(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231094
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】電子機器組立機および類似の組立機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-521254(P2015-521254)
(86)(22)【出願日】2013年6月7日
(86)【国際出願番号】JP2013065865
(87)【国際公開番号】WO2014196081
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 政利
(72)【発明者】
【氏名】児玉 誠吾
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−116984(JP,A)
【文献】
特開平06−008078(JP,A)
【文献】
特開2011−023684(JP,A)
【文献】
特公平07−077313(JP,B2)
【文献】
特開2012−238691(JP,A)
【文献】
特開平09−319425(JP,A)
【文献】
特開2011−210960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
その本体フレームに支持され、基材を搬送方向に搬送する基材搬送装置と、
前記本体フレームに前記搬送方向に平行な方向に並んで支持され、それぞれ1種類ずつの部品を供給する複数の部品供給装置と、
それら部品供給装置から部品を受け取り、前記基材搬送装置により作業領域に搬入された基材に装着する装着作業を少なくとも含む作業を行う作業装置と、
少なくともその作業装置を制御する制御装置と
を含み、前記基材搬送装置により前記作業領域内へ搬入された基材に前記複数の部品供給装置から供給される複数の部品を装着して目的装置を組み立てる組立機であって、
前記作業装置が、
複数の関節において互いに相対回動可能に連結された複数のリンク部材を含むアーム部と、そのアーム部の自由端部に相対回動可能に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボットと、
前記ハンドに下向きに固定された撮像装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記作業領域内に設けられた基準マークを前記撮像装置が撮像することによって取得された前記ハンドの水平面内の位置決め誤差である平面位置誤差を記憶するメモリを有し、
そのメモリに記憶された前記平面位置誤差に基づく補正を行いつつ前記装着作業を行わせるように構成されたことを特徴とする組立機。
【請求項2】
前記多関節型ロボットを複数含むとともに、それら複数の多関節型ロボットの基端部を前記搬送方向に平行な方向に移動可能に支持するロボットガイドレールを含み、それら複数の多関節型ロボットのロボットガイドレール上における間隔が変更可能である請求項1に記載の組立機。
【請求項3】
前記多関節型ロボットの前記ハンドの位置が、前記基材搬送装置による基材の搬送に追従して変わり、前記基材搬送装置により基材が移動させられている状態で、その基材に対して前記作業装置が作業可能である請求項1または2に記載の組立機。
【請求項4】
本体フレームと、
その本体フレームに支持され、基材を搬送方向に搬送する基材搬送装置と、
前記本体フレームに前記搬送方向に平行な方向に並んで支持され、それぞれ1種類ずつの電子回路部品を供給する複数の部品供給装置と、
それら部品供給装置から電子回路部品を受け取り、前記基材搬送装置により作業領域に搬入された基材に装着する装着作業を少なくとも含む作業を行う作業装置と、
少なくともその作業装置を制御する制御装置と
を含み、基材搬送装置により作業領域内へ搬入された基材に前記複数の部品供給装置から供給される複数の電子回路部品を装着して電子機器を組み立てる電子機器組立機であって、
前記作業装置が、
複数の関節において互いに相対回動可能に連結された複数のリンク部材を含むアーム部と、そのアーム部の自由端部に相対回動可能に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボットと、
前記ハンドに下向きに固定された撮像装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記作業領域内に設けられた基準マークを前記撮像装置が撮像することによって取得された前記ハンドの水平面内の位置決め誤差である平面位置誤差を記憶するメモリを有し、
そのメモリに記憶された前記平面位置誤差に基づく補正を行いつつ前記装着作業を行わせるように構成されたことを特徴とする電子機器組立機。
【請求項5】
さらに、前記多関節型ロボットの基端部を、前記搬送方向に平行な方向に移動可能に支持するロボットガイドレールを含む請求項4に記載の電子機器組立機。
【請求項6】
前記作業装置が、前記多関節型ロボットを複数含み、それら複数の多関節型ロボットの前記ロボットガイドレール上における間隔が変更可能である請求項5に記載の電子機器組立機。
【請求項7】
前記複数の多関節型ロボットのうちの少なくとも2つの、前記ロボットガイドレール上における間隔が、それら2つの多関節型ロボットの作業可能領域の少なくとも一部が互いに重複する状態に変更可能である請求項6に記載の電子機器組立機。
【請求項8】
前記多関節型ロボットの前記ロボットガイドレール上の位置が連続的に変更可能である請求項5ないし7のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項9】
前記多関節型ロボットの前記ロボットガイドレール上の位置が、予め定められた複数の離散的な位置のいずれかに変更可能である請求項5ないし7のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項10】
さらに、駆動装置を備えて前記多関節型ロボットの前記ロボットガイドレール上の位置を動力により変更可能なロボット位置変更装置を含む請求項5ないし9のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項11】
前記ロボット位置変更装置が、前記基材搬送装置による基材の搬送と同期して前記多関節型ロボットの前記ロボットガイドレール上の位置を変更するものであり、前記基材搬送装置により基材が移動させられている状態で、その基材に対して前記作業装置が作業可能である請求項10に記載の電子機器組立機。
【請求項12】
前記ロボットガイドレールが、前記本体フレームの上部に、前記搬送方向と平行に設けられ、そのロボットガイドレールに前記多関節型ロボットが天吊りの状態で支持された請求項5ないし11のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項13】
前記ロボットガイドレールが、前記本体フレームのベッドの上面に前記搬送方向と平行に設けられ、そのロボットガイドレールに前記多関節型ロボットが支持された請求項5ないし12のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項14】
前記多関節型ロボットの前記ハンドの位置が、前記基材搬送装置による基材の搬送に追従して変わり、前記基材搬送装置により基材が移動させられている状態で、その基材に対して前記作業装置が作業可能である請求項4ないし13のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項15】
前記多関節型ロボットが、前記ハンドに、互いに交差して3次元空間の位置を規定可能な3軸に平行な方向の移動と、それら3軸まわりの回動との6自由度の運動を付与可能なものである請求項4ないし14のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項16】
前記多関節型ロボットが、前記ハンドに保持した電子回路部品を、その電子回路部品の直線的な突部と直線的な凹部との一方に平行な方向に移動させ、その一方を前記基材に設けられた前記直線的な突部と凹部との他方に嵌合させ得るものである請求項4ないし15のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項17】
前記多関節型ロボットの前記ハンドが複数の部品保持具を備え、それら複数の部品保持具の各々により電子回路部品を保持可能なものである請求項4ないし16のいずれかに記載の電子機器組立機。
【請求項18】
前記ハンドが、ハンド本体と、そのハンド本体に回転軸線まわりに回転可能に保持された回転体と、その回転体を前記回転軸線まわりに回転させる回転体回転装置と、前記回転体の前記回転軸線を中心とする一円周上に、各々回転可能に配設された複数の部品保持具と、それら複数の部品保持具をそれら部品保持具の軸線まわりに回転させる保持具回転装置とを含む請求項4ないし17のいずれかに記載の電子機器組立機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の関節において互いに相対回動可能に連結された複数のリンク部材を含むアーム部と、そのアーム部の自由端部に相対回動可能に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボットを備えた電子機器組立機、およびそれに類似の組立機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の組立ライン等大形の装置を組み立てる組立ラインにおいては多関節型ロボットが広く用いられているが、電子回路部品装着機においては、例えば、下記特許文献1に記載されているように、XY型ロボットが用いられている。電子回路部品装着機は一般に、基材搬送装置により作業領域内へ搬入された回路基板に複数の部品供給装置から供給される複数の電子回路部品を装着して電子回路を組み立てるものとされるが、回路基板に対する電子回路部品の位置決めに高い精度が要求されるため、高い位置決め精度を得易いXY型ロボットが用いられているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−263069号公報
【0004】
それに対し、電子回路部品装着機においても、近年、平板状の回路基板に電子回路部品を装着するのみではなく、三次元形状の基材に電子回路部品をはじめとする種々の部品(電子機器部品と総称する)を装着することが要求され、また、高い組立作業能率が要求されるようになって来た。この要求を満たすためには、ハンドの運動の自由度を高くするとともに、1つの基材に対する電子機器部品の装着領域に、複数のロボットを配設し、例えば、1つのロボットが部品供給装置から電子機器部品の取出しを行っている間に、別のロボットが電子機器部品の基材への装着を行うというように、複数のロボットが協調して組立作業を行い得るようにすることが有効である。しかし、XY型ロボットは、その構成上、ハンドの運動自由度を高めることが困難であり、また、複数のロボット間においてハンドの移動可能領域を互いに重複させることが困難であるため、複数のロボットに協調動作を行わせることが困難である。
以上は、電子機器組立機について述べたが、ベアリング,減速機などの小形機械装置の組立機やアナログ時計の歯車装置など、電子機器組立機と同程度のハンド位置決め精度が要求される組立機においても事情は同じである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として、電子機器組立機およびそれと類似の組立機におけるハンドの運動自由度と作業能率との少なくとも一方の向上を図ることを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、(a)本体フレームと、(b)その本体フレームに支持され、基材を搬送方向に搬送する基材搬送装置と、(c)本体フレームに前記搬送方向に平行な方向に並んで支持され、それぞれ1種類ずつの部品を供給する複数の部品供給装置と、(d)それら部品供給装置から部品を受け取り、基材搬送装置により作業領域に搬入された基材に装着する装着作業を少なくとも含む作業を行う作業装置と、(e)少なくともその作業装置を制御する制御装置とを含み、基材搬送装置により作業領域内へ搬入された基材に複数の部品供給装置から供給される複数の部品を装着して目的装置を組み立てる組立機において、作業装置を、複数の関節において互いに相対回動可能に連結された複数のリンク部材を含むアーム部と、そのアーム部の自由端部に相対回動可能に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボット
と、ハンドに下向きに固定された撮像装置とを備え、制御装置を、作業領域内に設けられた基準マークを撮像装置が撮像することによって取得されたハンドの水平面内の位置決め誤差である平面位置誤差を記憶するメモリを有し、そのメモリに記憶された平面位置誤差に基づく補正を行いつつ装着作業を行わせるように構成することにより解決される。
上記課題はまた、(a)本体フレームと、(b)その本体フレームに支持され、基材を搬送方向に搬送する基材搬送装置と、(c)本体フレームに前記搬送方向に平行な方向に並んで支持され、それぞれ1種類ずつの電子回路部品を供給する複数の部品供給装置と、(d)それら部品供給装置から電子回路部品を受け取り、基材搬送装置により作業領域に搬入された基材に装着する装着作業を少なくとも含む作業を行う作業装置と、(e)少なくともその作業装置を制御する制御装置とを含み、基材搬送装置により作業領域内へ搬入された基材に複数の部品供給装置から供給される複数の電子回路部品を装着して電子機器を組み立てる電子機器組立機を、前記作業装置が(1)複数の関節において互いに相対回動可能に連結された複数のリンク部材を含むアーム部と,(2)そのアーム部の自由端部に相対回動可能に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボット
と、ハンドに下向きに固定された撮像装置とを備え、制御装置を、作業領域内に設けられた基準マークを撮像装置が撮像することによって取得されたハンドの水平面内の位置決め誤差である平面位置誤差を記憶するメモリを有し、そのメモリに記憶された平面位置誤差に基づく補正を行いつつ装着作業を行わせるように構成することにより解決される。
電子機器は、少なくとも回路基材とそれに装着された電子回路部品とを含む電子回路を含むものであり、さらに、操作装置,画像や音声による報知装置およびケーシングの少なくとも1つを含むものであってもよい。
多関節型ロボットのハンドは、「回路基材に装着するために部品供給装置から電子回路部品を受け取って保持する部品保持具」,「ねじ締め具」,「レーザ溶接具」,「はんだ付け具」,「クリーム状はんだ塗布具」,「接着剤塗布具」,「かしめ具」等種々の作業具の1つ以上を保持するものとすることができ、多関節型ロボットが複数設けられる場合には、それら複数の多関節型ロボットの複数のハンドに保持された作業具が互いに協調して組立作業を行うようにすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の組立機においては、作業装置が、アーム部とそのアーム部の自由端部に取り付けられたハンドとを含む多関節型ロボットを含むものであるため、ハンドの運動自由度を高くすることが容易であり、また、複数のロボットを設ける場合に、それら複数のロボットのハンドの移動可能領域を互いに重複させることが容易であるため、複数のロボットに協調動作を行わせることが容易である。これらの利点が、ハンドの位置決め精度を高くすることが難しいという不利を補って余りある場合があり、その場合に本願発明が特に有効である。特に、多関節型ロボットの基端部を、基材搬送装置による基材の搬送方向に平行な方向に移動可能に支持するロボット支持レールを含むものとすれば、組み立てるべき目的装置の寸法や構成に合わせて組立機の構成を容易に変更することができる。この効果は、基端部の位置を、例えば段取り替え時等に手動で変更する場合にも得られるが、駆動源を備えたロボット移動装置により移動可能とすれば構成の変更が一層容易となる。また、多関節型ロボットは運動の自由度に富んでいるため、基端部を移動させなくてもハンドを基材の移動に追従させつつ作業を行わせることが可能であるが、駆動源を備えたロボット移動装置を含むものとすれば、追従しつつ作業を行わせるための多関節型ロボットの制御が容易となり、また、追従しつつ作業を行わせ得る範囲が広くなる。
さらに、制御装置が、作業領域内に設けられた基準マークを撮像装置が撮像することによって取得されたハンドの水平面内の位置決め誤差に基づく補正を行いつつ装着作業を行わせるため、ハンドの位置決め精度が高められることとなる。
上記構成の電子機器組立機においても、作業装置が多関節型ロボットを含むため、上記組立機に関して述べたのと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である電子回路部品装着機を示す斜視図である。
【
図2】上記電子回路部品装着機の多関節型ロボットの1つを、アーム部を基準位置から90度旋回させた状態で示す正面図である。
【
図3】上記多関節型ロボットの基端部を拡大して示す図であり、(a)は一部断面正面図、(b)は要部の側面図である。
【
図4】上記多関節型ロボットの自由端部を拡大して示す図であり、(a)は一部断面正面図、(b)は要部の側面図である。
【
図5】
図1の電子回路部品装着機のベッド上における各種装置の配置を示す概略平面図である。
【
図6】
図5における撮像装置を拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図7】上記電子回路部品装着機の制御装置の、多関節型ロボットの1つを制御する部分を取り出して示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態である電気機器組立機の一例としての電子回路部品装着機を、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、下記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0010】
図1に電子回路部品装着機10を示す。以後、装着機10と略称することとするが、この装着機10は単独で使用することも可能であり、また、他の1台以上の装着機やスクリーン印刷機,リフロー炉等他の対回路基板作業機と並べて設置され、電子回路組立システムを構成することも可能である。
【0011】
装着機10は、ベッド12,前コラム14,後コラム16およびクラウン18を備えた装着機本体20を含み、ベッド12上には1レーン以上(本実施形態では2レーン)の基板搬送保持装置24が設けられている。基板搬送保持装置24はよく知られたものであるため詳細な説明は省略するが、回路基板を下方から支持して搬送するベルトコンベヤ26と、ベルトコンベヤ26により搬送された回路基板を1つ以上(本実施形態では2つ)の装着位置において固定して保持する基板保持装置28(
図5参照)とを備えている。その基板搬送保持装置24の少なくとも一側(本実施形態では両側)には部品供給装置30が配設されている。図示の部品供給装置30は、複数のテープフィーダ32により構成されている。テープフィーダ32は、保持テープに1種類の電子回路部品が取り出し可能に保持されたテープ化部品を1ピッチずつ間欠的に送り、部品供給部34から1個ずつ供給するものである。部品供給装置30としては、バルク部品フィーダ、トレイフィーダ,スティックフィーダ等公知の種々のフィーダを採用可能であり、基板搬送保持装置24の一側あるいは両側に互いに異なる種類のフィーダを配設することも可能である。2レーンの基板搬送保持装置24は種々の態様で利用することができる。例えば、互いに搬送方向が同じものとし、一方が回路基板を搬送している間、他方が回路基板を静止させて保持するようにしたり、互いに搬送方向を逆にして一方を回路基板を戻すものとしたりすることができる。
【0012】
クラウン18には、
図1では全体の図示を省略するが、基板搬送保持装置24に対向する状態で1台以上(本実施形態においては3台)の多関節型ロボット40が配設されている。その1台を取り出して
図2に示す。多関節型ロボット40(以下、ロボット40と略称する)は、クラウン18内に形成されたロボットガイドレール42(以下、ガイドレール42と略称する)により、ベルトコンベヤ26の搬送方向に平行な方向に移動可能に保持されている。ロボット40は、ガイドレール42に保持された基台44、その基台44に鉛直な回転軸線まわりに回転可能に保持された回転体46、回転体46に水平な回動軸線まわりに回動可能に接続された第1アーム48、第1アーム48に水平な回動軸線まわりに回動可能に接続された第2アーム50、および第2アーム50に水平な回動軸線まわりに回動可能に接続されたハンド52を備えている。第1アーム48および第2アーム50によりアーム部54が構成されており、そのアーム部54の基端部が回転体46を介して基台44に鉛直軸まわりに旋回可能に保持され、アーム部54の自由端部にハンドが52が水平な回動軸線まわりに回動可能に保持されているのであり、ハンド52は、アーム部54の鉛直軸まわりの旋回と、そのアーム部54に対する水平軸線まわりの回動との組合せにより、水平面に対して任意の方向に任意の角度傾き得る。また、ハンド52は、アーム部54の旋回と、第1アーム48および第2アームの回動との組合せにより、水平面内の任意の位置へ移動可能であるとともに、鉛直方向にも移動可能であり、結局、3次元空間内の任意の位置へ移動可能である。
【0013】
ハンド52に上記の移動をさせるためにロボット駆動装置60が設けられている。ロボット駆動装置60は、基台44と回転体46との間、回転体46と第1アーム48との間、第1アーム48と第2アーム50との間、および第2アームとハンド52との間にそれぞれ設けられた回転駆動装置62,64,66,68を備えている。各回転駆動装置62,64,66,68はそれぞれ、電動モータと、それの回転位置を検出するエンコーダとを備えている。エンコーダはインクリメンタル式でもよいが、アブソリュート式が望ましい。また、基台44をガイドレール42に沿って移動させるためにロボット位置変更装置70が設けられている。ロボット位置変更装置70は、
図3に示すように、ガイドレール42に沿って、回転不能かつ軸方向に移動不能に設けられた雄ねじ部材72と、基台44に回転可能かつ軸方向に移動不能に保持されたナット74と、基台44に固定的に保持された回転駆動装置76と、回転駆動装置76の回転をナット74に伝達する回転伝達装置78とを備えている。回転駆動装置76は電動モータとそれの多回転位置を検出する多回転アブソリュートエンコーダとを備えている。
【0014】
ハンド52には回転型ヘッド80が保持されている。回転型ヘッド80は、
図4に示すように、ハンド52に対して着脱されるヘッド本体82と、それに回転可能かつ軸方向に移動不能に保持された回転体84とを含み、回転体84が、エンコーダと電動モータとを備えた回転駆動装置86により、ヘッド本体82に対して、直角な回転軸線まわりに回転させられる。回転体84の回転軸線を中心とする一円周上に等角度間隔で複数(図示の例では12)のピニオン90が各個に回転可能かつ軸方向に移動不能に保持されており、これらピニオン90は、ヘッド本体82に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられた円環歯車92に噛み合わされている。円環歯車92はヘッド本体82に固定の回転駆動装置94およびピニオン95により回転させられ、複数のピニオン90を一斉に回転させる。回転駆動装置94も電動モータとエンコーダとを備えている。
【0015】
上記ピニオン90の各々には、それぞれノズル保持部材96が相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に保持されている。各ノズル保持部96の回転軸線は回転体84の回転軸線と平行であり、かつ、図示を省略するアクチュエータ(本実施形態ではエアシリンダ)によりピニオン90に対して軸方向に昇降させられる。各ノズル保持部材96はそれぞれ吸着ノズル98を着脱可能かつ相対回転不能に保持し、通常は図示を省略する付勢手段(例えば圧縮コイルスプリング)により後退位置である上昇位置に保持されており、エアシリンダに正圧空気が供給されることにより前進位置へ下降させられる。また、ノズル保持部材96には、上記エアシリンダへの正圧供給通路とは別に、図示を省略する負圧および正圧の供給通路が接続されており、ノズル保持部材96に保持された吸着ノズル98に負圧と正圧とが選択的に供給される。負圧の供給により吸着ノズル98が電子回路部品部品100(以下、部品100と略称する)を吸着保持し、正圧の供給により部品100を解放する。
【0016】
前述のように、装着機本体20のベッド12上に2レーンの基板搬送保持装置24が配設され、その両側に部品供給装置30が配設されるようになっている。その概略的な状況を
図5に示すが、2レーンの基板搬送保持装置24の各々に対して2つずつの基板押上装置112が設けられている。これら基板押上装置112は、ベルトコンベヤ26によって予定の位置まで搬送された回路基板114を押し上げ、基板ガイドレール110の上端に設けられた受け部材116との共同で回路基板114を固定して保持するものであり、受け部材116と共に前記基板固定装置28を構成している。そして、4本の受け部材116のうち互いに最も隔たったもの2本の上面に複数(本実施形態においては3つずつ、計6つ)の基準マーク118が設けられている。これら基準マーク118はハンド52に下向きに固定された撮像装置120(
図4参照)により撮像される。この撮像結果の利用については後述する。また、各基板搬送保持装置24と各部品供給装置30との間の、搬送方向に隔たった3つの位置に、回転型ヘッド80の吸着ノズル98に保持された部品100の底面の高さ位置と保持位置誤差とを検出するための2つずつの撮像装置130,132がそれぞれ設けられている。これら撮像装置の利用については後述する。
【0017】
先の説明から明らかなように、ロボット40は制御軸が4つあるシリアルリンク型のロボットとなっている。以下、このロボット40の制御について説明する。
本装着機10による部品100の装着作業は、回転ヘッド80をそれの回転軸線を鉛直に保つ状態でロボット40により移動させて行う。まず、装着すべき部品100が供給される部品供給装置30の部品供給部、例えば、テープフィーダ32の部品供給部34の上方に吸着ノズル98の1つが位置するように回転ヘッド80を移動させて、その吸着ノズル98に部品100を保持させ、回転ヘッド80の移動と間欠回転とを繰り返して複数(望ましくはすべて)の吸着ノズル98に部品100を保持させる。次いで、回転ヘッド80を、基板搬送保持装置24によって保持された回路基板114における各部品100の装着位置の上方に各吸着ノズル98が位置するように移動させ、その位置において部品100を装着させる。この一連の装着動作を、装着すべき部品100の数だけ繰り返えすことで、1つのロボット40による1つの回路基板114に対する装着作業が終了する。本実施形態においては、基板搬送保持装置24の搬送方向に互いに隔たった2つの基板保持装置28によりそれぞれ固定されている2つの回路基板114に対して、3つのロボット40が互いに共同して装着作業を行う。この共同には種々の形態があり得るが、ここでは仮に、搬送方向における上流側に位置するロボット40(上流側ロボット40と略称する)が上流側の基板保持装置28により固定して保持された回路基板114(以下、上流側基板114と略称する)に対して装着作業を行い、下流側に位置するロボット40(下流側ロボット40と略称する)が下流側の基板保持装置28により保持された回路基板114(以下、下流側基板114と略称する)に対して装着作業を行い、中間に位置するロボット40(中間ロボット40と略称する)が上流側基板114と下流側基板114との両方に対して装着作業を行うものとする。
【0018】
上記装着作業における回転ヘッド80の移動は、各ロボット40の動作が各制御装置134により制御されることによって実現される。制御装置134の1つを代表的に
図7に示すが、これは、装着機10の制御装置のうち、1台のロボット40の制御に関連する部分のみを取り出して示したものである。多関節型であるロボット40は従来公知のXY型ロボットに比較して動作の自由度に富む利点を有する反面、回転ヘッド80の位置決め精度を得にくいという不利を有している。そのため、装着作業の開始前に、ロボット40のハンド52の位置決め精度を高めるための準備作業が行われる。ハンド52の位置の指令が三次元直交座標系(X,Y,Z座標系)の座標値(x,y,z)で与えられる一方、ロボット40の制御は4つの制御軸(Θ1,Θ2,Θ3,Θ4)の角度位置(θ1,θ2,θ3,θ4)の指令で行われる。すなわち、ロボット40を制御するためのプログラムは、プログラム記憶部136に記憶されているが、ここに記憶されているハンド52を各部品受取位置および部品装着位置へ移動させるため位置データは、三次元直交座標系の座標値(x,y,z)の集合であり、実際の装着作業の実行時にはこれら座標値(x,y,z)がハンド52を正確な位置へ移動させるために補正された補正座標値(x′,y′,z′)が、角度位置指令値(θ1,θ2,θ3,θ4)に変換して使用される必要がある。装着作業の開始前に、この補正座標値(x′,y′,z′)を取得する準備作業が行われるのである。
【0019】
この準備作業は、3台のロボット40の各々について行われるのであるが、上流側ロボット40および下流側ロボット40の準備作業は、前記6つの基準マーク118のうちそれぞれ上流側および下流側に位置する4つずつの基準マーク118を利用して、また、中間ロボット40の準備作業は、上流側と下流側とのいずれかの4つの基準マーク118を利用して行われる。具体的には、ハンド52に固定の撮像装置120を4つの基準マーク118に丁度対向する位置へ順次移動させるべく、ロボット40が予め作成されている制御プログラム(三次元直交座標系の座標値の集合として作成されている)を角度位置(θ1,θ2,θ3,θ4)に変換しつつ制御され、4つの位置の各々において撮像装置120により取得された基準マーク118の像の位置ずれが、それぞれの位置におけるハンド52の位置決め誤差であるとして平面位置誤差メモリ142に記憶される。以上のことが3つのロボット40を順次基板搬送保持装置24の搬送方向の所定の位置(上記4つの基準マーク118により規定される四角形の中央に対応する位置)移動させて行われることにより、3つのロボット40すべてについて、4つずつの基準マーク118の各々に対する平面位置誤差が取得され、平面位置誤差メモリ142に記憶させられて、準備作業が終了する。
【0020】
そして、実際の装着作業の実施時には、各ロボット40の基端部の搬送方向の位置決め精度は十分に高いものとみなし、誤差が上記4つの位置においてはそれぞれ上記平面位置誤差に等しい値をとり、4つの点の間においては滑らかに変化する曲面上の値をとるものと見なして、ハンド52の各目標位置における平面位置誤差が、第1平面位置誤差演算部144の演算により演算され、第1平面位置誤差(Δx1,Δy1)として補正部160に供給される。
なお付言すれば、このハンド52の各目標位置における第1平面位置誤差データ(Δx1,Δy1)の演算が、実際の装着作業の開始前に実行され、第1平面位置誤差メモリに記憶され、実際の装着作業時に順次読み出されて補正部160に供給されるようにすることも可能である。
【0021】
それに対し、高さ方向の位置決め精度は、吸着ノズル98が部品供給装置30から部品100を受け取る際と、その部品100を回路基板114に装着する際とに得られればよい上、両方の高さが近く、かつ、前述のように各ノズル保持部材96と各ピニオン90との相対移動が付勢手段の存在により許容されるため、高さ位置誤差の補正は、ロボット40の基台44への組付け時にシム調整等の機械的調整手段により行われれば十分であると見なして、本実施形態では行われない。
【0022】
ただし、必要があれば、高さ位置誤差の補正も、前記平面位置誤差の補正に準じた方法で行われるようにすることが可能である。すなわち、上記4つの位置における平面位置誤差の取得および記憶と類似の方法で、上記4つの位置近傍における4つの高さ位置誤差の取得および記憶を行わせるのである。具体的には、例えば、回転ヘッド80の複数のノズル保持部材96の1つに基準ノズルを保持させ、その基準ノズルの外周面を一周して形成された基準線を、前記4つの基準マーク118の各々の近傍に設けられている前記撮像装置130に撮像させ、その撮像結果から取得した基準ノズルの高さ位置誤差をハンド52の高さ位置誤差であると見なして、高さ位置誤差メモリに記憶させるのである。
そして、実際の装着作業の実施時には、ハンド52の各目標位置に対する高さ位置誤差を前記平面位置誤差と同様の方法で取得し、その高さ位置誤差と前記平面位置誤差との両方が共に補正されるように、ハンド52を各目標位置へ移動させるための制御プログラム(三次元直交座標系の座標値の集合として作成されている)が補正されるようにするのである。
【0023】
以上、ロボット40の位置決め精度が比較的低いことに起因して生ずるハンド52平面位置誤差および高さ位置誤差の補正について述べたが、その補正と共に、基板搬送保持装置24による回路基板114の保持位置誤差、ならびに吸着ノズル98による部品100の保持位置誤差に起因して生ずる装着位置誤差も取得され、これらの位置誤差に基づいて第2平面位置誤差演算部158において第2平面位置誤差(Δx2,Δy2)が演算され、補正部160に供給される。第2平面位置誤差の取得および補正は、従来公知のXY型ロボットにおいて行われていた取得および補正と同様であるため、詳細な説明は省略し、本実施形態に特有の点のみ説明する。本実施形態においては、1台の装着機10に3台のロボット40が設けられているため、そのうちの2台、例えば上流側ロボット40と下流側ロボット40とにより、上流側基板114と下流側基板114とにそれぞれ2つずつ設けられた基準マーク150が撮像され、その撮像結果に基づいて各回路基板114の保持位置誤差が取得されて、各回路基板に対応付けて基板位置誤差メモリ152に記憶される。また、各ロボット40は、基板搬送保持装置24のいずれかの側に設けられた部品供給装置30から部品100を受け取った後、予め定められた制御プログラムに基づいて、最寄の撮像装置130,132に対して位置決めされ、回転ヘッド80の回転により複数の吸着ノズル98を順次撮像装置130,132に対向させ、それら吸着ノズル98に保持された部品100の底面の高さ位置と、部品保持位置誤差(部品100の中心の位置誤差)および回転姿勢誤差(部品100の中心まわりの回転姿勢誤差)とが取得され、各吸着ノズル98に対応付けて図示を省略する底面位置メモリと、部品保持位置誤差メモリ156および図示を省略する部品回転姿勢誤差メモリに記憶される。そして、実際の装着時には、基板位置誤差と部品保持位置誤差とが、前記ロボット40によるハンド52の位置決め誤差と共に、補正部160により補正され、補正平面位置座標値(x′,y′)が取得され、この補正平面位置座標値、ならびに本実施形態においては補正されないz座標値が制御部162において角度位置(θ1,θ2,θ3,θ4)に変換され、ロボット40の制御が行われる。
なお、部品100の底面の高さ位置と回転姿勢誤差とデータの利用については後述する。
【0024】
上記変換された角度位置(θ1,θ2,θ3,θ4)のデータに基づいて、制御部162からロボット駆動装置60の各回転駆動装置62,64,66,68の各電動モータに電流が供給され、各電動モータの回転位置が角度位置(θ1,θ2,θ3,θ4)に対応する回転角度位置へ回転するように制御されて、ロボット40によりハンド52が正確な目標位置へ移動させられる。また、回転ヘッド80においては、回転駆動装置86により回転体84が一定角度ずつ回転させられて、複数のノズル保持部材96および吸着ノズル98が順次部品受取位置へ旋回させられ、下降させられて、部品100を受け取り、また、部品装着位置へ旋回させられるとともに、回転駆動装置94により部品100の回転姿勢誤差のデータに基づいて円環歯車92が回転させられ、ピニオン90およびノスル保持部材96を介して吸着ノズル98が回転させられて部品100の回転姿勢誤差が補正され、部品100が適正な回転姿勢で装着される。
【0025】
なお、前記撮像装置130,132は吸着ノズル98による部品100の保持状態が正常であるか否かの判定にも利用される。両撮像装置130,132の少なくとも一方により取得された部品100の像が予定の像に対して設定量以上異なる場合には、装着機10の作動が停止させられるとともに、吸着ノズル98による部品100の保持状態が異常である旨の報知がディスプレイ164(
図1参照)により行われるのであるが、この点は従来公知のXY型ロボットを使用した装着機におけるのと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
以上、請求可能発明の一実施形態としての装着機10を説明したが、請求可能発明はこれ以外にも種々の態様で実施可能である。
例えば、上記実施形態においては、装着機10の環境温度がエアコンディショニングにより一定に保たれており、かつ、装着機10が一定時間作動させられてそれの温度が定常状態に達した後に準備作業が行われる等により、準備作業の実行後はロボット40,装着機本体20,基板搬送保持装置24等の温度がほぼ一定に保たれることを前提に、準備作業は装着作業の開始前に1回実行されるのみとしたが、装着作業の継続に伴ってロボット40等に無視し得ない温度変化が生じる場合には、装着作業の実行途中に準備作業と同じ作業が実行され、平面位置誤差メモリ142の記憶データが更新されるようにすればよい。例えば、設定時間経過毎,設定数の電子回路組立完了毎,あるいは比較的温度変化の大きい箇所の温度が設定値変化する毎等に、平面位置誤差メモリ142の記憶データが更新されるようにするのである。
【0027】
また、ロボット40によるハンド52の平面位置決めの誤差である平面位置誤差の検出が、4つの基準マーク118に対する撮像装置120の位置ずれに基づいて行われ、回路基板114上の各目標位置(部品100の電極が回路基板114のパッドと一致する位置)の各々に対する平面位置誤差の取得は演算により行われるようにされていたが、基板搬送保持装置24に、表面に格子目が形成された基準板を搬送保持させ、その基準板の格子点と前記基準マーク118との両方を撮像装置120に撮像させ、基準マーク118に対する基準板の位置決め誤差と、各格子点に対する撮像装置120の位置ずれ量とから、格子点の各々に対するハンド52の平面位置誤差を取得し、各目標位置の平面位置誤差は、それら目標位置の各々に近い各格子点の平面位置誤差に等しいとされるようにすることも可能である。
【0028】
また、ハンド52と共に移動する撮像装置を、部品100の電極がはんだ付されるべく回路基板114に形成されたパッドを撮像するものに変更し、ハンド52の移動に応じて刻々変化する部品100の電極と回路基板114のパッドとの相対位置ずれを消滅させるように、ロボット40の作動が制御されるようにすることも可能である。このようにすれば、作動の継続に伴ってロボット40等の温度が変化しても、その温度変化に伴うハンド52の基準マーク118に対する相対位置の変化を打ち消させることができる。この構成は、装着ヘッドが、1ないし3程度のノズル保持部材96を備え、それらノズル保持部材96と撮像装置120とを互いに近接して、望ましくは相対移動不能に配設し得るものである場合に特に採用し易い。
なお、ノズル保持部材96を3つ以上設ける場合、それらを一直線に沿って設けることも、一円弧に沿って設けることも可能である。
【0029】
また、回路基板114に部品100を装着した後、その部品100を撮像装置120により撮像し、部品100の電極と回路基板114のパッドとの位置ずれ量を検出して、ロボット40によるハンド52の位置決め誤差を取得し、次の回路基板114に対する装着作業のためのロボット40の制御を補正しても類似の効果が得られる。
【0030】
前記実施形態においては、ハンド52に対する吸着ノズル98の位置決め誤差は無視し得るものとしたが、無視し得ない場合は、回転体84の回転駆動装置86の作動が補正されるようにすることも可能である。
また、部品供給装置30の部品供給部と吸着ノズル98との相対位置誤差は、部品100の取出しに悪影響を及ぼすほど大きくなく、かつ、吸着ノズル98による部品100の保持位置誤差は、装着時のロボット40の制御の補正により除去されるため無視されるようにされていたが、無視し得ない場合には、部品供給部34が撮像装置120により撮像され、撮像結果に基づいて部品受取時のロボット40の制御が補正されるようにすればよい。
【0031】
前記実施形態においては、ロボット40の基台44が駆動源を備えたロボット位置変更装置70によって移動させられるようにされていたが、ロボット位置変更装置を、駆動源を備えず、雄ねじ部材72とナット74とのいずれかが手動で回転させられるものとすることも可能であり、さらに、雄ねじ部材72等を備えず、作業者がロボット40をロボットガイドレール42に沿って移動させ、所望の位置で固定ねじ等の固定手段で固定し得るものとすることも可能である。その際、基台44を連続的な任意の位置に固定可能とすることも、予め定められた複数の離散的な位置にのみ安定して固定し得るようにすることも可能である。
【0032】
前記実施形態においては、装着作業がロボット40の基台44および回路基板114の停止状態で行われるようにされていたが、回路基板114の移動中に装着作業が行われるようにすることも可能である。その場合、基台44を回路基板114の移動と同期して移動させることにより、ハンド52を回路基板114の移動に追従させることも、基台44は移動させず、同期制御部の制御によりロボット40のハンド52を回路基板114の移動に追従させることも可能である。いずれの場合も、電気的な制御のみにより追従を実現することが可能であるが、前者の場合には、基台44に対して相対移動不能に設けた検出装置の一例である撮像装置に、被検出部の一例である回路基板114の基準マーク150を撮像させ、撮像装置が基準マーク150に対して一定の相対位置に保たれるように、ロボット位置変更装置70が制御されるようにすることが望ましい。
【0033】
また、多関節型ロボットの利点を生かす上で、ロボット40は1台の装着機10に複数台設けることが望ましいが、1台のみ設けることも勿論可能であり、逆に4台以上設けることも可能である。ロボット40の設置台数を多くする場合、ロボット40の移動を案内するロボットガイドレールを複数レーン設けることが有効である。
ロボット位置変更装置が、独自の駆動装置を備え、その駆動装置による多関節ロボットのロボットガイドレール上の位置変更が、前記回路基材搬送装置による回路基材の搬送に電気的手段(光学的手段を含ませることも可能である)により同期させて行われるようにすることも、ロボット位置変更装置と回路基材搬送装置との一方のみが駆動装置を備え、その駆動装置を備えた側のものに、駆動装置を備えない側のものが機械的に接続されて、両者が同期して移動させられるようにすることも可能である。具体的には、例えば、多関節ロボットの基端部に係合部を設け、回路基材搬送装置に被係合部を設け、制御装置が係合部を被係合部に係合させた後、多関節型ロボットを移動自在な状態として回路基材搬送装置の移動に機械的に追従させるのである。
【0034】
前記実施形態においては、ロボットガイドレール42が装着機本体20のクラウン18に設けられ、ロボット40が天吊り状態で設けられていたが、それと共に、あるいはそれに代えて、ベッド12の上面に回路基板114の搬送方向と平行にロボットガイドレールが設けられ、それに多関節型ロボットが支持されるようにすることも可能である。上下にロボットガイドレールを設ければ、複数の多関節型ロボットを互いにすれ違わせることが特に容易となる。
【0035】
前記実施形態においては、多関節型ロボットが、ハンドに、互いに交差して3次元空間の位置を規定可能な3軸に平行な方向の移動と、一軸まわりの回動とを付与可能なものとされていたが、3軸に平行な方向の移動とそれら3軸まわりの回動との6自由度の運動を付与可能なものとすることも可能であり、また、ハンドの移動可能方向と回動可能方向との運動の自由度の数あるいは組合せの種類を変更することも可能である。
【0036】
前記実施形態においては、ハンド52が常に水平な姿勢を保つようにされていたが、水平面に対して傾き得るようにすることも可能であり、その場合、傾きの角度と方向との少なくとも一方を複数に変え得るようにすることも可能である。このようにすれば、平板状の回路基板114のみならず、三次元形状の基材に部品100を装着することが可能となり、また、任意の方向に任意な角度傾斜した装着面に直角な方向に延びる突起あるいは嵌合穴に、嵌合穴あるいは突起を嵌合させることも可能となる。
【0037】
また、回路基材に装着するために部品供給装置から電子回路部品を受け取って保持する部品保持具は吸着ノズルに限らず、相対運動可能な複数の爪部材を含み、電子機器部品を把持して保持するものとすることも可能である。さらに、多関節型ロボットのハンドは、ねじ締め具,レーザ溶接具,はんだ付け具,クリーム状はんだ塗布具,接着剤塗布具,かしめ具等種々の作業具の1つ以上を備えたものとすることができ、多関節ロボットが複数設けられる場合には、それら複数の多関節ロボットの複数のハンドの作業具が互いに協力して組立作業を行うようにすることもできる。
以上、電子回路部品を回路基材に装着する電子回路部品装着機を例として説明したが、広く電子機器組立機は勿論、ベアリング,減速機,アナログ時計の歯車装置などの小形機械装置の組立機など一般的な組立機に本願の請求可能発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10:電子回路部品装着機(装着機) 12:ベッド 14:前コラム 16:後コラム 18:クラウン 20:装着機本体 24:基板搬送保持装置 26:ベルトコンベヤ 28:基板保持装置 30:部品供給装置 32:テープフィーダ 34:部品供給部 40:多関節型ロボット(ロボット) 42:ロボットガイドレール(ガイドレール) 44:基台 46:回転体 48:第1アーム 50:第2アーム 52:ハンド 54:アーム部 60:ロボット駆動装置 62,64,66,68:回転駆動装置 70:ロボット位置変更装置 72:雄ねじ部材 74:ナット 76:回転駆動装置 78:回転伝達装置 80:回転型ヘッド 82:ヘッド本体 84:回転体 86:回転駆動装置 90:ピニオン 92:円環歯車 94:回転駆動装置 96:ノズル保持部材 98:吸着ノズル 100:電子回路部品(部品) 110:基板ガイドレール 112:基板押上装置 114:回路基板 116:受け部材 118:基準マーク 120,130,132:撮像装置 134:制御装置 136:プログラム記憶部 150:基準マーク