特許第6231081号(P6231081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231081
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】流体を分注するための弁
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   G01N35/10 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-510789(P2015-510789)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-516084(P2015-516084A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】EP2013059466
(87)【国際公開番号】WO2013167578
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】12167110.1
(32)【優先日】2012年5月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】バンメスベルガー,シュテファン・ボルジャ
(72)【発明者】
【氏名】カートマン,サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】コルタイ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ムッシュラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュピンケ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】タンギー,ローラン
【審査官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−235052(JP,A)
【文献】 特表2000−516526(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01099483(EP,A1)
【文献】 特表2010−504482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥部分および湿潤部分(110)を含む、流体を分注するための常時閉弁(100)であって、前記湿潤部分(110)のみが前記流体に接触されるように配置されており、前記湿潤部分(110)が、
− 流体入口開口部(202)、流体出口(204)を提供する細管ノズル(108)、空所(206)、およびプランジャ(106)を有する流体分注ユニットであって、前記細管ノズル(108)が、前記空所(206)内に端部を有し、前記プランジャ(106)が、作動ユニット(200)により前記空所(206)内で開位置へ移動可能とされて、前記流体入口開口部(202)および前記空所(206)を通じた前記流体の流入と、前記細管ノズル(108)を通じた前記流体の流出とを可能にし、前記プランジャ(106)がさらに、前記細管ノズル(108)の前記端部に向けられた側に密封面(212)を有し、前記プランジャ(106)が、前記密封面(212)により前記細管ノズル(108)の前記端部を閉鎖する閉位置へと移動可能である、前記流体分注ユニットを含み、
前記乾燥部分が、
− 前記プランジャ(106)を前記閉位置に移動させるために前記プランジャ(106)に対して磁気による閉口力を働かせる閉鎖要素(112)を含み、前記閉鎖要素および前記プランジャのうちの少なくとも一方が、前記常時閉弁をその通常の閉じられた状態に維持するための永久磁石を含み、
前記閉鎖要素(112)が、前記湿潤部分(110)に解放可能に取り付けられる、弁(100)。
【請求項2】
前記細管ノズル(108)の前記端部は、前記常時閉弁の通常の閉じられた状態および開いた状態のいずれの状態においても、前記閉鎖要素と前記密封面との間に配置されている、請求項1に記載の弁(100)。
【請求項3】
前記閉鎖要素(112)が、スナップ嵌め、プレス嵌め、形状嵌め、ねじ止め、および/または接着剤により、前記空所(206)を流れる前記流体の方向の範囲内で前記湿潤部分(110)に解放可能に取り付けられる、請求項2に記載の弁(100)。
【請求項4】
前記流体分注ユニットが、前記空所(206)内の前記プランジャ(106)の運動を案内するための複数の摺動面(208)をさらに含み、前記摺動面(208)が、前記空所を通して流体経路を形成するために分断されており、前記流体経路は前記空所の軸方向に延び、流体が下方向に前記複数の摺動面(208)の間の空間を通って、前記細管ノズル(108)の方向へ流れることを可能にする、請求項1から3のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項5】
前記摺動面が、少なくとも部分的に前記開位置と前記閉位置との間に延在して前記空所(206)の壁に配置され、前記摺動面(208)が、前記空所(206)の軸方向に延在し、前記流体出口に向かう前記摺動面(208)の前記軸方向の延長が、前記閉位置によって制限され、前記流体出口に面する前記プランジャ(106)の前記端部が、密封面(212)を含み、前記細管ノズルが前記空所内に延在する、請求項4に記載の弁(100)。
【請求項6】
前記空所(206)が、前記細管ノズル(108)を取り囲む密封領域を有し、前記密封領域には前記摺動面(208)が存在しない、請求項5に記載の弁(100)。
【請求項7】
前記摺動面(208)が、前記プランジャ(106)の外側表面および/または前記空所(206)の内側表面に配置される、請求項4から6のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項8】
前記空所(206)が、下部開口部を有する第1の射出成形部品(102)内に形成され、前記下部開口部が、第2の射出成形部品(104)によって閉鎖され、前記細管ノズル(108)が、前記第2の射出成形部品(104)を貫通する、請求項1から7のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項9】
前記流体分注ユニットを受け入れるためのホルダ(114)をさらに含み、前記ホルダ(114)が、前記流体分注ユニットの断熱のために、その内側および/または外側の表面に空気路(500)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項10】
前記ホルダ(114)が、内壁に出っ張り(502)を有し、前記出っ張り(502)が、前記流体分注ユニットを動作位置に保持するように構成されている、請求項9に記載の弁(100)。
【請求項11】
前記プランジャ(106)に磁気による開口力を働かせるための前記作動ユニット(200)をさらに含み、前記作動ユニット(200)が、前記湿潤部分(110)の外側に配置されており、前記作動ユニット(200)が、作動コイルまたは永久磁石のうちの一方を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項12】
前記閉鎖要素(112)および前記プランジャ(106)のうちの少なくとも一方が永久磁石である、請求項1から11のいずれか一項に記載の弁(100)。
【請求項13】
流体を受け入れるための貯槽(602)を有するカートリッジ(600)であって、前記貯槽(602)から前記流体を分注するために請求項1から12のいずれか一項に記載の弁(100)を含む、カートリッジ(600)。
【請求項14】
生体試料を分析するための分析システムであって、
− 請求項13に記載のカートリッジ(600)を複数個保持するためのカートリッジホルダと、
− 前記生体試料および1種または複数種の試薬を受け入れる試料容器を保持するための試料容器ホルダと、
− 前記試料容器に対する前記カートリッジ(600)の相対運動のためのロボット要素と、
− 前記ロボット要素を制御するための第1の制御装置と、
− 前記作動ユニット(200)を制御するための第2の制御装置と、
− 分注された前記流体の量を検知するためのセンサ(608)と
を含む、分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小流体分注弁および生体試料を分析するための分析システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
微小流体の分野、特に体外診断おいて使用される現在の機械式ピペット操作デバイスは、1μl以下の範囲で分注すべき流体の投与量の確度および精度において、限界を見せている。
【0003】
EP1959257A2は、試薬ピペッタを有する分析器を開示している。この試薬ピペッタは、試料を含む容器に試薬を分注して化学反応を引き起こすために使用される。
米国特許第6713021(B1)号、米国特許第6669909号、米国特許第3190608号、および米国特許第6050543号は、それぞれ、流体と接触しかつ作動コイルによって作動されることが可能であるプランジャとしての形態で永久磁石を有する、流体液滴を分注するための電磁操作式流体弁について説明している。
【0004】
米国特許第3212751号、米国特許第3738578号、米国特許第4852528号、米国特許第4899700号、米国特許第5029807号、およびDE4334350A1は、それぞれ、通常状態においてそれぞれの弁を閉じるために追加的な永久磁石を使用する電磁操作式流体弁組立体について説明している。
【0005】
WO2009/117995A1および米国特許第4489863号は、球状のプランジャを用いて媒体を分注する電磁操作式弁組立体について説明している。
EP1099483A1および米国特許出願公開第2010/0051722(A1)号は、弁を閉じてその弁を閉じたままにしておくために外部の構成要素を必要とする、流体を分注するためのデバイスを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、流体を分注するための改良された弁、カートリッジ、および分析システムを提供することである。分注は、サブマイクロリットルの範囲かまたはより大きな範囲で行われうる。前述の目的は、独立請求項の主題によって解決されうる。各実施形態が、従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各独立請求項に記載の、流体を分注するための弁、カートリッジ、および生体試料を分析するための分析システムを提供する。本発明の各実施形態が、従属請求項に記載される。
【0008】
本明細書において理解される「常時閉弁」は、電磁力を働かせることなどにより作動装置によって操作される弁を含む。常時閉とは、作動装置が作動されていない場合、または作動装置が故障した場合には、弁がその閉状態にあることを意味する。言い換えれば、作動装置から弁に対して開口力が働かされない限り、弁はその閉位置に留まる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、作動ユニットは、プランジャに対して磁気による開口力を働かせる磁界を生成するための作動コイルを含みうる。例えば、作動は、作動コイルに電流を流す作動ユニットの電源をオンにし、そして作動コイルが磁気による開口力をもたらす電磁界を形成することにより、行われる。
【0010】
作動コイルを流れる電流は、作動コイルの温度上昇をもたらす可能性がある。この温度上昇は、弁をその開位置に持って行き弁をその開位置に保つためにのみ電流が流れる必要があるという事実によって制限される。弁がその閉状態にある間は、電流が流れる必要はない。流体によっては温度上昇が望ましくない場合があるので、上記のことは、作動に起因する分注される流体のそのような温度上昇を制限するという有益な効果を有する。このことは、温度変化に敏感な幹細胞などの生きた組織を含む流体に特に関係する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、プランジャおよび/または閉鎖要素は、永久磁石を担持しかつ/または永久磁性材料で構成されて、作動ユニットがプランジャに対してプランジャをその閉位置から開位置へと動かす反対の力を働かせるように作動されない限りはプランジャをその閉位置に維持するように磁気による閉口力をプランジャに対して働かせることにより、弁をその通常の閉状態に維持する。
【0012】
作動ユニットがオフにされると、この反対の力が消失し、それによりプランジャは、その閉位置に向かって加速されて、細管ノズルの端部におけるその閉位置に達すると急停止される。この細管ノズルの端部へのプランジャの衝突は、ノズルの先端、すなわち流体出口から垂れ下がっている場合がある分注された流体の液滴が、液滴をノズルの先端から落下させ、それによりこの液滴もまた流体が分注される容器に達しうるという利点を有する。このことは、流体を分注する精度を高める。
【0013】
プランジャがその閉位置に衝突したときにプランジャによってもたらされる衝撃が、全体としては弁に及ぼされずに直接ノズルに及ぼされ、それにより非常に限られた量の流体のみがプランジャの衝突によって加速されることが、さらなる利点である。このことは、流体が、幹細胞のような生きた組織を含む流体などの極めて敏感な性質の流体である場合に、特に有利である。
【0014】
1つの態様では、本発明は、乾燥部分および湿潤部分を含む、流体を分注するための常時閉弁であって、湿潤部分のみが流体に接触されるように配置されており、湿潤部分が、
− 流体入口開口部、流体出口を提供する細管ノズル、空所、およびプランジャを有する流体分注ユニットであって、細管ノズルが、空所内に端部を有し、プランジャが、空所内で開位置へ移動可能とされて、流体入口開口部および空所を通じた流体の流入と、細管ノズルを通じた流体の流出とを可能にし、プランジャがさらに、細管ノズルの端部に向けられた側に密封面を有し、プランジャが、密封面により細管ノズルの端部を密封する閉位置へ移動可能とされる、流体分注ユニットを含み、
乾燥部分が、
− プランジャを閉位置に引き付けるためにプランジャに対して磁気による閉口力を働かせる閉鎖要素を含む、弁に関する。
【0015】
前述の実施形態は、弁の湿潤部分のみが流体に接触する一方で、閉鎖要素は流体と少しも接触しないので、有利でありうる。湿潤部分と乾燥部分とを分けることができるので、流体と接触しない閉鎖要素を再利用することができる。反対に、湿潤部分は、それぞれの流体または試薬を消費した後で容易に処分することができる。現在のピペット操作デバイスでの場合のようなピペットの洗浄過程をなくすことにより、持ち越し効果およびいかなる相互汚染も防止される。安価な材料で湿潤部分を製造することにより、1回に分注するマイクロリットル当たりの費用を削減することができる。
【0016】
閉鎖要素がプランジャをその閉位置に引き付けると、例えば、保管または移送などの状況下では弁の弁体内の流体が流出することができないように、弁は完全に閉じられる。
実施形態によれば、閉鎖要素は、湿潤部分に解放可能に取り付けられる。
【0017】
前述の実施形態は、唯一流体と接触する湿潤部分を、さらなる用途のために再使用することが可能な閉鎖要素から容易に分離することができるので、有利でありうる。閉鎖要素を別の未使用の弁の湿潤部分に再度組み付けることができる一方で、湿潤部分を乾燥部分から容易に取り外すことができるので、現在使用される機械式ピペット操作デバイスで必要とされるようなノズルの先端を洗浄するステップが、不要になる。したがって、別の試薬の適用を用意するのに必要とされるステップの数が、減少されうる。したがって、微小流体を分注する過程を自動化するための機構が、簡易化されうる。
【0018】
実施形態によれば、閉鎖要素は、スナップ嵌め、プレス嵌め、形状嵌め、ねじ止め、および/または接着剤により、空所を流れる流体の方向の範囲内で湿潤部分に解放可能に取り付けられる。
【0019】
前述の実施形態は、湿潤部分と閉鎖要素との間に及ぼされる引き付ける磁力に加えて、さらに湿潤部分を閉鎖要素に固定することにより、2つの構成要素間の相対位置がより安定化され、したがって弁の通常の閉状態におけるいかなる漏れも防止されるので、有利でありうる。例えば移送中または保管中での、様々な弁における様々な流体のいかなる持ち越し効果および相互汚染も、防止される。また一方で、乾燥部分および湿潤部分は、いかなる用途においても容易に分解することができる。流体と直接接触していた使い捨て式の湿潤部分は、リサイクルまたは処分することができ、一方で、非使い捨て式の乾燥部分は、再使用することができる。そのため、使い捨て式の湿潤部分は、安価な材料で製造されうる。
【0020】
実施形態によれば、流体分注ユニットは、空所内のプランジャの運動を案内するための複数の摺動面をさらに含む。摺動面は、空所を通して流体経路を形成するために、互いに分断されている。
【0021】
前述の実施形態は、プランジャの運動の方向が案内されて、結果として弁体の長手軸に平行な運動になるので、有利でありうる。プランジャに磁力を適用するときに、いずれの無制御の方向においても、妨げになる傾き運動がなくなる。流体の粘度に依存する流体の粘着力を考慮すると、ノズルを介して分注される流体の量は、著しく減少させることができ、したがって、サブマイクロリットルの範囲での流体液滴の分注が可能になる。そのため、例えば、体外診断の分野における試薬の量を著しく減少させて、所望の診断検査を実行することができる。したがって、体外診断の分野における試薬にかかる費用を、削減することができる。
【0022】
実施形態によれば、摺動面は、少なくとも部分的に開位置と閉位置との間に延在して空所の壁に配置され、摺動面は、空所の軸方向に延在し、流体出口に向かう摺動面の軸方向の延長は、閉位置によって制限され、流体出口に面するプランジャの端部は、密封面を持ち、細管ノズルは、閉口力を釣り合わせるために動作可能であるように、空所内に延在する。
【0023】
前述の実施形態は、プランジャのための導管として作用する摺動面が、プランジャのいかなる傾きも最小限に抑え、かつ、弁の長軸に沿ったプランジャの並行運動の摩擦の減少を最小限に抑えるので、有利でありうる。それと同時に、プランジャの運動中に接触する面が減るので、プランジャの運動中のいかなる摩擦も、摺動面によって減少される。流体出口の密封、および空所内への細管ノズルの追加的な延長により、プランジャがその閉位置にあるときには、流体の漏れがなくなる。プランジャがその閉位置にあることによる流体出口の閉口の程度が、高められる。それと同時に、プランジャの確実な閉状態および開状態を定義することにより、投与量の正確度が高められる。
【0024】
実施形態によれば、空所は、細管ノズルを含む密封領域を備える。密封領域には、摺動面が存在しない。
前述の実施形態は、プランジャの密封剤が流体を吸収することにより時間と共にその体積を膨張させた場合でも、細管ノズルの端部の完全な密封がなおも可能とされるので、有利でありうる。
【0025】
実施形態によれば、摺動面は、プランジャの外側表面および/または空所の内側表面に配置される。
前述の実施形態は、プランジャの運動を案内する方法をプランジャの磁性材料の特性に応じて変更することができるので、有利でありうる。実施形態の2つの代替形態は、空所内でプランジャの運動を案内する機能を同様の方法で満たすので、流体分注ユニットの構成要素の購入は、購入費用のみに焦点を当てればよい。
【0026】
実施形態によれば、空所は、下部開口部を有する第1の射出成形部品の内部に形成され、下部開口部は、第2の射出成形部品によって閉じられ、細管ノズルは、第2の射出成形部品を貫通する。
【0027】
前述の実施形態は、一方の部品が、流体のための貯槽への、例えばカートリッジの貯槽への接続部を有し、他方の部品が、ノズルのための開口部と、磁気による閉鎖要素の開口部に嵌合するための例えば突出部とを有して、弁体自体を2つの部品から構成することができるので、有利でありうる。第1の部品がカートリッジの貯槽に接続されうる一方で、第2の部品は、例えば体外診断デバイスの結合架台に接続されうる。互換性を前提として、これらの2つの部品は、診断検査の必要性に応じて交換することができる。両方の部品が射出成形材料で構成されるという事実から、微小流体弁の使い捨て式部品は安価な材料で構成できることが分かる。使い捨て式部品の形状および材料は、それぞれの体外診断デバイスの空間的および機能的な要求に応じて選択されうる。例えば、材料は、この弁を使用して分注される試薬との適合性のために、または生体適合性のために選択されうる。
【0028】
実施形態によれば、弁は、流体分注器を受け入れるためのホルダをさらに含み、このホルダは、流体分注器の断熱のために、その内側および/または外側の表面に空気路を有する。
【0029】
前述の実施形態は、ホルダの内側および/または外側の表面にある空気路が、弁の弁体に含まれている流体の断熱に作用する空気流を提供し、弁体周囲の空気と弁体の内部空間とに多少の温度差がある場合に、周囲空気の温度の影響を抑えて弁体内の流体の温度を比較的一定に保つことができるので、有利でありうる。弁体の内側および/または外側の表面の空気路が多くなるほど、断熱の効果が高められていく。例えば作動コイルといった熱を発生するデバイスが弁体の外側にある場合、弁体内の流体は、望ましくない形で加熱されることから保護される。
【0030】
実施形態によれば、ホルダは、その内壁に出っ張りを有し、この出っ張りは、流体分注ユニットを動作位置に保持するように構成される。
前述の実施形態は、ホルダの内壁にある出っ張りが、流体分注器の位置を安定させるのに必要な表面を減らすのと同時に、流体分注器の断熱の効果に寄与するさらなる空気路を生成することにより、流体分注器の位置を固定することができるので、有利でありうる。
【0031】
実施形態によれば、弁は、プランジャに対して磁気による開口力を働かせるための作動ユニットをさらに含み、この作動ユニットは、湿潤部分の外側に配置され、好ましくは、作動コイルまたは永久磁石のうちの一方を含む。
【0032】
前述の実施形態は、作動ユニットが湿潤部分の外側に配置されるのであれば、作動ユニット自体は弁体内にある流体と直接接触しないので、有利でありうる。そのため、作動ユニットは、弁の湿潤部分を交換するだけで、何の変更もなく再使用することができる。作動ユニットおよび磁石ホルダは、弁内の流体と接触せず、作動ユニットおよび磁石ホルダは、弁に解放可能に取り付け可能とされうる。したがって、弁の用途の融通性が高められうる。
【0033】
作動ユニットは、作動ユニットおよびホルダが、デバイスの、例えば体外診断デバイスの結合架台に取り外せないように固定された状態で、弁のホルダの周囲に位置決めされうることが好ましい。作動コイルまたは永久磁石の形態の作動ユニットは、弁体内のプランジャをその開位置にまたは開位置とその閉位置との間の位置に移動させる磁力を持つ磁界を生成することができる。分注される流体の量は、例えば、プランジャがその開位置にあるときのノズルが開かれる時間間隔を定義することにより、また、主に流速に関与する、流体に与えられる作動圧力を定義することにより、制御されうる。
【0034】
実施形態によれば、閉鎖要素およびプランジャのうちの少なくとも一方は、磁気による閉口力をもたらす磁界を生成するように構成される。
前述の実施形態は、弁の通常の閉状態が効率的な方法で実現されうるので、有利でありうる。保管または移送中の試薬の漏れとそれによる異なる試薬の相互汚染とを防ぐことができるように、弁の完全な閉鎖を達成することができる。弁の通常の閉状態では、漏れは存在しない。弁の閉状態は、閉鎖要素とプランジャとの間の引き合う磁力によって実現されうる。
【0035】
実施形態によれば、閉鎖要素およびプランジャのうちの少なくとも一方は、永久磁石である。
閉鎖要素およびプランジャのうちの少なくとも一方が永久磁石であることの利点は、弁を常時閉とすることができるということでありうる。この文脈において、「常時閉」とは、作動ユニットに電流が供給されていないかまたは作動閾値を下回る電流が作動ユニットに供給されている場合には弁が閉じられるということを意味する。作動ユニットは、電流が供給されたときに磁力を生成することによりプランジャをその開位置へと移動させるように動作可能である。
【0036】
前述の実施形態は、閉鎖要素およびプランジャのうちの一方が例えば軟磁性体である場合に、さらに有利でありうる。硬磁性体は、所定の閾値を上回る磁気保持力を有するが、軟磁性体は、所定の閾値を下回る保磁力を有する。軟磁性体は硬磁性体よりも安価なので、費用をさらに抑えることができる。説明された弁においては、湿潤部分の一部としてのプランジャは、好ましくは軟磁性体とされうるので、プランジャを処分する際の費用は、ごく安くなる。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、流体を受け入れるための貯槽を有するカートリッジに関し、カートリッジは、貯槽から流体を分注するために、前述の実施形態のいずれかによる弁を含む。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、生体試料を分析するための分析システムであって、
− 本発明の一実施形態によるカートリッジを複数保持するためのカートリッジホルダと、
− 生体試料および1種または複数種の試薬を受け入れる試料容器を保持するための試料容器ホルダと、
− 試料容器に対するカートリッジの相対運動のためのロボット要素と、
− ロボット要素を制御するための第1の制御装置と、
− 作動ユニットを制御するための第2の制御装置と、
− 分注された流体の量を検知するためのセンサと
を含む、分析システムに関する。
【0039】
本発明の上記その他の品目、特徴、および利点は、本発明の例示的な実施形態に関する以下のより具体的な説明を図面と併せて読むことにより、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ホルダに挿入された流体分注ユニットおよび閉鎖要素の断面を示す図である。
図2】使い捨て式の湿潤部分(a)、および作動ユニットに取り囲まれた非使い捨て式部分を示す図である。
図3】弁体の2つの射出成形部品を示す図である。
図4】分注弁の断面を示す図である。
図5】空気路および出っ張りを示す、ホルダの図である。
図6】カートリッジを示す図である。
図7】自動分析器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、ホルダ114内に位置決めされた微小流体弁100の断面を示し、微小流体弁100は、流体に直接接触しかつ使い捨て式である湿潤部分110と、閉鎖要素112を含む乾燥部分とを備える。ホルダ114および閉鎖要素112は、流体に接触することがなく、別の用途に再使用されうる。そのため、後者の要素は、非使い捨て式要素116として扱われうる。
【0042】
使い捨て式部分110は、弁体の第2の部品104に差し込まれた第1の弁体102と、弁体の第1の部品102によって形成された空所206内で可動であるプランジャ106と、弁体の第1の部品102の空所206内に延在する細管ノズル108とを含む。微小流体弁100の使い捨て式部分110は、第1の弁体102、第2の弁体104、プランジャ106、および細管ノズル108を含む湿潤部分の構成要素が、微小流体弁によって分注される流体と直接接触するということを特徴とする。
【0043】
閉鎖要素112およびホルダ114を含む非使い捨て式要素116は、微小流体弁によって分注される流体には直接接触しない。
図2aは、微小流体弁100の湿潤部分110を示す。湿潤部分は、例えば図2bに示されるような閉鎖要素112といった閉鎖要素と一緒に、微小流体弁を形成する。弁体の第1の部品102は、例えば図6に示されるようなカートリッジ600といった、試薬を含む貯槽への連結部202を有する。この連結部202と、弁体の第1の部品102の空所206内に延在する細管ノズル108の端部との間には、空所206の内壁にある摺動面208によるプランジャ106のための導管が存在する。プランジャ106は、生体適合性物質で被覆することができ、空所206内を上下に移動可能である。摺動面208は、プランジャ106の運動を案内し、かつ、プランジャ106のいかなる傾きも防ぐ。プランジャ106は、細管ノズル108と接触する端部上に密封面212を有することができる。密封面212により、プランジャ106が細管ノズル108の流体出口204を完全に閉鎖することが可能になる。
【0044】
弁体の第2の部品104は、弁体を閉鎖要素112の開口部210に容易に差し込むことができるように、突出部302を有する。閉鎖要素112は、流体と直接接触せず、弁によって分注される流体は、例えば流体を含むカートリッジ貯槽である流体貯槽への連結部202を通過してから空所206内に見いだされるべきものであるので、閉鎖要素112は、微小流体弁の乾燥部分を形成する。そのため、閉鎖要素112は、微小流体弁の乾燥部分を形成し、この乾燥部分は、再使用することができ、かつ、非使い捨て式のものとして扱うことができる。ホルダ114および外部作動ユニット200が、他の非使い捨て式要素を形成し、したがってこの非使い捨て式要素は、例えば体外診断の分野における検査を自動的に実行する働きをする分析器の結合架台に、取り外せないように固定されうる。
【0045】
プランジャ106および閉鎖要素112は、強磁性を有する材料で作ることができ、そのため2者のうちの少なくとも一方は、永久磁石でありうる。したがって、プランジャ106および閉鎖要素112は、弁の通常状態においてプランジャ106がその閉位置に位置するように互いに引き合うことができ、それにより細管ノズル108の流体出口が閉鎖される。したがって、微小流体弁の通常状態では、弁は閉鎖されることになり、それにより、流体が細管ノズル108を介して空所206から出て行くことが防止される。弁がその通常状態で閉鎖されることは、流体を含んだ弁を移送または保管する場合に有益でありうる。
【0046】
作動ユニット200は、プランジャ106と閉鎖要素112との間の引き合う磁力を過補償することが可能な磁場を生成することができる。この場合、プランジャ106は、閉鎖要素112の方向から離れるように移動し、その結果、細管ノズル108の流体出口が開かれて、空所206に含まれる任意の流体が、細管ノズル108の流体出口を介して弁体から出て行くことになる。プランジャ106が上方に動かされると、流体は、摺動面208の間の空間を通って細管ノズル108の方向へと下方に流れ込む。弁の流体抵抗が、弁によって分注されるときの流体の流速を画定する。
【0047】
図3は、弁体の第1の部品102および第2の部品104の断面を、第1の部品と第2の部品とを互いに離した状態で示す。弁体の第1の部品104は、流体貯槽への連結部202と空所206との間に、空間的狭窄304を有する。直径の空間的狭窄304により、プランジャ106の運動の行程長は、流体貯槽の連結部202の方向において制限される。第1の部品104はまた、プランジャ106(図3には図示せず)の運動を案内するための摺動面208を有する。
【0048】
弁体の第2の部品104は、閉鎖要素112の開口部210に嵌合するための突出部302を有する。細管ノズル108のための開口部300により、弁体内の流体は、分注過程中に細管ノズル108を介して弁体の第2の部品104から出て行くことができる。
【0049】
弁体の第1の部品102および第2の部品104は、2つの部品の形状が互いに適合されうるように、射出成形部品とすることができる。図3に示されるように、弁体の第1の部品102の形状は、弁体の第1の部品102を弁体の第2の部品104に挿入するのに適しており、そのため、単純な差込み工程でも、弁体の2つの部品間の相対位置が得られる。弁体の第1の部品と第2の部品との間の連結は、他の手段、例えば接着剤によって支持されてもよい。
【0050】
図4は、微小流体弁の弁体の断面を示す。図4から分かるように、弁体の第2の部品104の弁座400の領域では、プランジャ106のための空所206に摺動面208が存在しない。したがって、プランジャ106がその閉位置に移動するのを妨げる、密封層または密封面の膨張によってもたらされるいかなる摩擦力も予防され、時間とともに少量の流体を吸収するために体積を増ししたがって直径も増す吸湿性材料でプランジャ106が構成される場合に、摺動面がないことにより、たとえプランジャの直径が増した場合でもプランジャがその閉位置に移動することが可能とされるので、細管ノズル108を介した流体出口を完全に閉鎖することができる。そのため、いかなる漏れも防止される。
【0051】
図5は、弁体(102および104)と閉鎖要素112と作動ユニット200との間の相対位置を安定させるためのホルダ114を示す。弁体の第2の部品104は、出っ張り502によって形成された中空シリンダの境界の部品により、中空シリンダ内に位置決めされうる。閉鎖要素112は、ホルダ114の底部に位置決めされうる。作動ユニット200は、ホルダ114の周囲に位置決めされうる。ホルダ114は、電磁微小流体弁100の各構成要素とその作動ユニット200の相対位置を安定させる。そのため、磁界の影響は、微小流体弁100の各構成要素とその作動ユニット200との間のいかなる無制御の相対運動によっても歪められることがない。ホルダ114の底部には、細管ノズル108の延長を可能にするための開口部504が存在する。
【0052】
ホルダ114は、その内側および外側の表面に、空気路500を有する。弁体の第2の部品104が出っ張り502の間に位置決めされると、さらなる空気路が作り出される。空気路500は、境界層の数を増やすことにより断熱をもたらす。作動ユニット200が、その作動中に多少の熱を生じさせる作動コイルである場合、ホルダ114の空気路500は、弁体の第2の部品104の空所内206の流体が加熱されることをも防止する。
【0053】
図6は、微小流体分注ユニット110が組み入れられたカートリッジを示す。試薬のための貯槽602、微小流体分注ユニット110の湿潤部分、および微小流体分注ユニット110の細管ノズル108が、カートリッジシステムの使い捨て式部分604を形成する。カートリッジシステムは、互いに取り外せないように固定された幾つかの流体貯槽と分注ユニット110の湿潤部分とを含みうる。各流体貯槽は、診断検査のための試薬を交換する際にカートリッジシステムを1つの位置から別の位置へ動かすだけで済むように、別の試薬を含むことができる。1つの試料に対して一連の診断検査を実行するための機械的動作が、促進されうる。
【0054】
流体貯槽は、流体貯槽に含まれた流体が外部環境から保護されるように、少なくとも移送および保管中に閉鎖されうる。したがって、試薬のいかなる揮発および汚染も防止されうる。診断検査に使用される試薬の搭載安定性(onboard stability)が向上されうる。幾つかの実施形態では、流体貯槽内の圧力の均等化を可能にするために、移送および保管の後で開かれる通気穴が存在しうる。
【0055】
カートリッジシステムの非使い捨て式部分606は、作動ユニット200およびセンサ608、ならびにカートリッジホルダ610を含む。作動ユニット200が細管ノズル108を介した分注ユニットによる分注過程を始動する一方で、センサ608は、分注された流体の量を検知し、かつ/または流体が分注されたかどうかの品質検査を行う。カートリッジシステムの非使い捨て式部分は、例えばロボット要素による体外診断検査を自動的に実行する働きをするデバイスの結合架台に、取り外せないように固定されうる。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態による自動分析器700を示す。この自動分析器は、3つのカートリッジ600、600’、および600”を有するものとして示されている。カートリッジ600には、作動ユニット200が接続されている。カートリッジ600’には、作動ユニット200’が取り付けられている。カートリッジ600”には、作動ユニット200”が取り付けられている。作動ユニット200、200’、200”は、カートリッジ600、600’、600”の分注器100を作動させるためのものである。自動分析器700は、試料ホルダ706とカートリッジ600、600’および600”との間の相対運動712を提供する相対運動手段710を有するものとして示されている。試料ホルダ706は、生体試料708を含むものとして示されている。カートリッジ600、600’、および600”は、生体試料708に1種または複数種の流体を加えるために使用されうる。自動分析器700は、任意選択の検出システム714をさらに含むものとして示されている。検出システム714は、生体試料708の物理量または物理的性質を測定するための1つもしくは複数のセンサを任意選択で含むことができる。例えば、検出システム714は、NMRシステム、光透過もしくは光反射の測定システム、電気化学的もしくは光学的なセンサ、pH計、カメラシステム、容量センサ、および/またはクロマトグラフィシステムを含みうる。相対運動手段710はまた、試料ホルダ706を検出システム714の方へ移動させるように動作可能である。
【0057】
カートリッジ600、600’、および600”ならびに検出システム714の配置は、代表的なものである。幾つかの実施形態では、試料ホルダ706は、固定位置に留まる場合があり、また、カートリッジ600、600’、および600”は、移動する場合がある。作動システム200、200’、200”、および検出システム714は、コンピュータシステム720のハードウェアインタフェース722に接続されているものとして示されている。コンピュータシステム770は、自動分析器700のための制御装置として機能する。コンピュータ720はさらに、ハードウェアインタフェース722を使用して自動分析器700の動作および機能を制御することが可能なプロセッサ774を含むものとして示されている。プロセッサ724は、ユーザインタフェース726、コンピュータストレージ728、およびコンピュータメモリ730にさらに接続されているものとして示されている。コンピュータストレージ728は、分析要求732を含むものとして示されている。分析要求732は、生体試料708を分析するための要求を含む。
【0058】
コンピュータストレージ728は、検出システム714から受信したセンサデータ734をさらに含むものとして示されている。コンピュータストレージ728は、センサデータ734を使用して判定された分析結果736をさらに含むものとして示されている。コンピュータメモリ730は、制御モジュール740を含む。制御モジュール740は、プロセッサ724が自動分析器700の動作および機能を制御することを可能にする、コンピュータ実行可能コードを含む。例えば、制御モジュール740は、作動システム200、200’、200”、検出システム714、および相対運動システム710に対して生成しかつ送信するための命令を生成するために、分析要求732を使用することができる。制御モジュール740はまた、センサデータ734を使用して、分析結果736を生成することができる。
【0059】
上記の微小流体弁は、不要な流体を分注した後で、湿潤部分を洗浄することができる。湿潤部分は、試薬を消費した後で、容易に処理することができる。言い換えれば、湿潤部分および接続された流体貯槽内に蓄えられた流体を消費した後で、湿潤部分全体を交換することができる。
【0060】
湿潤部分は、安価な材料で作ることができる。次に別の試薬を適用するために未使用の湿潤部分を使用することにより、それまで使用されていた各試薬の持ち越しが防止され、したがって相互汚染が防止される。
【符号の説明】
【0061】
100 微小流体弁
102 弁体の第1の部品
104 弁体の第2の部品
106 プランジャ
108 細管ノズル
110 湿潤部分
112 閉鎖要素
114 ホルダ
116 非使い捨て式要素
200 作動ユニット
202 流体貯槽への連結部
204 流体出口
206 空所
208 摺動面
210 閉鎖要素の開口部
212 密封面
300 開口部
302 突出部
304 空間的狭窄
400 摺動面の無い弁座
500 空気路
502 出っ張り
504 開口部
600 カートリッジ
602 流体貯槽
604 カートリッジシステムの使い捨て式部分
606 カートリッジシステムの非使い捨て式部分
608 センサ
700 自動分析器
600´ カートリッジ
600´´ カートリッジ
706 試料ホルダ
708 生体試料
710 相対運動手段
712 相対運動
714 検出システム
720 コンピュータ
722 ハードウェアインタフェース
724 プロセッサ
726 ユーザインタフェース
728 コンピュータストレージ
730 コンピュータメモリ
732 分析要求
734 センサデータ
736 分析結果
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7