対静電容量及び距離を測定することができる。
【0011】
これらの技術は、電極と物体との間の静電容量の測定値を高分解能かつ高感度で得ることを可能にする。このことは、例えば、数センチメートルの距離にある指を曖昧さなしに検出することを可能にする。この検出は3次元空間(XYZ)において行われることができるが、面(XY)において表面上でもできる。これらの技術は全く非接触型のジェスチャインターフェースを開発する可能性を提供するとともに、接触感知式インターフェースの性能を改善することも可能にする。
【0012】
測定値を容易に解釈し、物体の存在を確実に検出しかつその位置を正確に評価するために、理想的には電極は表面に規則正しく(de facon regulierement)配置され、そのことが、好ましくは、すべての電極について同一の矩形形状(geometrie rectangulaire)を有する形態に電極が配置されることに導く。電極の大きさは、検出されるべき物体の大きさと略同一か又はその約50%未満である。一般に、0.35〜0.65cmの範囲の電極表面積がヒューマンインターフェース型の用途によく適合しており、その際に検出されるべき物体は人の指である。この型の規則的なパーティショニングは仮想2D/3Dボタン型のインターフェースによく適合しており、ここで電極は電子プリント回路基板(PCB)上にエッチングされており導電性表面層の下に位置する電源によって電力が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、「スマートフォン」型の或る用途における表面の透明性に関する制約のため、検出表面がディスプレイから来る光の最大量の通過を可能にしなければならない場合、電極の表面と励起及び取得(acquisition)の電子回路へのその電気的接続とは同じ層に配置される。電気的接続は画面の中央に位置する電極を画面の外周まで接続することを可能にし、次いでこれらの接続は、必要に応じて画面の周囲に沿って、下方に伸びる(descendent)。前記周囲に対する接続は、それらを絶縁表面で被覆し、次いで電極の電位と同じ電位で励起されるガード導体として知られる導体を近くに配置することによって環境の容量性干渉(perturbations capacitives)から電気的にであろうがなかろうが保護されることができる。トラックが「ガード」されると、該トラックは無測定(non-mesurant)とみなされ、容量測定値の一部とみなされない。これと反対の場合に、これらのトラックは測定値の不可欠な部分である。中央の電極を外周部に連結する接続の結果、各個別の測定値はもはや矩形表面に限局されない。それは、物体が主表面上にあるときだけでなく、測定主表面から離れていることがある接続トラックに物体が近づくや否や、応答を測定する。
【0014】
しかしながら、画面のより良好な透明性という制約は電極とその接続とを同じ表面上に配置することを要求する。このことは製造コストを低減することを可能にする。この単純化は層間の電気的接続素子(elements de connexion electrique)を除去することによって高い信頼度を与えることができる。
【0015】
本発明の目的は、接続トラックによる干渉を制限する新規な測定方法である。
【0016】
本発明の別の目的は、ジェスチャヒューマンマシンインターフェースを含む装置の設計コストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
目的の少なくとも1つは、物体の検出のためにヒューマンマシンインターフェースデバイスに組み込まれた少なくとも2つの独立電極に対する前記物体の絶対容量を測定する方法によって達成される。本発明によれば、この方法は以下のステップを含んでいる:
【0018】
a)各電極について、電極と物体との間の絶対静電容量の値が測定されるステップ、
a’)絶対静電容量の実際値(valeurs reelles)に多変数非線形予測モデルを適用することによって予測が行われて(測定時に、リアルタイムで)確率密度のイメージを得るステップ、ここでこれらの確率密度は前記物体の検出に用いられる補正された絶対静電容量の値とみなされる。
【0019】
本発明のかかる方法によって、多変数非線形予測モデルは絶対静電容量の実際値を補正するのに用いられる。この補正は、電極の設計における様々な欠陥を補償することを可能にする補正値にこれらの実際値を変換することを可能にする。これらの欠陥は電極の最適化されていない幾何学的形状によるものであることができ、これはとりわけ検出の分解能を制限するであろう。例えば、この幾何学的形状は、電極面の外周から発して電極面の中央領域に配置された電極へ向かう接続トラックによるものであることができる。この不都合な幾何学的形状は非規則的な表面と呼ばれることがある。「非規則的な表面」とは、例えば、正方形、矩形、円形又は任意の他の形状などの規則的な幾何学的形状を有しない表面を意味する。例を示せば、かかる表面は接続トラックなどのような薄いストリップに連結された矩形を含む表面である。
【0020】
以下で理解されるように、確率密度のイメージは理想的な電極面における測定によって得られる仮想値のイメージ又は理想的な電極面に対するガウス分布(gaussienne)から得られる関数(fonctions)のイメージであることができる。この理想的な電極面は、実際の電極の数及び形状とは異なる電極の数及び形状を有する、高分解能の電極配置の理論的設計であることができる。
【0021】
好ましくは、多変数非線形予測モデルは、以下:
−前記少なくとも2つの電極に対する複数の物体位置について得られる絶対静電容量の実際値と、
−理想化された電極に対する複数の物体位置について得られる確率密度のイメージと、
に基づく非線形回帰によって得られる。
【0022】
非線形回帰による決定は人工ニューラルネットワークモデルによって得ることができる。ニューラルネットワークを用いる種々の方法が存在しそれらは当業者に知られている。
【0023】
好ましくは、本発明は以下の実装:
ステップa)において、測定された絶対静電容量の値からベクトルVrawが構成され、そしてステップa’)における予測は以下のステップ:
b)少なくともベクトルVrawに第一の非線形変換F2を適用してベクトルX2を得るステップ、
c)アフィン変換を適用してベクトルX2に行列(matrice)M2を乗じ翻訳ベクトルY02を加算することによってベクトルY2を得るステップ;ここで行列M2は、物体の存在下に非規則的な表面の電極上で得られる絶対静電容量の実際値のベクトルと物体の存在下に理想化された電極に対して得られる仮想値のベクトルとの間の転送行列(matrice de transfert)である、
d)少なくともベクトルY2に第一の非線形変換F2の逆である第二の非線形変換を適用して補正ベクトルV_corrを得るステップ、及び
e)前記物体の検出に絶対静電容量値として補正ベクトルV_corrを使用するステップ、を含む、
を提供する。
【0024】
この実装によって、絶対容量の測定値の補正が行われる。これらの値はとりわけ接続トラックの影響を除去するように変更されており、これらの接続トラックは実際の電極と仮想の電極との間の差となる。実際の電極と理想とみなされる仮想電極との間で行列M2及び翻訳ベクトルY02によるモデルが用いられる。
【0025】
電極の前面の又は電極に近接する体積内を移動する物体は、本発明に係る方法によって正確に検出されることができる。このことは、接続と同じ層に電極のマトリックスを配置するという設計を容易に企図することを可能にする。
【0026】
本発明の有利な特徴によれば、様々な関数F2、例えば、以下:
−F2(Vraw)=1/Vraw
−F2(Vraw)=1/(Vraw/Vmax+β)[式中、Vmaxは所定の(predeterminee)最大電圧であり、βは正の数である];又は
−F2(Vraw)=Vraw/Vmax[式中、Vmaxは所定の最大電圧である]
が用いられることができる。
【0027】
本発明の有利な実施形態によれば、ステップa)の後、以下のステップ:
−ベクトルVrawの値をフィルタリングしてベクトルVinf_rawを得るステップ、
−ベクトルVinf_rawに非線形変換F1を適用してベクトルX1を得るステップ、
−アフィン変換を適用してベクトルX1に行列M1を乗じ翻訳ベクトルY01を加算することによってベクトルY1を得るステップ;ここで行列M1は、検出物体の非存在下に非規則的な表面の電極上で得られる絶対静電容量の実際値のベクトルと検出物体の非存在下における仮想値のベクトルとの間の転送行列であるものとし、及び
−ベクトルY1に非線形変換F1の逆である非線形変換を適用して補正ベクトルVinf_corrを得るステップ、
−次いで、ステップb)〜e)を実行するステップ;ここで、ステップb)において、非線形変換F2をベクトルVraw及びVinf_rawに適用してVraw及びVinf_rawの関数であるベクトルX2を得;そしてステップd)において、第一の非線形変換F2の逆である第二の非線形変換をベクトルY2及びVinf_corrに適用してY2及びVinf_corrの関数である補正ベクトルV_corrを得るものとする、
が実行される。
【0028】
かかる実施形態によって、対象とする物体を考慮せずに実際の電極に関する一組の値が最初に補正されるが、これは対象とする物体の影響を除去することを可能にするフィルタリングである。第二の補正は第一の補正の結果を用い、対象とする物体を考慮に入れて実際の電極に関する値を補正する。
【0029】
本発明によれば、関数F1は、以下:
−F1(Vraw)=1/Vraw
−F1(Vraw)=1/(Vraw/Vmax+β)[式中、Vmaxは所定の最大電圧であり、βは正の数である];又は
−F1(Vraw)=Vraw/Vmax[式中、Vmaxは所定の最大電圧である]
のような異なった形式を有していることもできる。
【0030】
この実施形態において、関数F2は、以下:
−F2(Vraw,Vinf*)=Vraw/Vinf*;Vinf*は、ステップb)における非線形変換のときにVinf_rawに等しく、かつステップd)における逆非線形変換(transformation non lineaire inverse)のときにVinf_corrに等しい、又は
−F2(Vraw,Vinf*)=1−(Vraw/Vinf*);Vinf*は、ステップb)における非線形変換のときにVinf_rawに等しく、かつステップd)における逆非線形変換のときにVinf_corrに等しい、
であることができる。
【0031】
ステップe)の間に、補正ベクトルV_corrの正規化(normalisation)のステップが想定されることもでき、その間に以下のステップ:
−補正ベクトルV_corrをフィルタリングしてフィルタリングされたベクトルV_corr_fを得るステップと、
−該フィルタリングされたベクトルV_corr_fを用いて補正ベクトルを正規化して正規化されたベクトルベクトルV_corr_norを得るステップと
が実行される。
【0032】
本発明の有利な特徴によれば、フィルタリングは以下の式:
V(t0)=max{V(t):t∈(−∞,t0)};t0は測定の瞬間(instant de la mesure)であり、V(t)はフィルタリングが適用されるベクトルであり、tは時間インデックスである、又は
V(t0)=max{V(t):t∈(t0−ウィンドウサイズ,t0)};ウィンドウズサイズは自動キャリブレーションの窓の時間期間−すなわち、対象としていない物体によってあらゆる変化しない干渉が引き起こされるとみなされる時間期間−であり、t0は測定の瞬間であり、V(t)はフィルタリングが適用されるベクトルであり、tは時間インデックスである、
の一つに従って得られる。
【0033】
フィルタリングは、フィルタリングが適用されるベクトルを所定のベクトルに置き換えることによっても得ることができる。
【0034】
本発明によれば、行列Mは部分最小二乗法によって得ることができ、仮想値のベクトルは理想化された電極に対して得られる値のベクトルである。それらは隔たった(distante)接続トラックを含まない規則的な電極である。
【0035】
別な方法では、電極に対する多数の正確な物体の位置から生じる確率密度関数のサンプリングから行列Mを得ることを提供することができ、仮想値のベクトルはその値が存在確率であるベクトルである。この場合に、確率密度関数は、有利には、物体の各水平位置に中心を持った2Dガウス分布であることができ、その幅は物体の垂直位置に依存しており、このガウス分布は下記式:
Gj(t)=A(z0)exp[−((xj−xo)+(yj−yo))/σ(zo)
[上式中、(xj,yj)は電極を含む検出表面上の規則的なグリッドの座標であり;(xo(t),yo(t),zo(t))は検出表面に最も近い物体のエッジ(extremite)の3D座標であり;A(zo)及びσ(zo)は単調に(de facon monotone)距離z0に依存する2つの所定の関数であり、A(z)は減少しかつσ(zo)は増加する]によって定義される。
【0036】
本発明の別の側面によれば、以下:
−ヒューマンマシンインターフェースデバイスに組み込まれた2つの独立電極と
−電極に対する物体の絶対静電容量を測定することによって該物体の位置を検出するための処理ユニットと
を含む電子装置が提供される。本発明によれば、処理ユニットは上記ステップの少なくとも1つを実装するように構成されている。
【0037】
前記装置は接触感知画面を含んでいる又は含んでいないことができる。
【0038】
一般に、検出は画面上での2次元的検出又は画面若しくは画面でないもの(例えば、木製パネルの後ろに配置された検出パッド等)に近接した三次元体積におけるジェスチャ検出であることができる。
【0039】
本発明の電子機器の実施形態は特許第WO2011/015795A1号パンフレットに記載されたものであることができる。この実施形態では、容量性漏洩を最小限にして対象とする物体のより良質の測定を確保するためにアクティブガードが配置されている。アクティブガードが設けられていない場合、容量性漏洩はキャリブレーションされて控除されなければならない。
【0040】
電極は、好ましくは、錫ドープ酸化インジウム(ITO)に基づいて設計される。他の透光性材料、例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)又は錫ドープ酸化カドミウムも用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の他の利点及び特徴は、全く限定的でない実施形態の詳細な説明、及び添付の図面を検討すれば明白になるであろう:
図1a及び図1bは、本発明に係る装置の模式図であり;
図2は、本発明に係る装置上での対象の物体の動きの関数として電位変化を示す模式図であり;
【0042】
図3a及び図3bは、一方で、不規則的な区分(decoupage irregulier)を有する実際の電極を、及び他方で、表面の規則的区分を有する仮想の電極を示す模式図であり;
図4は、円形の仮想電極を示す模式図であり;
図5a及び図5bは、一方で、不規則的区分を有する実際の電極を、及び他方で、表面の規則的な区分を有するが端部に向かってより高濃度の電極(une plus grande concentration d'electrodes)を有する仮想電極を示す模式図であり;
図6は、本発明に係る「スマートフォン」型の装置を示す模式図であり;
図7a及び図7bは、それぞれ、番号付けされた実際の電極を示す模式図及び電極の一つについての模式的拡大図であり;
図8は、本発明に係るステップのフローチャートを示す模式図であり;そして
図9は、本発明に係る一般的方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
一般に、図1a及び図1bに、本発明に係る装置APが示されている。それは、接触感知式画面を備えた「スマートフォン」型の電話又はデジタルタブレットであることができる。この装置APは、その下にとりわけ電極面(平面又は曲面)が位置する接触感知部分である検出表面SDを含んでいる。この検出表面SDは、その上部から、例えば、以下:
−外面窓(vitre externe)VE、
−破片飛散防止(anti-debris)フィルムFAD、
−透明接着剤CT、及び
−偏光子(polariseur)P、
−錫ドープ酸化インジウム(ITO)のような透明の導電性材料からなる電極E、
−電極のガラス支持体S、
−錫ドープ酸化インジウム(ITO)のような透明の導電性材料からなる層であるガードG、及び
−外面窓VEを通して外側から見ることができなければならないディスプレイ画面EC、
のような透明材料からなるいくつかの層を含んでいる。
【0044】
従って、電極及びガードは検出表面の下に位置しておりかつ高い比抵抗(resistivite)を有する透明の導電性材料からなる。
【0045】
この場合には検出表面SDを囲繞する非検出表面SNDも示されている。この表面は一般に外側から不透明であり電極を有していないが、金属製であり従って比抵抗ほぼゼロの可撓性コネクタCF及び接続トラックPTを有する。
【0046】
本発明はそれに限定されるものではないが、ここでは、回帰及び予測が3つの変換:非線形変換、線形変換及び次に第二の非線形変換を用いる本発明に係る方法が説明される。前述のように、とりわけニューラルネットワーク群内で他の技術が用いられることができる。
【0047】
本発明はキャリブレーションの第一のステップに用いられてアフィン変換の行列及び変換ベクトルを決定することができる。或る実施形態によれば、実際の絶対容量値と仮想の絶対容量値との間でモデルが作られる。定義上、各電極によって正確に測定された絶対容量Cj(t)はこの電極の表面Aj上の電荷密度(densite de charge)の積分(integrale)に数学的に比例し、図3aはかかる電極を示す:
Cj(t)=∫(∂Φ/∂n)(t)ds, j=1,2,・・・,N
[上式中、Nは実際の電極の数であり、nは測定表面に垂直なベクトルであり、Φは時間tにおける電位であり、そしてdsは表面の無限小要素(element infinitesimal)である。法線微分係数(∂Φ/∂n)は表面電荷密度である]。
【0048】
電位は静電方程式(equation electrostatique)を検証する:
・ΔΦ=Ωにおいて0[式中、Ωは感度領域が位置する三次元内の半分の体積を表す3D体積である]、
・∂Ω=Γ(t)Uスラブ、Γ(t)は装置の前で動いている物体の表面の関数である[スラブは励起電圧(potentiel d'excitation)が印加されるアクティブ表面の全体である]。
・無限大への放射の条件(conditions de radiations a l'infinie)、
Φ=Γ(t)上で0、
Φ=スラブ表面上で1。
【0049】
図2は、検出表面上で変化する曲線の形の関数Γ(t)の表示を示す。この曲線は、例えば、画面上での指の動きを表している。電位は物体の形状及び位置に依存する。
【0050】
容量性全表面はN個の電極に分割される。2つの値0ボルト及び1ボルトが例として与えられる。値0は地面の電位であり、また1は励起電位の基準値(valeur reference)である。これは、その内容が参照により本明細書に挿入される国際公開第WO2011/015795号パンフレットに記載されているような浮動容量性ブリッジ(pont capacitif flottant)法による測定の場合の浮動励起値である。
【0051】
非規則的な形状である実際の電極を有する現実の装置によって行われる測定{Cj(t)}と並行して、実際の装置と同じ電位及び同じ電界に付される「仮想の」装置による応答も考慮される。この差異は、この「仮想の」装置がより規則的な電極の区分を有し従って物体が或る位置で示す確率密度関数を忠実に反映するイメージの形態で容量性応答を有することである。各電極によって測定される仮想の絶対容量Cv(t)は電極の理想的な表面、すなわち、接続トラックを有しない表面である表面Bj上の電荷密度の積分に数学的に比例し、図3bはかかる電極を示している:
Cv(t)=∫(∂Φ/∂n)(t)ds, j=1,2,・・・,Nv
[上式中、Nvは仮想電極の数であり、Φは時間tにおける同じ電位でありそしてdsは表面の無限小要素である]。
【0052】
仮想電極の数は実際の電極の数と同一又はそれより多いことができる。これは、相互に非常に近接した2又はそれ以上の物体の検出の分解能を高めるためである。
【0053】
実際から仮想(理想電極)への移行モデル(modele de passage)を決定するためには、処理ユニットに含まれたデジタル手段によって{C(t)}から{Cv(t)}を計算することが重要である。相互への移行の関数はいくつかの方法によって決定されることができる。
【0054】
1.最初に、検出体積における物体の位置の集合(ensemble)が選択される。この集合は装置の予測できる使用のあらゆる場合を充分にカバーする代表的なものでなければならない。
【0055】
2.この位置の集合に対して、例えば、コンピュータを用いた数値シミュレーション(simulations numeriques)によって電位が計算される。これは装置の使用の場合をカバーする電位の集合を与える。
【0056】
3.この集合に対し、各表面Aj及びBj上の同じ電荷密度(∂Φ/∂n)を積分することによって、実際の装置による応答{C(t)}及び仮想の装置による応答{Cv(t)}が計算される。
【0057】
4.統計的回帰法又はモデル同定法は、{C(t)}の関数として近似的に{Cv(t)}を計算することができるモデルを決定することを可能にする。
【0058】
上記ステップ2及びステップ3は、数値シミュレーションによって又は実験的方法によって実行されることができる:ステップ1で固定された集合における物体の同じ位置を測定する非規則的電極を有する装置及び規則的な理想化された電極を有する別の装置。これら2つの装置は同じシークェンスを連続的に、又は機械的に同期化された方法で測定して測定誤差を最小限にすることができる。
【0059】
ステップ4において、「部分最小二乗」(PLS)法のような回帰法を用いることができる。PLS法は、潜在的変数と呼ばれる第三の変数を通して、実際の電極の応答及び仮想の電極の応答を線形モデルと関連付けることを可能にする。PLS法は双線形(bilineaire)と呼ばれる。他のモデル同定法、例えば、リッジ正則化を用いた最小二乗法、又はラッソ回帰(regression Lasso)などの方法がPLS法の代わりに用いられることができる。
【0060】
図3aは実際の電極の表現を示す。これらの電極はいずれも2つの側壁(parois laterales)の一方へのアクセストラックを有する。これらの電極の表面は規則的ではない。図3bにおいて、仮想電極は規則的な矩形による測定表面の分割を示しているが、仮想電極の表面が他の形状、例えば、重なり合う同じ表面積の円板(disques)を有していることを想定することができる。かかる実施形態は図4に示されている。各電極の形状が円板であるという事実は、検出表面に平行な面において、よりアイソトピックな(isotopique)応答を得ることを可能にする。実験的によりむしろ(シミュレーションによって)重なり合うかかる仮想電極の応答を実装するのがより実際的である。
【0061】
形状に対してと同様に、仮想電極の配置(repartition)は実際の電極のものと異なっていることができる。図5bから分かるように、検出表面の端部(bords)上での確率密度関数の形をより良くとらえるために、端部により高い濃度を想定することができる;図5aは実際の電極の表現である。従って、仮想電極の形状及び配置は実際の電極のものとは異なっていることができる。より高い検出精度が必要とされる場合は、例えば、検出表面の中央に、より密度の高いグリッドを備えることを想定することもできる。
【0062】
別の実施形態によれば、所望の出力応答として仮想電極の応答Cv(t)を用いる代わりに、イメージの集合−必ずしも物理的意味を有しているわけではない−が所望の出力として用いられることができる。例えば、イメージは、物体の正確な位置から直接に生じた確率密度関数のサンプリング−例えば、中心を持つ(centree)2Dガウス分布、物体上の水平位置、ガウス分布の幅は物体の垂直位置に依存している−であることができる。
【0063】
Gj(t)=A(z0)exp[−((xj−xo)+(yj−yo)/σ(zo)]、
[上式中、(xj,yj)は電極を含む検出表面上の規則的なグリッドの座標であり;(xo(t),yo(t),zo(t))は検出表面に最も近接した物体のエッジの3D座標であり;A(zo)及びσ(zo)は単調に距離z0に依存する2つの所定の関数であり、ここでA(z)は減少しかつσ(zo)は増加する]。
【0064】
本発明によれば、アフィン関数の乗法の行列及び翻訳ベクトルを得ることを可能にするモデルは、測定値C(t)を出力Cv(t)}へ、又は代わりに出力Gj(t)へ変える変換によって得ることができる。
【0065】
本発明は、その間にユーザが画面及び検出デバイスを備えた装置を使用する動作段階も含む。かかる装置は図6に番号1で示された「スマートフォン」型のインテリジェント電話機であることができる。この装置1はディスプレイ画面2及び容量性検出デバイスを含む。後者は、国際公開第WO2011/015795号パンフレットに記載されているような浮動ブリッジの電子回路(図示せず)を含む。かかる電子回路は、とりわけ、干渉源である寄生静電容量(capacites parasites)の影響を制限するガード電極と容量測定電極とを含む。換言すれば、装置は容量性漏洩に対するアクティブガードとして用いられる導電性の面を含んでいることができ、この導電性の面はロジエル(Roziere)によるフランス国特許FR2844349号に記載されているような浮動ブリッジ法又は他の方法のものであることができる。装置はガードを有していないこともできる。一般に、ガードは測定電極の電位と実質的に同じ電位の導電性の面である。
【0066】
図6において、容量測定電極3の行列はディスプレイ画面2上に配置される。容量性電極3は錫ドープ酸化インジウム(ITO)からなる。
【0067】
図7aは1から60までの番号付けをされた容量性電極3の行列配置である。各電極は装置の外周側部(peripherie laterale)の左側又は右側から電子回路(図示せず)に接続されるように設けられる。図7bで分かるように、各容量性電極は、一般には矩形の、有効部分(partie utile)6と、デバイス1の内周(peripherie interne)に有効部分6を接続することを可能にする接続トラック7とを含む。接続トラックは次に電子回路まで装置の内部へ下りる。本発明は接続トラック7の影響を制限することができるので、検出される静電容量は有効部分6だけを含む理想電極によって検出されるであろう静電容量に等しい。
【0068】
図6は装置1の素子の全体を制御する処理ユニット5を示す。この処理ユニットは、とりわけディスプレイ画面及び電極3の行列を制御する通常のハードウエア及びソフトウエア手段を備えたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであることができる。この電極の行列配置は、ディスプレイ画面2上の体積内の指4の動作を検出するように設計される。
【0069】
ユーザは、電極3の行列配置を用いて処理ユニット5によって検出されるユーザの指4を動かす。処理ユニットはこれらの動作を分析して、とりわけディスプレイ画面2を介し、装置内のアクティブソフトウエアアプリケーションに供給する。
【0070】
指4の検出が接続トラックによる干渉なしに効率的に行われるように、処理ユニット5は本発明に従って構成されて図8に説明されているように操作を実行する。
【0071】
その目的は、キャリブレーションのときに得られた仮想パラメータを用いることによって電極によりリアルタイムの動作モードで取得された静電容量値を補正することである。
【0072】
ここで、図8に示されるような動作モードにおいて本発明によって実行される種々の動作が説明される。
【0073】
≪取得≫
これは電極の行列配置の絶対容量の測定である。以下が取得される:N電圧Vraw=k/C[式中、Cは実際の電極iにおいて測定された絶対容量であり、Nは電極の数でありそしてkはmax(Vraw)=Vmaxボルト(閾値は予め選択される、例えば、Vmax=5V)であるように選択されたゲインである]。
【0074】
≪フィルタリング≫
これは、例えば、フランス国特許FR1059203号に記載されているような、最大値フィルタ(filtre max)として知られる、フィルタリング操作である。とりわけ、かかるフィルタリングの2例は以下の通りである:
Vinf_raw(t0)=max{Vraw(t):t∈(−∞,t0)}又は
Vinf_raw(t0)=max{Vraw(t):t∈(t0−ウィンドウサイズ,t0)}[式中、ウィンドウサイズは自動キャリブレーションの窓の時間期間−すなわち、対象としていない物体によってあらゆる変化しない干渉が引き起こされるとみなされる時間期間−であり、t0は測定の瞬間である]。
【0075】
代わりに、最大値フィルタは、工場で測定されメモリ領域に格納された、Vinf_rawの値を与える、工場キャリブレーションによって置き換えられることができる。
【0076】
≪補正A≫
実際の電極の自然漏洩の容量が補正される。
【0077】
補正の原理は3つの連続的な変換を適用することである:
・非線形関数X1=F1(Vinf_raw)、N電圧で個々に、次いで
・行列[M1]及びオフセットベクトルY01と呼ばれる翻訳ベクトルを用いて、X1に線形変換が適用される:
Y1=[M1].X+Y01[式中、Y01はゼロであることができ、行列M1及びベクトルY01はキャリブレーション段階のときに決定された変換モデルから得られる]。
【0078】
この変換は行列M1を通して実際値を相互に組み合わせ(combines)、次いで
・逆非線形変換Vinf_corr=F1−1(Y1)が適用される。
【0079】
いくつかの関数F1が用いられることができ、それらの中で:
・F11(V):=1/V
・F12(V):=1/(V/Vmax+β)[式中、β>0、V≒0の場合に特異性(singularite)を避けるように導入される数、例としてβ=0.1、0.2又は0.3が選択されることができる]
・F13(V):=V/Vmax。
【0080】
≪補正B≫
ここでは、実際の電極の近傍の対象物体の存在下の絶対静電容量が補正される。
【0081】
直前の補正の原理が再び用いられるが入力ベクトルは異なる。3つの連続的な変換が同様に適用される:
・非線形関数X2=F2(Vraw,Vinf_raw)、N電圧で個々に、次いで
・行列[M2]及びオフセットベクトルY02と呼ばれる翻訳ベクトルを用いて、X2に線形変換が適用される:
Y2=[M2].X+Y02[式中、Y02はゼロであることができ、行列M2及びベクトルY02はキャリブレーション段階のときに決定された変換モデルから得られる]。
【0082】
・逆非線形変換V_corr=F2−1(Y2,Vinf_corr)が適用される。関数F2−1は非線形関数F2がその第一のパラメータF2(Vraw)の関数とみなされる場合に非線形関数F2の逆関数であり;第二のパラメータVinf_rawは固定されているとみなされる。
【0083】
いくつかの関数F2が用いられることができ、それらの中で:
・F21(V):=1/V
・F22(V):=V/Vinf
・F23(V):=1−V/Vinf
・F24(V):=1/(V/Vmax+β)
・F25(V):=V/Vmax。
【0084】
関数F22及びF23並びにそれらの逆関数の計算のために、Vinf=Vinf_raw、直接的非線形変換に対して、Vinf_corr、逆非線形変換に対して。
【0085】
関数F21、F24及びF25を用いて、直接的に補正Bを実行して補正された実際値のベクトルV_corrを得ることができる。
【0086】
行列[M1][M2]並びにオフセットY1及びY2は、デジタル回帰法、例えば、補正Bの間の回帰に対し装置上の体積における複数の場所に位置した指を用いる実際の電極を有する装置及び仮想電極を有する第二の装置のシミュレーションからPLS(部分最小二乗)法などによって評価される。換言すれば、M1、Y1とM2、Y2とは異なっており、2つのPLS回帰によって得られる:
−容量の自然漏洩の逆数(1/Cinf)における(M1,Y1)[式中、Cinfは装置の自然漏洩容量(対象物体の非存在下での)である]、
−検出体積内に置かれた物体による絶対容量における(M2,Y2)。
【0087】
≪正規化≫
計算には最大値フィルタが用いられる:
V_corr_f(t0)=max{Vcorr(t):t∈(−∞,t0)}又は
V_corr_f(t0)=max{Vcorr(t):t∈(t0−ウィンドウサイズ,t0)}、[式中、ウィンドウズサイズは自動キャリブレーションの窓の時間期間、すなわち、対象としていない物体によってあらゆる変化しない干渉が引き起こされるとみなされる時間期間であり、t0は測定の瞬間である]。
【0088】
上記した例において、非線形変換A及びBは以下のように分解される:(1)入力から独立した非線形変換、続いて(2)アフィン変換、続いて(3)別の独立した非線形変換。変換A及びBの別の可能な実施形態は、人工ニューロンネットワークモデルである。入力V_raw及びVinf_raw並びに出力V_corr及びVinf_corrはネットワークの学習に用いられる。
【0089】
代わりに、最大値フィルタは、工場で測定されメモリ領域に格納された、V_corr_fの値を与える、工場キャリブレーションによって置き換えられることができる。
【0090】
次いで、正規化イメージと呼ばれるイメージが生成されて最終イメージを与える。この正規化はV_corr及びV_corr_fに依存している。例えば、その値が2つのイメージV_corr及びV_corr_fの比:
V_corr_nor=V_corr/V_corr_f
であるイメージ。
【0091】
このようにして計算された正規化イメージは、対象物体の存在の確率密度の関数を与える。それは処理ユニットによって用いられ、例えば、重心法による分布の期待値(esperance)、又は確率密度関数のMODE(最も頻繁に現れる値)を計算することによって、対象物体(指)の存在及び位置を検出する。「スプライン」型の内挿(interpolation)がMODEのサブピクセル分解に用いられることができる(MODE:最も高い発生確率(chance de se realiser)を有する確率変数の値、それは確率密度関数の最大値の位置である)。
【0092】
一般に、図9からわかるように、本発明はキャリブレーション段階を含んでいることができ、その段階の間に以下:
−電極の面に対する複数の物体位置について得られる絶対静電容量の実際値、及び
−理想化された電極の面に対する複数の物体位置について得られる確率密度のイメージ
に基づいて非線形回帰を実行することにより多変数非線形予測モデルが決定される。
【0093】
次いで、本発明は(ルーチンの)操作段階を含んでおり、その段階の間に、各検出において、キャリブレーション段階で得られたモデルが用いられる。これを行うのに、電極上での測定を実施した後、絶対静電容量の実際値にこの非線形多変数予測モデルを適用して確率密度イメージを得ることによって予測が行われ、これらの確率密度は物体の検出に用いられる補正された絶対静電容量値とみなされる。
【0094】
好ましくは、キャリブレーションが一度だけ行われ、モデルが各装置のメモリに保存される。
【0095】
もちろん、本発明はここまで説明してきた例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなくこれらの例に対して多くの調整を施すことができる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9