(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231045
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】傾斜防止電磁モーターおよびこれを用いるレンズ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20060101AFI20171106BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
G02B7/04 E
H04N5/225 700
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-125990(P2015-125990)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-9194(P2016-9194A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年6月23日
(31)【優先権主張番号】103121503
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宋 秉儒
(72)【発明者】
【氏名】游 証凱
(72)【発明者】
【氏名】胡 朝彰
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−152265(JP,A)
【文献】
特開2013−160995(JP,A)
【文献】
特開平08−029656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側方サブフレーム、第2の側方サブフレーム、および前記第1の側方サブフレームと前記第2の側方サブフレームとの間に位置する前サブフレームを含み、主軸を囲むフレーム、
前記主軸に沿って前記フレームに対し移動可能に配されたレンズホルダ、
前記レンズホルダと前記第1の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置され、かつ前記レンズホルダと前記第2の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置される接触アセンブリ、
前記レンズホルダの移動を駆動するように構成されており、コイルおよび磁石を含み、前記コイルおよび前記磁石のうち一方が前記レンズホルダ上に配置され、前記コイルおよび前記磁石のうち他方が、前記コイルおよび前記磁石のうちの前記一方に対応し、かつ所定の距離をあけて配置されている駆動アセンブリ、ならびに
前記レンズホルダを前記前サブフレームに連結し、かつ前記主軸に平行な方向における前記レンズホルダの対向する両側にそれぞれ配置される2つの弾性要素を含み、前記2つの弾性要素が弾性変形することにより、前記接触アセンブリが前記フレームと前記レンズホルダとにより同時に圧迫され得るよう前記前サブフレームに向かう予荷力(pre−loading force)を提供するように構成された弾性アセンブリ、
を含む傾斜防止電磁モーター。
【請求項2】
前記接触アセンブリが複数のボールベアリングまたは複数のベアリングを含み、かつ前記フレームが互いに対向する2つの第1のガイド部をさらに含み、かつ前記レンズホルダが、前記2つの第1のガイド部にそれぞれ対向する2つの第2のガイド部を含み、前記ボールベアリングまたは前記ベアリングが各前記第1のガイド部と当該第1ガイド部に対応する前記第2のガイド部との間に配置される、請求項1に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項3】
前記レンズホルダおよび前記駆動アセンブリが第1の軸に沿って配列し、かつ前記2つの第1のガイド部および前記2つの第2のガイド部が前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配列する、請求項2に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項4】
前記弾性アセンブリが2つの第1の固定部により前記前サブフレームに連結され、かつ前記2つの第1の固定部が前記第1の軸に対して対称である、請求項3に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項5】
前記2つの第1の固定部、前記2つの第1のガイド部、および前記2つの第2のガイド部が前記第2の軸に沿って配列する、請求項4に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項6】
前記2つの第1のガイド部が前記第1の軸に対して対称であり、かつ前記2つの第2のガイド部が前記第1の軸に対して対称である、請求項3に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項7】
前記2つの第1のガイド部の各々が溝を含み、かつ前記2つの第2のガイド部の各々が溝を含む、請求項2に記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項8】
前記駆動アセンブリは、前記磁石に対して前記コイルが生じる磁力が前記レンズホルダの重量よりも大きい、請求項1から7までのいずれかに記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項9】
前記弾性アセンブリがシート状ばねを含み、前記レンズホルダが前記主軸に沿って移動するとき、前記弾性アセンブリが前記主軸に沿って伸びて前記予荷力を提供する、請求項1から8までのいずれかに記載の傾斜防止電磁モーター。
【請求項10】
第1の側方サブフレーム、第2の側方サブフレーム、および前記第1の側方サブフレームと前記第2の側方サブフレームとの間に位置する前サブフレームを含み、主軸を囲むフレーム、
レンズアセンブリ、
前記レンズアセンブリを支持するように構成され、かつ前記主軸に沿って前記フレームに対し移動可能に配されたレンズホルダ、
前記レンズホルダと前記第1の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置され、かつ前記レンズホルダと前記第2の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置される接触アセンブリ、
前記レンズホルダの移動を駆動するように構成されており、コイルおよび磁石を含み、 前記コイルおよび前記磁石のうち一方が前記レンズホルダ上に配置され、前記コイルおよび前記磁石のうち他方が、前記コイルおよび前記磁石のうちの前記一方に対応し、かつ所定の距離をあけて配置されている駆動アセンブリ、ならびに
前記レンズホルダを前記前サブフレームに連結し、かつ前記主軸に平行な方向における前記レンズホルダの対向する両側にそれぞれ配置される2つの弾性要素を含み、前記2つの弾性要素が弾性変形することにより、前記接触アセンブリが前記フレームと前記レンズホルダとにより同時に圧迫され得るよう前記前サブフレームに向かう予荷力(pre−loading force)を提供するように構成された弾性アセンブリ、
を含むレンズ装置。
【請求項11】
第1の側方サブフレーム、第2の側方サブフレーム、および前記第1の側方サブフレームと前記第2の側方サブフレームとの間に位置する前サブフレームを含み、主軸を囲むフレーム、
前記主軸に沿って前記フレームに対し移動可能に配されたレンズホルダ、
前記レンズホルダと前記第1の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置され、かつ前記レンズホルダと前記第2の側方サブフレームの前記前サブフレームに隣接する部分との間に配置される接触アセンブリ、
前記レンズホルダと前記前サブフレームとの間に配置されており、前記レンズホルダの移動を駆動するように構成されており、コイルおよび磁石を含み、 前記コイルおよび前記磁石のうち一方が前記レンズホルダ上に配置され、前記コイルおよび前記磁石のうち他方が、前記コイルおよび前記磁石のうちの前記一方に対応し、かつ所定の距離をあけて配置されている駆動アセンブリ、ならびに
前記レンズホルダを前記前サブフレームに連結し、かつ前記主軸に平行な方向における前記レンズホルダの対向する両側にそれぞれ配置される2つの弾性要素を含み、前記2つの弾性要素が弾性変形することにより、前記接触アセンブリが前記フレームと前記レンズホルダとにより同時に圧迫され得るよう、前記前サブフレームに向かう予荷力(pre−loading force)を提供するように構成された弾性アセンブリ、
を含む傾斜防止電磁モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年6月23日に出願された台湾特許出願第103121503号の優先権を主張し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は駆動モジュールおよびこれを用いるレンズ装置に関し、より詳細には、それに支持される構成要素の傾斜を防ぐことのできる傾斜防止(anti−tilt)電磁モーター、およびこれを用いるレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電子装置は、構成要素を所定の距離移動させるよう駆動する駆動モジュールを含む。例えば、画像取り込み機能を有する電子装置は、駆動電源を発生する駆動モジュールを含む。電子装置の1つ以上の光学レンズユニットは、駆動電源により駆動され光学軸に沿って移動し、これによりオートフォーカスおよびオートズームの制御が容易となる。
【0004】
しかし、駆動モジュールは、駆動電源を発生するためにステッピングモーター、超音波モーター、または圧電アクチュエーターなどのような複雑な駆動部材を含んでおり、かつ駆動電源は多数の伝導素子によって伝送される必要があるため、組み立てが容易でなく、さらに製造コストが高い。加えて、従来の駆動モジュールは、その複雑な構造のためにサイズが大きく、かつ消費電力が大きいという問題もある。
【0005】
特許文献1は、レンズアセンブリおよび駆動素子を含むカメラモジュールを開示している。レンズアセンブリは軸にスライド可能に接続される。駆動素子は、ヨーク、コイル、およびマグネットを含む。マグネットはレンズアセンブリの1側に配置される。電流がコイルを通ると、レンズモジュールは、コイルが発した磁力によって上方および下方へ移動するよう制御される。さらに、ヨークとマグネットとの間に生じた磁力により、レンズアセンブリとシャフトとの間に摩擦力システム(friction force system)が構築される。よって、レンズアセンブリが摩擦力システムにより位置決めされる。しかしながら、(衝突または搖動のため)外力がカメラモジュールに加わった場合、レンズアセンブリはマグネットから離れる方へ移動し、その距離が大きくなるにつれて磁力が次第に弱まる。結果として、カメラモジュールの信頼性が低下してしまう。
【0006】
特許文献2は、鏡筒およびハウジングを含む画像取り込み装置を開示している。鏡筒が弾性部材によりハウジングに配置されているため、動作中において鏡筒が別の構成要素との衝突によって傾斜するのが防がれる。しかし、外力が装置に加わると、鏡筒はハウジング内で搖動し得る。よって、画像取り込み装置の画質が保証されなくなる。
【0007】
したがって、メーカーは、信頼性が高いという長所を有する駆動モジュールを求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7869150号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2012/0320467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、高信頼性および低消費電力の長所を有する駆動モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、傾斜防止電磁モーターは、フレーム、レンズホルダ、接触アセンブリ、駆動アセンブリ、および弾性アセンブリを含む。フレームは、第1の側方サブフレーム、第2の側方サブフレーム、および第1の側方サブフレームと第2の側方サブフレームとの間に位置する前サブフレームを含む。レンズホルダは主軸に沿ってフレームに対し移動可能に配される。接触アセンブリの一部は、レンズホルダと第1の側方サブフレームの前サブフレームに隣接する部分との間に配置される。接触アセンブリの他の部分は、レンズホルダと第2の側方サブフレームの前サブフレームに隣接する部分との間に配置される。駆動アセンブリはレンズホルダの移動を駆動するように構成されている。弾性アセンブリはレンズホルダを前サブフレームに連結し、かつ接触アセンブリがフレームとレンズホルダとにより同時に圧迫され得るよう予荷重力(pre−loading force)を提供するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、接触アセンブリは複数のボールベアリングまたは複数のベアリングを含む。フレームは、互いに対向する2つの第1のガイド部をさらに含む。レンズホルダは、2つの第1のガイド部にそれぞれ対向する2つの第2のガイド部を含む。ボールベアリングまたはベアリングは第1のガイド部のうちの1つと対応する第2のガイド部との間に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態において、レンズホルダおよび駆動アセンブリは第1の軸に沿って配列し、かつ2つの第1のガイド部および2つの第2のガイド部は第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配列する。
【0013】
いくつかの実施形態において、弾性アセンブリは2つの第1の固定部により前サブフレームに連結される。2つの固定部は第1の軸に対して対称である。さらに、2つの第1のガイド部は第1の軸に対して対称であり、かつ2つの第2のガイド部は第1の軸に対して対称である。いくつかの実施形態において、2つの第1の固定部、2つの第1のガイド部、および2つの第2のガイド部は、第2の軸に沿って配列する。
【0014】
いくつかの実施形態において、駆動アセンブリはコイルおよび磁石を含み、 コイルおよび磁石のうち一方はレンズホルダに配置され、コイルおよび磁石のうち他方は、レンズホルダに配置されたコイルおよび磁石のうちの前記一方に対応し、かつそれと所定の距離をあけて配置される。磁石に対してコイルが生じる磁力はレンズホルダの重量よりも大きい。
【0015】
いくつかの実施形態において、2つの第1のガイド部の各々は溝を含み、かつ2つの第2のガイド部の各々は溝を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、弾性アセンブリは少なくとも1つのシート状ばねを含み、主軸に垂直な平面上に配される。レンズホルダが主軸に沿って移動するとき、弾性アセンブリは主軸に沿って伸び、予荷重力を提供する。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、上記傾斜防止電磁モーターを用いるレンズ装置を提供することにある。本発明のいくつかの実施形態によれば、レンズ装置は、上記実施形態のいずれかにおいて言及された傾斜防止電磁モーターと、レンズアセンブリとを含む。レンズホルダはレンズアセンブリを支持し、かつその光学軸に沿うレンズアセンブリの移動を駆動するように構成されている。レンズアセンブリが傾斜防止電磁モーターにより安定に位置決めされるため、レンズ装置の画質が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性が高く、かつ消費電力の低い駆動モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態およびその長所をより十分に理解するため、添付の図面と共に以下の説明を参照する。
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態によるレンズ装置の分解図を示している。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による傾斜防止電磁モーターのフレームの概略図を示している。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態によるレンズ装置の上面図を示している。
【
図4】
図4は、
図3中の第1の軸P1に沿った断面図を示している。
【
図5】
図5は、
図3中の線B−Bに沿った断面図を示している。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態によるレンズ装置の分解図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の記載は、本発明を実施するのに最良と考えられる形態である。この記載は本発明の基本的な原理を説明する目的でなされるものであり、限定の意味に解されてはならない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。説明の便宜、および添付の特許請求の範囲における定義の正確さのために、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」が、例示的実施形態の特徴を、図中に示されたかかる特徴の位置を参照にしながら説明するのに用いられるが、これらは本発明を具体化するレンズ装置の特定のいかなる方向にも本発明を限定するものではない。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態によるレンズ装置1の分解図を示している。いくつかの実施形態において、レンズ装置1はレンズアセンブリ3および傾斜防止電磁モーター5を含む。傾斜防止電磁モーター5は、レンズアセンブリ3を支持し、かつレンズアセンブリ3の光学軸(Z軸)に沿ってレンズアセンブリ3を往復移動させるよう駆動してレンズ装置1の外部から画像を取り込むように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態において、傾斜防止電磁モーター5は、上ハウジング10、下ハウジング12、フレーム14、レンズホルダ16、フレキシブル回路基板18、駆動アセンブリ20、接触アセンブリ22、弾性アセンブリ24、基準要素26、およびセンサー素子28を含む。傾斜防止電磁モーター5の構成要素は増やしても減らしてもよく、本発明は本実施形態により限定されるべきではない。
【0023】
上ハウジング10と下ハウジング12とによって収容空間(図示せず)が画定される。フレーム14、レンズホルダ16、フレキシブル回路基板18、駆動アセンブリ20、接触アセンブリ22、弾性アセンブリ24、基準要素26、およびセンサー素子28が該収容空間内に配置される。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態によるフレーム14の概略図を示している。いくつかの実施形態において、フレーム14は、例えば前サブフレーム141、後サブフレーム142、第1の側方サブフレーム143および第2の側方サブフレーム144のようないくつかのサブフレームを含む。なお、「前」はY軸正方向、「後」はY軸負方向に相当する。前サブフレーム141および後サブフレーム142はそれぞれ第1の側方サブフレーム143を第2の側方サブフレーム144に連結する。いくつかの実施形態において、前サブフレーム141は後サブフレーム142に対向して配され、かつ第1の側方サブフレーム143は第2の側方サブフレーム144に対向して配される。いくつかの実施形態において、前サブフレーム141は第1の側方サブフレーム143および第2の側方サブフレーム144に垂直に配される。いくつかの実施形態において、前サブフレーム141、第1の側方サブフレーム143、および第2の側方サブフレーム144のそれぞれの内壁は、共に曲面を形成する。いくつかの実施形態において、前サブフレーム141、第1の側方サブフレーム143、および第2の側方サブフレーム144は一体的に形成される。フレーム14はプラスチック材料で作製されたものとすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前サブフレーム141の実質中央を通路146が貫通している。加えて、通路146の両側であって、前サブフレーム141の上端縁および下端縁にそれぞれ2つの凹部147が形成される(下端縁に形成される凹部は
図2に示されていない)。なお、「上」はZ軸正方向、「下」はZ軸負方向に相当する。各凹部147の底部から位置決め部材1471が突出している。位置決め部材1471は弾性アセンブリ24を固定するのに用いられる。
【0026】
いくつかの実施形態において、フレーム14は、1つまたは複数の止め部材145、および1つまたは複数の第1のガイド部148をさらに含む。いくつかの実施形態において、フレーム14は、2つの止め部材145および2つの第1のガイド部148を含む。2つの止め部材145および2つの第1のガイド部148は第1の側方サブフレーム143および第2の側方サブフレーム144に配置されて、接触アセンブリ22の位置を制限する。具体的には、2つの止め部材145のうち1つの上面は第1の側方サブフレーム143の上面と揃い、かつ前サブフレーム141に隣接して位置している。さらに、他方の止め部材145の上面は第2の側方サブフレーム144の上面と揃い、かつ前サブフレーム141に隣接して位置している。2つの第1のガイド部148はそれぞれ2つの止め部材145に対応し、かつ第1の側方サブフレーム143および第2の側方サブフレーム144に形成される。いくつかの実施形態において、第1のガイド部148の各々は、傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に平行な方向に延伸する溝を含む。いくつかの実施形態では、
図3に示されるように、2つの第1のガイド部148は第1の軸P1に対して互いに対称であり、かつ第2の軸P2上において互いに対向している。
【0027】
再び
図1を参照すると、レンズホルダ16は、傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に平行な方向に、フレーム14に対して移動可能であり、かつレンズアセンブリ3などの構成要素を支持するように構成されている。いくつかの実施形態において、レンズホルダ16はフレーム14により包囲される。レンズホルダ16は、本体161、連結部材163、2つの固定部材165、および2つの第2のガイド部168を含む。本体161は中空円筒構造であり、本体161内にレンズアセンブリ3が配置される。連結部材163は本体161に連結し、かつ前サブフレーム141の通路146に隣接する。いくつかの実施形態において、連結部材163は凹部を含み、駆動アセンブリ20のいくつかの構成要素は凹部内に配置される。2つの固定部材165のそれぞれは円筒構造を有する。2つの固定部材165は、本体161の前サブフレーム141から離れた側に配置される。2つの固定部材165は、本体161の円周方向に所定の距離だけ互いに間隔があいている。2つの固定部材165の各々は、弾性アセンブリ24を固定するためにその上端縁および下端縁にそれぞれ形成された2つの位置決め部材1651を有する。2つの第2のガイド部168が本体161の両側に形成され、2つの第1のガイド部148のうちの1つにそれぞれ対向する。その結果、2つの第2のガイド部168は、第1の軸P1に対して互いに対称となり、かつ第2の軸P2に沿って配列する(
図3)。いくつかの実施形態において、各第2のガイド部168は、傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に平行な方向に沿って延伸する溝を含む。
【0028】
フレキシブル回路基板18は、外部回路から電気信号および/または電源を受信するように構成されている。いくつかの実施形態において、フレキシブル回路基板18は、第2の側方サブフレーム144の外側に隣接する。外部回路からの電気信号または電源は傾斜防止電磁モーター5の他の構成要素に伝送される。
【0029】
駆動アセンブリ20はフレキシブル回路基板18に電気的に接続し、かつレンズホルダ16の移動を駆動するように構成されている。いくつかの実施形態において、駆動アセンブリ20はコイル201および磁石203を含む。磁石203はレンズホルダ16の連結部材163に配置され、かつフレーム14の通路146内に位置する。コイル201はフレーム14に配置される。コイル201は磁石203に対向し、所定の距離だけ磁石203と離間している。コイル201は磁石203と接続しない。全体的にみて、レンズホルダ16および駆動アセンブリ20は、第2の軸P2に垂直な第1の軸P1(
図3)に沿って配列する。外部回路からの電流は、フレキシブル回路基板18を介してコイル201に伝送される。コイル201が電流を受けた後、コイル201により磁場が生じる。磁石203は、磁場によりレンズホルダ16を駆動し、傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に沿って移動させる。
【0030】
コイル201および磁石203の配列は上述の実施形態に限定されるべきではないことが理解される。例えば、
図6に示されるように、レンズ装置1’の駆動アセンブリ20’のコイル201は、レンズホルダ16の連結部材163に配置され、かつフレーム14の通路146内に位置する。磁石203はフレーム14に配置される。外部回路からの電流は、フレキシブル回路基板18を介してコイル201に伝送される。
【0031】
再び
図1を参照すると、接触アセンブリ22はレンズホルダ16とフレーム14との間に配置され、レンズホルダ16のフレーム14に対する移動を可能とするように構成されている。いくつかの実施形態において、接触アセンブリ22はいくつかのボールベアリング221を含む。ボールベアリング221は各第1のガイド部148と対応する第2のガイド部168との間に配置され、第1のガイド部148および第2のガイド部168に直接接触する。いくつかの実施形態において、接触アセンブリ22はいくつかのベアリングを含む。ベアリングは各第1のガイド部148と対応する第2のガイド部168との間に配置され、第1のガイド部148および第2のガイド部168に直接接触する。
【0032】
図3は、いくつかの実施形態によるレンズ装置1の上面図を示している。弾性アセンブリ24はレンズホルダ16をフレーム14に連結し、接触アセンブリ22が第1のガイド部148および第2のガイド部168により同時に圧迫され得るよう第1の軸P1に平行な方向の
予荷力(pre−loading force)をレンズホルダ16に提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、弾性アセンブリ24は2つの弾性要素241を含む。2つの弾性要素241は傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に垂直な平面上にそれぞれ配される。具体的には、2つの弾性要素241は、主軸に平行な方向におけるレンズホルダ16の対向する両側に連結する。つまり、2つの弾性要素241のうちの一方がレンズホルダ16の上側に配置され、他方の弾性要素241はレンズホルダ16の下側に配置される。2つの弾性要素241はレンズホルダ16をフレーム14に連結する。弾性要素241の数および連結関係は上述の実施形態に限定されるべきではないことが理解される。いくつかの図示していない実施形態では、弾性アセンブリ24は1つの弾性要素241を含む。弾性要素241はレンズホルダ16の本体161の外面を取り囲み、かつレンズホルダ16をフレーム14に連結する。
【0033】
再び
図1を参照する。いくつかの実施形態において、弾性要素241の各々はU字型構造を有し、かつ2つの第1の固定部2411、2つの第2の固定部2413、2つの延伸部2415、および連結部2417を含んでいる。2つの第1の固定部2411の各々、および2つの第2の固定部2413の各々はそれぞれに貫通孔を有する。各延伸部2415は2つの第1の固定部2411のうちの1つを、2つの第2の固定部2413のうちの1つに連結する。連結部2417は2つの第2の固定部2413どうしを連結する。2つの第1の固定部2411は、適した手段(例えば係合、溶接、または接着など)によってフレーム14の位置決め部材1471に固定される。2つの第2の固定部2413は、適した手段(例えば係合、溶接、または接着など)によってレンズホルダ16の位置決め部材1651に固定される。各延伸部2415の止め部材145に対応する部分は湾曲構造を有しており、これにより延伸部2415とフレーム14の止め部材145との間に干渉が生じないようになる点に留意すべきである。いくつかの実施形態では、移動時におけるレンズホルダ16の安定性を向上するべく、2つの第1の固定部2411、2つの第1のガイド部148、および2つの第2のガイド部168が同一基準面上に配置される。例えば、2つの第1の固定部2411、2つの第1のガイド部148、および2つの第2のガイド部168は、第2の軸P2(
図3)に平行な基準面に沿って配列する。
【0034】
いくつかの実施形態において、弾性要素241の各々は、異なる方向に異なるばね定数を有するシート状バネである。例えば、X軸に平行な水平方向の各弾性要素241のばね定数は、Y軸に平行な垂直方向のそれとは異なる。
【0035】
基準要素26およびセンサー素子28は、レンズホルダ16の移動および位置を検出し、かつレンズホルダ16の位置決めに用いるフィードバック信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、センサー素子28はフレキシブル回路基板18に配置され、基準要素26はレンズホルダ16に配置される。いくつかの実施形態において、基準要素26は永久磁石であり、センサー素子28はホール効果センサーである。センサー素子28は基準要素26の磁場の変化を検出することによって、基準要素26の位置に基づき電気信号を生成し、これによりレンズホルダ16の位置が測定されることとなる。
【0036】
別の実施形態では、基準要素26は光エミッタを含み、センサー素子28は位置信号受信器を含む。センサー素子28は基準要素26から信号を受信することによって、基準要素26の位置に基づき電気信号を生成し、これによりレンズホルダ16の位置が測定されることとなる。センサー素子28によって生成された電気信号は、同様にフレキシブル回路基板18を介して制御システム(図示せず)へ伝送される。その後、制御システムが、センサー素子28によって生成された電気信号に基づいて、駆動アセンブリ20に供給される電流を調整する。その結果、レンズホルダ16の位置が修正される。
【0037】
いくつかの実施形態において、接触アセンブリ22は対応する第1および第2のガイド部148および168に配置され、2つの弾性要素241はレンズホルダ16に
予荷力を与えてフレーム14の前サブフレーム141の方へ移動させる。その結果、接触アセンブリ22のボールベアリング221が、対応する第1および第2のガイド部148および168によって同時に圧迫されることとなる。レンズホルダ16および駆動アセンブリ20が配列する方向に平行である方向に
予荷力が加えられるという点に留意すべきである。さらに、レンズホルダ16とフレーム14の前サブフレーム141間は接触しない。
【0038】
本発明の傾斜防止電磁モーター5は多くの利点を提供する。
【0039】
例えば次のとおりである。
図3、4および5を参照する。
図4は、
図3中の第1の軸P1に沿った断面図を示しており、
図5は
図3中の線B−Bに沿った断面図を示している。
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、レンズ装置1の動作時において、駆動アセンブリ20によりレンズホルダ16の単一の側面にコイル、磁石の磁場による駆動力(磁力F)が生じ、これによりレンズホルダ16および/またはレンズアセンブリ3が傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に沿って移動する。いくつかの実施形態では、磁力Fはレンズホルダ16の単一の側面にかかるため、レンズホルダ16はその移動時において傾く。しかし、
図5に示されるように、主軸(Z軸)に沿ってレンズホルダ16が移動するとき、弾性アセンブリ24は主軸(Z軸)に平行な方向に変形する。よって、弾性アセンブリ24により
予荷力が与えられ、レンズホルダ16は接触アセンブリ22により傾斜防止電磁モーター5の主軸(Z軸)に沿って安定に動くことができるようになる。その結果、レンズホルダ16にかかる単一の側面の磁力Fに起因するレンズホルダ16および/またはレンズアセンブリ3の傾斜が回避される。また、
図4の左側に示されている矢印の方向に沿ってレンズホルダ16が前サブフレーム141から離れる方へ移動するとき、弾性アセンブリ24により生じた
予荷力は比例的に増大する。故に、レンズホルダ16の横の動き(transverse movement)にかかわらず、レンズホルダ16の安定性が維持される。駆動アセンブリ20および弾性アセンブリ24により生じるねじれ力が低いほど、上述した効果が高まるという点に留意すべきである。
【0040】
さらに、レンズアセンブリが外力によって揺動するまたは衝撃を受けると、その衝撃力は弾性アセンブリ24に吸収される。その結果、傾斜防止電磁モーター5により、レンズアセンブリ3が破損から保護される。また、いくつかの実施形態において、主軸に対する傾斜防止電磁モーター5の搖動は、レンズホルダ16の上側および下側に位置する弾性要素241により制限される。よって、レンズアセンブリの搖動による画質の低下が回避される。
【0041】
図3に示されるように、レンズホルダ16は接触アセンブリ22によりフレーム14に対しスライド可能に移動し、かつ接触アセンブリ22は第1および第2のガイド部148および168に固定されず、第1および第2のガイド部148および168に対し回転の方式で動くことができるため、主軸に垂直な方向(X軸およびY軸)におけるフレーム14とレンズホルダ16との間のクリアランスが、接触アセンブリによって調整される。その結果、傾斜防止電磁モーター5の生産歩留まりが向上し、製造コストが低減する。
【0042】
上および下側の弾性要素の構成およびその配置が従来のボイスコイルアクチュエータ(VCA)とは異なるために、本発明のレンズ装置1は従来のVCAよりも小さい電流で駆動され、よってより低い消費電力という利点が達成される。さらに、接触アセンブリとプラスチック部材(例えばレンズホルダ16)との間に生じる摩擦力がレンズホルダ16(移動部)の重量のバランスをとるようになるため、所定の位置に達したときにレンズホルダ16を止めるための電流が低減する。また、レンズホルダ16の制御の精度が、レンズ装置1のセンサー素子28の利用によって向上する。
【0043】
本発明を例により、好ましい実施形態の観点から説明したが、本発明がこれらに限定されることはないと理解される。それとは反対に、(当業者には明らかであるように)各種変更および類似の配置をカバーすることが意図されている。故に、添付の特許請求の範囲は、かかる変更および類似の配置がすべて包含されるよう、最も広い解釈が与えられなくてはならない。
【符号の説明】
【0044】
1…レンズ装置
3…レンズアセンブリ
5…傾斜防止電磁モーター
10…上ハウジング
12…下ハウジング
14…フレーム
141…前サブフレーム
142…後サブフレーム
143…第1の側方サブフレーム
144…第2の側方サブフレーム
145…止め部材
146…通路
147…凹部
1471…位置決め部材
148…第1のガイド部
16…レンズホルダ
161…本体
163…連結部材
165…固定部材
1651…位置決め部材
168…第2のガイド部
18…フレキシブル回路基板
20…駆動アセンブリ
201…コイル
203…磁石
22…接触アセンブリ
221…ボールベアリング
24…弾性アセンブリ
241…弾性要素
2411…第1の固定部
2413…第2の固定部
2415…延伸部
2417…連結部
26…基準要素
28…センサー素子
P1…第1の軸
P2…第2の軸