【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、液化天然ガスを5℃より高い温度を有する過熱流体に変換する方法において、加圧下の天然ガスを、直列になった第1、第2、及び第3の熱交換段の列に通し、その中で天然ガスを加温させる段階を備える方法が提供されている。
【0008】
本発明は、更に、液化ガスを5℃より高い温度を有する過熱流体に変換するための装置において、直列になった第1、第2、及び第3の主熱交換器段の列を備える装置を提供している。
【0009】
天然ガスの流れの方向に関して、熱交換段の最上流は第1熱交換段であり、中間は第2熱交換段であり、最下流は第3熱交換段であると理解されたい。それぞれの主熱交換部は個別の熱交換器を備えているのが好適である。
【0010】
それぞれの主熱交換段は、凝縮性の熱交換媒体によって加温されている。熱交換媒体の組成は、それぞれの主熱交換段で同じとし、直列になったそれぞれの主熱交換段の天然ガス流出温度に要求される勾配を与えるために異なった凝縮圧力が採用されていてもよい。代わりに、第1主熱交換段及び第2主熱交換段のみを凝縮性の熱交換媒体によって加温さ
せ、第3熱交換段は、閉回路内の、水、例えば海水、或いは水とグリコールの混合液の様な、第3熱交換段で相を変化させない液状媒体によって加温させてもよい。
【0011】
何れかの特定の主熱交換段を加温するのに使用される凝縮性の熱交換媒体は、主熱交換段に加えて、主熱交換器から凝縮された熱交換媒体を回収するための容器と、凝縮された熱交換媒体を再気化させるための少なくとも1つの副熱交換器と、凝縮された熱交換媒体の流れを加圧するためのポンプであって回収容器からの出口と副熱交換器の中間に設置されているポンプと、を備える無限回路を流れていてもよい。特に第1主熱交換段と第2主熱交換段は、どちらもその様な回路の一部を形成しているのが好適である。
【0012】
所望であれば、2つの熱交換回路は共通の回収容器を共用していてもよい。第1主熱交換段を含んでいる熱交換回路内の副熱交換器は、海水によって加温されていてもよい。第2主熱交換段を含んでいる熱交換回路内の副熱交換器もそうであってよい。
【0013】
第3主熱交換段を加温するのに凝縮性の熱交換媒体が採用されるなら、第3主熱交換段は、以上に説明されている種類の熱交換回路の一部を形成することになろう。この熱交換回路の副熱交換器は、閉回路を流れている水又は水とグリコールの混合液であって、例えば機関から又は燃焼ガスからの廃熱を捕捉するのに使用された水又は水とグリコールの混合液の加温源によって加温されるのが好適である。容易に使える廃熱がないなら、熱ポンプを使用して、流れている液体(水又は水‐グリコール混合液)の温度を所望のより高い温度へ上昇させ、そうして熱交換回路内の熱交換媒体の必要な加温が提供されるようにしてもよい。好適さは劣るが或る代わりのやり方は、ボイラーを運転して蒸気を上昇させ、得られる蒸気を用いて熱交換媒体の温度を上昇させるというものである。典型的に、第3熱交換器は、それら主熱交換段に掛かる総負荷の多くて5%しか賄わず、従ってこの加温の運転費用は低く抑えられている。
【0014】
典型的に、第1熱交換器を含んでいる熱交換回路は、自身に掛かる熱負荷を賄うために2つ又はそれ以上の副熱交換器を並列に採用していてもよい。熱交換回路のどれも、特に第1主熱交換段を含んでいる熱交換回路及び第2主熱交換段を含んでいる熱交換回路では、熱交換媒体にはプロパンが好適な選定である。プロパンは商業的に容易に入手でき、3つの主熱交換器それぞれでの凝縮温度を−40℃から+25℃の範囲で選択できるようにする熱力学的特性を有している。他の熱交換流体が、プロパンの代わりに又はプロパンと混合して使用されてもよいであろう。その様な代替又は追加の熱交換流体は、エタン冷媒、ブタン冷媒、及びフルオロカーボン冷媒、具体的にはR134(a)を備える。
【0015】
第1熱交換回路は、典型的に、天然ガスを−40℃から−20℃の範囲の温度へ上昇させる。第2熱交換回路は、典型的に、天然ガスを−5℃から+5℃の範囲の温度へ上昇させる。第3熱交換回路は、天然ガスを、その所望される最終温度、典型的には、+10℃から+25℃程度の温度へ上昇させる。
【0016】
所望であれば、天然ガスの最大供給速度によっては、本発明による方法及び装置は、前記熱交換段の列について複数の列を並列に採用することもできるであろう。
別の代わりのやり方は、2つの列が第3主熱交換段を共用するというものである。1つの例では、4つの列が2つの第3主熱交換段を共用している。概して、任意の数の前記列が任意の数の第3熱交換段を共用していてもよい。
【0017】
更に別の代わりのやり方は、2つの列が第2主熱交換段及び第3主熱交換段を共用するというものである。或る別の例では、並列になった4つの主熱交換段が、第2主熱交換段と第3主熱交換段の第1の対及び第2の対と連通している。概して、任意の数の前記列が任意の数の第2熱交換段及び第3熱交換段を共用していてもよい。
【0018】
所望であれば、或る列が別の列と天然ガスをやり取りすることもできるであろう。
本発明による装置は、海洋航行船、例えばいわゆるFSRU(浮体式貯蔵再ガス化ユニット)に船上設置することができる。
【0019】
熱交換回路のうち何れか又は全ての回路内の熱交換媒体は、各々の単数又は複数の副熱交換器内で部分的に気化されてもよい。部分的に気化される場合、残留液体を、得られた蒸気から、例えば、適した液体‐蒸気分離手段を装備した分離容器内で、分離させてもよい。
【0020】
本願発明の実施形態は、例えば、以下の通りである。
[実施形態1]
液化天然ガスを5℃より高い温度を有する過熱流体に変換する方法において、加圧下の前記天然ガスを、直列になった第1、第2、及び第3の熱交換段の列に通し、その中で前記天然ガスを加温させる段階を備えている方法。
[実施形態2]
それぞれの主熱交換段は、凝縮性の熱交換媒体によって加温される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記熱交換媒体の組成は、それぞれの主熱交換段で同じであり、前記直列になったそれぞれの主熱交換段の前記天然ガスの流出温度に要求される勾配を与えるために異なった凝縮圧力が採用されている、実施形態2に記載の方法。
[実施形態4]
前記第1主熱交換段と前記第2主熱交換段は、凝縮性の熱交換媒体によって加温され、前記第3熱交換段は、当該第3熱交換段で相を変化させない液状媒体によって加温される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]
前記の相を変化させない液状媒体は、水又は水とグリコールの混合液である、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記凝縮性の熱交換媒体はプロパンである、実施形態2から5の何れか1項に記載の方法。
[実施形態7]
凝縮性の熱交換媒体によって加温されるそれぞれの主熱交換段では、前記熱交換媒体は、前記主熱交換段に加えて、前記主熱交換器から凝縮された熱交換媒体を回収するための容器と、前記凝縮された熱交換媒体を再気化させるための少なくとも1つの副熱交換器と、前記凝縮された熱交換媒体の流れを加圧するためのポンプであって前記回収容器からの出口と前記副熱交換器の中間に設置されているポンプと、を備える無限回路を流されている、実施形態2から6の何れか1項に記載の方法。
[実施形態8]
2つの熱交換回路が共通の回収容器を共用している、実施形態7に記載の方法。
[実施形態9]
前記第1主熱交換段を含んでいる前記熱交換回路及び前記第2主熱交換段を含んでいる前記熱交換回路は、海水によって加温される副熱交換器を採用している、実施形態7又は8に記載の方法。
[実施形態10]
前記海水は開サイクルを流れている、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]
前記第3主熱交換器を加温するための熱エネルギーは、廃熱から回生させるか又は熱ポンプによって発生させている、実施形態5に記載の方法。
[実施形態12]
前記の相を変化させない液状媒体は閉サイクルを流れている、実施形態5又は11に記載の方法。
[実施形態13]
前記第1熱交換器を含んでいる前記熱交換回路は、当該回路に掛かる前記熱負荷を賄うために、2つ又はそれ以上の副熱交換器を並列に採用している、実施形態7から9の何れか1項に記載の方法。
[実施形態14]
前記天然ガスは、前記第1主熱交換段ではマイナス40℃からマイナス20℃の範囲の温度へ上昇させられ、前記第2主熱交換段ではマイナス5℃からプラス5℃の範囲の温度へ上昇させられ、そして前記第3熱交換段ではプラス10℃からプラス25℃の範囲の温度へ上昇させられる、上記実施形態の何れか1項に記載の方法。
[実施形態15]
前記第3主熱交換段は、前記天然ガスを所望の温度へ加温するのに要求される前記熱負荷の5%又はそれ以下を賄っている、上記実施形態の何れか1項に記載の方法。
[実施形態16]
液化ガスを5℃より高い温度を有する過熱流体に変換するための装置において、直列になった第1、第2及び第3の主熱交換器段を備えている装置。
[実施形態17]
複数の前記列を並列に採用している、実施形態16に記載の装置。
[実施形態18]
2つの前記列が第3主熱交換段を共用している、実施形態17に記載の装置。
[実施形態19]
2つの前記列が第2主熱交換段及び第3主熱交換段を共用している、実施形態17に記載の装置。
[実施形態20]
任意の数の前記列が、任意の数の前記第3主熱交換段を共用している、実施形態17に記載の装置。
[実施形態21]
任意の数の前記列が、任意の数の第2主熱交換段及び任意の数の第3主熱交換段を共用している、実施形態17に記載の装置。
[実施形態22]
海洋航行船に船上設置された、実施形態14から17の何れか1項に記載の装置。
これより本発明による方法及び装置を一例として添付図面を参照しながら説明してゆく。