(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231087
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】歯車歯形創成方法および前記方法により操作可能な歯切り盤
(51)【国際特許分類】
B23F 5/12 20060101AFI20171106BHJP
B23F 5/16 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
B23F5/12
B23F5/16
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-517628(P2015-517628)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-520036(P2015-520036A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013001695
(87)【国際公開番号】WO2013189574
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】102012012617.4
(32)【優先日】2012年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500120211
【氏名又は名称】グリーソン − プァウター マシネンファブリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン クレシェル
(72)【発明者】
【氏名】クラウス コビアルカ
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭50−005840(JP,B1)
【文献】
特開昭59−019630(JP,A)
【文献】
特開平01−159127(JP,A)
【文献】
特公昭48−14915(JP,B1)
【文献】
米国特許第01583790(US,A)
【文献】
英国特許出願公告第00205551(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 5/00 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯付き形状を有するそれぞれの歯面(10,20)が工具の数回のパスの後に創成されるまで、歯付き形状が与えられる被加工物と切削工具とが転がり送り運動にて互いに向けて進められ、それぞれのパスにおいて、少なくとも一回の歯面切削部(11,12,13,14)を含む切削面が前記被加工物に作り出される歯面(10,20)を有する歯車歯形を創成する方法であって、
補助運動が前記転がり送り運動に追加され、これによって少なくとも2回の連続するパス(11−12,12−13,13−14)にて引き起こされる歯面切削部が相互につながり、
前記補助運動なしで前記転がり送り運動により切削面が創成される前記工具の最終パスをさらに具えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも3回の連続するパスによって作り出される歯面切削部の間の少なくとも2つの接続部が同じ歯面側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連続する前記歯面切削部は、機械加工時に後方側にある前記歯面に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
連続する前記歯面切削部が創成される歯車の歯面形状に従い、特に創成される前記歯面の一部が最終パスに先行する少なくとも1回のパスの歯面切削部によって決定されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
創成される少なくとも1つの前記歯面がすべてのパスの歯面切削部によって決定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
創成される前記歯面が機械加工時において後方側に位置する歯面(10)であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記補助運動は、被加工物が前記転がり運動に基づいて取る位置と前記歯面の位置との間のオフセットの計算から決定されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記補助運動の生成のため、前記被加工物の回転軸線を中心とする前記被加工物の転がり回転と、前記工具の回転軸線を中心とする前記工具の転がり回転との間に相対的な位相角の変更が加えられることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記補助運動の生成のため、前記被加工物の回転軸線を中心とする前記被加工物の転がり回転に対し、前記工具と前記被加工物との間に接線方向に動く直線的相対運動が加えられることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工具と前記被加工物との間の相互送り移動は、生ずるチップの体積/時間の割合に応じて制御されることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
この方法が歯車形削り方法であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
この方法がスカイビング加工方法であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
歯切り盤、特に歯車形削り盤またはスカイビング加工機であって、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の方法の実行時に歯切り盤、特に歯車形削り盤またはスカイビング加工機を制御するための制御機器を具えていることを特徴とする歯切り盤、特に歯車形削り盤またはスカイビング加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯車歯形創成方法に関係し、これは数回の工具パスの後に歯車形状のそれぞれの歯面が創成されるまで、歯付き形状を与えられる被加工物と切削工具とが転がり送り運動にて互いに向けて進められ、これはそれぞれのパスにおいて、少なくとも1つの歯面切削部を含む切削面が加工対象物に創成される。加えて、本発明はまた、この方法を行うために必要な制御特性を持った歯切り盤にも関係する。
【背景技術】
【0002】
この種の機械加工方法は、周知の最新技術に属し、特に、歯車形工具が用いられる歯車形削りまたはスカイビング加工の如き転がり/創成方法を含む。これらの方法において、それぞれ送り深さが相互に異なる数回のパスにて歯面が創成され、後の仕上げ処理のために機械加工での許容誤差が通常与えられるので、この処理にて創成される歯面を最終的な歯車形状の面形状に合致させる必要はない。通常、例えば被加工物素材から開始し、最初の送り深さを持つ最初のパスにて材料が除去されて最初の切削面が作り出され、その形状は最終的な歯車形状の歯溝の中心に対し対称であって、最初のパスにて材料をどの位除去したのかの目安を与えるようになっている。
【0003】
これは断面図の
図3に概略的に例示されており、この図の表面は被加工物の軸線に対して直交している。この図面における参照符号10は、最終パス後に作成される歯面を示し、これはこの処理における歯の後方側であるのに対し、参照符号20は歯の前方側にある歯面を示している。その後の仕上げ処理後の最終的な被加工物の歯溝の形状をこの図面には示しておらず、これは歯面10,20からの許容誤差qの除去をさらに必要とする。
【0004】
この図面は、最初のパスの切削面30.1が(後方側の)歯面切削部31と、底面切削部33と、(前方の)歯面切削部32とを有することをさらに例示している。底面切削部33と(図示しない)その前の被加工物素材の表面との間の間隔は、最初のパスにおける送り深さの程度を表す。
【0005】
2回目のパスにおいては送り深さが増大され、転がり運動の切削作用による材料のさらなる除去の結果として、同様な2つの歯面切削部と底面切削部とを有する切削面30.2が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、パスの数は、それぞれのパスが望ましい量の材料を除去するというような方法にて制御される。概略的に例示した従来技術の例において、この機械加工は5回のパスを行い、最初から4回目が切削面30.1,30.2,30.3,30.4を作り出すのに対し、最終パスにて歯面10,20が形成される。従って、対応する切削面は、結果として生ずる歯面の包絡線形状を表す。工具の耐用期間を最大にするため、さらなる目標は歯車切削工具の前方面と後方面との間の摩耗を厳密に均等化することである。これは、例えば歯溝の切削中に作り出される削りくずの累積厚さを工具の歯の切れ刃の全長に亙って描いた線図で示される。このような線図において、両側の面は工具の切れ刃の先端部に対して必然的に鏡面対称となろう。
【0007】
最新技術の方法は、前方面および後方面を対称に摩耗させるようにすることをほぼ達成し、これによって工具の耐用期間を延ばすことができるけれども、この発明は、その導入部分に記述した一般的な種類のさらに改善された方法を提供するという目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プロセス工学に適応させる観点から、この課題は前述の方法のさらなる進展によって解決され、この改善は、転がり運動が追加した補助運動によって補完されるという事実により本質的に区別され、これは少なくとも2回の連続するパスにて創成される歯面切削部が相互につながるという効果を有する。
【0009】
本発明の過程において、本発明の方法は切削工具をより長い耐用期間へと導くという結論に達した。これは、切れ刃近傍の関連する切り屑分離領域に基づいて工具摩耗を考慮に入れ、上で説明した対称切削方式にもかかわらず発生し続ける三面削りくず(すなわちU字形チップとしても呼称され、所定のパスにおいて創成される2つの面および歯溝の底から材料の同時除去により生ずる削りくず)の総数を減らす。
【0010】
転がり運動に補助運動を追加するという本発明の構想に関し、連続するパスにて創成される二つの歯面切削部が相互に結びつき、それによってこの処理にて生ずるU字形チップの量が最小にされるという結果を誰でも達成する。工具は、先行するパスにて創成された歯面切削部に沿って案内され、従って現在のパスにて除去されるべき被加工物の歯溝へと工具の歯が下降する場合、本質的にこの案内面から離れたチップをもはや切断しない。これは、この領域におけるチップの厚さが切れ刃の丸み部の半径によって画成されるチップ厚さの限界よりも薄いというあらゆる場合において、案内される切れ刃によって切り離されるチップの厚さが事実上ゼロに近づくことを意味する。
【0011】
数回に亙って連続するパス、特に連続するすべてのパスの歯面切削部の間にこのようなつながりを形成することが特に予見され、結果として案内軌道の長さがますます多くのパスと共に延ばされ、工具の切れ刃の連続的に増大する部分は本質的にどのような切削加工をも、もはや行わないようになっている。それにもかかわらず、より好ましい切削方式の包括的利点のために工具の耐用期間が延長される。前述の方法にて創成された歯面を仕上げ作業にて引き続き再加工することができる。例えば、第1の歯面をn=2のパスにて歯面切削部と共に創成することができ、m≧1のパスの次の段階において、加工対象物を補助運動なしで機械加工することができる。
【0012】
創成処理の操作手順にて補助運動を必要とするという影響を制限するため、切削部の間(すなわち少なくとも3回の連続するパスにより作成される切削部の間)の2つの連続するつながりを同じ歯面の側に形成することが好ましい。従って、所定のパスにて必要とされる追加の接線方向に向けた移動は、補助運動のゼロ点に対して逆の代数符号を有さず、単にその大きさが変化するだけであろう。
【0013】
希望するのであれば、つながった歯面切削部が機械加工処理での後ろ側にある歯面に形成される。切削システムの所定の剛性に関し、これは特に平歯車の機械加工において、同方向に保った接線分力を誰でも取得し、結果として得られる品質が改善される効果を有する。従って、前方側の歯面の機械加工において、チップの厚さが著しく増大する。チップ分離領域は、切れ刃からさらに遠い領域に向け、チップの表面に対してずらされる。
【0014】
連続する歯面切削部が(創成されるべき歯面を向く両方向の歯溝の中央から材料を対称に除去する切削と対比して)創成されている歯面形状に追随するならば、特に好ましい。従って、本発明はまた、独立した開示として歯車歯形創成方法も陳述し、これは歯付き形状の歯面の間のそれぞれの歯溝が工具の数回のパスの後に創成されるまで、歯付き形状を与えられるべき被加工物および切削工具が相互に向けて転がり送り運動にて進められ、この方法は補助運動が転がり運動に追加されるという特徴によって識別され、歯溝の創成が一方の歯面の側から他方の歯面の側に向けて起こるという効果を有する。
【0015】
この方法のさらに好ましい履行において、創成される歯面の一部を最終パスに先行する少なくとも一回のパスの歯面切削部によって決定することが想起される。従って、先行パスにて作成される歯面切削部の形態にある案内面は、本質的に創成される歯面に位置付けられる。これは出来上がった複数の歯面切削部、特にすべてのパスの歯面切削部が、創成される歯面を決定付ける効果を有する。追加した補助運動のため、工具のすべてのパスが今度は歯面の包絡線切削を形成し、最終機械加工ステップにおける補助運動をゼロに減じることが好ましく、また可能である。
【0016】
前記上述したものによると、前の段落にて述べた歯面は、好ましくは機械加工処理中の後ろ側に位置する歯面であり、またの名を後方側の歯面という。
【0017】
補助運動それ自体は、転がり運動に基づいて取るであろう被加工物の位置と、歯面の位置との間のオフセットを計算することにより好ましくは決定される。これは、あるオフセットを修正パラメーターとして純粋の転がり運動に加えることによって例えば達成されることができ、このパラメーター値は、歯溝の中央から創成される歯面までの距離をそれぞれのパスの送り深さの関数として示している。このオフセットはそれぞれ新しいパスにて調整される。機械加工処理が切り込みの連続的な変化を伴う場合、このオフセットは送り深さの連続関数になり、例えば歯車形削り処理における切り込みは、渦巻き形状の送り運動の形態にて起こる。
【0018】
追加した補助運動の種類に関し、いくつかの変形が可能である。第一に、補助運動を作り出すための好ましい方法は、被加工物の回転軸線を中心とする被加工物の転がり回転と、工具の回転軸線を中心とする工具の転がり回転との間に相対的な位相角の変更を創出することである。この補助移動は、送り深さに依存するような「補助回転」として単純化しして呼称される。歯面修正を必要とする場合、この切り込みに依存する補助回転を、例えばこの転がり運動との結合において別なオフセットを追加することによって補完することができ、これは他のパラメーターに対して変化すると共に歯面修正を達成するために都合がよい。
【0019】
補助運動の生成における選択肢としておよび/または追加の構成要素として、工具と被加工物との間の直線的相対運動を用いることが誰でも可能であり、これは被加工物の回転軸線を中心とする被加工物の転がり回転運動に対して接線方向に動く。送り移動の修正事項に依存して、この直線的相対運動は、工具と被加工物との相対位置に関して接線方向に変位する形態を取り、その変位量はそれぞれのパスに合わせて選択され、連続した送り移動の場合においては、この直線的相対運動は送り深さに依存する連続した直線移動の形態を取る。
【0020】
それぞれのパスに合わせて選択される送り深さに関し、送り移動を等距離の間隔で基本的に選択することが誰でもできる。しかしながら、工具と被加工物との間の相互の送り移動をチップが生ずる体積/時間の割合に応じて制御することが好ましい。例えば、チップ除去の最大体積の割合を規定した場合、次回のパスのための最大送り深さは意図した処理方式から得られ、次に、この最大送り深さ以下に選択することができる次回の送り深さから次回のオフセットが得られる。
【0021】
この方法の好ましい適用が歯車形削およびスカイビング加工の分野にある。
【0022】
この発明が得ようとする保護の範囲はまた、歯切り盤を制御するためのコンピュータープログラムにまでも広がっており、歯切り盤の制御器具にて実行する場合、このプログラムは後者の歯切り盤を制御し、上で論じた方法の1つの形態による方法を実行する。
【0023】
機械設計の技術的形態に関し、その保護範囲は歯切り盤、特に歯車形削り盤またはスカイビング加工機にまでさらに広がっており、その制御器具は、上で論じた形態による方法の実行において機械を制御するために設計かつ操作可能である。ここで用いたような「歯車形削り盤」および「スカイビング加工機」という用語は、歯車形削りおよびスカイビング加工専用に用意された機械に限定されず、数ある能力の中で歯車形削りおよびスカイビング処理を行うことができる機械をも包含する。
【0024】
本発明のさらなる顕著な特徴および詳細ならびに利点は、添付した図面の以下の記述にて説明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図1b】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図1c】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図1d】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図1e】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図1f】本発明による方法にて採用した個々の機械加工位置の時系列を概略的に例示する。
【
図2】特に
図3との比較において、それぞれのパスから結果として生ずる切削面および歯溝を概略的に例示する。
【
図3】
図2に類似した形成において、従来技術の処理によって創成される切削面および歯溝を表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aから
図1fは、工具40と、創成されるべき歯車の歯の個々の連続する回転位置50aから50fまでとを概略的に表し、本発明による方法を用いて行った歯車形削り処理にてこれらが典型的に生ずることができるようになっている。それぞれ
図1bから
図1fまではまた、すべての先行パスの個々の回転位置を示している。あるパスの、その前のパスの位置に対する変化に基づき、純粋の転がり運動に対して追加される補助運動によって引き起こされるオフセットの結果として、これらのパスが相互に異なることは明らかである。個々の回転位置に属する曲線群50aから50fまでの(図面に示していない)それぞれの対称軸線は、接線方向に相互に間隔をあけて離れている。このオフセットは、連続するパスにおいて段々とより深く工具が係合することによって創成される歯面切削部が後方側の歯面に相互につながるように選択される。
【0027】
従って、切削工具のチップ除去動作は、前方側の歯面を創成する切れ刃と、切削工具の歯の頭部の切れ刃と、後方側の歯面を創成する切れ刃の隣接する頭部側とによってのみ本質的に行われる。換言すると、歯溝の切削中に生ずる削りくずの累積的な厚さを工具の歯の切れ刃の全長に亙って描いた線図において、少なくとも切れ刃の歯の頭部から離れた領域間で顕著な非対称性があろう。この非対称性は百パーセント以上、特に数百パーセントほどに達する。
【0028】
この実施例における最後の機械加工のパスは仕上げパスとして行われ、これは追加した補助運動を先行する機械加工のパスに関して修正し、純粋な転がり運動に対してゼロに減じることができる。
【0029】
この方法による機械加工処理から生ずるチップを実験で検査することにより検証することができるように、ごく少数のU字形チップが作り出されて残るだけである。生じたチップの統計的分布において、最大はL字形のチップによって代表される。全体的な結果は、工具の摩耗量の減少、従って工具をずっと使用し続けることができる期間の増大である。
【0030】
図2はまた、切削面、特に
図3の切削面30.1,30.2,・・・の個々の歯面切削部31と比較した歯面切削部11,12,13,14の進展における相違を視覚化するため、連続するパス(
図2の実施例においては5回のパス)にて歯溝を形成する連続したステップを概略図にて例示する。
図3の場合において、後のパスの切削面は先行するパスの切削面を実質的対称にかつある距離をおいて取り囲み、
図1において連続する2回のパスの歯面切削部が相互につながるので、この切削軌跡の離隔は一方の面に沿って存在しない。
図2からさらに明白なように、歯面切削部11,12,13,14,・・・が相互につながっている側に関し、これらは創成されるべき歯面10の形状を追随し、機械加工されている歯溝が中央から歯面に向け、ただし一方の歯面から他方の歯面に向けて対称に除去される。切れ刃の全長に亙る材料の切り離しは、
図3との比較において著しく増大したチップの厚さを伴って前方面にてのみ起こる。これは、この発明にて開示した教示による異なった機械加工の基本的な考え方を特徴付けている。最終パスにおいて、歯面を創成する軸線移動のための機械加工の設定は、
図2および
図3に例示した2つの方法に関して同一である。しかしながら、先行するパスの異なる切削面のため、
図2の最終パスにて切断されるチップの形状および寸法は、
図3の最終パスと比較すると相違があろう。
【0031】
さらにまた、本発明は
図1aから
図1fまでに一実施例として例示した歯車形削り方法に限定されないことに注意すべきである。実際、これはまた、他のチップ除去機械加工方法、特にスカイビング加工に対しても用いることができ、以下の特許請求の範囲のみならず前述の説明でも開示した個々の特長は、その異なる実施形態にて本発明を実現するための任意の組み合わせにおいて集合的のみならず個別でも当てはまることができる。