【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
<窒化ホウ素微粉の作製>
ガラス製300mlビーカーに鱗片形状の窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製、製品名「SGP」、平均粒子径18μm)5質量部、エタノール47.5質量部、水47.5質量部を入れて混合した。この溶液をスギノマシン社製高圧ホモジナイザー(湿式微粒化装置「スターバーストミニ」)を用いて、微粉化処理を行った。条件として、ノズルの形状はボール衝突型を使用し、200MPaの圧力での処理を10回行い、窒化ホウ素微粉分散溶液を作製した。得られた分散溶液を、目開き0.5μmのろ紙によって、吸引ろ過し、固液分離し、濾物を45℃で12時間真空乾燥し、窒化ホウ素微粉を得た。
【0025】
<窒化ホウ素微粉の分散処理>
メタノール溶媒3.4質量部に、エポキシ系シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名「KBM403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、pHを3.3に調整した酢酸水溶液1.6質量部を加え、室温で1時間攪拌した。上記の方法により得られた窒化ホウ素微粉100質量部に対し、この溶液を滴下しながら、ミキサーにて混合し、風乾した後、45℃真空乾燥機中に12時間放置し、窒化ホウ素微粉の分散処理を行った。
【0026】
<熱伝導性粒子組成物の作製>
上記の方法で分散処理した窒化ホウ素微粉0.2質量部、をミキサー(Iwatani社製、「IFM−620DG」、インペラー径58mm、回転数20000rpm)にて、10秒間解砕処理した。さらに、熱伝導性粒子粗粉として、平均粒子径64.1μmである窒化ホウ素粗粉(電気化学工業(株)製)99.8質量部を加えて、さらにミキサーにて50秒間混合し、熱伝導性粒子粗粉99.8質量部と窒化ホウ素微粉0.2質量部からなる粒子組成物を得た。なお、得られた粒子組成物の走査型電子顕微鏡画像により、窒化ホウ素微粉は窒化ホウ素粗粉表面に付着した状態にあることを確認した。
【0027】
<熱伝導性樹脂組成物の作製>
上記の方法により得られた粒子組成物75質量部と、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON 850CRP」)19質量部、芳香族アミン(日本合成化工社製、「H−48B」)6質量部、(東レ・ダウコーニング社製、「z−6040」)シランカップリング剤1.0質量部を、遊星式撹拌機(シンキー社「あわとり練太郎AR−250」、回転数2000rpm)にて混練し、樹脂組成物を作製した。
【0028】
実施例1で用いた原料、作製した粒子組成物及び樹脂組成物の特性を、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
[平均粒子径]
熱伝導性粒子粗粉又は窒化ホウ素微粉の平均粒子径は、ベックマンコールター製「レーザー回折式粒度分布測定装置LS 13 320」を用いて測定を行った。試料はガラスビーカーに10ccの純水と、熱伝導性粒子粗粉又は窒化ホウ素微粉を1g添加して、超音波洗浄機(アズワン社製、「US CLEANER」、出力80W)で15分間、分散処理を行った。分散処理を行った熱伝導性粒子粗粉または窒化ホウ素微粉の分散液をスポイトで装置に一滴ずつ添加し、再度超音波を90秒間照射後、60秒後に測定を行った。レーザー回折式粒度分布測定装置では、センサで検出した粒子による回折/散乱光の光強度分布のデータから粒度分布を計算した。平均粒子径は測定される粒子径の値に相対粒子量(差分%)を乗じて、相対粒子量の合計(100%)で割って求めた。
【0031】
[窒化ホウ素微粉の平均厚み]
窒化ホウ素微粉75質量部と、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON 850CRP」)19質量部、芳香族アミン(日本合成化工社製、「H−48B」)6質量部を、遊星式撹拌機にて混練後、30mmΦの一軸押出機にて60℃で押出し窒化ホウ素微粉の長径が押出方向に配向したシート状を得た。得られたシートを200℃で8時間加熱し硬化させた。硬化したシートの中央部を採取後、ミクロトームで端面処理し10mm×10mmの細片を得た。得られた細片の断面図の走査型電子顕微鏡画像より、任意に選択した窒化ホウ素微粉の20個の最大厚みを測定し、その算術平均値を平均厚みとした。
【0032】
[熱伝導性樹脂組成物の粘度]
得られた樹脂組成物を、レオメーター(日本シイベルヘグナー社製「MCR−300」)を用い下記条件にて粘度を測定した。
プレート形状:円形平板25mmφ
試料厚み:1mm
温度:25±1℃
剪断速度:0.1S
−1
【0033】
[熱伝導性樹脂組成物の分散性]
スクレパーを用い、50℃に加温した樹脂組成物を平板上に塗布した。塗布した面の中央部の50mm×50mmの範囲を選定し、目視にて確認可能な凝集塊の個数を以下の判定に従い評価した。なお、評価には3枚の試料を用いた際の凝集塊の総個数を用いた。
優:凝集塊が観られなかった。
可:凝集塊が1個以上3個未満であった。
不良:凝集塊状が3個以上であった。
【0034】
[熱伝導率]
熱伝導率は、得られた樹脂組成物のシートを作成し、熱拡散率、比重、比熱を全て乗じて算出した。熱拡散率は、試料を幅10mm×10mm×厚み1mmに加工し、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製LFA447 NanoFlash)を用いた。比重はアルキメデス法を用いて求めた。比熱は、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製、「Q2000」)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温〜400℃まで昇温させて求めた。結果を表1に示す。なお、樹脂シートの硬化条件は、200℃で8時間とした。
【0035】
(実施例2)
窒化ホウ素粗粉99質量部、窒化ホウ素微粉1質量部へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
【0036】
(実施例3)
窒化ホウ素粗粉90質量部、窒化ホウ素微粉10質量部へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
【0037】
(
参考例4)
熱伝導性粒子粗粉を窒化ホウ素(電気化学工業社製、「SGP」、平均粒子径18μmへ変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
【0038】
(実施例5)
熱伝導性粒子粗粉を窒化ホウ素(電気化学工業社製、平均粒子径150μmへ変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
【0039】
(
参考例6)
熱伝導性粒子粗粉をアルミナ(電気化学工業社製、「DAW−70」、平均粒子径71μm)へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
【0040】
(
参考例7)
熱伝導性粒子粗粉99質量部、窒化ホウ素微粉1質量部へ変更した以外は、
参考例6と同様な方法で評価を実施した。
【0041】
(
参考例8)
熱伝導性粒子粗粉90質量部、窒化ホウ素微粉10質量部へ変更した以外は、
参考例6と同様な方法で評価を実施した。
【0042】
(実施例9)
平均粒子径1.7μm、平均厚み0.03μmの窒化ホウ素微粉を用いた以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
【0043】
(実施例10)
平均粒子径9μm、平均厚み0.62μmの窒化ホウ素微粉を用いた以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
【0044】
(比較例1)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。結果を表2に記す。
【0045】
【表2】
【0046】
(比較例2)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
【0047】
(比較例3)
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
【0048】
(比較例4)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
【0049】
(比較例5)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
【0050】
(比較例6)
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
【0051】
(比較例7)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。結果を表3に記す。
【0052】
【表3】
【0053】
(比較例8)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。
【0054】
(比較例9)
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。
【0055】
(比較例10)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例7と同様な方法で評価を実施した。
【0056】
(比較例11)
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例7と同様な方法で評価を実施した。
【0057】
(比較例12)
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例6と同様な方法で評価を実施した。
【0058】
本発明の粒子組成物を配合した樹脂組成物は、窒化ホウ素微粉が配合されていない樹脂組成物と比較して、粘度が低く抑えられた結果となった。また、本発明の樹脂組成物は分散性及び熱伝導性も良好であることが確認された。